郵政民営化概念図
政府は30日、郵政民営化見直しの詳細を定めた郵政改革法案を閣議決定した。日本郵政グループの再編と、政府が株式の3分の1超を保有し、日本郵政の公的機能を強化する政府方針が正式に決まり、自民党政権が取り組んできた民営化路線は大きく転換することになった。法案は6月成立、来年10月施行を目指す。5月の連休明けからの国会審議は難航が必至の情勢だ。
亀井静香郵政改革・金融相は同日の閣議後の会見で「衆・参(議院)での早期成立を目指し、私も原口(一博)総務相もきちっと対応していきたい」と法案成立に強い意欲を示した。
政府は総額300兆円に上る郵貯・簡保の郵政マネーの運用について国債依存や民業圧迫の批判を受け、運用先を多様化する姿勢を示している。だが、国民から預かった巨額資金を運用するノウハウや、損失が出た場合の責任の所在は不透明だ。
郵政民営化ブラが語るNPOの重要性?
さて郵政民営化(ゆうせいみんえいか、Postal privatisation)とは、日本政府が1990年代末から2000年代にかけておこなっている郵政三事業(郵便・簡易保険・郵便貯金)を民営化することを目的とした政策です。「民営化」議論によって「郵政四事業」として語られるようになったが、従来の三事業に包含されていた郵便局窓口での接客サービスである「窓口業務」を別事業として区分したものです。
郵政民営化が実施されたときに、発表された「郵政民営化ブラ(ワコール)}郵政4事
業は分割されて民営化、特製ブラが二つに別れ、胴まわりとショーツも二つに別れ、
計4つに分かれるポストのデザインだった。何の写真を掲載しようと考えて、
亀井さんの写真よりは、こちらの方が良いと判断しました。
郵政民営化には、賛否両論、意見百出というところです。確かに良い面あるのですが、悪い面もあります。良い面と、悪い面を簡単にまとめてみると以下のようになると思います。
■良い面■全国一律維持のサービスができる
郵便、貯金、保険の3事業の一体的経営で、利用者の利便性が大いに高まります。親会社に、金融2社の株式保有義務を法律で課すことで「3事業一体」も担保されます。郵政事業は「政府の国民に対する責務」でもあります。民業圧迫との意見もありますが、限度額引き上げは、3事業の全国一律サービスを果たす上で、最低限必要です。亀井さんが強調しているのは、主にこの論点です。確かに、テレビなどでみていると、最近の少子高齢の進展により、近くに郵便局がなくなったり、あったとしても、手紙だけで貯金は扱ってくれなかったりと、非常に不便なことが報道されています。確かに、全国一律で郵便局が身近にあってくれればとは、誰もが願う所だと思います。
■悪い面■健全な成長を妨げる
国家主導の壮大な民業圧迫で、金融市場と財政規律に深刻な悪影響を及ぼしかねません。本来、国庫に入るはずの金融2社と持ち株会社の株式売却益もすべて日本郵政に留保され、旧特定郵便局の既得権を維持するための内部補助金に消えるでしょう。基本的な政策論議のないまま、情緒的な小手先論のみでの改悪です。日本経済の健全な成長も妨げられることになります。見直しの是非を国民に問うべきではないでしょうか。官業色を強めつつ、業容拡大に突き進む日本郵政にとって、ガバナンス(企業統治)は最大の課題です。官僚出身者が大勢を占める経営陣が、民営化路線以前から頻発する職員による郵便貯金の横領事件や簡保の未払いなどの不祥事にどう対処するのでしょうか。日本郵政ガバナンス検証委員会で指摘された問題は、経営陣の交代だけでは解決できない構造的な要因をはらんでいます。
さて、こうした良い面を助長しながらも、悪い面を極力少なくする方法があります。それは、郵政の事業を非営利事業化してしまうというものです。非営利事業といえば、いわゆるNPOですが、日本ではまだまだ、これがほとんど一般に認知されていません。そのことは、このブログでも何回も書いてきました。ただし、最近は、デフレでもあるので、まずは何よりも経済の回復が最優先なので、あまり書いてはいませんでした。
しかし、郵政改革法案が通ったことにより、いろいろな問題が浮上してきたので、ひさしぶりにNPOについて書こうと思います。
日本には、NPOがあることはありますが、まだまだ、数も少なく、あっても弱小なので、あまり多くの人に認知されていません。まあ、大方の人は、ボランティアの人が手弁当で集まって実施する奇特な事業という程度の認識しかないというのが普通です。だから、経済的にみても、これら事業はほとんど影響力がなく、はっきり言ってしまえば、なきがごときの存在です。
しかし、アメリカをはじめとする欧米では歴史も古く、数質ともに、日本のそれなどをはるかに上回った存在になっています。アメリカの国内の全NPOの歳入は、アメリカの国家予算に匹敵するほどです。
