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2017年12月16日土曜日

「アラフォー世代は一生貧困を宿命づけられている」クロ現のアラフォークライシス特集にネット阿鼻叫喚 「泣けた」「救いが無くてテレビ消した」 ―【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!



NHKが12月14日の「クローズアップ現代+」で取り上げた「アラフォークライシス」特集に、悲鳴が上がっている。番組では、5年前との給与を比較したデータを紹介。他の世代は額の大小はあれいずれも増額しているのに、35歳~39歳、40歳~44歳のアラフォー世代だけがマイナスになっている。40代前半に至っては、2万3300円もの減額だった。


給与が上がらないのには複数原因があるが、大量採用されたバブル期世代が上につかえ、昇格・昇進のスピードが遅いこと、アラフォー世代が20代の頃、企業が能力開発にかける費用を減らしたために、今、充分なスキルが身に付いていないことなど、どれも社会のせいとしか言いようがないものばかりだ。

■70代の親の年金収入が頼みの綱になっている40代も 


勤続年数の短さも要因の1つだ。就職氷河期に就活を強いられたアラフォーは、新卒時に運よく正社員になれても、希望の会社への就職を目指して転職する人が多かったという。同じ企業に15年以上務めたアラフォー世代の割合は、バブル期に就職した上の世代より9ポイントほど低い。勤続年数は給与額に影響するため、結果的に増額幅も小さくなる。

正社員より深刻なのは、就職氷河期から非正規として働き、その後リーマンショックで派遣切りされるなど散々な目に遭ってきた非正規労働者たちだ。 

番組では、有名私立大学の理工学部を卒業し派遣やアルバイトを転々とした後、現在は市の臨時職員として働く40代男性が紹介されていた。これから転職しようにも、30代・40代に求められるマネジメント経験を積んでいないため面接に呼ばれることすらなく、人手不足に湧く求人市場の盛り上がりに取り残されていると話していた。

 
また、70代に入った親の年金収入に養われる無職の40代の存在、「7040問題」も紹介されていた。親が亡くなれば収入が途絶え、生活が立ち行かなくなる。番組に出ていた社会福祉士は

「アラフォー世代は一生涯貧困になるのを宿命づけられている状況。このままだと、下流老人、高齢期の貧困を想定せざるを得ない」

と警笛を鳴らす。

「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」

ネットではこの放送に、大きな反響が上がった。多いのはやはり、当事者であるアラサー世代たちからの声だ。「身につまされすぎて言葉もない」「特集がきつくて泣けた」「救いが無くてテレビ消した」など、現実を突きつけられたアラサー世代の悲嘆が数多く見られる。また、「取り上げるの10年遅い」「どこかで考えていたらなんとかなっていたんじゃない?」と、もっともな意見もあった。

非正規雇用者の雇用の不安定さは言うまでもなく、40代無職と70代親の同居が起こる可能性は、パラサイトシングルという言葉が出始めた時から予想できたはずだ。それでも救済策が取られてこなかった現状に、「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」と、国の対応の不十分さを指摘する声も多かった。

【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!

NHKのクローズアップ現代『アラフォークライシス』をご覧になっていない方は、以下のリンクをご覧担って下さい。番組の概要が掲載されています。
アラフォー・クライシス
NHKのクロ現はじめとして、マスコミは中途半端な報道しかしません。この『アラフォークライシス』も現象面しか報道しておらず、真の原因すらも明らかにしていませんし、対処法についても、対症療法的なものしか提供していません。

これでは、社会不安を増すばかりで、この番組の意味が全くありません。

結論からいうと、『アラフォー・クライシス』の真の原因は、過去の金融・財政政策のまずさです。この問題の解決をするのは、まずは、現状の過去よりははるかにましながら、未だ物価目標2%を達成できていない中途半端金融緩和政策をやめて、さらなる量的金融緩和を実施することです。

