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2017年8月17日木曜日

日本経済は今、デフレ脱却まで「もうひと押し」のところにいる―【私の論評】恥知らずの債券村住人の利己主義は排除せよ(゚д゚)!

日本経済は今、デフレ脱却まで「もうひと押し」のところにいる

安達 誠司

   出来すぎのGDP速報値

8月14日に発表された2017年4-6月期のGDP速報値では、実質GDPの季節調整済前期比(年率換算)が+4.0%と、大きく上振れた。7月10日のESPフォーキャスト調査でのコンセンサスが同1.9%だったので、エコノミストの予想をはるかに上回る結果であった。

この「4%成長」の内訳を「寄与度」が高い順にみると、1)民間消費が+2%(伸び率は+3.7%)、2)民間設備投資が+1.5%(伸び率は+9.9%)、3)政府部門(公的資本形成(公共投資)と政府消費の合計)が+1.3%(両方の合計値の伸び率は+5%、公的資本形成だけでは+21.9%)、4)住宅投資と民間在庫変動がともに+0.2%(住宅投資の伸び率は+6.0%)であった。

最近の日本経済は輸出主導で回復しているという印象が強かったが、純輸出の寄与度は-1.1%で、輸出の寄与度が-0.3%(伸び率は-1.9%)、輸入の寄与度が-0.8%(伸び率は+5.6%)であった。

数字上は、輸入の増加は成長率の足を引っ張る方向に作用したことになる(GDP統計上はマイナス項目となる)が、これは、内需が堅調に推移していることの裏返しであるので、むしろ良いことかもしれない。

また、輸出は、2017年1-3月期までは3四半期連続で極めて高い成長を実現していたので、一時的な反動減は仕方ないと思われる(2016年7-9月期、同10-12月期、2017年1-3月期の前期比年率換算の伸び率はそれぞれ、8.8%、13.2%、8.0%)。

このように、今回(4-6月期)は、純輸出を除けば、ほぼ全ての項目で成長が加速するという「出来すぎ」に近い結果であった。

この「前期比年率換算」の数字は、「ヘッドライン」といわれ、メディア等がこぞってニュースとして流すものだが、あくまでも「瞬間風速」という意味合いが強い。そこで、以下、GDPの数字をもう少し長い視点からみてみよう。

   デフレ脱却への「再チャレンジ」

ところで、今回のGDP統計で、非常に「ポジティブ」であったのは、民間設備投資の増加であったと考える。

設備投資動向の見方は色々あるが、設備投資サイクルを見る場合に用いる「投資率(GDP全体に占める民間設備投資のシェア)」をみると(図表1)、実質ベースでは16.0%、名目ベースでは15.9%で、1994年以降のピークにほぼ近い数字となった。


この投資率は、2016年半ば以降、急上昇しているが、設備投資自体の伸び率も勘案すると、今年に入ってから加速していると思われる。2017年4-6月期の内訳はまだ不明だが、1-3月期では、製造業よりもむしろ、サービス業を中心とした非製造業の設備投資拡大が顕著であった。

世間的には、企業による賃上げがデフレ脱却の鍵だと考えるむきがある。実際の安倍政権も企業や業界団体に賃上げを強く求めている。その効果もあり、賃金も上昇傾向にあるのは事実だが、資本主義社会の中で、民間企業が、自社の収益環境を無視してまで賃上げを行うとは考えにくい。そして、現局面で、政府が賃上げを民間企業に強制するのは、逆に企業を雇用を削減する方向に誘導しかねないので、経済政策としても自殺行為に近い。

また、かつては、景気回復局面において、雇用と設備投資は同時並行的に改善してきたが、最近は、雇用環境だけが一方的に加速度的に改善していた。企業にとっては、雇用も設備投資も同じ投資であると思われるが、ここまでの日本経済の現状(極めて緩やかな回復)を考えると、賃上げでさらなる人員確保に走るよりも、そろそろ、出遅れていた設備投資に目を向ける局面に入ってきたのではないかと考える。

