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2018年4月14日土曜日

【シリア攻撃】米英仏がシリア攻撃 化学兵器施設にトマホーク、トランプ米大統領「邪悪で卑劣」―【私の論評】米国の真の意図はアサド政権と反政府勢力とを拮抗させ続けること(゚д゚)!

【シリア攻撃】米英仏がシリア攻撃 化学兵器施設にトマホーク、トランプ米大統領「邪悪で卑劣」

シリアへの軍事攻撃が始まり、首都ダマスカス上空を飛ぶミサイル

   トランプ米大統領は13日夜(日本時間14日午前)、シリアのアサド政権が同国の首都ダマスカス近郊・東グータ地区で化学兵器を使用したと断定し、米軍に化学兵器関連施設への精密攻撃を命じたと発表した。英国、フランスとともに米東部時間午後9時から複数の施設に対する攻撃を実施した。化学兵器使用を理由にした同政権への攻撃は昨年4月に次ぎ2回目となる。

 ロイター通信は、攻撃には巡航ミサイル「トマホーク」が使われたと報じた。また、シリア人権監視団(英国)の話として、ダマスカスのシリア軍基地や科学研究施設が攻撃されたとしている。シリア軍は13発のミサイルを撃ち落としたと主張しているという。

シリアのアサド政権への攻撃指示を発表するトランプ米大統領=13日、ワシントンのホワイトハウス

 ダンフォード米統合参謀本部議長は記者会見で、攻撃対象は化学兵器開発関連の研究施設や貯蔵施設とした。BBC放送などは英空軍の攻撃機トーネード4機がシリア中部ホムスの西約24キロの軍施設を巡航ミサイルで攻撃したと伝えた。英国防省は攻撃が「成功したとみられる」との暫定評価を明らかにした。

 トランプ氏は攻撃は化学兵器の生産、拡散、使用の抑止が目的で、「アサド政権が化学物質の使用を中止するまで対応を続ける」と述べた。マティス国防長官は攻撃は「1回限り」としたが、再使用があれば攻撃するとの認識を示した。

 また、トランプ氏は、シリアの行動を「邪悪で卑劣な行為」だと強く非難。「怪物による犯罪だ」とアサド大統領を批判した。アサド政権を支援するロシアも同政権の化学兵器使用に責任があると指摘した。

 英国のメイ首相は声明で、攻撃以外に「選択肢がなかった」と強調。攻撃はシリアの体制転換を目指すものではないとも説明した。フランスのマクロン大統領も、米英とともにシリアの化学兵器工場への攻撃を実施したと発表した。

 トランプ氏は化学兵器使用疑惑を受け、アサド政権やその後ろ盾のロシア、イランに「大きな代償」を払わせると警告し、9日午前の閣議で「48時間以内」に重大な決断をするとしていた。トランプ政権は昨年4月にも猛毒の神経剤サリンが使われたとして、化学兵器の保管場所とされたシリア中部の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃した。

8日東グーダで化学兵器によって攻撃を受けたとみられる子どもが治療を受けている

 アサド政権は化学兵器使用を否定しているが、マティス米国防長官は13日夜の記者会見で、東グータでの攻撃について「塩素剤が使用されたと確信している。サリンの可能性も排除しない」とした。ホワイトハウスも、ヘリコプターから「たる爆弾」で塩素剤が投下され、サリン使用時にみられる症状も確認されたとする報告書を発表した。

【私の論評】米国の真の意図はアサド政権と反政府勢力とを拮抗させ続けること(゚д゚)!

米軍のシリア攻撃については、昨日その可能性やその後の推移について掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる―【私の論評】今後の攻撃はアサド政権を弱体化させ、反政府勢力と拮抗させる程度のものに(゚д゚)!
シリアの首都ダマスカス。アサド大統領のポスターの前で警備に当たるロシア軍とシリア軍兵士
この記事を掲載したまさに次の日にイラク攻撃が実際に行われました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではイラク攻撃がどのような規模になり、その後はどうなるかを掲載しました。以下にその内容の要約を以下に掲載します。
1.米国がイラクに軍事攻撃を仕掛けたにしても、アサド政権が勝利しようと、反政府勢力が勝利しようと、米国に勝利はない。なぜなら、反政府勢力が勝利しても、反米政権を樹立するか、いままで以上の内乱状況に陥るだけであり、いずれにしても米国にとって良いことにはならない。 
2.現在は、ロシアがシリアの後ろ盾になっているので、アサド政権ができたばかりの頃よりは、複雑になっているが、1.で述べたことに関しては、基本的に同じである。 
3.このような状況に対して米国にとって最も良い戦略は、まずは今回比較的大規模な攻撃を行い、アサド政権を弱体化させ、反政府勢力と拮抗させる。その後は、アサド政権が強力になれば、反政府勢力に武器を与えて、拮抗させる。反政府勢力が勢いづけば、今度は反政府勢力に武器を提供することをやめて、アサド政権と拮抗させる。反政府勢力側に兵器の供給を武器として使う「オフショア・バランシング」的なやり方をする。 
4.ロシアのさらなる介入を心配するむきもあるが、これはさほど心配するにはあたらない。確かに脅威であることには違いなく、ロシアは決して侮れるような相手ではないが、現在のロシアは経済の規模は韓国とあまり変わりがなく、そのGDPは東京と同程度である。しかし、東京都程度のGDPの国が米国と戦ったとして、いかに軍事力が強力であっても最終的に勝ち目はない。そのため、米国がたとえイラクでどのような軍事オプションを選択しようとも、ロシアがそれに対して直接ぶつかることは避ける。
さて、上記の予想を裏付けるようなことがすでに、米国やロシア等から表明されています。まずは、マティス国防長官は攻撃は「1回限り」としましたが、再使用があれば攻撃するとの認識を示しています。

