11月17日19時7分配信 Business Media 誠
11月10日、電気通信事業者協会(TCA)が2008年10月の携帯電話契約数を発表した。詳しくはニュース記事に譲るが、純増数(※)1位はソフトバンクモバイル。ひと頃より勢いは落ちたものの、それでも純増首位記録を連続18カ月に伸ばしている。一方で、NTTドコモとKDDI (au)の大手2社は、コンシューマを中心とした純新規市場の飽和と、冬商戦前の買い控え期であったこともあり、新規契約の伸びが低迷。ドコモが4位、 KDDIが3位という結果となっている。とはいえ、ドコモやKDDIの大手2社は、すでに多くの契約者と稼働シェアを確保しているため、重要なのは毎月の純増数/純増シェアよりも、解約率の低減の方だ。その点で見ると、ドコモの解約率は「過去最低の水準」(NTTドコモ)であり、キャリアとしての競争力はむしろ高くなっていると言える。
各キャリアの市場競争において、ここにきて著しい成長が見られるのが、新興キャリアである「イー・モバイル」である。同社は2007年3月に携帯電話市場に参入。データ通信分野を中心に成長し、10月の純増数ではソフトバンクモバイルに食らいつく純増シェア2位となった。同社がいまだサービスエリア拡大中であることを考えると、これは十分に快挙と言えるだろう。
●今後の成長が期待できる「2台目市場」で競争力
なぜ、イー・モバイルはこれほど早期に“成長軌道”に乗ることができたのか。
まず、表面的な理由として挙げられるのが、同社の市場競争力が「高速・低価格なPC向け定額データ通信サービス」と、「魅力的なスマートフォン向け料金プラン」に、しっかりと“選択と集中”されていることだ。この2つの分野でのみ見比べれば、その価格競争力とサービスの使い勝手のよさは随一である。携帯キャリア3社はもとより、データ通信やスマートフォン分野の草分けであるウィルコムと比べても、高い訴求力がある。
PC向けデータ通信市場とスマートフォン市場は、携帯電話・PHS市場全体で見れば全体の1割にも満たない。しかし、まだビジネス規模の小さいイー・モバイルからすれば、既存マーケットでシェアを獲得していくだけでも当面の成長をする上で十分な「母数」になる。さらに両分野とも、超小型PCやスマートフォンの進化、モバイル市場の多様化とユーザーの使い分けニーズの拡大などもあり、「2台目市場」として今後の成長が見込める領域でもある。また、逆説的だが、2台目市場が成長の牽引役であることは、すでに飽和・息切れしている“既存のコンシューマ向け携帯電話市場”の成長鈍化の影響も受けにくい。「今あるケータイ」とは別のベクトルで、成長しているからだ。
このように当初から「データ通信サービス」と「スマートフォン」に選択と集中し、新興市場を成長の足がかりにしていることは、イー・モバイルの優位性になっている。
●サービスエリア内ならば、インフラの質は高い
イー・モバイルが“急成長”している理由は、それだけではない。
筆者はあと2つ、同社の台頭には大きな要因があると見ている。それが「インフラ」と「マーケティング」における高い実力だ。
まず前者のインフラ力であるが、サービスエリアの広さだけ見れば、イー・モバイルのそれは他キャリアに追いついていない。新規参入から2年も経っていないことを考えれば、それは当然だ。筆者が注目しているのは、すでにサービスエリア化された場所での「インフラの質」の部分である。
筆者はイー・モバイルのデータ通信サービスを、サービス開始時から利用しているが、同社のインフラはドコモ並みにクオリティが高いと感じている。サービスエリア内では屋外はもちろん、屋内でもかなりの確率でつながる。屋内浸透で比較的有利な1.7GHz帯を使っていることもあるが、イー・モバイルの接続率は悪くない。例えば、先週筆者は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考で大磯プリンスホテルに宿泊した。筆者が泊まった部屋ではソフトバンクモバイルは圏外だったが、イー・モバイルはドコモやauと同じく、しっかりとつながった。
確かに絶対的な全国エリアの広さや、駅や商業ビル内への屋内基地局整備では、イー・モバイルは他社よりも遅れを取っている。だが、サービスエリア化された地域での、屋外・屋内での“つながりやすさ”は十分に実用的であり、クオリティは高いと感じている。
さらにデータ通信サービスの「実効速度(スループット)」においても、イー・モバイルは健闘している。当初はユーザー数が少なかったので、実効速度が速いのは当たり前だった。しかし、ユーザー数が急増した今も、都市部での利用でも著しくスピードが落ちるといった印象はない。イー・モバイルは後発の強みを生かして小型基地局を中心にエリア展開をし、当初から「ブロードバンド時代の需要や利用を見越したエリア設計にしている」(イー・モバイル幹部)と聞く。その取り組みの成果はしっかり出ているようだ。
ユーザー数が急増し、PCを中心に大容量のデータ通信が行われていても、十分な実効速度が出ている。いまだサービスエリア拡大中のため、どうしても見えにくくなりがちだが、イー・モバイルのインフラの実力値はかなり高い。
●トレンドにきっちり乗る、たくみなマーケティング
もう1つの「マーケティング」の部分では、データ通信分野の“トレンドにきっちり乗っている”のが、イー・モバイルの特徴になっている。
