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2013年3月20日水曜日

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」―【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!

黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」

日銀黒田新総裁
日銀の白川方明(まさあき)総裁(63)と2人の副総裁が19日退任し、20日に黒田東彦(はるひこ)次期総裁(68)、岩田規久男次期副総裁(70)ら新体制がスタートする。“黒・岩コンビ”が掲げる「2年間でインフレ目標2%」の実現に必要なマネー投入の額は50兆〜100兆円規模と識者は分析。アベノミクスの「第1の矢」である積極的な金融緩和により、日経平均株価2万円、不動産価格上昇、給料増など、日本経済大復活への道が開けてくる。

「やれることは何でもやる」。黒田氏は国会の所信聴取でこう意気込みを示した。長年にわたり日銀を批判し、金融緩和の重要性を訴えてきた岩田氏も「最高の責任の取り方は辞職すること」と述べ、職を賭してデフレ脱却に取り組む構えだ。

次回の金融政策決定会合は4月3、4日の予定だが、前倒しで臨時会合を開くとの観測もある。新体制は白川体制と何が変わるのか。

日銀は2010年以降、「包括緩和」という複数の金融政策を打ち出してきたが、デフレ脱却はならなかった。その理由について、早大の原田泰教授はこう指摘する。

「“包括”というほど緩和していなかったからだ。マネタリーベース(日銀が供給する通貨)は2割弱しか伸びておらず、他国が2倍、3倍に増やしているときにはまったく足りなかった」


・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

国民のフトコロ具合も変わる。前出の村上氏は著書の『日本人はなぜ貧乏になったか?』(中経出版)で、日銀の政策ミスでデフレが続き、日本人の給料が下がっていると鋭く批判。そして、まともな金融政策が実行され、1ドル=100円の円安となれば「失業率は3%前後まで低下し、給料は平均で年率3・5%以上伸びる。税収の伸びで財政赤字は10年以内で解消される」と分析する。

市場の一部には金融緩和の副作用を懸念する声もあるが、村上氏は「米国は4年間で140兆円の量的緩和を行ったが、2%程度のゆるやかなインフレしか起きていない」と一刀両断する。

「総裁や副総裁が変わっても、日銀プロパーには金融緩和を嫌うDNAが染みついている」(元日銀マン)と、内部の“抵抗”を懸念する声もあるが、強い日本経済を取り戻すには、金融緩和の断行は待ったなしだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】賃金上昇を信じられない人は、頑迷固陋(がんめいころう)なだけ!!これからは、インフレ圧力に頭を悩ます時代に突入するんだぜィ!!



上のグラフは各国の賃金上昇を示したものです。ごらんいただければわかるように、日本だけが、プラスでも1%くらい、酷いときには-4%くらいになっています。これってなぜかといえば、日本は過去ずっとデフレだったからです。なぜデフレであったかといえば、日本の生産性とか、国際競争力などとは全く無関係に、一重に日銀が金融引き締め政策を、政府が緊縮財政をしてきたからです。他の事柄は副次的なことにすぎません。新自由主義の経済学者など、様々な屁理屈をこねたりしますが、そんなことは全く関係ありません。

韓国の場合は1997年にかなり、伸び率が落ち込んでいますが、これは、アジア通貨危機の影響です。しかし、その後は賃金の伸び率がまたあがっています。

いかに、日本のデフレが凄まじかったかわかります。特に賃金に関しては、日銀の金融引き締めが大きな影響を与えてきました。

他の国と、日本とを良く比較してみてください。他の国でも不況などあったにしても、毎年、数パーセント必ず伸びています。毎年数パーセントであっても、これが、10年、20年と続けばどうなりますか?誰にでも理解できます。20年も続けば、最初の2倍以上にはなると思います。無論インフレが続いているわけですから、インフレ率を差し引いても軽く1.5倍になります。伸び率が多少高ければ、軽く2倍です。

