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2019年8月6日火曜日

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた―【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた

ソウルの日本大使館が入居するビルに突入した乗用車=19日未明

韓国が破滅に向かって暴走している。全国各地で「反日」集会が連日開かれ、日本の対韓輸出管理厳格化をやり玉にあげて、「安倍(晋三首相)は、韓国が『未開な国』だと言っている」「もう一度、日本の僕(しもべ)にするつもりで経済侵略を仕掛けてきた」などと、感情の赴くままに言いたい放題である。

 ソウルの日本大使館にはガソリンを積んだ乗用車が突っ込み、運転手は車に火をつけて自殺した。釜山の日本総領事館には学生6人が中庭に侵入し、「安倍は謝罪しろ」と騒いだ。産経新聞やフジテレビの支局にも暴漢が侵入した。釜山市は長く続いた長崎県との交流を断絶し、韓国中部・瑞山(ソサン)市は、天理市の中学生交流団の受け入れを直前に拒否した。

 韓国政府もマスコミも、国民の反日感情を煽るばかりだ。走り出したら止まらない彼らの行き着く先は、日本との「断交」しかない。

 現在の日韓関係の悪化は、昨年から続く韓国の裏切り行為や侮日発言にその原因がある。すべて、「韓国が売ったケンカ」なのだ。「完全かつ最終的な解決」を確認した元徴用工への補償問題を蒸し返し、慰安婦問題が「不可逆的に解決した」ことを確認した日韓合意も完璧に反故(ほご)にして、相変わらず「性奴隷説」を世界にバラまいている。

 韓国駆逐艦が自衛隊機に火器管制用レーダーを照射した事件も、「超低空飛行で自衛隊機に威嚇された」と言って、逆に日本を非難している。韓国国会議長は「天皇陛下(現上皇さま)は元慰安婦に謝罪せよ」と、不敬極まる発言を行い、日本が抗議すると「盗人猛々しい」と開き直った。

 自己の責任は棚に上げ、自分の都合に合わせて事実を捻じ曲げ、これをどこまでも押し通す彼らのやり方に、もはや日本人の堪忍袋の緒は切れた。「断交は望むところだ」と多くの日本人が思い始めている。

 実は、韓国経済が日本経済に支えられていることを、ほとんどの韓国人が知らされていない。日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ。しかし、自虐史観で不必要な負い目を負わされた日本が、ことあるごとに韓国の理不尽な要求を受け入れたために、彼らは自己過信に陥り日本を徹底的に侮るようになった。そして、いつの間にか条約一つ守れず、日本の在韓公館や企業を襲う暴徒が英雄となる、独善的で理性と品格に欠けた国家に成り下がってしまったのだ。

 日本にも、その責任の一端がある。日本の名誉と国益を守るためにも、毅然(きぜん)と反論して目に見える対抗処置を取り、「断交→自滅」へ一直線の反日暴走から、彼らを覚醒させるべきであろう。

 ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮近現代史研究所所長。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』(ワック)、『日本が忘れ韓国が隠したがる 本当は素晴らしかった韓国の歴史』(ハート出版)など。

【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

どうして韓国がこのようになるのか、多くの日本人には理解しがたいことです。

日本兵の姿をしている人に怒りの水鉄砲を撃って喜ぶ韓国の子供達

それは、このブログにも以前から掲載してきたように、韓国政府や文在虎大統領というより、1990年代ころから、歴代の政府と大統領が、体系的、組織的な反日教育を通じて意図的に日本を悪者に仕立てて、自らの失敗などで自分たちが国民の憤怒のマグマを直接かぶることなく、日本に向けて発散させるとともに、それによって国内の求心力を訴求してきたという歴史があるからです。文在寅も、自分の失敗を日本のせいにしているだけのことです。

今日の文政権は、金融緩和や積極財政もをせずに、最低賃金だけあげるという、日本でいうと立憲民主党の枝野氏のような政策を実行し、大失敗しました。そうなることは、最初からわかりきっていました。雇用のパイが変わらないのに、最低賃金だけあげれば、当然のことながら、雇用が激減するわけです。

文在寅氏と枝野氏

さらに、安全保障においても、中途半端に中国に接近するなどして、米国の不興を買い、とんでもないことになっています。

外交においても、周辺諸国が現状維持(Status quo)を望んているということも理解せず、北朝鮮に接近し、何かといえば、制裁解除をしようとしてさらに米国の不興を買いました。さらには、この制裁破りをしている可能性が大です。おそらく、例の自衛隊の哨戒機へのレーダー照射はそれに関係しているでしょう。

文在寅は北に接近して、金正恩と気脈を通じたつもりになり、いずれ南北統一ができるかのような錯誤をして有頂天になっていたようですが、金正恩にはその気は全くありません。

南北が統一されてしまえば、どのような形であれ、子供の頃から主体(チュチェ)思想で鍛え上げられ、金王朝を尊敬する北朝鮮人民以外の金王朝には敬意を払わないどころか、無関心な韓国人が大勢北にやってくることになります。そんなことは、金正恩は絶対に許容できません。中国やロシアだけではなく、北朝鮮も朝鮮半島の現状維持を望んでいるのです。

では、なぜ金正恩が、文在寅と気脈を通じたように演出してみせたかといえば、それは無論制裁破りです。北への制裁はかなり効果があり、金としては、なんとしてでも制裁を少しでも破りたかったので、文にまともに対応し、歓迎してみせたのです。

2018年9月20日、朝鮮半島最高峰の白頭山を訪れ,
      ヵルデラ湖「天地」で笑顔の文在寅と金正恩

しかし、文在寅は、北と接近する一方で、中国にも接近し、従属する姿勢を継続しました。文は、南北統一や中国への従属ということで、周辺諸国からみれば、文在寅は、朝鮮半島の現状維持の破壊者なのです。

そもそも、金正恩、北朝鮮の幹部らは嫌中です。そのため、北朝鮮および北朝鮮の核は、結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。北朝鮮の核は、中国やロシアにとっても脅威なのです。

そうして、この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。米国にとって一番悪い状況は朝鮮半島全体が中国の覇権が及ぶ地域になることです。

文在寅はこのようなことも理解せず、中国に従属しようとするだけではなく、南北統一への道筋をつけようとしたわけですから、金正恩も最初は、文は制裁破りで役立つかもしれないと考えていたのですが、あまり文と接近しすぎると、日米中露から、金も文と同じく、現状維持の破壊者とみられては、とんでもないとばっちりをうけるかもしれないと思い、最近では短距離ミサイルを発射するなどして、文とは一定の距離を置こうとしているのです。

以上のように文在虎は、歴代の大統領の中でも、経済特に雇用、安保、外交でもすべて大失敗しているのです。文はこれらに対する打開策もみつからず、ことさら日本を攻撃してみせて、国内アピールをして何とか国内の批判をかわそうと試みているのです。

しかし、このようなことが長く続くとは思えないです。なぜなら、冒頭の記事にもあるように、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができるからです。

韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。米ニューヨークに進出した韓国系銀行の支店と現地法人が昨年11月から送金中継や貸付などの核心業務を相次ぎ中断しています。米金融当局のコンプライアンス強化の要求に対応できないためです。グローバル金融の中心地ニューヨークで韓国系銀行は連絡事務所に転落しています。

これは、北朝鮮に対する制裁破りをしている韓国に対する米国の事実上の制裁と考えるべきでしょう。 これは、韓国内ではソフトに報道されていますし、米国もはっきりと制裁とは言ってはいません。

日本では、最近になって貿易制限をしていますが、米国では似たようなことをすでに昨年の11月あたりから実施していたということです。

上の記事では、「日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ」としていますが、もっと具体的に言うと、日本の銀行が韓国の貿易決済に関する送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

もし韓国が日本と国交を断絶するようなことをすれば、無論日本のメガバンクは保証などできなくなくなります。さらに、日本からは様々な韓国産業にとっての死活的な物資や機器が輸入できなくなります。韓国にとっては、本来日本は死活的な重要な国なのです。

その重要な国を粗末に扱った文の代償はかなり大きなものになることでしょう。

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2019年7月8日月曜日

【令和日本と世界】韓国・文大統領は最高の反面教師 “衆愚政策”強行でどうなるか実演…日本人が“毛針”かからぬよう警告―【私の論評】日韓関係の主導権は完璧に日本に移った(゚д゚)!


