2019年12月5日木曜日

アフガニスタン 医師の中村哲さん銃撃 複数の男らの犯行か―【私の論評】パリ不戦条約、国際憲章のコピーの日本国憲法9条に命はかけられない(゚д゚)!

アフガニスタン 医師の中村哲さん銃撃 複数の男らの犯行か



アフガニスタンで長年、農業用水路の建設など復興に携わってきた医師の中村哲さんが、4日、何者かに銃撃され死亡したことについて、現地では追悼の声が相次いでいます。これまでのところ犯行声明は出ていませんが、銃撃は、複数の男らによる犯行の疑いが強いことが地元の警察への取材で分かりました。

アフガニスタン東部のナンガルハル州ジャララバードで4日、福岡市のNGO、「ペシャワール会」の現地代表の医師、中村哲さん(73)が車で移動中に、何者かに銃撃されました。中村さんは、病院で手当てを受けていましたが、その後、死亡が確認されました。

地元の警察などによりますと、この銃撃で、中村さんや、一緒にいた運転手や警備員など合わせて6人が死亡したということです。

中村さんは長年、農業用水路の建設など復興に携わりながら、地元の人たちとも積極的に交流を続けてきたことから、現地では追悼の声が相次いでいます。

現地時間の4日夜、ジャララバードでは追悼集会が開かれ、多くの人たちがろうそくに火をともして中村さんの死を悼むとともに、功績をたたえました。

農業をしている40代の男性は、「中村さんは、私たちの農地を洪水から守るために数え切れないほどの支援を続けてくれた。彼が亡くなったことを聞き、悲しい思いでいっぱいです」と話していました。

一方、今回の銃撃について、これまでのところ犯行声明は出ていませんが、その後の調べで、銃撃は3人から4人の複数の男らによる犯行の疑いが強いことが地元の警察への取材で分かりました。男らは、1台の乗用車に乗って中村さんたちを待ち伏せし、銃撃したあと、再び同じ車に乗って逃走したということです。

警察は、中村さんをねらった計画的な犯行の疑いもあるとみて、詳しく調べています

治療にあたった病院の担当者

中村さんの治療にあたったナンガルハル州の病院の広報担当者がNHKの取材に応じ、「中村さんが乗った車は午前8時ごろ、武装した何者かに襲われた。5人の遺体とけがをした中村さんが、私たちの病院に運ばれてきた」と当時の様子を説明しました。

また、中村さんの容体については、「腹部に2発の銃弾が撃ち込まれていて、救急処置を行ったが、さらなる治療のために首都カブールに移そうと、地元の空港に向かう途中、けがが原因で亡くなった」と述べました。

中村さんを救うため、ナンガルハル州の知事は、中村さんを至急、首都カブール近郊にあるアメリカ軍のバグラム空軍基地に搬送するよう指示していたということです。

10年来の親交の知人「今後、どう中村先生の遺志をつなぐか」

中村哲さんと10年来の親交がある福岡県朝倉市の徳永哲也さん(72)が4日夜、NHKの取材に応じ、「あれだけ命をかけてアフガニスタンの復興にかけている人をなぜ殺すのか、全く理解できません。悔しくてたまりません。こんなことは絶対にあってはならない」と話しました。

徳永さんは、中村さんがアフガニスタンの農地再生事業のモデルとした、江戸時代のかんがい設備、朝倉市の山田堰を管理する土地改良区の元理事長で、ことし4月、中村さんと一緒におよそ10日間、アフガニスタンに滞在し現地を視察したということです。

当時の様子について、徳永さんは「現地の農家の人たちは『中村先生は神様だ』と慕っていました。兵士など5人が24時間、中村先生を警護していたので、そういう環境の中で事件が起きるとは私には理解できないです」と話していました。

中村さんの人柄については、「世間が広く、知識も深く、すごい人だなと感じていました。われわれとつきあうときも、偉ぶるわけでもなく、淡々とお話をしてくださいました。いろんな人に対しても、親切、丁寧に説明をして変わらないで接してくださいました」と話していました。

徳永さんは先月22日にも中村さんと福岡市で会い、今後の取り組みについて話を聞いたばかりだったということで、「われわれが、今後、どう中村先生の遺志をつなぐのか考えていかないといけないと思います」と話していました。

母校の九大の学長「理不尽さに憤り」

中村哲さんは、昭和48年に九州大学医学部を卒業し、平成26年から九州大学高等研究院の特別主幹教授として、年に1回のペースで大学で講演会などを行い、ことしも8月5日に講演していました。

九州大学の久保千春学長は「成し遂げた事業の壮大さに強い感銘を受けるとともに、これまでの経験を通して感じた思いを、率直に丁寧に語られる姿に温かで誠実な人柄を感じてまいりました。現地の復興のために尽力してこられた先生がこのような形で命を落とされることは痛恨の極みであり、その理不尽さに憤りを禁じえません。九州大学教職員・学生を代表し心からご冥福をお祈りいたします」とするコメントを出しました。

