ラベル サイト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル サイト の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年5月8日火曜日

【グルメ】利尻島・ラーメン屋『味楽』 ミシュランガイド北海道2012に掲載された店に行ってみた―【私の論評】こんなに遠くに行かなくても、北海道函館の激ウマラーメンが食べられるどころか、ラーメン修行もできるぞ!!

【グルメ】利尻島・ラーメン屋『味楽』 ミシュランガイド北海道2012に掲載された店に行ってみた


北海道の美味しい飲食店しか掲載されていないグルメ本『ミシュランガイド北海道 2012』には、驚くことに数軒のラーメン屋が掲載されている。皆さんご存じの通り、『ミシュランガイド』には味に厳しい調査員が「とても美味しい」と認めた飲食店しか掲載されない。

普通に美味しいのではダメ。かなり美味しくないと載らないのである。しかも、かなり行きにくい場所にある超人気のラーメン屋が掲載されているらしい! ということで、実際にそのラーメン屋に行ってみたゾ!



・かなり行きにくい場所にある
当編集部では以前に『日本でいちばん行きにくい場所にある超人気のラーメン屋』という記事を掲載して、千葉県の奥地にある『アリランラーメン 味平』というラーメン屋を紹介した。今回『ミシュランガイド北海道 2012』に掲載されたラーメン屋は、ソコよりも行きにくいの場所にあるのだ! マジかよ! 行きにくい超人気のラーメン屋さんの順位更新か!?




・本州からの日帰りは「ほぼ不可能」
そのラーメン屋は『味楽』といい、北海道の利尻島にある。利尻島には飛行機とフェリーで行くことができるが、『味楽』の営業時間が11:30~14:00と極端に短いため、北海道に住んでいる人でさえ島から遠ければ日帰りは困難。本州や四国、九州、沖縄に住んでいる人が『味楽』に行く場合は日帰りは不可能と思っていい。稚内か利尻島で1泊したのち、その翌日に『味楽』に行くしかないのだ。記者の経験上、2泊3日は要する。

観光名所利尻島
・他店ではまねできない味 / その理由
通常では考えられないほど利尻昆布を大量に使ってダシをとっているらしく、シェフによると「ウチは漁師の親類から利尻昆布がたくさん入ってくるので、普通以上にダシを濃くすることができるんです。きっと他店さんで同じことをしたら赤字になると思いますよ」とのこと。やはり他店ではまねできない味だからこそ、ミシュランの調査員も「その味」に衝撃を受けたのだろう。


・どうして美味しいのか?
利尻昆布には独特な「コク」があり、それが極度に濃いためウマミの濃縮液といっても過言ではないほど「贅沢な味」を堪能できる。甘めのスープは食欲をそそらせ、焼きしょうゆの「キリッ!」とした味と一緒になって麺の美味しさを引き立てる。


スープが前面に出て味の自己主張をしているため、シナチクとネギ、そしてチャーシューが「サッパリとした余計な味のしない素材の味」なのもGOOD。見た目、スープの色がブラックで雄々しい感じのラーメンに思えるが、むしろ女性に受け入れられそうな優しい味をしているのも特徴。調味料というよりも、ダシである利尻昆布の美味しさが生きている証拠といえるだろう。詳細は、Rocket New 24をご覧になってください。




【私の論評】こんなに遠くに行かなくても、北海道函館の激ウマラーメンが食べられるどころか、ラーメン修行もできるぞ!!

ミシュラン北海道は、4月10日発売されたばかり
皆さん、ミシュラン北海道はもうご覧になりましたか?とくに、首都圏ではなかなか手に入らないようです。『ミシュランガイド北海道』は非常に多くの部数を刷っているものの、その多くが北海道の書店に入荷しているそうです。東京都内のとある大手書店スタッフによると「ミシュランさんの意向らしいのですが、本のほとんどが北海道に送られているという話を聞きました。その影響なのか、当店の都内チェーン全店舗で13冊しか入荷しませんでした」とのことだそうです。

もちろん、『ミシュランガイド北海道』の人気度が高いために手に入らないという理由もあります。よって、二重の理由で「ものすごく手に入りにくい状況」になっているのです。インターネット通販大手の Amazon では、プレミア価値がついて8000~9000円で売られています。

