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2020年5月4日月曜日

情報機関分析:中国は物資買いだめのためにコロナウイルスの重大度を隠した―【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!


ドラナルド・トランプ米大統領

<引用元:ブライトバート・ニュース 2020.5.3

ワシントン(AP)―中国がコロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したのは、対応に必要な医療用品をため込んでおくためだったと米国当局者が考えていることが、情報機関の文書から明らかになっている。

AP通信社が入手した5月1日付の4ページからなる国土安全保障省の報告書によると、中国指導部は1月初めに、世界からパンデミックの「重大度を意図的に隠蔽」したとされる。トランプ政権が中国に対する批判を強める中での発覚であり、マイク・ポンペオ国務長官は3日、中国に疾病拡大の責任がありその責任を果たさなければならないと述べていた。

中国に対する論調の厳しさが強まるのと同時に、政府のウイルス対応は不適切で遅いという政権批判が出ている。ドナルド・トランプ大統領の政治的敵対者は、大統領と政権が国内での批判をかわそうとして、地政学な敵でありながら米国の重要な貿易相手でもある中国を厳しく批判しているのだと訴えている。

分析では、中国はコロナウイルスの重大度を軽視しながら、医療用品の輸入を拡大して輸出を縮小させたとされている。「輸出規制があることを否定し、貿易データの提供を分かりにくくして遅らせることで」そうした行動を隠蔽しようと試みた、と分析にはある。

また報告書は、中国はコロナウイルスが「(人から人への)伝染病である」ことをWHOに知らせることを遅らせたので、海外の医療用品を注文できた―そしてマスクと手術着の輸入が急激に増加していた、としている。

報告書によると、そうした結論は、95パーセントの確率で中国の輸出入のパターンの変化が通常の範囲に収まらないとされる点に基づいている。

トランプは、中国が何らかの恐ろしい「過ち」のせいでコロナウイルスを流出させてしまった可能性があるのではないかと考えている。情報機関は、パンデミックが中国の研究所での事故の結果かもしれないという、大統領と側近の見解をまだ検証中だとしている。

ポンペオ長官は3日、ABCの「This Week」に出演し、ウイルスが意図的に拡散されたと信じるだけの根拠はないと述べた。が、こう付け加えた。「忘れないで欲しいが、中国は世界に感染を広げた歴史を持っており、基準を満たしていない研究所を運営していた歴史を持っている」

【私の論評】情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスのパミデミックを招いたことを忘れるな(゚д゚)!

中国共産党が、医療用品をため込んでおくため、コロナウイルス発生の範囲―そしてその感染性の強さ―を隠蔽したというなら、本当に中共はクズです。

たとえそうでなかったにしても、隠蔽の事実は、消えません。中国ウイルスによる感染症が確認された初期の段階で、何が理由だったかは、別にしても中国の当局は情報を隠し、告発者を「デマの発信源」と名指しで批判しました。そして武漢から情報発信したジャーナリストは姿を消しました。

こうした情報統制や役人の保身などに起因する初動の遅れこそが、中国ウイルスの感染拡大を招いたことを忘れてはならないです。以下に1月から2月の中国におけるウイルスに関する出来事をふりかえっておきます。

春節休みの時期だった中国において、超過勤務を続けていたのは病院職員だけではありませんでした。警察も体制を強化する必要性が生じていたのです。

1月24日、ひとりの警察官が湖南省の省都である長沙市へと飛んだ。彼はそこから封鎖を通り抜け、隔離されていた湖北省へと移動し、中国ウイルス大流行の中心地となった武漢へと入りました。この警察官は、武漢にある刑務所の警備強化のために派遣されたのです。

新型ウイルスが爆発的に広がって以降、刑務所ではテレビの電源が切られ、親類の訪問も禁止されていました。中国政府は現在、主なテレビチャンネルでマスクの着用方法を説明するアニメを流していますが、服役囚の暴動は望んでいません。情報の流れは刑務所の入り口で止まっています。


武漢市の当局は、すべてが統制下にあると考えていました。市の公安当局は1カ月前、SARS(重症急性呼吸器症候群)に似た疾患についてチャットアプリのWeChat(微信)で友人に警告を発していた眼科医の李文亮(リー・ウェンリアン)が、デマを流していたと誇らしげに発表しました。