図表1をみると、この4-6月期の投資率はちょうど2000年、及び2006年頃の水準に近いことがわかる。この過去のピークの局面では、いずれも、まだデフレ脱却が道半ば(当時は、「かなりいいところ」までは来ていたと思われるが)金融政策が引き締め方向に転換し、せっかく始まっていたデフレ脱却への歩みを頓挫させた。

その意味では、現局面は、過去、何度か失敗したデフレ脱却に向けて、ようやく「再チャレンジ」の入り口に立ったという認識を持つべきではなかろうか。
消費税率引き上げの前に

次に、問題の個人消費の状況である。1994年以降の個人消費(ここでは家計最終消費支出)は、4つの局面に分類できる(図表2)。

すなわち、①1997年4月の消費税率引き上げ前まで、②1997年4月の消費税率引き上げからリーマンショック直前(2008年4-6月期)まで、③リーマンショック直後から2014年4月の消費税率引き上げ前まで、④2014年4月の消費税率引き上げ以降、の4つの局面である。


ここで注目すべきは、③のリーマンショックの影響を除く3つの局面をみると、消費税率の引き上げをきっかけに個人消費のトレンドが鈍化している点である。

ここでの個人消費のトレンドは、その期間における消費の平均的な伸び率を示しているので、1994年以降のデフレ環境の下では、消費税率引き上げは、個人消費を一時的ではなく、中長期的に減速させてきたことがわかる。

今回の個人消費の拡大は2014年4月以降の消費のトレンドから若干上振れてはいるものの、トレンド自体を上方シフトさせるか否かはまだ定かではない。また、消費の内訳をみると、「非耐久消費財」だけがこの4-6月期に急に上振れたことが消費拡大につながっており、一時的である可能性がある。

経済政策面では、2019年10月の消費税率引き上げの是非が重要な論点になっているが、今回の消費拡大をもって、消費税率引き上げの条件が整いつつあると判断するのはあまりにも拙速過ぎるのではなかろうか。

デフレ脱却の道半ばでの消費税率引き上げは、さらに消費のトレンドを下方屈折させるリスクがある。もし、どうしても次の消費税率引き上げを実行したいのであれば、この2年でデフレから完全脱却させるような強力なリフレ政策をとるべきであろう。

   賃金は着実に上昇している

さらにもう一つの重要な論点は、賃金動向である。

GDP統計では、「雇用者報酬」という統計が発表されている。他の賃金データ、例えば、厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計」や総務省が発表している「家計調査」の所得データは、労働者1人当り、及び1世帯当りの数字だが、「雇用者報酬」は、国内全体で支払われた賃金の合計を示すものといえる。

この「雇用者報酬」の推移を示したのが図表3である。

「雇用者報酬」でみると、日本全体の賃金はメディアが作り上げたイメージに反して、意外と上昇している。「アベノミクスでは賃金の上昇が不十分」という話が日々のニュース等ではまことしやかに流れているが、「雇用者報酬」は、名目ベースでも、2006年の水準を超えているし、実質ベースでも着実に伸びている。

さらにいえば、雇用拡大のペースが加速している点、1人当りの賃金の上昇率が緩やかである点、を鑑みれば、「雇用者報酬」の拡大は、ある一定階層の賃金だけが伸びている訳ではなく、雇用確保(もしくはパートタイマーの正社員化の動きなど)を通じて幅広い階層で所得が伸びていることを意味するのではなかろうか。

以上より、現状の日本経済は、デフレ克服へ「再チャレンジ」する素地が整ってきた段階であると考える。

この先、安倍政権がやるべきことは、ここまでのデフレ解消プロセス(特に雇用回復による一般国民の生活レベルの改善)を内心苦々しく思っているデフレ局面で既得権益を享受してきた階層に妥協することではなく、デフレの完全克服に向けて、財政金融両面でリフレーション政策を再加速することではないかと考えるが、支持率低下に苦慮している政権はどう出るのだろうか。

