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2020年3月26日木曜日

国際的にも異常!財務省をサポートする「使えない学者」たち 震災でもコロナでも増税路線 マスコミも「アメ」与えられ…情けない日本の現状 ―【私の論評】異次元の積極財政と金融緩和を迅速に実行し、増税・コロナによるダブルパンチ不況をいち早く抜け出すべき(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方


 新型コロナウイルスによる景気後退がいよいよ現実のものになってきた。欧米では外出禁止などの行動制限や規制が行われ、実体経済がどんどん縮小しており、2008年のリーマン・ショック級になりつつある。

 米国では、200兆円規模の経済対策が検討されようとしている。しかし、日本では消費回復の起爆剤になる消費減税を有力政治家が否定している。その背後には財務省がいるからだ。

 財務省には、実は多くのサポーターがいる。それらは、学者、マスコミと財界だ。

 一部の経済学者が、コロナ・ショック対策として経済政策を発表した。提言では、消費増税による悪影響がまったく言及されず、消費減税は完全に否定されていた。経済政策の提言としてはまったくお粗末だといわざるをえない。

 しかし、提言者の名前を見ると納得する。11年の東日本大震災後の復興増税から、昨年10月の消費増税まで、増税一本やりの人たちだったのだ。

 本来、大震災のような500年に1度の危機の際には超長期国債で対応し増税しないというのは基本中の基本だ。日本の復興増税のような悪手は、古今東西でほぼ見当たらない。

 今回のコロナ・ショックは、リーマン・ショック級のインパクトを経済に与える。各国の政策担当者は、そうした認識だろう。

 そうした学者たちを持ち上げ、財務省の宣伝記事をしばしば書くのが日本の大半のマスコミだ。日本の財政事情が悪くないのに財政再建の必要性をたれ流し、減税政策にも否定的だ。

 日本の場合、日刊新聞紙法により新聞社の株式には譲渡制限があるので、新聞社を中核としてマスコミグループが形成されるケースが多い。財務省はその新聞社に消費税の軽減税率という「アメ」を与えた。このため、新聞業界は消費減税に賛成と言いにくい事情があるのだろう。

 経済界も、消費増税の代わりに法人税の減税を主張する財務省を支持している。また、社会保障の充実のためには、社会保険料負担が不可避であるが、財務省は企業にも負担が及ぶ社会保険料ではなく、消費者に負担が及ぶ消費税を推してくれている。そこで財界も目先の利益のために、財務省支持になっているのだと思われる。

 このように、財務省は、学者、マスコミと財界の支持を得て緊縮財政を行っているので、政治家としても簡単には財務省に反対できない。

 マスコミと財界が自分の利益で行動するのはどこの世界でもある話だが、それにしても日本の学者の体たらくぶりは、国際的にみてもちょっと尋常ではない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】異次元の積極財政と金融緩和を迅速に実行し、増税・コロナによるダブルパンチ不況をいち早く抜け出すべき(゚д゚)!

3月14日夕、安倍晋三首相は首相官邸で開いた記者会見で声を張り上げた

「現在はあくまで感染拡大の防止が最優先ですが、その後は日本経済を再び確かな成長軌道へ戻し、皆さんの活気あふれる笑顔を取り戻すため、一気呵成かせいにこれまでにない発想で思い切った措置を講じてまいります。その具体的な方策を政府・与党の総力を挙げて練り上げて参ります」

3月14日夕、安倍晋三首相は首相官邸で開いた記者会見で声を張り上げました。今の経済状況は極めて深刻です。会見から3日後の17日には日経平均株価(225種)の終値は1万7000円レベルでした。既に「危険水域」を突破しており、大胆な経済対策は待ったなしの状態です。

本来であれば新年度予算案の国会審議が続いている時に追加経済対策や補正予算の議論をするのはタブーだったかもしれません。野党側から「ならば本予算案を組み替えればいい」と横やりを入れられて予算案審議がストップする恐れがあるからです。しかし、今は、そんな悠長なことは言っていられない状況です。野党も審議を拒否すれば、自分たちに批判が集まることを知っているでしょう。

現段階で経済対策の柱として語られているのは、キャッシュレス決済時のポイント還元の延長・拡充や、子育て世帯などへの現金給付などがあります。ところが、これらはいずれも「想定の範囲内」の対策です。特に「ポイント還元」については、昨年10月に消費税率が10%に上がった際の景気冷え込み策と目されていたが、その期待を見事に裏切ったことは実証済みです。今は「異次元」の対応が求められているのです。

そこで浮上したのが消費税減税論でした。消費税は1989年に導入されて以来、約30年の間に3%、5%、8%、10%と税率が上がってきました。1度も下がっていません。

