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2017年9月24日日曜日

憲法の縛りのせいで拉致・ミサイルに対抗する手段がない。だったら「憲法のほうがおかしい。変える」ってなるのが普通でしょ?―【私の論評】変化に焦点をあわせるなら憲法改正は当然(゚д゚)!

憲法の縛りのせいで拉致・ミサイルに対抗する手段がない。だったら「憲法のほうがおかしい。変える」ってなるのが普通でしょ?

ジャーナリストの有本香が北朝鮮問題と憲法改正について複雑に入り組んだ話をシンプルに解説してみせた。

まさに正論。これこそが本質だ。

有本香「普通に考えてみてください。例えば憲法というものがあります。これは国にとって非常に大事なものですね、最高法規ですから。しかし、自分の国の国民が領内から拉致されようが、ミサイルを向けられようが何の打つ手もありません。なぜならば憲法の制約があるからですと言ったとしたら、憲法のほうがおかしいっていうふうに思うのが普通でしょ。だったらそれを変えましょうとなるのがごくごく普通の考えじゃないですか?」

北朝鮮の暴走が激化し、憲法というルールが現状に合わなくなってきた今、憲法改正に向けて議論を進めるのは至極当たり前のことだ。金正恩は日本が何も反撃できないことを知ったうえでどんどんミサイルを撃って威嚇してくる。韓国、中国、ロシア、アメリカあたりを狙うと即座に攻撃されるので日本をターゲットにしているのだ。

そこで憲法を改正し、より防衛力を高められる内容に変えてもいいのではないか。安倍総理が考えていることはおおよそこのようなことなのだろう。一貫して反対し続ける野党とマスコミの代替案は「話し合い」。「酒を酌み交わして話し合う」と言ったSEALDsと同程度ではないか。
アメリカのトランプ大統領は金正恩にあだ名を付けて挑発しまくっている。



以前つけた「ロケットマン」に「リトル」を追加。オバマ大統領だったら絶対に言わないであろう言葉に会場は大盛り上がり。金正恩相手に喧嘩するならオバマよりトランプのほうが心強い気がする。
▼動画。0:13から「リトルロケットマン!我々がやる。なぜなら他に選択肢がないからだ」と言っている。

ちなみにトランプ大統領の身長は190cm。体の大きさも国の大きさも金正恩より圧倒的に大きい。安倍総理の働きかけでトランプ大統領は日本の味方になっており金正恩は劣勢に立たされている。

【私の論評】変化に焦点をあわせるなら憲法改正は当然(゚д゚)!

有森香さん
有本香さんの主張は、もっともなことです。憲法のほうが時代にあわなくなってくれば、憲法を変えるというのが当然の流れです。

このことは、個人の問題や会社の問題などに置き換えれば簡単に理解できます。ただし、私は国レベルの問題を個人レベルにおきかえて話をするのは、あまり好きではありません。特に国の経済の話を、個人レベルの話に置き換えるのは好きではないです。

それは、個人レベルの節約は善とされるのですが、国レベルまでそれを善とすることは正しくはないからです。それが理解できないため、国債は悪と単純に考える愚かな人もいます。このあたりの話は、述べ始めるとかなり長くなってしまうので、また機会を改めて述べます。

だから、国の話を大企業の話にたとえるくらいのほうが、より現実的なたとえができると思います。

ここです、憲法の話を大企業の話に例えてみたいと思います。マネジメントの大家である、ドラッカー氏はマネジメントの話をするときに、大企業を例として出すことが多いです。

そのドラッカー氏が企業家精神について、次のようなことを言っています。
企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、健全なこととすることである。(ドラッカー名著集『イノベーションと企業家精神』)
人の世のものはすべて変化します。企業家とは、その変化を利用して価値あるものを生み出し、さらに変化を増幅して文明をつくっていく者のことです。

したがって変化を当然とし、変化を歓迎する心意気でなければ企業家たることはできないのです。“管理者”ならば、管理しやすいようにと変化が起こらないことを祈り、変化が起こってもわれ関せず然とすることも許されるかもしれません。しかし企業家はそうはいかないのです。

