尹大統領(左)に岸田首相の親書を手渡した林外相=10日、ソウル |
産経新聞の17日朝刊によると、問題の調査は、韓国国営企業から委託されたノルウェー船籍の調査船「ジオ・コーラル」が実施した。竹島の南方約100キロの海域で、船尾からケーブルのようなものを引き、日韓の地理的中間線の日本側への侵入を繰り返したという。海域の地下構造や資源を探査した疑いがあるという。
現場では、海上保安庁の巡視船が無線で委託元などについて聞き取り、「わが国の同意を得ない調査は認められない」と注意した。
日本政府による外交ルートでの韓国への対応は明らかになっていないが、問題は調査船が活動したタイミングだ。
産経新聞は、調査は尹氏が就任したタイミングで実施され、林芳正外相は訪韓中だったと報じた。林氏は9日、岸田首相の親書を抱えて、尹大統領の就任式(10日)に出席するために訪韓している。
韓国側の調査船が活動した海域に近い日本のEEZ内では、石油・天然ガス開発の国内最大手「INPEX」(インペックス)が今月5日、天然ガスなどの商業生産化を調査する試掘を始めている。
一連の韓国側の動きは偶然とは考えられない。どう見るか。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国側の動きはタイミングを含め、尹氏の『竹島問題で日本に譲らない』という姿勢を示す意図があったのではないか。尹政権は決して『親日』ではない。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は強硬な『反日』で日韓関係を最悪な状態にしたが、尹氏は関係改善をチラつかせる巧妙な『反日』と見るべきだ。日本の国内世論が分断される恐れもある。岸田政権は手ごわい相手だと認識し、毅然(きぜん)とした対応をすべきだ」と語った。
■韓国による主な「反日」暴挙
□韓国国会議長(当時)による「天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求」
□韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件
□日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定
□いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐる異常判決
□自衛隊旗(旭日旗)への侮辱
□不法占拠する島根県・竹島への韓国警察庁長官上陸
□世界文化遺産への「佐渡島の金山」推薦に反発
□林芳正外相の訪韓中に、島根県・竹島周辺のEEZ内で無断海洋調査の動き
日本としては、ロシア軍について、2月24日の侵攻開始以降に占領した地域だけでなく、南部クリミアや東部ドンバス地域の一部など8年前に併合した地域からも撤退はもとより、北方領土からも撤退すべきと主張すべきでしょう。
そうして、これは全くあり得ない話ではありません。このブログでも以前も指摘したように、ロシアのウクライナ侵攻は日本が北方領土をとりもどす機会にもなり得るのです。
今回のロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国などによる制裁などで、プーチン政権が窮地に陥り、状況が一変する可能性があります。今後、プーチン政権が崩壊すればロシア各地で分離独立運動が激しくなり、ロシア連邦は多数の国家に分割されるでしょう。
そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人、ウクライナ人(ソ連邦時代に移り住んだ人が多い)島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想されます。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高いです。
日本が人道支援名目で北方領土に介入すれば、ロシア人、ウクライナ人島民は日本の支援なしで生活できなくなります。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現する可能性があります。
経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではありません。ただ、日本にとってはただ黙って棚ぼたのように戻ってくるのと、日本がロシアは撤退すべきと主張した上で戻ってくるのでは意味合いが全く違います。無論後者のほうが日本の世界における存在感は高まります。
日本がこう主張すれば、ロシアは大反発するでしょうが、英国は大歓迎でしょう。英国の賛同を得れば、他の西側諸国も賛同する可能性は高いです。今回のウクライナ侵略による制裁として、ロシアはウクライナだけではなく、北方領土も失うということになれば、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識することになります。
日本としては、北方領土のみならず、不当に韓国に占拠されている「竹島」から、韓国が撤退すべきと主張すべきです。無論、北朝鮮に対しても拉致被害者の変換を主張すべきです。両方ても「力による現状変更」です。国家による犯罪です。
