全国で初めて設立された株式会社立大学「LEC東京リーガルマインド大」(東京都千代田区)は18日、来春から学部生の募集を停止すると発表した。定員割れが続き、経営が悪化していた。在学生459人への講義は卒業まで続け、大学院の募集は継続する。
同大は構造改革特区制度を利用し04年春に開校した。各種資格取得のための予備校を経営する株式会社「東京リーガルマインド」が母体。全国に14キャンパスあったが、志願者減に伴い募集停止や統廃合を進め、今年度は千代田キャンパスのみで募集。定員160人に対し入学者は18人にとどまり、学部の累積赤字(08年度末)は約30億円に達していた。
反町勝夫学長は「在学生の就学環境の維持向上に経営資源を集中させるのが適切と判断した。このような事態に至ったことを深くおわび申し上げる」とコメントした。
全国に株式会社立大学は6校あり、ほかにLCA大学院大(大阪市)が今年度から募集を停止している。
サブ・プライムローンと同じようにNPOの分野に民間営利企業が入り込むと失敗するという格好の事例か?
上の記事、一見全くマイナーな記事のようにみえるし、注目している人などほとんどいないと思われるかもしれませんが、これからの時代を読み解く上で非常に重要な変化かもしれません。
LECに関しては、私自身も随分お世話になったことがあります。直接学校に行ったことはなかったのですが、通信講座を受けていました。内容としては、中小企業診断士の一次試験の講座でした。テキストなどの教材とともに、実際にLECで行われた講義の内容のカセットテープを定期的に送ってきていました。
カセットを聴きながら勉強し、わからないところも質問券のようなものがついていて質問できるようになっていました。私が用いたのは、このLECの教材と、当時マンパワーからでていた、キーワード集、ならびに新聞などでした。この通信教育を終了した後で、青山学院大学で試験を受けたら、あまり自信はなかったのですが、合格できました。
その当時はLECは相当業績を伸ばしていました。LECから送ってくるカセット・テープの中でも、講師が企業の事例として、相当伸びていることを紹介していて、特に意思決定の早さを強調していました。その講師がトイレで幹部の人と立ち話をしていて、あっという間に新たな講座を開くことが決まったことなどを話していました。
2004年にそのLECが大学を設立するというので、注目していました。私は、その当時からあまりうまくはいかないのではないかと思っていました。
その理由として、アメリカでも有名大学はすべてNPOであり。株式会社大学などというものは存在しなったからです。アメリカというと合理主義的な考えや何でも経済的な譲歩や駆け引きなどで物事を解決する習慣が身についているようなところですら聞いたことがないからです。探せばあるのかもしれませんが、やはり、有名どころでは皆無です。
ちなみにアメリカでは、日本のように学校法人や、病院、宗教法人、その他のNPOなど特に区別せずに、全部NPOという枠組みでとらえており、法律体系や電話帳の分類まで適応されています。この適用は、今ならYouTubeなどでも適応されており、NPOという項目が設置されています。
そんなアメリカでも、公立、私立の違いは聞いたことがありますが、NPO以外の学校である株式会社大学など聞いたことがありません。
日本で、NPOというと弱小であまり影響力の強いものという認識はないでしょうが、アメリカの有名校はすべて私立大学といっても過言ではないです。むろん、NPOです。日本では、NPOというと、趣味の団体とか熱意にあふれた人が手弁当で実施する奇特な事業という感じですが、アメリカでは全く違います。大学や大学院なども少し日本とは違います。
まず、学長としては、寄付金集めの能力がかなり重視されます。さらに、大学、大学院に入るときにも、面接の段階ではっきり「あなたがこの大学を卒業したと想定して、一体いかほどの寄付をできるでしょうか」という質問があります。これに妥当な線で答えておかないとまずは合格できません。
さらに、大学に入るときですら、願書を出すと、必ず調査員が願書のを出した人のところまできて、学校は無論のこといろいろなところで調査します。学業以外の活動などもすべて調査します。特に、その受験生の親が同じ大学の出身者である場合などは、寄付金を本人が申告したとおりに納めているのかは必須項目です。もし、正当な理由もないのに全く収めていないなどの事実があれば、子供のほうは、大学に入ることが著しく困難になります。
それに、大学の授業料も高めですし、それプラス寄付金ですから、親の負担が大きいので、このような有名大学には、ある程度所得水準の高い家庭の子弟しかはいれません。無論、成績優秀とか、スポーツか芸術などにかなり優秀であれば、奨学金などをもらいながらいくこともできますが、それは例外中の例外です。普通は州立大学か、私大でもあまり有名でないところに行きます。これが、NPOだというのだから、日本と全然感覚が違うと思いませんか?日本だと、NPOというというと、生活困窮者のための組織という感覚が強いですが、アメリカにも無論生活困窮者のものもたくさんありますが、お金持ちのためのNPOというものも多数存在します。
そうして、NPOで働いている人たちの中には、給与をもらっう正規職員もいますし、一般企業の役員に相当する理事や、CEOもいます。CEOなどには、PO(営利企業)の有能なひとがなったりすることも珍しくはありません。そうして、その人たちは自分たちの仕事を「ビジネス」とはっきりいいます。日本人なら、NPOがビジネスというというと奇異に感じるかもしれません。アメリカでは、NPOだろうと、POだろうと、区別せずにビジネスと呼びます。そうして、NPOの仕事でも、仕事のできる人はプロフェッショナルと呼ばれます。