そうして、この意味するところは、同じ会社に勤めていて同じ職位であったとしても、20年働いていれば、それたけで、実質的に1.5倍か運が良ければ2倍になるということです。ということは、職位があがっていけば、もっと上がるというわけです。今までの日本ではデフレだったので、こういうことはなかっので、多くの人がこのような当たり前の状況を理解できないでいます。

会社の中にいて、あまり能力がない人であっても、20年間勤めていれば、給料は1.5倍、運が良ければ、2倍になると認識すれば、随分考え方は違ってきます。能力のある人なら、確実に2倍どころか、数倍になると認識すれば、これまた随分考え方が違ってくると思います。

これって、まるで打ち出の小槌のようですか?そんな馬鹿なと思われますか?もしあなたがそう思うなら、あなたは相当過去のデフレにどっぷりとつかり、まと もにモノが考えられなくなっている恐れがあます。その考えは、放置しておくとそのまま固まり、何というか頑迷固陋な老人のようになり、これらからの世の中 においてきぼりを喰ってしまうかもしれません。 

これは、魔法のようなことですか?そんなことはありません。たとえば、皆さんが、ホテルでドア・ボーイをやっていたとします。20年間やりつづけた ら、さすがに熟練して、ホテルやお客様にとって本当に良いドア・ボーイとなり、賃金もあがると思いませんか?あるいは、ハンバーガーシヨップにつとめてい たとして、20年やったとしたら、それこそかなり熟練して、一人で数人分の仕事をこなせるようになれると思いませんか?そうなれば、シヨップに勤めていら れる限り、賃金が倍になってもおかしくありません。

これは、他の多くの事象にあてはまります。日本人が普通に働いていれ ば、特に努力しなくても、1年も同じ仕事をしていれば、慣れや工夫で、それなりに効率があがると思います。2%くらいは効率が良くなるのは普通だと思いま す。それは、日本経済だって同じことです。普通に、していれば、生産性か、付加価値は2%あがるのが当然のことです。であれば、それにあわせて貨幣も増え ていかなけばどういうことになりるのか、わかりきっています。デフレです。

日銀は、このようなことを無視し続けて、どこまでも、金融引締めを推し進め、日本をデフレの奈落の底に落とし続けてきたのです。このような不自然なことはもう終了です。 では、なぜそのようなことを自信を持っていえるかといえば、まずは以前の日銀政策決定委員会のメンバーを以下にあげます。

政策委員会委員

白川方明
総裁
白川方明
山口廣秀
副総裁
山口廣秀
西村清彦
副総裁
西村清彦
宮尾龍蔵
審議委員
宮尾龍蔵
森本宜久
審議委員
森本宜久
白井さゆり
審議委員
白井さゆり
石田浩二
審議委員
石田浩二
佐藤健裕
審議委員
佐藤健裕
木内登英
審議委員
木内登英

のメンバーで日本の金融政策が決定されてきました。このうち、リフレ派は、2人のみです。あとの7人は、 強烈な反リフレ派です。これでは、いくら二人が頑張ってリフレ方向にもっていこうにも、7人ががんとして譲らなければ、どこまでも、金融引締めをして円高・デフレ傾向が続いたわけです。過去のメンバーもこのようなメンバーが反リフレ派が多く、その中でも、白川氏は、きわめつけでした。そのため、本来ずっと以前に金融緩和をすべきものと、過去20年近くにわたって、そのようなことはなされず、引き締めばかりしてきたというのが実情です。

さて、今回の日銀人事によって、総裁は、黒田氏に、副総裁のうち一人は、岩田規久男(現大学教授)に、もう一人は、日銀出身の中曽宏日銀理事がなります。

中曽氏

交代したメンバーを含めて、次の日銀政策決定委員会のメンバー9人のうち、黒田総裁、岩田副総裁、佐藤健裕審議員、木内登英審議員の4人が強力なリフレ派です。他の5人は、すべて反リフレ派です。ただし、新しい副総裁の中曽氏は、典型的な小心者の官僚タイプで、まわりに追随することはあっても、周りに強力に反対して、反リフレ路線歩むようなタイプではないそうです。