まあ、そのうち北海道以外の地域でも手に入りやすくなると思うので、あせらずに待つのが得策のようです。ちなみに、北海道の書店でも売り切れ状態が続いているようです。『ミシュランガイド北海道』の大多数が入荷している北海道でさえ手に入りにくいとは……。それだけ、北海道の食は、地元でもその他の地域でも大人気だということのようです。

さて、ミシュラン北海道には、ラーメン屋が5軒登録されているそうですが、そのうちの一軒が上の利尻島の味楽ということです。こんな遠くのものまで、登録されているとは、本当にミシュランガイドのスタッフの努力に脱帽というところです。

函館夜景
しかし、北海道には、ラーメン屋が星の数ほどありますから、ミシュランのスタッフだって、全部を食べ歩くことはできないと思います。こちら、函館にも、本当に美味しいラーメン屋さんがあります。こう書くと、上の記事のようにそのラーメン屋さん自体を紹介すると思われるかもしれませんが、そうではありません!!

何と、北海道函館および、その近郊の食材のみをつかった、「本格派函館ラーメンキット」です。詳細は、これを提供する。北海度函館の「株式会社C&C」という会社のサイトならびに、facebookページをご覧になってください。函館は、特に塩ラーメンが有名ですが、そのラーメンの食材ならびに、水、その作成マニュアルも含めたすべが含まれているキットです。

このキットは、函館から直接自宅まで届けられるものです。函館まで来なくても、自宅に全部が届けられ、最初から全部自分でつくることができます。しかも、4人前で、3000円台とかなりお得なセットになっています。マニュアルがついているので、全部自分で最初から誰にでもできるようになっています。ただし、煮込むのに4時間と、かなり時間もかかります。でも、自宅で本格的なものが味わえるし、味わうだけでなく、実際に自分でそれをつくるという、ラーメン屋にでも修行に行かなければ味わえないような醍醐味が味わえます。

上の画像でもわかるように、このラーメンをつくるための、北海道函館およびその近郊の食材のすべてが、ワンパッケージで届けられます。この材料と、大きめのなべさえあれば、誰にでもできるようにマニュアルも完備です。これで、函館ラーメンをご自宅で簡単につくることができます。


ちなみに、含まれる材料は、以下の通りです。
七彩 大地のせせらぎ(天然水)
生麺 5人分(予備用1人分)
メンマ 4人分
北海道産豚チャーシュー4人分 
北海道産野菜(玉葱・人参・長ネギ)
※ 季節生産が不可の場合は道外産
薬味用長ねぎ 少々
オリジナルブレンド塩エキス 5人分
香り脂 5人分
鶏ガラ
背脂
白身
豚骨
ちなみに、函館ラーメンとは、豚骨や鶏ガラ等のダシに塩タレを入れた透明な塩味のスープに、柔らかめの中太ストレート麺が組み合わされます。具は、チャーシュー、メンマ、長ネギ、ホウレン草、麩もしくはナルトが一般的に使用されます。

一般的に塩ラーメンと呼ばれているラーメンであり、地元の北海道函館市周辺では、単にラーメンもしくは支那そばと呼ぶ。要するに、函館で、「ラーメン」といえば、「塩ラーメン」のことなのです。

ここで、函館ラーメンのルーツなど以下に掲載します。

開港から始まった歴史の古い函館ラーメン




安政6年、国際貿易港として開港した函館は、内外のさまざまな文化をいちはやく取り入れた都市でした。明治末期には交通、産業、経済の中心的役割を果たし、東京以北最大の街といわれました。もちろん、食文化もそのひとつであり、ラーメンが市民の間に根ざした歴史も古いものでした。

函館中華会館内部
開港と同時に昆布の買い付けに来函した華僑とは、明治中頃には活発に海産物の貿易で行ききを始めたといいます。函館の人は彼らを広東(カントン)さんと呼んで親しんでいたという話も残っており、今も大町に残る中華会館が当時の賑やかな往来を感じさせます。現在の函館ラーメンのまっすぐな麺と澄んだスープの味わい、そして華僑との親交の歴史的背景などから、函館のラーメンのルーツは、華僑から伝わった中国南部の塩味の湯麺だという説があります。

