2021年9月22日水曜日

衆院選、初の任期満了後に…臨時国会10月4日召集を閣議決定―【私の論評】誰が総裁になっても、当面緊縮路線には振れない、今後の政局だが・・・(゚д゚)!

衆院選、初の任期満了後に…臨時国会10月4日召集を閣議決定

 政府は21日、菅首相の後継を選出する臨時国会を10月4日に召集することを閣議決定した。これで衆院選は衆院議員の任期満了日(10月21日)以降になる見通しとなった。現行憲法下では初めてとなる。

国会議事堂

 4日の召集日に衆参両院で首相指名選挙を行い、同日中に新内閣が発足する。臨時国会の会期や日程は新首相の下で決定される。

 9月29日投開票の自民党総裁選に立候補した河野太郎行政・規制改革相、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏は、首相に選ばれた場合、臨時国会で所信表明演説と各党の代表質問を行う考えを示している。

 代表質問後の10月中旬に衆院を解散すれば、準備期間を考慮すると、投開票は11月以降が確実だ。

 新首相は衆院選後、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ2021年度補正予算案を国会に提出するとみられる。補正予算の早期成立のため、衆院選の日程は、選挙準備が間に合うとされる10月26日公示―11月7日投開票が軸となりそうだ。

 公職選挙法に基づき、投開票日は11月28日まで遅らせることもできる。

 衆院解散を伴わない場合、公選法は任期満了選挙の投開票日を「国会閉会翌日から24日~30日後」と定めている。

【私の論評】誰が総裁になっても、当面緊縮路線には振れない、今後の政局だが・・・(゚д゚)!

現在は総裁選の真っ最中だが・・・・

上の記事にもあるように、政府は菅総理大臣に代わる、新しい総理大臣の指名選挙を行う臨時国会について、10月4日に召集することを閣議決定しました。これにより、次の衆議院選挙は衆院議員が任期満了する10月21日以降に行われる見通しになりました。

総務省によると、衆議院議員の任期満了日以降に衆議院選挙が行われれば、戦後初めてのケースになります。

ただし、自民党総裁選の日程が出たころに、このスケジュールは言われていました。

これは予想通りなのですが、このように明示されますと、今後どのようなスケジュールなのか大体わかります。十中八九10月4日に国会召集になります。その前週である9月29日の水曜日に総裁選の投開票が終わり。木曜・金曜には、いろいろな組閣の話のニュースが山ほど出て来ることになるでしょう。

10月4日になるとそれが紙面に出て、そのあと組閣になるのでしょう。国会は10月4日に招集され、所信表明演説等を行い、の月曜日からその週いっぱい開催されることになるでしょう。

所信表明演説をするとと、それに対して各党の代表質問という形になります。それが8日くらいに終わることになるでしょう。10月4日という国会召集日から逆算すると、衆議院選は、10月26日公示、11月7日投開票というスケジュールになるでしょう。

例えば8日に解散してしまうとすると、いろいろな規定があるのですが、こういう流れだと30日以内に国会というか、衆議院になるのです。予定としては11月7日の投開票。これが赤口の日です。12日以上、公示まで期間を取らないといけないのです。そうすると10月26日公示というスケジュールが簡単に出て来ます。

10月26日は大安なので、大安に公示することになるでしょう。それで11月7日の赤口のときに総選挙・投開票というのが普通のスケジュールになるでしょう。

別の角度から、総選挙・投開票の11月7日から逆算してみてもこのようなスケジュールになるざるをえません。スケジュールは1つ決まると芋づる式にみんな決まってしまいます。9月29日に総裁選の投開票をすると決まったときに、ほとんどスケジュールは決まっていたのだと思います。そうすると、その前の9月30日に「緊急事態宣言の解除」ということになるでしょう。。

11月7日の投開票前くらいには、ワクチン接種希望者はほぼ全員が打ち終わっていることでしょう。感染者数は、少し上がるかもしれませんが、いまより悪くはないでしょう。

公職選挙法の規定で、「国会閉会の日から24日以降、30日以内に選挙をしなくてはいけない」ということが決まっていて、ある程度、公示までに時間差を付けなければならないということも考えると、8日には締めなくてはいけないです。そうすると26日に公示になると。首班指名の国会のなかで、少し取り沙汰されていた「補正予算」関する審議は、日程的に難しいでしょう。

そうなると、総選挙が終わったあとに、すぐ国会を開くので、そのときに審議することになるでしょう。

新総理が、所信表明を仮にするとすれば、そのときにある程度の規模の補正予算案を出したあとで、その後にに解散総選挙ということになりますから、多くの人が様々な経済対策に言及することになります。それがあとで補正予算に反映されることになるでしょう。

緊縮命の財務省的には、嫌でしょうが、この状況では増税も含めて緊縮キャンペーンはかなりやりにくいです。。先に補正予算をある程度決めておいた方が、枠が決まります。たた、選挙になるとどのように膨らむかわからないところがあるのも事実です。


誰が新総裁になっても緊縮的な経済政策話は当面出にくいです。補正予算が何もない等ということにはならないでしょう。


何らかの形で補正予算の編成をしなければならなくなるでしょう。補正は30兆円規模だと言う人も何人かいますし、これに引きずられる形で、誰が総裁になったとしても、補正予算を組むでしょう。