そうなると、強烈なリフレ派4人、強烈な反リフレ派が4人、どっちつかずが1人という構成になります。そうなると、数の上では、リフレ派、反リフレ派が拮抗しています。そうはいいながら、今後は、日銀がいつまでも、まともな金融緩和を行わなければ、安倍総理を含め、政府関係筋から、ことああるごとにねちり、ねちりと攻めたてられるわけで、反リフレ派は針のむしろに座らされることになります。

それに、最近の市場はアベノミクス期待だけで、円安・株高方向に振れているわけで、反リフレ派が突っ張れば、市場が反応して、円高・株安方向にふれるわけで、これは今までとは異なり、市場から反発され、批判の対象となるのは、明らかです。過去のように、20年もデフレを続けて、誰からも非判を受けないなどということはあり得ません。非判どころか、大糾弾されることになるでしょう。

日銀反リフレ派は針のむしろに座らせよう!!
 このようなことに中曽副総裁は耐え切れないことでしょう。しかしながら、中曽氏が、日銀官僚に弱みを握られたり、因果を含められて、反リフレ派にまわったとしたら、どういうことになるかといえば、安倍総裁など徹底的に反リフレ派をいたぶり、完膚なきまでに責め立てると考えられます。

そうして、それでも、反リフレ派が金融引締めを推し進めようとすれば、安倍総裁は、日銀法改正で反リフレ派に対して、とどめを差すことでしょう。日銀法改正でも、反リフレ派がいうこときかず、あくまで、金融引締めに拘りつづけたとたら、まだ、最終兵器があります。そうです、かつて大蔵省、財務省になったように、日銀解体ということになり、日銀は財務省の一下部機関に成り下がることになります。その過程で、かつての大蔵省官僚が「ノーパンしゃぶしゃぶ」で非判されたような、醜聞が聴かれることになります。


こんなことから、今回はどうあがいても、いくら日銀が石にかじりついて、金融引締めを行おうとしても、抗うことはできないでしょう。

多くの人は、上の私の記事に対して「なぜここまでするの?」などと考えるかもしれません。しかし、このくらいの措置が妥当なのです。なぜなら、過去の日銀はどこまでも、どこまでも、金融引締めを貫いており、多少のことではこれを変えるつもりはないからです。それについては、このブログにも、過去に掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。

日銀総裁、インフレ目標に否定的 「現実的でない」―【私の論評】インフレ目標を否定する、白川総裁本音炸裂!!マスコミはその協力者!!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく、日銀の過去は、あの手この手をつ使って、涙ぐましいまでに、絶対に金融緩和をしないというものでした。最も姑息だと思ったのは、市中銀行から国債を買い取ると、市中銀行にお金がいくので、一見金融化緩和しているようにみえますが、日銀は、ほんとに償還期間がかなり間近にせまっている国債のみを買い取るというようなトリックをしていました。これだと、実質現金をやりとりしているのと同じなのですが、それでいて国債を買い取ることで、あたかも金融緩和をしているように見せかけることができます。

しかし、こんなことは、もう黒田総裁も、安倍総理もわかっていることなので、そんなことは絶対にさせません。今回は、安倍首相も本気です。どこまでも、日銀に金融緩和を迫ることでしょう。

だから、金融緩和は間違いなく実施されることになります。そうなると、インフレ傾向になります。そうなるとどうなるかといえば、物価も、賃金もあがって、上のグラフで示した、日本以外の他国のようになるわけです。

そうして、これからの企業は、今まで、モノが売れないとか、円高とか、いわゆるデフレ圧力に耐えなけばならなかったのが、今度はインフレ圧力に耐えなければならなくなります。

インフレ圧力に関しては、このブログの以前の記事にも掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

21世紀のナレッジワーカーの常識。「BYOD」と「ワーカー・アプリ」―【私の論評】インフレ圧力が高まるこれからの日本では、ナレッジワーカーの生産性を高めなければならない!!そのためには、独自の条件があり、その条件を満たさなければ何を導入しても生産性は向上できない!!