日本から比較すれば、きら星の如く多くあるアメリカのNPOの中には、たとえば、大都市で低所得者住宅を提供し続けて大成功を収めつづけているものもあります。それも、あのサブ・プライムローンなど尻目に、成功しつづています。そういう、NPOには、銀行や、建築会社までが、NPOの構成組織として動いているのがほとんどです。そうです、NPOも資金や、実際に家を建てる業者などがなければ、何もできないということです。
こうした、アメリカのNPOについては、このブログでも何回も書いてきたので、それについては過去の記事をご覧になってください。それについては、下の【関連記事】のところにURLを貼りつけておきますのでご覧になってください。
郵政事業をNPOになどと書くと、アメリカやイギリスの人たちは、何を言いたいのかすぐに分かってもらえますが、日本の大方の人に無理だと思います。なぜなら、日本にはNPOの伝統がないからです。アメリカだと、大手企業のやり手の人が、NPOに転職することなど、めずらしくもなんともないことですし、ごく普通のことです。それに、日本で、大問題になった、年金についても、年金基金といういくつかのNPOが運営しています。そうして、今や年金基金はアメリカ最大の機関となり、さらに、最大の機関投資機関ともなっています。こうしたことから、経営学の大家ドラッカー氏は、いまやアメリカでは一般労働者が会社を所有しているとまで言っていました。日本だと考えられないことです。まさしく、アメリカでは、ビッグ・ビジネスのNPOが沢山あるのです。NPOで有給で働いている正規職員もたんさんいて、雇用の受け皿ともなっています。
全国一律のサービスの維持ということであれば、元来こうした欧米型のNPOのほうが優れています。かつて、国でやっていて、うまくいかなくて、民営化ということになったのですから、やはりさらに国の権限を強めることには問題があると思います。
さらに、全国一律のサービスということになれば、経済性を優先する民間営利企業では無理だということは誰にでも判ることだと思います。小泉構造改革の一貫として、誕生したいわゆる株式会社大学は、全滅しました。教育機関の使命は、もともと営利企業が達成するには無理があったのです。全国一律のサービスを目指す郵便局ということになれば、これも、民間営利企業には無理です。
そうなれば、全国一律サービスを使命とする、いわば、社会事業的なサービスということになれば、一番適しているのは、元来NPOということになります。
日本では誰もこうしたことを言い出しませんが、それには、それなりのわけがあります。日本では、もともと大きなNPOが育つ環境にないということがあります。それは、日本には欧米のような寄付金の文化がないという背景があります。ご存知のように、欧米ではセレブなどで、多額の寄付をする人がいます。それは、何も、セレブたちが奇特というだけではないのです。要するに、NPOなどに寄付するとかなりの税制上の優遇措置をうけられるので、お金が儲かったら、寄付したほうが良いので、寄付するのです。だから、NPOが資金を得やすいのです。だからこそ、アメリカ全国のNPOの歳入をすべてあわせると、国家予算に匹敵するほどになるのです。
では、寄付金の文化がなぜ日本にないかといえば、これは、ほんどの人が指摘しないことですが、財務省が関係してきます。いろいろ複雑な事情がからみ合って、簡単にはいえないところがありますが、要するに、財務省などの高級官僚は、NPOに多額の寄付金がいくということは、財政民主主義上よろしくないということで、NPOに多額の資金が集まらないようにしているということです。これは、はっきりいって似非財政民主主義だと思います。民主党、事業仕分けをするというなら、こういうところにも切り込むべきだったと思います。
郵政など、全国一律のサービスを提供し続けることを社会的使命とするNPOがやるのが最も良い方法だと思います。もし、NPOなら、政府から補助金をもらったり、寄付金を徴収したり、その他いろいろやれば、貯金の限度額を引き上げることもなく、民業を圧迫することもないかもしれません。いろいろ、制度設計をうまくやれば、十分できた可能性あります。
なお、NPOに関しては、小泉さんのときもいろいろ検討した形跡がありますが、結局はあまり大きな動きにはなりませんでした。この原因としては、日本では認知度があまりに低いことと、やはり、財務民主主義を唱える高級官僚による抵抗があったのだと思います。
