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2019年10月28日月曜日

アルバグダディ排除がトランプのシリア撤退に対する民主党の断固とした率直な批判に一石―【私の論評】劇的に有利となったトランプ氏の大統領選(゚д゚)!

アルバグダディ排除がトランプのシリア撤退に対する民主党の断固とした率直な批判に一石

排除されたISの指導者アブ・バクル・アルバグダディ

<引用元:FOXニュース 2019.10.27

27日、トランプ大統領がイスラミック・ステートのアブ・バクル・アルバグダディ指導者の排除作戦に成功したことで、民主党に混乱が生じている。複数の党幹部は最近、ホワイトハウスはシリアでの米国撤退後にテロ組織と戦うための「確かな計画」を持っていない、と公に不満を漏らしていた。

民主党のメッセージが裏目に出たことを印象付ける兆しとして、NBCの「サタデー・ナイト・ライブ」は、トランプがISISのために「雇用」を生み出したと示唆するタイミングの悪いコントを放送していた――大統領が記者会見を開いてアルバグダディの死亡を発表するわずか数時間前のことだ。コントはシリア北西部での2時間にわたる深夜の急襲が実行されている頃に放送されていた。

「民主党がこれについて何というべきか考え出そうとリアルタイムで悪戦苦闘しているのを見るのは、本当に興味をそそる」とジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは27日に話した。「彼らは愛国的で反ISISでありたいと思っているが、(ウサマ・ビンラディンのことで)オバマを褒めちぎったことと矛盾しないようにトランプを中傷する方法も必要としている。容易な綱渡りではない。健闘を祈る!」

その日、民主党は――ナンシー・ペロシ下院議長、上院外交委員会幹部のボブ・メネンデス、ジョー・バイデン元副大統領を含めて――新戦略に落ち着いたようだ。歴史的急襲を実行した兵士を称賛しながら、多少なりとも大統領を称賛することをあからさまに避けたのだ。

民主党の一部では、ロシア軍は空域が利用できるように通知されていたのに、自分たちは作戦のことを事前に知らされなかったという不満の声もあった。民主党議員が実施している大統領の弾劾調査は、メディアへの情報のリークが多かったが、大統領は27日、急襲前に民主党議員に知らされなかったのは、作戦がリークされる懸念があったためだと示唆した。

「特殊部隊とインテリジェンス・コミュニティ、そして勇敢な軍の専門家がテロリストのアブ・バクル・アルバグダディに裁きを下したことについてお祝いを述べる」と、2020年にトランプの座を奪おうとしている多くの民主党の1人であるバイデンは述べた。またバイデンはトランプに「ISISが再結集したり、米国に再び脅威をもたらすことを防ぐために圧力を保つ」よう求めた。

一方ペロシは「軍とインテリジェンス専門家の勇敢な行為、献身、技能」を称賛し、「地域のパートナーの働きに感謝の念を示し」、それからトランプが「シリアのクルド人パートナーに対するトルコの侵攻にゴーサインを出した」ことを非難した。

ところが2011年5月にオバマ大統領がウサマ・ビンラディンの死亡を発表した時、ペロシは最高司令官を称賛するのをそれほど渋っていなかった

コメンテーターの中には、ワシントン・ポストもビンラディンが殺された時と異なる基準を27日に適用したと指摘する声もあった。同紙の注目を集めた、修正後の見出しは「イスラミック・ステートを指揮する厳格な宗教学者、アブ・バクル・アルバグダディが48歳で死亡」というものだ。

同情的な死亡記事ではテロ指導者を、「サッカー好きだが自由な時間を地元のモスクで過ごすのを好んだ内気で短絡的な若者」と説明し、「組織の過激主義的な見方と悪質な戦術にもかかわらず、バグダディ氏は指導者として抜け目のない実用主義を保った」と指摘した。

