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2011年1月10日月曜日

Facebookを知らなくても楽しめる! - 映画『ソーシャル・ネットワーク』―【私の論評】今必要なのはこのようなイノベーションか?!

http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/01/09/face/index.html


【私の論評】今必要なのはこのようなイノベーションか?!


マーク・ザッカーバーグ
私も、Facebookは使っていますが、やはり、あまり使っていないというのが実情です。どうしても、ツイッターや、ブログを使うので、Facebookに直接書き込んだりすることは少ないです。ただし、YouTubeや自分のブログなどをリンクしています。そのため、YouTubeで何か投稿したり、お気に入りに登録したとか、自分のブログを更新するとその内容が自動的にFacebookにも書き込まれます。

このFacebook、女子学生顔の格付けを行うサイトであったことは、この記事を読んで始めて知りました。人間にとって、何が幸いするかというのは、わからないものですね。

しかし、最初はどのような動機であったかは別にして、このFacebook、当時の学生たちにとって有用な機能を持っていたからこそ、その後成長し、今のようになったのだと思います。

そうして、このFacebook、確かに、自分でも学生時代にこのようなものがあれば、きっと使っていたに違いないし、もし、他に似たようなサービスがなければ、きっと、のめりこんでいたと思います。実際、私も、学生当時はインターネットが今日のような使い方はされておらず、一般に使えるものとえば、いわゆるパソコン通信でした。これは、かなりのめりこんだのを覚えています。OMC(小樽メディカル・コミュニケーション)とか、COARA(大分県のネットワーク)など使っていました。COARAは今日でも、ブロバイダーとして生き残っていますが、他のパソコン通信などはほとんど今ではなくなっています。

しかし、当時はやりとりできるのは、ほぼテキストに限られているのと、参加している人の実数が圧倒的に少なかったので、今日のような状況ではありませんでした。

しかし、当時としては、ワクワク、ドキドキ感がありました。それは、今日多くの人がインターネットにアクセスしているよりもはるかに大きなものでした。また、オフ会なども、頻繁に開催されていたので、参加したりしました。いろいろな場所で催されていたので、参加して、様々の人と交流することができました。

私の場合は、こうして、ワクワク、ドキドキして終わってしまいましたが、マーク・ザッカーバーグは、このワクワク、ドギドキ感をさらに追求したのだと思います。こういうことができれば、ああいうことができれば、ということで、機能を付加して今日のFacebookの原型を作ったのだと思います。

そのへんは、きっと映画をみるとわかると思うので、この映画是非見ようと思います。

さて、ドラッカー氏は、イノベーションの本質は技術的なものではなく、社会を変えることだといっています。さて、こういった観点から見ると、Facebookは確かに社会を大きく変えたと思います。そうした意味でも、Facebookは、かなりのイノベーションであると思います。

これからの、イノベーションは意外とこのようなところから出てくるのではないかと思います。会社の中で、新製品や、新サービスを考えてのイノベーションを起こすということもできるとは思いますが、きっとそれでは、あまり大きなものにはならないような気がします。

技術的には、ありきたりでも、それをいろいろ組み合わせて、それまではなかったような実際に社会を変えるようなイノベーションを起こせば、Facebookのように、技術は後からついてくるのかもしれません。それにしても、今までの延長線上でだけ考えていては、イノベーションは起こせないと思います。

日本では、最近ずっと景気が悪いです。それには、無論、このブログにも書いてきたように、歴代の政府の経済対策が悪いということもあります。しかし、日本の多くの企業があまり設備投資をしないとか、イノベーションの努力を怠っているという面は否めないと思います。また、多くの個人も、節約志向ばかりで、頭を使って、何かを工夫しようとか、何かを良くしようという気風が減退しているような気がしてなりません。

このブログには、以前イノベーションについてドラッカーとシュンペーターが語ったことを掲載したことがあります。それを以下に掲載します。
「企業の目的は、顧客の創造である。したがって企業は、二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」(マネジメント エッセンシャル版 16ページ) 
さらにこうも言っています。
「マーティングだけでは、企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在し得ない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機家である。企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。あるいは少なくとも、変化を当然とする経済においてのみである。そうして企業こそ、この成長と変化のための機関である。 
したがって企業の第二の機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出すことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常によりよくならなければならない」(マネジメント エッセンシャル版 17~18頁)
ドラッカー氏は、経済学者のシュンペーターにも影響を受けています。その、シュンペーターはイノベーションに関して次のように語っています。
資本主義はダイナミズムに満ちています。イノベーション(革新、新機軸、新結合)が生まれ、やがてそれが普及します。その過程で好況・不況といった景気循環が発生します。この好・不況こそ資本主義が生きていることの現われであり、たとえ不況といえども、それは経済がむしろ「正常に」機能していることの証拠だといいます。そのイノベーションの担い手が企業者であり、リスクに挑戦しその中でチャンスを見出し創造的破壊を敢行する能動的な人間です。
まずは、ドラッカーのいうことでは、最近企業によるイノベーションかあまりに少ないと思います。なんですか、最近の報道などを聴いていると、日本の企業は、イノベーションなど全くしないで、アメリカや新興国の景気が良くなることばかり願って、輸出が増えることを期待してばかりいるようです。情けないです。もう、「顧客ニーズがどうのこうの」とばかり言っている企業には見込みがないです。