それとともに、アラフォー世代というか、高校・大学・大学院をすでに卒業した人たちのための新たな教育・訓練システムの開発です。

過去の金融・財政政策のまずさについては、以下のグラフをみていただけると良くご理解いただけるものと思います。


雇用と金融緩和とは密接に結びついています。これは昔からフリップス曲線として経験的に知られていることです。日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

この事実に関しては、日本ではなぜか完璧に無視されているようです。特にマスコミはこのことを理解していません。NHKもそうです。だから、クロ現でも金融政策については、完璧にスルーです。

この雇用に重要な政策である金融政策に日銀は大失敗しています。

まず第一回目の大きな失敗は、過去の金融政策の失敗について説明します。「バブル期はどんどん物価が上がった。すごいインフレ状態だった」というイメージを持っている人も多いようです。たしかに、バブル世代の人々が、なぜか自慢げに語る当時の武勇伝(「こんなに金を使えた」「接待に次ぐ接待で大変だった」「予算は青天井」などなど)を聞くと、その話は、あたかも真実であるかのように響きます。

しかし、バブル期とされる1987~90年の一般物価の上昇率は、実は0・1~3・1%。ごく健全な物価上昇率であって、「ものすごいインフレ状態」とは、とてもいえないものでした。

バル期に異様に高騰していたのは、株式と土地などの資産価格だけでした。「一般物価」と「資産価格」を切り離して考える必要があり、バブル期の実態は「資産価格のバブル」だったのです。

ところが、当時の日銀はバブルの状況分析と原因分析を正しくできず、政策金利(当時は公定歩合)を引き上げて金融引き締めをしました。資産バブルを生んだ原因は、金融面ではなく、法の不備を突いた「営業特金(売買を証券会社に一任勘定する仕組み)」や「土地転がし」などによる資産売買の回転率の高さだったのですが、日銀は原因分析を間違えて、利上げという策を実施しました。

第二回目の失敗は、2006年3月に量的緩和政策を、7月にはゼロ金利政策をそれぞれ解除したことです。その後も引き続き超低金利政策を維持、景気は内需中心の回復軌道に入ったとされていました。しかし、景気は2007年に減速し、実質GDP成長率も低下しました。量的緩和の解除を短期集中的に行ったことが金融市場と景気にショックを与えた影響は甚大なものでした。

しかし、日銀はこれらの失敗に懲りることなく、また三回目の失敗をしています。


この図は、2007年1月時点での各国のマネタリーベースの量を100として、その後の各国のマネタリーベースの量の変化を表したものです。

さて、上の図を見るとFRB、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)は2008年の9月にマネタリーベースを急激に増加させています。2007年1月に比べてFRBは2.5倍、イングランド銀行は3倍、ECBは1.5倍、マネタリーベースを増やしています。08年9月にアメリカ第4位の投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したことにより、金融危機のダメージを防ぐために、各国の中央銀行はマネタリーベースをかなり増やして金融緩和を行いました。

ところが、日銀はほとんどマネタリーベースを増やしませんでした。上の図を見ると、明らかなように同じ時期の日本のマネタリーベースの量は2007年1月と同じくほぼ100のままです。

他国が金融緩和をしているにもかかわらず、日本だけが金融緩和をしないということになれば、日本の円だけが高くなってしまいます。そのため、この時期には未曾有の円高になってしまいました。

このためいわゆるリーマンショックは、米国発祥であり、イギリスなどもサブプライムローンの悪影響をもろにかぶりましたが、本来サブプライムローンとはほぼ無縁であったはずの日本は、日銀が金融緩和をしなかったために、震源地の米国や英国が金融緩和ですばやく危機から脱出したにもかかわらず、一人負けの状態になりました。

当然、このような金融政策の失敗をすると、雇用にもかなり悪影響を及ぼします。アラフォーがリーマンショックで派遣切りされたのもこの時期です。

このような大失敗の他に、日銀は小泉政権のときに一時量的緩和をしたのですが、それ以外はほとんど引き締めをしており、これも当然のことながら、雇用に悪影響を与えました。

