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2013年10月27日日曜日

中国なんかこわくない by ポール・クルーグマン―【私の論評】吼えれば吼えるほど、こけおどしであることが明るみに出る中国の実態、本当の戦争をしたこともなく、まともな社会を築けない現代中国共産党中央政府!!

中国なんかこわくない by ポール・クルーグマン

アメリカ国債の束
「中国がアメリカへの信用をなくして国債を投げ売りしはじめるかもしれないぞ」と例のお真面目ぶった連中が警告の声を上げているのを,『スレート』のコメンテータをやってるマシュー・イグレシアスが先日取り上げている.今月の上旬にでた記事で,イグレシアス氏は中国の動機に焦点を当てている.有益な文章だ.

ただ,イグレシアス氏は末尾で短く触れるにとどめているけれど,決定的に大事な要点は,中国の動機がどんなものであろうと,中国人が国債を大量放出したところでぼくらが損害を出すことはないってことだ――それどころか,おそらく,国債が大量放出されるのは,合衆国にとっていいことになるだろう.

「でも,それだと金利が上昇してアメリカ経済が落ち込むことになっちゃうんじゃない?」と言う人がいるかもしれない.この論点については,いろんなかたちでたくさん書いてきたけれど,問題にされてる金利上昇の仕組みについて整合性のある説明はいまだに見たことがない.

2009年来日してテレビで報道されたクルーグマン博士
ちょっと考えてみてね:中国がアメリカ国債を売ったとして,それで短期金利の上昇が駆り立てられることはない.短期金利を設定してるのは連銀だ.そうすると,どうして国債売りで長期金利が上昇するって話になるのかもはっきりしない.だって,長期金利は主に予想短期金利を反映しているんだもの.それに,なんらかのかたちで中国人がもっと満期の長いものを締め付けたとしても,連銀はちょいと量的緩和をさらに進めてそうした国債を買い上げてしまえる.

たしかに,そうした行動はドルの価値を押し下げることになるかもしれない.でも,ドルの下落はアメリカにとっていいことだよ! 日本のアベノミクスを考えてみるといい:アベノミクスがこれまでにあげてる最大の成功は,円の価値を押し下げることだ.円安によって,日本の輸出業者は助けられている.「でもギリシャが」と言うかもしれない.えっとね,ギリシャには自国通貨もないし自国の金融政策もないのよ.たしかにギリシャでは資本が国外に出て行ったら,貨幣供給が減少した.でも,アメリカではそうならない.

中国は中身の空っぽの水鉄砲ですと?!

中国による信用についてデマをとばす連中がひっきりなしにでてくるのには目を見張るね:こういうデマを,例のお真面目な連中は相変わらず語ってる.文字通りにまったく意味をなさないにも関わらずだ.経済学者のディーン・ベイカーがかつて言ったように,中国がぼくらの頭につきつけられた鉄砲だとしても,そいつは水鉄砲でしかもカラッポなのよ.

【私の論評】吼えれば吼えるほど、こけおどしであることが明るみに出る中国の実態!本当の戦争をしたこともなく、まともな社会を築けない現代中国共産党中央政府は、日本の脅威ではない!



自国の通貨を刷り増しできる国は、外国からの借金が大量にない限り国債の暴落などあり得ない

日本の政治家や官僚のマクロ経済の理解のレベルは相当低いと思っていましたが、アメリカも似たようなものです。それを、上の記事クルーグマン氏が説明しています。上の記事要点は以下です。
短期金利を設定してるのは連銀だ.そうすると,どうして国債売りで長期金利が上昇するって話になるのかもはっきりしない.だって,長期金利は主に予想短期金利を反映しているんだもの.それに,なんらかのかたちで中国人がもっと満期の長いものを締め付けたとしても,連銀はちょいと量的緩和をさらに進めてそうした国債を買い上げてしまえる.
これって、あまりに単純な理屈です。だから、アメリカ国債暴落とか、金利が上昇するとかそんなことは全くないわけです。しかし、アメリカ国債暴落などということを平気でほざく連中がいるということです。恥ずかしいことです。これじゃ、日本の一般政治家や官僚と同レベルということじゃないですか?まあ、それにしても、デフレだというのに増税するなどの馬鹿真似をしないだけ、アメリカのほうがまだましなのかもしれません。