詳細は上の記事をご覧いただくものとして、以下に要点をコピペさせていただきます。
さて、インフレ圧力とは何かといえば、インフレを引き起こす要因が、インフレに推移するように働きかけていること。その働きかけが大きいことを、インフレ圧力が強い、または高いといいます。具体的には、食料品やエネルギーの価格上昇、自動車の値上げ、ドル安などインフレの兆候を示すあらゆる事象がインフレ圧力になり得ます。また、それらの事象が長期化することもインフレ圧力となります。

インフレ圧力を抑制するためには、金利を引き上げることが有効であると考えられています。また、世界同時不況による景気の停滞により、インフレ圧力は一時的に弱まったといわれており、景気の停滞もインフレ圧力を抑制します。ご存知のように、日本はここ20年間デフレだったので、インフレ圧力はありませんでしたが、今後アベノミクスで物価があがりインフレ基調になっていきます。そうなると、インクフレ圧力が高まるわけです。

そうして上の文脈では、インフレ圧力があるときには、自分たちの会社が提供するサービスも値上げをしなければ相対的に経済的に負けてしまいます。しかし、顧客に値上げしても受け入れられるためには、それなりの付加価値をつけていく必要があります。この付加価値がつけられなければ、経済的に負けてしまうわけで、いつも付加価値をつけなければならないというストレスにさらされることになります。このストレスに打ち勝たなければ、経済的に敗北を喫してしまうのです。

賃金が上がっていくことが当然の時代においては、逆にいえば、このようなインフレ圧力に負けないように生産性をあげ付加価値をつけていく必要があります。賃金が上昇することを理解できない人は、このようなことも理解できず、自分だけデフレマインドで、限界的な存在になっていくのだと思います。時代が変われば、変わった時代に合わせて、自らを変えていかなければ、頑迷固陋になるだけです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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21 世紀のナレッジワーカーの常識。「BYOD」と「ワーカー・アプリ」―【私の論評】インフレ圧力が高まるこれからの日本では、ナレッジワーカーの生産性を 高めなければならない!!そのためには、独自の条件があり、その条件を満たさなければ何を導入しても生産性は向上できない!!

 

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

 

五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?

 

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2013年3月12日火曜日

21世紀のナレッジワーカーの常識。「BYOD」と「ワーカー・アプリ」―【私の論評】インフレ圧力が高まるこれからの日本では、ナレッジワーカーの生産性を高めなければならない!!そのためには、独自の条件があり、その条件を満たさなければ何を導入しても生産性は向上できない!!

21世紀のナレッジワーカーの常識。「BYOD」と「ワーカー・アプリ」:


「Knowledge Worker ナレッジワーカー」という言葉は、1959年にピーター・ドラッカーが提唱したものだ。情報に携わり、職場における知識の向上を担う社員を、彼はこう名付けた。現在、あらゆる業務のうち25〜50%は、その業務に従事する者に情報・知識を生み出し、利用し、共有することを求めるようになっている。

さらにクラウドテクノロジーの発展、近年のいわゆる“モバイル革命”によって、仕事のやり方は決定的に変わり、「仕事」を再定義するようわたしたちに迫っている。2012年には、スマートフォン、タブレット、PCのそれぞれの分野で、よりスマートなモバイルデヴァイスが発展したことで、ナレッジワーカーたちは、いつどこでも仕事を遂行することができるようになった。

今日のナレッジワーカーたちは、机に縛られずに仕事をするほうが、はるかに生産性が高いことに気づき始めている。クラウドと接続されたモバイルツールは、これまでの職場のあり方に新しい大きな変革をもたらし始めているのだ。そして、その変革によってわたしたちは、情報をよりよく共有でき、どんな疑問に対しても必要な答えを得ることが可能となり、生産性を最大化することができるようになる。

