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2019年5月26日日曜日

「国の借金」だけを報告し続ける、財務省のおかしな体質―【私の問題】財務省に騙されず、会計も理解できる人材が、令和日本では重宝される(゚д゚)!

「国の借金」だけを報告し続ける、財務省のおかしな体質

もともとは国民のお金ですが…



過去最大の「国の借金」…

財務省は、国債と借入金などを含めた、いわゆる「国の借金」を3ヵ月ごとに発表している。これが2019年3月末時点で1103兆3543億円となり、過去最大を更新したと5月10日に発表した。

      財務省は国借金(正確には政府の借金)については公表するが
      同時に政府の資産も増えていることは一切公表しない

NHKなどのテレビ、日経などの新聞は律儀にこの「国の借金」報道をし続けている。先の額を国民一人当たりで割ると、およそ874万円になる、という定番の「脅し」も付け加えられることがほとんどだ。

「財政再建が必要」という財務省の言葉とセットで、さすがに国民は耳にタコだろう。本コラムで度々触れているとおり、「国の借金」だけをニュースで取り上げるのは間違っていると筆者は考えている。

このニュースに対し、「『国の借金』ではなく、『政府の借金』で、国民にとっては逆に『資産』だ」と反論する向きもある。もっともらしい言い方のように見えるが、実はあまり意味をなさないロジックだ。

たしかに国債は国民にとって「資産」であるが、所有している一般人はほんのわずかなものだ。財務省の資料によると、'18年12月末の国債等の保有者別内訳は、日本銀行43%、銀行等16・7%、生損保等18・8%、海外12・1%となっていて、家計はわずか1・2%である。それも銀行や生命保険会社を通じて間接的に保有しているから、自分の資産だと実感している人は少ないだろう。

さらに、「政府の借金」という考え方で政府を叩いても、むしろ政府がカネを借りている側なのだから意味をなさない。「増税に応じないなら借金(国債)を返さない」と開き直られたらおしまいだ。「借金は借りた側が偉い」というのがビジネスでの常識だが、国債においてもまさしくそのとおりだ。

財務省が「公表しない」こと

政府に限らず、財務状況をしっかりと理解するためには、資産と負債を包括的に示したバランスシートをきちんと見ることが第一だ。むろん、サラリーマンでも自分の会社のバランスシートすら読んだことないという人も多いだろう。

財務省はこうした弱みに付け込んで、バランスシートでいえば負債の数字だけを年4回も公表し、財政再建の必要性を煽り続けるのである。簡単に言えば、「国の借金」だけでなく、「国の資産」も公表し、その両方が報じられるべきなのだ。

財務省がこのデータを公表していないのはおかしい。

上場企業であれば、四半期報告について、毎四半期末日から45日以内の提出が義務付けられている。民間は縛り付けておいて、政府は公表しないというのでは道理が立たない。

さらにいえば、民間企業はグループ会社全体の決算も行う。政府も同じように、国全体の資産と負債をつまびらかにした「グループ決算」を是非行うべきなのだ。もちろん、マスコミがそれを適切に解釈して国民に知らせ、会計に関するリテラシーを高めていくことが必要なのだが。

負債は増えているが、資産も増えていて、それが政府や財務省の利権となる、というのが不都合な真実だ。先の消費増税がまかり通ろうとするのも、財務省が「知らしむべからず」の姿勢で国民に事実を伝えていないことが大きな問題なのである。

『週刊現代』2019年6月1日号より

【私の論評】財務省に騙されず、会計も理解できる人材が、令和日本では重宝される(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で「政府に限らず、財務状況をしっかりと理解するためには、資産と負債を包括的に示したバランスシートをきちんと見ることが第一だ」とあります。

企業、特に上場企業には、バランスシートは無論こと、他の財務諸表も作成して公開義務があります。

私自身も、元々は理工系出身で、財務諸表からは縁遠かったのですが、自らが所属していた会社が上場の準備をはじめ、しかも自分が上場準備に関わることになり、そこで財務諸表の分析の仕方や、作成の仕方(会計)を初めて勉強しはじめました。

そうして、わかったことですが、企業の財務諸表を分析することができなけれれば、企業の内容を本当に把握することはできないということでした。いくら現場で努力したとしても、顧客のことをよく知っていたにしても、まずは財務諸表を分析できなければ、とても経営者(ただしまともな経営者)の考えなどわかりませんし、企業の本当の姿を知ることはできません。

財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書の主に4種類があります。

会社の財務状況を理解する上で、財務諸表のつながりは非常に大切です。今回は財務諸表のつながりについて、説明します。

財務諸表には大きく2種類ある

財務諸表には、主に二種類あり、フローの財務諸表としては、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書があります。

ストックとは、一定時点の状況を示すものです。貸借対照表のみがストックに関する財務諸表で、その他の3つはすべてフローの財務諸表ということです。

貸借対照表を中心として考える

現在は財務諸表が4つありますが、最も重視されるのが貸借対照表です。現在どれだけの財産があり,どれだけ借金があるのかということが企業分析のスタート地点になるからです。

それでは具体的に貸借対照表をみてみましょう、細かいところまで、掲載すると、非常に煩雑になりますので、ざっくりと模式的なものにします。現実の貸借対照表ではさらに細かく、様々な勘定科目があるのはいうまでもありません。


貸借対照表から現在の企業の情報がわかります。

さらに前期の貸借対照表も用意し2年分を並べてみます。

こうすると情報量が増えます。「1年間で現金が30増えた」というように増減までわかりますので、企業分析にさらに役立てることができます。


他の財務諸表は貸借対照表を補完している

ストックの財務諸表である貸借対照表(英語で、バランスシート)だけでもフローの額はわかります。ではフローの財務諸表は不必要なのでしょうか。無論、そのようなことはありません。

なぜなら貸借対照表のフローには限界があるからです。それは「現金がどういう活動で増えたのか?」というように増減理由がわからないということです。(上記の貸借対照表を見ても、何で現金が増えたかはわからないです。)

そこで、他の財務諸表の出番です。

損益計算書などフローの財務諸表はフローの理由を示すという役割があるのです。

損益計算書は利益剰余金の増減理由を、キャッシュ・フロー計算書は現金の増減理由を,そして、株主資本等変動計算書は純資産の増減理由を示しているのです。

これらをまとめると以下のようになります。


どうでしょうか?

4つの財務諸表は、貸借対照表が中心でそれ以外の財務諸表はその情報を補完していると捉えることができるのです。

いずれにしても、財務諸表の中でも、貸借対照表が最も重要であることをご理解いただけたと思います。

ここで、また政府の財務の話に戻しますが、政府の貸借対照表などとは無関係に、財務省は政府の借金ばかり、報告し続けているのが、財務省のおかしな本質というのが、上の記事の要旨です。

冒頭の記事では、「さらにいえば、民間企業はグループ会社全体の決算も行う。政府も同じように、国全体の資産と負債をつまびらかにした「グループ決算」を是非行うべきなのだ」としています。

それは当然のことです。そうでないと、負債が小会社に財務的に隠蔽されたりして、企業グループの正しい姿を見ることはできなくなります。

政府の場合も、本当は日銀等も含めた、政府全体の財務諸表を作成し、公表し説明すべきです。無論、財務省もバランスシートは作成しているのですが、日銀等を含めたもの(これを統合政府という)は作成しておらず、その上内容が良く説明されていないか、著しく作為的であり、結局のところ財政赤字を煽るようなものになっています。

