2021年9月30日木曜日

日本と英国が初の潜水艦共同訓練、その内容とは 世良光弘氏「そうりゅう型、アスチュート級がそれぞれ参加か」―【私の論評】艦名さえ伏せるほど、潜水艦の秘匿に神経質な英国がなぜ日英共同訓練の公表を認めたか(゚д゚)!

日本と英国が初の潜水艦共同訓練、その内容とは 世良光弘氏「そうりゅう型、アスチュート級がそれぞれ参加か」



英「アスチュート型攻撃型原潜」

 海上自衛隊の潜水艦1隻と、英海軍の潜水艦1隻が14、15両日、日本周辺の海域で、共同訓練を初めて実施していた。英国はインド太平洋への関与を強めており、日本との防衛協力を進め、存在感を示す狙いがあるとみられる。日英の潜水艦訓練とは、どのような内容なのか。  「日英共同訓練について」  海自は28日、このようなプレスリリースを出した。

  日英の潜水艦が、対潜戦訓練を行ったというもので、潜水艦の艦名も、詳しい訓練海域も公表されていない。

  目的に「戦術技量の向上と、英海軍との連携の強化」とあり、日英の潜水艦共同訓練は初めてと記されていた。

  英海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群は現在、太平洋に展開している。軍事的覇権拡大を進める中国を牽制(けんせい)するもので、空母打撃群は、潜水艦1隻を含む8隻で編成される。

  韓国の聯合ニュースが8月12日、同打撃群所属の原子力潜水艦が釜山に入港したと報じている。英国の攻撃型原潜「アスチュート級」とみられ、同型は潜航して高速移動でき、トマホーク巡行ミサイルなどを搭載する。

  日英潜水艦による、初の共同訓練をどうみるか。

  軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「最近は日英の連携が急速に強化されており、その一環が潜水艦による訓練だ。潜水艦は性能や行動などがトップシークレットであることから公表されていないが、日本は『そうりゅう型』、英は『アスチュート級』がそれぞれ訓練した可能性がある。英国が最新鋭の攻撃型原子力潜水艦を日本との訓練に使用していることを考えれば、米国なしでも関係が強化されているということだろう」と推察した。

【私の論評】艦名さえ伏せるほど、潜水艦の秘匿に神経質な英国がなぜ日英共同訓練の公表を認めたか(゚д゚)!

この日英潜水艦協同訓練に先立ち、海上自衛隊は、イギリス空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群「CSG21」と、2021年9月8日から翌9日にかけて日英米蘭加共同訓練「PACIFIC CROWN(パシフィッククラウン)21-4」を実施しました。

この訓練は、海上自衛隊の戦術技量の向上と、各国海軍との連携の強化を目的としたもので、関東東方の太平洋上において、海上自衛隊の護衛艦「いせ」と「いずも」が、、イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」らと戦術運動や通信訓練などを行ったほか、双方の艦載機による発着艦訓練なども行われました。

太平洋上を並走する日英の大型艦。上から「いせ」「クイーン・エリザベス」「いずも」(画像:海上自衛隊)。

8月11日、韓国の釜山にイギリス海軍のアスチュート級攻撃原潜1番艦「アスチュート( Astute )」が入港しました。これは極東遠征中の英空母打撃群CSG21の一員で、空母「クイーン・エリザベス」が入港する前の下見を兼ねたもののようです。ただし、空母打撃群自体は結局韓国には未だに寄港していません。

韓国の報道では釜山に入港したのはアスチュート級攻撃原潜3番艦「アートフル( Artful )」と伝えられていますが、これは間違いです。実際に来たのは1番艦「アスチュート( Astute )」です。

韓国釜山港に入港した「アスチュート」とみられる原潜 クリックすると拡大します

アスチュート級は2番艦「アンブッシュ」以降、ベント穴の数と位置はセイル後方の3×2に変更されています。艦尾の3つの穴は無くなりました。

 1番艦アスチュート・・・右舷:4穴×2+3穴、左舷:3穴×2+3穴。
 2番艦以降・・・右舷:3穴×2、左舷:3穴×2。

3番艦「アートフル」も右舷側の穴はセイル後方に3×2のみです。つまり釜山に来ているのはアートフルではありません。興味のあるかたは、上の写真を拡大してご覧ください。ベント穴を確認できます。

イギリス海軍はCSG21に随伴している攻撃原潜の個艦名を遠征計画当初から現在に至るまで未だに発表していません。このため韓国側にも正確な艦名の公表をしないように協力を頼んで、報道には欺瞞情報を発表させている可能性があります。

はじめての日英潜水艦共同訓練に関する海自のプレスリリースにも具体的な艦名は公表されていません。これは、おそらく英国からの要望により伏せているでしょう。

潜水艦は秘匿性が重要になるので、できるだけ情報を知られたくないのでしょう。ただしHMSアスチュートは同型艦の中でも特定しやすいので隠し続ける意味はあまり無く、そろそろ正しい個艦名を公表しても何ら差し支えはない思います。ほとんどの軍事専門家にとっては、周知の事実だと思います。

「PACIFIC CROWN(パシフィッククラウン)21-4」では、日英の潜水艦も当然参加していたと考えられます。その後に、潜水艦の共同訓練を行い、それを公表したのはなぜなのでしょうか。

それは、日英ともに潜水艦が空母打撃群とは別の単独行動をとることもあることを周知させるという意味があったと思います。しかも、単独行動する日英の潜水艦が協同行動をとることもあると周知させるという意味もあるでしょう。


英軍は、潜水艦名まで伏せてその秘匿性に神経質であるにもかかわらず、潜水艦が空母打撃群とは別に単独行動をとること、そうして日英が協同することを周知するする、その意味は何なのでしょうか。

それは、無論中国に対する牽制です。日本の対潜哨戒能力、対潜戦闘力は米国とならび世界トツプ水準です。英国は、日米には及ばないものの、中国に比較すれば、かなりハイレベルです。

そうして、日本の潜水艦は、ステルス性が高く中国側には発見できません。英国の原潜はステルス性には難はありますが、攻撃力にすぐれています。その日英潜水艦が協同して、中国と海戦になれば、中国は日英には全く及ばないことを意味します。

中国が、日英に海戦を挑んだにしても、潜水艦を含めた中国艦艇はことごとく撃沈され、航空機も撃墜されることになります。そうして、日英潜水艦にはほとんど損害は出ないでしょう。そのような大きな懸念があるので、中国海軍は日英海軍と直接戦うことは忌避するでしょう。

そのことを周知させ、中国を強く牽制するという意味があったものと考えられます。

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