こうした驚くべき可能性を前に、多くの企業はまだ、これらのテクノロジーを効果的に使うことで、従業員たちによりよく仕事をしてもらう最適な方法を見出せずにいる。だがそんな状況を後目に、この2013年、わたしたちはクラウドベースのアプリやスマートモビリティの進化によって、目を見張るような新しいトレンドを目にすることになるだろう。今年、あなたの職場で起こりうる変革をいくつか予測してみよう。

モバイルと仕事、4つのトレンド

1. BYOD(Bring Your Own Device=自分のデヴァイスを持ってこい)の一般化によって情報インフラの充実

ナレッジワーカーは、必要とあらばいつでもどこでも業務を遂行するために、ますますモバイルデヴァイスに依存することになる。世代を問うことなく、あらゆる働き手が共通のモバイルテクノロジーを手にすることで、今年はそれらをサポートし、より効率よく仕事に適合させるためのインフラが整備されていくことだろう。

2. ノンルーティン・ワーカーが増加

リサーチ会社のガートナーの予測によれば、仕事のやり方は今後変わっていき、2014年には、企業における業務の40%は“ノンルーティン”なものになるという。10年において、この数字は25%だった。DCM(Dynamic Case Management)といった技術の採用によって、社員は、ビジネスルールやマイルストーンに従って自分自身で判断を下すことができるようになる。フォレスター・リサーチの調べによれば、より素早く市場に商品を投下するソリューションを提供するDCMの市場は、14年には180億ドルに達すると見られている。刻一刻と変化する市場動向に対応し、柔軟性と速度を社員に促すBYODを採用することによって、企業は今後、ノンルーティンの社員によって占められていくことになる。

3. エンタープライズ・モビリティの加速

エンタープライズ・モビリティ(企業業務のモバイル化)がもたらす恩恵のひとつはスピードである。それは今後ますます必要なものとなっていくことだろう。社員たちはすでにコンシューマー向けサーヴィスを業務に適応させることで、かつてないアジリティを実現しているが、企業はこうした傾向に早々に追いつく必要がある。いつでもどこでも働くことができる環境をつくることは、結果としてITコストを削減し、業務にフレキシビリティと効率化をもたらすだろう。

4. ワーカー・アプリの開発

エンタープライズ・モビリティとBYODが当たり前のものとなっていくにつれ、テック業界はより効率的な業務遂行を実現するためのアプリの開発に乗り出していくことになるだろう。さまざまなアプリがナレッジワーカーたちに向けて紹介されていくことになるだろうが、それらが充実していくことによって、スマホやタブレットを通じて、より複雑で込み入った業務すら、いつでもどこでも遂行することが可能になるはずだ。
【私の論評】インフレ圧力が高まるこれからの日本では、ナレッジワーカーの生産性を高めなければならない!!そのためには、独自の条件があり、その条件を満たさなければ何を導入しても生産性は向上できない!!

P.F ドラッカー

上の記事素晴らしいです。しかし、一つ物足りないところがありました。上の記事ではあくまでも道具のことばかり述べています。確かに道具が優れたものになれば、仕事のやり方など随分変わってくるものです。

私の仕事のやりかも、最近道具によって変わってきたとろがあります。たとえば、iPhoneで現場で写真を撮影し、さらに、メモをとるということです。特にメモに関してフリック入力でかなり速く入力できるようになりました。これは、従来では考えられなかったことです。やはり、パソコンのキーボードでの入力が一番はやいですが、それにしても、現場ではなかなかキーボードは使えません。かといって、従来の携帯電話ではあまりに入力に時間がかかりすぎです。そこでフリック入力です。これは、メモには最適です。そうして、メモという用途に使っている限りは素晴らしいです。そうして、メモや写真は、現場で撮影したり書いたものをiCloudですぐに、iPadやパソコンでも見られます。



