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2019年8月15日木曜日

「南北協力で日本に勝つ」文大統領の荒唐無稽な精神論に韓国紙ですら呆れ…「世界最悪の貧困国家・北朝鮮と協力して日本に追い付く?どんな魔法だ」 ―【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!


妄想に取り憑かれた文在寅韓国大統領

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「北朝鮮との経済協力で平和経済が実現すれば、一気に日本の優位に追い付くことができる」と述べた。

 この発言は、韓国大統領府での会議において、日本による輸出管理見直しを批判した際に行われた。

 南北統一や南北経済協力は、文大統領の金看板で、これまで何度も繰り返されている。国難を自分の支持率向上に結びつけようとする戦略だろう。

 しかし、その実現性やロジックは荒唐無稽である。

 すでに韓国国内でも批判されている。朝鮮日報は社説で、北朝鮮は「技術も資源も市場もない世界最悪の貧困国家」なので、「低賃金労働力の利用以外に何ができるのか。そんな国と経済協力して世界最高の技術大国(日本)に一気に追い付くとはどんな魔法か」としている。

 これが世界の常識だ。1989年のベルリンの壁崩壊で、東西ドイツが統一されたが、旧東ドイツの支援のために旧西ドイツは長年負担にあえぎ、低成長を余儀なくされた。

 この苦境を救ったのは、99年にスタートした共通通貨ユーロだ。ユーロの導入によってドイツは、ユーロ域外に対し相対的に有利な為替レートとなるとともに、域内では為替変動がないため、ドイツ経済の競争力が他の欧州諸国に対して相対的に強化されることとなった。

 当時の旧東ドイツは社会主義国の中では優等生であり、今の北朝鮮よりはるかに経済は良かった。そして、欧州では長い期間かけて共通通貨の議論がなされていたことからユーロ創設に結びついたが、今のアジア圏で共通通貨の話はまったくない。東西ドイツの統合は恵まれた環境の中で行われたが、今の朝鮮半島をめぐる環境とはあまりに違いすぎる。

 経済的に考えてもあり得ないが、政治的にもまったく勘違いだ。北朝鮮を何よりも大切にする文大統領は、北朝鮮以外、何も見えていないのかもしれない。ただ、日本は輸出管理の強化についても、国連の制裁対象である北朝鮮への横流しを懸念しているとみられる。

 そうした状況で、韓国が北朝鮮との協力で乗り越えられるとは、悪いジョークにしか思えない。

 ここまで文大統領が北朝鮮優先の考えであると、北朝鮮の非核化に本気で取り組むとは思えない。前述したように、韓国がいくら北朝鮮と協力しても、日本経済には到底太刀打ちできない。

 しかし、軍事的には、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核開発を続ければ、南北統一の暁には、核保有国となって、日本の脅威になるだろう。その脅威を使えば、軍事的に日本に勝てると考えているのかもしれない。

 文大統領の北朝鮮推しは、もともと左派思想によるものだが、経済的でなく軍事的な意味があるとすれば、北朝鮮を非核化せずに、そのまま核保有国にすることを意味しているのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべき(゚д゚)!

朴槿恵が大統領府を追われた2017年、大統領選挙を経て文在寅が新大統領に任命された。政権交代から1年後の2018年8月29日。ソウル市龍山区に「植民地歴史博物館」という施設がオープンしている。

この新たな反日活動の牙城となっている施設について、韓国メディア配下のように報道しています。

植民地歴史博物館

「植民地歴史博物館は民族問題研究所という市民団体が中心となって設立されました。この民族問題研究所は韓国の左派政権と関係が深く、盧武鉉政権時代には多額の国費補助を受けたとされ、現在の文在寅政権と深いつながりがある。植民地歴史博物館の設立にも現政権のバックアップがあったと囁かれています」