文大統領は「反面教師」としては優秀かもしれない

日本政府は4日、半導体製造に必要な材料3品目について、韓国に対する輸出管理の強化措置を発動した。「安全保障を目的とする運用見直し」というが、いわゆる「元徴用工」の異常判決などによる、日韓の信頼関係喪失が背景にある。

 韓国側のショックは大きいが、その責任は、判決を受けて迅速な行動をしなかった文在寅(ムン・ジェイン)大統領にある。韓国内ですら、日本批判で一丸ではない。

 文氏の「低級な反日」は、「平成時代の愚かな媚韓政策」を捨て去り、日本に失地回復の機会を与えてくれたのである。

 さらに、文氏は「反面教師」としても素晴らしい。

 日本の左派政党も主張するような、経済や人権の衆愚政策を強行したらどうなるかを事前に実演し、日本人が“毛針”にかからないように警告してくれている。文氏が元弁護士で左派政権の幹部だったことで、立憲民主党の枝野幸男代表と共通していて、イメージが重なるのも皮肉だ。

文在寅と枝野

 文政権は、最低賃金を見通しもなく上げた。優良企業はイジメて、経営者は片っ端から逮捕するなど、現実を無視して(革命の)夢を追う姿勢は、ある意味で見上げたものだ。

 朴槿恵(パク・クネ)前政権の関係者など、野党政治家には嫌がらせの限りを尽くすし、官僚人事も政治運用を利用して恐怖政治を敷いた。マスコミとも対立した。菅義偉官房長官が強引だなんて言っても、韓国に比べれば穏やかなものにしかみえない。

 徴用工訴訟だけでなく、天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求や、慰安婦合意の無視、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機のレーダー照射事件など、あまりにもひどい「反日」非道が続いた。あの朝日新聞ですら、全面的には韓国の肩を持てず、「韓国側にも問題があるにせよ、これでは江戸の仇(かたき)を長崎で討つような筋違いの話だ」(3日、天声人語)と書くので精いっぱいだ。

【私の論評】日韓関係の主導権は完璧に日本に移った(゚д゚)!

枝野氏と、文在寅氏の経済対策は瓜二つです。いずれも、雇用を改善するのに、金融緩和などせずに最低賃金をあけるというものです。この政策は、上にもあるように、大失敗しました。韓国では、雇用がますます削減してとんでもない有様になりました。

両方共、雇用=金融緩和という観念が全くありません。金融緩和をすると、当初は新規雇用が増えるため、最低賃金が下がるということも理解できず、枝野氏は「最低賃金がー」とまくしたてました。

金融緩和は実施したからといってすぐに効果がでるというものではなく、当初は新規雇用が増え、実質賃金が下がりますが、それでも金融緩和を続けていると実質賃金もあがってきます。実際現在の日本はそのような状況になっています。

二人とも雇用に関しては、素人なみの知識しか持ち合わせていないようです。とは、いいながら日本では10月より、消費税を10%にあげるということで、かなり経済が悪化するのは目に見えています。安倍政権も、文在寅や、枝野の経済理論を異様などと批判できなくなるかもしれません。

ただし、文の経済知識はさらに低次元なようです。日本からの制裁に対して、何やらその対抗措置をとろうとしているようですが、それはそもそも不可能ということを理解していないようです。

文在寅は、韓国経済は今でも「日本の素材・部品や機械なしには成り立たない」という事実を忘れているようです。

多くの人が見ているような、韓国に「独自の経済」があると思うのは誤解です。韓国は産業インフラが育たず、自前のエンジン(リバース以外のエンジニアリング)を持っていないため、ほとんどの製品は日本から機械や部品を買ってきて組み立てているだけです。スマホ等も日本から部品を購入して組み立てているだけです。つまり、韓国メーカーは日本の機械と部品がなければ製品を作ることができないのです。
 
韓国では技術者のポジションが非常に低く、文系より下に置かれています。これは企業見学に行けばすぐにわかりますが、文系の人たちは立派な高層ビルの本社にいるのに、技術者はたいがい工場の2階などの狭苦しいスペースに押し込められています。

技術は長い時間をかけて研究開発してもなかなかペイしないですから、買ってこられる機械や部品は買ってくればいい、というのが経営者の考え方なのです。したがって自分たちでイノベーションすることがなく、常に日本の借り物、パクリが伝統になっているのです。それでも、パクリノウハウは発展して、スマホなどは一見かなりの技術水準のものにみえますが、パクリはパクリなのです。

言い換えれば、実は日本と韓国は産業構造的に見ると“運命共同体”なのです。部品や素材を日本から購入するだけではなく工作機械も購入ということから、日本と韓国の産業構造はかなり似通っています。どちらも、車やテレビ、パソコン、スマホなどを製造しています。

たとえば為替が円高ドル安になったら日本の輸出企業が打撃を受けますが、韓国企業も日本からの機械や部品の買い入れ価格が高くなるから競争力を失います。したがって、韓国が日本から独立して経済的に繁栄するということはあり得ないです。

だからこそ日本は韓国に働きかけ、対日関係を棚卸しさせて両国の国益につながる良好な関係を構築しようとしてきましたが、これはことごとく裏切られ、今日の日本による対韓国制裁に至っています。

そうして、韓国内では日韓関係が悪化したときの定番と言っても良い、市民団体による日本製品の不買運動が展開されつつあります。今回も既にソウルの一部スーパーで日本製ビールが撤去されたとか、日本旅行を自粛したとアピールするネット投稿があったなどと日本国内のメデイアでも報じられています。


記事で簡単に触れざるをえない場合もあるのでしょうが、これを正面からまともに取り上げるのは考えものです。なぜなら、過去25年ほどの間に4回の「日本製品不買運動」が組織されましたが、本当に日本製品の売り上げが落ちたことなど皆無だからです。

日本の対韓国制裁措置が発表されてから初の週末となった6、7日にソウルで開かれた日本酒フェスティバルは、入場料2万5000ウォン(約2300円)と有料ながら約7000人の客が集まったそうです。これでは、今回も不買運動など全く意味をなさなくなりそうです。

