2023年9月12日火曜日

政府からの「需要不足解消」はミスリード 望まれる政策は最後の「ひと押し」 増収分は減税で国民に還元を―【私の論評】消費減税は現状の日本で最も有効な政策!岸田首相は消費税減税で空前絶後の大サプライズを(゚д゚)!

まとめ
  • 内閣府は、需給ギャップがプラス0.4%と発表したが、潜在GDPの計算方法見直しによるもの。
  • 雇用指標からは、需要不足は解消されていないことがわかる。
  • デフレ脱却とは言い難く、政府には成長減税をすべきと指摘。

 内閣府は、4-6月期の需給ギャップがプラス0.4%と発表した。これは、コロナ禍前のピークだった19年7-9月期以来、3年9ヶ月ぶりのプラスである。しかし、潜在GDPの計算方法の見直しによって、需要不足が解消されたとは言い難い。

需給ギャップ AI生成画像

 まず、内閣府は、19年7-9月期の需給ギャップを0.3%と公表していた。そこから潜在GDPを算出すると、555.7兆円となる。しかし、今年1-3月期に計算方法を見直し、潜在GDPを550.8兆円と低く見積もった。

 筆者はGDPギャップを算出している。その際、失業率がほぼ下限とされる2.5%を達成するときに、GDPギャップがないと想定している。そのため、潜在GDPはかつての内閣府試算より2%程度高めになっている。

 さらに、潜在GDPは技術進歩によって一定程度上昇するので、これらの要素を考慮すると、需給ギャップはマイナス3%(15兆円)程度あると筆者は見ている。

 雇用関係のデータからも、需要不足が解消されていないことがわかる。有効求人倍率は7月に1.29倍と、3ヶ月連続で減少している。また、失業率は7月に2.7%と、4-6月より上昇している。

 これらのことから、内閣府の発表は、潜在GDPの計算方法の見直しによって、需要不足が解消されたように見せかけた、ミスリーディングなものである。

 実際の経済は、コロナの行動制限もなく上向きではあるが、デフレの完全脱却とは言い難い。政府には、税収の自然増収を成長減税として国民に還元し、経済をさらに活性化させるべきだ。

 これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】消費減税は現状の日本で最も有効な政策!岸田首相は消費税減税で空前絶後の大サプライズを(゚д゚)!

まとめ
  • 2023年7月、日本経済は前期比0.4%と鈍化。
  • 個人消費は低迷、設備投資は停滞。
  • 原油高や物価上昇で国民の生活苦が深まる。
  • 消費税減税は、国民の消費意欲を喚起し、経済を活性化させる最善策。
  • 消費税減税を実施しない限り、日本経済は衰退する。

日本経済は2023年4-6月期に実質GDPが前期比1.5%増、年率換算で6.0%増と3四半期連続のプラス成長となりました。これは、前期の反動増や、訪日外国人観光客の増加、自動車輸出の好調などによるものです。これは、同期の米中より高いものであり、驚くべきことでもあります。しかし、消費は低迷していました。

これについては、以前このブログでも解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

コラム:米国が中国上回る経済成長、今年最大の「サプライズ」に―【私の論評】マスコミが報道しない、日本が米中上回る経済成長、今年最大の「驚愕の大サプライズ」か(゚д゚)!
この記事から一部を引用します。
日本経済は2023年4-6月期に実質GDPが前期比1.5%増、年率換算で6.0%増と3四半期連続のプラス成長となりました。
サプライズ AI生成画像
これは、一般のエコノミスト予想を超える大幅増であり、コロナ禍からの回復が続いていることを示しています。
今期の実質GDPの内訳は、民間消費が2.1%減、住宅投資が7.7%増、設備投資が0.1%増、政府消費が0.4%増、公共投資が5.0%増、輸出が13.6%増、輸入が16.2%減でした。内需がマイナス1.2ポイント、外需がプラス7.2ポイントの寄与度でした。
結局のところ、大部分が輸出によってこの成長がなされたということができます。個人消費などを含め内需が依然
として低迷していたので、私はこの記事の結論で以下のように述べました。
日米経済には、不安要因もありますが、中国経済よりははるかに御しやすいことだけは間違いないです。岸田首相、このような有利な状況で、経済を良くできなければ、特に内需喚起策を実行できなければ、責任問題になると思います。
そうして、案の定7月以降は、輸出の鈍化や、内需の低迷などにより、成長率が鈍化しています。2023年7月のGDP成長率は前期比0.4%と本来の水準には戻っていません。7-9月期は引き続き成長が鈍化するか、マイナス成長になる可能性も大です。