植民地歴史博物館の紹介文にはこうあります。
日本帝国主義による侵奪の歴史と、それに加担した親日派の行為、輝かしい抗日闘争の歴史を記録し、展示する韓国初の日帝強占期専門歴史博物館です。
同館がオープンした同年8月29日は韓国では「庚戌国恥日(キョンスルククチイル)」として知られた日です。1910年に「韓国併合に関する条約」が発効した日が8月29日であり、韓国民の国辱の記憶を呼び起こす日が開館日には選ばれたのです。

民族問題研究所は、現在問題となっている徴用工裁判を支援している団体として知られ、博物館と同じビルには民族問題研究所の事務所も入居しています。

この植民地歴史博物館が現政権下でオープンしたことには深い意味がありました。

文在寅は大統領就任後、事ある毎に植民地時代の独立運動を日本が弾圧した問題を指弾しており、「親日残滓(ざんし)の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」との主張を繰り返しています。こうした言説が、先に紹介した植民地歴史博物館の趣旨と合致する思想であることは言うまでもありません。

館内を散策すると「親日派人名辞典」のコーナーが目に飛び込んできます。親日派人名辞典は盧武鉉政権政権時代に編纂されたもので、日本統治時代に親日活動を行った人物の名簿を発表したものです。

親日派辞典には朴正熙元韓国大統領をはじめとした多くの韓国保守派や著名人の名前が掲載されています。これは親日派のレッテルを貼り社会的に糾弾対象とする魔女狩り活動で、呆れたことに中学、高校にも広く配布されました。ソウル市で問題になっていた戦犯企業ステッカーにも繋がる“日本ヘイト”活動の原点ともなった運動でした。



ちなみに、戦犯企業ステッカーとは、韓国で、戦争犯罪を起こした日本企業の製品にステッカーを貼ろうとの動きです。条例案は、地元の小中学校や高校で使われている備品のうち、約2万円を超えるものに義務化していました。しかし、結局この条例は成立しませんでした。

盧武鉉政権が時代錯誤とも思える親日派人名辞典を重要視したのは、当時、人気を集めつつあった朴槿恵の存在があったことが理由とされています。朴槿恵の父親である朴正熙を親日派と糾弾することで政敵達の人気を削ごうと狙ったのです。つまり政権保持のための策略として、親日派人名辞典は作成されたのです。

盧武鉉とは弁護士時代の同僚で、盧武鉉政権では大統領秘書室長を務めた文在寅もその意図を受け継いでいるであろうことは容易に想像がつきます。

そうして朴槿恵の失墜後、文在寅は再び“親日派狩り”を行おうと、「親日残滓の清算はあまりに長く先送りされた宿題だ」という言説を繰り返すようになったのです。

「共に民主党は、今後100年政権を担うとの構想を口にしています。そのために“親日派狩り”を行うことで保守派の殲滅と、今も国内に残る根強い朴正熙支援者への牽制を行おうとしているのです。つまり政敵潰しでしかない。反日のスローガンは民族主義的な意味にも聞こえますが、その本音は極めて打算的な意図を持った政治運動なのです。

文政権になってから歴史問題、いわゆる慰安婦問題や徴用工問題が再燃しました。文大統領は2015年の日韓合意によって慰安婦問題を解決するために設立された「和解・癒やし財団」の解散を発表。不可逆的に解決されたはずの慰安婦問題を蒸し返しました。また、日本企業への財産差し押さえまで行われた徴用工裁判についても、文政権は「政府は関与しない」という声明を発表しています。

徴用工裁判等国民は勿論のこと、メディアの誰も関心がなかった問題でした。それが文在寅政権に交代した途端いきなり動き始めました。これは文大統領が北朝鮮と繋がっている証左であり、文大統領は本気で南北統一を目指しているとも受け取れます。

なぜかといえば、こうした一連の動きが意味することは、文政権は歴史問題を“解決させない”という明確な意志を持っているとか考えられず、それはなぜかと考えれば、自ずと理解できます。