しかもこれだけ世の中の変化が急になると、管理だけではすみません。企業家なき企業は、企業として生き残れません。

企業だけではありません。公的機関や非営利組織まで企業家を必要とし、企業家精神を必要とするに至っているのです。さらには、社長だけでなく、部長、課長、平社員、さらにはパートにまで、企業家精神が求められるようになったのです。

今成功しているリーダー的な企業は、すべて企業家精神の発揮によって今日の地位にあるのです。

明治時代に描かれた錦絵
ドラッカーは最後まで、大化の改新、明治維新、戦後の復興の経験を持つ日本人の企業家精神に期待していました。
企業家は変化を当然かつ健全なものとする。彼ら自身は、それらの変化を引き起こさないかも知れない。しかし、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。(『イノベーションと企業家精神』)
この企業家精神は、国レベルでも当然のことなが重要です。政治家はもとより、一般国民に至るまで、変化を当然のこと、健全なこととすることが求められるのです。

世の中が変化すれば、それに対応して、憲法も変えるのが当然のことです。

いや、それどころか、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する姿勢が求められるのです。

いつまでも、米国によって作られた、占領地法のような日本国憲法にしがみついているべきではないです。憲法を、日本国民が変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用しやすいように変えていかなければならないのです。

憲法ではなく変化に焦点をあわせるなら、憲法を変えるのは当然のことです。

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2017年9月20日水曜日

トランプ氏、国連演説で北朝鮮糾弾「ロケットマンが自殺行為」拉致にも言及「日本人の13歳少女を拉致した」―【私の論評】トランプ氏の演説は、北朝鮮の非道ぶりを再認識させた(゚д゚)!

トランプ氏、国連演説で北朝鮮糾弾 「ロケットマンが自殺行為」 拉致にも言及「日本人の13歳少女を拉致した」

国連で演説するトランプ大統領 動画はブログ管理人挿入 以下写真等同じ

 トランプ米大統領は19日、国連総会で初の一般討論演説を行い、外交分野に関する政権の理念と戦略について表明した。トランプ氏は持論である「米国第一」を掲げる一方、北朝鮮の核・ミサイル開発問題を「世界全体の脅威だ」と指摘し、国連が一体となって北朝鮮に核放棄を迫っていくべきだと訴えた。

 トランプ氏は北朝鮮やイランを「ならずもの体制だ」と指摘。北朝鮮の金正恩体制について「ロケットマンが自殺行為の任務を進めている」と述べ、北朝鮮の核・弾道ミサイルは金体制の崩壊につながると警告。「米国はあらゆる手段を講じて自国と同盟国を防衛する」と言明するとともに、もし軍事攻撃に踏み切る事態となれば「北朝鮮は完全に破壊される」と強調した。

 また、加盟各国に対し国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の確実な履行などを通じた締め付け強化を要請するとともに、先の安保理決議で賛成に回った中国とロシアに対して謝意を表明した。
北朝鮮に拉致された横田めぐみさん
一方、日本の横田めぐみさん(52)=拉致当時(13)=を念頭に、「日本人の13歳の少女が拉致された。彼女はスパイの養成に利用された」と述べるとともに、「北朝鮮はすさまじい人権侵害を行っている」と非難した。

 また、中国による軍事進出が続く南シナ海問題で、「法を尊重すべきだ」と述べ、中国による現状変更の試みを強く牽制した。

 中東で影響力拡大を図るイランについては、地域情勢を不安定化させる「残忍な政権だ」と非難。2015年のイラン核合意について「恥ずべきものだった」と述べ、合意見直しの可能性について示唆した。

 トランプ氏はまた、国連は「独立国家間の協力」という理念の下に設立されたと指摘し、加盟国が他国の「主権尊重」を前提に相互連携を進めてこそ、世界の「平和と繁栄」につながると主張。同氏が「米国第一」を掲げるように、「他の国々も自国を第一に置くべきだ」と語った。

【私の論評】トランプ氏の演説は、北朝鮮の非道ぶりを再認識させた(゚д゚)!