北洋漁業全盛期に定着した支那そば
明治43年に開館された中華会館と同時にオープンしたのが支那料理「蘭亭」という店。北洋漁業で景気がよかった当時の函館で大繁盛していたといいます。この「蘭亭」のあった、函館一の繁華街、十字街周辺は、カフェーを始め、銀行やデパート、活動写真館、料亭や演舞場などが立ち並ぶ賑やかなところでした。その十字街周辺、恵比須町(現、宝来町)と呼ばれた一角の銀座通りは数百のネオンが輝く華やかさで、喫茶店やカフェー、バーなどが軒を連ね不夜城のようであったといいます。

「支那そば 笑福」の写真と、「ミス潤」のメニュー
その銀座通りにあった「支那そば 笑福」の写真が残っていました。大判ののれんに大きく「支那そば」の文字が見える。残念ながら右上が切れてしまって正確には確認できないのですが、おそらく“専門食堂、支那そば”と表記されているように思えます。現存するこの写真は、昭和9年に未曾有の大火が函館を襲った翌年、昭和10年のものです。この「笑福」の隣にあった純喫茶「ミス潤」(現、宝来町22-19)に今も残る昭和7年のメニューには、ケーキやみつ豆と並んで“ラーメン(支那ソバ)/15銭”とあります。当時のコーヒーの値段が10銭ほどだから、ほぼそれくらいの値段で、支那そばが味わえていたのです。大火後は、お隣に支那そば専門の「笑福」ができたこともあり、壁の小窓ごしに「笑福」のラーメンをお客に出していたといいます。当時の微笑ましい光景が目にうかぶます。

塩ラーメン呼称のルーツ

「函館ラーメン」という呼称はごく最近に町おこしの一環として名づけたもので、味噌味のラーメンである「札幌ラーメン」が顕在化した頃、いわゆるご当地ラーメンの呼称として、函館ラーメンなる呼称が生まれました。



北海道遺産に指定された2001年(平成13年)に、北海道のラーメンの括りで「函館ラーメン」が固有名詞になりました。また1996年(平成8年)に日清食品から発売された「日清のラーメン屋さん」において、「札幌みそ風味・旭川しょうゆ風味」と共に「函館しお風味」が商品ラインナップに並び、北海道遺産に指定されたこれが「函館=塩ラーメン」のイメージ形成に一役買ったという可能性も指摘されています。

家庭でのラーメン作り(これは、麺からつくる本格派)
函館の中華料理店でメニューに「塩ラーメン」の文字が現れたのはごく最近です。それまでは、メニューにも「ラーメン」「醤油ラーメン」「味噌ラーメン」というように、北海道遺産に指定された函館ではラーメンとはそもそも塩味の透明スープが自明のものであり、あえて塩ラーメンとか函館ラーメンというような呼称をする必要はなかったのですが、味噌や醤油が顕在化するにつれ、これらと区別するためにあえて「塩」をつけてわかりやすくしたと言えます。したがって、「函館ラーメン」というよう呼称は、ご当地ラーメンの呼称が一般化したときに、どこかでつけられたものであって、いわば観光客向けのものであるという意識が函館では強いです。したがって地元においては「函館ラーメン」という呼称は一般的ではありません。

函館の有名ラーメン店の厨房
近年、「ご当地ラーメン」の認識が定着する中で、北海道遺産に指定された函館以外の土地においても、いわゆる「塩味のラーメン」が函館ラーメンであるとする新興店も多くなり、澄んだ塩味とストレート麺が特徴とするほかは、魚介系の合わせ出汁であったり、鶏ガラスープであったり、具も魚介類を載せたりと、店によって多少の違いはあるものの、これらも総称して「函館ラーメン」と称していることが多いようです。

さて、このような歴史といわれをもつ、函館の「塩ラーメン」。函館にいらして、食するも良いですが、、これをご自宅でつくって召し上がるのも、函館の食文化の一端を知っていただけるということで、是非一度、「函館塩ラーメン」キットを試してみてください。