それは、財務省が消費税減税に絶対反対の立場を貫き、多くの自民党議員も財務省に同調するだけではなく、上の記事にもある通り、多くの経済学者やマスコミまでが同調しているからです。

財務省は、少子高齢化が進み社会保障費の増大が避けられない状態の中、安定的な税源である消費税は、税率を上げる議論をすることはあっても、下げる議論はあり得ないかのごとく、世論を操作し、実際世論はその方向に動きました。この議論に反対するのは、少数派という状況になっていました。

財務省にとっては、消費税は税率を上げる際、大変な政治的エネルギーを費やしてきました。1度下げると、再び上げるのは途方もない苦労がいる。それは回避したかったのでしょう。

破綻した山形県の老舗百貨店、大沼。コロナショックは構造不況業種の百貨店の淘汰も加速させる

しかし、それが許されたというか、なんとか財務省が抑えつけられたのは、コロナショック前のことです。それにしても、10%増税後の景気の落ち込みは酷く、内閣府が9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算では7.1%減でした。

昨年10月の消費税の10%増税に対処するため、ポイント還元制度などを導入したのですが、これらは全く何の役にもたたかなかったことが実証されたのです。

それに、今回のコロナウイルスによる打撃は、リーマンショック以上といわれるのですから、消費税減税もタブーとせずに議論すべきなのです。

そうして、無論そのような動きは自民党の中でも起こりました。自民党の安藤裕衆院議員ら若手有志は11日、西村康稔経済再生担当相と面会し「消費税は当分の間軽減税率を0%とし、全品目に適用する」よう提案しました。形式的には軽減税率の拡大だが、実質的には「消費税を0%にする」という意味になります。

「消費税0%」は、昨年の参院選、れいわ新選組の山本太郎代表が主張したことで知られています。当時は他の野党でも荒唐無稽と受け止められたものです。しかし新型コロナ問題が起きてからはにわかに現実味を帯びてきました。

安藤氏ら以外にも、自民党若手・中堅を中心に消費税率の一時引き下げ論が高まっていました。

安倍総理は14日の会見で消費税減税について問われ「自民党の若手有志の皆さまからも、この際、消費税について思い切った対策を採るべきだという提言もいただいている。今回(昨年10月)の消費税引き上げは全世代型社会保障制度へと展開するための必要な措置ではあったが、今、経済への影響が相当ある。こうした提言も踏まえながら、十分な政策を間髪を入れずに講じていきたい」と発言。わざわざ若手の提言を口にして思わせぶりなことを語りました。

安倍総理はもともと財務省の「増税史観」に懐疑的で、消費税率アップを先送る決断も二度経験済みです。自民党内では消費税増税には最も慎重な考えの1人ともいえます。もし、昨年の今ごろ「新型コロナ」がまん延していたら、昨年10月の「消費税10%」は先送りしていたかもしれません。であれば、時限的に8%に戻す選択をしてもおかしくないです。

ところが、麻生太郎財務相は19日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気対策として浮上する消費税減税論について「現段階で消費税を考えているわけではない」と述べました。国民に現金を配る「現金給付」についても「今の段階で検討しているわけではない」と否定的な考えを示しました。

麻生財務大臣 19日日閣僚会議記者会見で

3月前半に大型経済対策の検討が伝わると、真っ先に動いたのは財務省でした。消費喚起策として、消費税率を5%程度に引き下げるべきとの主張が与野党の一部から出始めたため、その火消しに回ったのです。

消費税率引き下げについては、自民党の岸田文雄政調会長らも慎重な姿勢です。財務省の火消し作業は官邸や与党内で一定の成果を上げており、消費減税の可能性はかなり低くなってしまいました。

ただ、安倍首相は経済対策の考え方として「前例にとらわれた対応では、前例なき危機に対応できない」という言葉を繰り返しており、それが財務省との駆け引き材料として使われているようです。安倍首相は消費減税の可能性は排除していません。

そこで、消費減税に代わる経済対策案の目玉として浮上したのが、財務省自身も否定しない現金給付案です。目下の議論では、リーマンショック後の2009年4月の経済対策で配った1人当たり1.2万円(子どもと高齢者は2万円)を大幅に上回るのは確実です。最大で国民1人当たり10万円とする案が出ています。