トランプ大統領の国連での演説
トランプ米大統領による初の国連総会での一般討論演説は、「米国第一」を含む、国連加盟各国の主権を尊重する自国優先主義こそが世界の「平和と繁栄」の実現に向けた国連の活性化につながると表明した。背景には、米国が外交・安全保障分野での重要課題と位置づける北朝鮮の核・ミサイル開発問題やシリア情勢、テロとの戦い、ベネズエラ情勢などについて、いずれも国連を通じた国際連携なしには事態の打開が難しいとの判断があります。

トランプ氏が北朝鮮による横田めぐみさんらの拉致問題に言及し、北朝鮮の核・ミサイル開発を国際社会全体の問題と位置づけたのも、各国がそれぞれの安全保障上の利害を共有してこそ事態解決の道が開かれるとみている表れです。

日本としても、トランプ氏が国連総会の場で日本の拉致問題に言及したことは、北朝鮮の核問題に隠れて拉致問題が国際社会の中で存在感が低下していく懸念を薄めた点でも大きな意義がありました。

トランプ大統領によるこの発言は、当然のことながら、普段から安倍首相がトランプ大統領とコミュニケーションをとっていたことが影響していると思います。

「安倍首相はトランプ大統領の忠誠心ある相棒(sidekick)だ」――この8月、こんな見出しの記事が米国の大手紙、ウォール・ストリート・ジャーナルに大きく掲載されました。

 また9月には、ニューヨーク・タイムズが「トランプ大統領は日本の安倍首相こそを友人だとみなしている」という見出しの長文の記事を掲載しました。

都内で、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて行われたトランプ米大統領と
安倍首相の電話会談のニュースを伝える街頭ディスプレー(2017年8月29日)
安倍首相とトランプ大統領の親しい関係は国際的に知られていますが、米国では、その親密な仲にさらに関心が高まり、国際関係や日米関係の専門家たちまでもが正面から論評するようになりました。

日米首脳の 多様な意見を総合すると、米国でのこの「日米相棒関係」への評価は、いまのところ前向きです。そうして、その評価は正しいと思います。それは、今日トランプ大統領の国連のスピーチにおいて「横田めぐみさん」について言及したことにも現れていると思います。

トランプ氏が北朝鮮の「完全破壊」に言及した際、議場からはどよめきが起きました。北朝鮮の国連大使も演説途中で抗議の退席。こうした場面もトランプ氏の強い姿勢を際立たせました。

トランプ氏は大統領に就任する前の昨年12月、国連は「集まって話して楽しむクラブに過ぎない」などと批判していました。トランプ氏による今回の演説は、国連を軽視するかのような従来の立場と孤立主義を連想させる「米国第一」の主張を、国連の理念である「主権」「安全」「繁栄」と絶妙に融合させ、「トランプ時代の国連」という新たな概念を打ち出したといえます。

トランプ氏は、日本人拉致問題をはじめ、米国青年の悲惨な死、北朝鮮国内での餓死、投獄、拷問や、正恩氏の異母兄である金正男氏殺害事件にも触れ、あらゆる点から北朝鮮を非難しました。

トランプ大統領の演説は、北朝鮮の非道ぶりを再認識させたと思います。北朝鮮は長い間非道ぶりを繰り返してきましたが、それが常態化しているため、多くの人々の感覚が麻痺していたと思います。


これは、日本の多数の国民が、北朝鮮の非道には屈しないという意図の現れだと思います。これは、多くの日本人が本能的に国家の危機を嗅ぎ分けたからです。さらに、事実を知れば賛成の数値も上昇することになります。

今回の、トランプ氏の演説は、この点でも非常に有意義なものであったといえます。そうして、これは北朝鮮には宥和政策は絶対に用いないという、トランプ氏の決意の表れでもあります。

宥和政策では、人類は過去に大失敗をしています。

ヒトラー(左)とチェンパレン(右)
宥和政策(Appeasement Policy)は、外交上の譲歩によって戦争を極力避けて平和を維持しようという面では評価されてもよいことですが、イギリスの宥和政策はナチス=ドイツの領土拡張要求を、小国の犠牲において認め、それと妥協することによって自国の安全を図ったもの、という否定的な評価が一般的です。

