2021年9月25日土曜日

クアッド首脳会合 対中連携で一定の成果 軍事のAUKUSと役割分担も―【私の論評】TPPに英国や台湾が加入すれば、申請しても加入できない中国の異質さがますます際立つ(゚д゚)!

対中連携で一定の成果 軍事のAUKUSと役割分担も


米ワシントンのホワイトハウスで24日に開かれた日米とオーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)による初の対面形式による首脳会合は、4カ国が中国の台頭をにらみ、自由や民主主義といった共通の価値観の下で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた結束を確認した点で、所期の成果を上げることに成功したといえる。

会合後に発表された共同声明は、中国への名指しは避けたものの、4カ国が「威圧に屈せず、国際法に根差した、自由で開かれたルールに基づく秩序」に関与し、「法の支配」「航行と飛行の自由」「紛争の平和的解決」などを支持していくと訴えるなど、中国を明確に意識した内容となった。特に、中国が覇権的行動を活発化させている東・南シナ海をめぐっては国際法の順守を訴え、中国を強く牽制(けんせい)した。

一方、オーストラリアのモリソン首相は会合後、ホワイトハウスで記者団に対し、菅義偉首相とインドのモディ首相が会合の席上、米英豪による安全保障連携の枠組み「AUKUS(オーカス)」で合意された米英による豪原子力潜水艦の開発支援に支持を表明したことを明らかにした。

対中国をにらみ、クアッドが外交を含む非軍事分野を、オーカスが軍事分野をそれぞれ分担し、両者が相互補完する態勢が早くも確立されたといえる。

一方で、インド太平洋における諸懸案の対処に向けた「枢要かつ死活的に重要な協議形式」(米政権高官)と位置付けられるクアッドが取り組むべき課題は山積している。

中でも、かつてオバマ元大統領が中国に対抗する集団的な経済安全保障の枠組みとして提唱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、バイデン政権は24日、「現状の内容では復帰できない」との立場を示した。

中国がTPPへの加入を目指す中、米国不在のTPPの維持と発展に力を尽くしてきた日本としては、米国の復帰を実現させることがクアッドの強化に向けた大いなる貢献になるだろう。

【私の論評】TPPに英国や台湾が加入すれば、申請しても加入できない中国の異質さがますます際立つ(゚д゚)!

中国は、バイデン米政権が構築を進める重層的な「中国包囲網」に対抗する姿勢を強めています。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請で孤立感の払拭を狙うほか、米国との関係改善を目指して協調姿勢を見せるなど、包囲網の切り崩しへ相次いで布石を打っています。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は24日の記者会見で、クアッドについて「閉鎖的、排他的、他国に照準を合わせた小派閥は時代の潮流に背く。目的を達することはない定めだ」と牽制しました。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官

「345中国包囲網」。香港出身の国際政治学者、林泉忠(りん・せんちゅう)氏は、米政権が主導する対中包囲網の枠組みを参加国数からこう評しています。米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」▽日米豪印の「クアッド」▽米英豪にカナダ、ニュージーランドを加えた5カ国で機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」-です。それぞれ軍事、産業、情報など多方面に及ぶ協力枠組みだが、林氏は「機能と役割は異なる」と指摘しています。

これに対し、中国は16日にTPP加入を申請。米国が関与を強めるアジア太平洋地域で影響力を高め、中国経済のデカップリング(切り離し)に歯止めを掛ける狙いです。

王毅(おう・き)国務委員兼外相は同日、クアッド参加国のインドのジャイシャンカル外相と会談し、「二大新興経済国として互いに脅威になるべきでない」と呼びかけました。ロシアやイランなど米国と対立する国とも密接な関係を強調しました。

TPPに関しては、中国は現状のままでは加入できません。加入するには、様々なシステムを変えなければなりません。中国が共産主義や国家資本主義とも呼べるような現在の体制を完璧に捨てるというのなら加入できるでしょう。しかし、それは中国共産党の崩壊を意味します。

中国は、2001年にWTOに加盟後、加盟議定 書に定められた条項で要求されたように、 WTOの義務に従うために何百もの法律や規制 などを改正するとしていました。しかし、中国はその約束を反故にしたばかりか、WTO加盟国として の承認を、国際貿易の支配的プレーヤーにするために利用してきました。もし、仮にTPPに入れたとしても、TPPを同じように利用するだけです。

そのようなことは、目に見えているため、日本をはじめとする加盟国は中国を門前払いすることでしょう。

中国はオーストラリアとの間で通商摩擦をかかえている

しかも、中国はTPP参加国のオーストラリアとの間で通商摩擦を抱えています。また、空母「エリザベス・クイーン」を含む空母打撃群を日本に寄港させ、中国との対峙姿勢を顕にした、英国が、TPP加入のための手続きを実行中です。

米国は、TPPに参加しておらず、直接的に中国のTPP加入を批判はしていませんが、台湾のTPP加入を後押しする発言をしています。

米国務省のプライス報道官は24日の記者会見で、中国政府に続いて台湾がTPPへの加入を申請したことについて、「台湾の世界貿易機関(WTO)の責任あるメンバーとしての実績や、民主主義という価値観が考慮されることを期待する」と語りました。 

中国の覇権主義的な動きなどは強く批判しました。 

米国務省のプライス報道官

プライス氏は「米国はTPPに加入していないので、参加国の判断に任せる」とした上で、中国の申請について「市場に基づかない貿易慣行や、他国に対する経済的な威圧が考慮されるべきだ」と強調しました。 

英国や台湾は、いずれ加入することができるでしょう。TPPに英国や台湾が加入できて、中国が申請しても加入できないとなると、中国の異質性がさらに際立つになることになります。

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