それが顕著に現れたのが、通称“100円PC”と呼ばれたNetbookとのセット販売だろう。これは低廉な超小型PCであるNetbookを、データ通信サービスでの2年間契約を条件に破格で売るというもの。これは携帯電話販売でかつて主流となり、総務省に問題視された挙げ句に廃された「販売奨励金モデル」をそのまま廉価版PCに用いたものだ。
形を変えた販売奨励金モデルの復活には、むろん是非があるだろう。特に大手キャリア幹部の中には、「今さら、アレ(販売奨励金による100円PC)が許されるのか」という非難の声もある。
だが筆者は、Netbookを“ゼロから立ち上がる新たな市場”と判断して、躊躇なく販売奨励金モデルを投入したイー・モバイルは、マーケティングのセンスがあると見ている。なぜなら、販売奨励金モデルはまったく新しい市場の創出に向けた端末普及の施策としては極めて有効であり、一概に“悪いこと”とは言えないからだ。販売奨励金モデルの弊害や矛盾が出るのは、普及拡大期が終了し、買い換えが中心で契約者数は増えない循環期に入ったときである。 Netbookは普及拡大期の兆しが見えたばかりであり、そこにいち早く布石を打ったイー・モバイルのフットワークのよさは評価できる。
100円PCは顕著な例であるが、人気のスマートフォン「Touch Diamond」のいち早い投入や、積極的なデータ通信サービスの高速化、“通話ができる面白データ端末”「H11LC」のラインアップなど、イー・モバイルの取り組みは市場トレンドに無理なく“乗っている”。このあたりのマーケティングのたくみさも、同社の強さと言えるだろう。
かつて、データ通信市場やスマートフォン市場のキャスティングボートを握るのはウィルコムであった。しかし今では、躍進するイー・モバイルがその役割を奪い、成長の土台にしている。
来年以降、データ通信市場の“裾野の拡大”と、スマートフォン市場の“普及拡大期に向けた取り組み”は、新たな2台目市場の創出に向けて重要性を増してくる。その中で、イー・モバイルがどのような取り組みをしていくのか。それは同社の今後の成長のみならず、業界全体の動向を見ていく上でも、注目すべき要素の1つになりそうだ。
社会変化に対応するサービスが需要を創造する!!
私自身は、パソコンのデーター通信としてのみイー・モバイルを使ったことがないので、その面からなぜイーモバイルが躍進したのか、私なりに考えてみましたのでその内容を掲載させていただきます。
一番簡単なのは、やはり通信速度が速いことと、通信が安定していて、価格もそこそこだということだ思います。インターネットの一利用者として考えた場合、これが一番です。他に理屈はいりません。
以上のようなことにより、現在のITによる社会の変化にうまく対応できたことだと思います。現在、たとえば、大学に入ったとか社会人になって、自宅からでで遠くの地で初めて一人住まいをするようになったときにまず、困るのはインターネット環境がないということです。
そこで、手軽にすぐにできて、しかもそこそこ速くて安定した通信環境を安く手にいれられたとしてたら、誰もが利用すると思います。それに、イーモバイルの場合、一旦手に入れた環境は、たとえどこかにさらに引越ししたとしても引越しした先がエリア圏内にあれば、そのまま使うことができ何も変える必要はありません。
引越しで、通信環境が途絶えることなどがありますが、そんなことがないのが良いです。それに、ミニノートなど使っていると、どこでも使えるということが何よりも素晴らしいです。図書館でも、仕事場でも、どこでも使おうと思えば使えるというのはやはりいいです。速度もそこそこで、現代のインターネットサービスであれば、どのサイトを見ても、動画でも何でも普通に使えるのがうれしいです。
まあ、言ってみれば当たり前のことなのですが、この当たり前のことをきちんとできるというか、いわゆるインフラとして優れているということが、イーモバイルのすごさだと思います。
このブログには、以前から最近の金融危機に対応するためには、もう「金融・経済」などという考えではだめであって、「社会」に注目すべきだと述べたことがあります。また、もうすでに変わってしまった現在の社会に対応することにより、様々な社会的イノベーションが可能になることも掲載しました。
イーモバイルでは、無論今日の地位を短期間に得るため、戦略を立てて実行してきたと思います。その戦略の中には、表現方法は異なるということもあるかもしれませんが、現代社会に対応する、特に社会的イノベーションを実現するということが盛り込まれていたのだと思います。こうした意味でイーモバイルは社会的イノベーションに成功しているのだと思います。
私は、以前このブログで、「消費者ニーズ」を捨てよなどということを掲載してきました。携帯電話のキャリアでも、いまや「消費者ニーズ」に着目しているだけでは、他のキャリアと似たり寄ったりのものしか開発できないと思います。単なる機能の付加などで、技術的イノベーション終わってしまうと思います。今や消費者ニーズなどはうち捨てて、社会の変化に着目しそれに対応する、たとえば、様々なギャップを見出してそれに対応するような社会的イノベーションを目指すべきだと思います。技術的イノベーションは、社会的イノベーションを起こすために必要であるという位置づけで行っていくべきだと思います。また、そのようなことを実行したからこそ、今日のイーモバイルがあるのだと思います。そうして、業界で1位になるだけでなく、より一層社会的イノベーションに取り組んでいただきたいと思います。
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