2016年11月2日水曜日

天皇陛下発言の政治的利用を許してはならない―【私の論評】マスコミは宮内庁内の非公式組織の情報を垂れ流したことを猛反省すべき(゚д゚)!


独善的な解釈を堂々と掲載する朝日新聞

古森 義久

国際福祉協会の創立60周年記念慈善晩さん会に出席時にダンスを披露される天皇皇后両陛下
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

    天皇陛下の「生前退位」をめぐる議論が波紋を広げている。

この議論において、国民も政治家も絶対に避けるべきなのは、天皇陛下の発言を政治的に利用することだ。ご発言の「真意」なるものを自分の政治的な主張に都合のよいように曲解し、「天皇陛下は実はこう思われているのだ」と断じる政治操作である。

なぜなら、天皇陛下ご自身が日本の政治には直接関与せず、あくまで中立の立場を保たれることが絶対に守られなければならない鉄則だからだ。

日本国憲法第1章「天皇」の第4条は、天皇陛下は「国政に関する機能を有しない」と明記している。天皇は憲法の交付や国会の召集などの国事行為を委ねられていても、それらの行為はすべて「内閣の助言と承認」に基づき、「国民の総意」が大前提とされる。天皇はあくまでも内閣や国民が決めたことの儀礼的な手続きの実施にあたるだけである。つまりは、政治の実権には関わらない「象徴」なのである。

だから今回の「生前退位」も、天皇陛下は単に自らの退位を求められただけであり、その背景に政治的な意図や意思があるはずがない。あってはならないのだ。

  久米氏の発言を誘導する菅沼記者

ところが、そうであるにもかかわらず、朝日新聞はその「ご発言」に政治的な意図があると勝手に断じる記事を堂々と載せている。

朝日新聞では10月17日夕刊から「人生の贈りもの わたしの半生」という合計10回からなるインタビュー記事の連載が始まった。登場するのは、テレビやラジオで活躍する久米宏氏(72)である。インタビュアーは朝日新聞記者で「報道ステーション」にも出ていた菅沼栄一郎氏だ。

記事が掲載されていたのは夕刊の文化面である。普通に考えれば、タイトル通り、インタビューされる人物の半生をいろいろな角度から紹介し、文化や芸術という視点からその生き方に光を当てる記事であるはずだ。

ところがこの記事は、冒頭から朝日新聞のお決まりの政治的主張が展開される。以下のような具合である。

――(菅沼記者の質問)やはり、戦後、新憲法世代ですね。

久米宏氏 「日本国憲法はたぶん、日本が世界に誇れる唯一のものだと思うんです。日本という国があってよかったな、と世界の人が思ってくれる要素は何があるかな、と考えると、ウォークマンは作ったりしたけれど。こういう憲法が先進国の中にあるんだ、っていうのは自慢のタネですよ。せっかくの宝ものをなくすことはないと思う」

――先日のラジオで、「生前退位」会見を取り上げました。天皇陛下の「お言葉」は「今の新しい憲法を守ってください」との意味を含んでいる、と。

「『象徴』という言葉を8回も使っていた。天皇が象徴だというのは現憲法で初めて使われた言葉ですから、国民の総意に基づいた象徴であると、なぜ、これほど繰り返したのか。現憲法を尊重しているからだと思う。

『お言葉』が発表されたのが8月8日でした。広島に原爆が落とされた6日と長崎の9日に挟まれた日を選んだのは、平和を守って欲しい、というメッセージではないか。ぼくの勝手な解釈ですよ。私は、天皇制にはやや疑問を持っていますが、天皇と皇后の大ファンであることは間違いない」

  政治的な意図や思惑を排して議論するべき

まず、菅沼記者が久米氏を誘導する形で、久米氏の憲法論を引き出している。そして久米氏がそれに乗るように、明確な根拠のない独善的な主張を展開している。

久米氏は民放ラジオの番組で、天皇のご発言の本当の意図は憲法改正への反対表明だという“解説”をしたようである。インタビュアーの菅沼記者はその解説を知って、久米氏の言葉を改めて引き出したということだろう。朝日新聞が自分たちの政治的主張を発信するために、久米氏を引っ張り出したのだとも言える。

個人のブログならまだしも、大手全国紙が「天皇の発言にはこんな政治的意図がある」という解釈を堂々と載せている。自分の政治的主張を述べることはもちろん自由である。だが、天皇陛下のご発言に独自に政治的解釈を加え、それをマスコミが大々的に発信するのはプロパガンダであり、デマゴギーである。

これからの天皇の退位の問題を考え、論じるには、まずこうした政治的な意図や思惑をすべて排することが必要だ。それこそが、健全な民主主義の国のあり方の論議であろう。

【私の論評】マスコミは宮内庁内の非公式組織の情報を垂れ流したことを猛反省すべき(゚д゚)!