韓国内の一部からは「38度線を対馬海峡に移動せよ」という言論が出るほど、文政権になってから反日思想は過激化しています。こうした背景には北朝鮮の存在があることは間違いないでしょう。

一昨年、11月19日にソウル市内で挺対協が北朝鮮の慰安婦問題専門家を招いてシンポジウムを開きました。そこで「南北が協力して慰安婦問題で共闘しよう」という言葉が出たといわれています。

挺対協とは韓国挺身隊問題対策協議会(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)のことで、慰安婦問題を支援する市民団体です。代表の尹美香(ユン・ミヒャン)は、和解・癒やし財団が元慰安婦に対して償い金の支給活動を始めるにあたっても、元慰安婦を集めて、「日本のお金を受け取ってはいけない」と圧力をかけたと言ったとされるほど生粋の反日活動家として知られています。

尹代表は、近親者に北朝鮮の内通者がいるという疑いもある人物だけに、彼女の「慰安婦問題で北と共闘する」という言葉に、韓国内のメディアにも危機感が広がっているようです。しかし、韓国メディアでは反日活動を批判することはタブーなのです。それだけに、批判の声は表に出づらいようです。

挺対協や民族問題研究所といった市民団体は、左派政権である文政権の支持母体でもあるのです。左派政権、反日活動、北朝鮮というキーワードから見えてくるものがある。彼らが一様に歴史問題の解決を妨げようとしているのは、北朝鮮との南北統一までの時間稼ぎをしている可能性が高いです。

現在、韓国経済は失速気味です。そうしたなかで、南北統一のコストを抱えきれるのかという不安が常に付きまといます。そうしたなかで文政権が日韓関係を犠牲にしてまで反日活動を行うのは、戦後補償問題を再び日本側に突きつけようとしている思惑があるように思えます。統一の暁には、北朝鮮は元慰安婦、徴用工の補償問題を持ち出すでしょう。

韓国政府は戦後補償の旨味を体験的に知っています。1965年、日韓基本条約で日本政府から無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル(当時のレートで約1800億円)を韓国政府は得て、それを原資として“漢江の奇跡”と評された経済成長を遂げました。“頭の中の八割は北朝鮮で占められている”と評される文大統領が統一プランを練っていないはずはないです。

文政権が執拗に反日や歴史問題に拘る理由も、そこにあるのではないかという分析もあります。要は日本を金ヅルにしたい、という思惑を感じさせます。 

この戦後補償金を現在の価値に置き換える計算を以下に掲載します。
・(円換算)3億ドル×360円(当時1ドル=360円)=1080億ドル
・(物価換算)1080億円×10(当時の大卒初任給が約2万円)=1兆800億円
日本は、現在の価値で置き換えると、2兆円近くの戦後補償金を支払っているのです。これは、当時の韓国の国家予算の2倍にものぼる金額です。

韓国の全国経済人連合会(全経連)は2010年、北朝鮮との南北統一には約3500兆ウォン(約250兆円)が必要になるとの見方を示していました。

北朝鮮が戦後補償問題を持ち出してきたとき、パンドラの箱は開かれることになるかもしれません。戦後70年以上経過した現在、北朝鮮の慰安婦問題、徴用工問題、その実態を正確に語れる証言者や物証はほとんどないといわれています。つまり北朝鮮側の言い値による補償となる公算が大きいです。おそらく、200兆円はくだらないのではないかと思われます。

文政権が掲げる反日思想。その本質は自らの「権力」と「金」を得るためのための所業でしかないのです。

しかし、これは文在寅の妄想に過ぎません。そもそも、日韓基本条約が締結され、日本が韓国に多額の戦後補償金を支払ったときには、朝鮮戦争からまだあまり時を経ておらず、韓国は反共の砦として、北朝鮮に対峙していて、この状況は変わらないとみなされていました。

