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2011年8月10日水曜日

菅首相8月中にも正式退陣表明? 辞めない可能性はゼロなのか―【私の論評】民主党の基本理念である、個人主義の本質は利己主義であり、次の選挙では完敗する!!

菅首相8月中にも正式退陣表明? 辞めない可能性はゼロなのか


   「退陣3条件」の成立にめどがつき、菅直人首相が8月中にも正式に退陣表明する、と新聞各紙が報じている。

   「首相、月内にも退陣表明」(朝日新聞)、「首相、月内退陣強まる」(日本経済新聞)――2011年8月10日付朝刊各紙の見出しには、こんな表現が並んだ。退陣3条件中の最難関とみられていた特例公債法案の可決・成立に自民、公明両党が協力するとの合意ができたことを受けたものだ。

岡田幹事長「思う、ではなく、お辞めになります」
   菅首相は8月9日、「3条件」が整えば退陣するのか、と記者団に聞かれ、「これまで自分が言ってきたことについては、ちゃんと責任を持ちます」と答えた。岡田克也・幹事長に至っては、「(菅首相が辞めると)思う、ではなく、お辞めになります」と断言した。

   しかも、菅首相は8月10日の衆院財務金融委員会で、「(3条件中残る2条件の法案が)成立したときには速やかに次の段階に移る準備に入らなければならない」と述べた。「党内で言えば代表選であり、新しい代表が決まれば私自身が総理大臣として身を処すことが当然必要になる」と述べた。さすがにここまで発言すれば、「近く退陣」は疑いようがない、と思える。

   ただ、これまでの経緯を振り返ると、それでも疑念は残る。

   菅首相は、民主党内からの造反で不信任決議案が可決する恐れも出ていた6月2日、党代議士会で「震災への取り組みに一定のメドがついた段階で、若い世代のみなさんにいろいろな責任を引き継いで頂きたい」と述べた。この発言が「辞任表明」と受け取られ、決議案は何とか否決できた。

鳩山氏「私は信じたい」
   同じ6月2日の記者会見では、菅首相は「一定のめど」について、年越しの可能性もある福島第1原発の「冷温停止」だと発言した。「来年まで続けるつもりか」と批判を浴びた菅首相は6月28日の会見で、今回話題となっている「退陣3条件」を示した。「この三つをもって、この一定のメドと考えるということを申し上げた」と述べている。

   一方、菅首相は7月13日の会見で、「脱原発依存」の方針を打ち上げた。8月の週刊朝日最新号(8月19日号)での単独インタビューでは、「いつ辞任するのか」との質問に対し、「どうにか原子力行政の抜本改革の道筋はつけたい」と答えている。

   菅首相が「責任を持つ」としている自身の発言が、もし後者の「脱原発依存」の話の方を指す場合、8月中の達成はとても無理そうで、9月以降も首相を続ける理由ともなりかねない。

   小沢一郎・元代表は7月27日、若手議員らとの懇談の場で、退陣3条件が満たされても菅首相は辞めないだろう、との見立てを披露していた。8月9日には、小沢氏と鳩山氏が会談し、小沢氏は「(菅首相は本当に)辞めるのか?」と疑念を示した。鳩山氏は「私は信じたい」と応じたという。

   永田町では、米国の国債格下げに端を発した世界同時株安という「経済危機」への対処を理由に、首相交代による「政治空白」をつくらない、という名目での居座りを警戒する声もある。

   小沢氏が「僕の常識では理解できない」と嘆く菅首相が、密かに「平成の死んだふり解散」を考えている可能性もゼロではないかもしれない。
(Jcastニュースより)

【私の論評】民主党の基本理念である、個人主義の本質は利己主義であり、次の選挙では完敗する!!
上の記事での「平成の死んだふり解散」の「死んだふり解散」とは、1986年(昭和61年)6月2日の衆議院解散の通称です。別名「寝たふり解散」ともいいます。

当時の中曽根さんについては、以下の動画など見ていただければ良くわかります。


1986年(昭和61年)当時、中曽根康弘内閣総理大臣は在任4年目に突入していました。中曽根内閣は党内基盤が磐石ではないものの、世論調査では高い内閣支持率を保っており、中曽根は前回総選挙で失った党勢の回復のために衆参同日選挙を目論んでいました。

