[東京 8日 ロイター] 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T: 株価, ニュース, レポート) の北山禎介社長(左写真)は、ロイターとのインタビューで、現在の世界経済は構造変化が進行しており、日本は早期に輸出主導型から内需主導型システムに転換する必要があるとの考えを示した。金融機関もその前提を踏まえてビジネスモデルを再構築する必要があるとし、2009年は将来の成長戦略のための布石を打つ年になると位置付けた。
また、08年4―12月期業績は計画の範囲内で推移しており、09年3月期業績予想を変更する状況ではないと説明。ただ、与信関係費用は通期想定の3700億円から若干上振れる見通しとした。
インタビューの一問一答は以下の通り。
――世界経済の動向をどうみるか。
「米国の住宅市場の先物価格を見ると、今は2010年の秋が底値だ。4カ月前は10年6月ぐらいが底値だったことを考えると、逃げ水のように先に延びている。10年のどこかのタイミングで底値を打つのではないか。それを考えれば、09年中に株式マーケットは底を打つかもしれない」
――日本経済への影響は。
「今回起こっていることは、非常に大きな構造変化だ。米国の経常収支の赤字を日本や産油国などの黒字国が埋めてきた。そのお金で大きくなった米国の消費バブルがはじけ、今後、米国は赤字を、日本などは黒字をそれぞれ減らさなくてはならない。米国に直接、あるいは中国経由で輸出をしてきた日本の産業構造が崩れる。スピード感を持って内需でけん引できる経済構造を作り上げなければならない。構造改革の挑戦状を日本は突きつけられている」
――金融機関も変化が求められる。
「構造変化を踏まえて、日本の金融機関も自分たちが3―5年後にどういうポジションに立っていたいのかを見極めた上で、戦略を展開する必要がある。中期的な成長戦略を作る布石を考えなければならない重要な年になる」
――2010年3月期を最終年度とした中期経営計画に変更はあるか。
「当期利益目標6500億円の達成は困難だ。2年前の計画策定時には、2008年の日銀の政策金利は1%に上昇することを想定してた。現在は0.9%も低く、これだけで収益効果は1800億円のマイナスだ。世界経済と日本経済のマイナス成長から来るクレジットコストの増加も想定の2倍。マイナス要因はいくつもある」
「ただ、中計に盛り込んだ個人向けコンサルタントビジネスの強化や、法人向けでソリューション(問題解決)の提供という方向性は間違っていない」
――09年3月期業績の見通しはどうか。
「08年4―12月期業績は、通期予想に対して大きく外れていない。3月末の株価次第で決まる減損処理額はコントロールできないが、今のところ業績予想を変更する状況ではない。クレジットコストは通期予想の3700億円を若干上振れるリスクがある。海外向け貸出で債務者格付けが下がることによるコストアップが主因だ。業務粗利益は個人部門の不振などはあるが、市場営業部門と海外部門が増益になっており、トータルでは計画通りだ」
――追加増資は必要か。
「今回の約7000億円の優先出資証券の発行と08年に行った調達で、10年前に発行した8300億円の償還に対応したリファイナンスは手当てした。リスクバッファーや貸出余力という意味では、新たな資本増強の必要はない。希薄化を伴う増資も含めて現状、増資は考えていない」
――英バークレイズ(BARC.L: 株価, 企業情報, レポート)への出資は減損処理しないといけないのではないか。
「減損にならない。かろうじてセーフだ。1株296ペンスで引き受けており、12月末の株価は150ペンスを超えている」
――韓国やベトナムなども含めて、小額の出資を行っている。意味があるのか。
「国際金融市場の現状では、(単独でリスクを負うことが難しいケースがあるので)リスクシェアができるクラブ化を進めることには意味がある。自己資本や流動性の問題で、助け合っていくことができる。協業のとっかかりを付けるという意味がある」
*このインタビューは7日に実施しました。
(インタビュアー:布施 太郎記者、デイビッド・ドラン記者)
やはり内需拡大は当然の理屈か?しかし?