財務省は政府の貸借対照表を公表しているのだが・・・・・・

これは、本当におかしいです。会社の状況を知るためには、負債だけではなく、資産もみるのが当然です。

もし、会社の取締役会で、毎年負債ばかり言い続け、危機感を煽るだけの取締役がいたとしたら、それはとても会社にの正しい財務状況を表明しているとはいえず、そのような取締役は辞任させられると思います。

これは、政府の財政状況をみる最も同じことです。財務省は、この面で説明責任を果たす必要があります。

それと、我々国民のほうも、財務諸表等を理解して、財務省の詭弁を暴けるようにすべきです。そうでないと、自分の会社の状況もわからず、果は財務省の詭弁も見抜けず、財務省のいいなりの誤った財政政策で、日本経済が悪化して、ある日気づいてみたら、会社をリストラされていたとか、そこまでいかなくても、何十年たっても給料が上がらないなどという事態に直面しかないです。

私自身は、先程の述べたように、理工系出身だったので、高校のときは無論のこと、大学でも財務諸表について学ぶ機会は全くありませんでした。

おそらく、商業高校(簿記を学ぶ)とか、経済学部(まったく会計に触れないところもある)とか商学部などにでもいかなければ、そのような機会に恵まれることはないのだと思います。

子供の頃にお小遣い帳をつけるように言われた人もいると思います。現金の出入りを記録するのですが、多くの役所の会計もそういう感じです。

企業の会計では、「発生主義」といってその事実が発生したときに記録します。例えば、ある時に掛け売りをしたら売掛金を計上し、回収したときに現金に振り替える、というようにします。

ところが役所ではお小遣い帳ですから、現金のやりとりがなければ記録されません。しかし、道路整備など作業と支払いに間があるようなことでは管理が難しいので、他の管理項目も使われます。

このようなことでは、本当の意味でお金の流れを把握することはできないです。財務省も日々の会計はこのようなことをしているようです。

財務省自体も、会計にはうといのではないでしょうか。こういうことを見抜くためにも、会計は必須だと思います。

現状では、会計を良く理解してない大手の経営者もいるようで、彼らは財務省の発表をそのまま鵜呑みにして、財務省よりの発言をしているようです。彼らは、財務省と顧客を両天秤にかけているのでしょうか。その上で、財務省のスポークスマンをしているのなら、良いですが、そうでなければ、経営者失格です。

どう考えてみても、普通は財務省と顧客を天秤にかければ、顧客のほうが数段上のはずです。顧客に離反されれば、企業はなりたちません。財務省は、自分が都合が悪くなれば、企業を守り通すようなことはしません。

両者を正しく両天秤にかけるためには、会計的な能力は必須だと思います。そのような見方ができない経営者はこれからどんどん排除されていくと思います。排除しないような企業は、社会から見捨てられ、淘汰されることになるでしょう。

このような状況をみていると、会計を本当に理解した上で、オペレーションや運営に関わることができれば、そのような人物は企業にとって希少価値が大きくなると考えられます。

会計だけが専門だと、カネの流れだけを重視するようになりがちだと思います。そうなると、企業経営や、日々のオペレーションに支障がでかねません。無論、会計を専門としても柔軟な考え方ができる人は別であるとは思います。

いくら、AIが自動的に会社の財務諸表を作成するようになったとしても、あるいはそれに基づき、改善点を示唆するようになったとしても、それを読み解き、会社運営や日々のオペレーションを改善・改革するのは人間です。財務諸表もそれだけでは、ただのデータに過ぎません。

しかし、我が国には、そのような人材は稀なようです。

これからは、財務省に騙されず(会計が専門でも、財務省の詭弁に騙される人もいる)、自分の専門分野だけではなく、会計も理解できる人材が、これから日本では重宝されるようになるでしょう。

【関連記事】

2016年8月13日土曜日

「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!

「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない

国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が2016年6月末時点で1053兆4676億円になった。内訳は国債が918兆4764億円となり、3月から7兆6667億円増えた。一時的な資金不足を穴埋めする政府短期証券は1兆4697億円減の82兆2792億円。借入金は2兆955億円減の52兆7120億円だった。今年7月1日時点の総務省の人口推計で単純計算すると、国民1人当たり約830万円の借金を抱えていることになる。

以上は、財務省の発表である。ウソではないが、情報の一部でしかない。これに対して、これを「国の借金」というのはミスリーディングであるという反論もある。要するに、国民の借金であるかのようにいうが、正確には政府の借金であって、国民とは関係ないというものだ。

 バランスシートを見ると

ただし、この意見はちょっと甘い。確かに政府の借金であるが、政府が破綻すれば、国民への行政サービスが行われなくなり、その損失は結局国民に降ってくる。大きな大企業が倒産したら、その関連先は大きな被害を受けるが、日本政府は日本の中で最大の企業といってもよく、日本政府に無関係な国民はほとんどいない。

ではどう考えたらいいだろうか。一番心配なのは、日本政府の破綻であるので、そのバランスシートを見てみよう。借金だけをいっても、それに見合う資産があれば破綻しない。これは破綻論の基礎である。なぜか政府の話になると、バランスシートも読めない素人ほど、財務省のいうことを鵜呑みにして、破綻だという。これはかなり滑稽な話である。

政府のバランスシートは、きちんと財務省のホームページに載っている。政府子会社を含めた連結ベースの政府バランスシートもある。それらを初めて政府内で作ったのは筆者であり、今から20年以上前のことである。しかし、それらは直ぐには公表されずに、正式に公表されたのは2006年からだ。しかも、連結ベースのバランスシートでは、政府子会社となるべき日銀が抜けている。中央銀行である日銀を含めて政府の財務状況を考えるのは、経済学では当たり前のことで、「統合政府」といわれている。

政府のバランスシートでみて、資産を差し引いたネットの負債残高は500兆円程度である。さらに、統合政府で考えればネット負債残高は150兆円程度である。これらの対GDP比率を見れば、先進国の中でも悪いほうでない。

 財務省のいいなりで、識者のデタラメ意見を振りまくマスコミ記事

こういうと、まだ債務超過であるという批判もある。しかし、政府の場合、強制的に税金を徴収できる徴税権がある。どんなに少なく見積もっても毎年30兆円以上の税金徴収ができるのだから、その資産価値は数百兆円以上だろう。というわけで、政府バランスシートでみても、統合政府バランスシートで見ても債務超過ではない。

これが政府や統合政府のまともな財務分析である。もしこうした財務分析をできないのであれば、財務省という名前は返上し、増税省とでも名乗ったほうがいいだろう。

バランスシートも読めずに、財務省のいいなりで財政破綻論を振りまく識者は、財務分析ができないのだからお里が知れている。財務省のいいなりで、識者のデタラメ意見を振りまくマスコミの記事は読むべきでない。

財政破綻になるなら、なぜ国債金利がマイナスになるのだろうか。財政破綻論者は、これまでホラー話ばかりしてきたが、いくら夏の夜のホラーとはいえ、度が過ぎている。

++ 高橋洋一

【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が用いている政府の貸借対照表を以下に掲載します。



このバランスシートでみて、資産を差し引いたネットの負債残高は確かに、500兆円程度です。以下に政府の公表している、連結貸借対照表を掲載します。

この統合政府のバランスシートでみるとネット負債残高は439兆円程度です。しかし、この連結決算には、日本政府の下部組織である日銀が含まれていないため、これを連結しないと、正しい数値は出ないということです。資料を確認すると、確かに政府の連結のバランスシートには日銀が含まれていないことが確認できます。