出張などに出ていれば、iPhoneの写真や、メモをもとにして、iPadにキーボードをつけたもので、報告書を書いてしまいます。出張から戻れば、こんど同じものをパソコンで見て、それにさら、何らかの付加などするなりして、最終的にレポートにまとめるという具合です。これは、本当にスムーズにできます。あまり場所を選びません。会社の自分の机であろうが、旅先であろうが、自宅のテーブルであろうが、iPnone、iPad、ノートパソコンがあれば、そこがすぐに仕事場になります。こんな環境で、さらに優れたアプリがあれば、さらら仕事の環境は確かに良くなると重います。



しかし、道具がいくら素晴らしくても、生産性が高まるとは限りません。そもそも、生産性と効率とは別なものだからです。効率とは、所定の作業をなるべく短い時間で行うことです。しかし、生産性は所定の作業をなるべく短い時間で行ったからといって、必ずしも高まるとは限りません。無駄な作業をいくら短時間にやったからといって、成果に結びついていなければ、生産性はあがりません。

ドラッカーもこれについては、「必要のない設計図を時間をかけて精緻で素晴らしいものに仕上げる設計部門ほど虚しいものはない」という事例をあげています。いくら素晴らしい切れ味の包丁を持ったからといって、凄腕の料理人になれるとは限りません。

上の記事でも記載のあったドラッカー氏は、知識労働者の生産性を高める4つの条件をあげています。これが本質であって、道具はあくまで道具にすぎません。
知識労働者の生産性を上げる4つの条件

 「知識労働者の生産性と、知識労働者の自己実現をいかに測定するかはわからない。しかしわれわれは、この二つを向上させるための方法については、かなりのことを知っている」(『実践する経営者』) 
 ドラッカーは、4つの秘訣を教えています。 
 第1に、知識労働者自身に責任を持たせなければならない。「報酬にふさわしいどのような貢献を行なっているか」を問わなければならない。 
 第2に、知識労働者が自らの貢献を評価できるようにしなければならない。「会社を変えるどのような貢献を行なったか。会社を変えるどのような貢献を行なうべきか」。 
 第3に、知識労働者に本来の仕事をさせなければならない。さもなければ、どのような動機づけをされようと燃えようがない。今日のセールスマンは、書類づくりに時間をとられ、セールスができないでいる。 
 第4に、機会に対しては、それを成果に変えることのできる有能な人材を配置しなければならない。「成果を上げるのは誰か。彼らに今何を割り当てているか。成果が上がるところに配置しているか」が問題である。 
 「知識労働者の生産性を上げられなければ、インフレ圧力という経済的なストレスと、疎外という社会的な病いが生まれる。われわれは知識労働者の生産性も自己実現度も測定できない。だがどのようにすれば生産性を高め、自己実現させられるかは知っている」(『実践する経営者』)
この四つの条件が満たされないところで、いくらアプリなど充実したとしても、知識労働者の生産性を高めることはできません。それから、私たちは20年もの間デフレだったものですから上記のインフレ圧力の意味がわからなくなっていると思います。ですから、この四つの条件と、インフレ圧力こついて以下に説明します。


第1の条件の責任は特に重要です。知識労働者を責任にもとづき組織することが肝要です。そうして、個々の知識労働者が自分にはできて、他の人は出来ないか不得意の分野で、自分がやれば最高に貢献できるものは何かを考えさせ、実際に貢献できるようにしなければなりません。

第2に、知識労働者自らが貢献を評価できるようにする必要があります。それには、目標、目的などを明確にしておかなければなりません。

第3に、知識労働者に知識労働者に本来の仕事をさせなければなりません。上の例では、セールスマンの例が出されていましたが、たとえば、少し前の病院では、看護師が、患者の看護ではなく、書類作りに追われているということがありました。書類づくりなどに、素晴らしいアプリを用いても、生産性はあがりません。まあ、それでも、書類作成が短縮化されれば副次効果はあるかもしれませんが、メインではありません。