国連特別代表「功績は大きく、日本人として誇り」

国連アフガニスタン支援団のトップを務める山本忠通事務総長特別代表は、NHKの電話インタビューに対し、「まさか彼のような人が攻撃を受けるなんて思ってもおらず、驚くとともに腹が立った。亡くなられたのは、大変な損失だ」と述べ、中村さんの死を悼みました。

また、アフガニスタンの復興にあたる中村さんの姿勢について、「どうすればアフガニスタンの国民がよりよい人間らしい生活ができるかを考え、『困難な人たちを助けたい』という純粋な気持ちが伝わる仕事をしてきた。アフガニスタンの人たちは中村さんを非常に尊敬していて、親しんでいた。功績は大きく、日本人として誇りに思う」と振り返りました。

そのうえで山本代表は、「中村さんは非常に謙虚であるとともに信念の強い人だった。中村さんが残した具体的な方法や、現地の一般の人たちを巻き込んで、一緒になって開発を進めるという考えは根づいていると思うので、それが受け継がれ、さらに広がっていくことを期待したい」と話していました。

10月に現地で活動の様子を取材

NHKはことし10月、アフガニスタンに建設された農業用水路を視察する中村哲さんの様子を現地で取材しました。

この時、視察した用水路は、中村さんが活動の拠点としている東部ナンガルハル州にことし2月、新たに完成しました。中村さんは、現地のNGOと連携しながら、用水路などの建設を進めたほか、地元の人たちとも積極的に交流していました。

ただ、中村さんは、現地の治安状況を踏まえて、安全管理を徹底したうえで、視察に訪れていたということです。NHKの映像にも、今回、銃撃を受けた中村さんの車と同じナンバーの車が写っていて、その後ろには、銃を持った警備員が乗った車が同行しています。

また、現地では、山岳地帯の急激な雪どけなどによって、たびたび洪水が発生していましたが、中村さんは、国連と協力して訓練センターを立ち上げ、洪水で破壊された堤防や橋の修復を担う技術者の研修など、人材育成にも熱心に取り組んでいました。

中村さんは、NHKのインタビューに対し、アフガニスタンは、地球温暖化の被害が最も著しい国の1つだと指摘したうえで、「アフガニスタンは戦争では滅びないが、干ばつで滅びる可能性がある。すべての人が力を合わせてこの問題に取り組み、アフガニスタンの深刻な状態に目を向けることが大事だ」と述べ、国際社会に協力を呼びかけていました。

人道援助関係者の死傷者が増加

国連によりますと、アフガニスタン国内で死亡やけがをしたり、誘拐されたりした人道援助関係者の数は、ことし8月の時点で合わせて91人に上り、去年1年間の76人をすでに上回っていました。このうち、ことし死亡した人は、27人に上るということです。

先月24日には、首都カブールで国連の車両をねらった爆発があり、アメリカ人1人が死亡しました。

【私の論評】パリ不戦条約、国際憲章のコピーの日本国憲法9条に命はかけられない(゚д゚)!

中村哲先生の突然の訃報に接し、現地の復興のために尽力してこられた先生が、このような形で命を落とされることは痛恨の極みであり、その理不尽さに憤りを禁じえません。心からご冥福をお祈りいたします。以下に生前の先生の姿をおさめた動画を掲載させていただきます。


中村哲氏については、様々なことが他のメディアでも触れられていますか、あまり報道されていないことの一つが、憲法9条の信奉者でもあったことです。

これに関しては、「マガジン9」というWEB雑誌に掲載されています。

2008年4月の記事です。以下に一部を引用します。

"
■アフガニスタンという国で、9条をバックボーンに活動を続けてきた

久しぶりに帰国された、医師の中村哲さんにお会いしました。もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。  その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。

(※中略)

■「平和国家」日本に期待されていること

編集部
現地では、NGOとか国際機関なんかが襲撃されるということは、かなりあるんですか?