日本でも似たような現象がずっと前からあります。日本でも、国債は暴落しません。それは、上の文章で、アメリカ国債を日本国債、連銀を日銀と入れ替えれば、全く同じことです。これに関しては、以前からこのブログにも掲載しています。そのURLを以下に掲載します。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第5回 デフォルトは「しない」ではなく「できない」―【私の論評】デフレの今日、財政破綻だの国債が暴落すると騒ぐ人は単なる詐欺師?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、三橋氏は、日本国債が破綻しようのない理由について以下のように語っています。
 たとえ日本政府の信用が凋落しても、日本銀行が金融市場の国債を「買い占める」と、銀行は手元の日本円を政府に貸し出さざるを得ない。すなわち、日本国債が買われることになり、国債金利は低下する。 
 というわけで、日本政府が過去に発行した国債が100%日本円建てであり、かつ「子会社」の日本銀行が国債を買い入れることができるため、我が国は「政府の財政破綻」「政府の債務不履行」に陥りたくても陥れないのである。 
 国民の安全や生命を守るインフラ防災などの公共投資の財源を、日本銀行の建設国債買入に求めている安倍自民党の政策は、現在の日本に適したソリューションだ。 
 ただ、日本銀行の国債買入に代償が一つもないわけではない。それは、インフレ率の上昇だ。
三橋氏は、日銀による国債買入の唯一の懸念とてし、インフレ率の上昇をあげていますが、ご存知のように、今の日本は、黒田日銀体制になってから、異次元の包括的金融緩和を行って、インフレ率の上昇を狙っているくらいですから、何の問題もないどころか願ったりかなったりということです。

結局、表現と国の違いありますが、クルーグマン博士も、三橋氏も同じことを言っています。アメリカや、日本だけに当てはまるマクロ経済現象などあるわけもなく、結局は国債に関しての考え方は、日米同じで、自国通貨のある国では、これはどこでも当てはまる当たり前のど真ん中の話です。

しかし、この当たり前のど真ん中を無視して、日米にかかわらず馬鹿か中国のスパイかのいずれかの連中が、国債暴落を様々な手法を用いて吹聴しているというのが実体です。もうこんな見え透いた猿芝居はやめるべきですし、やめさせるべきです。

上の記事のタイトルは、「中国なんてこわくない」というものですが、アメリカにとっては、軍事的にも経済的にも全く「中国なんてこわくない」ということです。いずれの分野においても、あと100年後でも中国は、アメリカにとって「こわい」存在にはなりえないでしょう。

そもそも、GDPが世界第二位だということすら、怪しい話しで、経済の専門家の多くが、現在の中国はいまだGDPは日本以下で、世界第三位以下だろうと認識しています。

軍事的にも、中国のアメリカが対峙し場合、どうみても中国に勝ち目は、ありません。中国がアメリカを中国内部に招きいれ、泥沼のゲリラ戦にでも持ち込めば話しは別ですが、通常の戦争では、1週間もあれば、すぐに決着がつくことでしょう。無論、米国の一人勝ちです。

日中でも今ところ同じような状況です。先日もお話したように、人民解放軍は、総合商社であり、その総合商社の軍隊は、士気も低いですし、最近では、人民解放軍に入ることのメリットが少なくなっているので、ますます士気は落ちています。それにそもそも、軍備の近代化が近年は進みつつあるとはいえ、日本と比較すれば、全く遅れています。

総合商社の人民解放軍は、国家のために命は落とさない。ましてや、人民のために命を的にしない!
人民解放軍は、尖閣に兵を送ってまともに日本自衛隊と対峙することはできません。実施すれば、日本自衛隊が日本の領土の保全ということで、これを阻止すれば、数時間で決着がついてしまいます。中国人民解放軍は、日本の艦艇を補足する前に、すべて海の藻屑となって消え去り、すぐに勝負がつきます。航空戦も似たようなものです。彼我の軍事力の差は多くの人が想像しているようにはるかに大きいです。特にハイテク分野では、日本の自衛隊が圧倒的に有利です。士気もはるかに高いです。これは、説明するまでもなく、東日本大震災での自衛隊の大活躍が物語っています。

中国が示威する空母「遼寧」も全く無力です。日本の自衛隊の実力からすれば、日本の領海に入ったとたん、数十秒で撃沈です。とにかく、運行速度かあまりに遅いので、アメリカにとっても、インドにとっても、脅威ではありません。ただし、ASEANの小国に対しては、こけおどしとしては十分威力があります。

それから、現在の人民解放軍は、一度も戦争をしたことはありません。現在の人民解放軍の元ともなった八路軍は、日本とはまともに戦争をしたことはありません。日本と中国の間で実質的な戦争状態にあったのは、蒋介石の国民党軍との間であり、これでさえも、正式な戦争ではなく、日華事変などと呼ばれていて、実は正式な戦争ではありません。日本は、大東亜戦争においては、米英露仏蘭などとは正式な戦争をしましたが、中国との間では国民党軍とも、八路軍などとも正式な戦争はしていません。

人民解放軍は、その後チベット侵攻、ウイグル侵攻などしていますが、これは一方的に自分よりはるかに弱い、弱者を攻撃したものであり、とても戦争と呼べる代物ではありません。ベトナムと国境紛争を起こしたのは良いですが、ぼろ負けしてほうほうの体で逃げ帰っています。その他、ロシアやインドなどとも国境紛争などはありますが、あくまで紛争の域を出たことはなく正式な戦争はしたことがありません。というより、弱いものいじめはできても、正式な戦争など恐ろしくでできないのだと思います。