特に1938年のミュンヘン会談で、当事者であるチェコスロヴァキアの不参加の下でズデーテン割譲を認めたことは、ヒトラーの野心を見抜けなかったこととあわせて当時のイギリス首相チェンバレンの失策と言わざるを得ないです。

しかし、そう言えるのは「後知恵」であり、当時はチェンバレンは戦争の危機からヨーロッパを救ったヒーローとみられており、ミュンヘン会談から帰国したチェンバレンは平和を実現したとしてロンドンで大歓迎を受けたことを忘れてはならないです。それでは、彼はなぜ、「宥和」を前面に押し出したのでしょうか。

1935年に成立したボールドウィン(保守党党首)内閣から、イギリスはヨーロッパにおけるナチス=ドイツの反ヴェルサイユ体制の動きや、アジアにおける日本の中国侵略などに対して、積極的に非難せず、むしろそれを黙認するという姿勢をとりました。当時イギリスにとって脅威はソ連=コミンテルンと考えられていたので、ドイツや日本はソ連を抑えるためには利用できると判断していました。

このような外交政策としての宥和政策が、明確になるのは、ヒトラーのナチスドイツがヴェルサイユ条約に違約して再軍備に踏み切ったことに対し、ストレーザ戦線で抗議しながら、一方で単独でドイツと交渉して英独海軍協定を締結し、ドイツの一定の軍備拡張を認めることによって、それ以上の要求は抑えられると判断したことに始まります。

第一次世界大戦後のイギリスで、ヴェルサイユ条約がドイツに対して過酷すぎると考え、ドイツの戦後復興を助けて軍備も対等なものなら認めてもよいと考える知識人がかなりいました。

この事例からも、宥和策は、ヒトラーのような邪悪な存在には、無効であることが良くわかります。

トランプ氏の主張のように、もし軍事攻撃に踏み切る事態となれば「北朝鮮の体制は完全に破壊する」くらいの信念を持たなければならないということです。

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2016年10月1日土曜日

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ―【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ

国立歴史民俗博物館の山田康弘教授
朝日新聞の8月30日朝刊のオピニオン欄「異議あり」に、「『縄文時代』はつくられた幻想に過ぎない」と題する、先史学者で国立歴史民俗博物館の山田康弘教授へのインタビュー記事が掲載されていた。

 縄文時代は戦後、稲作が開始された弥生時代と比較して、原始的な遅れた貧しい時代だと考えられてきた。「しかし70年代になると、縄文のイメージは大きく変わります。縄文は貧しいどころか、豊かな時代だったという見方が出てくるんです」と、山田氏はいう。

 その要因は、発掘調査が数多く行われたうえ、旧国鉄の旅行キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」にみられる日本再発見の時代風潮、芸術家の岡本太郎氏らの提示した「縄文ポピュリズム」などであった。

岡本太郎氏
 山田氏は「縄文のイメージは、考古学的な発見とそれぞれの時代の空気があいまってつくられてきたものです。見たい歴史を見た、いわば日本人の共同幻想だったのです」といい、以下のように結論付ける。

 「縄文に限らず、ある時代の一側面だけを切り取って、優劣をつけるのは、様々な意味で危険です。『縄文は遅れていた』『縄文はすばらしかった』と簡単に言ってしまうのではなく、多様な面をもっと知ってほしいですね」

 インタビューした記者も、次のように記している。

 「人は『見たい歴史』を見てしまうと山田さんは言う。縄文だけでなく、私たちは江戸時代や明治時代にも『見たい歴史』を見ているのかもしれない。『○○時代はこうだった』という思い込みの危うさを痛感させられた」

 日本の歴史の各時代の中で、私が最も幻想だと感じるのは、一番最近の「戦後日本」である。それは朝日新聞に代表される、昨年、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」であると表現される。しかし、戦後日本は本当に平和国家であったのか。日米安保条約によって守られて、単に戦争をしなかったというだけでは、本当の平和国家ではないだろう。それこそ「見たい歴史」を見ているだけではないのか。