6日ソウルで開催された日本酒フェステバル

日本政府としては「輸出管理強化は経済報復(制裁)ではない」という立場です。とはいいながら、実質制裁であることには違いないです。

あくまで、韓国側に「不適切事案が複数発生した」ため、安全保障上の運用見直しとして、同国への「優遇措置」を取り消し、軍事転用が可能な「フッ化ポリイミド」「レジスト」「エッチングガス(高純度フッ化水素)」の3品目について、輸出手続きを厳格化したのです。

加えて、8月からは韓国を「ホワイト国」からも除外する見通しです。軍事転用の恐れがある先端材料の輸出について、「ホワイト国」には輸出許可の個別申請が免除されています。除外によって、前出の3品目だけでなく、工作機械などにも管理強化対象は広がることになります。今のところは、当たり前だと思われていたことを当たり前でなくしているという程度のものです。

これだけの措置は、日本の独断専行では行わないでしょう官邸周辺は「当然、同盟国である米国などには、事前に内々で伝達していると聞いている」と明かしています。

韓国では現在、「世界貿易機関(WTO)への提訴」をはじめ、「対日輸出の制限」「日本への観光目的の渡航禁止」などが対抗策として検討されているといいます。ただ、「反日」で凝り固まった文政権だけに、思いも寄らぬ暴挙に出る可能性もありえます。

これに対し、一連の『反日』暴挙が続いた昨年末の時点で、政府は日本側の姿勢を示す『厳格なカード』が十分に検討されました。韓国の酒類の出入りを制限する案など、各官庁とも相当、深掘りしたようです。すでに準備は整っています。現在、発動するタイミングをみている状況のようです。

ここで、韓国の「カネ」を標的としたカードが注目されています。韓国の通貨ウォンは国際通貨ではありません。韓国の政府系銀行は財務状況も健全ではなく、信用度は低いとされます。そこで、韓国の銀行が発行する『信用状』(=貿易用の小切手)を日本の銀行が保証する枠を与え、間接的に支援しています。そうした支援を打ち切ることも考えられます。

さらに、日本の大物政治家が『韓国向けの債券には注視することが必要だ』と口先介入するだけでも、韓国側はドルの調達ができにくくなるでしょう。輸出依存度が高い国だけに、輸出も簡単ではなくなり、貿易赤字は増え、通貨ウォンは下落することになるかもしれません。

これが現実となれば、韓国の金融面でのリスクは高まりかねないです。1997年の「アジア通貨危機」の再現も考えらます。

モノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、国内関係者への誤爆が少ないです。日本政府はまだカネのカードを温存しているといえます。韓国政府の行動が改まらない場合には、他の諸々の制裁を発動し、次の段階ては金融精査を発動し、最終段階では断交すれば、良いです。主導権は日本にあるのです。

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2019年7月2日火曜日

米国を怒らせてただで済むか。中国にすり寄る日本にトランプ激怒―【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!


トランプ氏の発言は選挙目当てのディールと見て良いのか?

G20直前の6月27日、「日米安保条約における同盟関係が片務的」だと日本に対して露骨に不満を表明したトランプ大統領。なぜこのタイミングだったのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、最近のタンカー砲撃事件や、日本の対中政策に対して「米国が抱くであろう不満」を解説するとともに、日本が70年前と同じ過ちを起こさぬよう警鐘を鳴らしています。

G20、トランプは、なんで怒ってるの???

G20で、世界のリーダーたちが、日本に集結していますね。いろいろありますが、もっとも気になるのは、トランプさんの言動でしょう。
トランプ氏「米国が攻撃されても日本は助ける必要はない」安保条約に不満
毎日新聞 6/27(木)0:44配信
トランプ米大統領は26日、米FOXテレビの電話インタビューで、日米安全保障条約について「もし日本が攻撃されたら、米国は第三次世界大戦を戦う。あらゆる犠牲を払って戦う。しかし、米国が攻撃されても日本は助ける必要はない。ソニーのテレビで、攻撃されているのを見ていられる」と述べ、防衛義務の片務性に関し不満を述べた。
これ、選挙戦中はよくいっていましたが、大統領になってからはいわなくなっていた。G20前にいいだしたのは、偶然とは思えません。日本に来てからも。
トランプ大統領来日「日豪の面倒みてきた」同盟が片務的と強調
毎日新聞 6/27(木)22:20配信
トランプ米大統領は27日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席するため大統領専用機で大阪の伊丹空港に到着した。市内のホテルでモリソン豪首相と会談し、3日間の滞在日程をスタートさせた。会談冒頭、日本や豪州との関係について「とてもよく面倒をみてきた」と発言。「巨額の貿易赤字を抱え、軍事面でも助けている」と述べ、貿易、安全保障両面で同盟国との関係が片務的との主張を繰り返した。
なんだか「不機嫌」ですね。思い出されるのは、トランプさん、5月に来日した時は「幸せそうだった」ということ。5月末時点で、安倍―トランプ、日米関係は大変良好だった。

しかし、トランプさんは今、日米関係にいろいろ文句をいっている。ということは、1か月間の日本、あるいは安倍さんの行動に不満だということでしょう。何が?

日本は、「タンカー攻撃イラン犯行説」を疑う

この1か月で、もっとも目立ったできごとは、安倍さんがイランにいったことでしょう(6月12~14日)。アメリカとイランの仲を好転させようとした。しかし、うまくいきませんでした。このことは、問題ないでしょう。正直、「安倍総理の仲介で、アメリカとイランの仲は劇的に改善される」と思っていた人はいません。

問題は、訪問中におきた「タンカー攻撃」です(6月12日)。トランプさんは、即座に「イランがやった!」と断定しました。アメリカは、証拠らしきものも出した。
タンカー攻撃、「機雷除去するイラン軍」の映像 米が公開
6/15(土)6:04配信
【AFP=時事】中東のオマーン湾(Gulf of Oman)でタンカー2隻が攻撃を受けた問題で、米政府は、イラン革命防衛隊(IRGC)がうち1隻の攻撃に関与したことを示すとする低画質の映像を公開した。米中央軍(US Central Command)のウェブサイトで13日に公開された映像は、イラン巡視船の乗組員が不発の吸着型機雷を船腹から除去する様子を捉えたものとされる。船体についているマークは、攻撃を受けた日本のタンカー「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」を撮影した過去の映像や写真と一致しているように見える。
しかし、「イラン説」を支持したのは、イギリス、イスラエル、サウジなどわずか。ほとんどの国は、「ほんとにイランがやったんですか~~~」という反応だった。さて、わが国はどのような反応だったのでしょうか?
タンカー攻撃、米に証拠提示要求 政府、「イラン関与」同調せず
共同 6/16(日)6:00配信
政府がホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃を巡り、イランが関与したとする米国の説明に同調せず、裏付けとなる証拠を示すよう米側に求めていることが分かった。米側主張は説得力に欠いているとの受け止めが背景にある。
なんと日本政府は、アメリカの主張を信じなかった。それで、「証拠だせ!」と要求した。「安倍はトランプのポチ論者」に「どこがポチだ!?」と質問してみたいものです。

私は、この対応、正しかったと思います。アメリカは、イラク戦争時も、2013年8月のシリア攻撃の時も大きなウソをつきました。だから、ごく一部以外の国は、日本と同じ対応です。