そのための劣等感によるものでしょうか、中国の軍部など最近とみに吼えまくります。

少し前までは、中国の軍部が「戦争の準備をせよ」との号令を下したとの報道がなされていましたが、実際に中国に在住の日本人や、日本の軍事専門家が調べても、実際に戦争の準備をした様子は全くありません。これは、どういうことかといえば、本当に日本と戦争すれば、人民解放軍はぼろ負けをして、世界の笑いものになる可能性が高いということを彼ら自身が良く知っているからです。だから、こけおどしをしているだけです。

また、最近のお笑い種では、以下のようなものもあります。
日本が無人機撃墜すれば「戦争行為」 中国軍が強調 
 領空侵犯した無人機が警告に従わない場合、撃墜を含めた強制措置を取る方針を日本政府が固めたことについて、中国国防省の耿雁生報道官は26日、同措置が中国機に取られた場合、「一種の戦争行為であり、われわれは果断な措置で反撃する」と強調した。 
 報道官は、反撃に伴う一切の結果は「始めた方が負う」と全面的に日本側の責任となることを指摘した。さらに「中国軍が領土主権を守る固い意志と決心を軽く見るべきでない」と日本側を威嚇した。(共同)
中国製無人機 翼龍

無人飛行機とはいっても、今は爆弾を装着できます。実際、アメリカでは祖着して、爆撃を行っており、民間人が巻き添えをくっているという苦情があります。無人飛行機と巡航ミサイルは、ともに遠方からコントロール可能です。違いは爆薬を搭載しているか否かです。しかし、無人飛行機にそれ相応の爆薬を搭載すれば巡航ミサイルと変わりはありません。それを撃墜したからといって、「戦争行為」と強調すること自体がお笑い種です。

普通だと、まずはそのようなことを実施しているなどとは公表しません。秘密裏に行うことです。撃墜されても報道もされないものだと思います。何やら、自ら、他国のスパイ活動をやってますよと、吹聴しているようなもので、これそのものがお笑い種です。頭おかしい!

中東の国などでは、こうした無人飛行機など撃墜するのは難しいことなのかもしれませんが、日本にとては赤子の手をひねるように簡単なことです。中国は、これから、日本によって、無人飛行機が多数撃墜されて、赤っ恥をかくことを牽制するために、このような報道をしているのかもしれません。

さらに、こんなお笑い種もあります。
中国の輸出規制「完全に失敗」…希土類需要急減


世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)が、中国のレアアース(希土類)輸出規制に反対する日米欧の主張を大筋で認める中間報告を出したことが分かった。 
 レアアースを戦略資源と位置づける中国の手法は曲がり角に来ている。 
 日本など各国は、レアアースの使用量を減らす技術や代替品の開発を進めている。新金属協会によると、日本でのレアアースの需要は、2007年の約3万2000トンから12年には約1万4000トンまで減少。価格はピークだった11年の10分の1近くまで下落した。 
 10年9月、沖縄県尖閣諸島付近の領海に侵入した中国人船員の逮捕で日中関係が緊迫した際、中国産レアアースの日本への輸出が事実上止まって大きな影響が出たが、今や輸出国としての中国の地位は低下している。 
 中国は10年にレアアースの輸出枠を大幅に減らしているが、12年の輸出量は枠の4割前後にとどまったとみられる。今回の中間報告で、輸出規制が「クロ」判定される公算が大きくなり、「中国の戦略は完全に失敗した」(外交筋)との見方が強まっている。 
(2013年10月26日08時36分  人民日報じゃなかた!読売新聞)
音楽だって、レア物だから高く売れる。しか
し、販売量を制限してはもともこもなくなる!

完全な大失敗です。極端なことをしたので、外交カードの切り札をなくしたばかりか、折角中国の輸出品を台無しにしてしまいました。

いずれにせよ、中国がらみで日本が経済的に困窮することはありません。これは、以前このブログでも掲載したように、日本のGDPに占める中国の経済の割合などみれば明らかです。

確かに、中国GDPの伸張は、過去においては驚異的なこともありましたが、それにしても、万博当時の日本(年率20%台)に及んだことは一度もありません。それに、少し前からは、鈍化しています。さらに、ごく最近では、不動反バブルの崩壊によって、将来的にも伸びが期待できません。


中国経済的は、はなから日本にとっては問題外であり、軍事的にも将来はどうかということまではわかりませんが、現状ではほんど脅威になりません。

現在の中国、日本にとって、上の記事のクルーグマン氏の結びのように、『中国がぼくらの頭につきつけられた鉄砲だとしても,そいつは水鉄砲でしかもカラッポなのよ』。中国の異質性を語るのは、良いですがいたずらに現在の中国の脅威を煽るやからは、やっぱり、日米人にかかわらず、馬鹿かスパイだということだと思います。