【私の論評】恥知らずの債券村住人の利己主義は排除せよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の最後のほうで、「デフレ局面で既得権益を享受してきた階層」のうちその最たるものは何かといえば、それは俗に言う「債券村」の人々です。債券村とは、証券会社などの金融機関で債券を扱う人々の集まりです。そうして、これらの人たちは金融機関の中でも少数派なので「債券村」と言われているのです。

債券は、国、地方公共団体、企業、または外国の政府や企業などが一時的に、広く一般の投資家からまとまった資金を調達することを目的として発行するものです。資金調達するために発行するという点では、株式と目的は同じですが、あらかじめ利率や満期日などが決められて発行される点がちがいます。

債券を購入すると、定期的に利率分の利子を受け取ることができます。そして、満期日を迎えると、額面金額である償還金を受け取ることができます。


このように債券は、満期日に額面金額が返金されることが約束されていますので、安全性の高い金融商品です。よって利子収入を目的に資産運用をすることができます。

また2年~10年といったようにあらかじめ決めれた満期日までまつことなく、マーケットで売買することも可能です。マーケットにおける債券の価格は、日々変動しています。途中売却することにより、利子収入以外に、購入価格と償還金との差額金を得ることができることもあります。

債券には、さまざまな種類があります。国が発行する国債、地方自治体が発行する地方債、企業が発行する社債、社債を株式に転換できる権利がついているCB、外国の自治体もしくは、外国の通貨、海外の市場のいずれかで発行する外国債券などがあります。債券は、証券会社を通じて購入することができます。

金融機関では、かなり長引いたデフレで本業の貸出が思うように伸びない中、債券部門が金利低下を背景に収益を支えてきました。債券関係者はデフレ下では自分たちの存在価値があったのですが、デフレを脱却すれば本業の貸出部門が盛り返してくることになります。

債券関係者は、その焦りが出て、乱高下や先行き不安を唱えるますが、それはまさしく経済が良い方向に向かっている証しでもあるのです。

デフレでは債券部門が優勢であったのですが、脱デフレでは主役交代になり、金融機関全体としてみれば収益は上がります。しかも、経済全体でみればいい方向なので、国民全体にとっては良いことです。

現状の債券村の人の意見は本当にずれています。ブログ冒頭の記事のように日本はデフレ脱却まで「もうひと押し」のところまで来ているのは事実です、しかしインフレ目標2%もまだなのに、出口戦略がどうのこうのというようなことを口にします。これでは、デフレから脱却しきっていないうちに、金融引締めをせよといっているようなものです。

全く呆れてしまいます。債券村は、デフレで深刻だった時代に稼ぎ頭だった夢が捨てられないのです。債券村ははっきりいえば、ブラック部門なのです。彼らは、デフレでしか生息できない哀れな人達なのです。

にもかかわらず、マスコミは債券村を擁護するかのように、国債の金利を日銀が抑え込んでいることで、「長期金利が経済の体温計としての指標性を失った」などと報じています。

債券村の住人が扱う債券
しかし、これは典型的な「債券村」の内部の事情に関する話です。つまり、金融機関の債券部門の声をマスコミは拾っているだけなのです。

「債券村」の意見は、日本経済を代表するものではありません。「失われた20年」といわれるデフレ期間に、日本は世界でほぼ唯一、名目経済が伸びず、失業率が高止まりしてきました

この間、日本経済は最悪の状態でしたが、金融機関の債券部門は、金利が傾向的に低下する局面で労せずして債券売却益を享受してきました。このため、金融機関内で稼ぎ頭となって発言力を増し、社内ポジションは向上しました。「債券村」にとってはデフレ期こそ「黄金期」だったのです。

ところが、名目金利はほぼゼロになってしまいました。日銀は国債を購入することで量的緩和を行い、名目金利はゼロのままであるのですが、インフレ予測を高めることで実質金利をマイナスにしています。

デフレが継続していれば、名目金利はゼロのままで、いわゆる「流動性の罠」状態となります。日銀の量的緩和は、実質金利をマイナスにすることに意味があるのですが、「債券村」の住民は名目金利にしか注目せず、ゼロ金利になっているのは日銀のせいだと思っているようです。