金融引締めにより、金融政策に失敗すると、まずは雇用弱者である若者が悪影響をこうむり、若者の失業率が増えます。それでも金融引締めを続けていると、今度は実質賃金が下がりはじめます。「アラフォー」はその時々で、最も悪い局面に当たっていたのです。それは下の図と先のグラフなどを見比べるとより鮮明になります。


そうして、日本は消費税を3%から5%に上げた直後に、完璧にデフレに突入しました。デフレに突入した場合に、通常とられる政策は、金融緩和と積極財政です。これにより、デフレから脱却することができます。

しかし、政府は消費税増税という緊縮財政を繰り返しました。そのため、GDPの60%以上を占める、個人消費が減退して、上のグラフにも示したように名目GDPは頭打ちとなりました。

GDPが伸びなければ、企業は雇用を控え、設備投資も控えるようになりました。これも、雇用に打撃を与えました。そうして、『アラフォー世代』はその悪影響に直撃されたのです。

この状況を打開するためには、まずはさらになる金融緩和が必要です。これについては、最近このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を―【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に目覚めよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本で具体的に言えば、NAIRU(インフレを加速しない失業率)は2%台半ばであり、そのために必要なインフレ率は2%であるので、それをインフレ目標としているわけだ。 
現時点では、失業率3%弱、インフレ率0%強という程度で、最適点には民主党時代よりかなり近づいたが、いま一歩のところで足踏みをしている。
まずは、失業率を2%台半ば、物価目標を2%を達成するまで、追加の量的金融緩和を続けること、達成したからといって、すぐにやめるのではなく、これが安定するまで継続することが必要です。

まずは、これを実行しない限り、他の対症療法をしても『アラフォークライシス』は打開できません。まずは、これが絶対条件です。

その他、この金融緩和の良い影響を迅速に波及させるために、積極財政を打つことです。その手法としては、消費税減税などが考えられますが、それが無理というのなら、ここでは詳細は掲載しませんが、デフレ・ギャップを解消するために20兆円の経済対策を打つべきです。

それが無理というのなら、最低10兆円の経済対策を打つべきです。ただし、この場合は単年度に終わらせることなく、最低2年は継続し、できれば完璧にデフレギャプがなくなるまで継続することです。

これらを達成して、物価目標やNAIRUを達成すれば、『アラフォークライシス』はある程度は、解消できます。これだけで、自力で脱却できる人も存在すると思います。それでも過去の金融・財政政策のまずさを起因とする『アラフォー』特有の問題が残っています。

それは、『アラフォークライシス』に悩まされる人たちは、30代・40代に求められるマネジメント経験等を積んでいないという現実があるからです。そうして、自力では学ぶ機会も得られないという現実があるからです。

私は、アラフォー世代の人たちと話をしていると、確かにマネジメントの経験がないことを痛感することがよくあります。

たとえば、この世代の人たちにマネジメント原則がわかりやすく掲載されているドラッカーの書籍などを読ませて、感想などを聞くことがあるのですが、特にこの年代の人たちが、書籍を読んでも字面を追いかけているだけで、わかったつもりになっているだけで、実際には理解していないと感じることが多いです。

規模の大小を問わずある程度、まともな会社であれば、たとえばドラッカー流のマネジメントの原則を知っていれば、職場で発生する様々な問題や課題のほとんどは解決できるはすです。しかし、これを学んでいないため、悩んだり、いたずらに時間を費やしたり、努力の方向を間違えたりしている「アラフォー」の人が多いように感じています。

これは、学び直す以外に方法はないと思います。これを実行するためには、たとえ学校を卒業したにしても、何らかの方法で、継続学習が可能なシステムを構築すべきだと思います。成人が学校へ戻って継続学習・研究ができることが常識になる社会を構築すべきです。そうして、まずは『アラフォー・クライシス』に悩まされている人々を優先的に継続学習ができるようにすべきでしょう。