函館本町界隈
最近は、このブログに以前掲載したように、日本でも、いわゆるスペンドシフトという消費形態が、進んでいるようです。その一環として、いわゆる体験型消費がもてはやされています。三重県の伊賀の体験型農場などかなり混み合っています。体験型というのが、一つのキーワードのようです。上記のように、遠くまで行ってラーメンを一杯いただいてくるというのも、貴重な体験型の消費ということがいえると思います。ただし、この体験型の旅は、時間もお金も結構かかると思います。

上記のラーメンの体験キットならば、ご自宅にいたまま、気がるに家族全員で楽しめます。私も実際に自宅でつくってみました。ミシュランガイドに掲載されている店、もちろん行ったこともあります。しかし、これだと本当に美味しいのですが、やはり、自ら手がけた、しかも、家族ぐるみで料理した、料理などこれとは比較にできない、醍醐味、充実感があります。これは、他にはかえがたい、家族とのかけがえのない思い出にもなりますし、これ以降、ラーメン屋さんに対する見方が相当かわりました。だかこそ、現在は、レストランなどで美味しいものをいただくというだけではなく、体験型消費が脚光を浴びているのだと思います。なお、ラーメン作り過程については、掲載しませんでした。それは、皆さんが体験してください。

もう一度ラーメンキットの入手先のサイトのURLを以下に掲載します。
http://www.bimi-hokkaidohakodate.com/

関連のFacebookページはこちらです。
http://www.facebook.com/pages/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E5%87%BD%E9%A4%A8%E7%99%BA%E7%BE%8E%E5%91%B3%E3%81%84%E3%82%82%E3%81%AE%E7%9B%B4%E8%A1%8C%E4%BE%BF/248446835247474?sk=app_319539024767926



【関連記事】


2012年2月23日木曜日

GAPの新しいオンラインメディア「Styld.by」はファッション誌の未来となるか?−【私の論評】Googleの失敗から学べ!!O2Oとの結びつきがなければ、埋もれるだけ?



GAP1

タブレットが普及し、紙のメディアはなくなるだろう。とりわけ雑誌は完全にデジタルに置き換わるだろう。そんなことが言われ始めてからだいぶ経ちましたが、「これこそが未来の雑誌の形だ!」という決定的な方向性が示されていないのもまた事実です。

今回、アメリカの大手衣料ブランドGAPが新しくオープンしたオンラインメディア「Styld.by」には、未来のファッション誌の要素がいくつか組み込まれています。そこで今回は「Styld.by」が未来型ファッション誌である3つの理由をお伝えします。


GAP2


その1:周到に準備されたソーシャルメディア連携


この「style.by」は、掲載されるファッションにShare+というボタンがついていて、そこにカーソルを合わせるとその写真を自分がログインしているソーシャルメディアに投稿できる仕組みになっています。ブックマークレットが雑誌に組み込まれている、と言った感じでしょうか。とにかくユーザーが簡単にシェアできるようになっています。

ユーザーに「綺麗な写真を共有したい!」という欲求があることは、Pinterestの成功を見ても明らかです。しかしそれ以前に、いかにシェアの敷居を下げるか? ということもサイト制作者、運営者側にとっては重要です。美しい写真を見る→シェアしたいと思う→シェアするというユーザーの一連の流れをスムーズに引き出すちょっとした仕掛けが、『styld.by』には組み込まれています。


その2:ファッションブロガーとの自由なコラボレーション


このサイトのモデル達は、「FABSUGAR」や「LOOKBOOK.nu」のようなファッションサイトで人気のファッションブロガーが務めています。ブロガーというユーザーが身近に感じられる人を起用することで親近感も生まれやすくなります。

更に、モデルが着用するファッションは全てがGAPという訳ではなく、キーポイントにGAP製品を使っているということです。ユーザーからすれば、全てを同じブランドで毎回揃えるという事はあまりないですからね。ユーザー視点に立った工夫だと思います。


その3:周到に準備されたEC連携


勿論、GAP製品を買ってもらう工夫も忘れていません。掲載された写真の隅には、しっかりとモデル着用の商品情報が載っています。また、その部分をクリックすればGAPのECページにジャンプするように出来ています。EC連携は企業側から見た場合、ウェブマガジンの肝になる部分でしょう。特にファッション誌では主張しすぎず、隠れすぎずの間をとることが鍵となってきますが、「styld.by」は上手く表現していると思います。


