2025年4月3日木曜日

高橋洋一・政治経済ホントのところ【異例ずくめの予算成立】場当たり対応 首相失格―【私の論評】2025年度予算のドタバタ劇:石破政権の失態と自民党が今すぐ動くべき理由

高橋洋一・政治経済ホントのところ【異例ずくめの予算成立】場当たり対応 首相失格

まとめ
  • 異例の審議と石破の対応: 2025年度予算は成立したが、衆院で否定した高額療養費凍結を石破首相が突然発表、参院再修正を招く失態に。
  • 立民の協力と政権維持: 立憲民主党が審議を緩め政府に協力、参院選まで石破政権延命を狙い、自民内も「石破降ろし」が進まず。
  • 石破の無理解: 物価高対策発言で再々修正を示唆、予算無知と失言が露呈、筆者は首相失格と続投に疑問を呈す。


 2025年度予算は3月31日に衆院本会議で成立し、政府与党の年度内成立目標は達成された。しかし、予算審議の過程は異例ずくめだった。少数与党の衆院では日本維新の会と協力して予算を修正し成立させたが、その直後に石破茂首相が高額療養費引き上げの凍結を発表。凍結自体は良いことであるといえるが、これは衆院審議で否定されていた内容で、参院での再修正を余儀なくされる失態となった。

 本来なら年度内成立が困難になる状況だったが、石破が降りるよりも石破政権で次の参院選を有利に戦いたいと目論む立憲民主党が協力的になり成立に至った。石破政権は予算成立後も物価高対策を検討すると発言し、再々修正の可能性を示唆。不適切な政権運営、失言や場当たり対応で首相失格にもかかわらず、今でも首相を続けているのが不思議なくらいだ。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】2025年度予算のドタバタ劇:石破政権の失態と自民党が今すぐ動くべき理由

まとめ
  • 2025年度予算の異例な成立: 衆院と参院で二度の修正を経て、年度最終日に大多数の賛成で成立。参院修正後の衆院回付は戦後初で、少数与党と石破政権の対応が異例さを際立たせた。
  • 石破の場当たり的対応: 高額療養費引き上げを「今は不要」と否定後、すぐ「凍結」と言い出し、物価高対策も軽率に発言。一貫性ゼロであることが暴露された。
  • 党内基盤と調整力の欠如: 総裁選連敗で派閥基盤が弱く、2024年に首相就任も孤立。官僚や維新との連携も失敗し、短期的な人気取りに走るしかなかったようだ。
  • 政策通の専門性が怪しい: 防衛や地方創生で知識を誇るが、アフガン派遣はうやむや、地方予算は丸投げ、2025年度予算でも財源などの具体策なし。実行力がない。
  • 参院選と自民党の危機: このままでは参院選は戦えず、国民も呆れ果てている。自民党は石破を降ろし、新リーダーで勝機を見出すべきだ。

過去には、年度内成立がギリギリだったり、暫定予算で対応したりしたケースはあるが、2025年度予算のように衆院と参院で二度の修正を経て、年度最終日に大多数の賛成で成立した例は異例だ。

特に、参院での修正後に衆院へ回付され成立したのは、戦後初の出来事とされている。過去の予算成立では、与野党の対立や災害などの外的要因が遅延の主因だったが、今回は少数与党という政治状況と石破政権の対応が異例さを際立たせている。

石破茂首相の場当たり的対応が、2025年度予算審議で暴露された。石破茂首相が予算委員会で高額療養費引き上げについて「今はやる必要がない」と否定した後、衆院通過から数日後に「やっぱり凍結する」と言い出したのだ。これは「引き上げ自体を当面ストップする」という決断を示している。さらには予算成立後に物価高対策を検討するとポロリ。これでは、一貫性のかけらもない。だが、これは単なるミスではない。石破という男の政治家人生そのものに、深い闇が潜んでいる。

総裁に選ばれた直後に朝日新聞に掲載された石破茂氏の略歴

彼は自民党内で政策通として名を馳せてきた。防衛相時代、2008年には自衛隊の運用知識で舌を巻かせ、2010年代には地方創生で具体案をぶち上げた。だが、首相としての総合力はどうだ? 危機管理の経験はゼロに近い。これが場当たり的な対応を生む土壌である。