小泉さんの頃から、郵政民営化がいわれて、実際民営化したわけですが、多くの人の中にこの民営化について、何かしっくりこないとか、わだかまりが残っていたのではないでしょうか。だからこそ、民主党政権になってからも郵政改革がおこなわれ、先の流れからは逆行したようなことが行われたのだと思います。こちらのほうも、先のように賛否両論があってしっくりこないというのが実態だと思います。要するに、郵政民営化に関しては、郵政営利民営化ばかりが論議されてきたということです。賛成派、反対派ともに、郵政を完全に昔の通りに国が直轄すべきという考え方はないようです。
であれば、本来は、郵政非営利民営化すなわち、非営利企業(NPO)化というのが最も良い考えではないかと思います。NPO化してしまえば、いわゆる全国一律のサービスというよりは、地域に即したサービスが可能になります。国では実現できないような、地域密着型サービスが期待できます。そうです。国でやれば、全国一律の硬直化したサービスしかできないものが、NPOであれば、地域の現実に即したものができます。また、同じやるにしても、国がやるよりはるかに低廉でできることが多いです。
これに関しては、以前もこのブログにその実例を掲載したことがあります。あのアキバの連続殺人のときに、犯人があらかじめサイトに殺人予告していたため、これを監視するシステムが必要だという話になり、これに関して総務省の役人が初期費用で3億などといっていましたが、実は、このシステムをその話があってから2時間程度つくってしまった民間人がいました。これについては、以下の【関連記事】にURLを貼り付けておきますので、興味のある方は、是非御覧になってください。
日本で、何か改革をしようとしたときには、NPOが大きな活躍をできないため、選択肢の一つとして考えられないということは残念なことです。しかし、最近ではいわゆる社会事業も日本でも行われるようになってきて、以前よりは注目度があがってきています。また、従来ではホリエモンなどによるいわゆる、金儲けがもてはやされていましたが、今では、若者が社会問題や社会事業にかなり興味を持つようになってきています。ただし、発展途上国のほうにばかり関心が向いているというのが残念なところです。私たちの身近にも、たくさん社会問題があり、社会事業化が活躍できる場があります。今後,日本でもこうした動きが活発になり、多くの社会問題が解決される端緒となってくれればと期待しています。
さらに、郵政NPOができあがれば、お金もたくさんありますから、もっともっと社会所事業の幅を増やしても良いのではないかと思います。地域の高齢者にとって、良いサービスまだまだたくさんあります。郵政だけではできないことにチャレンジしても良いかもしれません。たとえば、アメリカのように営利企業ならどこもやらないような、低所得層に対する住宅の供給などです。これも、NPOがやれば、教育、就職などのプログラムも含んだ包括的なプログラムを提供して、成功する可能性が高いです。銀行や、一般企業もNPOに入れるようにして、これらは、あくまで、NPOの傘下で動くようにして、そのかわり、国からの法人税が低くなるとかの仕組みを取り入れると良いと思います。日本の皆さんには、大きな勘違いがあると思いますが、NPOだって社会事業として実施していくには、巨額の資金が必要になる場合もあります。善意だけでは何もできません。
さらに、いろいろな社会事業のファンドを作り出して、実際に事業を実行して、出資者に利益を還元したりしてはいかがでしょうか?そうすることにより、本当に社会に必要とされる事業など、どんどん進めることができます。そうなれば、郵貯の300兆円ともいわれるお金もただ貯金されているというのではなく良いほうに循環して、実体経済にも寄与するようになると思います。日本には、実はお金がうなるほどあるのですが、これが循環しないために、不況やデフレに陥っています。郵貯のお金がN郵政NPOを通じて、いろいろな社会事業にまわるようになれば、これらを克服する一助にもなると思います。ただし、民業を圧迫しないように、社会事業に限ります。
こうしたことを郵政NPOが行えば、日本のNPOの夜明けともなるかもしれません。日本では、イノベーションというと、すぐに技術的なものを浮かべがちです。しかし、現実のイノベーションは、社会的イノベーションのほうがはるかに影響力が大きいです。鉄道などその典型例です。技術的なイノベーションでも本格的に成功したものは、ライフスタイルの変革に及ばず社会変革にまで結びついています。その最たるものは、「明治維新」です。郵政非営利民営化を実施することにより、それまで、日本にはなかった、NPOによる大規模な社会事業を日本でも可能にして、日本独自のNPOの展開の仕方を開発、発展させそれを「明治維新」なみの、社会変革に結びつけるべきと考えます。