上の記事で問題になっている朝日新聞の記事をデジタル版からそのまま引用します。
(人生の贈りもの)わたしの半生 放送人・久米宏:1 72歳
ラジオに戻ってからの発言は、テレビ時代より踏み込んだ「直球」が少なくない
■他の人がやらないことをやっていく 
――生まれたのは戦争が終わる約1年前。戦中派ですか。 
 埼玉県の児玉(現本庄市)という所に疎開して、農家のワラぶき小屋に6人家族で住んでいました。ベニヤ板で半分に仕切られた向こう側には別の家族が住んでいました。近くの川で毎日、シジミをとっていました。「シジミは滋養があるからね」と母親はいつも言っていた。飢え死にはしたくない、と子ども心に思っていたことを、はっきりと覚えています。ただ、戦争の記憶はまるでない。 
 ――やはり、戦後、新憲法世代ですね。 
 日本国憲法はたぶん、日本が世界に誇れる唯一のものだと思うんです。日本という国があって良かったな、と世界の人が思ってくれる要素は何があるかな、と考えると。ウォークマンは作ったりしたけれど。こういう憲法が先進国の中にあるんだ、っていうのは自慢のタネですよ。せっかくの宝ものをなくすことはないと思う。 
 ――先日のラジオで、「生前退位」会見を取り上げました。天皇陛下の「お言葉」は「今の新しい憲法を守ってください」との意味を含んでいる、と。 
 「象徴」という言葉を8回も使っていた。天皇が象徴だというのは現憲法で初めて使われた言葉ですから。国民の総意に基づいた象徴であると、なぜ、これほど繰り返したのか。現憲法を尊重しているからだと思う。 
 「お言葉」が発表されたのが8月8日でした。広島に原爆が落とされた6日と長崎の9日に挟まれた日を選んだのは、平和を守って欲しい、というメッセージではないか。ぼくの勝手な解釈ですよ。私は、天皇制にはやや疑問を持っていますが、天皇と皇后の大ファンであることは間違いない。 
 フィリピンなど、かつての戦地にご夫妻で何度もいらっしゃる。あれは明らかに昭和天皇の贖罪(しょくざい)の旅だ、と、ずっと思いながら見ていました。皇太子時代の家庭教師だったバイニング夫人は徹底したリベラルな人でしたから。全ての日本人のなかで一番リベラルなのは、いまの天皇だと思っています。国旗国歌問題の時に、「やはり、強制になるということではないことが望ましい」とおっしゃったことがあります。 
 ――放送では「万が一天皇が聞いていたら」と。 
 聞いている可能性はゼロじゃないでしょ。天皇はどんな番組を見たり聞いたりしているかは言わないという、暗黙のルールがあるそうです。本人が聞いているかも知れない、という前提で話したんです。 
 ――その後で、「違うよ久米さん。そんなことは言っていませんよ」と陛下の感想を想像しました。 
 何を話すかはぼくの自由ですから、他の人がやっていないことをやろう、というだけです。そうでないと、この仕事をやっている意味がないじゃないですか。 
 (聞き手・菅沼栄一郎)=全10回

くめ・ひろし 1944年埼玉県生まれ。早大卒業後、TBSに入社。79年フリーに。85~2004年、「ニュースステーション」(テレビ朝日系)。現在は、TBSラジオ「久米宏ラジオなんですけど」、BS日テレ「久米書店」に出演中。
 これは、ブログ冒頭の記事で、古森 義久さんが指摘したように、完璧な天皇陛下の政治利用以外の何者でもありません。完璧な憲法違反です。

特に、久米宏が一番最後に語った、「何を話すかはぼくの自由ですから、他の人がやっていないことをやろう、というだけです。そうでないと、この仕事をやっている意味がないじゃないですか」という発言には驕り高ぶりを感じます。

これは、行間を読みつつ平たく言えば、「何を話すのも自分の自由だ。他の人がやっていないしできない憲法違反でも、自分は敢えてやる。そうでないと、マスコミの仕事をやっている意味がない」といようように読むことが出来ます。

マスコミの人間なら、報道のためには、手段を選ばず、明らかに憲法違反であっても、敢えてやってやると公言しているようなものです。

確かに、マスコミには報道の自由があります。しかし、憲法違反をしてまでの報道はいくらマスコミ関係者であっても、許されるものではありません。

そこには、明らかにマスコミなら報道のためなら何をやっても良い、天皇陛下が語っていない言葉ですら、自分の考えで、おそらくこういうことを考えているのではないかという憶測を語っても許されると考えているようです。大きな間違いです。