だが2011年、ビンラディンの死を発表したワシントン・ポストの見出しでは、きっぱりと「テロ組織」の指導者と呼んでいた。

ペロシは27日の声明の中でさらに、「下院は議会指導部ではなくロシアが事前に通知されたこの急襲について、また地域での政権の総合的な戦略について説明を受けなければならない」と要求した。

そうした不満はすでに、ツイッター上で進歩主義のコメンテーターとジャーナリストの間で共感を呼んでいた。CNBCのジョン・ハーウッド記者は、「トランプはペロシに事前に話しておらず、ペロシが機密情報を守ると信頼していなかったということだ。ペロシは情報委員会の民主党幹部だった。・・・トランプはホワイトハウスでロシア高官に機密情報を与えた」と述べた。

メネデス(民主党、ニュージャージー)に関しては、やはりトランプを称賛したり、敬意を表したりすることは避け、その代わりに「米国人の命を無慈悲に奪い、中東の人々を恐怖に陥れ、地域の平和と安全を脅かした残忍な殺人者に対する攻撃を成功させた軍隊の男女」を称賛した。

メネデスは、作戦が「我が国を守るために日々命を懸ける軍人の勇気の証拠であり、シリア民主軍とイラク軍を含めて、現場の信頼でき能力のあるパートナーと共に、米国の持続するリーダーシップが重要であることをはっきり思い出させてくれるものだ」と述べた。

また一方で共和党は、ISIS指導者の死をテロ組織に対するトランプ政権のキャンペーンの頂点と呼んだ。イラクを占領していたいわゆるISISカリフェイト(カリフ制国家)は、地域の米軍と同盟軍からの空軍力の集中攻撃で大部分が崩壊した。

共和党テネシー州のマーク・グリーン下院議員は、下院国土安全保障委員会のメンバーであるが、急襲を実行した兵士を称賛し、「いうまでもないが、私は大統領を称賛する。・・・今朝の大統領の声明は素晴らしかった」と述べた。

他の共和党員も、幾分控えめな表現ではあるが同じ感情を表した。

「トランプ大統領とトランプ政権はすでにISISという蛇の体の大部分を打倒していた。だが昨日、バグダディを殺したことで蛇の頭を切り落とした」と共和党テキサス州のジョン・ラトクリフ下院議員は、FOXニュースの「サンデー・モーニング・フューチャーズ」に語った。

下院司法委員会の共和党幹部であるジョージア州のダグ・コリンズ下院議員は、急襲前に民主党議員に知らせないというトランプの判断は正当だと示唆した。

「現在ISISに注目する人々は誰でも、窮地に陥って自爆した自分たちの指導者に注目するはずだ」とコリンズは話した。コリンズは「もっと重要な話」は、トランプが「シリアに関して情報委員会から情報を得られない」ことであり、「この10カ月間弾劾支持者によって攻撃され、嫌がらせを受けてきたこの大統領が、こうしたことが全て下院で行われている間に、委員会を遮断したということを示している」と続けた。

混乱が始まったのは、トランプが27日の朝、国民に演説を行ってからのことだ。大統領はその時ISIS指導者――トランプが「腰抜けのけだもの」と呼ぶ悪名高い殺人者でレイプ犯――が、「悪質で暴力的に、臆病者として、逃げ叫びながら」死んだと発表した。

米国特殊部隊がイドリブの居住地を急襲した際に、アルバグダディは自爆用のベストを起爆させ、子供3人を道連れに自殺したとトランプは述べた。

「バグダディの多数の戦闘員と仲間が一緒に殺されたが、作戦では1人も犠牲者が出なかった」とトランプは発表し、米国がISISに関する「非常に敏感な」資料を回収したと付け加えた。トランプはそれから米部隊のことを「君たちは世界中で本当に最高だ」と述べた。

トランプは、アルバグダディは米部隊にトンネルに追い詰められて死亡し、ISIS指導者は「ずっとめそめそと泣き叫んでいた」と述べた。

【私の論評】劇的に有利となったトランプ氏の大統領選(゚д゚)!