武漢が封鎖される2日前、省の指導部は武漢市のホールで民族舞踊を鑑賞していました。中国は権威主義の国としてよく知られていますが、地方政府は自らの管轄域において、ほぼ独立した統治権を有しています。

省の指導部が武漢市のホールで鑑賞していたとされる民族舞踊

当局の職員はウイルスについて上層部に報告したでしょうが、その重大性を甘く考えていたようにも見えます。叱責を受けたり、対応能力がないとみなされたりすることを恐れていたのでしょう。口をつぐんで静かにしているというのが、その基本的な姿勢でした。

このため旧正月を前に、国営メディアは年に一度の伝統行事をいつも通りに祝い、40,000人が武漢の街中に料理を持ち寄って宴を繰り広げていました。中国全土で企業が祝賀行事を催していたが、中止を考えるほど新型コロナウイルスが深刻であるとは思っていませんでした。

このころSNSで最もシェアされていた医療用品の写真は、飲みすぎた社員が回復するための点滴やベッドの様子でした。これはスマートフォンメーカーのOPPO(広東欧珀移動通信)から“流出”したものです。

飲みすぎた社員が回復するためとそれた点滴やベッドの様子

それから数日、医療体制の不足を嘆く投稿がソーシャルメディアに広がりました。医師たちは、防護服をいったん脱いでしまうと着替えがないかもしれないことから、怖くて食事すらできないと報告しました。手を休めれば職務に忠実ではないと思われる可能性があるため、休みなく働いたあとに倒れる看護師の映像もあります。

フリージャーナリストで弁護士の陳秋実(チェン・チウシー)は、武漢の病院の廊下に遺体が放置されていると報告した。彼はそれ以来、姿を消している


陳秋実(チェン・チウシー)

「いま国は、人民を怖がらせるという仕事をとてもうまくやっています」と、北京在住の学生チャン・チン(仮名)は言います。「最初の数週間の対応が大きな怒りを買っているのです」

その最初の時期、中国の高齢者のほとんどは警戒を怠っていました。古い世代の多くは社会主義的な生産組織で育ち、生活のすべての面で政府に面倒を見てもらっていました。高齢者たちは、自分の子供の言葉よりも政府の言うことのほうを、はるかに信じているのです。

春節に故郷の浙江省に帰省したサム・ガオ(24歳,仮名)は、家に帰ると両親がマスクもしないで歩き回っている様子に気づいた。彼はすぐに通販サイト「京東商城(JD.com)」でマスクを注文したが、その後すぐに売り切れてしまいました。

地元の政府で働いている親にマスクをするよう促したのですが、彼の心配は軽くあしらわれました。「両親が新型ウイルスの存在を信じ始めたのは、武漢が封鎖された あとのことでした」とガオは言います。

そして彼の両親が住む集合住宅で症例が報告され、国営の中国中央電視台(CCTV)が公衆衛生の啓蒙活動を強化し始めてから、ようやく新型コロナウイルスを本当に真剣に捉え始めました。WeChatや中国版Twitterの「微博(ウェイボ)」といったSNSでは、親に警戒するよう説得することがいかに難しかったか、若者たちが経験を共有しています。


政府による情報統制のために、デマが広がる余地が生まれました。検閲機関は政府の情報統制に対する批判を集中的に取り締まり、李文亮の死に捧げられた投稿を削除しています。

「ほかの街も封鎖される」「野菜の値段が急騰している」といった噂が氾濫してパニックや買いだめにつながり、政府の情報源にも圧力がかかっています。国営メディアは「双黄連口服液」という薬を推奨しており、ウイルスの症状に効果があると報道しました。薬は売り切れましたが、虚偽のニュースだとする医師もいます。人々はほかの情報源に頼るのみならず、発表があるたびに過剰反応しています。

双黄連口服液

武漢は新型コロナウイルスに対してまったく体制が整っていませんでした。「医療資源は全国的に厳しい状況です」と、武漢の大学に通っていたシン・ヤーチァン(仮名)は語っています。

