2021年9月7日火曜日

【日本の解き方】ワクチンで成果残した菅首相、不出馬意向表明で総裁選の状況も一変…衆院選自民勝利への最善手に ―【私の論評】派閥の力学だけでは説明できない、菅総理の総裁選不出馬の深慮遠謀(゚д゚)!

【日本の解き方】ワクチンで成果残した菅首相、不出馬意向表明で総裁選の状況も一変…衆院選自民勝利への最善手に 
菅新政権誕生!
菅総理

 菅義偉首相は3日の自民党役員会で、総裁選(17日告示、29日投開票)に出馬しない意向を表明した。

 政治評論家は、解散権も封じられて手詰まりになったと論評している。筆者は菅首相が出馬しない可能性を指摘していたが、このタイミングはやや意外だった。ワクチン接種など菅政権でやったことがそろそろ実を結ぶので、それを見届けるのかと思っていた。

 しかし、菅首相は自身を安倍晋三前首相の急な退陣を受けての緊急リリーフとしていた節もある。もともと首相への執着は少なかった。コロナ対応に専念したいという菅首相の不出馬の弁が、仕事師としての偽らざる本音ではないか。

 これまで衆院の9月解散や自民党総裁選スキップなど、さまざまなスケジュールが噂されていたが、今後の可能性はかなり整理された。

 理論的な可能性としては(1)任期満了による総選挙(補正予算なし、投開票は10月17日まで)(2)解散総選挙(補正予算あり、投開票は11月28日まで)(3)解散総選挙(補正予算なし、投開票は10月下旬から11月上旬)の三択だった。

 (1)は菅政権で閣議決定する必要があるが、それは次期総裁に委ねるだろうから、まずなくなったとみていい。

 となると、次期総裁による解散総選挙になるだろう。首相指名で臨時国会が召集され、そこで衆院解散となる可能性が高いだろう。補正予算を審議することも可能だが、新内閣で国会審議するのは答弁ミスなどのリスクが大きい。新内閣への「ご祝儀」がある状態で総選挙に突入したほうが得策だろう。

 ということは、(3)の補正予算なしで投開票は10月下旬から11月上旬というのがメインシナリオになる。

 見通しが分からないのは、自民党総裁選だ。菅首相が不出馬となると、今のところ岸田文雄前政調会長が主役だが、河野太郎行革担当相、高市早苗前総務相も意欲を見せている。状況が変わったので、われこそはと次々に出馬表明が出てくるかもしれない。いずれにしても総裁選が盛り上がるのは間違いないだろう。

 自民党としては、総裁選が誰が勝つのか分からない中で行われ、国民の注目を浴びる形となるのがベストだ。そして、その熱気の冷めぬうちに、解散総選挙へ突入した方が、新政権へのご祝儀相場も加わり、勝つ公算が高まる。自民党総裁選は、総選挙を勝利するための顔選びとなるだろう。

 菅首相の新型コロナ対応は世界から見れば、結果としては死者数の少なさなどで及第点だ。ワクチン接種も間もなく欧米に肩を並べるまでになった。しかし、国民へのアピールの点では総選挙向けでなかった。

 そうした新型コロナ対応の実績を生かしつつ、総選挙に勝つための自民党の最善手のために、今回、菅首相が不出馬を表明したと捉えたほうがいい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】派閥の力学だけでは説明できない、菅総理の総裁選不出馬の深慮遠謀(゚д゚)!

菅総理の総裁選不出場については、様々な評論家が様々な論評をしています。そのほとんどが、派閥の力学によって説明しています。

私自身は、今回の不出馬表明は、無論派閥の力学もありますが、高橋洋一氏の主張するように総選挙に勝つための自民党の最善手のために、菅首相が不出馬を表明したと捉えるのが、最も妥当だと思います。この点を論じないで、派閥の力学だけで説明するには無理があると思います。

派閥の力学だけで菅総理総裁選不出馬を説明するには無理がある

これを考えると、安倍前総理の総理辞任も総選挙に勝つための自民党の最善手のために辞任したのではないかと私は思ってしまいます。

無論、病気のことはありますが、現在の安倍元総理の行動をなどをみていれば、体調もかなり回復しているようで、総理大臣をやめなくても、しばらく休んでその間は麻生副総理が代行するという手もあったと思います。しかし、それをしないで、辞任の道を選んだのは、やはり総選挙に勝つための自民党の最善手のために、辞任したのではないでしょうか。

その結果、総裁選挙が行われ、菅総理が誕生したわけです。菅氏自身は、自民党総裁・総理大臣に元々なるつもりはなかったし、なれるとも思っていなかったでしょう。

それが、派閥の力学などにより、自民党総裁になったわけです。そうして、まさに総裁選が誰が勝つのか分からない中で行われ、国民の注目を浴びる形となり、派閥に属していない菅氏が総裁になったわけてす。派閥に属していない総裁、それに安倍政権を守り抜いた官房長官という実直な人柄ということで、菅氏は脚光を浴びました。

安倍総理の辞任も深慮遠謀だった・・・

そうして、総裁選直後には、菅政権の支持率はかなり高いものでした。菅総理自身も、多くの自民党議員も、この人気を維持したまま、今年の総選挙に挑むことができると考えていたことでしょう。これは、安倍元総理がそのまま総理大臣を継続していては起こり得ないことだったと思います。

安倍元総理が総理大臣を継続していれば、安倍一次内閣のように、崩壊していたかもしれないですし、最悪は、麻生内閣のように、総選挙で負けて、政権交代という最悪のシナリオになったかもしれません。

それを防いだということで、菅総裁誕生は自民党にとって良いことでしたが、その菅政権の支持率が最近ではかなり落ちていました。このまま、総選挙に突入すれば、自民党大敗北ということにもなりかねない情勢でした。

