2019年5月5日日曜日

【日本の解き方】憲法改正論議は前進するか… 慎重な公明と積極的な維新、「とにかく反対」の左派野党―【私の論評】8月に、平成ではなかった衆参同時選挙もあり得る(゚д゚)!


安倍首相

5月3日は憲法記念日だった。1947年に日本国憲法が施行されてから70年以上が経過したが、この夏の参院選で憲法改正は争点になるだろうか。

 今の国会勢力を振り返っておこう。衆議院465議席のうち「改憲勢力」といわれているのは自民党が283、公明党が29、日本維新の会が12、希望の党が2の計326議席だ。これは衆院全議席の3分の2にあたる310を超えている。

 参議院242議席のうち、改憲勢力といわれるのは自民124、公明25、維新15の計164議席。これも3分の2にあたる162を超えている。

 国会勢力だけでいえば、憲法改正の国民投票の前段階である国会の発議の要件はクリアしており、改憲論議が前進していてもおかしくない。

 ところが、実態は全く進んでいない。憲法改正などについて話し合う国会の憲法審査会はこれまでほとんど議論が行われず、4月25日に、衆院憲法審査会が今国会で初めて開催されたくらいだ。

 公明党は「改憲」ではなく「加憲」という形で議論を進めるという立場だ。そこには、憲法9条には触れずに、他のところで基本的な権利などを「加える」改正にしたいという本音がうかがえる。

 こうした事情があったため、9条について安倍晋三首相は、現行の1項と2項には手をつけずに、3項を「加える」と公明党に配慮した案を出している。

 これは、安倍首相の本来の考えとはかけ離れたものといえ、保守系からも不十分と批判されている。しかも、かつて立憲民主党の枝野幸男代表が唱えたものとも類似しており、かなりの妥協だといえる。

 しかしながら、公明党は慎重姿勢を崩しておらず、国会での改憲議論が進んでいないことにつながっている。こうした局面を打開するには、憲法改正を国政選挙の争点にして世論に訴えるしかないだろう。

 参議院がその場になるはずだが、政治日程は読みにくい。国会の憲法審査会はようやく議論が始まりつつあるとはいえ、まだ先は見えない。ただ、統一地方選で、改憲勢力の維新が躍進したので、公明は世論の動きを見ていくだろう。

 自民党と公明党との連立は20年にも及び、多くの自民党議員は公明党の支持なしでは当選はおぼつかない。このため、自民党は維新と連立を組むところまではいかないが、協力勢力として抱えることで、公明党を牽制(けんせい)したいところだ。

 維新も、改憲は他の野党との差別化を図る上で格好の話題だ。教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所など独自の提案をしており、国民の関心をいかに呼び込めるかがポイントだ。

 他の野党は、維新の提案は憲法改正なしで対応できるとし、改憲を一切認めないスタンスだ。「内容はいいが改憲は反対」というのは、国の基本方針ではなく、時の政権の方針で変えてもいいということになる。

 また、安倍首相の9条「加憲」についても、他の野党は「安倍政権での憲法改正は許さない」との理由で反対のようだ。選挙の争点になった際、国民にどう説明するのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】8月に、平成年間ではなかった衆参同時選挙も多いあり得る(゚д゚)!

日本国内の経済指標も個別に発表されて来て、特に今年の1~3月期については軒並みあまりよくないです

そうなると解散総選挙とすぐ言いますが、その前にいろいろな手順があって5月13日に景気動向指数が出ます。

これがいちばん最初です。これで3月期の動向指数が出るので、1月から3月のGDPはほとんど計算できます。

予想では、良くないです。景気動向指数もよくないですし、1~3月のGDPも良くないです。良くないという結果が出れば、その後、どうなって行くかということで、正極も動き出すと思います。

その前までは指標が出ていませんから、政策変更をやりようがない状態です。この1週間の安倍総理の外遊や改元の1週間、そういうもので現在様々なことが起こっていて、だからこそ現在観測気球上がっているのですが、それで5月13日に悪い数字が出たら「どうする」ということになって、そこから政局も動き出して行くと思います。

景気動向指数は5月13日と20日に悪い数字が出るのは間違いないとでしょう。この後にG20があります。安倍総理は今月外遊しましたが、その時には当然「経済政策はどうするの」と各国の首脳と話したと思います。これは表に出て来ません。