しかし、前年の1985年(昭和60年)7月17日、最高裁判所が衆議院の議員定数の不均衡(一票の格差)に対して違憲判決を出しており、この問題が解散総選挙の障害となっていました。

そこで政府・与党は議員定数不均衡を是正するために公職選挙法改正案を提出。1986年5月22日に参議院本会議で可決・成立して議員定数不均衡問題は解決しました。しかし、同日選に反対する野党との妥協により、改正法には新定数に関する30日の「周知期間」が設けられたことや、後藤田正晴内閣官房長官らが「この法改正で首相の解散権は制限される」旨の発言をおこなったことなどで、中曽根は同日選実施を断念したと思われていました。

ところが、中曽根内閣は臨時国会を6月2日に開会し、冒頭で衆議院解散することを閣議で決定しました。本会議を開かずに議長応接室に各会派の代表を集め、坂田道太衆議院議長が解散詔書を朗読して衆議院解散となりました(議長応接室における衆議院解散は、この年を最後に途絶えている)。政府は7月6日に参院選と同時に衆院選を行うことを決定し、史上2度目の衆参同日選挙となりました。

この総選挙では、高い内閣支持率や十分な選挙対策などにより、与党自由民主党が圧勝しました。自民党は任期満了間近だった党総裁の任期を1年延長する党則の改正をおこない、中曽根の「功績」に報いました。

後に中曽根が「正月からやろうと考えていた。定数是正の周知期間があるから解散は無理だと思わせました。死んだふりをした」と述べ、早期解散はできないと思わせたことを「死んだふり」と表現したことから、「死んだふり解散」という解散名が定着しました。

さて、菅さんには、「死んだふり解散」は、できるでしょうか?やるだけならできますね。ただし、中曽根さんのように選挙に圧勝して、再度総理大臣の座を射止めることはできないと思います。だいいち、菅さんは、オバマとも、ロン・ヤス関係のような、親密な関係はありません。また、当時の金丸さんのような協力者も存在していません。まさに、孤立無援という感じです。

しかし、それはともかくとして、菅さんの腹の中には、間違いなく、今年の3月11日に地震があった直後から、選択肢として、解散も考えていたのは間違いないと思います。しかし、現状では、衆院の解散選挙をしたとしても、惨敗することはあれ、勝つことはあり得ないです。

しかし、菅さんの権力志向は、すさまじいものがあります。これは、ひよっとすると、あの小沢氏を越えているかもしれません。

私は、このことは、過去のブログにも何回か掲載してきました。以前も、永田町に駆けめぐる首相「原発解散」の噂に関して以下の内容を掲載しました。
上の噂の真偽のほどはわかりませんが、ありそうな話ではあります。菅さんというと、マスコミも「空き缶」など揶揄していますが、私は、菅さんは、確かに政治、経済、社会、安全保障、そうして現在脚光を浴びているエネルギー政策など、およそ国を統治する上で重要な事に関する知識という点では確かに劣っていますが、こと権力掌握ということにかけては、左翼政治家では最高峰だと思っています。  
権力掌握型の政治家は、右寄りの政治家では普通ですが、菅さんは、生粋の左翼系では数少ないうちの一人だと思います。菅さんは、総理大臣の席を温めるためには、どのような姑息な手でも使うと思います。それどころか、権力掌握に関しては、誰も想像にも及ばないような深慮遠謀を巡らしているかもしれません。だから、今回の内閣不信任案に対しても、うまくすり抜けることができたのであり、この点では菅さんをあなどってはいけないと思います。
だから、菅さんは、何が何でも、首相の座を死守したいと考えているとは、思います。しかし、これが、なぜ、中曽根さんのようにうまくいかないのかといえば、それは、ある程度はっきりしていると思います。

中曽根さんに関しては、「政界の風見鶏」などといわれたり、いろいろな批判もありますが、私は、中曽根さん、年齢も年齢ですし、やはり、古い日本人の精神が息づいていたと思います。少なくとも、この世代の日本人の多くの人がそうであるように、個人があり、家族があり、地域があり、国家があり、社会があるという考え方には、揺るぎ無い信念があったと思います。