党内での派閥基盤もガタガタだ。2012年、2018年、2020年と総裁選で連敗。2012年には一次投票でトップに立ったのに、決選投票で安倍晋三に叩きのめされた。支持を広げる力がないまま、2024年にやっと首相の座を掴んだが、党内はまとまらず孤立感が漂う。そんな男が、短期的な人気取りに走るのは必然だ。高額療養費凍結の発表は、国民の不満に媚びた即興劇。物価高対策の発言も、経済不安を誤魔化す軽い一言。計画性ゼロである。

官僚との連携もボロボロだ。財務省や内閣府は予算の整合性を守るため、シナリオを緻密に作る。だが、石破はそれを無視して独断で動く。高額療養費引き上げ凍結に関して財務省幹部は「事前相談が皆無だった」と嘆いたという。2018年の総裁選でも、農協改革をゴリ押しして農水省と衝突、党内から総スカンを食らった過去がある。政策通の自信が、逆に足を引っ張るのだ。予算の複雑さを理解せず、現場の声を無視した結果、参院での再修正というドタバタ劇を招いた。

少数与党のプレッシャーも大きい。自民と公明だでは過半数に届かず、維新との協力が必須だった。だが、石破に迅速な対応力はない。維新と予算修正で手を組んだまではいいが、凍結発表で信頼をぶち壊し。1993年の細川政権や2009年の鳩山政権を見ても、少数与党下では調整力が命だ。石破にはその経験がまるでない。状況に流され、その場しのぎの策を繰り出すしかないのだ。

しかも、よくよく見れば、彼の政策通としての専門性だって怪しい。確かに防衛や地方創生では知識をひけらかしてきた。だが、実績を掘り起こすと穴だらけだ。2008年の防衛相時代、アフガニスタン派遣を巡る議論で「自衛隊の役割を拡大する」と意気込んだが、具体的な法案は出せず、結局うやむやに終わった。

地方創生大臣としても、2015年に「地域の自立」を掲げて全国を回ったが、肝心の予算配分は財務省に丸投げ。地方の首長からは「口だけ番長」と陰口を叩かれたほどだ。2024年の総裁選でも、「新しい資本主義」を批判したまではいいが、対案は曖昧で経済界から「何がしたいのか分からない」と呆れられた。

地方創生大臣として全国行脚をした石破氏

経済に関する認識も低く、安倍政権のブレーンでもあった本田悦朗氏は今年の1月以下のようなツイートをしている。
"十年程前、某機内で現総理とたまたま隣席になったことがある。これ幸いとアベノミクスの基本を説いた。しかし、「経済成長無しでは絶対に財政の改善は出来ない」ことが理解出来なかったようだ。同時に、経済成長無しでは国民は豊かになれない。財政赤字比率を見て生活しているのは、現総理と財務省か。"
政策通と言っても、経済に疎いため、財源の捻出に頭がまわらず、机上の空論に終始し、実行力が伴わないのだ。2025年度予算でも、高額療養費凍結を打ち出したはいいが、その財源や影響をどうするかの説明はゼロ。物価高対策も、具体策なしの空手形だ。専門性があるなら、こんな無責任な対応はあり得ない。防衛も地方創生も結局政府の仕事は、政策にみあった資金を提供するのが仕事であり、これができなければ、単なる思いつきや良き意図に過ぎない。

こんな石破のままじゃ、夏の参院選をまともに戦うなんて夢のまた夢だ。立憲民主党は延命を狙って予算成立に協力したが、選挙になれば容赦なく攻めてくる。国民だって、このドタバタ劇にウンザリしている。

自民党は目を覚ますべきだ。党内は「石破降ろし」でグズグズしてる場合じゃない。2025年度予算の混乱は、彼の弱さが炸裂した瞬間である。計画も調整もない判断の連鎖が、政権の信頼を根底から揺さぶった。石破じゃダメだ。自民党は今すぐ新しいリーダーを立てて、参院選に勝つ道を探るべきだ。それが現実だ。

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