アサド政権と、反政府勢力を拮抗させようと目論見以上の何かがあれば、「1回限り」などとは公表しません。アサド政権の化学兵器を放置しておけば、アサド政権の力強まり、反政府勢力を圧倒して、アサド政権が反政府勢力を駆逐することになります、今回の攻撃はそれを防ぐためです。さらに、人道的にも化学兵器は良いことではありません。

次にロシア側からは、今回の米英仏攻撃に関して強烈な批判を表明していますが、それ以上のことは表明していません。その気があれば、強烈な批判だけではなく、何らかの表明があったはずです。

今回は、英仏も攻撃に参加していますが、英仏にとっても、アサド政権と反政府勢力のいずれが勝利したとしても、米国と同じく勝利に結びつくものではないので、基本的に立場は米国と同じです。英仏もアサド政権と反政府勢力の拮抗以上のことを望んではいません。

今後、アサド政権の力が弱まったことを確認すれば米国は静観するでしょう。弱まらないことが確認されれば、さらに米国は反政府勢力に武器を与えるなどのことをするでしょう。ただし、武器を与えすぎて、反政府勢力がさらに勢力を増し、アサド政権を圧倒するまでには至らないでしょう。

当面は、両者を拮抗させ、様子を見るというのが、現在の米国の対イラク戦略とみるべきです。現状もし、拮抗せずに、アサド政権がシリア全土を掌握すれば、これは米英仏の脅威になりますし、アサド政権が崩壊すれば、反政府勢力が互いに争いさらなる混沌をうみだすことになります。その過程で、英米仏へのテロも多発することになりかねません。さらに、反政府勢力のいずれかの勢力が政権を掌握したにしても、反米英仏政権になるのは間違いありません。

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2017年11月20日月曜日

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討―【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討


 政府は、地上の目標を攻撃できる巡航ミサイルを開発する方向で検討に入った。

 防衛省が2018年度から研究を始める予定の対艦ミサイルに対地攻撃能力の付加を計画しているもので、日本が対地巡航ミサイルを本格的に開発するのは初めてとなる。敵に占領された離島の奪還が主目的だが、敵基地攻撃も性能上は可能で、北朝鮮への抑止力向上にもつながる見通しだ。

 巡航ミサイルは搭載したレーダーなどによって攻撃目標に向かう精密誘導兵器で、弾道ミサイルが放物線を描いて上空から飛来するのに対し、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行する。米国の「トマホーク」と共通点が多いことから、防衛省内では開発するミサイルを「日本版トマホーク」と位置付けている。

【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

上の記事にでてくる、米軍の「トマホーク」とは、全長:5.56m、直径:0.52m、速度:時速880km、射程:3000kmといわれています。

「トマホーク」は主にレイセヨン社が開発した巡航ミサイルであり、高い性能と実績を持っています。開発は1970年代にスタートして、1980年から対地・対艦攻撃用の兵装として前線に配備され始めました。トマホークミサイルは使用する目標によって主に二種類あり、対艦攻撃用、対地攻撃用に分類されます。

通常のミサイルは射程は150~200kmぐらいですが、速度はかなり速いです。トマホークの場合は速度は比較的遅いものの、北海道の最北端の稚内から九州までは余裕で飛んでしまうということになります。さらに、かなり低空で飛行するため敵のレーダーに発見されにくいです。

それほどの距離を飛ばすだけでも凄いですが、誘導させて3000km先の標的に命中させることができます。

この巡航ミサイルは、デジタル式情景照合装置を使い、最終的に誤差10mまでの精度で命中させるとのことです。とはいいながら、誤爆も多いと聞きます。

これはどうやら狙った建物などの標的に、子供などの民間人がいて巻き添えを食らったため、結果的に誤爆という報道に繋がっているようです。精度は高いのでしょうが、結果的には敵のみをピンポイントで狙うということはかなり難しいことのようです。

飛行するトマホーク
トマホークミサイルは様々なバリエーションがあるため、その威力も多岐にわたります。弾頭を変更できるので、破壊力は搭載されている種類によって変わります。核搭載型もあります。

対艦攻撃型弾頭は着弾による破壊と延焼で艦の機能を喪失させる能力を持っていました。その破壊力は凄まじく、1発で通常の艦艇はもちろんのこと、大型艦も戦闘不能に陥ります。