第4の条件では、機会には優秀な人材を割り当てることがいわれていましたが、まさにこの通りです。優秀な人材に過去の問題を解決することばかりやらせていては、成果にはつながりません。



さて、インフレ圧力とは何かといえば、インフレを引き起こす要因が、インフレに推移するように働きかけていること。その働きかけが大きいことを、インフレ圧力が強い、または高いといいます。具体的には、食料品やエネルギーの価格上昇、自動車の値上げ、ドル安などインフレの兆候を示すあらゆる事象がインフレ圧力になり得ます。また、それらの事象が長期化することもインフレ圧力となります。

インフレ圧力を抑制するためには、金利を引き上げることが有効であると考えられています。また、世界同時不況による景気の停滞により、インフレ圧力は一時的に弱まったといわれており、景気の停滞もインフレ圧力を抑制します。ご存知のように、日本はここ20年間デフレだったので、インフレ圧力はありませんでしたが、今後アベノミクスで物価があがりインフレ基調になっていきます。そうなると、インクフレ圧力が高まるわけです。


そうして上の文脈では、インフレ圧力があるときには、自分たちの会社が提供するサービスも値上げをしなければ相対的に経済的に負けてしまいます。しかし、顧客に値上げしても受け入れられるためには、それなりの付加価値をつけていく必要があります。この付加価値がつけられなければ、経済的に負けてしまうわけで、いつも付加価値をつけなければならないというストレスにさらされることになります。このストレスに打ち勝たなければ、経済的に敗北を喫してしまうのです。


このことだと何のことだかわからないと思いますので、もっとわかりやすい事例をあげます。たとえば50年前からあなたが、算盤を売っていたとします。最初は算盤も売れたと思います。しかし、その後どんどん量産されるようになれば、価格は低くなっていくばかりですし、それに向けて何らかの付加価値をつけなければ、売れなくなります。最初は、色、形、材質、デザインでも付加価値をつけて従来と同じ値段か、高い値段で売れるかもしれません。

しかし、その後電卓や、コンピュータまででてくれば、これも通用しなくなります。算盤を売るのをやめて、他のものを売るか電卓や、コンピュータまで手を広げなければ売上は確保できなくなります。特にインフレ圧力があるときには、このようなことを次から次へと実施していかなければなりません。そうでなければ、廃業せざるを得なくなります。

デフレのときには、低価格を極限まで追求するか、とにかく節約をするということで、確かに辛いのですが、体力勝負でなんとか乗り切れることも多かったわけですが、今後インフレになれば、このインフレ圧力が強くなり、知識労働者の真の生産性をあげなければならないわけです。

ですから、以上のような条件が満たされていなければ、いくら良いアプリなどで環境を整えても、成果はなかなかあげられないでしょう。

かといって、私は「BYOD」と「ワーカー・アプリ」を真っ向から否定するものではありません。たとえば、医学の世界では、カテーテルによる心臓手術とか、脳手術、いまだ実用化はされていないものの、iPS細胞の輝かしい将来像などは、ツールがなければ全く実現できないものです。


「BYOD」に関しては、クラウドが前提となった現在とこれからの社会では当然の成り行きだと思います。クラウドであればこそ、個々人が思い思いのツールを使ったとしても、統制はとれるし、個々人にとっては、自分のツールが最も使いやすいわけです。料理人の包丁のようなものです。とにかく、同期と共有は本当に簡単になりました。これは、クラウドを使ってみないと実感できないことです。素晴らしいことです。

「ワーカー・アプリ」については、コミュニケーションを促すという点で素晴らしいです。本当に必要なコミュニケーションを素早くとれるということでは、かなり効果があるものと思います。

結局上であげた、4つの条件が、前提としてあって、そこに、「BYOD」と「ワーカー・アプリ」を導入すれば、かなり効果があがるということてす。4つの条件を無視していれば、何を導入しようと何も変わりません。私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?


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