2022年5月5日木曜日

防衛産業、基盤強化に本腰 相次ぐ撤退に危機感 政府―【私の論評】防衛費は安倍・菅両政権がコロナ対策で行った財務省の抜きの政府日銀連合軍で調達せよ(゚д゚)!

防衛産業、基盤強化に本腰 相次ぐ撤退に危機感 政府

 自衛隊の装備品を生産する防衛産業から企業の撤退が相次いでいる。

 背景には、低い利益率や調達数の減少があるが、これらの企業は有事に際しても装備品の維持・整備を担うため、撤退は日本の防衛力低下に直結する。政府は防衛産業を「防衛力の一部」と位置付け、対策に本腰を入れ始めた。


 この数年だけでも、防衛省から直接受注する主要企業の撤退が目立つ。2021年には三井E&S造船が艦艇建造をやめたほか、住友重機械工業は新型の機関銃事業から手を引いた。20年にもダイセルが航空機パイロットの緊急脱出装置の生産停止を決めた。

 撤退の理由の一つは、利益率の低さにある。現在、防衛省が発注する装備品は原価に7%程度の利益が上乗せされているが、10%を超えるとされる欧米諸国と比べると低い。納品後の利益率では、材料費の高騰や為替の影響により利益率が2~3%まで目減りしているケースもあるという。

 また、装備品の高度化・複雑化により調達単価が上がった一方、F35戦闘機などの高性能な米国製装備品の輸入が増え、国内からの調達数は減少。この結果、受注間隔が空く「お久しぶり生産」が増え、安定的な事業維持が難しくなっている。

 装備品を輸出できれば事業維持や価格抑制などの効果が期待できるが、高価で自衛隊のニーズに応じた装備品を買う国は少ない。これまでに完成装備品の輸出契約が実現したのは、フィリピンへのレーダー4基のみだ。

 こうした状況を打破すべく、防衛装備庁は企業の支援に乗り出している。防衛省は装備品の製造工程に3Dプリンターや人工知能(AI)などの先進技術を導入するための経費6億円や、中小企業のサイバーセキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性調査・設備導入などの費用8億円を22年度予算に盛り込んだ。

 さらに、鈴木敦夫装備庁長官の下に、装備品の利益率見直しや輸出に関するワーキンググループを設置し、具体策の検討を進めている。防衛省幹部は「以前は利益率が低くても『お国のため』と応じてくれたが、今では通用しなくなった」として、実効性のある対策が急務との認識を示した。 

【私の論評】防衛費は安倍・菅両政権がコロナ対策で行った財務省の抜きの政府日銀連合軍で調達せよ(゚д゚)!

財務省は先月20日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、政府が検討を進める安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」などの改定に向けた課題を議論しました。経済や財政の構造強化は防衛力を充実させる観点からも重要だとの見解で一致。自民党内で広がる予算増額論を牽制しました。

財務省は「国民の生活や経済、金融の安定があってこそ防衛力が発揮できる」とし、指針などの見直しの議論では有事に備えた経済、財政の在り方も点検する必要があると主張しました。

しかし、考えてみて下さい、ロシアがウクライナに侵攻し、北朝鮮がミサイルを発射し、拉致引き会社問題は未だ解決せず、中国が台湾をいずれ併合しようとしているのは明らかであり、特に中国は毎年かなり防衛費を増額しつつある現在、今後安全保障関係の予算は増えてしかるべきであり、予算増額を牽制するというのは筋違いだと思います。

安倍元総理も、この財務省の牽制に呼応するかのように、防衛予算の拡張を訴えています。
自民党の安倍晋三元首相は21日、都内で開かれた日本戦略研究フォーラム主催のシンポジウムで講演しました。防衛予算を国内総生産(GDP)比2%まで増額すべきだとの考えを示したうえで、令和5年度については「当初予算で少なくとも6兆1700億円から上積みしていく方向性にしなければならない」と述べ、今年度当初予算に補正予算を加えた6兆1700億円以上の額を計上すべきだとの考えを示しました。

日本戦略研究フォーラム主催のシンポジウムで講演する安倍元総理

GDP比2%目標については「(アジア太平洋)地域の平和と安定へ世界各国の協力が必要だと言っている日本が予算を増やさないとなったら笑いものになる。ぜひ国家意思を示してほしい」と強調。党内にも「数字ありきでなく、必要額の積み上げでないといけない」との意見があることに触れて「政治家の発言とは思えない。財務省主計(局)の補佐みたいな発言だ」と批判しました。

「敵基地攻撃能力」の保有についても「(対象を)基地に限定する必要はない。北朝鮮を念頭に置いたとしても、TEL(移動式発射台)を全部つぶすことはできない。中枢地帯を狙っていく(べきだ)」との考えを示しました。

自民党は、ウクライナ事変を「天佑」と思うなら、今ほど国防力充実を行う好機はないといえることを自覚すべきです。これは裏を返せば、「攻勢限界点」でもあるということです。


「攻勢限界点」とは、紛争において、敵に対して優位に立った側(攻勢側)が優位を維持できる限界。 一般に、争いにあって優位を維持するためには継続的に攻撃を行わなければならない。 敵を攻撃すれば敵戦力の撃滅、士気への影響、領土の奪取などの戦果が得られ、その戦果によってさらなる優位を得られる。

ドイツはそれを理解しているからこそ、「来年から毎年、防衛費をGDP2%」、「足りない分は国債を刷って基金で対応」、「世界3位の軍事大国になる」と宣言したのです。

今以上にできるタイミングはないからです。

それに対して、自民党は、「5年以内に防衛費をGDP2%に」、「その他、戦後防衛政策を転換」としています。これを、全部実現したら100点といえるのでしょうか。この提言の内、何割が実現するのでしょうか。

