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2018年7月2日月曜日

朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位 英調査―【私の論評】「体系的廃棄」ができなかった企業として歴史に名を刻むことになる朝日新聞(゚д゚)!

朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位 英調査

信頼度ランキングの衝撃

〈朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位〉という衝撃的な調査が発表された。英国オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が毎年行なっている国際的なメディア調査レポートの最新版『Digital NEWS REPORT 2018』によると、日本の新聞で読者の信頼度が高いのは1位が日経新聞、2位地方紙、3位読売新聞で、朝日新聞は産経新聞(4位)や毎日新聞(5位)より下の6位(最下位)となった。“日本で一番信頼できない新聞”という評価だ。

 同レポートでは、日本部門の調査の解説を担当した澤康臣・共同通信記者が原因をこう分析している。

 〈近年、リベラルな高級紙(朝日)は保守派の与党・自民党と右寄りメディアの両方からの批判にさらされてきた。安倍晋三首相は朝日の誤報問題(森友学園報道の検証記事)に対してフェイスブックに『哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした』と書き込んだ。また、保守系議員の足立康史氏は、『朝日新聞は万死に値する』とツイートし、右寄りの雑誌は『朝日を廃刊に追い込む必要がある』といった見出しを掲げている〉(原文は英文。カッコ内は本誌が補足。以下同)

 そしてこう続く。〈さらなる分析から、朝日の信頼度が低いのは、部分的に、こうした右派からの声高で党派的な批判から来る高いレベルの不信の結果だとわかっている〉

 この調査は今年1~2月にネットによるアンケート方式(日本のサンプル数は2023人)で行なわれ、新聞、テレビ、週刊誌などの媒体ごとに信頼度を「0(全く信頼しない)」から「10(完全に信頼がおける)」までの11段階で評価したものだ(朝日は5.35ポイント)。

朝日新聞社は「調査の結果について特にコメントはないが、読者に信頼していただけるよう努めていく」(広報部)とするのみだが、調査対象が日常利用するニュースメディアは新聞では朝日が最も多く、朝日読者も含めた調査だとわかる。

 ◆世論が動かなくなった

 その昔、朝日新聞は高学歴のエリート層が読む「日本のクオリティペーパー(高級紙)」と呼ばれ、政治報道でも時の政権を揺るがすスクープを連発してきた歴史を持つ。田中角栄元首相を失脚させたロッキード事件をはじめ、竹下内閣を退陣に追い込んだリクルート事件、自民党分裂につながった東京佐川急便事件など大型疑獄事件はいずれも第一報は朝日のスクープだった。

 朝日が権力を監視する「第4の権力」として世論に大きな影響力を持っていたことは間違いない。ところが、今や朝日が報じても世論は動かない。森友・加計問題報道がそれを証明した。

 朝日は森友学園に対する国有地格安売却の事実をいち早く報じ、加計学園問題では、「首相のご意向」文書をスッパ抜き、さらに財務省の森友文書改竄を掘り起こした。だが国会は紛糾こそすれど、安倍政権は権力の座についたままだ。

 新聞がいくら政治の腐敗をスクープしても、媒体が国民に信頼されていなければ世論を動かせない。そう見切ったのが麻生太郎・副総理兼財務相だ。「安倍政権への審判」が問われた新潟県知事選に勝利すると、新聞の世論調査で「辞任勧告」を突きつけられていた麻生氏はうっぷんを晴らすようにこう言い放った。

 「自民支持が高いのは10~30代の一番新聞を読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党(の支持者)なんだ」(6月24日、麻生派議員の政治資金パーティにて)

東京新聞 2017年12月15日朝刊の記事

 麻生氏はこれまでも「新聞読む人の気が知れない」「新聞は努めて読まないようにしている」と公言して“新聞を読むヤツはバカだ”という哲学を披瀝してきた。

 もちろん「失言王」「漢字読めない政治家」の異名を持つ麻生氏の言動を見れば、新聞は読んでおいたほうがいいように思えてならないのだが、情けないのはそこまで言われて反論できない新聞記者の側だろう。

 ※週刊ポスト2018年7月13日号

【私の論評】「体系的廃棄」ができなかった企業として歴史に名を刻むことになる朝日新聞(゚д゚)!