現在運用されている対地攻撃型の中には通常弾頭の他に戦車や装甲車などの車両を広範囲で破壊するために子爆弾を100個以上内蔵したものがあります。広範囲にわたって甚大なダメージを与えることができます。さらに、地下の目標を攻撃するための強化徹甲弾頭を搭載したものもあり、地下陣地の破壊などに使用されます。

このように地上攻撃型は陣地や車両を破壊するには十分な威力があり、軍事施設も機能を喪失させることが可能です。実際にアメリカ軍が対地攻撃に使用する時は、1、2発とかではなくかなりの数のトマホークを発射するので破壊力は凄まじいものになります。

以下に、湾岸戦争の開始以来、米軍が発射したトマホークの数を国別に表示した表を掲載します。


トマホークミサイルの値段は搭載する弾頭によっても違いますが、約1億円といわれています。2017年4月にアメリカがシリアを攻撃した時に打ったトマホークミサイルの数は59発です。これだけで60億円です。日本で開発するとしても、そんなには変わらない額になることが予想できます。

日本が日本版トマホークを開発することは、北朝鮮への抑止力になる事であり大賛成です。そうして、何よりも良いのは、ミサイルなので、北朝鮮などの敵を攻撃するにしても戦闘機で空爆するのとは異なり、人的被害がおさえられるというのが、良いです。

このブログでアメリカの戦略家である、ルトワック氏による日本の北朝鮮への対応は、先制攻撃か降伏しかないという内容を掲載したことがあります。ルトワック氏は、中途半端な対応は、許されないし、北朝鮮の誤解をまねくだけになるとしています。

中途半端な態度を取り続ければ、降伏したつもりはないのに、北は降伏したものとうけとり、日本に無理難題を押し付けくる可能性もあるのです。

そんなことにならないためには、日本は現実的な対応力として、北の拠点を攻撃する能力を持つべきだとルトワック氏は主張しています。

その一つの方法として、既存の戦闘機に装備品を買い足せば、あまり費用をかけることもなくすぐにも北朝鮮に対する先制攻撃ができるとしています。

北の防空体制は、無きに等しいので、実際これでも可能なのでしょう。そうして、これが北朝鮮に対する抑止力にもなるわけです。

さらに、日本がトマホークを開発すれば、戦闘機などと異なり、戦闘によって人を失うという危険性がさらにへるわけです。

このブログでは、先日、日本も数ヶ月以上も自力で巡航できる、水中ドローンや空中ドローンを開発すべきことを主張しました。これらと、日本製のトマホークや既存の戦闘機、艦艇などと有機的にネットワークで結びつければ、かなりの戦力になると予想されます。

米国の軍事用ドローン
日本は、日本独自の軍事力を持つべきです。日本や、敵国の人員をなるべく殺傷せずに、それでいて効果的にピンポイントで敵の要衝を攻撃して、戦闘力を奪うというような方式の新たな軍事力をもつべきです。

そのためにも、トマホークは役に立つと思います。「はやぶさ」などの高度な遠隔操作技術を持つ日本が、本格的にこれに取り組めば、日本がさらにピンポイントで正確に敵の標的を攻撃できるようになり、敵の戦闘員を殺傷することを最低限にしつつ、ミッションを遂行できるものを開発できる可能性が高いです。

それにしても、日本がトマホークを持つということになれば、それはルトワック氏がいうように日本が先制攻撃能力を持つことを示していることになります。日本がそのつもりではなくても、北朝鮮や中国はそう受け取ります。そうして、かなりの抑止力になることが期待できます。

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2017年9月3日日曜日

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も ―【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

米国で沸き起こる強硬論「平壌上空にトマホーク」 北の相次ぐミサイル発射に米有力紙「日本の核武装」容認も 

B-1戦略爆撃機「ランサー」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「核・ミサイル」で暴走を続ける北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権に対し、米国の一部で強硬論が沸き起こっている。シンクタンクの研究員は、北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)上空に巡航ミサイルを飛来させるべきだと提案。米有力紙は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射が「日本の核武装」を認めることにつながると指摘した。日米韓の軍事的連携が再確認されるなか、米国内で強硬世論が高まれば、ドナルド・トランプ政権が軍事オプションを選択する可能性もありそうだ。 

 「(日米が緊密に連携して)目に見える形で圧力をさらに強める」

 小野寺五典防衛相は8月31日午前、ジェームズ・マティス米国防長官と電話で会談し、北朝鮮が日本列島を越える弾道ミサイルを発射したことを受け、このような方針で一致した。

 同日午後、航空自衛隊のF-15戦闘機2機と、米国領グアムを発進した米空軍のB-1戦略爆撃機「ランサー」2機、米軍岩国基地(山口県岩国市)のF-35最新鋭ステルス戦闘機4機とともに、九州周辺空域で共同訓練を実施した。

F-35最新鋭ステルス戦闘機
 米軍機はその後、朝鮮半島上空に展開。韓国軍のF-15戦闘機4機とともに北東部江原(カンウォン)道の訓練場で、北朝鮮の重要施設の破壊を想定した攻撃訓練を行った。朝鮮半島上空への米軍のB-1、F-35の同時展開は初めて。