無論、久米氏が天皇陛下が心の中でこのような考えをしておられるのではないだろうかという憶測をすること自体は自由です。しかし、それを新聞という公のメディアで、披露するのは明らかな間違いです。しかも、事柄が天皇陛下の政治的意図に関するものであっては、これは明らかに憲法違反といって差し支えないです。

そうして、このような発言を引き出した菅沼記者にも無論問題があるし、それを堂々と新聞に掲載したデスクや、朝日新聞そのものにも大きな問題があります。これは、朝日新聞が自分たちの独自の政治的主張を発信するために、新聞紙面を利用して、明らかに陛下の発言ではない発言を掲載したということです。

それにしても、そもそも「生前退位」という言葉自体が非常に良くありません。非常に不敬な言葉です。

天皇陛下が国民向けビデオメッセージの中で、生前退位の意思を表明されたとして、大きく新聞や、テレビで報道されています。

しかし、陛下はメッセージの中で、退位や生前退位という言葉は使っていません。識者の中には、「生きている間に、という意味で『生前』という言葉を使うのは不敬」という指摘もあります。

宮内庁のホームページでお言葉を述べられる天皇陛下

以下に、天皇陛下のビデオメッセージを掲載させていただきます。



そもそも退位自体に「生きているうちに地位権力を手放す」という意味があり、崩御により皇位継承された場合は退位とは言いません。

現在の日本国憲法や皇室典範では、皇位継承は崩御を前提とし、退位についての規定がありません。

また、生前という言葉には、「亡くなった人が生きていたとき」という意味で使われることが多く、「生前を偲ぶ」「生前の功労により」といった表現で用いられます。現に生きている人に対して「生前」という言葉は通常は使いません。

ご存命中に後継者である皇太子殿下に譲位する、という意味であれば、「退位」もしくは「譲位」と表現すれば趣旨は伝わります。陛下のご意向を最初に報じたNHKが、ニュースの肝である「存命中に」ということを強調するためか、敢えて「生前退位」と表現したために、標準ワードとなってしまいました。

10月28日の段階で、産経新聞だけが、「生前退位」という言葉を使わずに「譲位」ということばを使うことを表明しました。しかし、他のマスコミは未だに「生前退位」という言葉を使っています。

天皇陛下の退位を巡っては、元号をどうするか、不在となる皇太子をどうするか、皇室典範改正か一代限りの特別法制定にすべきかなど、解消すべき政治的課題が多くあります。大きく言えば、法の下の平等や人権に関わる憲法上の問題にも及ぶテーマであり、安倍政権の対応が注目されます。

なぜ、「生前退位」などという不敬な言葉をNHKtが最初につかったのかということも明らかになっていませんが、現在ふりかえつてみると、この「譲位」もしくは、「退位」騒動には最初から不思議なことがあります。

7月14日、ほぼすべての新聞社が“天皇陛下「生前退位」のご意向示す”と一面トップで報じました。

しかし、宮内庁長官も宮内庁次長もその日のうちに「陛下は憲法上、制度や国政に関する発言はしていない」「生前退位について官邸と相談しているということはない」と否定しています。この否定記事は朝日新聞には小さく出ていましたが、ほかの新聞にはすべて、「ご意向がある」ということが一面に出ていました。その場合は、本来は、ニュースソースを明示しなければならないはずです。

各新聞はそれを明示せずに「宮内庁関係者」としています。宮内庁は一つの組織です。組織は一体であり、その最高責任者が「発言はしていない」「相談しているということはない」と言っているのならば、新聞各紙は「ない」ことを一面で報じたことになります。

このような場合は情報源が「宮内庁関係者」という匿名ではあってはいけないはずです。なぜかというと、宮内庁の長官が「否定していること」は事実でした、そうなると宮内庁長官はウソをついている、とすべての新聞が報じることになるわけですから、その根拠となる情報源が匿名の下に隠れてるべきではないのです。

新聞も、テレビも、何か重要なことを報道するのであれば、必ず裏取りをしなければならないはずです。この場合、裏取りをした先の名前を出すべきだし、その名前が出せないというなら最初から報道すべきではありませんでした。

にもかかわらず、報道したのには何が裏があるはずです。それは、宮内庁内の問題ではないかと考えられます。宮内庁の長官をトップとする宮内庁のヒエラルキーの組織ではなく、天皇陛下に近い非公式な組織がそのようなことを言い出したとしか考えられません。

非公式組織は、組織の運営をする上においては、プラスになる場合もあります。しかし、組織として意思を表明するときには、この非公式組織が表にでるようなことがあってはならないです。