上の記事では、朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位ということが、いかにも衝撃的であるかのように報道されていますが、これは本当でしょうか。私は、そうではないと思います。

特に、ニュースソースが新聞ではなく、ネットである人の多くが、当然の結果であると受け止めたのではないでしょうか。

安倍首相は、今年の2月自身に関する朝日新聞の記事に対して、FBのコメントで批判を続けていました。森友学園疑惑に関連した同紙の記事には間違いがあり、またその件についての朝日側の説明は、「哀れ」で「惨めな言い訳」だというのです。

近年、新聞に対する批判の中でも目立つのが、「誤報」や「偏向」にまつわるものです。
「特定のイデオロギーに肩入れしすぎた新聞は読者に見放される」

こんな見立ても少なくないです。

しかし、まったく別の視点から、このままでは新聞社が立ち行かなくなる、と指摘しているのが、畑尾一知氏です。畑尾氏は、朝日新聞の販売局に長年勤務し、2003年には販売管理部長を務めた人物です。

販売という側面から新聞社というビジネスモデルの未来を展望した新著『新聞社崩壊』を上梓したばかりです。以下、同書をもとに販売のプロが見た、新聞業界慄然のシナリオを見てみます(引用は、同書より)。



畑尾氏は、独自の推計により、2005年~15年の10年間で新聞の読者は25%、約1300万人減っており、さらに今から10年後には最低でも30%減る、と見ています。

その根拠としているデータの一つはNHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」。各世代が何に時間を費やしているのかを調べたもので、この中には「新聞(を読む時間)」も含まれています。ここから、新聞を読む人の割合がわかります。

これを見ると全世代で新聞を読む人の率が2005年には44%だったのが、2015年には33%になっているのがわかります。

調査対象は10歳以上からなので、その人口にこの%をかけあわせると、たった10年間で新聞を読む人は「実に1300万人、約25%も減ったことになる」というのです。

ではこの先はどうなるのか。10年後、各年齢層が10歳年を取った場合を畑尾氏がシミュレートした結果、2025年の読者数は約2600万人。

2005年のそれが約5000万人、2015年が約3700万人なので、たった10年で30%も減るというのが、同書での予想です。

ここで新聞関係者からは反論が寄せられるかもしれないです。というのも日本新聞協会の年鑑によれば、2005年から2015年までの新聞の総発行部数は5260万部から4420万部へと減ってはいるものの、上の予想とはかなり乖離があるからです。

ちなみに以下は、主要全国紙の朝刊販売数の推移を示したグラフです。これは、畑尾氏のデータではなく、各新聞社が公表ているものから作成したものです。


これだけだと、確認しにくい部分もあるために、以下に前半年期比の推移を示します。


上のグラフは、産経新聞が特異な動きをしているため、他紙の動きが理解しずらくなっているため、以下に産経新聞を除いたグラフを掲載します。


以上のグラフより、以下のようなことがいえます。
・読売新聞…健闘はしていたが1000万部割れの2011年前半期以降失速へ。特に2014年に生じた下落ぶりが著しい。 
・朝日新聞…2010年から下落加速化。2014年後期から2015年前期は前例の無い下げ幅で、その後も前半期比マイナス2%内外の低迷は続く。 
・毎日新聞…2008年以降は下落。2010年前半期の下げが一つのピーク。最近は下げ幅縮小だったが、2015年後期から下げ幅が拡大。やや戻す機会があるも底深い低迷感は否めず。 
・日経新聞…2011年前半期に一時持ち直すも再びマイナス圏に。2013年が下げ幅ピークで最近は持ち直しを見せる。ここ2年ほどはぎりぎりマイナスという程度で、有料電子版も考慮すれば大健闘。ただし直近半期の下落は2013年後期同様の大きなもので、注目に値する。 
・産経新聞…押し紙制度廃止の影響(?)が極めて大きい。その後は復調・横ばい。ここ1、2年は部数上乗せの機会もしばしば見られる。
さて、畑尾氏の分析に戻ります。