 ところで、戦後日本においては「東洋のスイス」になることが理想とされた。だが、その声はいつの間にか消えてしまった。スイスの真の姿が、次第に知られてきたからである。ヨーロッパの真ん中にありながら、スイスは永世中立国として、第1次世界大戦にも、第2次世界大戦にも巻き込まれなかった。

 同じ永世中立国でも、ベルギーとルクセンブルクは、第1次でも第2次でも、ドイツに侵略された。第2次大戦で中立を宣言したオランダやデンマーク、ノルウェーも、ドイツに侵略されて中立を守れなかった。

 スイスにそれができたのは、「武装独立」と「国民皆兵制」を国防戦略の基本に据えるなど、国民が強固な国防意識を待って軍備を整え、侵略者にその気を起こさせなかったからである。自力で平和を守れる国こそが真の平和国家である。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)


【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

確かに、戦後日本が「平和国家」であったなどということは幻想に過ぎません。しかし、それは酒井信彦氏のブログ冒頭の記事で語っておられるように、戦争をしなかつただけということだけではなく、北朝鮮による拉致被害が生じていてそれに日本が対処してこなかったことでも、とても平和であったとなどは口が裂けてもいえません。

「拉致国民大集会」でスピーチをする横田早紀江さん(中央)
「日本の平和を守ろうと、みんなが口にします。けれども、いまの日本が平和なのでしょうか。北朝鮮に拉致された被害者の日本国民が放置され、しかも生存をかけて戦っている以上、いまの日本は平和ではありません」

姉のるみ子さんを北朝鮮工作員に拉致された増元照明氏は、9月17日、東京都千代田区の砂防会館別館で開催された「拉致国民大集会」でこう語りました。

拉致国民大集会の正式の名称は「最終決戦は続いている!制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会」です。「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)が主催したこの集会に、安倍晋三首相をはじめ各政党の代表や全国知事会の代表、地方議会の代表、一般支援者など合計1000人が集まりました。

集会では、横田早紀江さんも北朝鮮に拉致された娘への思いを切々と語りました。

「娘のめぐみが北朝鮮工作員に拉致されてから、もう39年です。この間、めぐみは日本からの救出を待ち続けてきたはずです。大韓航空機を爆破した金賢姫元工作員から北朝鮮でのめぐみの様子を聞いたとき、『めぐみさんはいつも君が代を大きな声で歌っていました』と教えてくれました」

早紀江さんはさらに熱を込めてこうも語りました。

「めぐみは日本という国家への思いを込めて、君が代を歌い続けたのでしょう。日本が、やがて必ず自分を北朝鮮から救出してくれる。究極には日本という国家を信じていたのだと思います。ひたすらめぐみは北朝鮮で待ち続けた。しかし日本はその期待に応えていません。日本人にとって国家とはなんなのでしょうか」

早紀江さんは日本という国家への期待を表明する一方で、日本が国家として自国民の救出に乗り出さないことへのいらだちを隠しません。

増元照明さんと横田早紀江さんが日本国のあり方を非難するのもきわめて当然のことです。国家にとって自国民を守ることは最も基本的な責務のはずです。

しかし、日本はこの最も基本的な責務を果たしていません。北朝鮮という隣の国家に日本国民が拉致され、長い年月、囚われとなっている事実が分かっていても、救い出すことができません。究極的な政治的・経済的制裁を加えて北朝鮮と対決し解放を迫ることはないし、まして他国にように軍事手段を使って自国民の生命を保護することは最初から禁じられています。

北朝鮮拉致問題の「救う会」「家族会」らが開いた国民大集会で、安倍晋三
首相と握手する横田滋さん。右は曽我ひとみさん=9日午後、東京都文京区

今回の大集会は新たな決議を採択して閉会した。その決議内容を以下に記しておきます。

(1)北朝鮮は、今すぐ、被害者全員を返せ。全被害者を返すための実質的協議に応ぜよ。

(2)政府は、核・ミサイル問題と切り離して被害者帰国を先行させるための実質的協議を最優先で実現せよ。

(3)立法府は、北朝鮮のようなテロ集団を支える活動をわが国内で行うことを阻止する新法を作れ。

「拉致問題を核・ミサイル問題と切り離して最優先」というのはこれまでと異なる表現でした。つまり「拉致問題の解決を先行してほしい」ということです。この点にも拉致被害者家族たちの切なる思いがあふれ出ていると言えます。


