安倍首相(右)は習主席との距離を置くべきだ |
中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。中国本土では22日朝時点で、感染者は7万6000人以上、死者は計2345人。日本国内でも、北海道と埼玉で子供の感染が発覚して、感染者は計743人(クルーズ船の634人を含む)となった。日本政府の初動対応の遅れが指摘されているが、背景には、恩を仇(あだ)で返す、中国への甘すぎる対応があったとの見方も根強い。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、韓国を歯ぎしりさせた、日本の「戦略的放置」を中国にも断行すべきだと強調した。安倍晋三政権は、国民と旅行者の生命と健康を守るため、中国の入国拒否の対象地域を拡大するとともに、対外発信力の強化を検討している。
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新型肺炎は世界にますます拡大し、日本は初期対応のまずさから「世界第2位の汚染国」のイメージを世界中に植え付けてしまった。媚中派の自民党を含む議員や官僚などが、国民の健康や生命を二の次にして中国に媚びを売ることに懸命になったことが惨劇を招いた。
国民がマスク不足で右往左往しているときに、マスクだけではなく、防護服まで中国に贈呈した政治家、官僚、役人は、騒ぎが終わった後、厳しく断罪すべきである。しかも、共産党独裁で利権がはびこる中国で、それらの善意の品が本当に必要な人々に届くのかどうかも疑問だ。
安倍晋三政権の対応のまずさを指摘する声もある。確かにそれは否定できない事実だが、より根本的な問題は「平和ボケ日本」の「有事対応」の欠如にある。
日本の民主主義、自由主義は素晴らしいが、それはあくまで平時の話だ。日本よりもさらに自由や民主主義を尊重する米国でさえ、「有事に私権の制限」が行われるのは当たり前だ。
米国では、全ての中国からの入国者を即時に拒否し、米国人のリスクを抱えた帰国者は2週間きっちりと隔離される。日本が世界で2番目の感染国になったのは、事前の法整備も含めた「有事対応」の欠如による「人災」と言ってよい。
日本政府として中国への今後の有効な対応は「戦略的放置」である。この戦略はストーカーのように付きまとう韓国に対して極めて有効であったことは、その後の「経緯」が証明している。
韓国に効き目のある「戦略的放置」を、安倍政権が中国になぜ適用しないのか。自民党を含む国会議員の中国利権が韓国利権に比べてはるかに大きいからなのかもしれない。
しかし、過去の中国の日本に対する態度を振り返れば、「戦略的放置」が急務であるとわかる。
まず、1972年の日中国交回復(正常化)を米国の頭越しに実行した田中角栄元首相は、激怒した米政府にロッキード事件でつぶされたと噂される。
しかし、これによって鎖国状態の中国が世界に開かれなければ、いくら●(=登におおざと)小平元国家主席が優秀でも「改革開放」を成功させることができず、中国の繁栄はなかった。改革開放の初期には日本政府や日本企業が全面的に支援した。
その大恩を、1989年の天安門事件の後、欧米からの非難の矛先をかわすための「あることないこと」をネタにした反日運動で返した。しかも、92年に天皇陛下が訪中されたことにより、天安門の大虐殺の責任を結果的に封印してしまった形だ。
日本人の優しさ、思いやりは世界中から称賛されるが、「恩をあだで返す国」にいつまでも「寄り添って」いるのでは、単なるお人よしである。
共産党独裁によって苦しんでいる中国人民に手を差し伸べたい心優しい日本人は多いと思うが、中国共産党に対する「戦略的放置」こそが、中国人民を救うことになるのだ。
すでに米下院は、ウイグル、香港、チベットに関する人権法案を次々と可決している。共産主義中国に対し冷戦時代のソ連邦や、第二次世界大戦下のナチスドイツに準じる扱いをしているというわけだ。
日本は第二次世界大戦でドイツと同盟国になったため、戦後長い間苦しんだ。今回は同じ過ちを繰り返さず、徹底的な「戦略的放置」を粛々と実行すべきである。
■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。
【私の論評】安倍政権は、国民の声を聴き、特亜三国に「economic statecraft」を実行せよ(゚д゚)!