中国は、欧米が数百年かけて、日本が数十年で成し遂げた社会変革がまだ全く進んでいません。この社会変革によって、欧米・日本がその数を増やした中間層という存在がほとんどありません。現代国家では、この中間層が重要であり、この中間層が様々な活動をすることによって、国の富が築かれてきました。中国では、こうした社会変革に取り組む気持ちは毛頭ありません。

だから、民主化も、政治と経済の分離、法治国家化もほとんど進んでいません。ある程度まともな社会になってはじめてまともな実体経済が育まれます。中国には、もはや軍師的にも、社会・経済的にも先に見込みがありません。落ちるところまで落ちるでしょう。このままの体制を続けていれば、もう経済発展などは見込めません。数百年かかっても無理でしょう。今の体制をそのまま温存していては、今から少し前までが限界です。すでに、発展のための限界点は過ぎています。

下の動画のような自衛隊と日本国民との関係が保たれている限り、総合商社の人民解放軍がいくら、尖閣に攻めてこようが、空母で威嚇しようが、こけおどしをしようが、日本が極悪非道異質国家中国に負けるはずはあり得ません。



私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年10月5日金曜日

危機の終わり遠い、緊縮で30年代型恐慌も-クルーグマン教授−【私の論評】日本は、はやくデフレから脱却して、世界に範を示せ!!

危機の終わり遠い、緊縮で30年代型恐慌も-クルーグマン教授

ポール・クルーグマン氏
10月3日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏は3日、米国と欧州連合(EU)の金融危機の終わりは遠いとし、ドイツ主導の緊縮政策が1930年代のような経済恐慌をもたらす恐れがあるとの見方を示した。

同教授はベオグラードでの講演で、米国には「もう一弾の景気刺激」が必要で、金融当局は成長回復を支援するために「できることを全て」する必要があると指摘。欧州では単一通貨を救うため、財政同盟が必要だと述べた。

「欧州は緊縮には限界があること、これ以上の緊縮は社会を崩壊の縁に追いやるだけだということを認識しなければならない」とし、「各国に余りに多くの苦痛を与え過ぎたとドイツと欧州中央銀行(ECB)が気付くまで、いかなる国も繁栄しないだろう」と語った。

ECBも米連邦準備制度理事会(FRB)も危機対応策を打ち出している。ドラギECB総裁は無制限の国債購入の計画を示し、バーナンキFRB議長は量的緩和第3弾(QE3)実施を表明した。

クルーグマン教授は欧州について、「困難な状況にある国々への金融面の脅威・・・・・・・・・

【私の論評】日本は、はやくデフレから脱却して、世界に範を示せ!!

財政赤字だからといって、それを解消するために、増税するという考え方が正しいかどうかは、その時々の経済の状況によります。好況でインフレのときには、これは正しいです。不況で、デフレのときは間違いです。

そうして、このような間違いは、よくあることです。たとえば、日本では、通常の国であれば、不況ともみなされないような不況や円高に、輸出産業(当時は、輸出が日本全体のGDPに占める割合は8%)が悲鳴をあげ、これに対して、財政出動、金融緩和などを推し進めた結果、あのバブル崩壊を招いてしまいました。このときは、本来何もしないほうが良かったのです。おそらく、現在からみれば、多くの人が理解できると思います。その意味では、日本のバブルは決して必然的なものではありませんせでした。

次に、バブル崩壊後には、崩壊後5年くらい、最大限譲歩しても、10年くらいなら、緊縮財政、金融引き締めをしても無理はなかったた思います。しかし、ごく一部の例外を除いて、日本政府も日銀も、バブル以降ずっと緊縮財政、金融引き締めのやりっぱなしです。ちなみに、バブル崩壊後は、積極財政、金融緩和を同時に実施したということは一度もありません。一度バブルに落ち込んだらかと言って、今度は、とにかくバブルやバブル崩壊に少しでもつながりそうなことは、絶対にやらないというのが、ここ20年の日本です。まさに、「過ぎたるは及ばざるがごとし」の典型例といえます。

今世界は、恐慌を繰り返そうとしているのかもしれない
20年間もこのようなことを続けており、14年前からは、日本経済は、統計上でも完璧にデフレ状況になっているのに、いまだ、緊縮財政、金融引き締めを続けています。

しかし、この緊縮財政・金融引き締めは、どこかでやめなければなりません。それは昨日このブログに掲載した日本では、リチャード・クー氏が最初に言い始めた、「バランスシート不況」により、多くの民間企業が設備投資のための借金をしなくなったということがデフレの最大の原因であるためです。借金をしてまで、設備投資をしても自己資金を使えばできる範囲での投資しかしない、あるいは、不良債権処理のため、無借金経営をして、銀行に金を返すことばかりしているというのが、今の日本の状況だからです。個人でも同じように借金をあまりしなくなっています。

