ⅰ.フードファクトリー10.4は最初からファストカジュアル
当社の宅配ピザ『フードファクトリー10.4』の商品は宅配ピザとしては、もともと高品質であり、一枚から手作りであり、米を食べる国にあわせた商品づくりを実施してきました。もともと商品を作成するのに他のピザ宅配チェーンのものより時間と手間がかかります。そのため、配達時間が余計にかかります。
店内に入ると、テイクアウトができてファストフーズ様のつくりであり、まさしく設立当初から現在最もトレンディーで脚光を浴びているアメリカ国内で成長が著しいファストカジュアル業態※(2005年当時、年率20%近伸び率)でした。
モスフードの「緑モス」や、マクドナルドの「マックダイニング」(結局失敗し今は営業していない)のようにアメリカから輸入したコンセプトで実施しているのではなく、設立当初からファストカジュアルにごく近いコンセプトで運営してきました。 無論100%同じコンセプトではありませんが、95%程度は同じといえます。 下は、緑モスの写真です。モスバーガーの緑モスです。モスバーガーは、最初からファストカジュアル的だったとは、思いますがテンフォーほどではなかったと思います。
テンフォーでは、ありとあらゆるものが、手作りだったのを思い出します。お客様の要望を満たすため、ソースからなにから何まで手作り、食材に関するこだわりは尋常ではなかったと思います。創業当時の従業員の苦労は大変でした。ノウハウを直輸入したピザハットやドミノピザなどとは出自が違います。、
この「和風元祖ファストカジュアル」に関しては、現在の当社の社員にはなかなか理解できないようです。最初からそうだったので、かえって判りにくくなているものと考えます。かえって、渋谷近辺に出没する若者達や、渋谷に勤めるピザハットの本社社員の方が、判りやすいかもしれません。顧客に理解されないものは販売できません。都内にファストカジュアルの考え方が定着しつつある現在、テンフォー=ファストカジュアルという考え方(たとえ100%イーブンではないにしても)はお客様に受け入れやすいのではないかと思います。しかも、小麦粉は100%北海道産であり、北海道発というイメージはいかにも都会受けすると考えます。
ⅱ.顧客のニーズを満たすためには日米の地域差をのり超えた当然の帰結?
特に設立当初から4~5年では使用する食材も冷凍食品が少なくソースそのものや他の食材も手作り部分が多く、まさしく完全に『元祖和風ファストカジュアル』と呼べる業態でした。
ただし、創業当時はオープンキッチンスタイルの店舗は少なかったため、青森市内で最初に開店したときには、ファストカジュアルという業態(当社自体も『当社独自のコンセプト』などとして、説得力のある説明ができていなかった)を顧客が理解できず、ファストフードと勘違いして、男性顧客がテイクアウトの時間指定をしてその指定時間の5分、10分前に店にやってきて「まだできないのか!?」と声を荒げるものも多く見られました。
多くの顧客が、テンフォーはファストフードであり商品もスーパーにおいてあるようなすでにトッピングもしてある冷凍ものと同じように、冷凍庫から出して電子レンジで2~3分間温めて出すファストフードと思っていたようです。
しかし、結果として『元祖和風ファストカジュアル』は青森市民にも受け入れられ、爆発的に成長し青森市は現在でも当社のドル箱となっています。これは、1990年代初頭の頃である。時を同じくしてアメリカにも同じようなことが起こっていました、いわゆる現在ファストカジュアルと呼ばれるさまざまな業態が産声をあげていました。新たな消費者ニーズに真摯に応えようとした結果、国は違っても同じようなコンセプトが同じような時期に発生していたのです。
ⅲ.なぜ10.4は地方都市に出店して大都市にはあまり出店しなかったのか?
当社のフードファクトリー10.4は地方においては圧倒的な支持を得てきたが、大都市部ではなかなか認知されてきませんでした。それはファストフードやファミレスなどが全盛であったためこうしたコンセプトが幅を利かせていて都会では当社のコンセプトがなかなか理解されなかったためでした。 テンフォーの説明のしかたは独自のコンセプトなどとして、判りにくいものでした。
地方都市では比較の対象が少なかったため、比較的素直に受け取られたという経緯があったものと考えます。
アメリカ国内でも、ファストカジュアル業態は当初は地方都市で発祥し、地方で絶大なロイヤリティを得ていて、その後に都市部に進出してきてから爆発的な成長をし全国的に認知されたという業態が多いです。
日本国内でファストカジュアルという言葉が定着しつつあることを機に従来は当社の独自のコンセプトとして説明しにくかったコンセプトが日本の大都市部も含めた社会に大々的に受け入れられる機運が高まってきたいうことです。また、当社自身もチーズの仕入れ価格が中国などの影響を受けあがりつつあるのに、敢えてチーズの量を平均30%増やし、質にこだわるというファストカジュアル的要素を深めつつあります。 もうそろそろ、テンフォーも都心に店を出してもよい時期にさしかかっているものと考えます。さらには、アジア、ヨーロッパ、アメリカに進出しても良い時期ではないかと考えます。
※ファストカジュアル (2005年当時の日本経済新聞からの抜粋)
ファストフードとカジュアルレストランの中間的な業務形態の飲食店。アメリカで高額所得層を中心に人気上昇中で、市場規模は70億ドルと言われる。セルフサービスによる短時間提供でありながら安全で新鮮、店舗も洗練されているのがウリ。洗練された店舗とはいっても従来の薄暗いニュヨーク、シカゴタイプの落ち着いたリッチな雰囲気ではなく、オープンキッチン型などでカリフォルニアなどの解放感溢れる明るい雰囲気の店構えである。日本の外食業界でもこの形態は注目され始めており、モスバーガーはこれまでの店舗をファストカジュアル形態の「キッチンモス」に徐々に転換していくと発表。高級路線バーガーの販売や喫煙席もしくは完全分煙の設備などの基準を設け、3年間で1000店舗以上の転換を目指す。ジェイアール東日本フードビジネスは「ベッカーズ」のファーストカジュアル店舗を、すかいらーくの米国法人ラークヒルズ・コーポレーションはシアトルに「桃風」をオープンした。狂牛病や鳥インフルエンザなど食の安全性に消費者が敏感になっている現状から見ても、今後支持が高まるのは確実と言えそうだ。