2017年にトランプ大統領がシリアを攻撃したときには、共和党は無論のこと、民主党からも大絶賛されました。それについては、このブログにも掲載しました。以下にその記事のリンクを掲載します。
トランプ大統領のシリア攻撃をクリントン氏も支持―【私の論評】米民主党・メディアがトランプ大統領の政策をなぜ支持したのか理解不能の民進党(゚д゚)!
    米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。
    米海軍提供(2017年4月7日撮影・公開)

この記事は2017年4月9日のものです。 詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
 4月4日、トランプ大統領がシリア政府軍の化学兵器使用への制裁として、59発のトマホーク巡航ミサイルによるシリアのシャイラト空軍基地への攻撃を断行した。 
 この攻撃は米国内で共和、民主の両党側から幅広く支持されている。トランプ氏の施策が両党側からこれだけ支持されるのは、1月に大統領に就任して以来初めてである。この展開を機に、トランプ政権に対する一般の評価にも変化が起きるかもしれない。
米国では、米国の敵とみなされるような敵に対してこのような攻撃を敢行して、成功を収めた場合、与野党に限らず、超党派で称賛の嵐が起こることがあります。

当時はトランプ政権のシリア攻撃を手放しで絶賛していたクリントン氏

このようなことは、日本では耐えて久しいことなので、このブログにもとりあげ、解説したものです。最近の日本の野党は、与党政権が何をしても、反対するばかりで、なにか良いことをしたとしても、全く評価しないどころか、良いことに関しても、重箱の隅をつつくように、なにやら良くないところを探して批判するばかりです。

この記事では、そうした日本の野党の異常ぶりについて解説しました。

しかし、上のFOXニュース記事を読んでいると、最近の米民主党は日本の野党とあまり変わりないようです。本来なら、米国の敵、世界の敵である、アブ・バクル・アルバグダディが排除されたのですから、これは両手をあげて喜ぶべきことです。

しかし、なんというか余裕がないというか、とにかくトランプ大統領やトランプ政権を称賛する声は、米国民主党からは、ほとんど漏れ聞こえてきません。

これは、米国の民主党も日本の野党のように、余裕がなくなってきたということを示しているのではないでしょうか。日本の野党の場合は、どうあがいても、政権を奪取することなど、誰がみても明らかです。何かを変えない限り、とても政権与党になることなど、考えられません。

米国民主党もそれに近いような状態になっているのではないでしょうか。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ引用させていただきます。
今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。 
ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。 
はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。
大統領選においては、不利このような状況ですから、米民主党が焦燥感を感じるのも無理からぬところがあると思います。

米国においては、大手新聞は全部リベラルであり、大手テレビ局はFOXニュースを除いた他局もリベラルです。大手新聞も大手テレビ局も、どちらかといえば民主党よりです。その他、教育機関もエンターティンメント業界も、民主党よりです。

そのため、共和党よりの声など、あまり新聞やテレビなどでも報道されません。共和党の中でも保守派の声などかき消されてしまいます。

だから、トランプ政権が登場したばかりの頃は、トランプが大統領に選ばれたのは、番狂わせくらいの感覚があったのでしょう。米国民主党としては、次の大統領選挙では当然のことながら、また民主党が勝ち、政権を奪還できるに違いないという楽観的な気分があったのだと思います。

そうして、米国でも日本でも、米国民主党よりのメディアがトランプ氏についてのネガティブな情報を大量に流すので、多くの人が無意識に「トランプ不利」と思い込んでいるところがあるのですが、そうではないことが、様々な調査機関の調査の結果より明らかになっています。だから、米民主党は相当の危機感を持つようになったのでしょう。そこにきて今回の、アルバグダディ排除です。

これから行われる世論調査で、トランプ大統領の支持率がさらに、上がるのはまず間違いないでしょう。

2011年5月、米軍がアルカイダの首領ウサマ・ビンラディンのパキスタン国内の隠れ家を急襲して殺害した時も、当時のオバマ大統領の支持率が急上昇しました。殺害発表の翌日ワシントン・ポスト紙が行った世論調査で同大統領の支持率は56%で9ポイント上昇し約1年半ぶりの高水準になりました。