確かに、日銀の国債購入で名目金利が抑えられたのですが、日銀が国債購入をしなくても流動性の罠状態では名目金利はゼロのままです。ところが、市場に流通する債券の「玉」が少なく、商売あがったりの「債券村」は日銀に八つ当たりするのです。

債券村の人は債券市場が崩壊した等と言いますが、それは彼らが投資で利益を得られなくなったというだけであり、国民生活には良い影響が出ていることを指摘させてもらいたいです。

債券村の住人はデフレを維持することで債権市場から利益を得続けることができるわけですが、経済政策は国民生活のためにあるものであり、一部の業界の利権を維持するためにあるのではありません。これを覆い隠すためにトンデモ論として有名な「デフレ人口減説」まで持ち出してくるとはまったく恥を知るべきでしょう。利己的であるにも程があります。

デフレからの本格的な脱却は生半可な努力ではできません。その意味で、名目ゼロ金利は当分の間、継続するでしょう。世間が失業率の低下により、新卒者を中心として雇用環境が改善されているにもかかわらず、その間、「債券村」の住民は文句を言い続けるのでしょう。

デフレの失われた20年間、世間とは逆に利益を得てきたのですから、ここ数年彼らは日本経済のために我慢すべきではないでしょうか。ましてや、債券村の住人の理不尽な主張に屈して、デフレ脱却を断念するようなことがあってはならないです。

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2017年6月26日月曜日

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も―【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も

テコンドー世界選手権大会の会場で、北朝鮮の張雄IOC委員(右)
と握手する韓国の文在寅大統領=24日、韓国中部、茂朱
 米韓首脳会談が29日、米ワシントンで始まる。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、さすがに初外遊先を平壌でなくワシントンとし、米韓の絆をアピールする方針のようだが、側近のトンデモ発言や米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の遅れなど、「3大悪材料」(韓国紙)といわれる事態が出来。大統領府スタッフは直前まで火消しや釈明に追われたが、文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末。自国民が非業の死に追い込まれ、北朝鮮に激怒するトランプ米大統領の目にはそれこそ「4大悪材料」と映る恐れもある。

 ■「米韓軍事訓練縮小」を一方的に提案

 「学者として話しただけだ。それが大きな問題になることだろうか」

 米国から帰国し、空港に到着した直後の21日、記者団にこう言い放ったのは文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授。

文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授
 文教授はワシントンで16日開かれたセミナーで「北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結すれば、米国の韓半島(朝鮮半島)での戦略資産や米韓軍事訓練の縮小も可能だ」との持論を披露した。

 米国側はもちろん激怒。韓国大統領府も文教授に厳重警告をし、発言から50時間後に関係者が記者に弁明の背景説明を行った。

 しかし、この場でも「文教授と文大統領の考えは違うのか」との質問に明確な説明がされなかったことから、「2人の考えはそれほど変わらないのだ」との米国の疑念を深めてしまい、特別補佐官の地位を返上するよう求める声も韓国内で出ているという。

 そもそも軍事訓練の規模を米国側の同意なしに変えることは不可能であり、対北配慮のための「縮小」は地域に何のメリットももたらさないことを政権関係者のうち果たして何人が理解しているのだろうか…。

 ■おとぎの国の大統領

 韓国紙朝鮮日報によると、他の2つの悪材料は、THAAD配備をめぐる問題と米国要人冷遇説だ。

 文政権がTHAADに反対する中国の顔色をうかがっているため、配備が遅れたり配備計画をめぐる両国の認識に大きなズレが出たりしていることにトランプ大統領は「激怒した」と伝えられている。

 米国要人冷遇説は、共和党のマケイン上院議員の訪韓予定をめぐるもので、「訪韓が大統領府の冷遇で取り消された」との日本メディアの報道に韓国の大統領府側は次のように反論した。

共和党のマケイン上院議員 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「大統領との昼食会の約束を設定したが、マケイン氏側から改めて調整してほしいと要請があり、さらに訪韓が難しくなったと伝えられた」