個人の生活では、借金をしないことは良いことのように思われますが、国という単位で借金をする企業、個人が少ないということは経済にとっては良いことでありません。誰も新しいことをしたくでも、できないということです。だから、まずは、国が積極財政をして、日銀も同時に金融緩和をする必要があるのです。そうして、まずは、国内のGDPそのものを増やす方向にもっていかなければなりません。そうでなければ、この不況からは、いつまでも脱出することはできません。


不況で、税収が減って、財政赤字になるからといって、税率をあげたとしても、GDPがますます減るだけで結局税収が減るだけで、ますます、財政赤字が増えるだけです。これは、当たり前の真ん中の、理論です。そうして、この理論は、2010年に日本でいえば、消費税にあたる、付加価値税を大幅増税したイギリスで、さらに不況が深刻化して、財政赤字改善の目処が全くたたない状況に追い込まれていることでも、実証されています。

そうして、上の記事のクルーグマン氏が語っているように、今のEU、アメリカなど多くの国々が、日本の二の轍を踏もうとしています。一体世界はどうしてしまったのでしょうか?


1930年代は、多くの国々が当時よりも豊かになって、GDPもはるかに大きくなったことを除いて、まるで今日と同じような状況にあります。そうです。不況になったから、財政赤字になり、これを解消するため、国によって、やりかたは異なるのですが、増税、緊縮財政、金融引き締めに走ったり、不十分な金融緩和でことたりとするという状況がまるでそっくりなのです。

世界は、1930年代の反省にたち、様々な経済学者などが、不況になれば、積極財政、金融緩和をすべきというマクロ経済学の理論を発展させてきたはずなのに、今の世界は、金融恐慌時代と同じような過ちを繰り返そうとしています。

1930年代に、日本は、同じく世界恐慌に飲み込まれ、さらに悪いことには、不況であるにもかかわず、緊縮財政、金融引き締めなどをして、経済がかなり落ち込んでいました。この落ち込みを日本では、昭和恐慌と呼んでいました。しかし、この状況を高橋是清が、典型的なリフレ政策によって、世界で一番はやく、収束させたことは、このブログでも掲載しました。

当時このように素早く、恐慌から立ち直ったのは、日本だけです。他国は、そうではありませんでした。アメリカなども、ずっと恐慌が続き、恐慌から立ち直ったのは、本格的な戦争がはじまってしばらくしてからでした。アメリカでは、大戦争を遂行するため、ヨーロッパや、太平洋に、大量の人員、大量の武器を送らなければならず、そのためには、かなりの財政出動、金融緩和をせざるおえず、実際それを実施したからこそ、恐慌から脱することができたのです。戦争がなかったとしたら、アメリカの不況はまだまだ長引いたに違いありません。

B25戦略爆撃機の最終組み立てライン
今の日本、これだけデフレが続いていれば、やることは、はっきりしています。他国が不況に陥るさなか、日本もデフレ政策を続ければ、とんでもないことになります。それは、日本だけがの問題ではありません。1930年代の日本は、経済的にみれば、まだ小さくとるにたらない存在でしたし、さらに軍備を拡張するためなど、日本国内のことだけで精一杯でした。そのため昭和恐慌を脱したとはいえ、国民の生活は豊かではありませんでした。しかし、今の日本は違います。

今世界のほとんどすべての国々が、同時に不況に陥れば、世界はまた、1930年代の世界に逆戻りです。そのようななかで、日本がデフレから脱出すれば、世界第二の経済大国に返り咲くことも可能性です。そうして、人口などから比較して、アメリカよりも規模の小さい国ですから、実質的に経済が最も強い国に返り咲くこともできるかもしれません。

そうなれば、日本は、世界経済の牽引車になることも可能です。さらに、牽引車になることができれば、日本の経済政策の正しさを証明することにもなり、他国も、自分たちの経済政策の過ちに気づき、まともな経済対策をとるようになり、世界経済も恐慌に陥らないか、陥ったとしても、昭和恐慌時代の日本のようにはやく立ち直ることができるうようになる可能性も高いです。

今まさに、日本はあらゆる意味で転換期にあると思います。日本は、もともと、大きな潜在可能性を秘めた国であるにもかかわらず、ここ20年間、デフレ政策を続けてきたために、一時的に疲弊しているにすぎません。そうして、このようなこと、日本では多くの国民、企業経営者、政治家など気づかずに、デフレを前提にものごとを考え方、八方ふさがりの閉塞感にさいなまされています。



今のような状況は、一刻もはやく終わらせ、国内だけではなく、世界に範を示すような日本になるべきです。そうして、このような文脈を理解していて、これを現時点で、最も実現することができそうな、リーダーは、現在では、安部自民党総裁だけです。残念ながら、自民党の他の総裁候補は、そのような考え方を持っていないことが、総裁選挙で明らかになったと思います。民主党などは、はなから圏外です。その他の野党のリーダーたちも似たり寄ったりです。

そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どうお考えになりますか?