その他次のような指標もあります。

家計消費の低迷

2023年7月の家計消費支出は前年同月比0.8%増と、2022年10月以降4か月連続の鈍化傾向となっています。また、2022年12月以降の平均成長率は0.4%と、先進国の中で最低となっています。

出典:内閣府「経済財政白書」

設備投資の停滞

2023年7月の設備投資は前年同月比1.8%増と、2022年10月以降3か月連続のこれも鈍化傾向となっています。また、2022年12月以降の平均成長率は1.0%と、先進国の中で最低となっています。

出典:内閣府「経済財政白書」

これらのエビデンスから、日本経済において需要が回復していないことがうかがえます。

具体的には、家計消費が低迷している理由として、以下のようなものが挙げられます。
  • 賃金の伸び悩み
  • 物価上昇
  • 雇用環境の悪化
設備投資が停滞している理由として、以下のようなものが挙げられます。
  • 不確実性の高まり
  • 海外経済の減速
また、製造業を中心に輸出は回復していますが、サービス業を中心に国内需要は低迷しており、日本経済全体の回復を阻害しています。

今後、日本経済が回復するためには、家計消費の拡大や設備投資の活性化が不可欠です。そのためには、上の高橋洋一が主張するように、税収の自然増収を成長減税として国民に還元し、経済をさらに活性化させ、さらにガソリンのトリガー条項を発動させたり、資源・エネルギー価格の高騰への対応策を打ち出し不確実性の低減をするなどの政策が求められるでしょう。

経済学者の田中秀臣氏も、上の高橋洋一の記事と同じような主張しをしています。以下にその記事のリンクを掲載します。
財務省の〝しょうもない計算ミス〟と動きが鈍い岸田政権 屁理屈は大概にすべき!消費低迷の特効薬は減税だ

以下に要約を掲載します。 

日本の消費が悪化している原因は、庶民のおカネの不足です。物価上昇により、庶民の生活は苦しくなり、消費意欲が低下している。

7月の家計調査によると、実質消費は5カ月連続の減少となりました。また、魚介・肉類など食品は10カ月連続の減少で、しかも消費減少への寄与度も大きい。

岸田文雄政権は、生活必需品の価格が高くなっても積極的な消費支援策を打ち出していない。例えば、ガソリン価格はレギュラーが1リットル当たり200円を超えた地域もあったが、岸田首相はガソリン価格抑制のための補助金の延期をなかなか決められなかった。

消費低迷の特効薬は、消費税減税だ。しかし、財務省やその影響にある政治家や専門家たちは、国民が減税まで買い控えるという理屈で、消費税減税に反対している。

この理屈は、バカげている。一時的な消費の減少を打ち消すだけで、それ以降は消費拡大が続くだろう。減税しないための屁理屈は、大概にすべきだ。

田中秀臣氏は、諸費税減税をすべきと主張しています。消費が低迷しているから、消費減税せよという主張は全く正しいと思います。

両者とも減税策を主張するのはなぜなのでしょうか。

補助金は、政府が特定の事業や企業に対して、資金を提供するものです。補助金の審査や配布は、市町村などの自治体が行うことが一般的です。そのため、補助金の事務量は膨大になり、自治体の行政力を圧迫します。また、補助金の審査は、公平性や透明性を担保するために、一定の時間を要します。その間に、経済対策の効果が遅れ、経済体躯が滞ってしまう可能性があります。

現実には、あまりにも事務量が膨大なので、審査は形ばかりのことになっていることが多いです。コロナ関係の補助金でも、様々な不正行為が行われていたことは記憶に新しいと思います。それに補助金というと、Colabo問題等でいわゆる「公金チューチュー」スキームが思い出されます。まさに、補助金は不正の温床となる可能性もあるのです。

役場の補助金交付申請窓口に殺到した人々

一方、減税は、政府が国民や企業の負担を軽減するものです。減税の事務量は補助金に比べて少なく、経済対策を速やかに進めることができます。また、減税は、補助金のように特定の事業や企業に限定されず、国民や企業全体に効果が及ぶというメリットがあります。