 B-1は、敵地に超音速(マッハ1・2)で侵入し、精密誘導爆弾「スマートボム」や、地中貫徹爆弾「バンカーバスター」などで、地上や地下の主要軍事施設をピンポイントで破壊できる。「死の白鳥」とも呼ばれ、「北朝鮮にとって、これ以上ない恐怖」(軍事専門家)といわれる。

 F-35は、高いステルス性と高度なレーダーなどを兼ね備えた第5世代型の戦闘攻撃機。北朝鮮のミグ29戦闘機(第4世代型)を一瞬にして壊滅でき、移動式のミサイル発射車両を一気に攻撃できる実力を持つ。

 米国内では、さらなる強硬論を説く声もある。

 朝鮮日報(日本語版)は30日、《「平壌上空を通るミサイルを放つべき」米の一部に強硬論》というタイトルの衝撃的な記事を掲載した。

 記事によると、米シンクタンクの専門家から「軍事的攻撃ではなく『軍事的行動』が必要。米国には日本海の公海上から巡航ミサイル『トマホーク』を発射し、平壌上空を経て黄海の公海上に落下させるという方法がある」との指摘が出ているというのだ。

 トマホークは、核弾頭が搭載可能で、潜水艦や艦艇から発射できる。命中精度の高さと、射程(約2500キロ)の長さが際立っている。

トマホーク
 トランプ氏は今年4月、中国の習近平国家主席をフロリダ州パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」に招いた際、夕食会のデザートを食べながら「たった今、シリアに59発のミサイルを撃ち込んだ」と伝え、習氏を絶句させている。

 トマホークの平壌襲来は、暴挙を繰り返す正恩氏を正気に戻させる一案かもしれない。ただ、日本海から北朝鮮・平壌を通過して黄海にミサイルを落下させれば、その背後にある中国を刺激することは確実である。

 米国では「日本核武装論」も指摘され始めた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説を掲載した。

 社説は、北朝鮮の弾道ミサイルに触れ、次のように記した。

 「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことをあらためて促すものだ」

 「東アジアが中東に続いて核拡散の新時代を迎えれば、世界の秩序に深刻なリスクをもたらす。それもあって、核ミサイルを持つ北朝鮮を黙認することはあまりに危険なのだ」

日本のロケットはすぐにでもICBMに転用できる
 確かに、米国の一部には「日本の核武装」を奨励する声もある。トランプ氏自身、昨年3月、米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューに、「日本と韓国の核兵器保有容認」を語っていた。

 ただ、日本は唯一の戦争被爆国であり、国民の間には強い核アレルギーが存在している。世界有数の高い原子力・ロケット技術を持っているが、核拡散防止条約(NPT)に加盟しており、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則もある。

 このため、日本は米国の「核の傘」に頼ってきた。

 米国内には当然、「日本の核武装」に猛烈に反対する声も多い。そう簡単に実現するとは思えないが、米国内で容認論が再浮上するほど、正恩氏の暴走は突出しており、北朝鮮情勢は緊迫しているともいえる。

 北朝鮮は核兵器完成間近で、日本のほぼ全土を射程内に入れる弾道ミサイル「ノドン」を数百発も配備している。「東京を火の海にする」などと公言し、日本の了解も得ずにミサイルを5回も上空に飛来させている。日本を取り巻く安全保障環境は激変している。

 米国と北朝鮮は「水面下接触」も指摘されているが、双方とも相手を信用できず、軍事衝突に発展する可能性もある。

 ともかく、左派メディアや左派政党の「平和ボケ」した議論ではなく、国民の生命と財産を守るための現実的な議論が必要だ。

【私の論評】北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は実現に一歩近づく(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事には、米紙ウォールストリート・ジャーナル(日本語版)は8月31日、《日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認》との社説が掲載されていたことを掲載していました。

この内容に近い内容のものをこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北ミサイル発射】日本列島通過 北海道襟裳岬沖の東1200キロに落下 「これまでにない深刻かつ重大な脅威」 安倍晋三首相 日米電話首脳会談開催 国連安保理に緊急会合を要請―【私の論評】北朝鮮を放置すれば中国、ロシアのアジアでの覇権を強めることに(゚д゚)!

この記事は、先月29日午前、北朝鮮が同日午前5時58分ごろ、北朝鮮西岸から弾道ミサイル1発を北東方向に向けて発射し、北海道・襟裳岬上空を通過した後、6時12分ごろ、襟裳岬東方約1180キロメートルの太平洋上に落下した日に掲載したものです。