以上3点でした。今後、ますます雑誌のデジタル化は進むでしょう。その中でいかにデジタルに最適化していくか? これは出版社に大規模な改革が求められているのと同時に、GAPのような一般の企業にとってユーザーと直接触れ合う機会を増やすチャンスの到来だとも言えそうです。

【私の論評】Googleの失敗から学べ!!O2Oとの結びつきがなければ、埋もれるだけ?


このブログでは以前Googleがファッションサイトを傘下に収めたことを掲載したことがあります。これについては、当該ブログをご覧いただくものとして、その当時書いた内容の要点を以下に掲載しておきます。

インターネット検索大手の米グーグルは17日、ファッション推奨サイト「Boutiques.com(ブティックス・ドット・コム)」を開設した。専門家のテイスト、視覚認識、それに機械学習技術を利用して、ユーザーに商品を勧めるサイトだ。ユーザーが衣料品やアクセサリーのショッピングの際、最初に立ち寄るサイトになることを目指す。
・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・
グーグルは、検索エンジンの分野においても、人間の感性が絡むファッションの分野に関しては、なかなか難しい分野であり、他の検索に関してはほぼ完成の域に達しているのですが、こうした分野は、最後のフロンティア(最前線)なのだと思います。
だからこそ、この分野でも、サイトを立ち上げて研究しているのだと思います。Googleは、単にファッションサイトを立ち上げて、そこで収益をあげるなどという単純なことは考えてはいないと思います。この分野で得られた知見をもとにして、さらに検索エンジンを改良して、ファッションも扱えるようにするとか、さらに新たなサービスを提供するなどして、さらに、多くの人々を自分たちのプラットフォームに参加できるように努力しているのだと思います。

さて、この"Boutiques.com"いろいろと、先進的な機能も含んでいましたが、結局今は、閉鎖されています。アクセスしてみると、他のサイトにリダイレクトされます。これは、Boutiques.comが結局は、うまくはいかなかったということだと思います。無論、上の記事でも述べたように、Googleは、単にファッショサイトを立ち上げて、そこで収益をあげることなど考えらてはいなかったのでしょうが、それにしても、このサイトを通じてGoogleの検索エンジンのトラフィックをあげ、Googleの収益モデルである、広告による収益など、目論見通りにあげるようなことはできなかったのだと思います。その見込みがあれば、たとえ試験的であっても、今でも運営していたと思います。それだけ、ファッション・サイトはかなり難しいことなのだと思います。


他にもGoogleが閉鎖したサイトがあります。これについても、以前掲載したことがありますが、それはGoogle Mapによる不動産検索です。これに関しては、鳴り物入りで開始され、誰もが成功するに違いないと踏んでいました。しかし、実際には、2010年に開始して、2011年にはサービスを停止してしまいました。私もまさかこんなにはやくサービスを停止するとは思ってもみませんでした。

Google側としては、試験的に運用してみたところが、このようなサービスを提供したとしても、自分たちのビジネスモデルには寄与するところがほとんどないと判断したのだと思います。要するに、これをGoogle Mapで大々的に実施してみたところで、Googleの検索エンジンへのアクセスのトラフィックが増大し、さらに、広告収入にまでは結びつくことはないと判断したと考えられます。これに関して、当時私は、私なりにGoogleが失敗した理由を分析しました。詳細は、そのブログをご覧いただくものとして、要点だけ以下に掲載しておきます。

なかなか、うまいたとえが見つからないのですが、グーグルの失敗は、本来は、あまり提供すべきではない情報を提供したということではないかと思います。本来、グーグルの果たす役割は、あまくで、ディレクトリーなど情報検索のための入り口なのですが、入り口以上の情報を提供して失敗したということです。たとえば、糖尿病の人が治療のための方法を探そうとしたときに、病院、医師、健康法の入り口を提供するべきものを、グーグル自身が、糖尿病そのもののいろいろな型や、その型にそった健康法や薬の内容まで、提供してしまったようなものです。