北朝鮮に拉致された可能性のあるのは、上のチャートにあるように、拉致被害者だけではありません。特定失踪者も、拉致の疑いがあります。

このような厳しい現実があるにもかかわらず、昨年、朝日新聞をはじめとする安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」と呼ばれる日本は、本当に平和であるといえるでしょうか。

私は、全く「平和国家」などとは言えないと思います。

拉致された日本人を救う手立てははるはずです。1997年アルバニアでは国民の間で流行していたネズミ講が破綻し、財産を失った国民が暴徒化するという事態に発展しました。

この動乱で、自国の在留住民の身辺を案じた国際社会による救出作戦(オペレーション・アルバ、オペレーション・リベレ、オペレーション・シルバーウェイク)が実行されました。しかし、紛争が長期化しアルバニア難民が発生すると、イタリア・ドイツ・アメリカを主導とした治安回復作戦(オペレーション・サンライズ)が開始されました。作戦によって暴動は鎮圧されて治安は回復したましたが、同年の総選挙でサリ・ベリシャ政権は退陣に追い込まれました。

1997年アルバニア動乱でアメリカ合衆国による自国民救出
このときドイツもアルバニア在住の自国民保護のため、国防軍を派遣。ドイツ人だけでなく、日本を含む他国民も救出しました。

このことによって国際社会はドイツが軍事的にも主体的に行動することを是認するようになりました。自国民保護をきっかけに、ドイツは国際政治の中で重要なプレーヤーになることになったのです。

しかし、日本の自衛隊は未だにそのようなことができない状況にあります。昨年朝日新聞をはじめとして、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」とされた日本の現実はこのようなものなのです。このような現状は、何が何でも変更して、日本が真の「平和国家」になるべきであると思うのは、私だけでしょうか?

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2016年2月14日日曜日

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久―【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

【緯度経度】日本が発信しない「拉致」英文本 古森義久

The Invitation-Only Zone: The True Story of North Korea’s Abduction Project
書籍『招待所・北朝鮮の拉致警告の真実』の表紙

ワシントンにある韓国政府系の研究機関「米国韓国経済研究所」(KEI)で2月3日、「招待所・北朝鮮の拉致計画の真実」と題するセミナーが開かれた。その題名の新刊書の内容を著者の米国人ジャーナリストのロバート・ボイントン氏が紹介し、米側専門家たちが討論する集いだった。

実はこの書は、北朝鮮による日本人拉致事件の内容を英語で詳述した初の単行本だった。事件を英語で紹介した文献は米側の民間調査委員会の報告書などがあるが、商業ベースの英文の単行本はなかったのだ。

だから拉致事件を国際的に知らせる点で意味は大きく、日本側も重視すべき書である。米国とカナダで一般向けのノンフィクション作品として、1月中旬に発売されたのだ。

ニューヨーク大学のジャーナリズムの教授でもあるボイントン氏は日本滞在中に拉致事件を知り「この重大事件の奇怪さと米国ではほとんど知られていない事実に駆られて」取材を始めたという。この本はニューヨークの伝統ある「ファラー・ストラウス・ジロー」社から出版された。

ボイントン氏は数年をかけて日本や韓国で取材を重ね、とくに日本では拉致被害者の蓮池薫さんに何度も会って、拉致自体の状況や北朝鮮での生活ぶりを細かく引き出していた。また同じ被害者の地村保志さん、富貴恵さん夫妻や横田めぐみさんの両親にも接触して、多くの情報を集めていた。その集大成を平明な文章で生き生きと、わかりやすく書いた同書は迫真のノンフィクションと呼んでも誇張はない。ただし、ボイントン氏は拉致事件の背景と称して、日本人と朝鮮民族との歴史的なかかわりあいを解説するなかで、日本人が朝鮮人に激しい優越感を抱くというような断定をも述べていた。文化人類学的な両民族の交流史を奇妙にねじって、いまの日朝関係のあり方の説明としているのだ。