北山社長が語るよう日本国内では、内需拡大は当然のことだと思います。以前にもこのブログで書いたように、現在輸出がGDPの16%程度になっています。10年くらい前までは8%でした。いわゆる日本が、輸出でアメリカと貿易摩擦を起こしていて、日本国民のほとんどが「輸出立国」を信じて疑わなかった時代ですら8%未満でした。過去にできていたのですから、現在もこの比率に近づけることができないはずはありません。
内需拡大にしても、道を何の考えもなくただつけるというのでは、後が続きません。やはり、このブログでも強調してきたように、もうすでに20世紀末から変わってしまった社会に対応するインフラ整備、システム構築をするという意味合いで内需を拡大していくことが肝要だと思います。
金融機関に関しては、これから生き残っていくためにイノベーションを実行していく必要がありますが、ここに経営学者のドラッカーの考えを掲載しておきます。
ドラッカー氏は、金融機関にのこされている道は、結局一つしかなく、それは、今日の金融サービス業自らがイノベーションを行い自らに対する創造的破壊者になることであるとしています。
それにはたとえば、先進国と新興国の両方で急速に増えつつある豊かな中高年中流階級のニーズにた対応することだとしています。こうした人たちを相手に、金融商品を扱うことです。さらに、中堅企業の財務についてのアウトソーシング先になることも提案しています。また、急激な為替変動による致命的な損失を回避するための商品。すなわち通貨変動のリスクを日常の経費に転化する金融商品などを提案しています。
私のブログでは、以前から内需拡大が重要だということを強調してきましたので、本日は私と同じ意見である、北山社長のインタビューの内容を掲載しました。また、北山社長は、三井住友フィナンシャルグループであり、金融関連のグループの会長であることから、ドラッカー氏の書籍の中から、金融機関の生き残り策に関しての提言など引用してみました。
ドラッカー氏の「ネクスト・ソサエティー」は今読み返してみて、本当にポスト金融危機に役立つことが多く書かれています。前にも、このブログに書いたように、まるで現在金融危機に陥って混乱している私たちに対する、遺言のようでもあります。そも、かなり示唆に富んだものだと思います。このインタビューの中で、北山社長が語る世界経済の構造変化は、20世紀末で変わってしまった社会の変化に追いついていけなかった社会のインフラやシステムの改変に伴い、変化しているのだと思います。
私たちは、社会の変化を知ることなしに、今や経済の構造変化などを知ったり、対処できないと思います。ドラッカーの「根クス・ソサエティー」は、約10年前に出版された書籍ですが、その当時から20年後とか、30年後まで見通していて、出版当時に読むより現在読んだほうが理解しやすいです。
特に、社会問題を解決するためのセクターとして、NPOを重視していることは重要だと思います。今日、さまざまな社会問題が存在しています。少子高齢化、製造業の生産性の向上に伴う就業者数の減少と地位の低下、IT革新とデジタル・デバイド、就業形態の多様化、知識労働者の台頭にともない、特に都市部に社会問題の解決が最重要課題となっています。
これらに対して、政府が実施することは不可能であると最初からドラッカーは説きます。ドラッカーは、政府は基盤を整備(法律、税制、社会基盤、マクロ経済政策)することできるが、その基盤の上で政府がものごとを実施するのは不可能だとしています。そうして、それを実施(法律・税制に基づいた社会事業、ミクロ経済施策)するのは民間非営利企業だとしています。20世紀には、政府組織や、民間営利組織が爆発的に成長した時代であったが、21世紀におけるジャングル化した都市部をまともにするためには、爆発的なNPOの成長が望まれるとしてています。
こんなことを聞くと多くの日本人は何のことかわからない人も多いと思いますが、アメリカなどではNPO組織が日本に比較して相当進んでいるのでわかりやすい概念です。日本では、NPOというといとまだ弱小なものしかなく、たとえば、派遣村をつくったり、派遣村で炊き出しをするくらいのことしかやっていませんし、できないというのが実情だと思います。
アメリカの例を出すと、皆さんご存知のサブプラムローンなどで、低所得者向けの住宅の提供が大失敗して今日の金融危機を招いてるわけですが、こうした失敗を尻目に、アメリカの都市部のNPOの中には、低所得者向け住宅の提供で大成功しているところがたくさんあります。各地域のNPOが地元のニーズに即して実施するので、住宅提供のほか職業訓練や、教育、職場の斡旋までしてしまうので、うまくいきます。
しかも、日本では考えられないことですが、こうしたNPOの中には、地方銀行や地方の建築会社が最初から構成員として参加していることがほとんどです。NPOといえども善意だけではな何もできないです。こんなことは、政府にはできません。政府はあくまで全国一律的な内容のことしかできません。政府が一律でやるよう事業では、一時は良いかもしれませんが、後が続きません。たとえば、派遣切りの問題ひとつとっても、派遣切りにあった人は種々様々で、一様ではありません。様々なタイプが存在しており、一律の手法では、一時的には支援できたとしても、その後は続きません。
おそらく、今日の社会では、昔のように単純に公共工事をやるといったことでは、金融危機直後は良いかもしれませんが、金融機関の取引上の信用問題が解決したが、実体経済はまだよくなっていないという時期には、最早何も変えられないと思います。このような時期こそ、NPOが大活躍して大きな社会問題の解決を実施していくのです。そうすることにより、健全な内需拡大を期待することができます。一昔前とは、異なる、一段階高次元の社会資本の整備を行っていく必要があります。これに、従事できるような知識を有する知識労働者を育てていく必要もあります。
こんなことに関しては、北山社長も考えはおよばないでしょう。なぜなら、彼は金融に従事する人だからです。今の実体経済をよくするために、金融や経済の専門家に聞くことはお門違いだと思います。日本でも早期に社会問題に対応する人材を開拓していくべきです。アメリカには、有力NPOが昔からありますし、それ相当の実績も積んでいますから、現在アメリカの多くの市民が比較的楽観的に考えているのは、こんなところにも原因があるのだと思います。
いずれにせよ、この書籍にはこのようなNPOの活躍に関する内容はじめ、いわゆるポスト金融危機に関する内容が満載です。まだ、読んでいない人は是非読まれることをお勧めします。
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