さらに、米国としても韓国の経済が発展すれば、米国も韓国内に兵站を展開でき軍事的に有利になると考えており、この戦後補償には肯定的だったはずです。

しかし、現在は状況が違います。南北統一があくまでも、韓国の北朝鮮併合という形ですすめられるなら、日本が統一朝鮮を支援するということ考えられますが、どうもそうはなりそうもありません。

それに、文在寅がすっかり忘れていることがあります。それは、韓国以外の国々は、日米・中露そうして、北朝鮮も朝鮮戦争後の状況の現状維持を望んているということです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載しますので詳細はそちらをご覧になってください。
日・ロ・中・朝から袋叩きの韓国 米韓同盟の終焉を周辺国は見透かした―【私の論評】周辺国の本音も理解せず、舞い上がったピエロのような文在虎はこれからも叩き続けられる(゚д゚)!
最近北朝鮮から発射された短距離弾道ミサイル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく周辺国は朝鮮半島の現状維持を望んでおり、南北を統一しようなどと本気で考えているのは文在寅だけです。

金正恩は、南北統一などすれば、チュチェ思想とは無縁で、金王朝を尊敬することのない大量の韓国人が北朝鮮にも大量に入ってくることになるので、統一など望んでいません。

ただ、制裁逃れをしたいので、文在寅に良い顔をして見せていただけです。それにすっかり、文在寅はまい上がってしまったのです。

最近の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射に関して、トランプ大統領は寛容であることに多くのマスコミや識者は驚いていますが、それはこの記事にも書いたように、北朝鮮およびその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるからです。

北の核ミサイルは、日米にとってだけ脅威というわけでなく、国境を接している中国やロシアにとっても脅威なのです。特に中国にとっては脅威です。中朝国境は、中国の火薬庫になりかねないといわれるほど不安定な、東北部だからです。

中国東北部が不穏な動きを見せた場合、当然のことながら、中国政府はこの地域に軍を覇権することでしょう。その軍を北は短距離弾道弾で攻撃することができます。

この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。最悪の状況は、朝鮮半島全体が中国の覇権の及ぶ地域になることです。

現状を冷静に見回してみれば、韓国が軍事的に弱くなったとしても、北朝鮮が中国の朝鮮半島全体への浸透を防いでいる状況は変わらないでしょう。さらに、北朝鮮は中国の干渉を極度に嫌っています。

この状況を理解していれば、文在寅の「南北統一」や、「南北協力で日本に勝つ」などは妄想に過ぎないことがわかります。

金正恩も南北統一により、日本から莫大な戦後補償金を得るなどということは到底不可能であると考えていることでしょう。もしそれが可能だと考えているなら、今でも文在寅に良い顔をしていたことでしょう。

妄想にとりつかれた文在寅は最悪の事態を招きかねません。それは、このブログにも最近掲載した通り、在韓米軍撤退に伴う、韓国経済の焦土化です。

韓国民は、朴槿恵よりもはるかに始末におえない妄想大統領文在寅を放逐すべきです。

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2017年12月16日土曜日

「アラフォー世代は一生貧困を宿命づけられている」クロ現のアラフォークライシス特集にネット阿鼻叫喚 「泣けた」「救いが無くてテレビ消した」 ―【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!



NHKが12月14日の「クローズアップ現代+」で取り上げた「アラフォークライシス」特集に、悲鳴が上がっている。番組では、5年前との給与を比較したデータを紹介。他の世代は額の大小はあれいずれも増額しているのに、35歳~39歳、40歳~44歳のアラフォー世代だけがマイナスになっている。40代前半に至っては、2万3300円もの減額だった。


給与が上がらないのには複数原因があるが、大量採用されたバブル期世代が上につかえ、昇格・昇進のスピードが遅いこと、アラフォー世代が20代の頃、企業が能力開発にかける費用を減らしたために、今、充分なスキルが身に付いていないことなど、どれも社会のせいとしか言いようがないものばかりだ。