まだ彼女が大学に行っていたころ、のどに腫瘍があることに気づきました。病院のベッドで3日間を過ごしたあと、腫瘍が取り除かれて体調が回復すると、医師は彼女を追い払い、ほかの患者のためのスペースを確保しました。

彼女は手術まで3週間も待たされました。ウイルスのせいではなく、基本的な治療が不足していることから多くの人が亡くなっています。「李文亮の言葉に耳を傾けていれば感染者は少なくて済んだはずです」と、シンは言います。

公衆衛生の専門家は状況の全貌を把握していませんでした。「医師と公衆衛生の専門家が連携していなかったことで、市民は大きく混乱しました」と、匿名を希望する北京在住の公衆衛生専門家は指摘します。

中国では医師に対する信頼が一般的に低いです。このため今回の公衆衛生の危機がさらに深まっていました。多くの中国人は、本当の必要性を感じない限り病院へ行くことはないです。人々は医者が自分たちをだましていると感じているからです。

長い間、中国の医療制度では過剰な処方や検査が奨励されていました。正当性を高めるため中央政府は、SARSと戦った鍾南山(チョン・ナンシャン)氏に、コロナウイルスの大流行について調査している衛生健康委員会を率いるよう要請せざるをえませんでした。

鍾南山(チョン・ナンシャン)氏
当時中国では、中国ウイルスに対する勝利を宣言しようと躍起になっていました。地方政府は症例をできる限りゼロに近づけ、退院した患者数を増やすよう大きな圧力をかけられていました。

調査報道メディア「南方週末」の2月6日の報道によると、患者が新型コロナウイルスに感染したかどうかを判断するうえで広く使用されているPCR検査で、偽陽性になる例がありました。杭州の病院で、7回の試験後にようやく陽性と判明した患者がいたというのです。

病院において「感染源ではない」と判断された患者が外を歩き回り、他人をリスクにさらしている可能性もあります。今回のウイルスで最も胸が痛む特徴のひとつは、家族間での感染が見られるという点でした。

北京の中央政府が事態解決に乗り出してから、途方もない仕事をやってのけました。それぞれが1,000床以上もある2つの病院が、わずか1週間で建設されたのです。さらに人口が5,850万人の湖北省を封鎖し、経済の中心地のひとつを切り離しました。低賃金労働者の多くはいまだに家族と過ごしており、ほかの街での仕事に戻れないでいます。

その後中国が全力を尽くしたことに疑いの余地はないでしょう。しかし、もし春節の行事の前の段階で、人々が新型コロナウイルスを家族や恋人のもとに持ち帰る前に周知されていれば、どうだったでしょうか。

いま中国の徹底的な対応を称賛している人々は、初期の決定的な遅れが死者や感染をもたらしたことを忘れるべきではないです。こんなはずではなかったのです。そうして、これは中国国内のみならず、他国でもそうなのです。

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2020年3月1日日曜日

コロナウイルスの情報洪水に飲み込まれないために―【私の論評】過度に神経質にならず楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベスト(゚д゚)!

コロナウイルスの情報洪水に飲み込まれないために

大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授)

大野智氏
ヘルス・リテラシーという言葉を聞いたことがあるだろうか。

 リテラシーはメディアリテラシーのような形で使われ、通常は「読み解く力」と訳されることが多い。ヘルス・リテラシーは、「人間の健康や安全、人命に関わる情報を読み解く力」とでも訳せばいいだろうか。どんな分野でもメディアや誤情報に乗せられないためにリテラシーを鍛えることは大事だが、とりわけヘルス・リテラシーはこれが低いと容易にパニックが起きたり、誤った治療法や薬によって健康を害したりするなど影響が命に関わる場合が多いので、リテラシーの中でも最重要なものとなる。

 マル激では9年前の原発事故で科学の市民化と市民の科学化の両方が不足していることを痛感し、その視点から諸問題にアプローチしてきた。そして、巷がコロナウイルス情報で溢れかえる今、われわれはあらためて市民の科学化が問われる局面を迎えているのではないだろうか。

