「AppleはiPhoneを米国内で製造できる」──トランプ政権
まとめ
- 米連邦政府報道官キャロライン・リービットは4月8日の記者会見で、Appleが中国で製造するiPhoneを米国で生産可能と述べ、中国への関税引き上げを発表。
- トランプ大統領は製造業雇用増加と技術・AI分野での主導権を目指し、米国には労働力と資源があるとし、Appleの5000億ドル投資を根拠に製造可能性を強調。
米連邦政府のキャロライン・リービット報道官は4月8日の記者会見で、Appleが主に中国で製造しているiPhoneを米国で生産可能との見解を示した。中国への関税引き上げが同日24時1分から発表され、トランプ大統領が製造業雇用を増やし、技術・AI分野での主導権を目指していると説明。
米国にはiPhone製造を移転できる労働力と資源があるとし、Appleの米国への5000億ドル投資を根拠に、製造が不可能ならそのような投資はしないだろうと語った。
【私の論評】トランプの怒りとAppleの野望:米国製造復活の裏で自公政権が仕掛ける親中裏切り劇
まとめ
- Appleの5000億ドル投資とMac Proの米国生産が、リービット報道官の「iPhoneを米国で製造可能」という主張を裏付ける。トランプ政権はFoxconnのウィスコンシン計画など、製造業復活を目指す動きを見せる。
- 米国は過去のグローバリズムの失敗を繰り返さず、経済・国家安全保障のために製造力を取り戻しつつある。中国依存は緊急時の弱点となり、Appleの動きはその第一歩だ。
- 現実には、中国の効率的なサプライチェーンやコスト優位性が壁だが、政策支援があれば中長期的に米国でのiPhone製造は可能。造船業でも設計や新型の研究開発は優れるが大量生産体制が不足。
- 第二次大戦中の米国は「リバティ船」量産で勝利を掴んだが、今は知識優位でも大量生産が弱い。トランプ政権は関税などでこの危機を打破しようとしている。
- トランプ氏は日本を「貿易で不当に扱う」と批判し、特に「中国との関係を変えろ」と警告(https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/114296909356614075)。にもかかわらず、公明党代表は首相の親書を携え22日訪中するという。親中姿勢は米国の信頼を裏切り、日本を危険に晒す愚行だ。
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アップル本社「アップル・パーク」 |
Appleの米国への5000億ドル投資が、キャロライン・リービット報道官の言葉を裏付ける決定的な証拠だ。テキサス州で新しいキャンパスを建て、米国の部品業者に発注を増やすなど、その動きは本物だ。2018年、Appleは5年間で3500億ドルを米国に注ぎ込むと宣言し、製造にも一部が使われている。「もし米国でモノが作れないなら、こんな巨額を投じるはずがない」とリービット氏は言い切る。
Appleが本気で米国での製造に乗り気だと誰もが思うだろう。米国には、優れた技術を持つ労働者と、半導体や部品を作る基盤が揃っていると彼女は断言する。事実、Appleは2019年からテキサスでMac Proの一部を組み立てている。これは、iPhoneのような複雑な製品も米国で作れるという証明だ。
トランプ政権下での製造業の復活劇も見逃せない。Foxconnがウィスコンシン州で工場を計画した例は、たとえ規模が縮小したとしても、米国でのモノづくりを本気で取り戻そうとする動きそのものだ。iPhoneだって、政策が後押しすれば米国で作れる。そんな可能性が目の前にある。
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テキサス州オースティンでフレックスが運営する工場 マックプロも組み立てている |
この考えは、米国がiPhoneを中長期的には自国で組み立てるのが正しい道だという信念に直結する。かつてのグローバリズムの過ち、つまり海外に製造を丸投げしたせいで国が弱体化した現実を、米国はもう繰り返さない。経済効率だけを追い求めるなら、設計やデザイン、新規開発だけやって、製造は中国に任せればいい。
だが、それでは緊急時にモノが作れず、中国の脅しに屈するしかない。経済安全保障も国家安全保障も、米国でのモノづくりなしには守れない。Appleの投資やMac Proの生産実績は、その第一歩だ。リービット氏が胸を張って言う「労働力と資源」が、こうした安保の危機感を支えている。
だが、現実は甘くない。iPhoneの製造は、中国の完璧に整ったサプライチェーンに依存している。労働コストや効率で、米国がすぐに追い抜くのは難しい。Foxconnのウィスコンシン計画が期待外れに終わったように、大きな移転には時間も金もかかる。5000億ドルの投資だって、製造工場に直結するものばかりではなく、研究や小売に流れている可能性もある。それでも、政策の後押しがあれば、iPhoneを米国で作るというリービット氏の主張は現実味を帯びる。完全な移転は簡単ではないが、長い目で見れば、米国の産業を強くする道は開けている。
この発想はiPhoneだけに留まらない。造船業を見れば、その深刻さがよく分かる。かつて海洋を支配した米国の造船力は、今や中国に遠く及ばない。iPhoneと同じだ。新型艦艇の設計や研究では米国が圧倒的に勝るが、大量生産の体制がまるで整っていない。第二次世界大戦中の米国は、今とはまったく違う。最先端の技術と大量生産の力を両立させていた。