しかし、それはそれとして、トランプさんは、おもしろくなかったでしょう。「イギリス、イスラエル、サウジのように支持してほしかった」ことでしょう。そのせいか、後でトランプさんは、「タンカーは自分で守れ」と発言しました。

日本は、アメリカの敵に接近する

こちらは、イラン問題よりもっと深刻。アメリカは2018年、中国と「覇権戦争」を開始しました。これは、ただの「貿易戦争」ではありません。「世界の覇権」をかけた戦争です。

もちろん「戦争」といっても、「戦闘」ではありません。情報戦、外交戦、経済戦。それでも、米ソ冷戦と同じように、「世界の覇権をかけた戦争」であること、間違いありません。

ところで日中関係は、2010年の尖閣中国漁船衝突事件、2012年の尖閣国有化以降、ず~~~と悪かった。しかし、2018年に米中覇権戦争が起こったら、とたんによくなった。これ、わかりますね。アメリカにたたかれた中国が、日本にすり寄ってきたのです。

日本は、この動きを大歓迎した。わかります。中国は、「日本には、尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。日中関係がよくなれば、中国が尖閣、沖縄を侵略する可能性は減るでしょう。

しかし、アメリカから見るとどうでしょうか?「日本は、アメリカと中国を戦わせて、漁夫の利をえようとしているのではないか??」と疑念をもちます。日本としては、「ただすべての国と仲良くしたいだけ」かもしれない。しかし、アメリカから見ると「安倍は、狡猾な野郎だ!」とうつるに違いない。
安倍氏「日中、完全に正常軌道」 習氏「来春訪日いい考え」 日中首脳会談
6/27(木)21:38配信
安倍晋三首相は27日夜、主要20カ国・地域(G20)首脳会議のために来日した中国の習近平国家主席と大阪市内のホテルで会談した。中国の国家主席の来日は、2010年11月の胡錦濤氏以来9年ぶり。首相は「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」とし、「来年の桜の咲く頃、習主席を国賓として日本に迎えたい」と表明。習氏は「来春の訪問は極めていいアイデアだ。外交部門で具体的な時期について調整してほしい」と応じた。両国は首脳往来を軌道に乗せ、日中関係を発展させる方針だ。
日本の同盟国アメリカは、覇権をかけて中国に戦いをいどんでいる。そんな時アメリカの同盟国は、アメリカの敵中国と、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と大喜びしている。アメリカから見れば、これは「深刻な裏切り行為」に見えるでしょう。

日本の問題はなんでしょうか?トランプさんがなぜ不機嫌なのかわからないことです。

日本は「いつか来た道」をいくのか?

現在の世界は、「米中覇権戦争」を中心にまわっています。平時であれば、「善隣友好外交」はよいことでしょう。しかし、戦争がはじまったら、どっちにつくか選ばなければなりません。

中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。アメリカは、日本の領土を狙っていない。そして、アメリカは日本の同盟国である。だから日本は、はっきりとアメリカの側につくべきなのです。

第2次大戦中、日本は愚かにも負ける側のドイツを同盟国に選んでしまいました。今回は、中国を選び、アメリカを怒らせ、また敗戦国になるのでしょうか?

安倍総理は、ここまで外交を非常にうまくされています。しかし、最後の最後で選択を間違えば、すべて台無し。せめて、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいです。

【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!

昨年は、日本の総理大臣による7年ぶり中国公式訪問がなされました。昨年10月25日からの安倍総理中国訪問を日本の各メディアは「歓迎」という言葉で報じましたが、日本人の多くは、なぜ歓迎できるのかがわからなかったようです。

首脳会談に際し安倍総理を迎えた習近平国家主席の表情が「柔らかかった」のも話題となり、メディアはその理由を躍起になって解説しました。そしてたどりついたのが「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という理屈でした。

つまり、米国との深刻な対立を抱えた中国が日本の理由価値を見出して寄ってきたというわけです。

安倍総理の訪中いあわせて天安門前で翻る日の丸

これは、現在でも、最も説得力のある解説として市民権を得ているようです。そして同じ文脈で語られるのが、「日本が利用されないように……」という警戒です。ブログ冒頭の記事もまさにこのことを指摘しています。

しかし、この解釈は必要条件の一部は満たしているようですが、十分条件にははるかに及ばないと言わざるを得ないです。

日本人が好む「1+1=2」という公式的な思考ですが、逆算して、日本との関係を改善した中国が、それを理由に対米関係を改善できるかといえば、その可能性はほとんどゼロに近いことを考えれば無理のある理屈です。

そもそも昨年の首脳会談の実現は、中国が「すり寄ってきた」ことで実現したのでしょうか。

首脳会談前後の歓迎ぶりを見る限り、中国が対日関係の改善に前向きであるのは疑いないようではありました。しかしそれは、中国式表現を借りて「氷は解けたのか?」と言われれば、明らかにそうではないです。周辺の氷は確かに解けたのですが、真ん中の氷はまだ解けてはいないからです。

例えば、日本側は当初、安倍総理の訪問を日中平和友好条約40周年に合わせた10月23日を希望し、それに合わせて調整されてきていたのですが、最終的に中国側の都合で25日からに変更されましたた。

いったいどんな重要な用事でそうなったのかといえば、それはなんと同時期に開通した「港珠澳大橋」の式典への習近平氏の出席と広東省視察のためでした。中国が何が何でも日本を取り込もうとするならば、日程は調整できたのではないでしょうか。

昨年10月23日「港珠澳大橋」の式典に参加した習近平
安倍総理との首脳会談に臨んだ習近平国家主席は、広東省の南部戦区の視察から駆け付けたということで、テレビ番組によってはそっちがトップニュースで、2番目に日中首脳会談という扱いのところもありました。


とても死活的、短期的に日本との関係を改善したい国の行いではありません。

このことは首脳会談とそれに絡む行事を詳細に見てゆくと、なお鮮明となります。

例えば、習近平国家主席が首脳会談で述べた言葉ですが、日中の現状を評して「双方の共同の努力の下で、目下の中日関係は正常な軌道に戻りつつあり」と語っています。注目点はあくまで「戻りつつあり」と表現していて、「戻った」とは言っていなかったことです。中国の文面を確認しても同じく「勢頭」という言葉がついていました。

とはいいながら、中国が日本のとの関係を突き放しているのかと言えば、それも違います。

李克強総理は日中平和友好条約40周年招待会でのスピーチで、「正常な軌道に戻ったうえで積極的な発展の勢いを呈している中日関係」と評していたからです。

総理が「(正常な軌道に)戻った」と語っているのに、国家主席が「戻りつつある」としたのは単なるミスではありませんでした。「言葉の国」と表現される中国がそんな雑なことをしたはずはありません。

では、どういうことだったのでしょうか。

考えられることは、経済を担当する国務院総理は「戻った」と言い切ることができても、政治を担当する国家主席(党中央総書記)はまだ現段階で「戻った」とは言い切れなかったということです。

これは国民の目を意識しつつ、手放しで日本との距離を詰めるのには、ほんの少し慎重でなければならないということを意味していたのです。

日本との関係を深めたい動機は、早くから中国に芽生えていたのですが、その歩度は石橋を叩いて渡る如くというわけです。

そもそも日中の接近は、中国が2016年の末にその必要性を認識したからでした。理由は、安定した経済発展を続けるためには、外国と対立を抱えることが大きなマイナスになることを中国自身が実感したからです。


