インターネット検索大手の米グーグルは17日、ファッション推奨サイト「Boutiques.com(ブティックス・ドット・コム)」を開設した。専門家のテイスト、視覚認識、それに機械学習技術を利用して、ユーザーに商品を勧めるサイトだ。ユーザーが衣料品やアクセサリーのショッピングの際、最初に立ち寄るサイトになることを目指す。
米グーグルのファッションサイト、「Boutiques.com(ブティックス・ドット・コム)」
これにより、グーグルは急速な成長を遂げるオンラインファッション市場に参入する。この市場は、ネット小売大手のアマゾン・ドット・ コムやネット競売大手のイーベイが品揃えを強化している分野。オンラインの衣料品やアクセサリー業界は収益性が高く、調査会社のコムスコアによると、昨年の米国の市場規模は190億ドル(約1兆5770億円)に達している。
ブティックスは商品を販売するサイトではなく、商品が購入できるサイトにユーザーを誘導するサイトだ。ラルフ・ローレン、スティーブ・マデン、それにジューシー・クチュールといった多数のブランドの商品を扱う。
グーグルの商品開発マネジャー、ムンジャル・シャー氏によると、同社は有名人、スタイリスト、それにデザイナーといった約100人のファッションリーダーに協力を依頼し、好きなアイテムを選んでもらい、グーグルの機械学習アルゴリズムにスタイルやテイストを学ばせた。
シャー氏によると、グーグルは同社の検索エンジンのユーザーがファッションアイテムを探すときにブティックスを利用するようにする方法を模索しているという。同社は既に家電などを対象とした商品検索サービスを提供し、主力の検索エンジンからユーザーを誘導している。コムスコアのデータによると、同社の商品検索サービスはここ数年で急速に成長しているが、検索件数で見ると、アマゾンとイーベイから大きく後れを取っている。
同サイトのユーザーは特定の専門家がセレクトしたアイテムや、グーグルのアルゴリズムが似ていると判断したアイテムを閲覧することができる。またユーザーは個人専用のブティックを作り、自分のテイストに合った商品を勧めてもらうこともできる。
ブティックス・ドット・コムはシャー氏が設立したアパレル製品向けビジュアル検索サイト「Like.com(ライク・ドット・コム)」に似ている。関係者によると、グーグルは今年8月に約1億ドルで同サイトを買収した。
ブティックスのビジネスモデルはライクと同じで、ユーザーの商品購入に結びついた場合に販売店から報酬を受け取るという形式のほか、ユーザーのクリック数に応じて少額の報酬を受け取るという形式もある。シャー氏はこのビジネスモデルが変わる可能性があると述べている。
ブティックスは米国でのみ利用可能で、女性向けのファッションアイテムしか扱わないが、今後拡大していくという。
【私の論評】グーグルのビジネスモデルは変わらない?
このサイトはは、まだ、女性むけのファッションだけですが、アイテムを選ぶと、色、シルエット、パターン、サイズ、スタイル、ブティックなどでフィルターをかけることができ、クリックすると、そのブティックで商品購入ができます。
まだざっと触っただけですが、アマゾンのようにそれぞれのユーザーの嗜好にあわせた推奨(リコメンデーション)の機能もあります。またアイテムを選ぶとそれとテイストの近いアイテムも表示されてきます。
現在の時点では、米国向けに限られていますが、日本向けのサービスもやがて登場すると思います。
Boutiques.comは、Like.com(これもすでにGoogleが買収済みです)の最良の部分とGoogleの高速検索が合体したらこうなる、という感じです。
ファッションは、個人の嗜好にあわせてパーソナライズし、いかにショッピングを楽しく、また欲しい商品が簡単に、また的確に見つかるかが求められますが、まさにファッションの感性と検索技術の理性がコラボレーションで実現しようとしている世界を感じさせてくれるサイトです。
自社の流通で売るビジネスモデルと、ショップに誘導するビジネスモデルとの競争の時代がやってきそうです。
そうして、成功するのは、Googleのように、ショップに誘導するビジネスモデルだと思います。なぜなら、いわゆるeコマースで成功している事業は、そのほとんどが広告であるといっていいからです。
最近、ビジネスプラットフォームということがさかんにいわれていますが、要するに、これは、多くの人をプラットフォームという舞台に集めて、そこに多くの広告をだし、その広告から収益を得るといことです。
このプラットフォームを手堅く作ったところが、どこでも成功しているのであり、自社の流通だけにこだわっていては、成功しません。
Googleは、まさに、その典型です。Googleの提供する検索エンジンも、あのGoogle Earthも、Gmail、その他の様々な無料で提供されるものはすべて、なるべく多くの人々をひきつけるための手段です。こうして、多数の人が集まる、プラットフォームを創出し、そこで広告を得て、収益を得ています。
楽天や、アマゾンは違うなどといわれる方もいらっしゃるかもしれませんが、外見が異なるようにみえても、本質は同じです。楽天のあの、バーチャル?ショッピングセンターそのものが巨大な広告塔です。アマゾンも、直営で運営しているというだけで、アマゾンのあの顧客とのリレーションシップを重視するサイト自体が広告マシンです。
Googleがいろいろなことに手を出していることはご存知だと思います。それこそ、新交通システムとか、考えつく限りのあらゆる先進技術に手を出しています。しかし、グーグルの収益の95%以上が、広告による収益です。
このフアッションサイトに関しても、もちろん、こうしたプラットフォームを充実させるための手段であり、一見新しいことに手をだしたようにみえても、その本質は広告であるということです。ただし、ファッションというと、人間の感性が絡む分野であり、単に写真を掲載したり、動画を掲載したくらいでは、表現することが難しい部分があります。
グーグルは、検索エンジンの分野においても、人間の感性が絡むファッションの分野に関しては、なかなか難しい分野であり、他の検索に関してはほぼ完成の域に達しているのですが、こうした分野は、最後のフロンティア(最前線)なのだと思います。
だからこそ、この分野でも、サイトを立ち上げて研究しているのだと思います。Googleは、単にファッションサイトを立ち上げて、そこで収益をあげるなどという単純なことは考えてはいないと思います。この分野で得られた知見をもとにして、さらに検索エンジンを改良して、ファッションも扱えるようにするとか、さらに新たなサービスを提供するなどして、さらに、多くの人々を自分たちのプラットフォームに参加できるように努力しているのだと思います。
今でも、何らかの形で広告をしなければ、eコマースでは成功できないと思います。
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