マネジメントに限らず、学校を卒業した後でも、企業を運営するために必要な新たな知識を得たり、研究することができる社会を構築すべきなのです。これについては、述べていると長くなりますので、別の機会にまた述べたいと思います。ただし、知識社会に突入した現在、富の源泉は知識に移っており、こうした社会ではいずれ、働く者に継続学習の機会を提供することは当たり前のことになります。実際、欧米ではそのような方向に動きつつある国々もあります。

ただし、いくら継続学習ができるシステムを社会に取り入れたとしても、他の対症療法や、精神論を語ってみたとしても、今の日本ではまずは正しい金融政策を実行して、NAIRU(インフレを加速しない失業率)2%台半を達成するべきであることを忘れるべきではありません。

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2017年6月27日火曜日

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化―【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化

クロ現のキャプチャー画面 社会部がすっぱ抜いたとされる新聞所
 加計学園の獣医学部新設をめぐり、6月19日、NHKが「クローズアップ現代+」で新たな内部文書をスクープした。だが、それ以上に緊迫したのは、番組に登場した2人のNHK記者の“同僚バトル”だった。

 萩生田光一官房副長官の関与に加え、〈総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた〉と首相自らの指示まで示した新文書。この特大の“NHK砲”に、同じ番組に出ていた政治部記者がケチをつけたのだ。

 「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」

 菅義偉官房長官の定例会見そのままの“政府の代弁”のような解説を始めたのは、政治部の官邸キャップ・原聖樹記者。これに対し、社会部の大河内直人記者がこう反論。

 「オモテの議論の透明性は確保されていると思いますが、今回の文書は内閣府と文科省の間で繰り返された水面下の交渉の記録の一つ。(公平性・透明性は)こうした交渉を含めて検証する必要があるのではないか」

 官邸vsNHKではなく政治部vs社会部が火花を散らす構図になったのだ。NHK関係者が明かす。

 「今回のスクープは政権側の目論見を狂わせる破壊力があった。新文書をすっぱ抜いたのは社会部の取材班ですが、その中身を知って官邸や与党関係者を日常的に取材する政治部が急遽、原キャップの出演をねじ込んだからなのか、原氏の掲げるフリップは手書き。NHKらしからぬ急ごしらえ感が漂っていた」

クロ現のキャプチャ画像 原聖樹政治部記者による手書きのフリップ
 同番組の通常放送枠は22時~22時25分。夕刊のテレビ欄にもそう記されていたが、この日の放送は22時30分までと、“5分延長”された。出演者が加わった分だけ“尺”を用意する必要に迫られたようにも見える。

NHK広報局は番組を5分延長した理由について、「取材・制作の都合上」と説明し、政治部記者の追加出演が延長の理由かという質問には、「ご指摘のような事実はない」と回答した。この奇妙な放送から垣間見えてくるのは、政治部と社会部の“立場”の相違だ。

「もともと全メディアのなかでも、NHK社会部は最も取材を先行させていて、前川喜平・前文科次官のインタビューも、かなり早い段階で取っていた。安倍首相ら政権幹部との“オフ懇”を繰り返している政治部とは、追及にかける思いが違う。それでも朝日新聞に先を越されていたのは局内で政権批判をためらう声が強かったからでしょう。社会部の鬱憤は相当たまっていたはず」(前出・関係者)

この手の話はNHKに限らず、菅氏を質問攻めにして「文書」再調査の「功労者」となった東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者についても、「同僚の政治部記者は“ルールを知らない奴がご迷惑かけます”とクラブで頭を下げていた」(大手紙政治部記者)という。

全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。


※週刊ポスト2017年7月7日号

【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!