とくに南シナ海問題で袋叩きに遭った直後から全方位的に各国との関係改善に乗り出したころに始まり、日本側は2017年4月のマール・ア・ラーゴの米中首脳会談でトランプ大統領と習近平国家主席の間に良好な関係が築かれたことで対中包囲網という途方もないアイデアに終止符を打ったことに始まり、その後も駐日中国大使館主催の国慶節イベントに総理が出席してラブコールを送るなど、双方の動きは1年以上も前から活発で米中対立の前からのことでした。

つまり米中対立は日中接近の動機の一つの要素として指摘することは間違いではないのだですが、十分な説明とはならないのです。

ところが、おそらく日本では単純化されて「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という解説だけが残ったようです。

この小さな誤差は、間違いとははっきりとは言えないものだけにやっかいで、最終的には日本人の対中国観を大きく歪めてゆくことになることが心配です。

しかし、「中国が日本に対してすり寄りしていない」証拠として一つはっきりしていることがあります。中国による尖閣付近での示威行動が未だに続いているということです。

沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは17日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

このようなことがなくならない限り、日本は中国が日本にすり寄ってきているなどとみなすべきではないのです。

「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」等というのは、一部の財界人と、いわゆる親中派・媚中派の政治家のみととらえるべきでしょう。

そうして、このような勢力が日本に存在していることが、トランプ大統領を苛立たせているのです。

米国では、このブロクでも何度か解説したように、メディアのほとんどがリベラル派によって占められています。大手新聞は、すべてリベラルです。ウォールストリート・ジャーナルなどを保守系のメディアとする人もいますが、歴史が古いだけで、やはりリベラルです。

テレビ局も大手は、ほとんどリベラルで、例外的にフォックスだけが、保守です。

そのため、表立って保守派が声を大にしてものを語っても、メディアは取り上げずかき消されることが多いです。しかし、米国の少なくとも人口の半分は保守派です。そうでなければ、トランプ大統領は誕生していなかったはずです。米国には、トランプ大統領の誕生の原動力ともなった、草の根の保守運動が息づいています。

そのリーダー的存在だった、フィリス・シェラーフリー女史(2016年逝去)は、以下のように語っています。
我々がルーズベルト外交の再検証をしているのは日本を見直すためにしているのではない。 
なぜ我々アメリカ人は今、中国共産党の台頭に苦しまなければいけないのか。なぜ我々は北朝鮮の核に悩まなければいけないのか。 
なぜ我々は今、こんな状況なのか。なぜ今、アジアはこんな状況なのか。 
それらを過去にさかのぼって調べていくと、ルーズベルトのヤルタ外交に行き着くのだ。ヤルタの見直しは過去の問題ではない。今の外交政策を見直すためにルーズベルト外交の徹底的総括は乗り越えなければいけない。
また、以下のようにも語っています。
私たちの草の根運動は60年代に反共運動としてスタートした。当時の反共アメリカ人はヤルタ会談は間違いでルーズベルトは裏切り者と考えていた。 
ヴェノナ文章のおかげで自分たちが正しいと言うことが分かった。 
アメリカの保守主義者はルーズベルトの工作によって、当時日本が真珠湾攻撃をせざるを得なかったと理解している。そのことを日本に知ってほしい。
米国の保守派は、反共の防波堤としてソ連と対峙して日本と戦争をしたのは間違いであったという歴史観を持っています。このようなことは、米国のメディアのほとんどが、リベラルであるため、つい数年前まではほとんどの日本人は知りませんでした。今でも、知っているのは一部の人だけでしょう。

ルーズベルト

米国の保守派は、ルーズベルトにより、米国はかつてはソ連の台頭をゆるし、今は中国の台頭を許し、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

そうして、現在米国は保守派だけではなく、超党派で中国と対峙し、冷戦を戦っています。そんな中で、同盟国であるはずの日本の一部の財界人、与党内にも存在している親中派、媚中派の政治家が存在するということに、トランプ氏は怒りが収まらなかったのでしょう。

最近トランプ大統領が、日米安保見直しの可能性を示唆したのも、こうしたことの延長線上にあるものとみるべきです。

まさに、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいですし、米国保守派は先の大戦で、日本と米国が戦ったのは間違いであり、そのためにソ連を台頭させ、現在では中国を台頭させ、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

このような歴史観に立脚すれば、日本の一部の財界人、親中派、媚中派の政治家など裏切り者と見えるのは当然のことです。この歴史観を理解していないからこそ、大方の日本人はトランプ氏の怒りを理解できないのです。

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2019年5月22日水曜日

【国家の流儀】日本企業の多くが中国に買収され、中国人経営者のもとで日本人が働き… それでいいのか? 今こそデフレ脱却に全力を―【私の論評】過去20年にもわたって世界で日本だけが経済成長しなかったことに国民はもっと怒りを顕にすべき(゚д゚)!


安倍総理は消費税増税を強行するのか

「10月に予定されている消費税率引き上げを実施すれば、デフレ脱却が難しくなるだけでなく、日本発のリーマン・ショック級の危機誘発になりかねず、増税凍結が適切だ」

 国際金融の専門家である本田悦朗前スイス大使は16日、ロイターとのインタビューの中でこう述べた。

 たった2%でも消費税増税は、景気に大きなダメージを与える。

 日本自動車工業会の豊田章夫会長(トヨタ自動車社長)は昨年9月20日、「消費税を3%から5%に引き上げた際は国内需要が101万台ほど減り、二度とそれ以前のレベルに戻っていない」と指摘したうえで、今年の消費税増税によって30万台の需要減、経済効果マイナス2兆円、9万人の雇用減につながる可能性があると訴えた。

 買い物をするたびに“罰金”を科すような消費税という制度は、日本のGDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を縮小させてきたのだ。しかも、この個人消費の縮小とデフレが地方の衰退を加速させてきた。

 2014年の時点で、国内の企業数は382万社を数えるが、大企業は1万1000社に過ぎない。これまで380万社に及ぶ中小企業が地方経済を支えてきたのだが、このままだと、その3分の1にあたる127万社が25年までに廃業し、約650万人の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が失われると言われている。実に、就業者の10人に1人が失業する計算だ。

 そこで、政府も事業承継に伴う税負担の軽減など、中小企業対策に力を入れている。アベノミクスに伴う緩やかな景気回復とともに廃業率は低下する一方、開業率は上昇して17年には5・7%と、1992年以来、25年ぶりの高水準に達した(2019年度版『中小企業白書』)。

 ところが、ここで消費税増税に踏み切ると、再びデフレ、つまり「消費税増税→個人消費の縮小→売り上げ減少→雇用や設備投資の縮小と中小企業の減少→地方経済の衰退→失業率の上昇」という悪循環が再発することになりかねない。

 しかも、このデフレの再発は「日本没落への道」なのだ。

 民主党政権の末期の12年4月、日本経団連は「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」という報告書を出した。この中で、日本経済が今後も低迷するならば、50年時点で「中国、米国、次いでインドが世界超大国の座につく一方で、日本のGDPは中国・米国の6分の1、インドの3分の1以下の規模となり、存在感は著しく低下する」と指摘した。

 日本がデフレ脱却に成功しなければ、いずれ中国の6分の1の経済規模になりかねない。それは「日本の香港化」、つまり日本企業の多くが中国に買収され、中国人経営者のもとで多くの日本人が働くようになることを意味する。

 果たしてそれでいいのか。いまはデフレ脱却に全力を傾けるべきである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『天皇家 百五十年の戦い』(ビジネス社)など多数。

【私の論評】過去20年にもわたって世界で日本だけが経済成長しなかったことに国民はもっと怒りを顕にすべき(゚д゚)!

