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2017年1月16日月曜日

トランプ氏が中露分断で「支那大包囲網」が完成か―【私の論評】日本は自国防衛のため軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示せ(゚д゚)!

トランプ氏が支露分断で「支那大包囲網」が完成か

このブログでは、「中国」という表記は本年より用いません。そのため、引用記事などで、中国と表記されているものもすべて支那に変えています。

村上政俊氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 トランプ次期大統領の米国ならば北朝鮮との劇的な接近があり得る、と元外交官で前衆議院議員の村上政俊氏は読む。支那が北朝鮮を支えられなくなれば、北朝鮮が新たな事大の相手先として米国に急接近する可能性は高いという。

* * *

 トランプ大統領によって“支那大包囲網”が実現した際に、北朝鮮が支那を裏切るというのが二番目のシナリオだ。「現代のツァーリ」プーチンはトランプを才能ある人物と述べたのに対し、トランプはプーチンをオバマよりも優れた指導者だと称えており、トランプが大統領に就任して真っ先に打ち出すのは米露関係のドラスティックな改善だろう。

 そもそも米国における伝統的な安全保障観ではロシアが米国にとっての最大の脅威と位置付けられており、米国の安全保障専門家からはトランプのプーチンに対する宥和姿勢にかねて疑問符が付けられていた。

 しかしそこは大実業家のトランプだ。思惑なしにプーチンに対して一方的に譲歩しようということではなかろう。

 一つの可能性として考えられるのが“中露分断”だ。プーチンと習近平がいまのところガッチリとタッグを組んでいるのは、米国主導の国際秩序を打破しようという大戦略が一致しているからだ。しかし、冷戦期には中ソ対立という東側陣営の内輪揉めの歴史があり、現在もシベリアへの支那人大量流入など、表面的には蜜月にみえる中露にも地雷は数多い。

 トランプがこれまでの米国の安全保障観を転換し、支那を最大の脅威と考えているとすれば、プーチンへの接近とその先に見据えているであろう“中露分断”が全て一本の線で結ばれる。

 1971年の「ニクソン・ショック」になぞらえればよりわかりやすいかもしれない。反共の闘士ニクソンが策士キッシンジャーを使って支那に接近したのは、支那を抱き込んで最大の敵であるソ連を孤立させるためだった。

 トランプがもし支那を最大の敵と見做すのであれば、支那を孤立させるためにロシアを抱き込みたいと考えるのは自然の成り行きだろう。ダマンスキー島(珍宝島)での武力衝突のように、中ソ対立が公になっていた点が当時と現代の違いだが、先程述べたように中露関係には潜在的な火種が多く、トランプがそこに火を点けて回るかもしれない。

 安倍晋三政権下での日露関係の改善もこうした流れの中で位置付けられる。元来、日露接近を最も嫌っていたのは米国だった。一番の敵ロシアと一番の子分(と米国が一方的に思っているだけだが)日本が近付くことは地政学上の大変動に繋がるという認識で、日ソ国交正常化(1956年)の際に北方領土問題は解決の可能性があったが、国務長官ダレスは当時米統治下にあった沖縄を返還しない可能性をちらつかせて日ソ接近を牽制した。いわゆるダレスの恫喝だ。しかし、トランプ大統領自身がロシア接近を打ち出せば前提が変わり、日露接近と北方領土交渉にはプラスに働く。

 こうして日米同盟だけでなく、米露、日露関係の改善でロシアも加われば、水も漏らさぬ“支那大包囲網”の完成だ。このシナリオで一番あたふたするのは北朝鮮である。従来のまま支那につき従っていては、一蓮托生で自分自身が包囲網に押し潰されてしまうという危機感を抱き、支那陣営からの脱走とトランプ側への寝返りを画策するだろう。

 北朝鮮はこの時に保有する核兵器を外交交渉のカードとして使うはずだ。核放棄に応じる代わりに、それまでの数々の悪行の許しを得ようとトランプに縋り付くだろう。習近平からトランプへの寝返りを受け入れなければトランプタワーのあるNYに核兵器を打ち込むなどと凄んでみせるかもしれない。