上の記事そのものは、週刊誌の馬鹿記者が書いたものでしょう。上の記事にもあるように、原聖樹氏は、「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」と発言をしています。

上の記事を書いた週刊ポストの記者は、原氏が語った、国家戦略特区の議事録も読みもせず、この記事を書いたのでしょう。

この馬鹿な記者子は、"全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。"などと馬鹿なことを書いていますが、私からいわせれば、「全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿をさらけ出した」というのが正しいです。

もしこの週刊ポストの記者がこの議事録を丹念に読めば、このような記事は書けないはずです。だから馬鹿だというのです。私は、加計問題に関して、政権側を批判する人間は、馬鹿か悪意のある人間かのいずれかであると思っています。だから、この記者には悪意はないと思うので、馬鹿だと断定したのです。

そうして、NHK社会部の大河内直人(NHK社会部記者)も馬鹿をさらけ出したということです。


私は、大河内氏は悪意ある人間だとは思いたくありません。だからこそ、大河内氏も大馬鹿であるということにします。

さて、「国家戦略特区の議事録」とはこのブログでも何度か掲載してきました。それは、おそらく以下のものだと思います。これは、以前このブログにも掲載したものですが、再掲します。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
これらの文書を読めば、文科省はワーキンググループの時点で、完敗していることが手にとるようにわかります。

たとえば、①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録では、以下のよう牧野課長補佐の発言があります。牧野課長補佐とは、以前にもこのブログに掲載した、伝言ゲームで今回の問題で誤解が広まったその元になった文書を作成した人です。

課長補佐の牧野美穂氏(33)
○牧野課長補佐 そこまでは言っていませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関して は少なくとも今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その 上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数 までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたいというこ とでございます。 
○原委員 挙証責任がひっくり返っている。
ここで、原委員の言う「挙証責任がひっくり返っている」という発言の意味するところは、本来既存の獣医師数が足りているのか足りていないのか、あるいは新しい構想による獣医師の需要数など、本来文科省が示すべきなのに、あたかも農水省にその責任があるかのように牧野氏が述べていることに対するものです。

そうなのです。本来規制する側が、需要は足りているということを示すことをしなければならないはずです。新しく、獣医学部を設立することを認可しないというのであれば、それを誰もが納得できる形で、データに基づいた資料を提示して説明する責任があるのです。

にもかかわらず、牧野氏は農水省などにこの説明責任を転嫁しているのです。これでは、話にも何もなりません。無責任そのものですし、これでは、新設獣医学部を規制することは到底不可能です。

③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録には、以下のような浅野課長の発言がしるされています。

浅野 敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長
○浅野課長 御指摘いただいたように、もう繰り返しになりますので申し上げませんけれ ども、我々としては先ほど本間先生からも御指摘いただいたように、既存の獣医師でない 構想、獣医師養成でない構想が具体化し、かつライフサイエンスなどの獣医師が新たに対 応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、既存の大学・学部では対応困難だ ということであれば、そういったこともしっかり検討していくというつもりでございます。
○八田座長 そうであるかどうかという判定というのはもう今、進めていらっしゃるので すか。それとももう少し提案者等からのヒアリングが必要だということですか。 
 ○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかる べく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。  
○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやる から文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得な いでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するというこ とが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何も ないでしょう。
これを読むと、浅野課長は何とか新設獣医学部の設立を阻止しようとしているのですが、その根拠があまりに脆弱なので、やり込められていことが良くわかります。

以前このブログでも示したように、①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

加問題に関しては、なにやら怪文書のような公文書でもない、メモ書きのものが発見されていたり、野党やマスコミが大騒ぎするので、その本質を見失っている人も多いかもしれません。とにかくこれらのほとんどは、倒閣に結びつけようという悪意に基づくものなので、その本質はかなり見えづらいものになっています。このような、余計なアーティファクト(人工物)を取り除いて、真実を見ることが重要だと思います。

