まとめ
- 米国と中国は、ウクライナ情勢や台湾問題などについて協議したが、対立は深まるばかりである。
- 中国とロシアは、米国主導の西側に対抗するため、関係を深めている。
- 米国は、中国の軍事力増強に対抗するため、冷戦時代の海底諜報プログラムを復活させた。
ニューヨークで会談した米国の国務長官ブリンケンと中国の韓正国家副主席 |
米国の国務長官ブリンケンと中国の韓正国家副主席は、9月18日に国連総会に合わせて米ニューヨークで会談し、米国は中国に対し、ウクライナに侵攻しているロシアへの軍事支援を控えるよう再度求めた。
また、米国が中国に対抗するために冷戦時代の統合海底監視システム(IUSS)を再開し、最新化し、さらに海洋の監視にAIソフトウェアを活用していることも報じられている。
COURRiER Japon
まとめ
U.S. revives Cold War submarine spy program to counter China
IUSSの海底ケーブルは、北極海から南極海までの世界中の海底に設置されています。特に、中国の潜水艦戦力が活発な太平洋や大西洋の海底に重点的に設置されていると考えられます。
具体的には、以下の海域に設置されているとされています。
中国もまた、独自の海底監視システムを構築しています。このシステムは「グレート・アンダーウォーター・ウォール」と呼ばれており、南シナ海を中心に海底ケーブルが敷設されています。このシステムは、音声のみを拾うものとみらています。
米国と中国の海軍力競争は、今後も激化していくと考えられています。
日本は、2022年に「海上監視体制強化事業」を開始し、海底監視能力の強化を進めています。この事業では、海底ケーブルや無人船などの新たな技術を活用した海底監視システムの整備が計画されています。
海底ケーブルを用いた海底監視システムは、米国のIUSSと同様に、海底に固定されたケーブルを使って、潜水艦の航跡や通信を傍受するものである。電磁波を用いた海底監視システムは、海中の電磁波を観測することで、潜水艦の位置や航跡を特定するものです。
日本政府は、これらの新しい海底監視システムを活用することで、中国の海洋進出に対抗し、日本の海洋権益を守る体制を整えていきます。
両国は数週間後に高官協議を再開し、対話を続けることで一致したと報じられている。同日、中国の外相王毅はロシアの外相ラブロフとモスクワで会談し、プーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記の首脳会談や米国の安全保障政策について協議したと言われている。
一方で、中国とロシアの関係は緊密化し、両国は米国主導の西側に対抗する姿勢を強化しており、世界再編を共同で推し進め、途上国での影響力を拡大しようとしている。現時点では正式な軍事同盟はないものの、大きな衝突があればその可能性もあるとされている。
【私の論評】IUSS(統合海底監視システム)の強化がインド太平洋地域の安保に革新をもたらす(゚д゚)!
- IUSS(統合海底監視システム)は、米国が旧ソ連の潜水艦を監視するために設置された海底諜報プログラムで、海底に固定されたケーブルを使用して潜水艦の航跡や通信を監視する。
- 米国国防総省の2023年予算書によれば、IUSSの近代化のために約1兆円の予算が割り当てられており、海底ケーブルの更新や監視船の改良、AIソフトウェアの開発などに充てられる。
- IUSSの最新化により、高精度で広範囲の監視が可能になり、中国の潜水艦をより正確に位置特定できるようになる。
- IUSSの強化により、インド太平洋地域においても安全保障が強化されることになる。
これは「統合海底監視システム(Integrated Undersea Surveillance System)」の略で、1950年代に米国が旧ソ連の潜水艦を監視するために設置した海底諜報プログラムです。海底に固定されたケーブルを使って、潜水艦の航跡や通信を傍受するものです。
IUSSの一環で用いられるとみられる水中ドローン |
また、米国国防総省の2023年会計年度予算書によると、海軍の「統合海底監視システムの強化」のための予算は、106億ドル(日本円では1兆超)とされています。この予算は、海底ケーブルの更新、監視船の改良、AIソフトウェアの開発などに充てられるとされています。
米国は、2022年から2023年にかけて、IUSSの海底ケーブルの更新や、監視船やドローンの改良などを進めているとされています。これにより、米国は以下の点で軍事的に有利になると考えられます。以下に、IUSSの最新化による具体的な影響について、解説します。
高精度で広範囲の監視が可能になる
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、より高精度で広範囲の監視が可能になります。これにより、中国の潜水艦が海底に潜んでいる場合でも、米国はより正確に位置を特定できるようになるでしょう。
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、より高精度で広範囲の監視が可能になります。これにより、中国の潜水艦が海底に潜んでいる場合でも、米国はより正確に位置を特定できるようになるでしょう。
より早く潜水艦の位置を特定できるようになる
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの設置場所が増え、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦が海上に出てきた時点で、米国はより早く位置を特定できるようになるでしょう。