各国首脳との話は、G20に向けての話なのですか、G20の話があったときに、日本だけが増税しますとは、なかなか言いづらかったでしょう。格好つけたいのであれば、政治家は「G20の議長国の日本が世界経済を引っ張ります」というようなことを言いたくなるでしょう。

積極財政したり、金融緩和して世界経済をリーダーとして引っ張って行くという可能性はあります。そうすると消費増税はしにくくなります。

2017年1月28日、総理大臣官邸にて内閣総理大臣安倍晋三(左)と(萩生田光一 – Wikipediaより)
いま開いている国会は6月26日が会期末で、それを前提とすると7月21日が投票日となる可能性が高いともいわれています。

ただし、国家を最後までやったら21日に限定されてしまいますが、その前まで解散できるということがあります。それを考えると6月30日から延長もできるため、8月の中下旬までダブル選挙の可能性はあります。

萩生田さんが先日、6月の日銀短観の数字と言っていました、それは7月1日に公表されるはずです。だからあの発言は、延長前提の話です。延長をいつまでするかにもよるのですが、8月も参院が残っていて、参院選ができるという状況になるのです。参院議員の任期を越えてもできるということです。

だからそういう萩生田氏が、あの話を言っただけなのです。短観は経済政策からみれば非常に遅いです。5月13日と20日にほとんどわかるから、短観を見るまでもないのです。あれは短観を見るということではなくて、「延長もあり得る、ダブルするときは8月もあり得る」と言っただけなのです。それは安倍総理の選択肢を広げているだけです。

総理側近の萩生田さんが言っているということは、萩生田さん個人の見解のはずがないといえます。
大阪G20のロゴ

安倍政権には追い風が吹いています。4月1日に発表された新元号は、共同通信の世論調査によると、7割以上に好感を持って受け止められ、内閣支持率も52.8%と3月の前回調査比9.5ポイントの大幅増となりました。

もともと自民党内では、2019年中の衆院解散が望ましいとの声が多く「衆参ダブルになると見ている声が多数」という情勢になりつつあります。

衆院の任期は2021年で、東京五輪・パラリンピック後の景気の落ち込みが想像されやすい時期です。ましてや、この時期にすでに増税していれば、日本経済は壊滅的打撃を受けているという観測もあります。

衆議院議員も議員でなくなればただの人です。自民党の衆議院議員からすれば、増税などやめて、前倒しで衆院選をやるべきだと思うのは当然のことです。

東京五輪ロゴ

また与党内の選挙事情に詳しい関係者によると、2020年は東京五輪が開催されるため、衆院解散に踏み切るには日程的に余裕がなく、消去法的に、今年のどこかで衆院選を行う可能性について肯定的にみる声が広がっているといいます。

ただ、衆院解散には「大義名分」が必要との認識は、「令和」時代になっても変わらないもようです。

一時は、北方領土問題の進展をテーマにするとの思惑が与党内にありましたが、直近でのロシア側の強硬姿勢を受け、この見方は急速に後退しました。

与党内では、7月選挙を目前に控える参院改選組などを中心に「消費増税延期」への期待感もあります。

政府・与党内には、増税延期・同日選と増税実施と同日選という複数のシナリオがささやかれています。増税実施を前提の選挙は与党に不利なようにみえるが「野党の体たらくをみれば、増税で選挙をしても勝てる」(与党関係者)とソロバンを弾く意見もあるといいます。

ただし、選挙は水物ですから、やってみないとわからないところがあります。不安定要素は一つでも潰しておくべきと考える議員のほうが多いでしょう。英国は量的緩和政策で景気が回復基調に入ったにもかかわらず、「付加価値税(日本の消費税にあたる)」の引き上げで消費が落ち込み、再び景気を停滞させてしまいました。

その後、リーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、英国経済が浮上しなかった教訓を日本も学ぶべきです。

ロンドンオリンピックのびーボールの試合

どの選択肢を選ぶかは、安倍首相の最終判断にかかっています。現時点では「4─5月の企業決算、1─3月期のGDP(国内総生産)、マーケット動向などをみて、5月中には判断するのだろう」(与党中堅幹部)との見方が与党内には多いです。

安倍首相の選挙に対する直感には定評があり、世界経済や市場動向も踏まえギリギリのタイミングで判断を下すとみられます。

衆参同時選挙になる可能性はかなり高いと言えます。そうして、それが実行されるということは、野党がかなり不利な状況にあるということです。

安倍総理が、増税見送りを国民が納得できるように説明し、それ公約にして、衆参同時選挙に踏み切った場合、野党は確実に惨敗することになるでしょう。

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