 旧東側陣営からNATO加盟国というれっきとした米国の同盟国に鞍替えした国が現にいくつもあるではないかと叫びながら、死に物狂いで同盟国の列の末席に滑り込もうとする絵も想像できる。

 しかし北朝鮮内部では、核放棄に応じたものの、最終的には体制崩壊を招いたリビアのカダフィ大佐の例をひいて核放棄に反対する意見が出るだろう。そうなれば、金正恩vs反金正恩の内乱が起き、寝返り前に“北朝鮮崩壊”との結末になる。首尾よく寝返りが成功すれば、支那大大包囲網が築き上げられ、支那は早晩崩壊する可能性が高い。

 いずれにしても北朝鮮の運命を左右するのは支那がどうなるかだ。一人の野次馬としては、支那が崩壊する前にキャラ立ちしているトランプと金正恩の直接会談を見てみたい。(文中敬称略)

 【PROFILE】むらかみ・まさとし/1983年大阪市生まれ。東京大学法学部卒。2008年4月外務省入省後、北京大学、ロンドン大学に留学し支那情勢分析などに携わる。2012年12月~2014年11月衆議院議員。現在、同志社大学嘱託講師、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。著書に『最後は孤立して自壊する支那 2017年習近平の支那』(石平氏との共著、ワック刊)がある。
 ※SAPIO2017年2月号

【私の論評】日本は自国防衛のため軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示せ(゚д゚)!

上のシナリオは十分にあり得るものだと思います。その根拠としては、このブログでも以前掲載したことのある、ルトワック氏の支露関係の分析です。ルトワック氏は、支那と露の関係は、氷の微笑であるとしていました。

今一度以下にルトワック氏の支露関係に関する分析を掲載します。これは、日経新聞に掲載されたものです。なお、このブログでは、中国という表記は使いませんので、以下の文中で特に断りがない限り、中国のことは支那、支と変更して表記しています。
接近する支ロ、氷の微笑が消えるとき

2014/5/25 3:30
ルトワック
 ウクライナ危機をきっかけに中ロはさらに接近し、日米へのけん制を強める……。世界ではこんな見方が多いが、ルトワック氏の予想はちがった。

ロシアは、支那とは仲良くならない。シベリアなどに侵食してくる支那を脅威だとみているからだ。むしろ、ロシアは支那をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずだ――。ルトワック氏はこんな趣旨の予測を披露したという。 
 中ロの表面的な動きをみるかぎり、この分析は必ずしも当たっていない。まさに同じ20日、中ロはこれでもかと言わんばかりの仲良し劇を演じたからだ。 
 訪中したプーチン大統領は、習近平国家主席と懸案だった天然ガスの輸出交渉を決着。対ロ制裁への反対をかかげ、来年に対日・独戦勝70周年式典を共催することも決めた。 
 だが、会談では結局、日米の安保当局者がいちばん注目していた商談が署名にいたらなかった。ロシアの最新鋭戦闘機スホイ35(24機)と地対空ミサイルS400を、支那が買うための契約だ。 
 売却の条件で折り合わなかったとされるが、理由はそれだけではさそうだ。モスクワからは、ルトワック氏の読みを裏づけるような本音が聞こえてくる。 
 「プーチン氏は支那に相当、いら立っている」。クレムリンの内情を知るロシアの安保専門家らは、こう明かす。プーチン氏はかねて支那の台頭に懸念を抱いていたが、昨年12月、不信感を一気に強めるできごとが起きたのだという。 
 それは、習主席とヤヌコビッチ・ウクライナ大統領(当時)が北京で署名した友好協力条約だった。「ウクライナが核で脅されたら、支那が必要な安全を保障する」。条約にはこんな趣旨の合意が入った。 
 支那は「核の傘」を使い、ロシアの縄張りであるウクライナにまで手を突っ込むつもりか。プーチン氏はこう反発したようだ。 
 支那の国内総生産(GDP)はロシアの4倍を超える。支那はその分、ウクライナを含めた周辺国に影響力を広げるのは自然なこと、と考えているのだろう。 
 歴史的にも、長い国境を接する中ロの相性は良いとはいえない。新支那建国の直後、毛沢東、スターリンの両首脳はモスクワで会い、同盟の契りを交わした。それもつかの間、やがて路線対立が始まり、蜜月は10年と続かなかった。 
 「いまの支那は共産党体制だったときのソ連と同じだ。何を考えているのか、外からは分からない。しばしば、唐突な行動にも出る」。公式な場では決して支那を批判しないロシアの政府関係者からも、こんなささやきが聞かれる。 
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。 
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。 
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)
習近平とプーチン
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO71758060V20C14A5SHA000/?dg=1
日本では、著書『支那4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権は支那の冒険主義的な行動をもはや許容せず、米中関係は大きく変わると予測しています。