しかし、これは明らかに財務省の政治的越権行為です。いつの間にか、消費減税と給付金が財務省の中でいずれをとるかの選択肢となっています。

これに沿った論評をする経済学者もでてきました。たとえば、Yahooニュースにもでていた、以下の記事です。
新型コロナショックに対しては、生活下支えが目的なら給付金、景気浮揚なら消費税減税が望ましい
詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事で著者は、経済対策の選択肢とそのシミレーションをあげ、以下のような結論を述べています。
このように、消費税減税が得になるか、給付金の支給が得になるかは、その人が置かれた所得水準やライフステージに依存することが分かります。つまり、誰もが納得する所得支持策はないのです。 
強いて言えば、低所得層や子育て世帯の生活底上げを目指すのであれば給付金の支給が望ましく、景気の底上げを目指すのであれば高所得階層に有利な消費税減税が望ましい、ということになるでしょうか。 
蛇足ながら付け加えれば、金持ちに給付金を渡すぐらいなら消費税減税の方が望ましいという意見も一部に見られますが、実際には消費税減税の方がお金持ち有利な政策であるということが明らかになります。
現状は、コロナによる経済の大停滞と未曾有の危機であり、かつ、消費税増税で景気が低迷しているわけですから、低所得層や子育て世帯の生活底上げを目指す給付金の支給と景気の底上げを目指す、消費税減税の両方を目指すべきなのです。

財源は、国債を大量に発行すれば良いだけです。これは、以前もこのブログに掲載したように、現状の日本では将来世代のつけにはなりません。それについては、以前のブログに掲載したことがあります。
政府、赤字国債3年ぶり増発へ 10兆補正求める与党も容認見込み―【私の論評】マイナス金利の現時点で、赤字国債発行をためらうな!発行しまくって100兆円基金を創設せよ(゚д゚)!

詳細は、このブログをご覧いただくものとして、この記事では、「国債は将来世代のつけにはならない」というラーナーの議論を掲載しました。

さらに、この記事ではマイナス金利の国債を大量に発行すれば、政府は国債で利益が得られることも掲載しました。

現状では、国債を大量に発行しても何の問題もないので、大量に発行し100兆円基金を創設べきことを掲載しました。この状況は現在もあまり変わってません。とにかく、現状はためらうことなく、国債を大量に発行し、異次元の積極財政を行うときなのです。

それと、先日もこのブログで述べたことですが、我が国のような変動相場制の国において、財政政策の効果は非常に低くなるので、金融緩和を同時に行う必要がります。

とにかく、現状では、減税・給付金による異次元の積極財政と異次元の金融緩和が必要であり、これらを迅速に実行して、いちはやく増税とコロナウイルスによるダブルパンチの不況をいち早く抜け出すべきなのです。

財務省の省益などに、かかずらわっている場合ではないのです。米国のように、挙党一致で、真に効果のある経済対策を打つときなのです。

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2013年4月8日月曜日

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か


大手企業100社が、利益のうち人件費などに回さずに社内にため込んだ「内部留保」の総額は2012年3月末(一部2月末なども含む)時点で総額約99兆円に上ることが7日、共同通信の調査で分かった。

リーマン・ショック直後の09年3月末からの3年間で10%増。労働者の賃金は下落傾向が続く中、企業が経営環境の変化に備え、利益を温存する姿勢を強めている実態が浮き彫りになった。

今春闘では円安も背景に一時金(ボーナス)を増額した大手もあるが、もっとサラリーマンの給料に回せるはずだ。

内部留保は、企業利益のうち投資や人件費などに使わずに内部に蓄積した現預金など。決算では「利益剰余金」として計上される。調査は100社の有価証券報告書に記載されたこの剰余金を集計した。

100社の内部留保はリーマン・ショック後の09年に約90兆円に落ち込んだが徐々に増加。直近の12年には100兆円に迫る勢いとなった。リーマン・ショック後の不安が払拭されない中、手元資金を確保し危機に備える意識がうかがえる。


この記事詳細はこちらから!!

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

就活が今のように過酷なものでなく、普通になれば、給料もあがる!!

今回は、昨日の続きのような内容です。昨日は、ベンチャー企業の起業家が日本には、少ないことに対して大企業に対する批判の記事がありましたので、起業家が少ないのは、大企業が悪いということではなく、あまりにも長い間続いたデフレのせいであることを掲載しました。この記事、ご覧になっていない方は、以下にその記事のURLを以下に゛掲載しますので、是非ご覧になってください。

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!


この記事では、完璧にベンチャー企業の起業家が少ないことを大企業のせいにしていました。詳細は、この記事をごらんいただくものとして、結論からいえば、そんなことは全くないわけで、本当の犯人はデフレです。

さて、今回の冒頭の記事においては、締めくくりに、「 アベノミクスで円安や株高が生じ、大手企業のフトコロは潤っているはず。「2年で2倍」とまではいかなくても、「異次元の給与増額」を決断してほしいものだ」ということが掲載されています。

昨日の記事と異なり、本日の冒頭の記事は、大企業を直接悪者扱いしているわけではありませんが、これだけ読んでいると、やはり、大企業が潤っているのに、賃金をあげないと非難しているように見受けられます。

就活の厳しさは、デフレのせいです!!