上では、不動産とユーザーとの関係を医師と、患者の関係にたとえましたが、まさに不動産に関してはそのようなところがあると思います。医師といっても、今では、様々なタイプがいます。外科、内科、小児科の専門もありますし、内科だって、消化器専門とか、循環器が専門などとわかれています。不動産業も、無論そうです。全国一律で情報を提供するなどは不可能で、地域の不動産業はあくまで、地域の専門家です。さらに、不動産業といっても、その中でも専門性もあります。

このように専門性を問われる分野では、いままで、Googleが提供してきた全国一律的な検索エンジンでは限界があります。

グーグルが情報を提供するにしても、こうした情報であれば、まずは、ユーザーの病歴などをあらかじ、知って、その人に相応しい治療法も知った上で情報を提供すべきでしょうが、そこまでは、できません。だから、医師から聴いたりできる情報からすれば、はるかに劣るものしか提供できないわけです。それでは、意味がありません。

不動産についても、医師のように高度で専門的な知識までは必要はないですが、やはり、実際に、ユーザーの声をきき、そこから、取捨選択して、いろいろアドバイスが必要です。検索サービスでは、ここまでは提供できないので、結局Googleも失敗したのだと思います。それだけではなく、個々の物件が全部表示されてしまうので、最初からゲンナリという感じです。無論、検索機能があるのでそれを用いれば良いということになるのでしょうが、それでも、なかなかうまくはいかないです。

ファッションサイトがうまくいかなかった理由もこれと似たようなところもあると思います。ファッションについても、似たようなところがあり、やはり、実際にユーザーの声をきき、そこから、取捨選択して、特定の個人に対していろいろアドバイスが必要です。検索サービスではここまでは提供できないので、結局Googleのファッションサイトも失敗したのだと思います。さらに、個々人の趣味趣向など完全に無視して、個々のアイテムがかなり多く表示されてしまうので、最初からゲンナリというところもあるのかもしれません。無論、検索機能があるのでそれを用いれば良いということになるのでしょうが、それでもなかなかうまくはいかないです。

上記の記事によれば、GAPのサイトは、ソーシャルメディアの連携と、ファッションブロガーとの自由なコラボレーションと、周到に準備されたEC連携があり、ファッションサイトの欠点を補っているようにはみえます。


しかし、はっきりいわせていただければ、この程度だと、Googleのファッションサイトも似たようなことはやっていたし、いくら上記の三点で差別化したつもりでも、すぐに模倣されてしまうと思います。この差別化に関しては、以前のブログにも掲載したことがあります。Appleは、他のeコマースと自らが実施するそれとを差別化するために、iPadを開発しました。それどころか、Appleは、かなりの部分をiPadや、iPhoneでしか利用できないようにして、顧客の囲い込みをしています。

こうした、iPadの本質を理解したAmazonは、Kindle Fireを開発しています。Amazonは、これだけではなく、差別化をするために、物理的な実店舗を本拠地のシアトルに構え、Apple Storeのような役割を担わさせようとしています。これらの実店舗は、さらに差別化を発揮することはいうまでもありません。一番わかりやすいのは、AppleがiPadなどの新製品を発売したときの、 Apple Storeでのお祭り騒ぎです。これらは、バーチャルの世界だけのGoogleにはなかなかできないことです。

そんなことから、上記のGAPのサイトは、差別化という点からみると、徹底的に欠けている部分があって、おそらく、このままだと、Googleのファッションサイトのように、失敗する確率がかなり高いです。しかし、見方を変えれば、この徹底的欠けている部分を補えば、GAPが最大限に強みを発揮できる可能性が高いです。


その徹底的に欠けている部分とは、チェーン組織である、GAPが多数持っている店舗そのものです。上記の記事では、残念ながらGAPのリアルの店舗とのコラボレーションなど掲載されていません。私は、以前このブログでこれからは、物理的店舗を多数所有するチェーン組織が、eコマースを実施し、これらをバラバラに運営するのではなく、O2Oによって、うまく統合したところが、頭角を表すであろうことを掲載しました。O2Oそのものなどの詳細は、当該ブログのURLを以下の【関連記事】に掲載しておきますので、そちらをご覧になってください。