安全保障のダイヤモンド
さて、このブログでは、以前から北方領土交渉をめぐる安倍首相のプーチン接近の背後には、ロシアを支那封じ込め政策である「安全保障のダイヤモンド」の一角に据えようという目論見があることを主張してきました。それを掲載した記事のリンクを以下に掲載します。
【日露首脳会談】支那、日露連携を警戒「包囲網」強化に対抗―【私の論評】会談のもう一つの目的は、ロシアを安全保障のダイヤモンドの一角に据えること(゚д゚)!
日露による「対中包囲網」を警戒する習近平
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に結論部分のみを掲載します。
日本がいくら「日本はこうありたい」と理想論を語ったとしても、自分だけではどうにもなりません。
いくら「平和な日本でありたい」と願ったとしても、他国が侵略してきたら日本の平和は維持できません。そんな時に、憲法9条があっても、何の役にも立ちません。実際に北朝鮮は今年日本海に21発のミサイルを発射しています。支那は軍艦を動員して尖閣諸島を脅かしています。韓国は、未だに竹島を実力で占拠しているます。

こういう現実の中では、日本はできるだけ多くの国と友好関係を深めて、支那や北朝鮮が暴発しないように抑止していくことが日本の安全保障にとってより良いことになります。無論、支那や北朝鮮などと直接友好関係を結ぼうにも、結べるものではありません。

こんなときに、日本がロシアとの友好関係を深めれば、ロシアは支那になど軍事技術を供与しなくても良いと考えるかもしれません。もし、そう考えなかったにしても、支那側はそのように受け取るかもしれません。

安全保障のダイヤモンドを構想し、それを全方位外交を通じて実行してきた安倍総理は、当然の腹の中で、このように考えており、何とか、支那封じ込めの一角にロシアを加えたいと当然考えていることでしょう。そうして、これは、今回の日露首脳会談の目的の一つであることは間違いありません。

ロシアのプーチンは、以前にもこのブログに掲載したように、政敵は暗殺するなどして容赦なく潰すのが常であり、腹の中では何を考えているかは見えないところがあります。だから、本当に信頼できるかどうかはわかりません。

しかし、私たちは、支那やロシアのやり方で学ぶべきところがあります。それは、腹の中では互いに相手を信頼していないにもかかわらず、中ロはウクライナ危機をきっかけに中さらに接近したように首脳会談などを実施して見せつけて、日米へのけん制を強めるように中ロは動くと、世界中に思わせたという実績があります。 
これは、ルトワック氏には見ぬかれてしまいましたが、成功していれば、ロシア・支那連合は、日本はもとより、世界中の国々にとって、かなりの脅威となったことでしょう。ロシアの軍事技術と、支那の経済力が結びつけば、これは大変なことです。しかし、現実はそうではありませんでした。

日本も彼らのこのやり方を参考にして、支那に脅威を与えるべきです。実際にその効果はブログ冒頭の記事にある、新華社の「ロシアを引き込み、支那を包囲しようとの考えは希望的観測に基づく妄想だ」という言葉にもあるように、支那は日露首脳会談に警戒感を抱いています。

安倍総理としては、ロシアをうまく操っての脅威を少しでも除去できるように努力して頂きたいです。
さて、ロシアというとあまり信用できないところはあります。しかし、安倍首相はもとより、トランプ氏も支那と比較すれば、ロシアのほうが扱いやすいと考えていることと思います。

ロシアというと、日本では多くの人が大国というイメージが抜け切れていないところがあると思いますが、ソ連の末期は経済がガタガタでどうしようもない状況になっていました。現在のロシアになったばかりのときも、哨戒用のジエット戦闘機の燃料がないような状態になり、米国などから支援を受けていたこともあったくらいです。