 つい3日前までは大規模な集会などは避けるように言われていた程度だったところが、27日になって突如として首相が全国の小中学校、高校の休校を要請するにいたり、コロナウイルス問題が未曾有のパンデミックにでもなったかのような空気が漂い始めている。

 たしかに既存の季節性インフルエンザ並の強い感染力を持ち、罹患した高齢者や糖尿病や高血圧など既往症のある患者には一定の死亡者が出るなど、恐ろしい感染症ではある。しかし、ここまでわかっているだけでも、新型コロナウイルス(COVID-19)は感染力、致死性ともに、既存のインフルエンザと大差はない。

 実際、日本でコロナウイルスの感染が始まった昨年12月末から2月までの約2ヶ月の間、既存の季節性インフルエンザの罹患者は1,000人を優に超えている。昨年1月のインフルエンザの罹患者は約90万人で、死亡者も1,600人を超えていた。コロナウイルスによる日本での感染者は今のところ234人(2月28日現在)、死亡者はダイヤモンド・プリンセス号の乗船者を除くと5人(同上)だ。今年はうがいや手洗いの徹底などのおかげで季節性インフルエンザの罹患者数が例年の半分程度に抑えられているが、それでもその間、80万人あまり(12月~2月末)が季節性インフルエンザに罹患し、最終的な死亡者数は約1,000人は超えるだろう。繰り返すが同時期の罹患者が80万人あまりと200人あまり、死亡者数が1,000人と5人(それぞれクルーズ船乗船者を除く)だ。

 無論、新型コロナウイルスにはまだ未知の部分もあり、単純に季節性インフルエンザと比較はできない。しかしながら、既に日本でも罹患後回復している人が33人もいるし、罹患者の大半はほとんど症状が出ないことも指摘されている。今のところ死亡者は高齢者と既往症のある患者に限られる。

 その一方で、これが世界的に広がれば、既存のインフルエンザと同様、多くの人の命を脅かす危険性はある。特に発展途上国のような医療体制が完備されていない地域では、インフルエンザが直ちに命の危険につながる。だからこそWHOなどではこの問題を非常に深刻に受け止めているのであり、日本のような医療の行き届いた先進国でこれが直ちに生命に関わるほどの深刻な問題になるとは考えられていない。

 ところがここ数日の日本の反応はどうだろう。

 島根大学医学部附属病院の教授でヘルス・リテラシーに詳しい大野智氏は、一般の市民にとって、今回は「新型コロナウイルス」という呼称が恐怖を助長した面があったと指摘する。なんといっても「新型」なので未知の部分が多く、またコロナウイルスという名前も、必ずしもわれわれの多くにとって馴染みがあるものではなかった。実際、一般的な風邪の1.5~2割程度はコロナウイルスが原因だし(4種類)、過去のSARSとMERSもそれぞれ別のコロナウイルスによるものだった。現在猛威を奮っているコロナウイルス(COVID-19)が、人類にとっては7つ目のコロナウイルスということになる。

 未知の物に対しては、誰も怖れを持つのは当然だ。しかし、とは言え今回のコロナウイルスは感染力としては既存の季節性インフルエンザ並かそれ以下であり、致死性ではSARSやMERSを遙かに下回ることが既にわかっている。また、各都道府県の医師会などがガイドラインを出しているが、手洗いやうがいなど既存のインフルエンザ対策が有効であることもわかっている。咳やくしゃみが出る人は、コロナであろうが何であろうがマスクをすべきだし、熱が出たり具合が悪い人は仕事や学校に行かずに家で安静にしているべきだ。インフルエンザが流行っている時期はあまり人混みには行かない方がいいだろうし、風邪気味だったり、糖尿などの既往症がある人、妊婦、高齢者もその時期は人が多く集まるところは避けた方がいい。

 何だかあまりにも当たり前のことを列挙してしまったが、結局、コロナであろうが季節性インフルであろうが、あるいは通常風邪であろうが(かぜの2割前後はコロナウイルスが原因だが)、こういう常識的なことをやっていればある程度の蔓延は防げる。逆に言えば、どんなに沢山の情報を集めても、市民一人ひとりができることは、その程度のことしかないのだ。