しかし同セミナーでの自著の紹介でボイントン氏はそうした側面には触れず、ビデオを使って、もっぱら日本人被害者とその家族の悲劇に重点をおき、語り進んでいった。

「なんの罪もない若い日本人男女が異様な独裁国家に拘束されて、人生の大半を過ごし、救出を自国に頼ることもできない悲惨な状況はいまも続いている」

ボイントン氏のこうした解説に対して参加者から同調的な意見や質問が提起された。パネリストで朝鮮問題専門家の韓国系米人、キャサリン・ムン氏が「日本での拉致解決運動が一部の特殊な勢力に政治利用されてはいないのか」と述べたのが異端だった。そして、同じパネリストの外交問題評議会(CFR)日本担当研究員のシーラ・スミス氏が「いや拉致解決は日本の国民全体の切望となっている」と否定したのが印象的だった。

だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう。(ワシントン駐在客員特派員)

【私の論評】政府の機関など、成果をあげず単なる「良き意図」で終わらせないためには何が必要か?

古森義久氏
上の記事にある、この書籍私も、さっそくキンドル本をダウンロードして読み始めていますが、確かに平明な文章で生き生きと、わかりやすく書れた同書は迫真のノンフィクションのようです。これだと、比較的短時間で読めそうです。

さて、ブログ冒頭の記事で、古森氏は、「だがなお残った疑問は、日本にとってこれほど重要な本の紹介をなぜ日本ではなく韓国の政府機関が実行するのか、だった。KEIは韓国政府の資金で運営される。日本側にもワシントンには大使館以外に日本広報文化センターという立派な機関が存在するのだ。だが同センターの活動はもっぱらアニメや映画の上映など日本文化の紹介だけなのである。安倍政権の重要施策の対外発信はどうなっているのだろう」と批判しています。

まさしく、そのとおりだと思います。アニメ映画の上映などの日本文化の紹介だけするというのでは、日本公報文化センターの役割をまともに果たしているとはとても思えません。

すでにアニメなど、国の機関が紹介するまでもなく、世界中にファンが多数存在しており、そんな中で、国の機関が、一切放映するなどなどということは言いませんか、アニメ映画を放映したり、日本文化の紹介のみにとどまっているとしたら問題です。

安倍政権に限らず歴代の政府はこのような活動には、あまり熱心とはいえないようです。最近では、外務省あたりが、竹島や尖閣問題に関するYouTubeに複数言語で視聴できる動画をアツプするなど、多少改善されているようではありますが、まだまだすべきことがあると思います。

このような活動は、政府も直接取り組むべきとは思いますが、それにも限界があります。やはり、こういうことを使命とする、日本広報文化センターのような組織や、NPO、NGOなどの非営利組織が実行すべきものと思います。

非営利企業こそ、使命をはきりするべき。そのためには、
まずビジョンや価値観をはつきりさせなければならない。

そうして、そのような組織においては、使命が第一に重要あり、リーダーがまずなすべきことを、よくよく考え抜いて、自らあずかる機関が果たすべき使命を定めることが重要です。

そして使命があるからこそ、はじめて明確な目標に向かって歩くことができ、目標を成し遂げるために組織の人間を動員することができるのです。

そして使命には、「何が機会であり、何がニーズであるか」「しかるべき成果が上げらそうか」「能力を有しているか」「信念をもってやれるか」つまり、“機会”“能力”“信念”の3つが表現され、組織の一人ひとりが目標を達成するために自分が貢献できることはこれだと思える現実的なものにすべきです。

そうして、特に成果をあげるには、成果を定義するだけではなく、それと実行する時間も加えて、目標として具体的に定めるべきです。定量化できるものは、定量化し、定性的なものであっても、なるべく具体的にして、組織の誰もが理解できるものにしなければなりません。