 3月に訪韓したティラーソン米国務長官との夕食会問題では、「疲労のために夕食会を長官が断った」との韓国メディアの報道を「もともと韓国側から招待がなかった。それを隠すため韓国側が自国メディアにそう説明した」(米政権側)と暴露される一件があり、そのときの不手際をほうふつとさせる。

 しかし、これらの3悪をさらに上塗りしそうなのが文氏の北発言だ。

 「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値を実現するのに大きく寄与する」

 北を正統なパートナーとし、国際社会で花を持たせようとしている。

 米社会には、北朝鮮に拘束された大学生、ワームビア氏の非業の死で北朝鮮に対する怒りが沸騰している。異母兄を外国の空港で殺害した疑いも濃厚な金正恩政権になぜ手をさしのべようとするのだろう。

 文氏はまさに、「北朝鮮との関係にファンタジーを夢想する」(武藤正敏元駐韓大使著「韓国人に生まれなくてよかった」 http://www.goku-books.jp/book/b287625.html )「おとぎの国の王子様」(同)といえるだろう。


【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では「文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末」とありますが、これには後日談があります。

韓国を訪問している北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が提案した2018年平昌冬季五輪での南北合同チームの結成と南北合同入場行進に難色を示していたことが26日、明らかになっています。国際世論を無視して親北路線を鮮明にしている文在寅政権ですが、その北朝鮮側からはしごを外された格好になりました。

北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏
文氏は24日、中部の茂朱(ムジュ)で開幕した世界テコンドー選手権大会の開会式で行った演説で、「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値の実現に大きく寄与する」と述べ、南北合同チームと開会式での合同行進の実現を訴えました。

20日には都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相が、一部競技の北朝鮮での分散開催などを検討していることを表明。IOCは「五輪ムーブメントは常に橋を懸けるためにあり、壁を築くものではない」などとコメントしていました。IOCの前向きな態度を受けて、文氏は張氏と握手をかわし、直接、北朝鮮側にも協力を求めました。

ところが、韓国紙、東亜日報(日本語電子版)によると、張氏はそれからわずか2時間後に、南北合同チームや南北合同行進について懐疑的な見方を示したというのです。

張氏は開会式後に開かれた晩さん会の前に、東亜日報が運営するケーブル&衛星チャンネル「チャンネルA」のインタビューに応じた際、「スポーツの上に政治がある。政治的環境が解決されなければならない」と主張しました。

その上で、文在寅政権が南北のスポーツ交流を望むならばまず、2010年3月に発生した北朝鮮による海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受けて、韓国が取っている独自の対北制裁措置「5・24措置」などを解除しなければならない、と強調したといいます。

文氏は演説で、「敵対国だった米国と中国が『ピンポン外交』で平和を成し遂げた。茂朱で新羅と百済が一つになったように、今日ここで南北が一つになり、世界が一つになることを願う」とも述べました。

これについても張氏は、「ピンポン外交が中米関係を改善したというが、政治的地盤が固まったため。政治に五輪のようなものを引っ張り出してはならない」とバッサリ。スポーツの政治利用をいとわない北朝鮮から、逆にいさめられるという想定外の展開になってしまったのです。

張氏は23日に韓国入りした際、記者団に対し、「私は(南北合同チームなどの)可否を議論する立場にない」と語りました。しかし張氏は、2015年に独誌シュピーゲルで「多才な外交官」「西側諸国で話すことができる唯一の公式な北朝鮮人」などと報じられた人物。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とも非常に親しいとされています。

そうした張氏の態度は、少なくとも現時点で、金正恩氏が南北合同チーム結成に同意していないことをうかがわせます。もしくは、北朝鮮側が、平昌五輪を「5・24措置」などの解除を引き出すための“道具”に利用しようとしている可能性も否定できません。

結局、文在寅大統領は、外交に関しても全く疎いと言わざるを得ません。このブログでは何度か、文在寅大統領の経済対策のまずさについて述べてきました。今の韓国経済は、何をさておいても、量的金融緩和と積極財政を間髪を入れずにすべきであるにもかかわらず、文在寅大統領はそんなことは思いも浮かばないようです。