シュンペータのいうことでは、今の日本では、多くの企業がリスクに挑戦せず、その中でチャンスを見出し創造的破壊を敢行する能動的な人間が絶対的に不足しているのだと思います。


ところで、日本のフェイスブック利用者は200万人未満で、全オンライン人口の2%にも満たない状況にあります。その大きな原因の一つとして、Facebookでは実名を公表しなければならない、というものがあります。最近のある調査でも、回答者の89%はオンラインで実名を公開することに抵抗感があると答えています。米国のフェイスブック利用者は実社会の人間関係をそのままオンラインでも再現する傾向があるのに対し、日本ではネットの匿名性を利用し、職場で人に合わせなきゃならないプレッシャーから解放されて自己表現する人が多いと、専門家らは語っています。

私は、以前このブログでmixiに関した記事の中で、匿名性について掲載したことがあります。

mixiがメアド検索実装で騒動勃発!! 自動的に検索ONで人間関係崩壊の危機―【私の論評】尖閣問題やwikileaksで情報開示される時代に意識が変わっていない人は、時代遅れ?


詳細は、上のURLを御覧になっていただくこととして、その中での結論は以下のようなものです。
どんな世界でも、それが、現実世界であろうと、バーチャルの世界であろうと、まともな付き合いをするのであれば、自分の素性や、考えや、嗜好など表にださなければ、できない事だと思います。それが、表に出ると困るというのなら、ソーシャルメディアは一切使うべきではありません。人とと関わっていく中で、自分と他の人との考えや趣味・嗜好が異なったり、相反するのは当たり前であって、それを避けて通っていては、もともと人間関係など構築できません。その違いを乗り越えて、妥協点を見出すというのが、人間関係というものです。どうしても、自己を偽らないと他者との付き合いが出来ない人は、すでに自分の精神が崩壊しているとみなすべきです。
匿名を使うことに関して、安全性を考慮してということならあまり気にすることもないと思いますが、自己を偽らないとSNSを使えないというのであれば、その人は精神が崩壊していると思います。そういう人は、SNSを使用していても、結局は自己満足の世界に浸っているだけです。他の人に迷惑です。もともと、SNSは、人との交流を促進するためにつくられているものです、その中にあって、匿名どころか、その本人の素性もいっさいわからないとか、あるいはもともとプロフィールが虚偽であったとすれば、何の意味もありません。

この匿名性に関して、多くの人は世界中が日本と同じようなものであると考えているかもしれません。しかし、アメリカでも日本よりは、オープンですし、お隣の韓国では開けっぴろげといってもいいくらいオープンです。自分はもとより、家族や、友人など平気で写真を掲載したり、居場所を公表しています。日本ほど匿名性にこだわるところはないです。

日本のように、あまりに匿名性ばかりにこだわっていては、まともな付き合いもできないし、有用な情報も入ってこないということになります。それに、Facebookの中で行われているようなビジネスチャンスをつかむこともできないと思います。ビジネスチャンスまでいかなくても、SNSのなかにいろいろと転がっているべき機会など、受けることも提供することもできなくなります。そうして、ただのバーチャルワールドの中で時間つぶしにすぎなくなると思います。

日本では、いわゆる技術的なイノベーションは世界トップクラスですが、社会的イノベーションについては今一歩というところがあります。だからこそ、最近では、日本ではアップルがひきおこしたようなな社会的イノベーションもあまり見かけなくなったのだと思います。私は、その原因の一つとして、上記のような匿名性による弊害もあるのではないかと危惧しています。

わたしは、日本のお家芸である「モノづくり」そのものは、素晴らしいものであり、これからも継承していくべきものだと思います。しかし、あまり「モノ」にばかりこだわっていては、過去には成功してきたものの、21世紀の先進国のイノベーションには乗り遅れてしまうと思います。現在の先進国においては、もはや「モノ」だけにこだわって、「モノ」の品質をさらに向上させたり、高機能化させても、大きなイノベーションにはならないのだと思います。素晴らしい「モノ」だけでなく、その「モノ」を通じて、大きな社会変革を目指すべきと思います。特に日本では、せっかく「モノづくり」が得意なのですから、社会変革に必須な「モノ」をつくれたら最高だと思います。

そうして、私は、いまこそ日本には、様々な分野で、このFacebookでマーク・ザッカーバーグが成し遂げたようなイノベーション、それも多数の社会を大きく変えるイノベーションが必要だと思います。無論、IT分野のことだけを言っているのではありません、ありとあらゆる分野で社会を変革するイノベーションが必須です。

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