これも、はっきりと間違いなので、以下にその理由と背景を示します。まずは、このブログでも掲載したのですが、日本ではほとんど理解されていませんが、雇用・賃金と、金融政策との間には密接な関係があります。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

 

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、金融政策と、雇用に関する部分だけ、下にコピペさせていただきます。 

 

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。

それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。

日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。

さて、雇用と給与は密接な関係にあります。雇用が増えれば、賃金も増えます。なぜなら、雇用が増えると、雇用市場で何がおこるかといえば、働き口がたくさんできるので、求職者はより給料の高い方に勤めようとします。そうなると、給与が安い企業では、人を雇うことができなくなるので、必然的に給与を上げざるを得なくなります。そうして、給与が全体的にあがっていくわけです。

大企業が肥えるために、雇用を削減しているという見方は間違いです。

しかし、現実には、円安などで、大企業は潤ってるではないかと反論される方もいるかもしれません。確かに、そうです。トヨタのような企業などは、海外に多く輸出しているので、少しでも円安になれば、業績があがります。しかし、すべての企業がそうではありません。全く輸出していない、企業、輸出していたといしても、国内向けがはるかに大きい企業など、円高になったからといって、すぐに業績が上向くわけではありません。

そうして、一般に認識されているのとは違い、日本では、輸出産業は圧倒的に少数派です。どのくらい少数派かといえば、日本のGDPに占める輸出の割合は、15%に過ぎません。後は、内需産業です。輸出とは関係ない内需産業が日本では圧倒的に多いのです。これらの企業の業績が回復しない限りは、いくらアベノミックスで、円安傾向になったからといって、すぐに、賃金が上がるなどということはあり得ないことが良くお分かりになるでしょう。

そうして、なぜ、このように企業の内部留保が、99兆円にもなってしまったかといえば、その原因も、企業がケチだからなどという単純な理由ではなく、デフレだったからです。デフレとは、モノ価値が下がり、お金の価値があがっていくということです。そうして、デフレであれば、モノが売れず、企業としては、モノを売るために、設備投資もせず、雇用もせずということになります。そうして、お金をためこみ、次に景気が良くなったときに備えるということになります。

だから、アベノミクスで円安・株高になったからといって、すべての企業がすぐに給与をあげるというわけにはいかないのです。それができるのはあくまで一部の企業ということです。

海外でも、景気が悪くなれば真っ先に若者の雇用が犠牲になります

では、給与が上がり、多くの人がアベノミクスの恩恵を受けることができるようになるのは、いつになるかといえば、まず、はっきりしているのは、今年の秋に増税することを決め、来年の春に増税してしまえば、さらにデフレが継続し、賃金があがることはないでしょう。

もし、増税しないことが決まり、来年の春に増税しなければ、来年度末(平成15年3月)あたりには、そろそろ、多くの人がある程度実感できるくらいの賃金の上昇がみられるようになると思います。この流れは、まずはパート・アルバイトから始まり、次に正社員、正社員でも一般職から総合職へ、そうして最後に役員という具合に、デフレで最初に影響を受けるのとは全く反対のほうからみられるようになります。増税してしまえば、今後またデフレが続き、いくら金融緩和しても、雇用は上向かず、したがって、賃金もしばらく上昇しないことでしょう。

就活が報道されなくなったとき、賃金は上昇している?

そんなことにはならないように、金融緩和の次は、アベノミクスの第二の矢でもある大幅な積極財政をすることが必須です。私は、安倍自民党政権が、今年夏の参院選に勝つことができれば、増税は阻止されるものと思います。もし、負ければ、参院の捩れ状況が解消できず、増税される確率がかなり高まります。ちなみに、増税という政策は、積極財政ではなく、緊縮財政です。

それにしても、デフレは、本当に給料の敵です。日本では、この20年デフレだったので、給料が下がることはあっても、なかなか上がることはありませんでした。この間、デフレでなかった国がどうであったかといえば、20年で同じ企業で、同じ職位で働いていたとしても、少なくとも給料は2倍になりました。インフレ分を差し引いても、少なくとも1.5倍にはなっていました。

これが、デフレでない国の経済の当たり前のあり方です。こんなことから、給与が上がらないのは、企業のせいではなく、あくまで、デフレのせいであること、日銀の金融引き締め、政府による緊縮財政であったことを再認識していただきたいと思います。それに、デフレから脱却するためには、当面の増税はさけるべきであることも、再認識していただきたいと思います。そのために、安倍自民党政権には夏の参院選には勝っていただく以外にないということです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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