残念ながら、日銀のバランスシートは公表されていませんが、営業毎旬報告は報告されています。そこから、近似的に日銀のバランスシートを作成することはできます。





日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券です。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではありません。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(平成27年末)は、資産の国債266兆円、負債の日銀券266兆円とみてもいいです。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が266兆円減少し、その代わりに日銀券266兆円が入るわけです。

ここで、日銀券266兆円は、形式的には負債ですが、利息負担もないし、返済義務もありません。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありえます。その考え方にたてば、債務超過額は439兆円から173兆円になります。このあたりについて、公会計で定説はないとは思いますが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいです。

私の計算では、平成27年3月31日の日銀が含まれていないバランスシートに、平成27
年3月31日の日銀の営業毎旬報告から推測したバランスシートを加えたもので、その結果は173兆円です。

これだと、日本のGDPを500兆円ということで計算すれば、政府の借金はGDP比では34%に過ぎません。これと同じような計算方式では、米国は80%、英国は60%であったと記憶しています。

ブログ冒頭の、高橋洋一氏の計算では、150兆円ということですが、大体似たようなものです。高橋洋一氏は別の方式でもっと正確に計算しているのかもしれません。しかし、考え方としては同じです。

いずれにせよ、政府の借金が1000兆円などということは、全くありえないことです。もしそうなら、国債金利がマイナスということなるはずもありえません。この程度の負債なら、10%増税はおろか、8%増税も全く必要なかったことになります。まさに、"国の借金」巡るホラー話"です。

エコノミストなどのいわゆる識者に関しては、財務省に追従して、財務省の走狗に成り果てているだけなのでしょう。もしそうでないとしたら、ただの馬鹿です。

マスコミに関しては、昨日このブログで、鳥越氏を批判したときに、あげたように、マスコミ業界では、記者になってから勉強するという仕組みが全くないのでしょう。昨日のブログのリンクを以下に掲載します。
「ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る【独占インタビュー】―【私の論評】日本の似非リベラルの駄目さ加減が白日の元に晒された(゚д゚)!
鳥越俊太郎氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
このような怪物がなぜ出現したかといえば、彼が長い間「マスコミ」という無責任な社会に属してきたことにも多いに関係があるでしょう。
毎日新聞新潟支局時代の鳥越俊太郎氏
鳥越氏がいわゆるジャーナリストになった時分はもとより、私が大学生だった頃、マスコミは就職偏差値上位の勝ち組のような扱いだったと思います。だから、マスコミに就職した当初の鳥越氏もそれなりに知性的であったのかもしれません。しかし、マスコミという無責任な社会には、就職してからまともな仕事を遂行していくうえで勉強する仕組みがまるでないようです。

経済の報道に関しても、いわゆるマスコミは、日銀や財務省に言われたことを世の中にたれ流す伝令係に過ぎないといことが、最近では白日のもとに晒されています。経済に限らず、安全保障でも、歴史や社会問題や産業に関しても、現状のマスコミは、そこに属する人々のほんどが、伝令係で一生を終わるようです。鳥越氏もその典型です。本当に惨めです。
ごく一部を除いた、現在のマスコミのほとんどは、財務省や日銀の発表したものをそのまま報道して、上記で述べたようなことなど全く検証しません。それでは、何のためのマスコミなのか全く意味がありません。

特に最近は、ネット言論というライバルが出てきたので最近のマスコミは右も左も大変なようです。既存のマスコミは長期停滞に見事にはまったようです。

鳥越氏は、戦後のマスコミ業界の中で、おいしい思いを満喫できて、単なる伝令係であってもなんとか逃げ切れた世代の代表なのでしょう。

その世代のマスコミの特徴は、現場主義と言いながらの不勉強です。

元毎日新聞記者でもある佐々木俊尚氏は25日の以下のようにツイートしています。
このような勉強をしない記者はやがて役所の忠犬「ポチ」になって、結局役所の伝令係として働くようになったのでしょう。鳥越氏をみると、このようなマスコミの体質をよく体現していると思います。

鳥越氏の女子大生への強姦未遂は、なぜか週刊誌では「淫行」としていますが、この未遂事件は、実は東京の私大関係者の中では、都市伝説として伝わっていて、私大関係者なら知らない者はないくらいだったそうです。

このような都市伝説なら楽しいが、鳥越氏や財務省起源の都市伝説は全くいただけない
都市伝説というと、私は「国の借金1000兆円」とするのは、完璧に都市伝説のようなものであると思います。いわゆる識者と目されているような人々でも、この都市伝説なみのホラー話を真に受けている人も大勢いますし、都市伝説と知りながら、財務省のキャンペーンに積極的に強力に後押しをする人間もいます。

先日は、「そこまで言って委員会NP」を視聴していると、「国の借金1000兆円」という話題がでていて、この話題に関して、出席者のうち私が見た限りでは、まともなことを言っていたのは少数であり、これ以外の人は頓珍漢なことを語っていました。


長谷川幸洋氏は、どのような計算をしたのかわかりませんが、政府の借金は、ネットでみると50兆円程度、多く見積もっても100兆円と話しています。ただし、日銀の連結ベースの話をもしているのですが、連結ベースで他国はどの程度になっているのかまでは言及しませんでした。そこまで、話をすればもっと説得力を増すことができたと思います。あるいは、金融資産のみで話をするとか、対外金融純資産の話をするなどすれば、さらに説得力があったと思います。

司会の辛坊氏は、長谷川氏を批判して、ギリシャだって、パルテノン神殿があるが、あれは売れないなどという話をして、長谷川氏に反論していました。そのため、残念ながら、説得力に欠けました。

さらに、竹田恒泰は、1000兆円玉を作って、日銀に引き取らせるなどという話をして、茶化して語っていたので、これも説得力はありませんでした。

この番組のこの話題に関しては、当日のテーマ4「マネーモンスター」ということで、以下のリンクから観ることができます。

http://www.ytv.co.jp/mydo/iinkai/20160807_05/

やはり、この番組の出演者の多くはあまり経済に関してまともな認識は持っていないと思います。そもそも、現状の日本はデフレから完璧に脱していないし、最近ではデフレに逆戻りの傾向すらあるという認識が全くないようです。2%の物価目標が達成できないのは、アベノミクスが限界なのではなく、日銀の金融緩和が未だ不十分で、追加緩和が必要だし、政府も積極財政をすべきだという認識がないようです。奇妙奇天烈、摩訶不思議な理論がまかり通っています。

この番組に出ている人たちは、一般の人たちよりは、経済に詳しいのではと期待していましたが、その期待は見事に裏切られました。

とんでもない辛坊氏の発言は誰のため?
特に、辛坊氏の発言には、期待が裏切られたどころか、あからさまな悪意が感じられました。特に私は「国の借金というマネーモンスター(1000兆円)抱えながら安倍総理が28兆1千憶円の経済政策を閣議決定したことを批判する発言には驚愕しました。あまりにも悪意にあふれているし、突拍子の無い恣意的な発言でした。

さて、この番組での、辛坊氏の問題発言に関して、以下にまとめておきます。
①(税金で)50兆円しか金が入らないのだったら、50兆円でできる(政治を)やれ。 
②物価を安定的に2%ずつ上げると言う事は、毎年2%ずつお金の価値が下がると言う事。結局、国民の金融資産から、毎年2%ずつ増税をせずに国に吸い上げられる。
①については、政府の経済政策による乗数効果を一切無視しています。財政規律だけを重視し、歳入以上の歳出は行うべきでは無いとの主張です。安倍総理は未来永劫、財政出動を永遠に続けるとは一言も言っていません。財政出動によってデフレを脱却し、その後はGDPに対して無理のない財政運営を行えばよいだけです。