 一方で、政治や政府には、また別の心配事がある。今回PCR検査が進まないことで、日本が感染症に対する備えを怠ってきた実態が露呈してしまったが、もし大量感染が起こり、感染者、とりわけ重篤な症状を呈する患者が現在の日本の医療のキャパシティを超えてしまえば、いわゆる医療崩壊が起きる。その「崩壊レベル」が思った以上に低ければ、医療体制の整備を怠ってきた政治の不作為が露呈することになり、その責任が問われることになる。

 そこで政府は大量感染を起こさない、あるいは起きたとしても、発現のタイミングをできるだけ遅らせることで、医療体制の拡充を進め、「崩壊レベル」をあげることに時間を稼ぐ必要が出てきた。

 また、IOCの理事の一人が、5月末までに収束しなければ東京五輪は中止もあり得ると発言したことも、明らかに政府を焦らせ、今回のやや唐突とも思える措置の遠因となっているように見える。万が一五輪が中止になどなろうものなら、政府の責任が問われることは必至だからだ。

 このように政治は政治で、いろいろ心配しなければならない問題がある。しかし、それはわれわれ市民の問題ではない。そうした政治的な動きや、それに乗っかり、悪戯に危機を煽ることで数字を稼ごうとするメディアによる情報洪水に巻き込まれると、実際は国産シェアが97%もあり品不足になる理由がまったくないはずのトイレットペーパーが品薄になるような、いつもの馬鹿げたパニックが起きてしまう。

 今まさに市民のヘルス・リテラシーが問われている。情報洪水の中から、自分にとって意味のある情報だけを拾い上げる作業は骨の折れる作業かもしれないが、それをせずに真偽不明の怪しい情報に踊らされることのコストの方が実際には遙かに大きいはずだ。今こそリテラシーを発揮して、これまで何度も政府やメディアに踊らされてきた苦い経験を活かそうではないか。

 今週のマル激では大野智・島根大学教授と、情報洪水の中で誤情報に踊らされパニックしないための方策をジャーナリスト神保哲生、社会学者宮台真司が議論した。

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大野 智(おおの さとし)
島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授
1971年静岡県生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。博士(医学)。同年同大学第二外科(消化器外科)入局。2018年より現職。共著に『「がんに効く」民間療法のホント・ウソ―補完代替医療を検証する』など。
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【私の論評】過度に神経質にならずに楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベスト(゚д゚)!

昨日の記事にも書きましたが、私自身はここ20年ほどは風邪やインフルエンザになったことはありません。無論、鼻水が出たとか、咳が出る程度のことはありますが、熱が出るとか、体調不良などの症状は出たことはありません。ましてや、風邪、インフルで会社を休んだなどのこともありません。

このような話をすると、「なぜ」と多くの人に聞かれるのですが、冬季間はいつもマスクをしていること、手洗い、うがいを励行したくらいのことしかありません。もう一つは、加湿機能付き空気清浄機を特に冬季間には使っているということもあるかもしれません。

マスクに関しては、以前から特に冬は寒いので、寒さ対策のためにマスクをしていました。実際、マスクを着用しただけで、一枚余分に衣服をつけたような感覚で、特に風邪、インフル防止という意識はありません。

マスクでは感染症を防ぐことはできないという専門家もいますが、多くの専門家はきっぱりと否定しているわけではありません。

「Face touching: a frequent habit that has implications for hand hygiene.」(PMID: 25637115)によれば、平均して一時間に23回も、人は自分の顔に触れていることがわかりました。

ウイルスの多くが病気を引き起こす経路は飛沫感染であり、接触感染です。この論文の結果から、マスクをすればウイルスが手指についても口や鼻の粘膜からの感染を防げる可能性があるといえます。


ただし、マスクがないからといって、パニックになって街中を探し歩いたりすれば、感染する率は高くなります。マスクがないならその分、手洗いやうがいの頻度を増すなどのことで充分対応できると思います。それに専門家の中には、マスクはどちらかというと、感染舌人が他にうつさないためのものと捉えている人もいます。

湿度に関しては、私は比較的敏感なほうで、40%以下になれば、必ず加湿します。加湿機能付空気清浄機は、自宅では2台使っています。それに、もう一つ、あまり湿度の下がらない部屋には、空気清浄機を一台設置しています。これも、あまりインフルエンザや風邪を意識して用いているわけではありません。

