防衛省外観 |
冒頭で、本当の戦力は、英国海軍でも潜水艦であると述べましたが、これは日米英等の対潜哨戒能力が高く、攻撃力の高い攻撃型原潜を持つ英米等、ステルス性の高い潜水艦を持つ日本等、海戦能力の高い国にはあてはまりますが、対潜哨戒能力が低く、低いステルス性しかない潜水艦しかもたないため海戦能力の低い中国にはあてはまりません。ロシアも同じです。中露にとっては、未だに米英の空母打撃群は脅威なのです。だからこそ、英国は空母打撃群を日本に派遣したのです。
この現実は、変わっていません。中国はおそらく今回は、構造的にステルス性に難のある、原潜ではなく、通常型潜水艦を投入したと思います。
中国の通常型039A型潜水艦 |
その目的は、明らかです。それは、中国の潜水艦が、日米に発見されるかどうか、発見されたとしてどのタイミングで発見されるかを試す目的でしょう。
以前にも述べたように、中国は対潜哨戒能力が日米に比較して格段に劣っていますし、潜水艦のステル性でも劣っています。
ステルス性に関しては、多少劣っていたにしても、潜水艦戦闘はある程度はやりようがあります。それは、敵の潜水艦、対潜哨戒艦、対潜哨戒機などが存在しない場所を発見し、そこに予め潜み、敵が近づいたときに攻撃するというやりかたです。
日本の哨戒機「P-1」 |
中国としては、このようなやり方が日米に対して有効であるか、試すという目的もあり、何度も日本との接続水域に潜水艦を派遣しているのでしょう。あわよくば、日米に発見されずに、短時間でも良いので、領海内に侵入するという目論見があるとみられます。
もし、それが可能になれば、日米に気づかれずに潜むことができ、日米潜水艦隊の裏をかくことができます。そうなれば、中国の潜水艦も日米の脅威となります。
その結果は、毎回日米にすぐに発見されるという結果に終わっています。今回もそうだったとみられます。
しかも、その行動は詳細に日本側に把握されていることがわかります。それは、先の記事ではっきりわかります。
10日午前に潜水艦が潜ったまま北西に向けて航行したのを確認し、潜水艦が接続水域に入る前、近くを中国のミサイル駆逐艦1隻が航行していたことなどから、12日午前には、同県・横当島の西南西で接続水域の外側を航行し、東シナ海を西に向かった。領海侵入はなかった。
中国の潜水艦は、早期に発見され、日本の対潜哨戒機、潜水艦、哨戒艇などにすぐに探知され、おそらくあらかじめ収集してある音紋により、具体的にどの潜水艦であるかを特定されていることでしょう。
一方、現在でも中国は、日米の潜水艦を発見できないようです。日本の潜水艦はステルス性に優れているので、そもそも中国は発見できないです。
米国の攻撃型原潜は、原潜であるがゆえにもともとステルス性には優れないところがありますが、対潜哨戒能力は世界一であるため、中国の対潜哨戒能力が及ばない地点を特定することができ、そこに潜み、情報収集などして離脱することで中国側にはなかなか発見できないでしょう。
実戦のときにもそのような運用をするでしょう。なぜそのようなことを確信をもっていえるかといえば、未だ中国メディアが日米の潜水艦が台湾付近や、黄海などに潜んでいたことを報道しないからです。
米国攻撃型原潜「オハイオ」 原潜としてはステルス性に優れ、武装も154基のトマホークを搭載 |
台湾の付近の海域や、黄海などの中国近海や場合によっては領海に、日米の潜水艦が潜んで、情報収集や中国海軍を牽制していることは、公には報道されませんが、軍事筋の常識です。現在でも、日米の潜水艦は中国・台湾の近海や、南シナ海に潜み中国を牽制したり、情報収集にあたっています。
もし、中国が高い対潜哨戒能力を有することに成功していれば、それを誇示するためにも、日米を牽制するためにも、日本が中国の潜水艦の行動を発表したように、日米の潜水艦の行動を公表し、人民日報等の中国メディアが報道し、日米を激しく非難することでしょう。
無論、対潜哨戒能力の能力がどの程度なのかを秘匿しているとも受け取れますが、それはとりもなおさず、中国の潜水艦の動向を公表する日本と比較すれば、格段に低いことを意味しています。
そうしてこれは、未だ日米の潜水艦を発見する能力が中国にはないことを如実に示しています。
今回の、中国潜水艦か、接続水域に侵入したことの報道をあわせてみると、中国海軍は海戦能力においては、未だ日米の水準に到底及ばないことがわかります。
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