②については、全く理解ができません。なぜ、物価が2%上がると国が増税せずに国民の金融資産を吸い上げることになるのでしょうか。

物価の上昇は人件費の上昇であり、材料原価の上昇であり、労働力に対する付加価値の上昇ですので、これを「政府が国民の金融資産を吸い上げる」などとするのは、全くとんでもない理屈です。そもそも、日本がデフレから完璧脱却していないし、そのために物価2%目標があるのだという事実を全く無視しています。

また、その他の長谷川 幸洋氏の「国の借金"1000兆円"は嘘」という主張や、筆坂 秀世氏の「"政府" の借金貸し手は"国民" 」という極めてまともな主張の下りで辛坊氏は話しを遮り、「間違ってはいない」といいつつ別の話へのすり替えで、結果的に全否定しています。

この番組では、左翼(ひだりつばさ)君というキャラクターを登場させ、そのキャラクターに左翼の主張を語らせるということも行っているので、公平性を期するために、辛坊氏がこのような発言をしたのかもしれませんが、それにしても、やり過ぎで明らかに悪意を感じます。 

他の、出演者の主張にもかなりツッコミどころは多々ありましたが、前述したゲストの発言を遮り、全否定する辛坊氏の番組内の影響力はひときわ大きく、非常に悪質です。

かつて、ヨット遭難して自衛隊の飛行艇で救助されたときの謝罪会見での辛坊氏
さて、辛坊氏のこれらの奇行によって一体誰が徳をするのでしょうか。金融緩和や、積極財政によるアベノミクスが間違っていて、日本の財政を救うとしたら経済成長ではなく財政規律の厳守、現状のコストカット、身を切る改革しかないというこの主張は誰のためのものなのでしょうか。

これは、結局のところ、財務省を利する発言以外の何物でもないと思います。辛坊氏の発言は、多くのマスコミのように財務省や日銀の発表したものをそのまま報道するというのではなく、そこから一歩さらに突き抜けて、財務省の都合の良いように事実を捻じ曲げているようにしか思えません。だからこそ、悪意を感じるのです。

鳥越氏のような伝令係も酷いものですが、それでも、辛坊氏などよりはましかもしれません。

いずれにせよ、経済に関しては、財務省や日銀の伝令係のような報道や解説しかしないマスコミや識者のほかに、このような悪質な報道をしたり解説するニュータイプが出現して、多くの人々を幻惑することもあるということを忘れてはならないです。

このような言説を多くの国民が真に受けていたら、10%増税はおろか、20%増税、50%増税にもなりかねません。そうなれば、国民は塗炭の苦しみを味わうことになり、ひところ二万人台になっていた年間自殺者数が、また三万人台にもどるどころかさらに増え、都市伝説のような「ホラー話」が現実になってしまいます。

【関連記事】

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2014年11月23日日曜日

こども版国の借金は永遠に続けられるの?―【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

こども版国の借金は永遠に続けられるの?

池田 信夫

安倍首相は衆議院を解散して、12月14日に総選挙が行なわれることになりました。彼は8%の消費税を10%にふやすことを先送りし、それについて「国民に信を問う」というのですが、先送りに反対している党は一つもありません。増税は争点になっていないのに、何を問うんでしょうか。

まぁそれはいいとしましょう。こうして増税を先送りしていると、1000兆円を超えた国の借金はどんどん増えますが、安倍さんは「景気が回復したら税収もふえるので心配ない」といっています。これは本当でしょうか?

どんな会社でも、金を貸してくれる人がいるかぎり借金は続けられます。国の場合は倒産して金が返せなくなるということは考えられないので、国債を返すとき、あらたに国債を発行して返せばいいのです。これは浜田宏一さん(内閣官房参与)のいうようにネズミ講の一種です。

ネズミ講は、バーナード・マドフのように「元本保証でいい配当を出します」といってお金を集め、高い配当を出す代わりに元本を食いつぶすものです。景気のいいときはどんどん新しい人がお金を出すので、みんなに高い配当を出すことができます。

でもリーマンショックみたいな事件で抜ける人が増えると、資金ぐりがゆきづまります。清算すると、お金はほとんどなくなっています。お金を運用しないで利益として分配してしまったので、残った人の出資金は返ってきません。

このようなネズミ講は詐欺ですが、国がやると犯罪にはなりません。税金を負担する納税者がいなくなるとネズミ講は終わりますが、みなさんのような新しい納税者から税金を取れば、国の借金は回ります。問題は、それを負担する納税者が無限に出てくるかということです。

もちろん日本の人口は有限で、しかもこれから30年で働く人は30%以上へります。その結果、一人あたりの国民負担はふえます。このまま負担がふえつづけると、2050年には図のように国民負担率は7割になります。つまりよい子のみなさんが大人になったころは、給料の7割が税金や社会保険料にとられ、可処分所得(税引き後の所得)は今の半分になるのです。


国民負担の予想(左軸は兆円、右軸は%)


みなさんの世代は、今より絶対的に貧しくなります。みなさんのおじいさんの世代の借りたお金を、みなさんの世代が返すからです。わかりやすくいうと、おじいさんは孫のクレジットカードを使って買い物してるみたいなものです。おじいさんのもらうお金は払った税金などよりひとり5000万円ぐらい多く、みなさんは5000万円ぐらい少なくなります。

いま増税を先送りすると、将来のみなさんの税負担はもっとふえます。安倍さんは「景気がよくなったら借金を返す」といっていますが、ひとり1億円もある差を景気がよくなるだけで埋めることはできません。

でも所得の7割が国に食われるようになる前に、国債が売れなくなるでしょう。日本の貯蓄より国債のほうが多くなるからです。そうすると金利が上がり、国債が暴落します。その結果、ひどいインフレになると、実質債務(物価で割った借金)がへります。

どこの国も、そうやって借金を踏み倒してきたのです。インフレは困ったことですが、みなさんの負担は軽くなります。ネズミ講をつづけるよりはましかもしれません。

【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

まさしく、池田氏のおっしゃる通り、国というか(この言い方は間違い)、政府の借金は永遠には続けられません。それは、どう考えてもはっきりしすぎています。

もし、このまま増税をしてしまい、その増税により日本経済がさらに落ち込めば、税収が減ります。税収が減ってしまえば、政府がさらに大量に国債を発行して国民から借金をしなければならなくなります。だからといって、また増税すれば、ますます景気が落ち込み、さらに政府は借金を重ねるこになります。

そうして、上記で池田氏が語っているようなことが、現実になってしまいます。そのようなことは、どこかで断ち切る必要があります。

ここで、突然話題を変えます。少し、話が飛んだようにも思われるかもしれませんが、後で話はきちんとつながるので、我慢して読んで下さい。

ここで、「日銀は国債をいくら購入してもインフレにならない」と仮定します。これは物価・金利の動向を全く気にすることなく市中の国債や新発国債を全て日銀が買い取り、マネーサプライを増加させたとしてもインフレが生じないことを意味します。

この仮定が正しいとすれば政府は物価や金利の上昇を全く気にせずして無限に国債発行を続けることが可能となり、財政支出を全て国債発行で賄うことができるとともに、さらに巨額の財政赤字を解消することも可能になり、無税国家が成立することになります。

ただし、現実には無税国家は成立しないため「日銀は国債をいくら購入してもインフレにはならない」という命題は誤りです。つまり、「インフレターゲット政策を行えばインフレになる」のです。