彼によれば、2005年の読者数が約5000万人、2015年読者数が約3700万人であり、25%減っているはずなのに、部数は16%減にとどまっているのです。つまり総部数は減っているのですが、1読者あたりの新聞発行部数が増えたことになってしまいます。

その理由を畑尾氏はこう見ています。

「この10年間で複数の新聞を読む人が増えたとは、とても考えられない。発行部数の大部分は新聞販売店経由で宅配されていることを考えると、2005年から2015年にかけて販売店に滞留する新聞(死蔵在庫)が増えたことが、その理由だろう」

販売店に滞留する新聞のことを、新聞業界では「残紙」と呼ぶ。週刊誌などが「押し紙」と呼ぶものと同じようなものだといいます。残紙は新聞本社と販売店との間のトラブルの一因となっており、昨年、共産党議員は国会で朝日、毎日、読売の残紙を問題として取り上げたこともあるほどです。

新聞に限らず記者にとって、スクープは常に狙うべきものであり、勲章でもあるようです。しかし、販売面を見た場合、スクープの恩恵はない、というのが畑尾氏の見解です。ただし、誤報や不祥事の影響はあるといいます。

「最近では、朝日の慰安婦報道に関わる一連の問題、読売が前川喜平前文部科学事務次官が『出会い系バー』に通っていたことを記事にしたことが、少なくない読者の反感を買った。そういう時は、“即止め”といって、翌日から新聞の配達を断られることもあるそうです。

その反面、スクープ記事が出たからといって、『あの報道が素晴らしかったから、おたくの新聞を取ろう』と購読を申し込んでくる人はまずいません。

日夜スクープ合戦に飛び回っている記者からすると、認めたくないかもしれないが、これが現実です。

2017年には、森友学園や加計学園にまつわる報道で朝日が独自記事を連発したが、それによって新規に朝日を読みたいと申し込んでくる人は、あっても稀です。

第一、「モリカケ問題」報道が朝日の独壇場であったことを知っている人は、ほとんどいないのが現実である」

いずれにしても、畑尾氏の分析「2005年~15年の10年間で新聞の読者は25%、約1300万人減っており、さらに今から10年後には最低でも30%減る」ということでは、当然のことながら倒産する新聞社も多く出ることが予想されます。

朝日新聞に関しては、経済評論家の上念司氏が、詳細を分析しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
そうだったのか! 朝日新聞 財務諸表徹底分析
これによれば、朝日新聞は不動産業も営んでおり、業績も良いので安泰などとはいえないことがわかります。そもそも、不動産事業の規模がさほど大きくはなく、当面これが主力事業になり、新聞部門を救済するほどの力はない。仮にできるとしたら、新聞部門を閉鎖して社員のごく一部を受け入れるぐらいでしょう。

営業キャッシュフローは、未だ潤沢なようではありますが、それでも上記のように部数が減少していくと、今後10年間で、新聞部門を閉鎖ということになる可能性は十分にあります。

もう今の紙の形の新聞メデイアは、斜陽産業といって良いです。その状況で、「日本で一番信頼できない新聞」ということなのですから、もう先が見えたといって良いでしょう。

本来朝日がやるべきは、「もりかけ」のスクープなどではなく、抜本的な体質改善なのでしょうが、右でも左でも、上でも下でもない朝日新聞の経営陣や社員の本質は、守旧派なので、それは無理でしょう。

彼らには、経営学の大家ドラッカーのいう「体系的廃棄」などできないでしょう。

これについて、ドラッカー氏は以下のように語っています。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)

スクリューとシャフト、ラダーに付着したフジツボなどの貝など。シーズンオフの半年でこのありさま。

あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならないのです。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかありません。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。

体系的に廃棄しない限り、組織は次から次へと仕事に追われる、行っていてはならないことに資源を浪費する、とくに有能な人材が不足することになるのです。

朝日新聞は、まさにこの状況です。安全保障に関しても、経済報道に関してもまともに報道できていません。挙句の果てに「もりとも」では捏造や、印象操作です。このような新聞を購読している人は何を考えているのか、私は理解できません。

成長の基盤は変化すま。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
朝日新聞は、いずれ「体系的破棄」ができなかった企業として歴史に名を刻むことになるでしょう。

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