この記事では、日本が核武装をする前提条件として、米国が北朝鮮の核ミサイルを放置し、結局北朝鮮を核保有国として認めてしまった場合を想定しました。

もしそうなれば、日本は核武装せざるを得なくなります。その理由に関する部分のみをこの記事から引用します。
もし、このままアメリカが北の核・ミサイル開発を無視し続け、オバマ政権の時のように、威勢よく非難はするものの、その他に何もしないとしたら何が起こるのでしょう。そうして、北朝鮮に対する軍事行動を永遠にためらい続け、ついに北がワシントンに届くICBMを完成させ、実戦配備したらどうなるのでしょうか。 
それは2年以内になるといわれていますが、本当にそうなったときは、完全に手遅れです。北がいくらSLBMと戦略爆撃機を持っていないないとしても、ある程度の「相互確証破壊」は成立してしまうことになります。 
ちなみに「相互確証破壊」とは、核戦略に関する概念・理論・戦略のことです。 核兵器を保有して対立する2か国のどちらか一方が、相手に対し核兵器を使用した場合、もう一方の国が先制核攻撃を受けても核戦力を生残させ核攻撃による報復を行うことです。 
そうなると、その先は、何が起ころうとアメリカは北と戦争がかなりしにくくなります。 
そうなれば、アメリカの権威は完全に失墜します。アメリカの世界覇権に穴が空き、パックスアメリカーナは消滅。世界中の反米国国はもとより普通の国家まで、北朝鮮がやったことを「学習」することになります。 
多くの国が、「この世界は結局力だ。核を持った者が勝つ」と認識することになります。こうして、現在でも有名無実になっているNPT(核兵器の不拡散に関する条約)体制は完全崩壊します。 
そうなってしまえば、世界は、まさに弱肉強食の世界になってしまいます。 核保有国の天下となり、世界から「公正」「正義」「自由」「人権」などという価値観はなくなり、「法と秩序」は消滅します。 
トランプ大統領には、こうしたことに対する自覚や、これを本気で防ごうという責任感は、あるのでしょうか。 
北朝鮮とアメリカに相互確証破壊が成立すると、アメリカは北の核を事実上容認してしまうことになり、日本に対するアメリカの核の傘は自動的に消滅することになります。なにしろ北が核で日本を脅かしても、アメリカはいままで以上に手出しができなくなります。日米同盟は無力化する可能性もあります。 
そうなれば、金正恩のやりたい放題です。日本は北朝鮮に土下座外交をするしかなくなります。経済制裁などとんでもないことになります。脅かされてもバックにアメリカがいないのですから、従うしかなくなります。韓国も同じです。 
そうなると、中国も北朝鮮と同じ態度をとることになります。尖閣など、あっと言う間に中国領になるでしょう。日本は、尖閣どころか、沖縄本島さらには西日本まで、中国の脅威にさらされることになります。 
沖縄本島を中国が手にしてしまえば、さっそく弾圧が始まります。とくに、沖縄基地運動に反対してきた連中は、権力に反逆するものとして、真っ先に弾圧され、拘束されることになります。そうして、沖縄では永遠に反基地運動などやりたくてもできなくなります。沖縄地方二紙もあっという間に廃刊です。 
金正恩と習近平は、韓国からのアメリカ軍の撤退を要求することになるでしょう。韓国は、北の支配下に入ると見て間違いないです。そうして、次の段階では、北と中国が、日本から米軍が撤退することを要求することになります。 
北と中国の覇権がアジアに全域に及ぶ状況が予想されることになれば、ロシアも黙ってはいないでしょう。ロシアも何らかの形で、アジアに進出してくる可能性もあります。朝鮮半島は、中国、ロシア、北朝鮮によって分割統治されることになるでしょう。日本は北方領土どころか、ロシアに道東を実効支配されることになるかもしれません。
このようなシナリオは十分に考えられます。 一度米国が北朝鮮を核保有国として認めてしまえば、様々な紆余曲折があったにしても、最終的にはこのシナリオどおりになることでしょう。

このようになることを防ぐためには、日本は核武装するしかなくなります。日本が核武装したとすると、アジアの安全保障状況は随分と変わります。アジアは日米の軍事力によって、新たな秩序ができあがり、北の核ミサイルは無効化され、中国は今以上に南シナ海や東シナ海に進出することを諦めるでしょう。ロシアも、アジアへの介入などは考えなくなります。新たに北方領土返却の話が進展するかもしれません。

このような筋書きは私のような素人でも考えるし、米国のWSJ紙でもそのような社説を掲載するのは当然のことと思います。本気で日本の安全保障の問題を考えれば、このような考えが出るのは当然のことです。WSJ紙も日本でこのような声が出ることは当然と考えて、今回の社説を出したのだと思います。

本日は、さらに北朝鮮が核実験を行っています。金正恩が「アメリカの行動を見守る」と発言すると、日本のメディアや識者の中には「トランプ大統領が北朝鮮を煽っている」とか「安倍首相は圧力だけでなく対話をするべき」と日米首脳を批判していましたが、今回6回目の核実験を強行した事を見ても、北朝鮮が対話に応じる気がない事は明らかです。

そう考えると今後、選択肢は2つです。米国が何らかの軍事行動を起こすか、さもなくば日本や韓国が核武装するかです。

もし、北朝鮮の核開発を米国がなんとしてでも止めようという行動を起こさない限り、現状ではたとえ不可能と見えても、日本は核武装の道を歩むことになるでしょう。

安倍晋三氏は2002年に早稲田大学で行われた講演会で「戦術核の保有や使用は違憲ではない」とぶち上げ、それを『サンデー毎日』に報じられて批判を浴びたことがあります。