世界は過去20年で平均2.4倍の経済成長をしています。その中で20年以上全く経済成長をしなかった唯一の国が日本です。その結果、日本は世界の中で著しく存在感を低下させました。他国と比して国力を維持して行くためには、他国並みの経済成長は絶対に必要です。日本人は国力と経済成長の関係を軽視しているのではないでしょうか。以下国力と経済成長の関係を考えてゆくことにします。

国力とは

国力とは国際関係において、その国が持つ様々な要素を総合したものをいいます。要素として考えられるものは、自然、国民、軍事力、経済力、技術力等であると、ジョージタウン大学のレイ・クライン教授は次のような式を提唱しています。
国力=[(人口、領土)+(経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)]
これら諸要素の中で経済力が最も重要であると私は思います。なぜなら軍事力の内訳を見ると軍の戦闘能力(兵員数、兵器の性能、兵站基盤等)は経済力と不可分です。最近、チャイナが軍事大国になっていますが、それはチャイナのGDPが急速に拡大し、その経済力が強大な軍事力を生み出していることからも分かります。

技術力について見ると、日本は従来から技術大国でしたが、これを支えていたのは経済力でした。20年間経済成長をしなかった日本は急速に技術力を低下させています。一例を挙げれば各大学への基礎研究費は文科省が決めるのですが、日本が20年間経済成長をしなかったため、その間日本の各大学の基礎研究費は増えることなくむしろ減少しています。

研究開発費の推移 国際比較

上のグラフは「主要国の研究開発費総額の推移:名目額(OECD 購買力平価換算)」を示しています。1996年から2016年までの推移を見ると、米国は35兆円から50兆円と約1.4倍、チャイナは3兆円から45兆円と実に15倍です。EU、ドイツ、フランス、イギリスも着実に増やしています。その中で日本のみが15兆円で殆ど増えていません。10年前の2006年と比べると減少していることがわかります。

この結果、基礎的な研究、例えば、国際的な論文数、特許件数等、国際的技術力評価で日本は劣勢となっています。


分かり易いのが上の表です。引用される頻度の高い論文数の推移ですが、2002年ごろまで日本は世界第4位であったのが、10年後チャイナだけでなくイタリアやスペインにまで抜かれ10位に転落しています。おそらく最近はもっと順位を落としているのではないかと、情けない気分になります。

論文の数に代表される日本の基礎的な技術力は急速に落ちているようです。精神力だけではどうにもならないのです。世界は平均で約2.4倍の経済成長をしており、各国の研究費は数倍に増えている。日本も他国並みに経済成長をして研究費を増やしていかなければ、早晩技術力を失い、先進国から脱落することになるでしょう。

国力とは経済力

誤解を恐れずに言えば、技術力の例でも分かるように、国力=経済力と言っても間違いはないと思います。政治力、外交力、軍事力、技術力、文化力もその根底には経済力があるのです。

つまり国力の最も基盤のところにあるのが経済力なのです。その大事な経済力が日本の場合、20年以上にわたり停滞していたのです。この責任は政治にあるのは当然ですが、一方で国民にもその責任があるのではないかと思います。

日本は民主主義国です。国民に主権があるのだから、政治が間違っていれば国民が声を上げそれを正さねばならないです。経済の本質を国民が理解していれば政府・財務省・日銀や誤れる経済学者らの誤りに気付いて、これを正すことが出来た筈です。

無論、一部の人たちは、これに対して意見を述べたり、抗議をしていました。私はそれを否定するつもりはありません。しかし多くの国民は20年以上声を上げませんでした。国民も経済の本質が分かっていなかったようです。それこそが本当の問題なのでしょう。

豊かさを取り戻そう

経済の目的は経世済民、即ち国民を豊かに幸せにすることです。憲法第13条にすべての国民は幸福追求の権利があり、政治はこれを最大限尊重すべしとあります。その観点から過去20年間の日本の政治を見ると、完全に失敗だったと言えます。

20年間経済成長をしなかったと言うことは、20年間日本国民の所得が増えなかったと言うことなのです。安倍政権になり多少持ち直していますが、それでもピークの時より国民の所得は減少しています。言い換えれば国民は貧乏になっているのです。このことを指摘する識者は少ないです。

国民が幸せに感じるのは、今日より明日、明日より明後日、所得が増えることで実感するのです。日本の政治は20年間、国民からこの豊かさを奪ってきたのです。今からでもよいプライマリーバランスの達成・緊縮財政などと言うインフレ対策をやめ日銀がさらなる金融緩和を実施し、財務省が財政支出を増やし需要を喚起するという正しいデフレ対策を実行すべきなのです。

今年の10月に増税などやっている場合ではありません。そうしてデフレを脱却すれば他国並みに経済成長が可能となります。国力の元は経済力、経済力の指標は経済成長・GDPの増加であることを認識し、財務省や経済学者のいう「国の財政赤字で財政破綻」という大嘘に騙されることなく、正しいデフレ対策を早く実施すべきなのです。一日も早く政治家は勿論のこと国民が目を覚ますことを願ってやまないです。

以下のグラフは世界主要国が過去20年間にどれだけ経済成長をしたか示したものです。チャイナは13倍、インドは5.7倍、イタリア、ドイツは1.4倍、日本は1.0倍であることが分かります。日本だけ全く成長していないのです。このグラフを見て怒りを感じない日本人が多いのには驚きです。



この期に及んで、未だに増税しようなどと言っている政治家や官僚に対して私達はもっと怒るべきなのです。多くの人々が、幸福をなかなか実感できないとすれば、そのほとんどは自己責任ではなく、実はデータが示すように、少なくとも過去20年間については、大部分が政府の責任なのです。日本人は奥ゆかしいところがあり、なかなかそのようなことはいいませんが、現実はそうなのです。

それは以下のグラフ自殺者数の推移からみてもうかがえます。


最近は、安倍政権が成立してから、自殺者数は2万人台ですが、デフレが深刻だった時期は、毎年の自殺者数のが3万人台で推移していました。

経済政策のまずさは、科学技術の発展を遅らせるだけではなく、人の命まで奪うです。これについては、以前このブログにも詳細に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
“安倍辞めろ”の先にある「失われた20年」とデフレの再来 雇用悪化で社会不安も高まる―【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!
自民党候補の応援演説を行った安倍晋三首相=17年7月1日午後
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ソ連崩壊後のロシア政府の経済政策がまずすぎて、いっとき男性の平均寿命が、57.6歳にまで落ち込んだことがあります。これは、自殺者やアルコール依存症が増えたためです。経済政策のまずさは、人を殺すこともあるのです。

先に、国力=経済力と言っても間違いはないと書きましたが、経済はいっとき悪くなったにしても、極端に悪くならなければ、優秀な人が存在すれば、いずれ復活することはできます。しかし、人がいなくなれば、それもかないません。