■70代の親の年金収入が頼みの綱になっている40代も 


勤続年数の短さも要因の1つだ。就職氷河期に就活を強いられたアラフォーは、新卒時に運よく正社員になれても、希望の会社への就職を目指して転職する人が多かったという。同じ企業に15年以上務めたアラフォー世代の割合は、バブル期に就職した上の世代より9ポイントほど低い。勤続年数は給与額に影響するため、結果的に増額幅も小さくなる。

正社員より深刻なのは、就職氷河期から非正規として働き、その後リーマンショックで派遣切りされるなど散々な目に遭ってきた非正規労働者たちだ。 

番組では、有名私立大学の理工学部を卒業し派遣やアルバイトを転々とした後、現在は市の臨時職員として働く40代男性が紹介されていた。これから転職しようにも、30代・40代に求められるマネジメント経験を積んでいないため面接に呼ばれることすらなく、人手不足に湧く求人市場の盛り上がりに取り残されていると話していた。

 
また、70代に入った親の年金収入に養われる無職の40代の存在、「7040問題」も紹介されていた。親が亡くなれば収入が途絶え、生活が立ち行かなくなる。番組に出ていた社会福祉士は

「アラフォー世代は一生涯貧困になるのを宿命づけられている状況。このままだと、下流老人、高齢期の貧困を想定せざるを得ない」

と警笛を鳴らす。

「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」

ネットではこの放送に、大きな反響が上がった。多いのはやはり、当事者であるアラサー世代たちからの声だ。「身につまされすぎて言葉もない」「特集がきつくて泣けた」「救いが無くてテレビ消した」など、現実を突きつけられたアラサー世代の悲嘆が数多く見られる。また、「取り上げるの10年遅い」「どこかで考えていたらなんとかなっていたんじゃない?」と、もっともな意見もあった。

非正規雇用者の雇用の不安定さは言うまでもなく、40代無職と70代親の同居が起こる可能性は、パラサイトシングルという言葉が出始めた時から予想できたはずだ。それでも救済策が取られてこなかった現状に、「これが自己責任なら政府はいつの時代も何もしなくていいて話だからな」と、国の対応の不十分さを指摘する声も多かった。

【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!

NHKのクローズアップ現代『アラフォークライシス』をご覧になっていない方は、以下のリンクをご覧担って下さい。番組の概要が掲載されています。
アラフォー・クライシス
NHKのクロ現はじめとして、マスコミは中途半端な報道しかしません。この『アラフォークライシス』も現象面しか報道しておらず、真の原因すらも明らかにしていませんし、対処法についても、対症療法的なものしか提供していません。

これでは、社会不安を増すばかりで、この番組の意味が全くありません。

結論からいうと、『アラフォー・クライシス』の真の原因は、過去の金融・財政政策のまずさです。この問題の解決をするのは、まずは、現状の過去よりははるかにましながら、未だ物価目標2%を達成できていない中途半端金融緩和政策をやめて、さらなる量的金融緩和を実施することです。

それとともに、アラフォー世代というか、高校・大学・大学院をすでに卒業した人たちのための新たな教育・訓練システムの開発です。

過去の金融・財政政策のまずさについては、以下のグラフをみていただけると良くご理解いただけるものと思います。


雇用と金融緩和とは密接に結びついています。これは昔からフリップス曲線として経験的に知られていることです。日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

この事実に関しては、日本ではなぜか完璧に無視されているようです。特にマスコミはこのことを理解していません。NHKもそうです。だから、クロ現でも金融政策については、完璧にスルーです。

この雇用に重要な政策である金融政策に日銀は大失敗しています。

まず第一回目の大きな失敗は、過去の金融政策の失敗について説明します。「バブル期はどんどん物価が上がった。すごいインフレ状態だった」というイメージを持っている人も多いようです。たしかに、バブル世代の人々が、なぜか自慢げに語る当時の武勇伝(「こんなに金を使えた」「接待に次ぐ接待で大変だった」「予算は青天井」などなど)を聞くと、その話は、あたかも真実であるかのように響きます。