上の写真で掲載した、郵政民営化ブラは、市販されていないということです。こういう特殊なものは、民間営利企業では販売できないということです。なぜなら、直接利益に結びつかないからです。民間営利企業には、社会的な使命も勿論ありますが、それ以前に経済的な括りがあります。経済的に自立できないような営利企業が使命ばかり唱えていてもしかたありません。まずは、企業が存続できるようにするため、将来も維持発展するため、利益が必要です。それどころか、利益などという概念はまやかしにすぎないかもしれません、将来も維持するだけではなく、発展するというのなら、利益は、利益ではなく、未来の費用ということになります。
全国一律のサービスや、さらに地域に密着したサービスなどもやはり、民間営利企業では無理だと言うことです。やはり、本来は民間営非営利企業がやるべきものと思います。皆さんも、これを機会に是非アメリカやイギリスなどのNPOの実体など調べてみてください。日本では考えられないほどの数と、大規模なものがあることに驚かれると思います。それに、いわゆるNPO魂に触れていただければ、大きな共感と感動を禁じざるを得ないことを理解されるのではないか思います。特にアメリカなど、拝金主義の金融資本主義の権化のような連中ばかりではなく、良心派の人々も多いことに気づかれ、アメリカという国の懐の深さを実感していただけるではないかと思います。
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アメリカのNPO魂を探る focus
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4 件のコメント:
こんにちわ。ご訪問、コメント、ありがとうございます。
さて、どうにも行きつ戻りつ釈然としない郵政問題、現状を肯定して理想を求めていくか、現状を否定して問題を解決していこうとするか、ここで政治家さんたちの判断も違ってくるのでしょうが、これは郵政事業に限らないものの、つまるところ現場で働く者が如何にイキイキと働けるか、それが効率と繋がって如何に社会に役立ち、利益にも繋がっていくかと考えますと、果たして現代の日本人が仕事をというものをどう捉えているか、ここに行き着くように思えます。
当方には制度として何が相応しいか判断はつきかねますが、今一度、日本人は仕事、労働について根源的なところから考え直さねばならない時期にあるように考えるのですが、ハテ。
muttmoore様 コメント有難うございます。アメリカなどで、営利企業から非営利企業のCEOなどに転出する人は、いわゆる営利企業の短期的な株主利益という見方に嫌気が差して、本当に人々の役に立ちたいという考えの人が多いようです。無論、移れば、収入も激減するのが、ほとんどです。
日本の場合は、実質上選択肢が民間営利と政府機関の二つしかないというのが実情だと思います。日本にもNPOがあることはあるのですが、法律の縛りなどがあって、ほとんど、大きな仕事はできません。社会事業の分野は日本が最も不得意とするところだと思います。先進国中で日本だけが、この分野に大きな縛りをつけています。やはり、これからの若い世代のためにも、選択肢は増やすべきと考えます。
これからも、お気軽にお立ち寄りください。
日本で一番わかりやすいNPOの例えとして私はよく「生活協同組合」を引き合いに出しています。日本の生協は欧米のNPOをモデルに戦前の神戸で結成され、その後大学生の互助組織として大学生協なども作られていきましたが、これなんかはNPOといっても差し支えないんじゃないかと思います。最近、経営状態が悪いそうですけど……。
花園 祐様 コメント有難うございます。生協は確かにわかりやすい事例だと思います。ただし、小売の性格が強いということがいえます。小売の部分が大きくなったからこそ、日本のようなNPOが育ちにくい環境にあっても、十分成長できたのだと思います。最近の経営状況が悪いのは、NPOというよりも、小売の性格が真下からだと思います。
ただし、こうしたものの他にも、欧米なら様々なものがあります。たとえば、今朝もテレビに出ていましが、フランスの健康保険には、NPOも組み込まれています。そのため、日本のように救急病院をたらい回しにされるということは、まずありません。これは、本の一例にすぎず、多種多様なものがたくさんあります。
というより、アメリカ、イギリスなどでは、NPOが日本より一般にはるかに認知されていて、社会の立派なセクターになっているところが大違いだと思います。
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