その他にも、南シナ海の中国が環礁を埋め立ててつくった軍事基地などに関しても、周辺諸国で領有権を主張する国は、中国の南シナ海における実行支配をやめるように主張すべきでしょう。
第二次世界大戦中からそれ以降にかけて、不当に他国占拠されたような地域を持つ国々はこのような主張をすべきです。そうして、「力による現状変更」は絶対に許されないことが、理念ではなく事実として世界が認識させるようにするのです。
無論、ただ主張するだけでは、理念を主張するのと何の変わりもありません。ただ、目の前にロシアという現実があります。ロシアは経済制裁と、西側諸国などによる軍事支援で、北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前になっいます。
これと同じようなことを、第二次世界大戦中以降に「力による現状変更」を行った国々に対してできる仕組みを構築するのです。
国際システムにおける「現状」(Status-quo)とは、国境の画定、2国間・多国間で形成された合意や規範、現存する国際法や国際制度・規範などを広く包摂する概念です。これを大きく分類すると、領土と主権に関する現状、国際法・条約・協定や地域枠組みなどの制度に関する現状、及び安全保障や自由貿易の秩序をめぐる望ましい力の分配、規範や行動に関する現状などがあります。そうして、特に、ある国が武力で現状変更しようとした場合は、その被害を受けている国に対する支援をすぐにできる枠組みを構築し、すでに現状変更されている場合は、それに対する経済的な報復の枠組みも最初から構築し、すみやかに実施できるようにするのです。
統治の役割は、国債社会のために意味ある決定と方向付けを行うことです。国際社会のエネルギーを結集することです。問題を浮かびあがらせることです。選択を提示することです。
過去の経験則から、統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺します。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできません。それらの機関は、実行に焦点を合わせていないし、体制がそうなっておらず、そもそも関心が薄いです。
国連が機能しないのは、統治と実行が曖昧なところがあるのが大きな原因の一つです。これを分離させた新しい組織を構築した上で、「力による現状変更」に対する制裁を速やかに実行できるようにするのです。
日本としては、こうした国際組織の構築を提言すべきとは思いますが、それと平行し、ロシアや韓国、北朝鮮に対して現状変更を許さないという姿勢をはっきりさせ、元に戻さなければ、制裁を続けるべきです。
日本は比較的経済は大きいですし、技術水準なども高く、ロシアも韓国、北朝鮮も日本の技術や素材に頼っているところが大きいです。日本が単独で、ロシアや韓国、北朝鮮に対して制裁をしてもかなり効き目があります。ロシアや北朝鮮に制裁をして韓国にしないということでは、筋が通りません。
「現状変更は許さない」と岸田首相は、他国との首脳会談で発言しています。許さないというのなら、ロシアと韓国の過去の「現状変更」も許すべきではありません。このようなことを許そておけば、これからも世界で「現状変更」を企む、中国のような国がはびこることになります。
ウクライナに対しては武器の供与もすべきです。韓国に対しては、貿易管理などの曖昧な言い方ではなく、経済安全保証の一環として、はっきりと「経済制裁」をすべきです。そうして「竹島」を返還するまで継続すべきです。
また、尖閣を中国が奪取しようとした場合、ASW(対潜水艦戦闘)が中国よりも格段に優れた日本は、潜水艦で中国の艦艇や航空機などの侵入を防ぐことができます。これにより、たとえ人民解放軍や民兵が尖閣諸島に上陸しても、補給を絶って無力化できます。国際法的には何の問題もありません。ただ、法的な不備などは解消しておくべきでしょう。
こうしたことでノウハウと実績を蓄積し、「力による現状変更」を許さない仕組みや組織を提言すべきです。G7としては唯一、ロシアと韓国との間に領土問題を抱え、北朝鮮との間で「拉致問題」を抱える日本こそ、こうしたことを実行すべきです。
ロシアのウクライナへの侵攻、北方領土問題、竹島問題、拉致問題などを別ものと考えるべきではありません。その根底は同じく「力による現状変更」なのです。現在進行しているか、過去の問題かの違いだけではあり、これはいずれも明白な国際法違反です。
尖閣問題はこれから「力による現状変更」がこれから起きるかもしれず、それが起こりそうになれば、日本はそれを防ぐべきですし、起きてしまえば、原状復帰すべきです。
さらに、憲法9条を国際法の観点からみれば、世界の他の多くの国々が似たような日本の憲法9条とおなじような国連憲章やパリ不戦条約を源とする、平和条項を持ちながら、軍隊を持ち、自衛権も有しているのと同じく、日本も軍隊を持ち自衛権を有しているのは疑いようもないの事実であり、国内法をその観点からつくりなおしていくべきです。
ただし、誤解を招かないため、そうして現行の日本憲法は実質的に日本ではなく米国によって制定されたものであるため、それを改善したり、作り変えたりすることには大賛成です。
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