しかし、菅さんは、そうではありません。この人は、戦後の世代の多くがそうであるように、生粋の個人主義者でもあります。しかも、それもまともな個人主義ではなく、誤った個人主義の信奉者です。

個人主義と利己主義は当然ながらその意味が違います。しかし、現代社会の人々の生き方を見ていると、近頃の日本人はその意味の違いを理解していないように私には思われます。あるいは、これらの二つの言葉を、各人が自分の都合のよいように勝手に解釈しているのかもしれません。

個人主義は、個々の人間の主体性を重んじて、一人一人の個人が自由に生きることの権利が保障されている代わりに、個々の人間が集合して成立する社会に対して個人としての自覚と責任を負うものだと思います。

一方、利己主義は、自分が益することだけを行為の基準として、他者のことや個々の人間で成り立つ社会の利益を全く考慮することなしに、自己本位な生き方を推し進める考え方でしょう。個人主義と利己主義という、これら二つの言葉に対するおおまかな定義からも、その違いが明らかだろうと思います。この定義に当てはめて、近頃の日本人が個人主義というよりも非常に利己的であることが理解できるのではないでしょうか。日本人は個人主義と利己主義をはき違えてしまっているように私には思えます。このはき違えの権化ともいうべき存在が、菅さんのような、戦後の左翼系市民運動家の基本的な考えです。

だから、菅さんは、中曽根さんのように、アメリカの大統領と気脈を通じて、ロン・ヤスと呼び合うような関係を構築することはできないのです。また、金丸さんのような、強力な協力者にも恵まれないのです。やることといえば、その都度、いろいろな人の言うことのイイトコどりくらいしかできないのです。しかも、根本的には利己主義ですから、いろいろな人を利用できるだけ利用して、役にたたなくなれば、ポイポイ捨てるわけで

私は、この誤った個人主義というか、利己主義は、民主党の基本的な理念だと思います。だからこそ、夫婦別姓とか、外国人参政権とか、人権擁護法案などのおかしげな日本解体法案などを推進しようとするのです。

しかし、個人の力とは、弱いものです。私は、この個人主義の弱さについて、海江田さんが、福島原発の作業員が線量計つけず作業していたことを、日本人の誇りとして称賛したことに関する記事の中でも掲載しました。その部分を下にコピペしておきます。
どんな動機であれ、社会の機関である組織の顧客に貢献する人、組織そのものに貢献する人、組織の使命を遂行する人には、等しく賞賛します。それが、個人主義を旨とはしない、日本の伝統文化です。また、亡くなった人に対しては、どんな悪いことをした人でさえ、決して鞭打つようなことをせず、仏様になったとするのも、日本の伝統文化です。 
このようなこと理解できないからこそ、海江田さんの発言は脈絡がなくなるのだと思います。それに、多くの民主党の閣僚なども、もこのようなことを理解できないから、軽率だし、頭が悪く見えるのだと思います。
これは、菅さんも、無論当てはまることです。こうした日本人の古からの美意識すら理解できない、民主党には、もう先がないです。菅さんも、いくら頑張っても、中曽根さんのような事はできないと思います。今回の菅さんによるものであろうが、また、新しい総理大臣の元での選挙になったとしても、古い日本人の心を失った民主党には最早勝ち目はないと思います。

現在の政権など、歴史の悠久の流れの中に咲いた一時の徒花に過ぎません。1,000年に一度の震災も、悠久の歴史を持つ我が国の歴史からみれば、ほんの一時のことに過ぎません。朝廷をはじめとする私たち日本人の日本の伝統文化、それに勤勉で実直な国民性は、古から今に至るまで、継承されてきましたが、これからも悠久の歴史の中に燦然として輝き続けるどころか、さらに輝きを増すことでしょう。そうして、こうした勤勉と実直さを強く継承してきた東日本の人々も近いうちに、復興をなしとげ、悠久の歴史の中で共に燦然と輝くことになることでしょう。

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