マクロ経済的には、補助金も減税も、消費や投資を促進し、経済を拡大させるという点で同様の効果をもたらします。しかし、補助金は事務量が多く、経済体躯が滞りがちであるという点を考えると、日本はもっと減税策を活用すべきだと思います。

具体的には、消費税の減税や、低所得者向けの所得税・住民税の減税など、国民の生活を直接支援する減税策を積極的に実施すべきです。また、企業の設備投資や研究開発を促進する減税策も有効です。

補助金は、特定の事業や企業を支援する必要がある場合に、有効な手段です。しかし、一般的な経済対策としては、減税策の方が効率的であり、効果的であると考えられます。 特に今の日本はそうです。

さて、減税策自体は今の日本では有効であることは、ご理解いただけたと思います。では、減税の中でも、消費税減税をすることはどのようなメリットがあるのでしょうか。

現在の日本では、個人消費が低迷しており、経済成長の足かせとなっています。そのため、個人消費を促進する経済対策が最も効果的であると言えます。

消費税減税は、個人消費を促進する最も直接的な手段です。消費税は、国民の所得から直接的に税収を徴収する税金であるため、消費税を減税することで、国民の可処分所得を増加させることができます。可処分所得が増えることで、国民は消費を増やすようになり、経済全体の活性化につながります。

また、消費税減税は、国民の生活を直接支援する効果もあります。消費税は、日常生活で必要となる食料や日用品にも課税されるため、消費税減税は、国民の生活コストを下げることにもつながります。生活コストが下がることで、国民は余裕を持った消費が可能となり、経済の活性化につながります。

もちろん、消費税減税には、財政赤字の拡大や、インフレの懸念などのデメリットもあります。しかし、現状ではここ数年毎年一般税収は過去最大を更新し続けています。そうして、これは予想値を上回っています。予想値を上回った部分を、高橋洋一が主張するように、成長減税として消費税減税を実施すべきです。これだと財源の問題はありません。

具体的には、消費税率を5%に引き下げることが効果的であると考えられます。消費税率を5%に引き下げることで、国民の可処分所得を約10兆円増加させることができます。

デフレから完全脱却していないうえ、さらにエネルギー資源が高騰している現在、消費税減税が行われれば、かなりの効果があると考えられます。

内閣府の発表では、潜在GDPの計算方法の見直しによって、需要不足が解消されたように見せかけたり、財務省やその影響にある政治家や専門家たちは、国民が減税まで買い控えるという理屈で、消費税減税に反対しています。

岸田首相はこのような言説には惑わされず、消費税減税を実行すべきです。日本では、過去には消費税は増税される一方で、減税は一度もありません。安倍首相でさえ、三党合意の壁に阻まれ、二度消費税の増税を延期し、財務省にはじめて楯突いた首相として評価されましたが、最終的には在任中に二度の消費税増税をせざるを得ませんでした。

ここで、もし岸田首相が消費税減税に踏み切れば、大サプライズとして、国民や市場関係者などの評価は高まるでしょう。これは、大サプライズで終わらず、日本はデフレから完全脱却して、再び成長軌道にのることでしょう。

可処分所得の拡大で消費を増やす女性 AI生成画像

今のままだと、岸田政権はたとえ内閣改造を行ったとしても、支持率の低迷は避けられないでしょう。岸田首相は来年秋の総裁選に出馬できなくなる可能性もあります。たとえ、出馬しても総裁になれない可能性があります。

無論、今のまま、消費拡大策を行わなければ、誰が総理大臣になっても短命で終わると思います。挙句の果てに、いつか来た道のように、自民党下野ということになりかねません。

そのようなことにならないため、自民党の積極財政派は、今一度大きな声をあげ、自民党をそうして岸田首相を救って頂きたいと思います。

現状では、百田新党の動きや、維新の躍進、国民の動きもありますし、岸田政権が続投しても、大きな悪影響はないと思います。それよりも、来年の総裁選で、あり得ないような人が総理大臣になって日本を毀損することだけは避けたいところです。それに、大サプライズをした岸田首相なら、今後はまともな政策を実施することが期待できると思います。

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