そうして、ノーベル平和賞を受賞した安倍首相の大叔父である佐藤栄作もまた、核武装論者でした。1964年の東京オリンピックのさなかだった10月18日、中国が核実験に成功し、首相就任を翌月に控えていた佐藤は、ますます日本も核武装する必要がある、と強く確信するようになりました。そして、65年1月の首相としての初訪米を前にした64年12月29日のライシャワー駐日大使との下打ち合わせで、核武装論を語ったといわれています。

しかし、広島と長崎に原爆を落とされ、大きな被害を受けた日本国民は、佐藤が首相だった頃から核武装反対の世論が強かったし、米国も日本の核武装を好みませんでした。

しかし、これからは日本は変わって行く可能性が大です。そもそも、米国から日本核武装論が出るようになりました。北朝鮮が暴れまくるほど日本核武装論は現実味を増し、実現に一歩近づくことでしょう。

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2017年4月21日金曜日

半島に米原潜など50隻集結! 金正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況―【私の論評】世界最大の原潜「ミシガン」がなりを潜めている!トランプ大統領は本気だ(゚д゚)!

半島に米原潜など50隻集結! 金正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況

世界最強の攻撃型原潜、米海軍のバージニア級 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
朝鮮半島の周辺海域で「水面下の戦い」が繰り広げられている。米国と北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシアなどの50隻前後とみられる潜水艦が、息を殺して、お互いをけん制しているのだ。ドナルド・トランプ米大統領は「無敵艦隊を派遣した。空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に警告した。水中から巡航ミサイルのターゲットにされた正恩氏は、「6回目の核実験」を強行できるのか。

 「アジア太平洋地域の平和と安全にとって、北朝鮮は最も危険で差し迫った脅威だ」「われわれはいかなる攻撃をも打ち負かし、通常兵器や核兵器が使用された際にも、米国は圧倒的かつ効果的に対応する」

 マイク・ペンス米副大統領は19日、米軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に停泊中の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦上で、米兵や自衛隊員らを、こう強く激励した。

ロナルド・レーガンの艦上で、米兵や自衛隊員らを激励したマイク・ペンス米副大統領
 北朝鮮は来週25日の「建軍節」(朝鮮人民軍創建記念日)に合わせて、「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射」を強行する可能性が指摘されている。

 いずれも、トランプ政権が設定する「レッドライン」(越えてはならない一線)といわれ、北朝鮮が暴挙に踏み切った場合、トランプ氏は「斬首作戦」「限定空爆」を命じることも示唆している。北上が遅れていた原子力空母「カール・ビンソン」も、25~28日頃には朝鮮半島近くの日本海に到着する見込みだ。

 中国の習近平国家主席は、トランプ氏がシリア攻撃で見せた覚悟を受けて、北朝鮮の暴発を押さえ込もうと、さまざまなチャンネルで交渉を試みているとされる。

 朝鮮半島をめぐる神経戦が続くなか、周辺海域では「究極のステルス兵器」といわれる潜水艦の情報が相次いでいる。

 ペンス氏が韓国を訪問し、北緯38度線の非武装地帯(DMZ)視察した17日、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦「シャイアン」が、米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)がある同港内で一時浮上し、約45分間で海の中に消えたという。フジテレビが同日伝えた。

 シャイアンはロス級62番艦で、2003年に始まった「イラクの自由作戦」(イラク戦争)に参加し、最初に巡航ミサイル「トマホーク」を打ち込んだ攻撃型潜水艦として知られる。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「シャイアンは、イラク戦争で戦果を挙げた。実戦経験のある主力艦を見せつけることで、北朝鮮や中国を威圧する狙いがあったのだろう。佐世保に寄港し、「トマホーク」を補給した可能性もある。浮上したのはシャイアンだけだが、米軍は朝鮮半島の周辺海域に、複数の攻撃型原潜を展開しているはずだ」と分析した。

 米軍は、北朝鮮のICBM発射などに備え、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦16隻を周辺海域に展開しているとの情報がある。加えて、数十発の巡航ミサイルを搭載した攻撃型潜水艦も周辺海域に潜んでいるようだ。

 北朝鮮の首都・平壌(ピョンヤン)と、朝鮮半島西側の黄海は50キロ程度しか離れていない。潜水艦からのミサイル攻撃は秘匿性があり、敵に探知されにくいため打撃力がより高まる。正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況といえる。

 当然、北朝鮮の潜水艦や潜水艇も潜行しているはずだ。そして、「血の友誼(ゆうぎ)」を結ぶ中国軍も動き出した。

 韓国・中央日報(日本語版)は14日、中国海軍の北海艦隊と東海艦隊が潜水艦を10隻ずつ、朝鮮半島の周辺海域に急派したと伝え、狙いについて以下のように伝えた。

 《中国軍は(中略)戦争勃発の可能性に備えている》《米国と北朝鮮の武力衝突が発生する場合、最初に米軍は、韓国と日本に脅威となる(水中からミサイル『北極星1号』を発射した)北朝鮮『新浦(シンポ)級潜水艦』を打撃する。(中略)中国海軍は新浦級潜水艦を監視追跡する》

