2018年12月30日日曜日

官僚不祥事を斬る 高橋洋一嘉悦大教授「官僚は合理性を武器に」―【私の論評】国民本位の合理的な考えでなく省益本位で仕事をする財務省は排除せよ(゚д゚)!

官僚不祥事を斬る 高橋洋一嘉悦大教授「官僚は合理性を武器に」

厚労省、財務省,法務省の看板(左から)

平成30年は官僚の不祥事やミスが多かった。「官僚の劣化」という人がいるけど、世界からみたらもともとそんなに優秀ではない。事務仕事だけやっていればよいのだから。たまたま噴出しただけではないか。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)は、とんでもない話だ。佐川宣寿前国税庁長官が、自分の答弁に合わせるために改竄を主導した。佐川氏は懲戒免職にすべきだった。停職3カ月相当の懲戒処分なんて軽すぎる。

 2月にこの問題が報じられたときに決裁文書を読んでしっかり答弁していたら改竄する必要がなかった。これが佐川氏の「チョンボ」。財務省近畿財務局は、土地を入札にかけていれば何の問題もなかった。問題の土地と道路を挟んで隣接する同規模の元国有地を大阪府豊中市が実質負担2千万円で購入していたので、このぐらいで売れたはずだ。こちらは近畿財務局の「チョンボ」だ。

 財務省では、福田淳一前事務次官はテレビ朝日の女性記者へのセクハラ発言で辞任した。あれは仕事とは別の失敗だ。福田氏は地頭もよく、官僚としては優秀だった。

佐川宣寿前国税庁長官と福田淳一前事務次官

 「働き方改革」は、厚生労働省による裁量労働制に関する調査で異常値が相次いで見つかり、政府が法案から裁量労働制の対象拡大を削除する事態に追い込まれた。そもそも、裁量労働をしている人は、仕事時間が明確に分からない。私も裁量労働だが、外でふらふらして情報収集している時間も仕事といえば仕事だが、そうでないともいえる。知人は朝起きてから寝るまで仕事の時間と答えたそうだ。

 統計では、そうした数値は「外れ値」といってカウントしないというルールがある。統計を分かっていない。率直にいうと、官僚に文系が多すぎる。データの専門家が役所にほとんどいないんだよ。野党のほうがそういうことをよく分かっていて、政府を責めた。戦術的に野党が勝ったという話だ。

 外国人労働者の受け入れ拡大に向け在留資格を創設する改正出入国管理法は、拙速すぎた。中身は詰まっていない。世界の例では総量制限などをきちんと法律に書き込むが、日本は政省令だ。審議の中で法務省で失踪技能実習生の調査をめぐる集計ミスなどもあった。法務省はゆっくりだけど、きっちりやる役所だ。せかされたらこうなるのは目に見えていた。将来、混乱が起きるだろう。

 外国人材の受け入れは2月の経済財政諮問会議で安倍晋三首相の指示が出てキックオフとなり、6月の「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)に「来年4月」と盛り込まれた。秋の臨時国会で法改正が行われた。法務省は「骨太」が決まる前に、ちゃんとした制度を作るには「来年4月では無理だ」と説明すべきだった。「来年度」とすれば何の問題もなかった。自分たちの力を過信したのか。

 官邸の力が強いから逆らえないという指摘もあるようだが、関係ない。「政」は合理性に弱い。平成17年に小泉純一郎元首相が郵政民営化の施行を「2カ月遅らせろ」と指示したことがあった。郵政選挙の空白期間が2カ月だったからだ。私は「半年ごとのシステムしか構築していないから無理だ」と説明したら、小泉氏は「えっ」といって、あっさりと受け入れた。合理性とはこういうものだ。

 確かに安倍政権が長いから「政」が「官」に比べて強い。だが、こういうときこそ官僚は合理性を武器にすべきだ。合理的に説明する人材を人事で飛ばすわけがない。排除されるとすれば、合理的に説明する能力が足りていないだけだ。(沢田大典)

【私の論評】国民本位の合理的な考えでなく省益本位で仕事をする財務省は排除せよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事ては、「こういうときこそ官僚は合理性を武器にすべきだ。合理的に説明する人材を人事で飛ばすわけがない。排除されるとすれば、合理的に説明する能力が足りていないだけだ」と締めくくっていますが、確かにそうです。

官僚が合理的に、特に数字を用いて合理的に説明できれば、排除されることなどありえないです。ただし、例外もあります。その例外とは、官僚や役所が合理的な考えで仕事をしていないときです。この場合はどう考えても合理的説明ができません。

それは実際に事例があります。それについては以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
株急落は来年の様々なリスクの前兆、消費増税の余裕はない―【私の論評】財務省は本気で全国民から恨まれ、米国を敵にまわしてまでも増税できるほど肝が座っているのか?
 