これ以外には、特に食べ物に気をつけたとか、サプリなどを意識して飲んだということもありません。運動もとくに他の人よりも多くしているなどということもありません。また、人混みを避けることにに関しては、普通の人と同程度だと思います。

こうしてみると、冒頭の記事にもあるとおり「結局、コロナであろうが季節性インフルであろうが、あるいは通常風邪であろうが(かぜの2割前後はコロナウイルスが原因だが)、こういう常識的なことをやっていればある程度の蔓延は防げる。逆に言えば、どんなに沢山の情報を集めても、市民一人ひとりができることは、その程度のことしかないのだ」ということなのだと思います。

そうして、上にはそれを裏付けるような事実を列挙されていますが、さらにわかり易い事例もあります。新型ウイルス対処により、日本では通常インフルエンザ感染者が昨年よりも400万人も減少しているという事実があるのです。以下にこの記事のリンクを掲載します。
インフルエンザ昨年比400万人減 新型ウイルス対策と暖冬の効果か

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜインフルエンザが400万人もへったかといえば、

新型コロナウイルス騒ぎで以下のことをする人が増えたからです

・まともに手洗いする人
・咳エチケットが浸透

過去には、インフルエンザ対策はまるで放置だった人たちがまともに手洗い、マスクなどで咳エチケットをするようになったからでしょう。

もし新型ウイルス騒動がなければ暖冬とはいえ何十万人〜何百万人もの人たちがインフルエンザにかかって高熱だしたりしていたはずです。

新型コロナウイルスの騒ぎは行き過ぎの感もありますが、それに伴い400万人もインフルエンザ感染者が減ったということはすごいことです。通常のインフルエンザは今シーズンは400万人も減ったとはいえ、695万人が感染しているのです。

例年であれば、1000万人程度が感染しインフルエンザによる直接間接が原因で年間1万人が死亡しているのです。
出所:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html

1000万人が感染し1万人が死んでいる通常のインフルエンザが毎年起きていても2週間も全国一斉休校にならないしイベントも中止にならないですし、時差通勤も在宅勤務もないしライブが中止になることはないです。

一方現時点で新型コロナウイルスは国内感染者230名で死亡は5名。
*河野太郎氏がツイッターで詳細を逐次報告
https://twitter.com/konotarogomame/status/1233727963666894848


検査体制が十分とはいえないところもあるので、感染者はさらにいるのかもしれませんが、それにしても230名です。通常のインフルエンザは695万人です。通常は、インフルエンザで毎年1万人がなくなっているのに現時点で新型コロナウイルスでは5名です。

もちろんこの先新型ウイルスが猛威をふるい多くの感染者や死者数がこれから出るかもしれないですが通常のインフルエンザ感染者1000万人で死亡1万人にまでなったとしても通常のインフルエンザ程度ということです。

通常のインフルエンザで1000万人もの感染者がいて1万人もの人が死んでも何の自粛もされず国民の多くは無関心で、手洗いもろくにしてこなかったということです。

ただし、過度に楽観的になるべきでもないと思います。通常のインフルエンザは素性がわかっているし、治療法も確立しています。それでも亡くなる人はいるわけですが、それにしても未知のウイルスへの対処法は慎重にしなければなりません。

ウイルスなどによる感染症は常に新たなタイプが出現します。今後どのような新たなタイプが出現するのかは定かではありません。現状では、新型コロナウイルスが過去に生じた新型ウイルスと比べてどの程度危険かも分かっていません。

重要なのは、一つの事実からでも異なる判断を引き出せる点を自覚することでしょう。今後、感染が増えていくのはほぼ確実です。その中で、専門家は厚生労働省や世界保健機関(WHO)などの信頼できる情報を収集し、できることを見極めていくべきです。一般の人もできること、するべきことを考えると、現状では手洗いなどが重要であり、ある意味それで充分ともいえます。というより、一般の人は、それ以外にできません。

現状は過度に神経質にならずに、過度に楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベストであると考えます。ただし、この当たり前のことが、結構難しかったり、難しいときもあります。

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