ちなみに、冒頭の記事の江崎氏は、日本経済が今後も低迷するならば、50年時点で「中国、米国、次いでインドが世界超大国の座につく一方で、日本のGDPは中国・米国の6分の1、インドの3分の1以下の規模となり、存在感は著しく低下する」という事実をしてきしています。

この中にロシアはでてきません。どうしてかといえば、現在のロシアの経済規模は、かなり縮小して、GDPは日本の東京都を若干下回っているからです。これは、韓国を下回る水準です。このロシアが今後日本をしのぐような経済大国になることはないです。

やはり、人を大事にしなかったつけがまわって来たのではないかと思います。人を大事にするためにも、経済を落ち込ませせるとか、デフレにしてはいけないのです。

なにやら、日本では、デフレが当たり前になってしまっていますが、日本が過去にデフレでさえなけば、日本も他の国々の平均くらいの成長ができたはずなのです。デフレは、通常の経済循環を逸脱した経済の病です。

通常の経済循環では、良い時と悪い時が交互に訪れます。常時良い状態を保つことはできません。しかし、デフレは悪い状態ではなく、明らかに異常な状態なのです。デフレになっても、物価が下がるのは緩慢なので、多くの人々はなかなか気づきませんが、これは人間の病気でいえば癌のようようなものです。放置しておば、徐々に病気が進行して、取り返しがつかないことになります。

放置することは許されません。しかし、過去には放置するどころか、増税したり、金融引き締めをするというとんでもない対処法してきたのです。これは、病人や老人に対して、休みを与えないどころか、過度な運動を続けさせるようなものです。

こんなことをすれば、経済が伸びることはありません。もし少なくとも、日本が他国のような政策をとらなくても、増税や、金融引き締めなどの余計なことをせずに何もしなければ、日本はまだまだ成長していたはずです。日本はデフレから脱却さえできれば、これからかなり伸びるのは確実です。

これらのデータをみれば、これだけ、日本では過去の経済政策の失敗が明々白々なのに、また増税などと誤った政策を実行すれば、日本はまたデフレから脱却できず、同じことの繰り返しになってしまうことは明らかです。そのようなことをさせて良いはずはありません。

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2019年3月11日月曜日

「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人―【私の論評】天皇大権を蔑ろにする「元号の事前公表」黒幕 は誰か?

「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人
倉山満

 今年元旦から、皇室史学者を名乗ることとした。わが国の皇室のあり方を自分なりに勉強して、陛下が何をなされてきたのか、そして何をなされようとしているのかを、考えるべきではないかと強く思ったからだ。

 現在の象徴天皇制は、古来の伝統法に文明国の通義に合わせて出来上がった明治の立憲君主制が、敗戦による外国勢力の介入に耐えて出来上がっている。そもそも、わが国の伝統法とは何か。戦前は国体と呼んだ。わが国の国体の根源は、君臣の絆(きずな)である。そして、わが国において天皇が民を見捨てることはなかった。

 天災や飢饉が起きたときでさえ、歴代天皇は己の不徳を天に詫びるのが常だった。かの後醍醐天皇ですら、そうだった。古くは元寇に際し、時の治天の君である亀山上皇は「自分の身はどうなろうとも、国と民を守り給え」と皇室の御先祖である神々に祈られた。

 はっきり言えば、亀山上皇や後醍醐天皇はわが国史において暗君ではあるが、外国の君主に両帝のような態度を示した君主が何人いるか。わが国の暗君も、外国では聖主なのである。

 敗戦に際し、昭和天皇が自らの命を懸け、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサーを説得したのは近代史の出来事である。1990年、どこぞの国の君主は、自国が外国に占領されたとき、国民を見捨てて真っ先に亡命した。わが国の皇室の歴史は、外国とはまったく違うのである。

 戦前憲法学の泰斗であった、佐々木惣一京都帝国大教授の門下生に語り継がれている教えがある。佐々木先生は、憲法改正無限界説を唱え、「アカ」呼ばわりされた。当時の通説である憲法改正限界説が「いかなる憲法改正であっても、皇室を廃止することは許されない」と主張した。通説であり、政府の有権解釈だった。

 これに対し、佐々木先生は「いくら法律の条文や解釈で縛ろうとも、国民が皇室を廃止しようとした場合、止められるものではない。よって、法学者としては限界説を採ることはできない」と反論した。法律論として、不可能は要求できないとする、法実証主義の立場だ。

 ただし、これには続きがある。もし、国民が皇室を見捨てたときのことだ。佐々木先生は、「その時、日本は日本ではなくなる」とおっしゃられたと聞く。「である」論としての法律論と、「べき」論としての政治論は分けておられたのだ。

昭和天皇とマッカーサー元帥=昭和20年5月

 事態は佐々木先生が想像されたよりも早く訪れた。もちろん敗戦である。天皇は「象徴」とされた。ただ、マッカーサーにとって「象徴」とは決して軽い意味ではなかった。日本国憲法の草案はマッカーサーノートと呼ばれるが、そこには「Symbol=Head of state」と走り書きがなされている。象徴とは国家元首の言い換えなのだ。

だが、これを「ロボット」にしたのは裏切り者の日本人だ。東京大法学部教授の宮澤俊義と、当時の内閣法制局長官、吉國一郎だ。

 宮澤は教科書で「天皇はめくら判を捺すロボット」と断言した(『コンメンタール 全訂日本国憲法』74頁)。吉國は、「天皇の行動があらゆる行動を通じて国政に影響を及ぼすことがあってはならない」と言い切った(昭和50年11月20日参議院内閣委員会答弁)。

 しかし、これらの解釈は世界の立憲君主国の標準、すなわち文明国の通義からかけ離れている。

 世界の憲政の模範はイギリスだ。そのイギリスで「権威書」として憲政運用の解釈書として尊重されている、ウォルター・バジョットの『英国憲政論』は、立憲君主とは独裁者ではないと説く。同時に、単なる傀儡(かいらい、ロボット)でもないとも説く。

 バジョットは、『英国憲政論』(『世界の名著』124頁)で「イギリスのような立憲君主制の下では、君主は三つの権利―諮問に対し意見を述べる権利、奨励する権利、警告する権利―をもっている。そして君主がすぐれた感覚や英知をもっているならば、このほかに必要とするものはなにもない。このような君主は、他に何も持っていないので、この三つの権利を非常に効果的に行使できることを知っている」と述べ、以下延々と君主が国政に対し影響を及ぼす方法について述べている。

 君主が国政に影響力を行使してはならない、などとは言っておらず、逆なのだ。その証拠に日本国憲法第4条第1項を見よ。「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とある。

 権限(権能)がないとは書いているが、影響力を行使してはならないとは、どこにも書いていない。マッカーサーですら象徴天皇とは国家元首だと理解していたが、日本人自らの手で天皇をロボットに叩き落したのだ。そして、戦後教育においては、皇室と国民の絆を断ち切らんとする教育が行われ続けた。

 さて、このような状況で陛下は平成の三十有余年を天皇としてのお務めを全うされた。国事はもちろん、祭祀にも熱心で、さらに国民との絆を保つ活動を、二度の大病を乗り越えて行ってこられた。

 平成23年3月11日の東日本大震災に際し、社会の指導者たるべき人間たちが、原発事故の放射能が怖くて逃げた。あまつさえ、「陛下も京都へ逃げた」とデマを流しながら。

 だが、事実は違った。3月16日、突如として「ビデオメッセージ」が流れてきた。横文字で何のことか分からないが、要するに玉音放送である。ただただ、国民を励まされるだけだった。激励権の行使である。ただし、国民に向けて語りかけられるという異例の形式だが、現行憲法下でも違憲ではない。

仮設住宅を訪れ、出迎えの人たちに手を振って応えられる
天皇、皇后両陛下=2012年5月、宮城県仙台市

 何も言い訳もしないし、ましてや自分を悪(あ)しざまに罵(のの)しった者どもに言い返しもしない。しかし、「決して国民を見捨てて逃げはしない」と明確に訴えられていた。

 幾多の風雪に耐えた平成の御世が終わりかけている、今思う。国体は健在なり。(文中一部敬称略)

【私の論評】天皇大権を蔑ろにする「元号の事前公表」黒幕 は誰か?

