2022年11月4日金曜日

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」―【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」

ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官

 ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官が4日までに、首都キーウ(キエフ)市内で産経新聞の単独インタビューに応じた。ニコレンコ氏は日本のウクライナ支援に「心から感謝する」と表明し、両国がともにロシアに不当に領土を占拠されているとして、北方領土問題の解決に向けて2国間の協力強化を呼び掛けた。露軍がウクライナの民間施設への攻撃を強めている現状については、「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)」だと糾弾した。

 ニコレンコ氏は、日本が「技術、人道両面でウクライナを支援し、対露制裁にも積極的に取り組んでいる」と述べ、「心から感謝している」と表明した。

 またゼレンスキー大統領が10月7日に「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と表明したことに関して、「日本をめぐる状況は(ロシアに)領土を占領された現在のウクライナと酷似している」と指摘。北方領土問題も、「国際法が侵害された事例であり、解決が必要だ」と主張した。

 ウクライナは現在、2014年にロシアに併合された南部クリミア半島の奪還に向けた国際会合「クリミア・プラットフォーム」を主導しているが、同会議で得た知見を「北方領土問題の解決にも活用できるのではないか」と述べ、両国間の協力強化を呼び掛けた。 一方、日本政府がロシア極東の石油・天然ガス開発事業に出資を継続する意向を示していることに関しては、「ロシアビジネスに関する一般論」だと前置きしつつ、「ロシアは原油や天然ガスを国際市場で売った資金で、ウクライナ人を殺している。われわれは、ロシアと商売をすることは間違っていると考えている」と述べた。

 10月10日以降、露軍がキーウを含むウクライナ全土の電力インフラなどへの攻撃を激化させている現状については「人々が生き延びるために必要なすべを奪おうとしている」と断じ、「ウクライナ人に対するジェノサイドに行きつく行為だ」と非難した。

 プーチン露大統領については、「戦場でウクライナ軍に勝利できないから、軍事とは関係がない施設を攻撃(して戦果を主張)することで、国民の目から自国の損失を隠そうとしている」と批判。「モスクワ(ロシア政府)が他の旧ソ連諸国の国民に指示できるという病的な考え」をプーチン氏が持ち続けており、「そのために、われわれが巨大な損失を被っている」と語った。(キーウ 黒川信雄)

【私の論評】北方領土に住むロシア人、ウクライナ人の生活は破綻寸前!返還シナリオは机上の空論ではない(゚д゚)!

上の記事に出てくる、クリミアプラットフォーム(ウクライナ語: Кримська платформа, 英語: Crimea Platform, クリミア・タタール語: Qırım platforması)は、ウクライナとその大統領、ウォロディミル・ゼレンスキーの外交イニシアチブです。

クリミアプラットフォーの事務局開設

2021年8月23日の会議で始動され包括的なアプローチを強く求めている国際的枠組です。ロシアによって2014年に併合された南部クリミア半島の奪還を求める国際プラットフォームです。

 大統領は、ドンバスの平和とクリミアの脱占領は、重要な優先課題だと強調し、「残念ながら、ノルマンディ・フォーマットの議題にはクリミア問題はなかった。

しかし、クリミア問題は、これまでも今も今後も、私たちの議題であり続ける。クリミアが占領され、ウクライナ人やクリミア・タタール人が恒常的な迫害を受け続けている限り、世界はクリミアを忘れてはならない」と強調しました。

その上で大統領は、ブダペスト覚書の安全保証について話すだけでは領土は帰ってこないとし、「私たちは、(返還のための)新しい効果的手段を模索している。クリミア問題を国際議題に押し戻すためだ。私たちは、『クリミア・プラットフォーム』というフォーマットを作っている。同プラットフォームは、クリミア住民の人権と半島脱占領のための国際的努力を調整するものだ。私は、すでに欧州連合(EU)、英国、カナダ、トルコ、その他のパートナーとこのイニシアティブについて協議した。その内の多くが、積極的に参加する準備がある」と伝えましたた。

ちなみに、ノルマンディー・フォーマットは、ノルマンディーコンタクトグループとも呼ばれ、ドンバス戦争とより広範なロシアウクライナ戦争を解決するために集まった国々のグループです。グループを構成する4か国、ドイツ、ロシア、ウクライナ、フランスは、フランスのノルマンディーでのD-Day祝賀会の70周年の際に最初に非公式に会合を開催しています。設立は、2014年6月6日です。

ノルマンディ・フォーマット4国(独仏宇露)首脳会議。12月9日のパリ。

岸田総理大臣は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合へオンラインにより、出席しています。

8月23日、ウクライナ政府は、第2回クリミア・プラットフォーム首脳会合をオンラインで開催し、ウクライナからヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)及び関係閣僚、並びに関係国政府・国際機関の首脳等が出席しました。

同首脳会合に際し、岸田文雄内閣総理大臣が、概要以下のビデオ・メッセージを送る形で参加しました。

メッセージの内容の概要は以下です。
(1)ロシアによるウクライナ侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。日本は、クリミアを含めたウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持し、一方的な現状変更の試みには断じて反対します。
(2)日本は、強力な対露制裁を講じるとともに、人道支援、財政支援、装備品等の提供、物資輸送支援等のウクライナ支援を実施してきました。今後も、先般のG7エルマウ・サミットにおいて発表した追加支援を含め、総額約11億ドルの支援を実施していきます。
(3)ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、国際社会が結束して対応することが重要です。今週末のTICAD8の機会を捉えたアフリカ諸国への働き掛けなど、これからも、我が国独自の取組を全力で進めていきます。
(4)日本は明年、G7の議長国を務めますが、ウクライナにおける一刻も早い平和の回復及び復興の実現に向け、国際社会と緊密に連携しつつ、また日本の経験を活かし、最大限の努力、積極的な貢献を続けていきます。
以下にビデオ・メッセージの動画を掲載します。


先日辞任したばかりの英国のトラス首相が外相のときの4月に、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退すべきと発言していました。この発言は、プーチンにとってはかなりショッキングなものだったようです。

日本もロシアに対しては、英国なみの対応をすべきでしょう。特に日本はG7では唯一ロシアとの間に領土問題を抱えている国です。しかも、ロシアにより不当に占拠されているのです。

日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。

これは、夢物語とか仮の話ということではなく、十分にありえることです。今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、ロシアは北方領土どころでなくなる可能性が高いです。

そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い、人口の約4割を占める)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。

2014年北方領土で集会を開くウクライナ出身者ら

日本が人道支援名目で北方領土に介入し経済支援すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。

経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、ロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。

ウクライナの報道官が語るように、現在は日本にとっても北方領土を取り戻す絶好の機会といえます。クリミアプラットフォームのやり方は、日本にも大いに参考になるに違いありません。

そうして、これを日本がやり遂げれば、日本の世界での存在感は高まるのは、間違いありませんし、世界の多くの国が軍事的に現状変更をすれば、必ずそれに対する報いを受けなければならないときがくることを知ることになります。

北方領土に関しては、GDPが韓国なみの貧乏国ロシアは、ロシアとしては超破格の数千億の支援をしていました。数千億と聞くと、かなりの支援と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では普通の都道府県等に対する支援に相当する程度すぎないのですが、人口二万人の北方領土に対する支援は、将来も見越してのことだったと思われます。これらも無意味になるのです。

日本ならば、これをはるかに上回る支援ができます。生活環境が整備され、産業の振興も行われということになれば、北方領土のロシア人やウクライナ人はこれを歓迎するでしょう。

これは、中国のような国に現状変更をすることは、結局高い代償を払わなければならないことになることを思い知らせることになります。

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