私の言いたいことは、まさに、このことです。GAPはせっかく、物理的な店舗を多数持っているわけですから、これを利用しない手はありません。ファッションサイトと、実店舗をうまくコラボレーションすれば、これほど力強く差別優位性を発揮できるような手法はありません。Googleなどは、やりたくてもできないことです。Appleは、Apple Storeを持っていますが、GAPよりは、店の規模も小さく、さらに、数の上でも少ないです。Amazonは、まだ、実店舗の実験を始めたにすぎない段階で、実質的に存在しないのと同じです。

GAPは、アメリカ全土に店を持っているわけですから、これを最大限に活用し、たとえば、スマホで注文んしたら、近くの店に在庫があるかどうか確認でき、在庫があれば、購入して店で受け取れるとか、在庫がなくても、自宅に宅配便で届くとか、それに、何を買おうか迷った場合は、GAPに行けば相談できるとか、さらには、GAPでみたコーディネートが気にいったが、サイズや、色の異なるものを買いたいときには、スマホからすぐに注文できるようにするとか・・・・・。さらに、スマホで見て、近くのGAPでそれを購入すれば、特典がつくとか・・・・・・。とにかく、eコマースと、物理的店舗を何らかの手法で、統合すれば、これほど強い差別化手段は他にありません。


このようなことを顧客の間で何回か繰り返せば、特定の顧客の好みなどの情報が集まり、店でも、フアッションサイトでも、本当に個々人の好みやセンスにあわせて、服、靴、バッグ、その他小物まで含めて様々なお勧めができるほか、ファッション以外の様々な商品も販売できる可能性が高まるわけです。GAPの店にないものはeコマースを介して販売することもできるわけです。(下はGAP銀座店内の写真)


このようにすれば、ファッションサイトもGAPにとっても、顧客にとっても、かなり役立つものになると思います。しかし、上記のような三つの差別化内容だけでは、結局他のeコマースとは差別化できず、顧客にとってみれば、自宅のパソコンのブラウザから垣間見る、いくつもあるアッションサイトの一つという位置づけになり、Googleが失敗したように、うまくはいかないと思います。

しかし、私がこのような指摘をしなくても、GAP側は、もうそのことは十分知っていて、上記のファッションサイトは、そのための下準備にすぎないのかもしれません。いずれ、O2Oも活用するため、それを目指してまずは、ファッションサイトを立ち上げたのかもしれません。いずれにしても、このサイト、今後どのように変貌して行くのか、これからも追跡して、何か動きがあれは、このブログに掲載していきます。


【関連記事】

O2Oビジネスによる新しい消費行動《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命 第2回》―【私の論評】リアルの店の復権がはじまる!!


米アマゾン「実店鋪」開設か 「キンドル」や書籍販売−【私の論評】これから、eコマースは廃れる?!!


ドミノ・ピザもオープンイノベーションを始めました!−【私の論評】物理的な店舗をもつチェーンの強みか?!


ドコモ、宅配野菜のらでぃっしゅぼーやを買収へ−【私の論評】ドコモが狙うのは何か?

iPadを低価格にしてもAmazonのKindle Fireが有利な理由−【私の論評】日本のメーカーはiPadとKindle Fireの本質を理解せよ!!


IKEAにお泊りしたい! を叶えた「ファン限定」お泊りパーティー―【私の論評】チェーン店の逆襲が始まる!!


竹中平蔵氏「ルール違反」 髙橋洋一氏「全然最初から間違っている」 子ども・子育て支援法についてピシャリ指摘―【私の論評】財務省の企み「異次元の少子化対策」の隠れ増税、放置すれば将来は特別会計のような複雑怪奇な税制になりかねない

竹中平蔵氏「ルール違反」 髙橋洋一氏「全然最初から間違っている」 子ども・子育て支援法についてピシャリ指摘 まとめ 4月17日、慶應義塾大学の竹中平蔵氏と数量政策学者の髙橋洋一氏がラジオ番組に出演し、子ども・子育て支援法の改正案について議論した。 竹中氏は、この改正案が保険制度の...