インフレターゲット政策は、アメリカでも導入され、効果をあげた政策である

デフレや、過度のインフレは、正常な経済循環から逸脱した、経済の病です。これを放置しておくことはできません。

今の日本は、16年間もデフレです。これから脱却するためには、インフレターゲット政策を行う必要があります。これを実施して、そのまま放置しておれば、過度のインフレになります。しかし、そうなる前に、金融引締め、増税などの対策を行えば、過度のインフレ(ハイパー・インフレ)になることはありません。

最後に池田氏のこの記事の、最後の部分を補っておきます。

過度のインフレは困ったことですが、緩やかなインフレであれば、みなさんの負担はかなり軽くなります。ネズミ講をこれからも続けるよりははるかに良いことです。デフレにおいては、こうした負担が過度に重かったとも言い換えることもできます。

今回の選挙の争点は、池田氏が語るよにう、増税が争点ではありません。上記で述べたインフレターゲット政策をすべきか、すべきでないかを国民に信を問うというのが、本質です。増税するしないは、この本質論の以前の、目先のテクニカルな部分の争点に過ぎません。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散を「アベノミクス解散」と命名しています。特に、与党の増税推進派の皆さんや、野党の皆さんは、この本質を見失わないようにしていただきたいものです。

インフレターゲット政策が功を奏して、日本がデフレから脱却できて、緩やかなインフレになれば、国民の消費も増え、国民所得も劇的に増えます。国民所得が劇的に増えるということは、税収の源が増えることであり、税収も増えます。



これで、政府は無限に国債を発行し続けて、国民が借金をし続ける必要もなくなります。ただし、政府の借金と、個人の借金は、性質が全く異なります。個人が借金すると、お金が消えてなくなるだけですが、政府の借金は、違います。

政府が10兆円の借金をしたとします。そのお金は、政府がいろいろな対策に使うわけです。そうすると、そのお金は、政府の機関や民間機企業にまわり、いろいろなことに遣われます。そうすると、れが、国民の賃金にもなります。そうしてそのお金は、また税収として政府に戻ってくるわけです。

企業も同じですが、全く借金をしない組織というのは、一見良いようにもみえますが、その実新しいことに挑戦もしていないということです。だから、健全な企業が何らかの借金をするのは、新たなことに挑戦していることの証であるということでもあります。

それと、同じく、政府も多少の借金をしているというのがあたり前であり、世界中のまともで健全な国の政府は借金があるのがあたり前です。その借金が多すぎかどうかが問題なのであり、全く借金がなく、真っ黒の政府というのは、何も新しいことに挑戦しない怠け者政府であるということもできます。

だから、日本政府も多少の借金があるくらいが良いです。全く借金のない国家というのは、怠慢政府か、政府と為政者の金か区別のつかないような、独裁国家であるというのが通り相場です。

いずれにしても、デフレをそのまま放置してね景気を良くせずに、単に増税と国債だけで国庫を賄おうとすれば、池田氏が語る最悪の状況が現実のものとなり、いずれハイパーインフレがおこり、国民が大きなつけを払わなければならなくなります。



しかし、今からインフレターゲット政策を行い、デフレを克服しておけば、そのようなことには絶対になりません。なぜそのようなことが言えるかといえば、日本はもともと豊な国であり、政府は借金をしていまいますが、日本国そのものは、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、過去20年以上にもわたって、世界一です。その額は、260兆円を超えます。

確かに貧乏国であれば、インフレターゲット政策をとっても、何をしていても限界があり、何をしても、池田氏の言っているような暗い未来しかないかもしれません。

しかし、日本はそんな国ではありません。もともと、相当豊な国です。そんな豊な国が、デフレで消費が落ち込みとんでもないことになっているだけです。それは、日本がもともと豊な国であることから、確実に立て直すことができます。

デフレは悪いことばかり、一人あたりのGDPも落ち込むばかり・・・・・

池田氏が、語っている未来を現実のものにしないためにも、日本では、直近では、インフレターゲット政策を確実に行い、デフレを脱却する必要があります。そうして、それに一番反対しているのが、財務省です。そうして、上の記事の池田氏も、インフレターゲット政策でインフレにはならないと主張しています。

財務省は、国民生活などは二の次で、何が何でも増税すべきという方針を貫いてきました。今回の選挙は、こうした財務省の方針に安倍総理が突きつけたということも意味しています。

増税するしないは目先のテクニカルな問題に過ぎず、その本質は、現状のインフレターゲット政策をどうするかが問題であり、さらに将来的には、このような方針は、財務省が決めるのではなく、国民に選ばれた国会や、政府が決めるべきという政治主導を実現するための第一歩でもあるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年5月28日火曜日

対外純資産、過去最大の296兆円 2位中国の2倍、22年連続「世界一の債権国」―【私の論評】対外金融資産が世界一の国日本が、財政破綻すると思い込むのは狂気の沙汰、そんなことをいい触れ回る輩は大馬鹿かスパイに決まり(゚д゚)!

対外純資産、過去最大の296兆円 2位中国の2倍、22年連続「世界一の債権国」

2013.5.28 10:05

日本国は世界一の金貸し国家!!

財務省が28日発表した平成24年末の対外資産負債残高によると、日本の企業や政府、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産は前年末比11・6%増の296兆3150億円で、21年末の268兆2460億円を上回り、過去最大となった。増加は2年連続。

麻生太郎財務相が同日の閣議に報告した。年前半は円高の進行で企業が海外でM&A(企業の合併・買収)を進めるなど直接投資を増やした一方で、年末にかけて円安が進み、取得した海外資産の円換算の評価額が上がったことが影響した。

国際通貨基金(IMF)などの統計では、主要国の24年末の対外純資産は2位の中国は150兆2875億円、3位のドイツが121兆8960億円。このため、日本は平成3年以降22年連続で「世界一の債権国」の座を維持した。

【私の論評】対外金融資産が世界一の国日本が、財政破綻すると思い込むのは狂気の沙汰、そんなことをメディアでいい触れ回る輩は目障り、耳障り、醜悪(゚д゚)!

上の記事の対外純資産は、より正確には、対外金融純資産です。対外純資産ということであれば、外国に貸し付けている動産から不動産んから何から何までということになり、計算したり比較したりするのはかなり難しいです。対外金融純資産ということであれば、現金・預金・債券などですから、無論計算もできますし、比較もできます。


対外金融資産とは何かといえば、日本の企業や政府、個人投資家が海外に貸し付けているお金ということです。これが、世界一とは、日本が世界一番外国にお金を貸し付けている国であるということです。世界一の金持ち国家ということです。

良く、日本国は借金だらけで大変だとか、酷いのになる、日本国借金時計など作成して大騒ぎしている、神経症のような統合失調症のような人がいます。たとえば、下の図のような借金時計を作成して、大騒ぎしています。

これは、全くの間違いです。これは、まずは国家の借金というのが間違いです。日本政府の借金=日本国家の借金ではありません。日本国には、政府、家計、金融機関、民間企業があります。政府の借金はこれらを総合したものではありません。政府の借金は、政府だけの借金であり、他の家計や、金融機関や、民間企業の分は含んでいません。そうして、日本の政府以外の家計、金融機関、民間企業は、借金はないどころか、かなりお金を溜め込んでいます。

だから、政府とこれらを全部あわせると、借金どころか、プラスになります。だからこそ、過去22年間も外国に貸し付けているお金が世界一なのです。それに、あなたの家庭の負債額というのも、全くの出鱈目です。これは、あなたの家庭の負債ではなく、あなたの家庭の政府に対する貸付というのが正しいです。