現在でも、ロシアのGDPは日本の1/4程度に過ぎません。支那とは比較の対象にもなりません。人口も、支那は14億人であるのに対して、ロシアは1億4千万人に過ぎません。これは、日本よりわずかに2千万人多いに過ぎません。

そのロシアは、いっとき原油などで経済が潤い、BRICSの一国として脚光を浴びていた時期もあるのですが、従来から比較すると原油安の状況が続いています、

さすがに、軍事力や軍事技術ではまだ先端を行っていますが、それにしても国力の衰えは隠し仰せない程度にまで顕になっています。かつてのように、NATO軍と戦争する力など全くありません。

この状況ですから、当然のことながら、日米にとっては支那よりは御しやすいのは当然です。ロシアも、支那と同じように民主化、政治と経済の分離、法治国家が遅れている面はありますが、それでも支那よりははるかにましです。

そうして、何よりも、支那は腐敗撲滅運動の名のもとに習近平が反習近平派と熾烈な権力闘争をしていますが、ロシアはプーチンが強力なリーダーシップを発揮して、ロシアを統治しており、国民からの支持を集め安定しています。

であれば、日米はロシアと支那の両方を敵に回すよりは、ロシアを味方につけて支那から分断して、日米露の支那包囲網を構築したほうが、はるかに有利です。

だからこそ、安倍首相はその方向にすでに動き、トランプ氏もそれに続くことになるでしょう。これで、支那は日米はもとより、ロシアに対してもうかつに手をだせなくなるわけで、安全保障の面からかなり有利になるのは間違いありません。

ただし、日本については一つ懸念材料があります。それは、ルトワック氏も以下のように分析しています。
 日本について言うならば、2017年には支那が尖閣諸島に多数の「漁民」を軽武装で上陸させてくる可能性がある。実際には民兵であるこれら「漁民」は人民解放軍の指揮下にある「漁船」で上陸し、日本側が出動させるヘリコプターに対してフレア・ガン(照明弾や発煙弾を発射する信号銃)を一斉発射して撃退するだろう。 
 この尖閣攻撃は、支那側が日本のなまぬるい対応を事前に知っているためにその可能性が高くなってきた。 
 日本側は憲法上の規制などで尖閣に侵入してくる支那の軍事要員に対しても警察がヘリで飛来して、違法入国で逮捕し、刑事犯として扱おうとする対応を明らかにしている。だから支那側の偽装漁民はフレア・ガンでまずそのヘリを追い払うわけだ。ヘリがフレア・ガンに弱いことはよく知られている。この場合、米軍の介入も難しくなる。 
 日本に必要なのは、尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することだ。日本側はいまその軍事反撃ができないことを内外に広報しているような状態であり、支那の侵略をかえって誘発する危険を高くしている。 
 日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならない。そのことこそが支那の軍事的な侵略や威嚇への抑止となるのだ。

 トランプ次期大統領の安倍晋三首相への信頼度は高い。安倍氏をいまの世界で最高水準の指導者とみなし、日本をアメリカにとって第一の同盟国とみていると言える。11月17日の両首脳の会談ではトランプ氏は安倍氏に支那への新たな強硬策を伝えたと私は聞いている。 
 だからトランプ政権下では日本は支那に対して強い措置をとる際にこれまでのようにアメリカ政府にいちいち了解を求める必要はもうなくなるだろう。 
 トランプ氏は安倍首相に今後のアメリカが支那に対して新たに厳しい姿勢をとることを内密に告げ、その後に台湾の蔡英文総統と電話会談することでその姿勢を内外に明示したのだ。 
 だから2017年は、アメリカはこれまでと異なる対支政策をとり、その結果、まったく新たな米支関係が始まるだろう。その変化は日本にとっても、プラスが多いと言える。
トランプ大統領が登場すれば、世界は変わります。日本もその変化に対応しなければなりません。先日、トランプ氏がトヨタに苦言を呈しました。

このトランプ氏の苦言に関して、「なぜ一民間会社であるトヨタにまで・・・」などと批判する人も多かったです。トヨタのほうも最初は「心外である」などと語っていました。しかし、トヨタはアメリカに随分前から進出していて、現地の人々を多く採用し地域に根付き、アメリカで日本を代表するものというと「トヨタ」といっても良いほど親しまれています。

