これがロシア国防省が公開した最新の対潜水艦ミサイル「オトベット」の発射演習の映像です。ミサイルは水中の目標に命中したとしていて、演習の間、太平洋艦隊の艦船15隻が周辺海域を一時封鎖したということです。
インタファクス通信によりますと、ミサイル「オトベット」の最高速度はマッハ2.5で、最大で水深800メートルの対象を攻撃可能だとしています。演習は対ロシア制裁を科す日米などをけん制する狙いもあるとみられます。
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このようなミサイル発射演習を日本の報道機関が報道する背後には、ロシアの脅威があることは間違いないです。ただ、なぜロシアがこのような演習をするのかということはよく考える必要があると思います。
それは、無論日米に対する牽制でしょう。しかし、これはロシア側からみれば、もともとあまり多くはない極東の兵員や武器などをウクライナに送っているため、極東の軍事力か手薄になっており、より日米のロシアに対する脅威が増していることを意味するものと思われます。
極東ロシア地上軍は崩壊前では、40数個師団あったものが、現在では、半数以下の12個旅団(師団の半分から2/3の規模)と2個師団合計8万人です。
これは、4分の1以下になったということになります。軍の地位も下がり、予算も多く削減され、兵員の士気は下がっています。そこからさらに、ウクライナに兵員や武器を送ったとなれば、いかに手薄な状態になったかわかります。極東ロシアは人口が650万人程度で、ロシアにとっての最重要部分ではありません。産業は育っておらず、隣接する中国の東北部に比べたら人口は20分の1でGDPの格差はそれ以上だ。陸軍の兵力でも、瀋陽方面の中国陸軍に比べてロシア極東部の陸軍は弱体です。
そもそも、このブログで以前も述べたように、ロシアのGDPは韓国を若干下回る程度で東京都と同じくらいです。ロシアの一人あたりのGDPと中国のそれは、10000ドル(100万円)程度であり、人口は1億4千万人、中国の人口はロシアの10倍の14億人です。そのため、国全体では中国のGDPはロシアの10倍程度です。
日本と比べても、極東ロシアは経済面だけでなく、軍事的にも貧弱です。たとえ日本を攻めても、ロシア軍の揚陸作戦能力が乏しいことは、今回ウクライナの黒海岸にほとんど上陸できず、揚陸艦「サラトフ」も撃沈されてしまったことから明らかです。
撃沈された揚陸艦「サラトフ」 |
ロシアのASWは貧弱ではないと語る人もいますが、ではどうしてミサイル巡洋艦「モスクワ」は撃沈されたのでしょうか。ロシアにまともな哨戒能力があれば、あのようなことはなかったはすです。「モスクワ」の脆弱性が暴かれた今、ロシアの対潜哨戒能力だけが高いなどの議論は成り立たないと思います。
それでも、台湾有事などで中国の艦隊と連携行動を取られると、ロシア海軍も日米にとって煩わしい存在になるのだが、それも大したものにはならないでしょう。
中国は2014年のロシアのクリミア「併合」をまだ認めてもおらず、今回のウクライナ戦争でも様子見に徹している中国が台湾を併合すると言っても、ロシアはおいそれとは助けないでしょう。たとえロシア海軍が台湾周辺まで繰り出しても、日米潜水艦の格好の標的になるだけです。
ウクライナ戦争で、ロシアは西側諸国との関係を大きく悪化させています。孤立したロシアは、中国にとっては米国に対抗するための同盟相手というよりも、米国との不要な対立に中国を引き込みかねないお荷物的な存在になっています。
習近平国家主席はロシアを共産主義の先輩として尊敬の念を持って接しています。しかし彼が去るときやロシアに愛想をつかすときロシアが清朝から奪った沿海地方を含む日本の4倍の面積を持つ領土を突然返せと言い出さないとも限らないです。
ロシアのウクライナ侵攻は、戦後の国連体制をぶち壊すものです。その落とし前はロシアにつけさせなければならないです。他方、極東でのロシアは日本にとって、敵一辺倒な存在でもなありません。ロシアは「等身大」見ることが必要です。