凄いですね。2010年の時点で、日本の家庭は、1000万以上も政府にお金を貸し付けているんですよ。こんな、国はどこにもありません。何?自分はそんなに貸していないって?そりゃそうでしょう。でも、皆さん貯金はありますね。その貯金は、銀行に預けますね。銀行は、そのお金で、国債を購入して、運用しています。

あまり運用益はでないものの、日本の国債ほど安心なものはないので、そうしているのです。というより、少し前までは株価が低迷していたので、そうせざるを得ないということです。ですから、皆さんは、知らずして、国債を買っているようなものです。特に、高齢者ほど資産が多いですから、確かに高齢者でない人にとって、そのような自覚はないかもしれませんが、現実はそうなのです。

世間には、政府の借金と国の借金を同じように捉えて、政府が大借金しているから日本は財政破綻するなどとしたり顔、どや顔で話をするマスコミや、識者といわれる人たちがいますが、これは全く間違いです。そうして、こんなことを主張するのは、全くおかど違いで、いかれているとしか思えません、余程の大馬鹿か外国のスパイなのかどちらかです。

勝栄二郎氏

この種の論調は、本来、財務省の元財務次官勝栄二郎氏が、放逐されて以来、誰も信用しないフィクションにすぎません。ご存知のように、勝栄二郎氏は、昨年財務省をやめざるをえませんでした。なぜなら、それこそ、上のような論調、すなわち、日本国家が借金だらけであるという、戯言を時の総理大臣野田や、自民党総裁の谷垣に吹き込み信じこませたというとんでもない、大馬鹿真似をした咎で、大蔵元老院から、引導をわたされ、挙句の果てに元老院の末席にも座らせてもらえることもなく、IT企業に放逐されてしまいました。財務省の超エリート、天下人にとっては、IT企業に放逐されるなどということは、本来有り得るはずもなく、放逐されたという以外に説明はつきません。

政府が大借金をしているから、国も大借金などと思い込むのは、まったくの間違いです 。特に、日本については大きな間違いです。日本の場合、政府がかなりの借金をしていたとしても、そのほとんどが国内から借金をしているであって、外国から借金をしているわけではありません。だから、ギリシャなどと同次元に扱うわけにはいきません。


これが、たとえばEUのギリシャやスペインなどの場合は、政府そのものが、外国から借金をしています。それどころか、国民もかなり外国から借金をしています。だから、財政破綻する可能性もあるわけです。


しかし、日本はそうではありません。政府の借金はほとんどが国内からのものです。では、なぜ借金をしなければならないかといえば、デフレだからです。バブルを抑えるため、日銀が金融引き締めを実施し、政府が緊縮財政をしたため、デフレに突入しましたが、その後もこのような金融政策、財政政策を続けたため、ますます景気が落ち込み、税収が減り、さらなるデフレスパイラルに落ち込み借金を増やさざるをえなくなりました。

社会福祉などへの支出が増えたから財政赤字となり、政府の借金が増えたというマスコミや、識者がいますが、社会福祉への支出が増えたことと、デフレを比較すれば、デフレによる税収減のほうが、社会福祉への支出増などはるかに上回っています。だから、何としても、まずはデフレを克服しなければなりません。


しかし、こんなときに、財政均衡ばかり気にして、過去においては増税したこともありました。その結果、は惨憺たる有様で、デフレに突入した後の増税によっては、結局今に至るまで、増税前の税収を増えたことは一回もありません。だから、何が何でも、金融緩和、財政出動をして、まずはデフレから脱出しなければなりません。だからこそ、アベノミクスの第一の矢である、大規模な金融緩和が行われているのです。

こうした最中にあって、したり顔や、どや顏で、アベノミクス批判をするマスコミや、識者がいます。特に、最近の株価の上下について、そのようなことをするものがいます。それについては、以下にその記事のURLと概要を掲載します。
金融緩和のキモは実質金利の低下にある!短期的な株価の乱高下でアベノミクス批判をすることの滑稽さ
 前回は長期金利上昇の”から騒ぎ”を書いたが、今週は株価の乱高下を取り上げてみよう。
 5月23日の日経平均は1万4483円と前日の1万5627円から大幅に値下がり、下落率7.32%と戦後第10位の下落になった。翌24日も乱高下し終値で1万4612円だった。
ただ、この水準は5月10日頃とほとんど同じだ。株式市場ではしばしば見られる現象で、一本調子での上げ相場の後の「調整局面」だろう。この調整はどんなきっかけでも起こりうる。
 株価の上昇は金持ちにだけ恩恵があり庶民に関係ないと言っていたアベノミスク批判者が、今度は株価の下落で大騒ぎするのは滑稽である。また、名目長期金利の上昇を批判していたのに、株価の下落で名目長期金利の下落があったことについてまったく言及しないのは、批判のための批判であろう。
・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・
 要するに、金融政策から2年後の名目GDP成長率は9割方わかるが、1年後の株価上昇率はほとんどわからないのだ。これは、株価が一時的に下がっても、金融政策さえ間違えなければ、実体経済はよくなるということを示唆している。この意味で、株価の乱高下は、たいしたことではない。
 株価が将来の経済の先取りといっても、せいぜい5割程度の話だ。金融政策は、GDPを成長させ、インフレ率を安定化させ、失業率をできるだけ低くするためにやっている。その観点から見れば、やはり短期的な株価の動向には一喜一憂しないのが正しい。
 まともな経済政策をすれば、株価もまともなものになるだろう。それでも株価固有の動きもあるので保証はできないといった程度の話だ。
 もちろん株価が高ければ企業の資金調達も容易になるなど、経済にいいことは間違いない。しかし、株価は政策目標としていないのだから、それを理由に政策批判はできない。
さすが、経済の専門家である、高橋洋一氏です。現在の株価の上下について、こんなことで一喜一憂するのは愚かしいことであることをしっかりと説明されています。しかし、このようなしっかりした説明や背景いを聴かなくてもアベノミクスの批判があたらないことは誰にでも理解できます。


考えてみてください、半年前、一年前の株価はどうでしたか、あの頃の水準であれば、株価も下がりようもないわけで、一万五千円を超える水準になったからこそ、調整局面で上下するのが当たり前です。株価を上下しないようにするには、また、株価をかなり下げる政策、すなわち、反アベノミクス政策、すなわち、金融引き締め政策を再開すれば、すぐに株価が下がり、株価が乱高下することはなくなります。

アベノミクス批判をする人たちは、こうなれば良いと思っているのでしょうか?そんなに、日本が駄目になる、いや駄目にしたいと思うのなら、以前にもこのブログに掲載したように、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)でもやって大儲けして下さい。しかし、日本の財政破綻を主張する人が、なぜか、やらないんです。不思議です。CDSが繁盛しているなどという話は、金輪際聴いたことがありません。ということは、誰も本当は、日本が財政破綻するなどとは思っていないということです。

中国ハニートラップ?

日本の破綻を堅く信じる人、それに、日本が財政破綻すると喧伝す人たち、何も日本にいなくても良いですよ。全財産を元にでも変えて、中国でもどこでも行ってください。あなたたちが、日本にいて、経済に関して人を惑わすようなことばかりいうくらいなら、そうしたほうがお互いにとって、良いことになると思います。でもそうはしないんですね。ということは、あなた方にとって、日本は財政破綻しないし、日本以外の中国などの国よりも、随分と良い国なんですね。なら、おとなしくして日本に住んでろ!!余計なことは言うな。それとも、中国にハニートラップで、金玉でも握られているんでしょうか?今株価さがり、さらに円高になれば、大喜びするのは誰か、考えれば判ることです。どっちにしろ、目障り、耳障りです。醜悪です。

耳障り!目障り!醜悪!
私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?