外交も、安全保証も、経済も駄目ということになれば、何一つ良いことはありません。本当に韓国民はとんでもない酷い大統領を選んでしまいましした。これなら、朴槿恵も経済も安全保証も、外交も駄目だったとはいえ、文在寅よりは、数段ましだったかもしれません。

おとぎの国の大統領・文在寅
5月10日の大統領就任から、まだ二ヶ月もたっていないのに、もう文在寅は馬脚を現してしまいました。米国を「立会人」とし、世界が注目する中で結んだ慰安婦問題をめぐる日韓合意は、条約にも相当する国際約束ということも全く文在寅の頭の中にはないようです。

韓国は今、まさに自分で自分を難しい状況に追いやっているとしか思えません。中国が嫌がっていた米国の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の導入は決めたものの、やはり中国に配慮して本格配備は先延ばしにする。一方で隣国、日本には無意味な歴史戦を仕掛けてきます。雇用・経済がかなり悪化しているというのに、打つべき手を知りません。

安全保障面でのふらふらと腰の定まらぬ態度は、同盟国である米国の怒りを募らせる半面、中国の満足にもつながりません。日韓合意軽視は間に立った米国の面子をつぶした上、日本との関係悪化は韓国経済を冷え込ませるだけです。韓国の束の間の成長は、日本から先端技術に関わる部品を輸入してそれを組み立て、海外への輸出に成功したことによるところにが大きいです。そのこともすっかり忘れているようです。これでは、喜ぶのは北朝鮮ばかりです。

韓国は盧政権時代も朴槿恵(パク・クネ)前政権当時も、米中を同等に扱い、その仲介役を果たす「東アジアのバランサー」を目指した揚げ句、どちらからも冷遇される結果を招いてしまいまし。八方美人的な姿勢は、誰からも信頼されません。文政権もその轍(てつ)を踏むつもりのようです。

韓国外交では、定見がなく勢力の強いものに従う「事大主義」と、世間を知らぬまま自らの実力や地位を過信する「夜郎自大」の2つの「ジダイ」が目立つ。この傾向が続く限り、東アジアは安定しないことでしょう。

中国映画『夜郎王』のDVD
文在寅は経済・外交・安全保障の面で定見を持ち、まずは諸外国に振り回されることなく、自らの考え、自らの力でこれらを実行すべきです。反日も、日本を振り回しているようにみえながら、結局日本に振り回されているというだけのことです。

韓国が、経済・外交・安全保証の面で安定していれば、1990年代以前のように表立った反日などしないはです。安定していないから、諸外国に様々な形で秋波を発信し、結局諸外国に振り回されるしかないのです。結局反日だって秋波の一種に過ぎないのです。

特に最近の韓国の経済はそうでした。グローバリズムを標榜し、内需を疎かに(GDPに占める個人消費の割合は、韓国は50%台、日本をはじめとする先進国の大半は60%、米国は70%)したつけがまわって今の韓国経済は地獄の様相を呈しつつあります。特に家計の借金はとんでもないことになっています。

そうして、日本が2013年から金融緩和に転ずると、韓国経済は真っ先に大きな影響を受けました。ウォン高傾向になった、韓国経済は大打撃を受けました。韓国では、これを日本のせいにしようとする動きもありますが、それは大きな間違いです。

日本が異常な円高だったおかげて、韓国経済は発展できた面があったのですが、その間日本は金融引締めによる円高とデフレで日本国民は長い間苦しんできました。日本としては、金融緩和をしてまともなマネタリーベースの水準に戻しただけです。

それに、日本が緩和をして韓国経済が苦しいというのなら、韓国も緩和をすれば良いだけです。にもかかわらず、朴槿恵は緩和をしませんでした。そうして、文在寅もしそうもありません。

これらのことに気付かず、外国に振り回され続ける、韓国の大統領、政府は、結局短命に終わります。私は文在寅政権は、朴槿恵政権よりも短いと思います。

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