この記事は、今月の27日のものです。元記事は高橋洋一氏が書いています。この記事には、高橋洋一氏が、上司に日本の財政赤字はさほど深刻でいないことを説明したところ、とんでもない答えがかえってきたことを掲載しています。その部分のみ少し長いですが、引用します。
 本コラムでは、政府の財政について、負債だけではなく、資産も含めたバランスシートで考えなければいけないと、何度も書いてきた。筆者は20年以上もこのことを繰り返してきた。「統合政府論」というファイナンス論の基礎でもある。 
 この考え方をもとに、大蔵省(現財務省)勤務時代に、単体のみならず連結ベース政府のバランスシートを作成した。それをみると、それほど国の財政状況は悪くないことが分かった。 
 国の徴税権と日銀保有国債を政府の資産と考えれば、資産が負債を上回っていることも分かった。この財政の本質は、現在まで変わっていない。
 また資産といっても、一般に考えられている土地や建物などの有形固定資産は全資産の2割にも満たない程度だ。大半は売却容易な金融資産で、政府関係機関への出資・貸付金などだ。
 その当時、筆者は上司に対して、ファイナンス論によれば、政府のバランスシート(日本の財政)はそれほど悪くないことを伝え、もし借金を返済する必要があるのであれば、まずは資産を売却すればいいと言った。
 それに対し上司から、「それでは天下りができなくなってしまう。資産は温存し、増税で借金を返す理論武装をしろ」と言われた体験もいろいろなところで話してきた。
 ちなみに、日銀を含めた連結ベース、つまりいわゆる統合政府のバランスシートに着目するのは、その純資産額が政府の破綻確率に密接に関係するからだ。
 これもファイナンス論のイロハである。IMF(国際通貨基金)も、統合政府の純資産に着目して、日本では実質的に負債はないといっている。
 純資産額の対GDP比率は、その国のクレジット・デフォルト・スワップ・レートと大いに関連する。それは破綻確率に直結するからだが、日本の破綻確率は今後5年以内で1%にも満たない。
 この確率は、多くの人には認識できないほどの低さであり、日本の財政の破綻確率は、無視しても差しつかえないほどである。
この文書から、高橋洋一氏の上司は「天下りをするために、資産は温存し、増税で借金を返す」と発言したわけです。

これは、高橋洋一氏きが大蔵省(現在の財務省)に在籍していたときの話であり、この話は当時の大蔵省や現在の財務省では、通じる話かもしれませんが、政治家や一般国民には通じる話ではありません。

一国の財政は、国民生活が円滑に進むようにすべきであって、財務省(大蔵省)の官僚の天下りのために実施されるべきではありません。

しかし、大蔵省、そうして現在の財務省は、現実に天下り先を確保するために、増税や緊縮財政を続けているわけです。その典型的なものは、来年10月の消費税の10%へのひきあげです。財務省は、日本国民にとって合理的な考えでなく省益本位で仕事をしているのです。

このために財務省は、増税のために様々な論拠をあげるのですが、それらはことごとく合理性に欠けています。

このように財政に関して、財務官僚や財務省は合理的な考えで仕事をしていません。そのため、財務省は財政に関して合理的な説明ができません。

財務官僚の説明する財政に関する話は、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)において、佐川宣寿前国税庁長官が、自分の答弁に合わせるために改竄を主導したのと同じように、ことごとく非合理的です。



ただし、財務省は、税務権力、特に強制的な財務調査権を持っているため他省庁や、政治家、あらゆる民間組織、個人に対して、強力なパワーを発揮できます。税務権力は軍事力、警察権力と並んで、国家権力の典型です。

この財務省が財政に関して非合理的なことを語っても、政治家もマスコミも、民間組織も個人もそ非合理性を強く非難したり、追求したりしないのです。

こうした国家権力はいうまでもなく強力で、政治学や社会学では軍事力や警察権力はしばしば「暴力装置」と呼ばれます。学問の世界では税務権力は暴力装置から外されることが多いですが、実質的には含まれていると考えるのが妥当だと思います。この税務権力に政権・政治家は怯え、メディアや財界も事を荒立てないようにするのです。

荒立てないだけなら、まだしも、財務省の緊縮財政の根拠についてそれを補強するような論説をする恥知らずのマスコミや識者も大勢存在する始末です。これらに籠絡されて、増税すべきと頭から信じ込む政治家も多数存在します。

そのため、財務省のどう考えても、経済的に非合理な財政に関する考え方、たとえば消費税の増税なども、多くの国民は、正しいものと信じ込んでしまうわけです。ただし、この非合理性に関しては、以前よりは多くの識者が暴露するようになってきたので、徐々にこれを信じなくなってきてはいます。

冒頭の記事では、「(官僚が)排除されるとすれば、合理的に説明する能力が足りていないだけだ」と語っていますが、財務省という官庁そのものが、財政に関して合理的説明ができないのですから、この状態がいつまでも続くなら財務省を排除するしなくなります。

すなわち、財務省の解体です。ただし、このブログでも何度か掲載したように、財務省という官庁は単純に分解すると他省庁を植民する習性があるので、いくつかに分解した上で、それぞれを他省庁の下部組織として組み入れるのが適当です。

他の文科省などの組織も、自らの仕事に関して合理的な説明ができない官僚や、組織自体も、その状態が続き治る見込みがないなら排除すべきです。

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