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2012年5月18日金曜日

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!―【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

【お金は知っている】“国の借金”とは財務官僚の詐欺論法!:




最近でも、財務省による「1000兆円借金」論が以下のように報じられる。

--財務省は10日、国債など「国の借金」が平成23年度末時点で過去最大の959兆9503億円になったと発表した。24年度末時点の借金は1085兆5072億円と1000兆円を突破する--

「国の借金」とは財務官僚の詐欺論法である。

官僚は「政府」とは「国」のことだと勝手に解釈し、御用メディアを通じて「政府=国=国民」だと読者の頭に刷り込んでしまう。ところが、英語では国と国民はいずれもnationなのだが、政府はgovernmentであり、はっきりと国と政府を区別している。政府の借金とは政府の借金以外、何でもない。米国で「国民の借金」だと政府が公言すれば、「何を言っているか、責任を有権者に押し付けるつもりか」とたちまち世論の袋だたきにあうだろう。

ともあれ、日本の財務官僚はこの錯覚を利用して、そのホームページなどで、「国の借金」を家計や国民一人当たりの借金に置き換えて、記者に劣らず経済音痴の官邸の主や議員を増税また増税に駆り立てる。

財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。

そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。

グラフは米国の政府と民間の借金合計額の国内総生産(GDP)比とインフレ率の推移を追っている。借金超大国でもある米国は借金すればするほど、物価が安定し、経済成長してきた。借金が膨張したからといって、悪性インフレになるどころではない。逆である。物価は安定度を高めていることが読みとれる。

政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。

日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。

野党の自公両党も政権時代に大失敗を重ねてきたのに頬被りし、増税で帳尻合わせしようとした。その点、民主党と大差ない。政局の表舞台では小競り合いの演技、裏舞台では消費増税で事実上の大談合、大連立だ。

誤った国の定義をただすのが民主主義国家の野党の役割だというのに情けない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】全くこの通り、まさに我が意を得たりという心地がする!!ただし、もっとわかりやすくすれば、結局こういうことだ!!

さて、田村氏、産経新聞のなかでも、ほとんど勉強もしない、理屈もわかっていない、新聞記者が、特にマクロ経済に関して、わけのわからない記事を掲載したりして、げんなりすることもあります。その中にあって、長年経済記者をやってきた田村氏は、きちんと、マクロ経済のことを理解して経済記事を書きます。安心して読むことができます。

産経新聞にも、勉強不足の記者がいますが、他の日経新聞を含む大手新聞などは、ここ10年くらい、特にマクロ経済に関する記事がかなり劣化しており、マクロ経済の専門家などにいわせると、その95%くらいが真偽のほどがはっきりしないものだといわれるほど、酷いことになっています。そんな、中で、田村氏の記事は、しっかりとしたマクロ経済の背景から語る記事であり、情報源として優れています。

田村秀男
上の田村秀男氏の文章なかなか、わかりやすく、ずばり政治家や官僚の無能を指摘しており、まさに、我が意を得たりという感じがして素晴らしいいと思うのですが、この方の話を多くの日本国民に理解していただくためには、上の文書や、資料ではものたりないと思いますので本日は、上記記事の補足をさせていただきます。

まずは、上の記事の以下の部分を実際にグラフでそれに相当する部分をみてみましょう。

まずは、"財務官僚やメディアの言う「国の借金」とは、「政府の国民からの借金」であり、国民にとってみれば資産である。国民は政府にきちんと元利返済させる権利を持つ。ところが、国民に増税を認めよ、そしたら返すというのが財務官僚と野田政権のロジックである。とんでもない、ならず者の論理ではないか(詳しくは拙近著「財務省『オオカミ少年』論」参照)。"の意味するところを紐解いていきましょう。

まずは、下のグラフ(日本国の金融資産をグラフ化したもの)をみれば、政府の借金は、確かに、1000兆円くらいありますが、同時に政府が500兆円近い資産を所有していることがわかります。政府や、官僚は、まずはこのことは絶対にいいません。政府の借金だけ語ります。これは、一般民間企業でいえば、自分の企業に関して、負債ばかり話して、資産について語らないと同じことです。そうして、この金融資産他国の政府の比較すると、トップレベルにあります。アメリカよりも多いです。そうして、この金融資産の多くは、特別会計に含まれているものなどです。


 それから、上のグラフで、合計がありますが、資産のほうが負債よりも大きいです。これは、何を意味するかといえば、日本国のすべての金融資産が日本国内だけにあれば、合計の資産と負債は同額になるはずです。実は、この差額、海外に貸し付けている金融資産です。これは、約260兆円あります。もし、政府がいうように、国単位で借金をしているというのなら、この合計で、では、負債のほうが資産よりも大きいはずです。

実際、アメリカは、ドル建てで、海外から借金をしています。アメリカの場合、この合計のグラフ、負債のほうが、資産よりも300兆円も多いということになります。そういうと、アメリカは借金まみれで、いつ破綻するかわからないのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、アメリカの場合、すべて機軸通貨であるアメリカドル建てで借金をしているため、そのような心配はありません。

日本国は、借金どころか、海外に260兆円も貸し付けているということです。これが政府のように借金をしているというのなら、これは、負債のほうが多くなるはずです。日本国は、正真正銘借金などないのです。これが、ギリシャのような国の場合海外から借金をしており、これと同様なグラフを描けば、負債のほうが多くなっています。しかも、ギリシャのような本当に財政破綻しそうな国では、この借金アメリカと異なり、外貨によるものです。この場合を正真正銘の負債であり、国の借金といいます。

グラフでみると、家計という項目がありますが、これが、いわゆる国民の資産ということになります。資産が、1500兆円くらいあることがわかります。借金もありますが、それは、数百兆円に過ぎず、圧倒的に資産が多いことがわかります。これをみただけで、国民は借金をしていないということがよくわかります。ですから、政府や官僚がいう、国民の借金などという表現は、本当に頓珍漢といわざるをえません。政府や官僚の言うことは、無借金で生活している人に、「てめーら、オレからの借金を返しやがれ!!」といって、罵倒しているのと何らかわりありません。

それから、最近では、政府による借金のほとんどが、国債によるものですが、その国債の保有割合を示したのが、下の円グラブです。


右の保有割合の、上の郵貯~個人投資家にいたるまで、すべてが、日本国内ということです。海外投資家というところだけが、海外からの購入であり、その割合は、6.4%に過ぎません。それに、郵貯、カンポ、一般銀行、一般保険・年金、公的年金とは、結局国民の資産です。直接的に国債を購入している国民は、個人投資家という項目で、それは、5.3%に過ぎませんが。他のほとんどは、金融機関などが、国民から預かったお金で、国債を購入して運用しているということです。結局国民が、間接的に購入しているということです。これは、要するに国民が間接あるいは、直接政府に国債を通じて、お金を貸し付けているということです。

ここでもし、海外投資家の項目がかなり、大きければ、それは、外国から国債を通じて、借金をしているということになりますが、この割合はかなり少ないです。要するに、外国からほとんど借金をしていないということです。これが、かなり、海外投資家の割合が多かったとすれば、海外からの借金が、かなりあるとを示しています。日本国は、これだけ、この割合が少ないため、海外に貸しつけている、金融資産が、海外から借りている資産をはるかに上回り、結果として、先ほども掲載したように、差し引き260兆円もの金融純資産を海外に持っているというか、貸し付けていることになります。

それから、上の記事で、"そもそも、お金ですべてが動く近現代社会では、借金があってこそ世が栄える。従って、政府も民間も借金すること自体は「よいこと」なのである。"とありますが、金融機関は、資産と負債がイーブンです。企業は、負債のほうが多いです。政府も負債のほうが多いです。