当時オバマ大統領は1期目でしたが内政、外交共に手詰まりで、前年に行われた中間選挙では民主党が大敗し2012年の再選選挙も危ぶまれる状況にありましたが、この支持率回復で体制を立て直し、共和党のロムニー候補を大差で破って再選を果たしています。

この時、オバマ大統領は再選に向けての活動を開始した直後のことだったのでこのビンラディン殺害作戦は「選挙対策」ではないかとも言われました。現に、この作戦に参加した米海軍特殊部隊SEALの隊員の一人マット・ビソネッティ氏は雑誌「ワイヤード」電子版にこう語っていました。

「我々はこの作戦が選挙のためだと知っていました。我々は道具箱の中の道具みたいなものなんです。我々の作戦が成功すれば、政治家はその成果をできるだけ膨らませ、自分たちの功績にします」

さらに2003年12月、湾岸戦争の敗北の後逃亡していたサダム・フセイン元イラク大統領が隠れ家の地下穴に隠れているところを米軍に確保され米国民への「大きなクリスマス・プレゼント」と言われたことがありました。この時もジョージ・ブッシュ(子)大統領は翌年の再選選挙で苦戦が予想されていましたが、この一件をきっかけに支持を取り戻し民主党のジョン・ケリー候補に激戦の末勝利していました。

今回のアルバグダーディ容疑者死亡発表のタイミングですが、来年の大統領選に向けて与野党ともに盛り上がり始めた中でトランプ大統領はいわゆる「ウクライナ疑惑」をめぐって民主党から弾劾の追求を受け、またシリアからの米軍撤兵に対して与野党から批判を浴びているところでした。

しかし、この奇襲作戦を命じ成功させたことで合衆国軍隊の「最高指揮官」としての役割を果たして「リーダーシップに欠ける」という批判をひとまず回避できそうです。また、今回の作戦ではトルコやロシア、さらにはクルド族の支援も受けたと発表して、先の米軍撤兵も正当化できるでしょう。

世論調査で、すでにトランプ優勢となっています。今回の出来事は、オバマ前大統領のように、再選に向けての不利な潮目が変わる程度のことではすまないような気がします。トランプ圧倒的有利という具合になり、今後の米国政局はそれを前提にしないと考えられなくなるかもしれません。


民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!

2019年10月24日木曜日

トランプのシリア撤退は勝利のない中東紛争から米国人の命を救う―【私の論評】国防に真剣に取り組まなけば、日本は特ア三国・露の理不尽な要求に屈服し修羅場を見る(゚д゚)!

トランプのシリア撤退は勝利のない中東紛争から米国人の命を救う

トニー・シェーファー中佐

<引用元:サン・センチネル 2019.10.22>トニー・シェーファー中佐による寄稿

米国の軍隊の男性と女性たちに対するトランプ大統領の気遣いを、大統領を中傷する人たちが完全に理解することはない。というのも、政治エリートの栄光の展望が戦争の厳しい現実に取って代わられる時に責任を負うのは大統領だけだからだ。その上――保有領域に足止めされることで兵士が標的となり、機敏さを保ち主導権を維持することができなくなることを大統領は理解している。

トランプ大統領がトルコによる軍事攻撃前にシリア北部から米国兵士を移動する決断を発表した時、民主党とワシントンの外交エスタブリッシュメントは激しい怒りの声を上げた(オバマ政権下での何年も無為と懸念の後のことであり、その無為のせいで50万人の罪のない人々が殺害される結果となったことに注目して欲しい)。

その人たちは単に、トランプが、米国の国益が直接危機にさらされていない、世界の反対側の地政学的な紛争を細かく管理するために米国人の命を危機にさらそうとしない理由を理解できなかった。これまでのそうしたアプローチは、タカ派が数十年かけて入念に米国の事実上の外交政策の立場として設定したものあり、今では民主党の戦争賛成派の進歩主義勢力がそれを採用している。