だが、現実は甘くない。iPhoneの製造は、中国の完璧に整ったサプライチェーンに依存している。労働コストや効率で、米国がすぐに追い抜くのは難しい。Foxconnのウィスコンシン計画が期待外れに終わったように、大きな移転には時間も金もかかる。5000億ドルの投資だって、製造工場に直結するものばかりではなく、研究や小売に流れている可能性もある。それでも、政策の後押しがあれば、iPhoneを米国で作るというリービット氏の主張は現実味を帯びる。完全な移転は簡単ではないが、長い目で見れば、米国の産業を強くする道は開けている。
この発想はiPhoneだけに留まらない。造船業を見れば、その深刻さがよく分かる。かつて海洋を支配した米国の造船力は、今や中国に遠く及ばない。iPhoneと同じだ。新型艦艇の設計や研究では米国が圧倒的に勝るが、大量生産の体制がまるで整っていない。第二次世界大戦中の米国は、今とはまったく違う。最先端の技術と大量生産の力を両立させていた。
例えば、米国は「リバティ船」(貨物船)を2週間足らずで1隻作り、1941年から1945年までに2710隻を量産した。あの製造力こそ、米国を勝利に導いた切り札だった。だが、今の米国は知識では勝っていても、大量生産ができない国に成り下がりつつある。この危機を打破しようと、トランプ政権は動く。アップルも米国内で何も大量生産できないというのであれば、いままではそれが大きな利益を生んでいたが、今後はそうではないことを悟ったのだろう。
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リバティ船の1つ「ジョン・W・ブラウン」 戦時仕様のため、船頭と船尾に砲を備えている |
米国はたとえ短期的には経済が縮小しても、製造力を取り戻す腹だ。2018年の鉄鋼・アルミニウム関税は、国内産業を守り、海外依存を減らすための明確な一撃だった。日本は幸いなことに、グローバリズムによって産業構造が歪になった面はあったものの米国ほど製造業の製造基盤が失われることはなかった。しかし、対中依存はかなり強まった。それに産業界は、未だ今後の世界がどうなかについて、見通しを持っていないのだろう。
トランプ氏は日本の動きにも目を光らせている。石破首相との会談後、Truth Social(トランプ氏のSNS)でこう吠えた。「日本は貿易で米国をひどく不当に扱ってきた。彼らは我々の車を受け入れないが、我々は彼らの車を何百万台も受け入れる。農業や他のモノも同じだ。全てを変える必要がある。特に中国との関係は変えなければならない」https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/114296909356614075
なぜか、太字の部分が、日本の主要メデイアでは、カットされたりその意味あいを報道しない傾向が強いが、これはかなり重要である。日本の親中姿勢への痛烈な警告だからだ。
トランプ氏は日本の動きにも目を光らせている。石破首相との会談後、Truth Social(トランプ氏のSNS)でこう吠えた。「日本は貿易で米国をひどく不当に扱ってきた。彼らは我々の車を受け入れないが、我々は彼らの車を何百万台も受け入れる。農業や他のモノも同じだ。全てを変える必要がある。特に中国との関係は変えなければならない」https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/114296909356614075
なぜか、太字の部分が、日本の主要メデイアでは、カットされたりその意味あいを報道しない傾向が強いが、これはかなり重要である。日本の親中姿勢への痛烈な警告だからだ。
なのに、日本政府の行動は信じがたい。公明党の斉藤鉄夫代表が4月22日から北京を訪れ、石破首相の親書を習近平に渡すという。中国共産党や政府の要人と会い、経済交流の強化を訴える予定だと報じられている。
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トランプ氏の警告を無視し、米国の戦略に真っ向から逆らう愚行だ。日本政府のこの対応は、徹底的に批判されて当然だ。トランプ氏が言うように、その個々の是非はともかく日米の貿易不均衡は長年の問題だ。そうして日本の対中依存は、米国にとって地政学的な脅威そのものだ。米国が中国包囲網を築く中、日本が親中路線を突き進むのは、同盟国への裏切り以外の何物でもない。
石破政権と公明党は、目先の経済的利益に目がくらんでいるのかもしれない。だが、長期的には米国の信頼を失い、日本の安全保障を自ら危険に晒す行為だ。もし米国が日本に経済制裁や関税強化を突きつければ、日本経済は大打撃を受ける。中国との経済交流を深めれば、技術流出や経済的従属が進み、いざという時に日本が自立できなくなる。
第二次大戦時の米国の製造力を目指すトランプ政権の戦略を、日本が無視するのは歴史の教訓を踏みにじる行為だ。造船を含む安保の課題に立ち向かう米国と、Appleの事例をモデルに産業を復活させる動きは、中長期的な製造回帰の正しさを証明している。日本政府は目を覚ますべきだ。米国の同盟を軽視し、中国にすり寄る道は、日本を滅ぼす一歩にしかならない。
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