中村
何回も、見聞きしたことはありますよ。でも、我々ペシャワール会が襲われたことは一度もありません

編集部
それだけ、ペシャワール会の活動が現地の方々に浸透しているということでしょうか。

中村
そうですね。アフガンの人たちは、親日感情がとても強いですしね。それに、我々は宗教というものを、大切にしてきましたから。

中村
そうです。それに僕はやっぱり、日本の憲法、ことに憲法9条というものの存在も大きいと思っています。

編集部
憲法9条、ですか。

中村
ええ、9条です。昨年、アフガニスタンの外務大臣が日本を訪問しましたね。そのとき、彼が平和憲法に触れた発言をしていました。アフガンの人たちみんなが、平和憲法やとりわけ9条について知っているわけではありません。でも、外相は「日本にはそういう憲法がある。だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。日本は民生分野で平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている」というようなことを語っていたんですね。

編集部
平和国家日本、ですね。

中村
ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。

(※中略)

中村
日本は、軍事力を用いない分野での貢献や援助を果たすべきなんです。現地で活動していると、力の虚しさ、というのがほんとうに身に沁みます。銃で押さえ込めば、銃で反撃されます。当たり前のことです。でも、ようやく流れ始めた用水路を、誰が破壊しますか。緑色に復活した農地に、誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか。それを造ったのが日本人だと分かれば、少し失われた親日感情はすぐに戻ってきます。それが、ほんとうの外交じゃないかと、僕は確信しているんですが。

■9条は、僕らの活動を支えてくれる リアルで大きな力

編集部
そう言えば、雑誌『SIGHT』(07年1月)のインタビューで、「9条がリアルで大きな力だったという現実。これはもっと知られるべきなんじゃないか」とおっしゃっていましたね。

中村
そうなんですよ。ほんとうにそうなんです。僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。

武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。

編集部
その体で実感した9条を手放すことには、どうしても納得できない。

中村
具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。
"
全文はソース先で
080430up
http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php

「ペシャワール会」は、福岡市に事務局を置く非政府組織(NGO)で、アフガニスタンやパキスタンで活動する中村哲医師が現地代表を務めます。1983年に結成。84年からパキスタンで治療や医療教育を実施し、2000年からは医療事業の一環としてアフガン東部一帯で水源確保も始めました。

長年の活動で住民の信頼は厚く、中村医師が「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞を受賞するなど国際的にも評価が高いです。

08年8月、日本人スタッフの伊藤和也さんがアフガン東部ジャララバード近郊で武装グループに拉致され、その後、遺体が発見されました。


伊藤和也氏

伊藤さんを慕った1000人を超える村人が捜索・追跡に加わり、追い詰められた犯人はパニックとなって伊藤さんに発砲、弾は左太ももの動脈を撃ち抜き伊藤さんは出血死しました。


まだ31歳の若さでした。当初は政治目的の誘拐とされ過激派の犯行声明も出ましたが、犯人のうち逮捕された2人は「結局は金目当てだった」と自白。そして「殺さないと思っていたのでボスが撃った時は驚いた」とも供述しました。

二人もの尊い命が犠牲になったということです。中日新聞の社説に「射殺された(中村哲)医師は憲法9条の理念を体現した」と報道していますが、意味が分からないです。同氏の考えは考えとして全面否定はしないですが、9条では命を守れなかったのは現前たる事実です。タリバンも「憲法9条がある日本だから襲撃しない」と言っている訳ではありません。

護憲派の人々は、中村哲氏を殉教者のように扱おうとしているようです。しかし、そのようなことは、死者に対する冒涜であるとしか思えません。

そもそも、憲法9条について、誤解している人が多くいるようです。日本国憲法9条は、1項「戦争放棄」、2項「戦力不保持」「交戦権否認」を定めた条文から構成されています。この9条が由来となり、日本国憲法は「平和憲法」と呼ばれているわけです。

「9条は日本独自のものであり、世界に誇れる憲法」だと考えている人は、案外多いのではないでしょうか。なぜなら専門家である憲法学者のなかでも、そのような口ぶりで主張する人もいるからです。しかし、それは正確な理解ではありません。

9条1項は、1928年のパリ不戦条約と1945年の国連憲章といった国際法規を前提にしてつくられたものです。互いの文言を比べてみると一目瞭然なのですが、ほぼそっくりそのまま書き写している代物です。これらの国際法規範を順守するにすぎないと考えるのが妥当であり、日本だけが特別に設けている条文ではありません。

つまり、9条1項は、国際法を守ると改めて宣言したにすぎず、世界で唯一なわけではまったくありません。

9条1項で定めている戦争放棄の条文とは、あくまでも国際法で違法化されている戦争を行わないことを宣言したもので、ほとんどの国の憲法に9条1項と類似した条項があります。



憲法9条は国際法と密接な関連性があります。にもかかわらず、ほとんどの憲法学者は、国際法を知らないのか、知らないふりをしているのか、まったく言及しません。

2018年10月30日、韓国大法院が新日鉄住金に対して、元徴用工への補償を命じました。その判決に関して、日本政府は「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みで、この判決は国際法に照らしてもあり得ない」と主張しています。

韓国司法の国際法違反とも取れる判決に、日本国内でも批判が高まっているのですが、日本の憲法学者の9条解釈も国際法を理解していない点では同じ穴のムジナなのです。われわれ日本人も国際法を踏まえた上で、憲法9条を理解しなければいけないようです。

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