トランプ大統領には別の考えがある。ミネアポリスでのトランプ集会で最近、「米国よ、勝利を勝ち取れ。兵士たちを家に帰せ」と語ったように。

我々の目の前では「トランプ・ドクトリン」が始まっている。以下の4点から成る方針だ。
  • 米国民に対する具体的な脅威、軍事力の使用を正当化するための利益を確認すること。
  • 既定の期間内に割り当てられた軍事目的達成のための軍に対する明確で簡潔な助言。
  • 軍事作戦で同盟国と地域パートナーの主導を認めて彼らを活用すること。
  • 勝つための自由と政治的な意志――軍が勝利を獲得できるようにするための指針を出す。
こうした単純だが明確な方針がレーガン時代以降、米国の戦略的思考に不在だった・・・だが今それは戻ってきた。

大統領は、米国を終わりがなく、勝利のない外国での戦争に陥らせないと約束した。米国はすでに、中東での政権交代をもたらそうとする不幸な取り組みで血を流しすぎており、多くの財産を浪費しすぎている。トランプ大統領が頻繁に指摘しているように、その地域での行動は何千名もの命と何兆ドルもの税金を掛けたにもかかわらず、米国を少しも安全にしていない。

ISISを抑え続ける試みは継続する――縮小することはないだろうが――が、この取り組みを継続するために、我々は彼らを打倒するための「地上軍」を隣の村に駐留させる必要はない。

また別の長期化する中東の紛争から軍隊を解放するチャンスを提示された時、大統領は賢明にも米国兵士を損害の道から移動させた。明らかに政治エスタブリッシュメントの好む別の手段を取れば、国のない反政府武装集団にその目論見を追及させるために、NATO同盟国に戦争を仕掛けると脅迫することになっていたいだろう。

ISISに対する我々の作戦でクルド人に共通の利益があったのは事実だが、ジハード主義者のカリフの国はもう戦いに敗れ、米国の国益は、現在トルコ、シリア、イラクが所有する領域で独立国家を樹立しようというクルド人の野望に収束しない。マルクス・レーニン主義者の政治的ルーツを持つPKKについていえば、トルコを不安定にしようというその取り組みを支援するのは米国の利益にならない。

最高司令官、トランプ大統領は、外交政策決定による人的損失が非常に実質的なものだと考えている。結局、戦死した米国人の家族に手紙を送り、息子や娘が最終的に国旗で覆われたひつぎに入って帰宅する時に、悲しみに沈む父母に慰めの言葉をかけなければならないのは大統領だ。文民政治家、専門家、ジャーナリストが戦争をあおる――彼らには死傷者報告書を中傷的なデータ点として見るだけの余裕がある――一方で、トランプ大統領は米国軍人の命に責任を持っているのであり、主戦論者はけっしてそれを理解しようとしない。

ありがたいことに、大統領はその責任を真剣に受け止めている。大統領は最近の記者会見で自身のシリア戦略を弁護し、亡くなった兵士の家族への手紙に署名することは「やるべき事の中で最も困難な事」だと記者団に述べた。

大統領は最近のミネアポリスでのキープ・アメリカ・グレート集会で再びそれを話題にし、軍人の家族が愛する故人のひつぎを受け取るのを見守るゾッとするような場面を詳細に説明した。

今年1月米国で身寄りのない孤独な退役軍人ジョセフ・ウォーカー氏の葬儀に数千人が参列した

「(飛行機の)扉が開き国旗で覆われたひつぎが見えた。扉が開いて、この美しい兵士たち、5,6人が両側にいて、ひつぎを持ち上げて滑走路を歩いてくる・・・すると両親は声を上げ・・・今まで聞いたことのないような叫び声と泣き声だ」と大統領は感情を隠すことなく回想した。