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2012年7月22日日曜日

ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!

ポール・クルーグマンの新刊『さっさと不況を終わらせろ』


これは、ポール・クルーグマンの新刊です。この書籍の主張は、きわめてシンプルなものです。5年目に突入した大不況は、失策を認めたくない人たちが複雑な構造的問題に見せかけているだけであり、脱出は驚くほど簡単であるという内容であり、 いま最も信頼できるノーベル賞経済学者が叩きつける最終処方箋ともいうべき内容です。「不況のときに緊縮財政するな。政府は財政赤字なんか気にせずに拡張的な雇用創出政策をやれ。中央銀行はそれを支援しろ」というものです。煎じ詰めれば、これだけです。

そうして、この主張を補強するために、金融危機の前史から経緯をふりかえり、アメリカ、ユーロ圏、イギリスなどの現状を概観し、流動性の罠に関する不況の経済学をわかりやすく解説し、清算主義を批判しています。とりわけ不況を「道徳劇」として見る発想をくりかえし批判しています。

ただし、一部で議論を呼びそうだなと思われたのは、以下のくだりです。(p.143)
フリードマンの取った政治的な立場の多くを嫌う人々でさえ、彼が立派な経済学者だったことは認めざるを得ないし、非常に重要な点をいくつか指摘したのも否定できない。残念ながら、彼の最も影響力ある宣言の一つ――大恐慌はFRBがちゃんと仕事をすれば起こらなかったはずだし、適切な金融政策があれば、二度目の大恐慌に類するものは決して起きないという宣言――は、ほぼ確実にまちがっていた。そしてこのまちがいには深刻な結果が伴う。金融政策が十分でないときにはどんな政策が使えるか、FRB内部でも、他の中央銀行でも、学術研究の世界でも、ほとんど議論が行われていなかったのだ。
「金融政策が十分でないときにはどんな政策が使えるか」に対する近年のマクロ経済政策の模範的解答は「非伝統的金融政策」というものです。これ自体はクルーグマンも否定していませんが、それだけじゃぜんぜん足りないし、だいいちそれは主役じゃない、という主張をしています。

この書籍でもっとも感動したのは、「第13章 この不況を終わらせよう!」の冒頭です。以下にその部分を引用させていただきます(p.286)。
ここまできたら、少なくとも一部の読者は、いまはまっている不況が基本的には人為的なものなんだと納得してくれたと期待したい。これほどの苦痛に苦しみ、これほど多くの人生を破壊する必要なんかないのだ。さらに、だれも想像できないほど急速かつ簡単に、この不況を終わらせることができる――だれもといっても、本当に不況経済の経済学を学び、そうした経済に政策がどう作用するか歴史的な証拠を検討した人々は除くけれど。
でも、前章末にくるまでには、ぼくに好意的な読者ですら、経済分析をいくら積み重ねても意味がないんじゃないかと思い始めていることと思う。ぼくが述べたような路線での回復プログラムなんて、政治的な問題としてそもそもあり得ないのでは? そんなプログラムを主張するだけ時間の無駄では?
この二つの疑問に対するぼくの答えは、必ずしもそうとはいえない、そして絶対に無駄ではない、というものだ。過去数年の財政引き締めマニアをやめて、雇用創出に改めて注目するという本物の政策転換の可能性は、通説に言われるよりもずっと高い。そして最近の経験が教えてくれる重要な政治的教訓がある。穏健で物わかりのいいふりをしようとして、基本的には論敵の議論を受け容れてしまうよりも、信念のために立ち上がり、本当にやるべきことを主張するほうがずっといいのだ。どうしても必要ならば政策では妥協してもいい――でも真実については決して妥協してはいけない。
このブログの詳細は、こちらから!! 

【私の論評】まったくその通り!!日本は、何をさておいても、まずはデフレを解消すべき!!


上の書籍は、クルーグマン氏がブログで書いたことを書籍にまとめたものだそうです。だから、経済学の本というより、クルーグマン氏が日々考えていることを反映したものであり、学問的なものではありません。そこが、クルーグマン氏の信念が伝わてくるところがあり、良い所だと思います。

クルーグマン氏の、ブログは、以下のURLを参照してください。

http://krugman.blogs.nytimes.com/



上のブログの記事にもあるように、もちろんクルーグマン氏の多くの論敵もまた「信念」をもっていることでしょう。緊縮財政は「本当にやるべきこと」なのだと主張することでしょう。そうした信念は「借金は早く返さなきゃ後がこわい」という素朴な感情によくなじむものです、いまや経済運営上の「常識」と化して世界中を支配しているかのように見えます。そうして、この一見常識にみえる非常識は、あの悪名高いワシントンコンセンサスの中にも含まれています。本書はそんな常識をくつがえし、過去にも十分証明された事実を思い返させるものであり、現在の常識は、ごく最近のものにすぎないものであり、しかもこれは、過去に何度となく繰り返されてきて、失敗し続けてきたものであり、本当の常識の重要性をおもいかえさせるものです。