また、有能なNPOでは、マネジメントもかなり厳しいです。さらに、経済的尺度ではなく、自ら使命(ミッション)を明確にして、組織内では、そのミッションにもとづきすべてのマネジメントが厳格に適用されます。ボランティアで働く人も、厳しいマネジメントの対象であり、民間企業の営業マン顔負けのノルマなどがあります。無論就業時間なども考慮に入れて、ノルマなどが設定されているのですが、それにしても厳しく所定の成果をあげないと、厳しい警告があったり、挙句の果てにはやめさせられることもあります。こうした仕事の中には、無論寄付金集めの仕事もあります。アメリカでは、小学生ですら、NPOの活動の一環としてたとえば、クッキーなどを焼いて、NPOの活動に理解を示してくる人の家を訪問して売って、寄付金を稼ぐということもあります。日本だったら考えれないないことです。その様子は、アメリカの映画などでも、放映されることありますが、このような映像をみてどれほどの数の日本人がその意味を本当に理解しているのか疑問です。
何か日本とは違うということがお分かりでしょう。そんなアメリカでさえも、株式会社大学などという営利組織による大学など聴いたことがありません。デズニーランド・ユニバーシティーなどという組織もありますが、これは、名前がユニバーシティーなっているだけで、実際には、ディズニーランドの、人材育成の一部門に過ぎません。だからこそ、日本での株式会社大学など成り立つのだろうかと奇異な感じがしたのです。
NPOでは経済的尺度はなく、そのNPOのミッションに基づき運営がなされますが、PO(民間営利企業)の場合は経済的尺度というものがまずは第一ですから、やはり、大学などの組織には向かないということだと思います。もともと、無理だったのです。LECの場合も、大学を設立するなら、別法人として学校法人を設立し、単に資格を得るためなどというのではなく、どのような人材を育てるのか理念やミッションをはっきりさせ、そうしたミッションに基づき運営すればうまくいく可能性もあったかもしれません。また、そうしたことを実施している法人なら、特に珍しくもなく今でも学校を運営しているところも多くあります。
それから、これは、後知恵ですが、民間営利企業(PO)が、民間非営利企業(NPO)の分野に入り込むと、失敗するという格好の事例があります。それは、例のサブプライム・ローンです。これは、信用力のない低所得層に対して、高級住宅を提供するというもので、証券化によってリスクヘッジができるはずというもので開始されたものです。しかし、その目論見は大失敗し、ご存知のように金融危機の引き金を引く役割を担うことになりました。
ところが、この低所得者向け住宅の提供に大成功している組織があります。しかも、そうとう昔から実施しており、金融危機後の今でも提供し続けていて成功し続けている組織があります。それが、NPOです。こうした、低所得者向け住宅を提供するNPOはアメリカの大都市なら必ず存在します。それも、複数あることが多いです。そうして地域の特性を生かして個々の低所得者層の実情にあわせて、住宅の提供から、雇用のための訓練プログラムなど包括的に提供します。
無論サブプライム・ローンの対象になったような高級な住宅ではありませんが、かといって、貧相なものではなく、ごく普通の住宅です。まあ、想像がつきにくかったら、「宇宙戦争」でトム・クルーズが主人公の役柄していた人が住んでいたくらいの家、場合によっては、もっと立派な家程度です。日本人にしたら、結構高級な部類に入るかもしれません。こうした、NPOの中には、その中に最初から、組織の構成員として銀行や、建築会社などが含まれている場合もあります。
こうなると、日本の人には、理解不能ということになるかもしれません。NPOの構成員として、銀行、建築会社から最初から入っているなどという例は日本ではないかもしれません。しかし、いかにNPOといっても、善意だけでは何もできません。NPOも何かをしようとすれば、それに見合った投資が必要です。無論、政府からの補助金や、個人や法人からの寄付金も必要ですし、銀行からの借り入れも必要ですし、何よりも、住宅の提供を受ける人側からも住宅ローンという形で徴収します。無論無理のない形でです。これは、住宅の提供を受ける人の尊厳の問題にもかかわります。だからこそ、雇用プログラムまで適用するのです。しかし、アメリカではかなり前からこうして、低所得者向けの住宅提供をし続けているのです。しかし、この分野に証券会社のような民間企業が入りこんで大失敗してしまいしまた。
まさに、日本でもアメリカでも、民間営利企業(PO)が、民間非営利の分野に入ると、失敗するということだと思います。
さて、その教訓は、さておき、日本のNPOと、アメリカのNPOは考え方が全然違うとは思いませんか。私は、今後日本の社会問題を解決するためには、アメリカ型のNPOを日本にも、日本の環境にあわせた形で取り入れる必要があると思います。日本には、アメリカ型のNPOが存在しないので、残根ながら、社会問題を解決する組織は、実質上政府、地方自治体しかないというのが実体だと思います。
政府は、本来インフラ作りなどすべきであって、インフラの上で実際に活動すべきは民間企業であるべきです。政府がそのようなことに手を出すと、全国一律で、個々人のニーズなどは無視して、必要もない人に手厚いサービスを実施したり、本当に必要な人には提供しないとか、信じられないような無駄遣いをするなどということになってしまいます。
だからこそ、社会問題の具体的な対応は民間がすべきなのです。ただし、上の事例で示したように、民間営利企業に向く分野と、民間非営利企業に向く分野があります。これを間違うと、上記のように失敗してしまいます。日本では、大学院ていうと、東京大学などの国立の凋落ぶりは明らかです。早稲田大学など私立の躍進ぶりが目立ちます。アメリカでは、義務教育での公立校の凋落ぶり停滞ぶりは明らかです。この手のビジネスは、中央政府や地方自治体が努力して運営しても、民間営利企業が努力して運営してもうまくはいかないのです。やはり、うまく機能させる、成功させるという意味では民間非営利企業(NOP)が努力して実施すべきものなのです。
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