しかし、バブル期とされる1987~90年の一般物価の上昇率は、実は0・1~3・1%。ごく健全な物価上昇率であって、「ものすごいインフレ状態」とは、とてもいえないものでした。

バル期に異様に高騰していたのは、株式と土地などの資産価格だけでした。「一般物価」と「資産価格」を切り離して考える必要があり、バブル期の実態は「資産価格のバブル」だったのです。

ところが、当時の日銀はバブルの状況分析と原因分析を正しくできず、政策金利(当時は公定歩合)を引き上げて金融引き締めをしました。資産バブルを生んだ原因は、金融面ではなく、法の不備を突いた「営業特金(売買を証券会社に一任勘定する仕組み)」や「土地転がし」などによる資産売買の回転率の高さだったのですが、日銀は原因分析を間違えて、利上げという策を実施しました。

第二回目の失敗は、2006年3月に量的緩和政策を、7月にはゼロ金利政策をそれぞれ解除したことです。その後も引き続き超低金利政策を維持、景気は内需中心の回復軌道に入ったとされていました。しかし、景気は2007年に減速し、実質GDP成長率も低下しました。量的緩和の解除を短期集中的に行ったことが金融市場と景気にショックを与えた影響は甚大なものでした。

しかし、日銀はこれらの失敗に懲りることなく、また三回目の失敗をしています。


この図は、2007年1月時点での各国のマネタリーベースの量を100として、その後の各国のマネタリーベースの量の変化を表したものです。

さて、上の図を見るとFRB、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)は2008年の9月にマネタリーベースを急激に増加させています。2007年1月に比べてFRBは2.5倍、イングランド銀行は3倍、ECBは1.5倍、マネタリーベースを増やしています。08年9月にアメリカ第4位の投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したことにより、金融危機のダメージを防ぐために、各国の中央銀行はマネタリーベースをかなり増やして金融緩和を行いました。

ところが、日銀はほとんどマネタリーベースを増やしませんでした。上の図を見ると、明らかなように同じ時期の日本のマネタリーベースの量は2007年1月と同じくほぼ100のままです。

他国が金融緩和をしているにもかかわらず、日本だけが金融緩和をしないということになれば、日本の円だけが高くなってしまいます。そのため、この時期には未曾有の円高になってしまいました。

このためいわゆるリーマンショックは、米国発祥であり、イギリスなどもサブプライムローンの悪影響をもろにかぶりましたが、本来サブプライムローンとはほぼ無縁であったはずの日本は、日銀が金融緩和をしなかったために、震源地の米国や英国が金融緩和ですばやく危機から脱出したにもかかわらず、一人負けの状態になりました。

当然、このような金融政策の失敗をすると、雇用にもかなり悪影響を及ぼします。アラフォーがリーマンショックで派遣切りされたのもこの時期です。

このような大失敗の他に、日銀は小泉政権のときに一時量的緩和をしたのですが、それ以外はほとんど引き締めをしており、これも当然のことながら、雇用に悪影響を与えました。

金融引締めにより、金融政策に失敗すると、まずは雇用弱者である若者が悪影響をこうむり、若者の失業率が増えます。それでも金融引締めを続けていると、今度は実質賃金が下がりはじめます。「アラフォー」はその時々で、最も悪い局面に当たっていたのです。それは下の図と先のグラフなどを見比べるとより鮮明になります。


そうして、日本は消費税を3%から5%に上げた直後に、完璧にデフレに突入しました。デフレに突入した場合に、通常とられる政策は、金融緩和と積極財政です。これにより、デフレから脱却することができます。

しかし、政府は消費税増税という緊縮財政を繰り返しました。そのため、GDPの60%以上を占める、個人消費が減退して、上のグラフにも示したように名目GDPは頭打ちとなりました。