特に、企業が負債が多いということは、何を示しているかといえば、それは、お金を借りて、設備投資や、人材育成をしているということを示しており、これが、全く借りていなければ、それらに何もしていないということになります。だから、上の筆者は、「借金=悪」という考え方は間違いということをいいたいのです。

これは、リチャード・クー氏が、日本のバブルが崩壊して、しばらくしてからも、景気がなかなか浮揚しないという現実をみて、「バランス・シート」不況と語っていたことを考えてみればわかることです。

2005年当時、リチャード・クー氏がこのバランス・シート不況のことについて語っていたことがあります。それについて、詳細は、以下のURLをご覧いただくものとして、以下のその要約をコピペしておきます。



リチャード・クー氏
一国の経済というのは、家計が貯金して、それを企業が借りて使うということで円滑に回るわけです。その真ん中に証券会社とか銀行があって、仲介業務をするんですね。企業が一斉に借金返済にまわったら、家計の預・貯金はまったく使われない訳です。
そうすると企業の借金返済と家計の貯蓄を合わせた額が銀行に入ってきて、二度と出ていかないということになります。 
これがデフレギャップです。少なく見積もっても35兆円から40兆円あります(当時)>
ということは、誰かがこれを使わないと経済はどんどんシュリンクしちゃうわけで、それを私はバランスシート不況と呼んだわけです。 
今の日本企業は、すでに十数年間借金返済を続けて、かなり有利子負債残高が落ちています。 
ただ、資産価値の下落があまりにも大きかったので、もう少し借金返済をしないと安心できないというのが今の状況だと思います。 
ともかく「合成の誤謬」の中で、政府は民間に対して借金返済をやめろとは言えないわけです。 
でもほっておいたら、それこそ大恐慌になってしまう。 
こういう時には政府は民間と逆の行動をとらないといけないわけで、35兆円から40兆円(当時、現在なら100兆円くらいは必要です)を政府が借りて使う、そうすると全てが回るわけです。 
これを私はずっと言い続けてきた訳で、このバランスシート不況に限って、財政出動は不可欠であるというのがこの理論です。 
今後の景気見通しという点でいえば、まだ企業の借金返済はGDPの6%、30兆円規模で続いていますから、しばらくは財政支出を続けなくてはいけない。 
しかし、もう1~2年もすれば、多くの企業が借金返済を終えるでしょう。一部の企業では、もう去年の4月から終わっているんです。 
企業が再びお金を借りるようになれば、また金融政策が効き始めます。

要するに、多くの企業が、借金を返済することばかりに気を使い、新たにお金を借りることをしなければ、経済は不況に陥るということです。それは、そうですね。多くの企業は、何か新しいことをはじめるには、株式を新たに発行したり、金融機関からお金を借りてはじめるのがほとんどです。それが、借金を全くしないというのであれば、何もしないということです。何もしなければ、企業は業績を伸ばすことはできないということです。

それは、政府だって、同じことです。政府が借金がまるでなく、極端なことをいえば、資産のほうがはるかに多かった場合、この政府は、何も新しいことを実施しないということです。これが、良いことであるはずがありません。政府は、今のところ、借金のほうがはるかに多く、資産は少ないです。では、政府は、良い仕事をしているのでしょうか?そんなことはありません。

日本政府や官僚は、仕事をしない飲んだくれ父さんのようなもの
上の記事にもあるように、「政府の義務は国民から借金し、その資金で国民に安全と雇用機会や所得増をもたらす政策の実行で成果を挙げることだ。」ということなのですが、結局政府は、これをないがしろにしてきました。なんだかんだといって、歴代の政府は、緊縮財政ばかりやってきました。

国民は、政府や役人の無能にも気づかず、大人しく働くラブラドールのよう
「日本の場合、政府が政策で大失敗し、デフレ不況と失業、窮乏化、大災害に無防備、という最悪の結果を招いている。この責任を政府や官僚がとるどころではない。だれも知らぬふり、揚げ句の果てに、政府はこの借金は国すなわち国民の借金だから、さっさと増税を受け入れろ、と迫る。」という具合です。この20年というもの、政府は、本来リチャード・クー氏も言っているように積極財政をすべきだったのですが、結局緊縮財政ばかりして、さらには、増税でその緊縮を加速してきたというのが真相です。そうして、日銀は、金融引き締めを行い続け政府の緊縮を後押ししてきました。

その結果が、現在の経済の癌ともいえるデフレです。デフレは、異常な状況です。デフレ下で増税して、税収が増えたなどということは、日本でも他国でもありません。逆です。減ります。

結局、政府の借金が増えてはいますが、その借金が有効なことにつかわれおらず、先の展望も見えないということです、それを、国民のせいにして、今のデフレの時期に増税するというような馬鹿なをことを言っても、マスコミも、多くの国民も、その不当な要求を退けるどころか、迎合しつつあるというのが、今の状況です。だから、上の記事の筆者は、それに警鐘を鳴らすために、上のような記事を書いたということです。そうして、政府がさらなる借金をして、まともに仕事をするようにしたとすると、ハイパーインフレになるなどという輩がいるので、借金をしても物価が安定するというアメリカの例をグラブで示したということです。

さて、今の段階で政府がさらに借金をして、経済対策を行うとなると、それを国債で賄うということになれば、国債の金利が上昇し、誰も買わなくなるなどとする輩もいます。しかし、現実には、国債の長期金利は低いままで推移しています。さらに、最近では以下のような事態も生じています。
日本銀行が16日に行った資産買い入れ基金を通じた長期国債の買い入れオペで、応札額が取得予定額に届かない札割れとなった。
 金融緩和のため2010年10月に導入した基金での国債の札割れは初めて。
 満期までの期間が「1年以上2年以下」の国債で、6000億円の取得予定額に対し、応札額が4805億円にとどまった。新発2年物国債の流通利回りが一時、オペ対象の利回りの下限である0・1%を割り込むなど、ギリシャの政局不安を背景に投資家の国債への需要が高まったためとみられる。「日銀の相次ぐ金融緩和による国債購入で、市場に出回る2年以下の国債が少なくなっていた」(SMBC日興証券の野地慎氏)との指摘もある。
要するに、日銀が金融緩和措置の一環で、民間銀行から長期国債を買い入れようとしたら、予定額より下回ってしまったということです。それだけ、日本の国債は、現状では、人気があるということです。信用もあるということです。であれば、国債で借金をして、実施すべき震災復興や、それ以外のやるべき公共工事など実施して、 デフレ不況と失業対策、窮乏化対策、大災害に無防備状況の解消を行い、 景気を上向かせ、国民の所得水準向上させ、増収をはかるというのが、政府のやるべきことです。日銀は、本格的に金融緩和をして、政府を下支えすべきです。そうして、景気が過熱してインフレになれば、増税すれば良いということです。

企業や、一般家庭では、一端お金を支出すれば、それは消えてしまうと考えます。しかし、国の場合違います。一端政府が借金をして、支出したとします。それは、国から消えてなくなるわけではありません。それは、何らかの形で、企業や、家計に移転することになります。そうして、企業や個々人が稼いで、収入が増え、景気も上向き、そうなれば、税収も増えるということになります。

ご理解いただけたでしょうか?本来自分たちの無能を国民に押し付けようとする政府や官僚は、袋叩きにされるべき筋のものです。この論考について、反論のある方は、あるいは、賛成の方、是非コメントを残していっていただければ、幸いです。


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