補正予算に関しては、与野党各党からさまざまな政策も出て来ています。公明党は18歳以下のお子さん1人当たり、10万円の給付を柱とする政策が出されています。18歳以下の人口は少ないですから、予算的には大きくなることはないので、それはもうすでに織り込み済みでしょう。

さらに手厚く広くするかが、政策議論の論点にになるのでしょう。「減税しない」ということは現時点でもはっきりしているので、そうなると、消費が落ちているので、さらなる給付金政策が論点になるでしょう。

2020年に実施した、所得制限なしの1人当たり10万円の一律給付も俎上に上る可能性もあります。

これからの自民党総裁選と、次の衆議院選挙の期間で、決まってくることになるでしょう。

他方、立憲民主党は21日、安倍前政権の経済政策「アベノミクス」について「格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった。日本経済が混迷から抜け出せない最大の要因だ」とする検証結果をまとめました。枝野幸男代表はこれを受け、「時限的な消費税5%への減税」を次期衆院選の目玉政策に掲げる考えを改めて述べました。

あいかわらずマクロ政策を理解していない枝野氏

立憲民主党の「アベノミクス」総括は問題外ですが、これがなぜ問題外なのか考えてみます。まずは、マクロ政策で一番重要なのは雇用確保ということです。他の経済指標が悪かったとしても、雇用が良ければ、マクロ政策は成功したとみなして良いです。逆に他の指標がどんなに良くても、雇用が悪ければ失敗です。

そういう観点からみると、安倍総理は、歴代政権で最も雇用をつくりました。そのあとコロナ感染症があったことから、割り引いて考える必要があるでしょうが、マクロ政策から見れば、失業率を考えると、コロナ禍でも日本は先進国に比べて低いので、最もいいか、2番目という成績になります。

日本の失業率はコロナ前の2020年2月に2・4%でしたが、その後上昇し、10月に3・1%とピークになり、21年7月は2・8%まで低下しました。米国は20年2月に3・5%でしたが、4月に14・8%とピークで、21年7月は5・4%。EUは20年3月が6・3%でしたが、8月に7・7%、21年7月は6・9%となりました。

それぞれ、コロナ前とコロナ後のピークの差は日本が0・7ポイント、米国が11・3ポイント、EUが1・4ポイントでした。コロナ前と直近の差は日本が0・4ポイント、米国が1・9ポイント、EUは0・6ポイントです。

これらの数字から、コロナ禍による失業率の上昇を最も抑えたのが日本であることがわかります。その理由は、日本では雇用保険の中に雇用調整助成金があるからです。この制度は、労働者の失業防止のために事業主に給付するものです。類似制度は世界ではそれほど多くないが、似た制度があるドイツも、ピーク時の失業率上昇は0・7ポイントと他国と比べて抑えられています。

コロナ失業を防いだ雇用調整助成金

厚生労働省は16日、2021年版の労働経済白書を公表しまた。新型コロナウイルス感染拡大により雇用が悪影響を受けたとする一方、雇用調整助成金(雇調金)などの効果により、完全失業率は2・6ポイント程度抑制されたとの推計を示ました。雇調金がなかった場合、失業率は5・5%に上昇した可能性があるとしています。

このように、雇用調整助成金は確実に効果を上げたのですが、一方では財源が逼迫しているので、保険料をあげようなどとの議論もされています。しかし、それでは何のための保険なのかということにもなりかねません。総裁選、衆院選と選挙が続く時期に、政府は当然このようなことはできないでしょう。それに、こういうことのためにも、補正予算を組むべきです。

とこが、立憲民主党は雇用には目もくれずすぐに、「実質賃金がー」という、本筋ではない議論をしてアベノミクスを矮小化してしまいます。

雇用が伸び始めるときには、非正規雇用から伸び始めるので、当初は実質賃金が下がるのは当然のことです。これは、アベノミクスの初期にも言われていたことです。

実質賃金が、少し下がっても、それよりは雇用の方がはるかに重要なのです。雇用が伸びるということは、いままで給料をもらっていない人ももらえるようになったというとです。マクロ経済政策では、それがいちばん重要なのです。

平均値よりは雇用の絶対量の方が重要ですから、失業率は雇用量で見るのが通常なのです。でも野党の人は、そうすると「安倍さんが歴代政権トップ」と言わざるを得なくなりますから、それは言えないでしょう。

また雇用を改善するには、政府が積極財政をするのは当然ですが、日銀は金融緩和策を取らなければなりません。これなしに、政府が積極財政をしただけでは、効果はありません。しかし、日銀が金融緩和をすれば、雇用は確実に善くなります。

経済回復しても、日銀がゆるやかな緩和を継続すれば、やがて実質賃金もあがります。そうでなければ、賃金は上がりません。それは、日本の賃金が20〜30年前から上がっていないことでも、実証されています。

日銀が金融緩和をして、雇用が改善する当初は、実質賃金は下がります。雇用が改善し、景気が回復した後でも、ゆるやかな緩和を続ければ、実質賃金も緩やかに上昇します。緩和で実質賃金が下がるのは一時的なことなのです。日本の賃金が上がらないのは、日銀の金融政策が元凶です。

そのことも、理解されるようになって欲しいものです。特に、新総裁、新しく総理になる方には、それを理解していただきたいものです。私は、総理が誰になったとしても、ここ1、2年は、緊縮に踏み切ったり、日銀が金融引締に転じることはないと思います。

ただ、2年後、3年後を考えた場合には、やはりマクロ政策、その中でも雇用政策を理解した人に総理になっていただきたいと思います。

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