そのような瞬間は明らかに大統領の心に重くのしかかっており、米国の軍事力を思慮深く使用するという決断を満たしている。親に息子や娘がこの国のための尊い犠牲となったと知らせる時、トランプはその犠牲が単に価値あるものだというだけでなく必要だったと伝えることができることを望んでいる。

家族や友人が地図の上で見つけることもできないような場所で、あまりにも多くの米国人兵士が死んだ。彼らをそこに送った政治家たちは、その理由を決して的確に声に出していうことができないだろう。1カ月で終わるはずの作戦は10年続く戦争となった。それでもトランプが、その地域での命を懸けた窮地に兵士たちを関わらせるのを拒否した時、ワシントンの政治エスタブリッシュメントは無責任な行動だとして非難した。

戦うなら、勝つために戦う。

勝とうとするなら、米国人の命と利益を守るためであるべきだ。

曖昧な、あるいは存在しない軍事目的で終わりのない戦争をすることは利益にならない。

だがタカ派は、親がなぜ自分の子供に生きて再び会えなくなるのか説明する手紙を書く必要がない。そうした親が泣きすがる棺桶に付き添う必要はない。それはトランプ大統領の責務であり、大統領はそれを平然と果たす。大統領を批判する人たちは、意味のない死を終わらせ兵士たちを損害を受ける道から逃れさせようという大統領の取り組みを非難する前に、そのことを考えてみるべきだ。

トニー・シェーファー中佐は元情報将校であり、London Center for Policy Researchの所長である。

【私の論評】国防に真剣に取り組まなけば、日本は特ア三国・露の理不尽な要求に屈服し修羅場を見る(゚д゚)!

冒頭の「トランプ・ドクトリン」からすると、日本の防衛は米国にとってどうなのかという疑問がわいてきます。

トランプ大統領は、以前「日米安保は不公平。米国は日本を守るのに日本は米国を守らない。こんな条約は破棄してもいい」と語りました。この報道は日本国内で大きな波紋を呼びました。

「対米従属から脱出する好機」という勇まし意見から、米国に捨てられたと思って落胆する者まで、日本での反応はさまざまでした。



しかし、左翼から右翼まで入り乱れて収拾のつかないことになる前に、以下の事実を冷静に心得ておくべきです。

まず第一に。まだ安保条約破棄を検討するような事態には全く至っていません。日米安保は米国にとっても実は大変有意義なのです。日本の基地があるから、米軍の艦隊は西太平洋からペルシャ湾までの広い海域で活動できるのです。

横須賀基地を使えなければ、米国の空母は点検・修理のために遠路、米国西海岸の基地まで帰らなければならなくなります。しかも日本は年間約2000億円もの「思いやり予算」で米軍の駐留を助けています。米軍が日本以外に点検・修理の拠点をつくるということになれば、莫大な投資が必要になります。だからこそ、トランプ自身も、破棄は考えていないと付言しています。

日本にとっても、日米安保は非常に有意義です。いくつかの基地を提供し、思いやり予算を付けることで、世界最強の米軍を後ろ盾(抑止力)として保持できるのです。これにより、日本のタンカーを攻撃することは、即米国に攻撃を与えたものとみなされるので、そのようなことを敢えてすることなどあり得ないです。だから、石油の輸送路も安泰です。

もう1つ、日本は経済で米国市場への依存性が強いため、対米貿易黒字の約620億ドルがないと、日本は約360億ドルの貿易赤字になってしまいます(2017年)。安保面での日本の選択肢も限られることになります。つまり日本が「自分は中立だから」と言って、米国による中国等への制裁に加わらないと、自分自身が制裁を食らって米国市場を閉じられたり、ドル決済ができないようにされ、経済的存立の道を閉ざされてしまうことになりかねません。