GDPが伸びなければ、企業は雇用を控え、設備投資も控えるようになりました。これも、雇用に打撃を与えました。そうして、『アラフォー世代』はその悪影響に直撃されたのです。

この状況を打開するためには、まずはさらになる金融緩和が必要です。これについては、最近このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】日銀の資金供給量鈍化でインフレ目標達成できるのか 国民経済のための金融政策を―【私の論評】年長者こそ、正しい金融政策に目覚めよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本で具体的に言えば、NAIRU(インフレを加速しない失業率)は2%台半ばであり、そのために必要なインフレ率は2%であるので、それをインフレ目標としているわけだ。 
現時点では、失業率3%弱、インフレ率0%強という程度で、最適点には民主党時代よりかなり近づいたが、いま一歩のところで足踏みをしている。
まずは、失業率を2%台半ば、物価目標を2%を達成するまで、追加の量的金融緩和を続けること、達成したからといって、すぐにやめるのではなく、これが安定するまで継続することが必要です。

まずは、これを実行しない限り、他の対症療法をしても『アラフォークライシス』は打開できません。まずは、これが絶対条件です。

その他、この金融緩和の良い影響を迅速に波及させるために、積極財政を打つことです。その手法としては、消費税減税などが考えられますが、それが無理というのなら、ここでは詳細は掲載しませんが、デフレ・ギャップを解消するために20兆円の経済対策を打つべきです。

それが無理というのなら、最低10兆円の経済対策を打つべきです。ただし、この場合は単年度に終わらせることなく、最低2年は継続し、できれば完璧にデフレギャプがなくなるまで継続することです。

これらを達成して、物価目標やNAIRUを達成すれば、『アラフォークライシス』はある程度は、解消できます。これだけで、自力で脱却できる人も存在すると思います。それでも過去の金融・財政政策のまずさを起因とする『アラフォー』特有の問題が残っています。

それは、『アラフォークライシス』に悩まされる人たちは、30代・40代に求められるマネジメント経験等を積んでいないという現実があるからです。そうして、自力では学ぶ機会も得られないという現実があるからです。

私は、アラフォー世代の人たちと話をしていると、確かにマネジメントの経験がないことを痛感することがよくあります。

たとえば、この世代の人たちにマネジメント原則がわかりやすく掲載されているドラッカーの書籍などを読ませて、感想などを聞くことがあるのですが、特にこの年代の人たちが、書籍を読んでも字面を追いかけているだけで、わかったつもりになっているだけで、実際には理解していないと感じることが多いです。

規模の大小を問わずある程度、まともな会社であれば、たとえばドラッカー流のマネジメントの原則を知っていれば、職場で発生する様々な問題や課題のほとんどは解決できるはすです。しかし、これを学んでいないため、悩んだり、いたずらに時間を費やしたり、努力の方向を間違えたりしている「アラフォー」の人が多いように感じています。

これは、学び直す以外に方法はないと思います。これを実行するためには、たとえ学校を卒業したにしても、何らかの方法で、継続学習が可能なシステムを構築すべきだと思います。成人が学校へ戻って継続学習・研究ができることが常識になる社会を構築すべきです。そうして、まずは『アラフォー・クライシス』に悩まされている人々を優先的に継続学習ができるようにすべきでしょう。

マネジメントに限らず、学校を卒業した後でも、企業を運営するために必要な新たな知識を得たり、研究することができる社会を構築すべきなのです。これについては、述べていると長くなりますので、別の機会にまた述べたいと思います。ただし、知識社会に突入した現在、富の源泉は知識に移っており、こうした社会ではいずれ、働く者に継続学習の機会を提供することは当たり前のことになります。実際、欧米ではそのような方向に動きつつある国々もあります。

ただし、いくら継続学習ができるシステムを社会に取り入れたとしても、他の対症療法や、精神論を語ってみたとしても、今の日本ではまずは正しい金融政策を実行して、NAIRU(インフレを加速しない失業率)2%台半を達成するべきであることを忘れるべきではありません。

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