アメリカやEUはどうなのかという話はどうなのかという話は、上の書籍にゆずるものとして、日本では過去にクルーグマン氏の提唱するような政策をとり大成功を収めた事例があります。ここでは、二つ事例をあげます。

元文小判

一つ目は、「宝永の改鋳」です。江戸時代中期に徳川吉宗が行った緊縮財政(享保の改革)により日本経済はデフレーションに陥いりました。そこで町奉行の大岡忠相、荻生徂徠の提案を受け入れ政策転換し、元文元年(1736年)5月に元文の改鋳を行いました。改鋳は差益を得る目的ではなく、純粋に通貨供給量を増やすことが目的でした。現在でいえば、日銀による増刷に相当するものです。

徳川吉宗
元文の改鋳は現在では、幕府初のリフレーション政策と位置づけられ、日本経済に好影響をもたらした数少ない改鋳であると積極的に評価されています。元文の通貨は以後80年間安定し続けました。江戸の経済対策というと、なにかといえば儒教思想にもとづく倹約道徳にもとづく、吉宗が行ったような緊縮財政であり、いわゆるこの事例のような、金融緩和策は数少ない成功事例の一つです。

もう一つの事例は、世界大恐慌に世界が陥ったときに、日本も同じように、恐慌に陥り日本では、昭和恐慌と呼ばれていました。この昭和恐慌をのりきったのが、上でクルーグマンが主張している方式です。

高橋是清
昭和恐慌は、第一次世界大戦時の好況の反動が発端です。1914年第一次世界大戦は起りましたが、日本は戦場にならず、輸出の増大で日本経済は大いに潤いました。しかし大戦が終わり、列強が生産力を取戻すにつれ、日本経済は落込こみまし。1920年以降、日本経済はずっと不調が続きました。特に27年には世界大恐である金融恐慌が起り、取り付け騒ぎや銀行の休業が到るところで見らました。

昭和恐慌時のポスター
このような経済が苦境の最中の29年に発足したのが、浜口幸雄内閣でした。そうして、この内閣の蔵相は、元日銀総裁の井上でした。浜口・井上コンビはデフレ下で緊縮財政を始めました。浜口首相は「ライオン宰相」として国民から熱狂的な支持を受けていました。前の田中義一首相が、腐敗などによって国民から反感をくっていた反動でした。


濱口幸雄
浜口首相は「痛みを伴う改革」を訴え、「全国民に訴う」というビラを全国1,300万戸に配布しました。内容は「・・・我々は国民諸君とともにこの一時の苦痛をしのいで、後日の大いなる発展をとげなければなりません」と言うものでした。そうしてこの政策は国民から熱狂的に迎えられました。昔から日本ではバンバン金を使う者より「緊縮・節約」を訴え、「清貧」なイメージの指導者の方が、少なくとも当初は支持を集めるのです。

しかし不況下でこのような逆噴射的な経済運営を行ったため、経済はさらに落込み、恐慌状態になってしまいました。まったく当り前の話です。浜口・井上コンビは財政政策だけでなく、為替政策でも大きな間違いを犯しました。それは、「金輸出の解禁」です。

為替を変動させておけば、総合収支尻は、為替の変動によって自動的に調整されます。ところが為替を固定させておくと、総合収支の決済尻をなにかで埋め合わせる必要があります。輸出が好調で総合収支が黒字の場合には問題はありませんが、反対に赤字の場合には国際的に価値が認められている「金」などで決済することになります。つまり「金輸出の解禁」は、変動相場制から固定相場制、そして金本位制への移行を意味します。

井上準之助
さらに浜口・井上コンビは固定相場に復帰する際のレートを日本の実力以上に設定しました。実勢より一割も円高の水準で固定相場に復帰したのです。これは単純に以前の固定相場の時のレートを採用したからです。この二人は、蔵相や日銀総裁を経験した経済のプロと思われていた人物した。しかし頭が固い(悪い)のでした。

浜口・井上コンビの狙いは、構造改革で競争力を高め、輸出を増やして、不況から脱することでした。しかし設定した固定為替レートは高すぎ、逆に輸入が増えました。また貿易業者は、輸入代金を市場から外貨を調達して払うのではなく、高い円で金を買い、これを送って決済しました。金はどんどん輸出され、日銀の金の保有量が減りました。金本位制のもとで金の保有が減ったため、政府は財政支出を減らす必要に迫られました。これによって経済はさらに落込みました。この結果、財政支出を削っているにもかかわらず、財政はさらに悪化したのです。

さらに29年のニュヨーク株式相場の崩壊から始まった世界恐慌の影響も日本に及んで来ました。日本では街に失業者が溢れ、大幅な賃金カットが行われ、労働争議が頻発しました。特に農村は、農産物の大幅な下落によって大打撃を受け、「おしん」のような娘の身売り話も増えました。