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ロシア海軍はカムチャツカ半島に基地を置く原子力潜水艦が何隻も戦略核ミサイルを抱えてオホーツク海に潜っていますが、これは米国向けのものです。海上艦のほうはお粗末で、駆逐艦クラス以上の軍艦は7隻程度しかなく、海上自衛隊の陣容の10分の1程度です。日本海岸には海上自衛隊の主要な潜水艦基地があり、数と質でロシア海軍の潜水艦を圧倒しています。
さらに、日本の海自は対潜哨戒能力に優れているため、ロシアのASW(対潜水艦戦闘)能力ではるかにまさっています。そうして、日本の潜水艦は静寂性(ステルス性)でロシアの潜水艦をはるかに上回っており、ロシアは日本の潜水艦をなかなか発見できない一方、日本はロシアの潜水艦を発見するのは困難です。
そもそも、ロシアが最新の対潜水艦ミサイル「オトベット」を持っているとはいっても、発見できない相手には、ミサイルを発射してこれを破壊できるとは思えません。
ロシアの対潜水艦ミサイル「オトペット」 |
一方米国の潜水艦はすべて原潜であり、これは構造上どうしてもある程度の騒音は出ます。だから、ロシアにも発見できる可能性はあります。ただ、米国もロシアよりは対潜哨戒能力が格段に上ですし、攻撃力もかなりのものですから、先に「オトペット」を搭載している艦艇が撃沈される可能性が高いです。
仮に日露が有事になったとするとロシアの艦船は、日本の潜水艦が潜む宗谷海峡と津軽海峡は危なくて通れなくなるので、太平洋方面での作戦やウラジオストクから補給を受けるカムチャツカの基地の維持も難しくなります。
海戦では、日本はロシアを圧倒することになるでしょう。、実際もし第二次日露戦争が勃発したら「日本が海戦を制する」とロシアメディアが断言しています。
それでも、台湾有事などで中国の艦隊と連携行動を取られると、ロシア海軍も日米にとって煩わしい存在になるのだが、それも大したものにはならないでしょう。
中国は2014年のロシアのクリミア「併合」をまだ認めてもおらず、今回のウクライナ戦争でも様子見に徹している中国が台湾を併合すると言っても、ロシアはおいそれとは助けないでしょう。たとえロシア海軍が台湾周辺まで繰り出しても、日米潜水艦の格好の標的になるだけです。
ウクライナ戦争で、ロシアは西側諸国との関係を大きく悪化させています。孤立したロシアは、中国にとっては米国に対抗するための同盟相手というよりも、米国との不要な対立に中国を引き込みかねないお荷物的な存在になっています。
習近平国家主席はロシアを共産主義の先輩として尊敬の念を持って接しています。しかし彼が去るときやロシアに愛想をつかすときロシアが清朝から奪った沿海地方を含む日本の4倍の面積を持つ領土を突然返せと言い出さないとも限らないです。
ロシアのウクライナ侵攻は、戦後の国連体制をぶち壊すものです。その落とし前はロシアにつけさせなければならないです。他方、極東でのロシアは日本にとって、敵一辺倒な存在でもなありません。ロシアは「等身大」見ることが必要です。
ただ、「等身大」に見るにしても、最初から無理なウクライナ侵攻をしてしまったロシアです。日本に対して勘違いして攻撃を仕掛けてくるかもしれません。そうなっても、ロシアが本格的に北海道に侵攻することは不可能ですが、それにしても日本に損害がでることは確かです。
防衛大臣と海軍長官を率いるプーチン露大統領 |
さらに、以前もこのブログで指摘したように、ロシアの一人あたりのGDPは100万円前後にすぎす、日本のそれはロシアの数倍ですから、ロシア人からすれば日本人の暮らし向きは豊かです。
そうなると、ロシアの狼藉ものが、北海道のいずれかの町に上陸して、武力を用いて、日本人を脅し、金品を巻き上げたりすることもあり得ます。実際、数年前に北朝鮮の狼藉者が北海道の松前小島に上陸して、あらして、物品を強奪したという事件がありました。ロシアの狼藉者がそのようなことを未来永劫しないという保証はありません。
いずれにしても、今後ロシアが日本に対して攻撃を仕掛ければ、自分たちの被害が甚大なものになることを知らしめるためにも、特に海戦の優位性はこれからも保ち続けるべきですし、ロシアの狼藉者が侵入した場合どうするのか、その対処法も定めておき、国民が無用な被害を被ることがないよう、政府はこれからも安全保障に力をいれていくべきでしょう。
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