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2007年11月18日日曜日

北海道来年は正念場か?-北海道の失われた10年との決別はなるか?


上は、北海道のお米の収穫の様子。


最近、北海道米がおいしいと評判であり、確かに、「ななつぼし」や「ほしのゆめ」などは人気が急上昇しています。函館でも「ふっくりんこ」という銘柄がつくられ、これも人気があります。これは、北海道の米が美味しくなるようにと、数十年前からの地元の農業試験場などの育種の努力の成果でもありますが、球温暖化の影響もあります。北海道新聞によると、米(水稲うるち玄米)の地域別1等米の比率では、九州が27.7%、中国四国50.7%、東海57.8%、関東・東北90.3%、北海道88.1%で、九州は田植え時期を遅らせても、2004年以降1等米の比率が20%台に低迷しています。

温暖化の影響で稲穂が成熟する8月下旬から10月頃までの気温が高いため、人間でいう「夏バテ」が米にもおきています。稲の葉は日中光合成してブドウ糖をつくり、夜間にそのブドウ糖が穂に運ばれて澱粉に変わりもみの中に蓄積されます。澱粉がいっぱいになると、米が透明になりおいしい米になります。しかし、高温で夜も気温が下がらないと、稲が自分を守るためブドウ糖を使うため、澱粉が足りず、透明にならない白くにごった米になります。

そのため、すでに九州などの農業試験場では高温に強い品種の開発を始めていて、これまで300品種もの稲を栽培し高温に強く、おいしい米の品種改良が急ピッチに進められています。米の品種改良といえば、寒冷地でもおいしい米を作るのが改良の歴史であったはずが、温暖化の影響は恐ろしいものです。 温暖化の影響は米に限らずみかんなどにもじわじわ影響しており、味ボケや皮と果肉が分離するなど症状がでており、その他野菜なども悪影響を受けているといいます。 確かに、今夏の猛暑で夏バテした人も多いと思いますが、気温の影響をもろに受ける作物、家畜、さらには魚類なども当然温暖化の影響を受けています。オホーツク海でマグロがとれるなどの珍事も起こっています。将来、北海道が日本一の米の産地になるかもしれませんが、それと引き換えに失うものも多いことでしょう。

ひるがえって、北海道経済を見てみると、今年は、かつて北海道の唯一の都市銀行だった、北海道拓殖銀行の破綻から丁度10年になります。ごく最近まで、拓銀破綻の影響は表面上は全くなかったように見えますが、実は違います。拓銀が破綻してから、10年間北海道は道債(北海道の借金)を用いて、拓銀破綻の影響を防ぐ対策を行ってきました。北海道拓殖銀行の破綻は、北海道経済にも、北海道民にとってもかなり衝撃的で深刻な警鐘となるはずだったものが、この間、残念ながら北海道の公共工事依存という体質は改善されてきませんでした。数年前の東大阪のどん底不況などから比較すると全く信じられません。結局この10年間は、何ら改善が行われず、拓銀時代からの悪い体質を温存してきました。ですから、私はこの期間を「北海道の空白の10年間」と呼びます。

北海道の空白の10年間は、道債の償還期限も迫っているため、否が応でも終結させなければなりません。来年は、旧来の公共工事依存体質の企業にとっては、正念場の時期であるお思います。そのままの体質を温存してきて、これからも何も変更しない。変更の長期計画も打ち出さない企業は淘汰されていくと思います。北海道の工業団地などで、かつての東大阪のように、3、4軒おきに工場が閉鎖されている状況もみられるようになるかもしれません。今度は、誰も助けてくれません。自ら、自立する道を切り開くしかありません。

来年は、いろいろな意味で象徴的な年になると思います。まずは、環境問題に関して世界的な規模で、洞爺湖サミットが開催されます。経済的にも「北海道の空白の10年間」に対して、決別をしなければならない年です。地球温暖化傾向により、米なりその他の作物、さらには漁業もひょっとしたら恩恵をこうむるようになるかもしれません。でも、それだけでは、将来的に結局はかつての公共事業依存体質とかわりがなく、地球温暖化傾向依存体質となり、依然として独立した経済を築けなくなるかもしれません。北海道民が自分の足で立つための最後の機会かもしれません。もし、これに失敗すれば、もう後はありません、あとは夕張のようになるだけでしょう。北海道民は、これからの10年は過去とは違うのだということをしっかり認識すべきときに来ています。

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