このような組織の中には、“使命”を掲げていない、あるいは意識すらしていない組織もあります。たとえ“使命”があっても、きれいな言葉が並べられ、形式的ものだったり、職員ひとり一人には理解されていないような状況では、まともな成果などあげられません。おそらく、日本公報文化センターなどもそのような状況なのではないでしょうか。

非営利組織に限らず、すべての組織の最終的な評価は成果であるはずです。営利組織における、利益も成果を測定する尺度の一つに過ぎません。経済的利益だけでは、すべての成果を表すものとはいえません。

良き意図と、大儀があるがゆえに成果や結果を重視しない傾向にある非営利機関も多いようですが、何が成果であるのかをはっきりと定義して、その成果を上げ続ける努力をすることが、非営利組織のあるべき姿であり、高い成果をあげための努力をしない非営利組織こそ、社会にとって罪なのです。

特に、NPOやNGOと異なる、政府の機関ともなれば、特に存続の努力などしなくても、政府から資金を得て活動するわけですから、余程成果の定義と成果を達成するための、目標がはっきりしていないと、その存在がすぐに無意味なものになってしまいます。

そうして、何よりも、そんなことになれば、組織の構成員が堕落してしまいます。

そんなことにならないないように、日本文化広報センターなどもまともな成果をあげるよう努力していただきたいと思います。

やるべきことはいくらでもあります。たとえば、ブログ冒頭の書籍は、英語の書籍ですが、このブログでは、以前慰安婦問題に関わる、ハングル語の書籍で、日本語には翻訳されているものの、英語には翻訳されていない書籍を紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!
帝国の慰安婦 ハングル語版の表紙
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、「帝国の慰安婦」という書籍に関連して、私は以下のような論評をしました。
この書籍は、日本語には翻訳されていますが、残念ながら未だ英語には、翻訳されていません。この書籍が、他の多く国々の言語に翻訳されて、多くの国の人々に読まれることになれば、慰安婦問題に関して、他国でも理解が深まるものと思います。

日本側としては、この書籍はあくまで韓国人の視点によって書かれたものであり、レトリックによって、ファンタジーとはらないギリギリのところまで日本側に慰安婦問題での譲歩を求める方向で書かれていること、当時日本が植民地支配していたのだから、日本に責任があるという方向で貫かれていることを主張すれば良いと思います。

そのほうが、かえって、日本の保守派の人が日本人の立場から、書いたものより、理解を得られ易いと思います。

とにかく、この書籍やその他の歴史的資料などによって、日本でも韓国でも、韓国における慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代より前に時計の針を戻すことが、この問題の早期解決につながると思います。
この書籍を英語に翻訳し、米国で公開することなども、日本広報文化センターなどのしこ度として、良いと思います。そのようなことをすれば、韓国政府は非難するかもしれませんが、この書籍を読んだ米国人など、学術書であるこの書籍を韓国政府がなぜ問題にするのか、理解に苦しむと思います。そこから、慰安婦問題への理解が深まると思います。

それにしても、ただ紹介するというだけでは、何も成果はあがらないと思います。たとえば、この書籍を紹介するにしても、慰安婦問題に関してあらかじめ多くの米国人にアンケートをとっておき、慰安婦問題に関する理解、それもはっきりと定義をした理解が5%程度であったとすると、5年以内に50%にするなどの目標を定めるべきです。

そうするこによって、はじめて、自らが成果をあげているのか、あげていないのかをはっきりと理解することができます。そうでなければ、このような活動はただの「良き意図」で終わってしまうのです。

これが、手弁当で集まっている有志の「勉強会」などであれば、それでも良いかもしれません。しかし、政府からの資金で動く政府の機関がそうであってはならないのです。まともな、組織はすべからく、成果をあげなければ、存在意義が失われるのです。存在意義が失われれば、その機関に属する人々は早晩堕落してしまうのです。

それは、当然のことです。自分たちの組織が、あってなくても良いどうでも良い組織なら、その構成員がいくらまともであったにしても、その状態が長く続けば、堕落するのは当然です。そうして、堕落した組織は、社会に悪をなすことになります。

【関連図書】

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