トランプ氏の車列に中指立てて解雇された米女性、地方選立候補で再チャレンジ

では日本はどうすべきなのでしょうか。トランプの言動の多く、特に過激な言動は、大統領選挙で再選されることを目的としています。つまり日本を脅しつけて「何か」日本から獲得したことを、選挙民に示したいのです。それも、大統領選挙が本格化する前、年内くらいには欲しいところでしょう。

そうであれば、あまり正面から考え込まず「何か目立つ」成果を日本の役にも立つ形で作れば良いのです。安保面では「日本を守るために作戦中の米軍を自衛隊は守る」こと、つまり集団的自衛権を日本が行使することをアメリカにもっと明確に伝えるのです。

14年の閣議決定でこの点は可能になったのですが、さまざまな但し書きが付いているため、米国はどういうときに自衛隊に守ってもらえるのか理解できないでしょう。

次にホルムズ海峡がこれからずっと危険になることはないとは思いますが、自衛隊の護衛艦は既にアフリカのジブチを根拠地としてアデン湾で海賊対策をしているのですから、ホルムズ海峡にまでその活動範囲を広げれば良いです。中国やインドにも呼び掛けて、ホルムズ海峡を守る国際構想を日本が示せば、それは米国での日本のイメージを一変させることになります。

思いやり予算も増額が必要でしょう。2000億円は一見多額に見えるますが、米国防費6391億ドル(約71兆円、18年度)に比べるとインパクトは弱いです。ただ日本は思いやり予算増額の見返りを米国に要求するべきです。日本が米国から戦闘機などの兵器を購入する際、技術情報を米側がもっと開示し、日本が事故防止や部品生産ができるようにしてもらうべきです。そうして北朝鮮などの核ミサイルを抑止する手段をもっと整備してもらうべきです。

「日本を守る米軍を自衛隊は守らない」という不公平や、安保における対米依存は、米国に押し付けられたものではありません。日本が集団的自衛権の行使を自らに禁じていたため生じた結果であり、自縄自縛(じじょうじばく)なのです。

日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」は米国に委ねて、自衛隊は米軍を補助して「防衛」に当たることになっています。米国が日本の国防の主役であって、日本は傍役にしか過ぎないのです。

日本国民は非常の場合には、どんな場合でも協力な米国が守ってくれると思い込んでいるようですから、国防意識が低いです。

緊張が高まっているのは、日本がある東アジアだけではないです。ヨーロッパでは、いつロシア軍がバルト三国や、北欧を奇襲するか、緊迫した状況が続いています。中東も予断を許さないです。もし、イランがペルシャ湾の出入り口を封鎖すれば、米軍が出動するでしょう。

そうして当の米国は、はもはや同時に二正面で大規模な作戦を実行する能力を持っていません。もし、不測の事態が生じて、米軍の主力がアジア太平洋からヨーロッパか、中東に移動せざるをえなくなった場合、日本の周辺は手薄になります。それこそ、「トランプ・ドクトリン」に従って、日本の防衛は二の次ということになるかもしれません。

その機に乗じて、中国やロシア、北朝鮮が本格的に日本に侵略してくるか、そこまでもいかなくても、揺さぶりをかけてくるのは必定です。揺さぶりならあの韓国も当然かけくるでしょう。そのようなときに、日本はこれらの要求に屈服せざるを得なくなる立場になるでしょう。

今まで米国に守られて平和だった日本は、平和ボケでそのような経験はなく、日本は、恥辱に塗れることになるかも知れません。そのようなことは、日本人にとっては、久しくなかったことなので、多くの日本人が強い強い憤りを覚えることになるかもしれません。


そうなってしまってからでは、手遅れです。日本が平和を享受し続けるためには、国防に真剣に取り組まねばならないのです。

憲法を改正して、自衛隊を他の先進国と同じような軍として扱えるようにすること、世界中のほとんどの国では当たり前の、自国は自国の軍隊で守れるようにすることを急がなければならないです。

トランプ大統領の圧力を良い機会として日米安保を破棄するのではなく、もっと公明正大なものとし、それによって対米依存度を減らし、日本人としての自尊心も回復すべきです。

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