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの設置場所が増え、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦が海上に出てきた時点で、米国はより早く位置を特定できるようになるでしょう。
潜水艦の通信をより確実に傍受できるようになる
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦の通信をより確実に傍受できるようになるでしょう。
IUSSの最新化により、海底に固定されたケーブルの性能が向上し、また、より高性能なセンサーが搭載されるようになると考えられます。これにより、中国の潜水艦の通信をより確実に傍受できるようになるでしょう。
これらの利点により、米国は中国の潜水艦戦力をより効果的に監視・抑止できるようになると期待されます。
これについては、以下のロイターの記事が詳しく報道しています。
具体的には、以下の海域に設置されているとされています。
- 北極海:グリーンランド海、ノルウェー海、バーents海
- 大西洋:北大西洋、地中海、インド洋
- 太平洋:北太平洋、南太平洋
IUSSの海底ケーブルの設置場所は、米国政府の機密情報となっており、具体的な位置は明らかにされていません。しかし、海底ケーブルの設置場所は、中国の潜水艦戦力の脅威を踏まえて決定されていると考えられます。
中国もまた、独自の海底監視システムを構築しています。このシステムは「グレート・アンダーウォーター・ウォール」と呼ばれており、南シナ海を中心に海底ケーブルが敷設されています。このシステムは、音声のみを拾うものとみらています。
米国と中国の海軍力競争は、今後も激化していくと考えられています。
海底ケーブルを用いた海底監視システムは、米国のIUSSと同様に、海底に固定されたケーブルを使って、潜水艦の航跡や通信を傍受するものである。電磁波を用いた海底監視システムは、海中の電磁波を観測することで、潜水艦の位置や航跡を特定するものです。
日本政府は、これらの新しい海底監視システムを活用することで、中国の海洋進出に対抗し、日本の海洋権益を守る体制を整えていきます。
なぜ、日米や中国が海底監視システムを構築するかといえば、それは現代海戦の主役は潜水艦だからです。
艦艇には二種類しかありません。水上艦艇と潜水艦です。水上艦艇は、監視衛星などでも簡単に発見できます。水上艦艇は、大型空母であっても、現代海戦においては、ミサイルの大きな目標に過ぎません。発見されれば、すぐに撃沈されます。無論対抗措置はありますが、ミサイルで飽和攻撃などされてしまえば、防ぎようはありません。
中国のミサイルに攻撃される米空母(想像画) |
しかし、潜水艦は違います。そもそも、現在の監視衛星は、水上艦艇を発見することはできますが、水中の潜水艦は発見できません。無論、哨戒機や哨戒挺は特定の広さの海域に予め潜水艦が存在するとわかっている場合は、これを発見することはできますがそうでない場合は、難しいです。
潜水艦が水中に潜み、駆動装置などを駆動させず水中に潜んだり、潮流に乗って移動している場合は、これは発見するのはかなり難しいです。ただし、駆動しはじめると、音がでたり、海水温が微妙に変化したり、微弱な電磁波がでたりするので、これを発見することができます。
しかし、広大な海で、捜索範囲が限られている、哨戒機や哨戒挺でこれをすべて発見することは不可能です。だからこそ、海底監視システムが必要なのです。そうして、米国による海底システムの強化は、現在でも世界トップクラスの米国の対潜水艦戦争(ASW:Anti Submarine Wafare)をさらに高めることになり、中国の海洋進出をより困難にすることになります。
現代海戦の主役潜水艦 写真は日本の潜水艦「はくげい」 |
特に米国のIUSSの強化は、特にインド太平洋地域の地政学的景観に大きな影響を与える可能性が高いです。
中国は最近では、空母を建造したり、原潜を建造したりして、海軍力の増強を図ってきました。しかし、米国は大規模に艦艇を増やしたり、潜水艦を増やすことはしてきませんでした。海底監視システムを強化することを優先したのでしょう。
米国の海洋監視システム(IUSS)の強化は、インド太平洋地域に大きな影響をもたらすことが予想されます。IUSSは、海底監視だけではなく、海底地震や津波のモニタリング、違法漁業の取り締まりなど、多くの情報を提供しています。
日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表では、日本と米国はインド太平洋地域へのコミットメントを強調し、地域の平和と安全、繁栄における日米同盟の重要性を再確認しています。IUSSの強化は、変化する安全保障の課題に適応し、同盟を現代化し、共同の能力を向上させるための重要な一環です。
IUSSはインド太平洋地域における安定を維持し、必要に応じて行動を起こすための協力の一環として位置づけられています。また、自由な通商と国際法の尊重、航行・上空飛行の自由なども再確認されています。
米国は東シナ海での中国の活動にも懸念を表明し、尖閣諸島や南シナ海における中国の不法な海洋権益に対しても強く反対しています。米国は、日米が協力し、インド太平洋地域で共有する安全、平和、繁栄に向けた取り組みにコミットしています。また、日本、米国、豪州、インドの「Quad(クアッド)」協力も非常に重要視しています。
IUSSの強化により、地域全体の安全保障が強化され、地政学的なバランスが改善され、私たちの未来に向けた希望がより一層高まることになるでしょう。
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