それは、会社の組織を考えてもわかります。会社には社長や会長をトップとする、組織図に掲載されている組織の他に、派閥などの非公式な組織があります。日々の運営などをすすめていく上で、この非公式な組織は役立つことも多いです。

たとえば、一昔前の大学病院には、「医局」なる組織がありました。これは、ほとんどの場合非公式な組織です。そうして、医局は多くの場合、名称も何もつけられていない部屋が使われていた事が多いようです。特に「医局」を定めた一般的なルールはありません。非公式の人と人とのつながりです。大学によっては明文化されたものにサインさせたり、名簿を作ることもあるかもしれませんが、それになにか法律的なものが絡むわけではありません。別にその取り決めを破ったからといって契約違反に問われるということはないです。つまり、慣習や因習による人のつながりが中心です。

病院の組織図に「医局」なる言葉が掲載されることは、今も昔もありません。今は、これが多くの病院で廃止されたようで、病院の運営に支障をきたすようなこともあるようです。

ある病院の医局
「医局」は教授の権力の基盤ともなっていましたが、別な側面からみると、新米の医師を育てるなどの役割も担っていました。また、医師不足の地方に医師を送り込む際にも、医局が大きな役割を担っていたこともありました。

現在でも、この非公式組織が残っている大学病院もありますが、完璧に廃止したところもあります。そのようなところでは、地方への医師の派遣が円滑にいかないところもあるようです。

このようなこともあるので、私自身は、正式な組織の中に非公式組織があること自体は否定しません。これは、プラスの面で考えると、正式な組織の中にできる私的なコミュニティーであるとも考えられます。単なる会社の中の仲良しグループだって、非公式な組織であることにはかわりはないですから、このプラスの側面があることからこのブラスの面を助長するものならあるべきだとすら思っています。

しかし、今回のような宮内庁のような組織で、そうして、天皇陛下の「譲位」にかかわるような重大なことで、正式な組織を無視して、非公式組織が、マスコミ等に「譲位のご意向」があるなどと漏らしていいたとしてら、とんでもないことです。

会社であれば、会長、社長、人事部などの会社の組織を無視して、外部の人間に「会長は退任のご意思がある」と漏らすようなものです。これは、まともな組織であれば、禁忌とされるべきものです。この禁忌を破った人間には、厳しい罰が下るのが普通です。

それにしても、宮内庁の中の、非公式組織にはそのような常識もない輩が存在するということです。そうして、そのような輩から、情報を受け、それを報道してしまったマスコミにも大いに罪があります。

ちなみに、外務省出身の佐藤優氏は、この宮内庁の中の非公式組織について次のように語っています。
宮内庁には(正式の組織以外に)もう一つのルートがあるんです。いわゆる奥の院と言われている侍従長です。

表には出てこないことになっている現在の侍従長は、元外務事務次官の河相周夫(かわい・ちかお)さんです。長官と次長が「否定していることが事実ではない」というのなら、新聞はその裏を取らなければ記事にはできません。少なくともこの侍従長に当てて、実名でそれを書かなくてはいけないんです。 
いわゆる天の声をこういう形で出すことで物事を進めようとしているのは、今の一部の宮内庁の人たち──つまり、外務省出身の人たちの動きだと思いますけれど、国家の民主的な統制からすると、ものすごく違和感がありますね。
佐藤優氏にいわせると、宮内庁には元外務省の官僚による、非公式組織があって、それが陛下のあるかないかも定かではない「譲位」の意図をマスコミに漏らしたということです。これが、本当かどうかは確かめようはないですが、どのみち、宮内庁には非公式組織があり、その組織が外部に情報を漏らしたのは確実だと思います。

陛下としては、内部の人間を信頼して、まさか外部に漏れるなどとも考えずに「譲位」の意向など話したのかもしれませんが、もしそうだとすれば、非公式組織の人間は弾劾されるべきです。なぜなら陛下は、日本国内が混乱しないために、火消しのために「ビデオメッセージ」を発信した可能性もあるからです。

いずれにせよ、禁を破った宮内庁の非公式組織に関しては、これは厳しく責任を問い、当然のことながら、この非公式組織は叩き潰すべきでしょう。

マスコミは、朝日新聞のように酷い憲法違反をしたり、見当違いの報道ばかりせずに、宮内庁の非公式組織を徹底的に追求すべきでしょう。

おそらく、新聞やテレビはこれは、しないしそもそもできないでしょう。おそらくこれをするのは、また週刊誌でしょう。

また、マスコミは非公式組織の情報を垂れ流したということで、国民はもとより何よりも天皇陛下に対して謝罪すべきでしょう。

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