だから、トランプ氏の発言は一民間企業に対する発言というより、日本を代表する企業「トヨタ」に対する発言であったとみるべきです。そうして、その真意は、日本はトランプ率いる米国の味方であるのかどうかを確かめるためのものだったと解釈すべきです。

米国においては、トランプ氏もそうなのでしょうが、特に軍人はこの「味方」ということを強く意識します。信頼のおける相手かどうかを単純に「味方であるか否か」で判断します。

問題の発言が飛び出したのは今月5日。2019年の稼働を目指してメキシコに新工場を建設中のトヨタに対し、トランプ次期アメリカ大統領が自身のツイッターで、〈ありえない! 米国内に工場を作らないなら高額の『国境税』を払え〉と事実上の工場新設の撤回を求めたのです。

「アメリカ・ファースト(米国第一)」を掲げるトランプ氏は、これまでも米国内の雇用増大を最優先に掲げ、メキシコに工場を持つ米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)やメキシコに新工場を計画するフォード・モーターに「口撃」を仕掛けてきたのですが、それが日本企業にまで及んだのです。

9日、米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーで豊田氏はメキシコ工場の計画に変更がないことを述べた上で、「これまでの60年間で米国に220億ドル(約2.5兆円)を投資してきたが、今後5年間でさらに100億ドル(約1.1兆円)を米国に投資する」と表明しました。慎重な姿勢で知られるトヨタが即断即決で1兆円規模の投資計画を明言したことは、日米の経済界で大きなインパクトを持って受け止められました。

トヨタ自動車の豊田章男社長は9日、米デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーの新型車
発表会で、今後5年間で米国の事業に100億ドル(約1兆1600億円)を投じる考えを表明した。
そもそもトランプが問題視しているのは、米国国内の雇用を減らすことです。トヨタは米国国内の工場を閉めてメキシコに新工場を作るわけではありません。メキシコ国内で雇用が生まれることは不法移民を抑えることにもつながり、トランプ政策にはむしろプラスと考えられます。

しかし、そうした理屈を説明してもトランプ氏は納得しなかったでしょう。そこでトヨタは1兆円というインセンティブを示したのです。しかも、このタイミングで出したことでトランプに良いイメージを与えました。結果的にメキシコ工場の撤回は避けられるでしょう。

フォードと比べれば、トヨタの対応はトランプ発言の真意を見抜いた「最高のアンサー」だったと思います。これによって、トランプ氏は日本の代表である、トヨタという企業を味方とみなしたことでしょう。そうして、これはトヨタという一企業だけにとどまらず、日本を「味方」とみなす上での最上の判断材料となったことでしょう。

私は、このトヨタの判断には、日本政府の意向も働いたのではないかと思います。意向まではいかなくとも、豊田氏は政府にも相談をしたのではないかと思います。そうして、政府は「最高のアンサー」になるようなアドバイスをしたものと睨んでいます。

さて、尖閣諸島の話に戻ります。ルトワック氏が「尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することだ。 日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならない。そのことこそが支那の軍事的な侵略や威嚇への抑止となるのだ」と指摘するように、日本は少なくとも自国の領土を守れるように、法整備などをすべきです。

自国の領土は自国で守る、それが独立国というものだ
これが出来ないようであれば、トランプ氏は自国の領土を自分で守ることをしない日本を「味方」とみなすことはしなくなることでしょう。日本を「味方」であると認識しなかったにしても、トランプ氏は支那に対して当面厳しく対峙することでしょうから、日本にとって良い状態がしばらく続くかもしれません。

しかし、その後支那の現体制が崩れて、支那がある程度の民主化、政治と経済の分離、そうして法治国家化を進めて、ある程度まともになり、特にブラック国家として、人民を搾取して、安い製品を製造して米国に輸出するなどのことをやめ、為替の不当な操作をすることもやめた場合、今度は支那を「味方」とみなすようになるかもしれません。

そうなれば、日本にとっては最悪です。そのようなことにならないためにも、ルトワック氏が語るように、日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならないのです。

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