天皇をロボットにしてしまった裏切りもの内閣法制局長官、吉國一郎のことが上の記事に掲載されていました。

内閣法制局が入る中央合同庁舎第4号館

では、内閣法制局とは、どんな官庁なのでしょう。これは、憲法を頂点とする日本国の法体系のすべてに責任を持ちます。当然、憲法解釈の全権を一手に握ります。

財務省主計局が予算をつけ、国民の代表である国会が承認した法律であっても、法制局が「憲法違反の疑義がある」と述べれば、執行できないのです。政治家も財務官僚も、法制局の意向に沿うように法律や予算を修正しなければならないのです。財務省の「他は並びの山」の例外が法制局なのです。

ついでに言いますと、安倍晋三が「一強」とよく言われています。いくら腰が引けているとはいえ、安倍総理は確かに財務省相手にはファイティングポーズだけはとっています。

ところが、最初から降参しているようです。これは揶揄ではありません。安倍自民党改憲案を見ると、そのなかで、一文字でも法制局の意向に沿わない文字はありません。

一文字と言うのは大げさでも何でもありません。法制局は、日本国のあらゆる法令の「てにをは」まで監視しているのです。その一文字の誤りで、霞が関の官僚のすべてが畏怖するのです。

財務省も例外ではありません。グーグルマップでも見ると、財務省と法制局の建物は、直通の廊下でつながっています。財務省は法制局に因縁をつけられないよう、日常的に行き来できるようにしているのです。

特に財務省の本流である主計局の官僚にとって、法制局を敵に回さないことは出世の条件です。法制局の承認を得ていることこそ、他の官庁に威張り散らす権力の源泉なのです。

安倍総理も財務省主計局の権力も、法制局の権威の下での話ということになります。これはローマ教皇の下の皇帝や国王のようなものです。その法制局の権威の源が東大憲法学です。

宮沢の「天皇ロボット説」は単なる学説と片付けても良かったはずなのですが、第四代法制局長官の吉国一郎が政府解釈にしました(昭和50年11月20日参議院内閣委員会答弁)。

これは国会図書館の検索システムで簡単に議事録を確認できるので、皆さんご自身で調べていただきたいです。要するに「天皇は社会に向かってモノを言ってはならない」としたのです。宮沢説を、法制局が─有権解釈─法律的に効力がある政府の解釈にしたのです。

こう考えると、消費増税をめぐる安倍首相と財務省の駆け引きすら「ザコの喧嘩」にすぎないのです。ところが、これが日本の権力構造の真の実態なのです。

このようなことがまともであるといえるのでしょうかか? 
天皇や皇室は本来ならば敗戦の時に全員ギロチンにかけたいが、それも叶わなかったので仕方がないから象徴として残るのは認めてやるが、盲判を捺すロボットでいろ。
これが吉国長官以来約45年間、今の安倍内閣に至るまでの政府見解なのです。一般の日本国民がそういうことを知らなかったのを責める気はないです。しかし、有識者、いやしくも保守を自任する言論人ならばどうでしようか。
4月1日の改元にも大きな問題があります。改元は本来、天皇の大権です。しかし、実態は時の権力者の思惑に左右され続けてきました。最も蔑ろにされてきた天皇大権であると評しても過言ではないです。

だから、改元に際して多少のさざ波が立とうとも、それだけで天皇の権威に瑕がつく訳ではありません。その程度で皇室はビクともしないのです。

しかし改元を利用して、意図的に天皇や皇室の権威を貶めようとする者がいたら、国民はその者の名を心に刻まなければならないです。

明治以降、改元の規定は皇室典範で定められていました。それが敗戦に伴い旧典範は廃止され、元号は成文法上の根拠を喪失、慣習法として存立してきました。

こうしたことから、元号廃止運動が学界や言論界を中心に盛り上がり、逆に元号法制化運動も自民党を中心に進められました。結果、元号法が定められ、成文法としての根拠を回復することとなりました。この法律はたった2条だけです。
第1条 元号は、政令で定める。 
第2条 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。
読めばわかるように、一世一元の制の成文化です。天皇の代替わりの時にしか改元できないのです。そして現行法では、新元号の発表は代替わりの後にしか行えないのです。

昭和から平成への改元も、そうでした。昭和最後の1年間、先帝陛下は重病に苦しまれ、いつ「その日」が来るかと日本中が心配しました。そして昭和64年1月7日に崩御。同日、今上陛下が践祚(せんそ。天皇の位を受け継ぐこと)され、同日に政府が発表、翌日から施行されました。

もちろん政府は事前に新元号を用意していたのですが、公表は新帝践祚(せんそ)の後でした。時の竹下登内閣は、人としての道理を知っていたからです。

一世一元の制の現代において、元号はそのまま天皇の贈り名となります。お亡くなりになられた後に贈られるから、贈り名です。天皇陛下は存命中、「今上天皇」としか呼ばれなません。

昭和天皇、大正天皇と名前で呼ばれるのは崩御の後です。世の中には日本人としての素養がない人がいて、公共の場で「平成天皇」を連呼する御仁がいますが、「勝手に殺すな!」と言う他ありません。

改元大権を持ち出すまでもなく、新しい元号は新帝の元号なのである。だから、新帝が位に就かれた後にしか、公表してはならないのです。

どうしても事前公表したいのなら、現行法を改正するなり、いっそ一世一元の制を廃止してからにすれば良いのです。時間などいくらでもありました。それをあえて選挙で選ばれた国会議員による立法ではなく、政府の官僚による解釈で行おうとしているのです。

その意図は明々白々です。一つ、真の立法権は国会議員ではなく官僚にあると知らしめること。一つ、天皇の元号ではなく、政府の元号であると見せつけること。要するに、法の解釈を握るものは、政治家よりも、そして天皇よりも偉いのだと、権威を見せつけようとしているのです。

では、解釈を握る政府の官僚とは誰なのでしょうか。天皇ロボット説の総本山、内閣法制局です。その長官は横畠裕介。この男、自分は天皇を超える「法王」とでも思っているのでしょうか。

だが、国民は皇室を蔑ろにするものを見逃しはしません。賢明な国民は、黒幕が誰かを知っています。「国民を見捨てない」陛下の覚悟さえも貶めた裏切り者の日本人は、内閣法制局長官 横畠裕介です。

内閣法制局長官 横畠裕介

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