北朝鮮『新浦(シンポ)級潜水艦』
 前出の世良氏は「米韓合同軍事演習が始まってから、中国は朝鮮半島周辺に潜水艦を派遣している。米軍艦船が集結するなか、潜水艦の作戦遂行に欠かせない各艦のデータを集める狙いだろう。中国海軍が20隻派遣しているなら、米海軍も同程度の派遣をしている可能性がある」と語った。

 米国と中国が20隻ずつ計40隻前後とすれば、北朝鮮や韓国、日本、ロシアなどの潜水艦も合わせれば、周辺海域に50隻程度が静かに集結している可能性もある。まさに、各国艦が海中でにらみ合っている状況だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「潜水艦は極めて秘匿性が高く、当局者ですら知らないことがある。緊迫した情勢下では、さまざまな情報が出てくる。火のないところに煙は立たない。何らかの動きの片鱗(へんりん)であり、1つ1つの事実を積み上げていくしかない。水面下での神経戦は今後も続くだろう」と語った。
【私の論評】世界最大の原潜「ミシガン」がなりを潜めている!トランプ大統領は本気だ(゚д゚)!

さて、上の記事では、北朝鮮、韓国、日本、ロシアなどの潜水艦も合わせれば、周辺海域に50隻程度が静かに集結している可能性があると掲載されていました。

当然といえば、当然でしょう。日本の潜水艦も間違いなく、潜伏していることでしょう。そうして、このブログでも過去に何度かこのブログに掲載してきたように、日本の潜水艦は世界一ステルス性が優れているため、米軍は別にして、北朝鮮、中国、ロシア側にはいつさいその位置を知られることなく、隠密裏に行動し、哨戒活動などにあたっていることでしょう。

そうりゅう型5番艦 SS-505ずいりゅう
これに対して、北朝鮮の潜水艦のステルス性などとるに足らないほどの性能の低さであり、日米は北朝鮮の潜水艦の行動を丸裸にでもしたような状態で逐一把握していることでしょう。日米の潜水艦隊にとっては、北朝鮮の潜水艦は赤子の手をひねるように簡単に撃沈できます。SLBMを発射するような不穏な動きを見せた途端に、あっと言う間に撃沈してしまうことでしょう。

さて、その他にも、日本の哨戒機なども、哨戒活動にすでにあたっている可能性もあります。日本の哨戒機などの哨戒活動もこのブログに何度か掲載してきたように、世界トップクラスの水準であるため、これも使わない手はないはずです。すでに以下のようなニュースも伝わってきています。

日本の対潜哨戒機P3C
韓国国防省によると、韓国南部の済州(チェジュ)島沖の公海で今月3日、日米韓による北朝鮮の潜水艦を探知、追跡する合同訓練が始まりました。3カ国合同での訓練は初めてでで、5日まで行われました。 
訓練には、海上自衛隊から護衛艦「さわぎり」とP3C哨戒機、ヘリが、米韓海軍からはイージス駆逐艦やヘリ、哨戒機などがそれぞれ参加。北朝鮮の潜水艦が海域に展開していることを想定した上で、これを探索、識別、追跡し、3カ国で情報を交換します。北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発などを進めていることに対応するため計画されました。 
護衛艦「さわぎり」
韓国国防省では、今回の訓練が昨年12月の日米韓防衛実務者協議で話し合われてから初の実施であるとしており、北朝鮮の核とミサイルの挑発に対し3カ国の強力な対抗姿勢を示すものであることを強調しています。
その他米国からは、北朝鮮有事にあわせて、普段はなかなか見られないような様々な艦船や航空機が日本に来ています。以下に、それを掲載します。無論これは、軍事行動なので、直接米軍が公表したものではありません。たまたまそれを発見したマスコミなどが分析してわかったものです。

まずは、コンスタントフェニックスという航空機です。これは先日日本の沖縄嘉手納基地に展開されたばかりです。


この航空機の胴体の「UNITED STATES AIR FORCE」の文字の下に出っ張りが付いています。 高い高度を飛びながらこの部分から空気を取り入れます。この中にフィルターがあって、空気中のこまかい塵を集めます。

その塵の中には、核実験で発生した生成物質があるかもしれません。あるいはアルゴンとかラドンとかの放射性のガスがあるかもしれません。

そういった物質がどういう種類でどのくらいの割合で出てきているかを調べると元の核爆弾はウラニウムなのかプルトニウムなのか、どちらにせよどのくらいうまく爆発したのか、あるいはあんまりうまく爆発しなかったのかなどを分析できるのです。これは世界に2機しかありません。コンスタントフェニックスは飛びながらその微粒子を機内ですぐに、ある程度分析する能力もあります。

さて、さらに珍しい船が沖縄と横浜で確認されています。


上の写真は、沖縄の那覇軍港に停泊する、「Cチャンピオン」というアメリカ海軍の特殊部隊「シールズ」の訓練支援用の船です。この船自体は民間の船ですが、アメリカ海軍が雇って使っています。船の後ろの部分に赤いクレーンのようなものがあって、そこに今は一隻RHIBっていう高速ゴムボートを積んでいます。