世界恐慌の時のウォール街
このため農村から離れる者が増えました。しかし一方、逆に街で働いていた人々が失業して、どんどん農村に帰って来ました。彼等は元々農家の次男・三男達であり、帰農者と呼ばれました。帰農者は明らかに失業者でした。しかし井上蔵相は「帰農者は失業者ではない」と主張しました。元々彼は「失業はたいした問題ではない」と言う認識の持主でした。そして失脚後の32年2月に彼は暗殺されました。

30年の5月、浜口首相は、ロンドン軍縮会議・五カ国条約の批准に不満を持った分襲撃されました。次の首相の若槻礼次郎首相も構造改革派でした。したがって日本経済はどん底状態になりました。そしてついに31年12月に政友会に政権交代が行われ、犬養毅内閣が発足しました。犬養は、以前首相も経験したことのある高橋是清に大蔵大臣就任を懇請しました。

犬養毅
高橋は矢継ぎ早に、デフレ対策を行いました。まず「金輸出の解禁」を止め、さらに平価の切下げを行いました。最終的には約4割の円安になりました。そして積極財政に転換し、その財源を国債で賄いました。さらにこの国債を日銀に引受けさせることによって金利の上昇を抑えました。実に巧みな経済運営でありますが、上の書籍でクルーグマン氏が主張している方法と寸分たがわないやり方です。

以下に、当時の経済成長率の推移を示します。

昭和恐慌時の実質経済成長率(%)

経済成長率

1927 3.4

1928 6.5

1929 0.5

1930 1.1

1931 0.4

1932 4.4

1933 11.4

1934 8.7

32年からの経済成長は実にすばらしいものです。実際、列強各国はこの時分まだ恐慌のまっただ中であり、日本だけがいちはやく恐慌からの脱出に成功したのです。

1932年に国債の日銀を引受けを始めたましたが、物価の上昇は、年率3~4%にとどまっています。1936年までに日銀券の発行量は40%増えましたが、工業生産高は2.3倍に拡大しました。そしてこの間不良債権の処理も進みました。

ケインズの一般理論が世の中に出たのが36年の12月であり、実にその5年前に既にケインズ理論を実践したのが高橋是清である。さらには、今日クルーグマンが上の書籍で、主張していることを80年前に実行したのです。

ケインズ
日本ではこのような先駆的な成功事例があるにもかかわらず、多くの政治家や、官僚、マスコミはこれを評価するどころか、そもそも、このような歴史的事実を認識していません。上の浜口・井上コンビなど、時代背景が異なるのですが、現在や、少し前の政治家や財務大臣を彷彿とさせます。

日本では、何時の間にか高橋是清のような政策をとることは、ハイパーインフレを招くとか、赤字国債の発行や国債の日銀引き受けが禁じ手であるかのような錯覚をするものが多いです。

ハイパーインフレに見舞われた第一次世界大戦後のドイツ
上の書籍でクルーグマン氏が主張することは、探せば、世界中で、成功事例が見つかると思います。上のように、日本でも成功事例があります。逆に、不況のときの、緊縮財政、金融引き締めの結果かえって、経済が悪化した例も、日本の江戸時代のようにたくさんあります。


最近では、英国が不況であるにもかかわらず、付加価値税(日本の消費税にあたる)をあげて、さらに、不況を深刻化させました。これに対処するため、イングランド銀行(イギリス中央銀行)は、かなりの増刷をしました。増刷しても、イギリスの経済は、あまり良くはなりはしませんでした。そうして、インフレ傾向がしばらく続きました。これをもって、ハイパーインフレ論者は、不況のときに、お札を刷れというクルーグマンんの主張は、間違いであるとの格好のケーススタディーとしました。ところが、最近ではイギリスのインフレは、収束しました。そうして、もし増刷していなかったら、イギリス経済の落ち込みはささらに、悲惨なことになっていたことがはっきりしています。やはり、クルーグマンが正しかったということです。

現在でも、不況のときに、緊縮財政、金融引き締めをしては、かえって経済が悪くなるということです。不況のときには、財政などあまり気にせずに、積極財政と金融緩和策をしなければならないというのが当たり前の真ん中の常識です。ケインズなんぞまったく知らなかった、江戸幕府や、高橋是清も、この常識に従って成功しているのです。現在の不況は、この常識に常識に従わなかったことが大きな要因の一つです。非常識派は、過去の歴史を振り返ったり、現在の出来事を直視せず、ただただ、自分の頭の中でつくりだした、非常識な常識を唯一正しいものとして、押し付けているだけてあり、思い上がりも甚だしいです。

この書籍、こうした常識を忘れた現代人に対する警鐘を鳴らすものであると思います。そう思うのは私だけでしょうか?これは、本当に今の財務省、日銀はいうにおよばず、多くの政治家、官僚、そうして多くの国民に読んでいただき理解していただきたいと思います。

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