それどころか、最悪自民党の中で、菅おろしが置きかねない状況になっていました。しかし、菅総理をはじめ、安倍元総理、麻生副総理も、自民党の「数の力を知る」というDNAが深く刻まれています。これが、自民党と他の野党との決定的な違いです。どこかで、自民党が一致団結して、総選挙にあたることができなければ、大変なことになるという思いは一致していると思います。

このままでは、自民党は総裁選で大敗北をして、その後はそのまま凋落していく可能性もあるとみたのでしょう。特に、安倍元総理や麻生副総理は、そのことに誰よりも危機感を感じていたのではないでしょうか。何しろ、両者とも自らの政権の崩壊を経験しています。そうして、無論安倍総理を支えてきた菅氏も大きな危機感を感じていたことでしょう。

結局、元々総理大臣にもなるつもりもなく、なれるとも思っておらず、安倍晋三前首相の急な退陣を受けての緊急リリーフと考えていた菅総理が、今後の自民党の行末を考えた上での深慮遠謀で、総裁選不出馬を決めたのではないかと思います。

菅総理は、総裁選に出馬はしませんが、任期を全うした上でやめるということで、安倍元総理への義理は果たしたといえます。もし、総裁選に出馬して総裁になれたとしても、任期途中で菅おろしにあって辞めてしまえば、義理を欠くという思いもあったかもしれません。

政治の世界では義理欠くような人間は、相手にされなくなります。特に重要な局面では、そうです。それは、石破氏をみていれば、よくわかります。


そうして、菅総理は安倍前総理や麻生副総理にも総裁選不出馬の意向を伝えたと思います。これを安倍前総理も、麻生副総理も容認したのだと思います。無論、菅総理が派閥に属していないという、派閥の政治力学もあったでしょうが、これが今回の菅総理、総裁選不出馬の真相ではないかと思います。

高橋洋一氏は上の記事で、「総裁選が誰が勝つのか分からない中で行われ、国民の注目を浴びる形となるのがベストだ。そして、その熱気の冷めぬうちに、解散総選挙へ突入した方が、新政権へのご祝儀相場も加わり、勝つ公算が高まる。自民党総裁選は、総選挙を勝利するための顔選びとなるだろう」と述べています。

現在まさに、総裁選が誰が勝つのかわからない中で行われようとしています。そうして、テレビ報道などは、菅総理が総裁選不出馬を決める前までは、コロナ感染症煽りや、ワクチン煽り、菅政権批判や印象操作ばかりしていましたが、現在は総裁選に集中しています。まさに、菅、安倍、麻生氏の目論見はいまのところ的中していると思います。

選挙が行われると、その後に選ばれた新総裁はだれであっても、当初は人気がでます。これを称して「ご祝儀相場」ということもあります。このご祝儀相場が最も高い人が、総裁になることが望ましいです。

このご祝儀相場が最も高いと考えられるのが、高市早苗氏です。まずは、高市早苗氏は、はやばやと「物価目標2%を達成するまでは、財政出動を優先する」とはっきり主張しています。

これは、市場関係者には受けが良いです。財務省などには受けは良くないでしょうが、債権村などのごく一部の市場関係者をのぞく、多くの市場関係者が、この政策には期待するでしょう。さらには、大多数のまともな経済感覚を持ち合わせた人も期待するでしょう。

岸田氏や河野氏は、財務省にかなり近いので、市場関係者は好感を持って迎えることはないでしょう。それどころか、コロナ収束後には消費税増税を言い出すのではと、危惧していることでしょう。他の候補似たり寄ったで、経済対策ではあまり期待できそうにもありません。

民主党から自民党への政権交代があったとき、安倍氏が総理大臣になる前から、市場に期待感から株価があがり、株価は景気の先行きの指標であるという言葉どおり、景気が回復していったことを思い起こしてください。財政政策については、安倍総理は在任中に二度も増税せざるを得なくなったしまったのですが、日銀は最近は手控えぎみではあるものの、現状でも金融緩和を継続しており、それもあって雇用は劇的に改善しました。

高市氏は、日銀の金融政策に関しても、安倍総理と近い考え方を持っています。この面でも期待できそうです。他の候補は、そうではありません。

高市氏の経済対策は、アベノミックスを踏襲するだけではなく、それをさらに高市流に拡張したものです。これは、多くの人々に好感を持って迎えられるでしょう。おそらく、高市氏が総理大臣になれば、また日本経済は成長軌道に乗ると期待感を持つ人は多いでしょう。

さらに、高市氏はまともな国家観を持っています。特に、中国に対してはかなり厳しい認識をしています。政治家の中には真鍮派も多いですが、米国のピュー・リサーチ・センターという信用のおける調査機関によれば、日本国民の9割近くもの人々が中国に対して厳しい見方をしている現状では、これも多くの国民の期待感につながります。また、皇統に関しても、男系を支持しており、これは保守層に受けが良いです。

そうして、これもかなり大きいのですが、もし高市氏が総裁になれば、日本で最初の女性総理大臣ということになります。嫌がおうでも多くの人々の期待感は高まります。

総合的に考えると、高市氏がいわゆる「ご祝儀相場」が最も高くなると考えられます。

「ご祝儀相場」が最も高いということは、来たるべき総選挙で、最も良い結果を出せるのが、高市早苗氏ということになります。マスコミは、このあたりは全く無視して、派閥の力学のみで、総裁選を報道していますが、これでは、かつて安倍総理の復活を予想できなかったように、政局を見誤ることになるでしょう。

次の選挙で絶対に勝ちたいとか、勝たせたいと考える自民党関係者は、高市氏を総裁にすべきです。

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