極めて現実的な話をすると、財務省を説得できるのでしょうか。おそらく、財務省はこれに対して必死で、反撃に出るでしょう。そうして、説得は無理筋にされるかもしれません。


しかし、ここで発想を転換すべきです。安全保証は、国民の命・財産を守るために必要です。そもそも財務省のように「国民の生活や経済、金融の安定があってこそ防衛力が発揮できる」などと能天気なことを語っている連中には、もともな国防予算など考えられません。


ウクライナ事変が発生してからそのような呑気なことはいっておられないはずです。現に目の前で、ロシアがウクライナに侵攻したという事実があるわけで、日本よりは経済規模は小さいながらも、それなりに国民の生活や経済、金融が安定していたウクライナが、侵攻によってそれが破壊されているではありませんか。しかも、ロシアは我が国の隣国でもあるのです。

であれば、能天気な財務省を除外してでも、防衛費を工面すべきです。そうして、それにはすでに前例があります。

それは、安倍元総理が総理時代に語っていた「日銀政府連合軍」です。これは、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うのですが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行う方式です。これによって政府が巨額の軍事費を創出でき、それを外国からの武器輸入ではなく、国内の防衛産業に発注するのです、これによって不況の下支えをすることもできます。まさに大恐慌スタイルの経済政策ともなります。

これと似たようなことはコロナ対策でもすでに行われています。麻生太郎財務相(当時)と日銀の黒田東彦総裁は2020年5月22日午後、新型コロナウイルスへの対応を巡り面談しその後「事態収束のためにあらゆる手段を講じ、収束後に日本経済を再び確かな成長軌道に回復させるため、一体となって取り組んでいく」との共同談話を出しました。両者が共同談話を出したのは、英国の欧州連合(EU)離脱を巡って市場が混乱した2016年6月以来3年11カ月ぶりです。政府日銀連合軍が出来上がったのはこの時のようです。下の写真は、この共同談話発表の時のものです。


このやり方をとっていましたので、当時の第二次補正予算は、税金を用いていませんでした。マスコミや似非識者の中には、何かと言えば「血税」とか「バラマキ」などという人もいますが、これは大嘘です。緊縮病で頭が狂った財務省が言うのならわかりますが、バカもいい加減にしろと言いたいです。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることです。しかし、日本はもともとコロナショック以前から、物価目標する達成しておらず、さらにコロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときでした。

コロナ感染症が発生してからの、安倍政権と菅政権では主に「政府日銀連合軍」によってコロナ対策の資金を調達しました。両政権のコロナ感染が発生してから、菅政権が終わるまで、合計100兆円の補正予算を組みました。

これは、高橋洋一氏が語っていた、日本の需給ギャップに相当する額でした。そうして、これは大成功でした。菅政権は、コロナ対策においては、病床の確保に関しては、日本固有の鉄の三角形のなかでも、医療村の妨害にあってうまくはいきませんでしたが、脅威的にワクチン接種の速度を高め、結局医療崩壊も起こすことなく、なんとか収束する方向にもっていきました。

ちなみに、経済対策で最も重要な指標は失業率ですが、今年の3月の失業率は2.6%でした。これは、実は菅政権の成果です。


失業率は典型的な遅行指標です。景気に対し遅れて動く経済指数のことです。 内閣府が毎月作成している景気動向指数は、景気に先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数と遅行指数の3本の指数があります。 景気の現状把握には一致指数、景気の動きを予測するには先行指数、事後的な確認には遅行指数が用いられます。

株価などは典型的な先行指標です。失業率は典型的な遅行指標であり、およそ半年前の景気の状況を表しているとされています。

3月の半年前というと、昨年の9月であり、岸田政権が成立したのは10月ですから、これは菅政権の成果によるものです。

上の表をみると、安倍政権、菅政権を通じて、コロナに見舞われてもあまり失業率が上昇していないことがわかります。これは、日本には米国等にはない雇用調整助成金があることと、安倍・菅両政権が政府日銀連合軍で巨額の補正予算を組み対策を行ったためです。

コロナ対策に関しては、国民の生命に直接関わることなので、財務省もこうした政府日銀連合軍の動きに対して真っ向か批判することもできなかったのでしょう。

こうした実例もあるわけですから、防衛費の増額に関しても、コロナ対策と同じどころか、場合によっては、コロナ対策よりも国民の生命や財産を守るために重要なわけですし、ウクライナの問題もあることから、政府日銀連合で、資金を調達すれば、これに対して財務省も真っ向からは否定できないでしょう。

夢々、財務省を説得するなどということはすべきではありません。ただ、安倍・菅両政権ではそれも可能だったかもしれませんが、財務省管理内閣岸田政権は無理かもしれません。それは、岸田政権の補正予算か2.5兆円に過ぎないことでもわかります。

それでも、まだま支持率が高い岸田内閣です。マスコミに守られています。しかし、そのようなものまるで信じられないです。なぜなら、マスコミは持ち上げて落とすのが大好きだからです。

国会でおとなしくしてさえいれば政権は維持できるし、参議院選挙に勝てばやりたい放題だし。岸田政権中枢はそう考えているのでしょうが、それを望まない勢力も動き始めています。

公明党が選挙協力に難色を示している件もありますし、それに、支持率が下がったタイミングで安倍、菅という2人の元首相が『岸田じゃダメだな』と握手したら、その瞬間に長期政権など夢で終わることになるでしょう。その「タイミング」は意外に遠くないのかもしれないです。

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