そうして、この目的のため参考になるものはないかと、いろいろネットを探していると以下のよなツイートを見つけました。これはわかりやすいです






以下にアニメの部分を拡大して掲載します。


真相は、実は上記のようにシンプルなものです。戦略特区の議事録などを読むと、このような理解しか成り立ちません。そうして、公開されている議事録は当然のことながら、出席者全員の確認を受けた上で掲載するものでしょうから、信憑性は文部官僚の公用文ではないメモ書きなどよりははるかに高いです。

このように掲載すると、「いや表ではこうだが裏ではどうかわからない」と指摘する人もいるかもしれませんが、表の世界でこれだけ文科省が完膚無きまでに敗退しているのですから、それを裏の世界で政権側もしくは安倍総理が加計学園への獣医学部設置に関して、何らかの操作をするということはあり得ません。

これを批判するなどということは、たとえば大東亜戦争末期に米国の勝利がすでに確実になっていたにもかかわらず、裏側で米国が戦争に勝つために、必死で工作を仕掛けていたというのにも等しいような詭弁以外の何ものでもありません。

その後、前川前文科省時間が記者会見をしましたが、これについては、本当にここで説明するほどもなくあまりに空虚で、内容がないものだったので、ここで詳細は説明しません。説明すると、もはや脱力感で疲れそうです。

これについては、以下のリンクご覧になって下さい。
加計問題・愕然とするしかなかった「前川新会見」の空疎な中身 
マスコミよ、ツッコむ点は山ほどあるぞ

この記事は高橋洋一氏のものです。

先程、私はこのようなことをする人たちは、馬鹿か悪意のある人間としましたが、これは、もはやそのどちらであったとしても、顕在化した暴力であり、彼らに訴えても慈悲も共感もないかもしれません。

それにしても、NHKは何とか、原聖樹氏のようなまともな人間がいたということで、何とかクロ現でも、二論併記という形で、ある程度客観性を保つ事ができたと思います。

しかし、他のメディアは産経など除いてほとんど、全滅です。NHKに関しては、確かに時折偏向報道をすることもあって、評判が悪いところもあります。しかし、現在のところ報道に関しては、民放が予算を大幅に減らしたため、質がかなり劣化していることは否めないのですが、NHKはそのようなことはしていません。

そうして、NHKでも、地上波放送はそうでもありませんが、BS1のほうはかなり質が高いです。これは、中東関係のニュースなどをみると、他の局との違いをまざまざと見せつけられます。これは、中東問題の傑出した専門家である池内恵氏も高く評価しています。

それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
実はNHKBS1はすごいインテリジェンス情報の塊
それでも、今回の『クロ現+』放送を受けて、20日に萩生田副長官が「不確かな情報を混在させてつくった個人メモ」と反論すると、21日にNHKは「行政文書であることは法的に疑いがない」という専門家による見解をニュースにするなど、再反撃に出ました。NHKの良識派の人々には、このようなNHKの他の勢力に負けないように頑張ってほしいです。

そうして、NHKを再生させていただきたいものです。民放の報道部の全部が予算をかなり削られてしまい、まともな放送をしようにもできなくなってしまっています。今の彼らは、能力があるないに限らず、まともな報道はしたくてもできないのです。人も予算も信じられないほどに削られてしまっているのです。偏向報道をするなといっても、できないというのが実情です。事実、昨年の米国大統領選では全敗でした。

NHKも全敗に近いものがありましたが、そうはいっても、日本のテレビ局の中で、唯一NHKだけが、まともな予算で報道番組を作ることができるのです。何とか、NHKから馬鹿と、悪意のある人間を駆逐して、まともにしていただきたいものです。無論、リベラル・左派の人間をすべて放逐しろなどと無体なことを言っているわけではありません。

しかし、加計問題に限らず、何を報道するにしても、すでに公開されているような信憑性の高い文書を検討することなく、メモ書きなどに色めきたつような輩は放逐してもらいたいです。

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