ある書籍によると、アメリカ海軍特殊部隊シールズが敵地に潜入する時に使う特殊作戦用小型潜水艇SDVが積まれることがあるというのですが、この写真では確認できません。

しかし、この船が来ているということは日本の周辺で海軍特殊部隊シールズが何かの訓練をしているということを、うかがわせます。確かに米韓演習ではこの船が上陸演習も実施しています。日本でも、シールズが海から陸に上陸し海岸を偵察してくるような演習をやっているのかもしれません。いずれにせよ、今ネイビー・シールズが日本周辺にいるのかもしれないという事実を示すものかもしれません。

さて、次は横浜で発見された艦船です。


これは、アメリカ海軍の遠征ドック型輸送船「モントフォードポイント」という船です。変わった形をしています。

真ん中を削ったような形をした船ですが、この船が何をするかというと、まず、沖合で他の船に横付けして戦車とかトラックとか車輌をおろします。さらにLCAC(エルキャック)という上陸用のホバークラフトを搭載していて、そのLCACに戦車やトラックを乗せて、LCACがモントフォードポイントから発進して海岸まで運ぶのです。

つまり港のないところでもモントフォードポイントがあると戦車やトラック、あるいは兵士を陸揚げすることができるのです。

つまりこの船は、上陸作戦の支援用のとても大きな船なのです。LCACが3隻ぐらい乗ります。輸送用のホバークラフトLCACはモントフォードポイントが船体を傾けることで船上から海上に移動させることができます。

モントフォードポイントは「動く海岸」のようなものです。この船が傾き、下のイラストのようにのにLCACというホバークラフトがこの船を海岸に見立てて行き来できるのです。この船の中にはタンクが42個あってタンクに水を入れることで傾きを調整するようになっています。全長240mもあります。


さて、アメリカのトランプ大統領がFOXビジネスネットワークの番組、「モーニングス・ウィズ・マリア」で自ら空母派遣について言及しました。

ブログ冒頭の記事にもあるように、トランプ大統領は、この番組の中で対北朝鮮問題にふれ「我々は無敵艦隊(カール・ビンソン打撃群)を送りつつある。とても強力だ。我々は潜水艦も保有している。大変強力で空母よりももっと強力なものだ。それが私の言えることだ」と発言していました。そうしてカールビンソンはまもなく朝鮮半島周辺のいずれかの海域に到着します。

この番組で、空母より強力な潜水艦というのはどんな潜水艦なのか、トランプ大統領が具体的に何を言っているのか断定はできませんが、アメリカ海軍は4隻、太平洋側と大西洋側に2隻ずつ改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦を持っていますおそらくそれを意味するものと思います。

さて、「ミシガン」というオハイオ級原子力潜水艦もブログ冒頭の記事にある、朝鮮半島付近の海域に展開されていることが考えれます。この潜水艦は特殊部隊シールズを乗せることができるだけでなく、巡航ミサイルのトマホークを1隻で最大154発、水中から連射できるのです。

オハイオ級原子力潜水艦はアメリカ海軍が現在保有する唯一の戦略ミサイル原子力潜水艦(以下SSBNと表記)です。西側諸国で最大の排水量を誇る潜水艦であり、また全長と弾道ミサイル搭載数は現役の潜水艦で最大です。

先日のシリアの攻撃の時に駆逐艦2隻で発射したトマホークの数が59発だからその規模がとんでもないことがわかります。下の写真は、水中のハッチが開いて7つある発射口からトマホークが高圧空気で押し出されるところです。


このあと水上に飛び出してロケットに点火、水上すれすれを飛んで目標に向かいます。太平洋上には「オハイオ」と「ミシガン」が展開されているのですがオハイオは先ごろアメリカ本土でドック入りしたんで、今動いているとすればこのミシガンのはずです。

しかし潜水艦は、もともと隠密裏に動くものですから、米国もこの潜水艦が今どこにいるかなど公表しておらず、今どこで何をしているのか正確なことはわかりません。しかし、この潜水艦が付近に潜伏している可能性は十分あります。

ドック入りした改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦「ミシガン」 その巨大さがわかる
ブログ冒頭の記事では、ロサンゼルス級原子力潜水艦「シャイアン」が米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)がある同港内で一時浮上し、約45分間で海の中に消えたという事実を伝えていますが、「ミシガン」はこれを上回る大きなものであり、私自身は、トランプ氏が発言した「空母より強力な潜水艦」はこちらのほうではないか思います。

仮にもしトマホークを154発撃てるような代物が朝鮮半島付近をうろうろしているとしたら、これは大変な状況です。そうして、本命のミシガンが未だどこに潜伏しているのかわからないという状況が非常に不気味です。

この本命の「ミシガン」が、「シャイアン」のようにどこかに姿を表せば、今回のトランプ大統領による軍事行動も威嚇の範疇にはいるのではないかと推測できるのですが、潜伏したきりで音沙汰がないというのが、気にかかります。

やはり、トランプ大統領は今回もし北朝鮮が、核実験に踏み切った場合、何らかの軍事行動に打って出るとみておくべきものと思います。

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