上の記事では、"韓国を歯ぎしりさせた、日本の「戦略的放置」を中国にも断行すべき"とありますが、私がこの「戦略的放置」が始まったころには、とうとう日本も、「economic statecraft(経済的な国策)」をやり始めたと思いました。
「economic statecraft(経済的な国策)」とは、経済的な手段を用いて地政学的な国益を追求する政策です。欧米などでは認識され、政策に応用されていますが、現時点では日本にない概念であり、日本語に直訳するのは難しいです。
これについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本の「安全保障環境」は大丈夫? ロシア“核魚雷”開発、中国膨らむ国防費、韓国は… 軍事ジャーナリスト「中朝だけに目を奪われていては危険」―【私の論評】日本は韓国をeconomic statecraft(経済的な国策)の練習台にせよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、economicstatecraftは、日本にはない概念なので、ほとんど報道されませんが、多くの国々がこれを意図して意識して、適用しつつあります。米国、ロシア、中国などは明らかににこれを意図して意識して実施しています。
韓国は、そのような戦略的な考えはないようですので、戦略的に行うというよりは、散発的にその時々で戦術的な反日のような、economicstatecraftとはいえないようなことを実行しているだけだと思います。
北朝鮮は、経済的にあまりに小さいので、そもそもeconomicstatescraftなどできないのだと思います。北朝鮮が経済的になにかの政策をとっても困る国はないです。だからこそ、核ミサイル開発に踏み切ったのでしょう。
それで、米国と首脳会談にまで持ち込むことができたのですが、最近ではその手が使えず、使えば、孤立したり米国の軍事攻撃を招いてしまいかねないので、結局は使えず、八方ふさがりの状況になっています。
私は、本当は、韓国に対する「戦略的放置」も、economicstatecraftの一環で行われているのではないかと思いますが、日本国内はこれを発動すべき韓国、北朝鮮、中国に対して過度に忖度する勢力が多いので、安倍政権とししては、はっきりeconomicstatecraftであるといえないところがあるのだろうと思います。
これに関しては、日本国内での新型肺炎の感染が深刻になることがあらかじめ、予想されたにもかかわらず、中国からの渡航者を全面的シャットダウンできなかったし、現在でもなおそうしないということから、日本には過度に中国に忖度する勢力が存在することが明らかになったと思います。
おそらく、規模の違いはあっても、日本には特亜3国に忖度する勢力があるのは間違いないです。この勢力は左翼系は無論のことですが、安倍政権の中にも存在します。
安倍政権が結局、習近平を国賓として招くことを未だに中止する動きがないこと、韓国に対しても、さらなる制裁を課すようなことは全く考えていないような態度をとり、結局韓国に対しても、「戦略的放置」にとどまっているのもその証であると思います。
日本は中国にかなり依存しており、中国との関係が悪化すると大変なことになるとか、技術面でも最近の中国は発展したので、日本は中国に技術的にもかなり依存しているなどと思いこむ人も多いようですが、それは事実ではないです。
中国向け輸出は、日本のGDPの3%内外であり、中国向け投資もGDPの1%程度にすぎません。輸入に関してもわずかなものであり、しかも自国での生産や他国からの輸入で代替できるものがすべてです。
最近の事例でいうと、たとえばマスクは日本では中国から輸入が80%を占めるので、最近は日本では全国的に品薄になっています。ただ、いずれユニ・チャームなどの国内メーカーが増産しつつあるので、いずれ是正されるでしょう。中国からの輸入はこのようなものばかりです。
日本からの中国向け輸出に関しては、中国にとって死活的なものが多いです。特に工作機械や精密機器などは中国では製造できず、これがなくなると中国は製造が滞ることになります。
中国の技術はかなり高いと思われていますが、実体は高度な技術は米国や日本などの先進国から盗んだものを組み合わせているにすぎません。驚いたことに、中国では高速鉄道や航空機のネジ・ボルトすら国内で製造できないのです。
このような状況だと、日本が中国との関係を断ったにしても、無論マスクのように一時品薄になるようなことがあっても、いずれ他国からの輸入に切り替えたり、自国で製造するようにすれば、日本としては何も困らないわけです。
であれば、日本は中韓に対してeconomicstatecraftを適用しても、ほとんど困ることはないです。日本は中国や韓国に対してeconomicstatecraftを十分実行し得るのです。
韓国に関しては、最近のあまりの暴虐ぶりに日本国民の中にも、かなり韓国政府に対する批判が高まり、国内親韓派などは、無視して安倍政権は、韓国に対して「戦略的放置」ができるようになりました。
韓国ソウルの延世大学。新型コロナウイルスへの予防を呼びかける垂れ幕の下を歩く学生(2月10日) |
であれば、ウイグルやチベット、最近では香港に対して人権を無視した、弾圧を継続しているとか、武漢肺炎の危機がありながらも、尖閣への挑発をやめないとか、習近平が未だ日本への国賓訪問を中止しないなど、中国の最近の暴虐ぶりが国民に周知されれば、安倍政権は中国に対して「戦略的放置」ができるようになる可能性は十分にあります。
それどころか、新型肺炎でこれからも犠牲者が出たり、様々なイベントが中止されたり、実体経済に影響がでれば、安倍政権や親中派に対して怨嗟の声があがるようになるでしょう。
安倍政権としては、政権運営を円滑にするために、二階氏のような親中派に対して党内政治で忖度するのか、それとも国民の声に耳を傾けるのか、選択を迫られる事態になることでしょう。
私としては、安倍政権は、国民の声をきき、特亜三国に関しては「戦略的放置」以上に、「economic statecraft(経済的な国策)」を実行していくべきものと思います。
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