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2020年5月31日日曜日

習近平いよいよ「台湾潰し」へ…迎え撃つ蔡英文総統の「外交戦略」―【私の論評】中国が台湾武力奪取に動けば、急襲部隊は崩潰し、習近平の中国内での評判は地に堕ちる(゚д゚)!

習近平いよいよ「台湾潰し」へ…迎え撃つ蔡英文総統の「外交戦略」

台湾は日米との関係を強化

習近平

 4年に一度のその日、台北はいつもと違う朝を迎える。5月20日は、日本で人気の高い李登輝の頃はもとより蒋介石の時代から、総統就任の日となることが多かった。1月11日の総統選挙で再選を決めた蔡英文総統もこの日、台湾人だけでなく海外からの多くの賓客に祝福されて、政権2期目を正式にスタートさせる――はずだった。


 だが新型コロナウィルス(台湾では民間だけでなく政府も「武漢肺炎」という呼称を用いている)の影響で、大規模な式典での国威発揚は困難となった。一変したのは総統就任式というセレモニーだけではない。台湾を取り巻く国際政治は、いま大きなうねりの中にある。筆者は台湾外交部(外務省に相当)の招聘を受けてTaiwan Fellowshipに参加し、1月から4月まで台湾大学で在外研究にあたったが、その成果にも触れながら本稿を認めたい。

  蔡英文は台北賓館で就任演説に臨んだ。台北賓館は日本統治時代に台湾総督の公邸としてネオ・ルネッサンス様式で建設され、摂政宮として台湾を行啓した昭和天皇も大正12(1923)年に宿泊された。現在は外交部が管理する迎賓館となっており、筆者も3月に訪れたが、意匠の凝らされた内装からは当時の日本が台湾統治にどれほど意を用いていたのかがよく伝わってくる。

蔡英文総統

  演説の中で蔡英文が、中国以外で具体名を挙げてバイ(二者間)の関係について言及したのは、「米国、日本、欧州との貿易あるいは投資保護協定の締結、これは我々が継続して努力する目標だ」、「これからの4年間、我々は米国、日本、欧州等の価値観を共有する国家とパートナーシップを深化させていく」という2か所だった。

  これは外交の基軸が引き続き米国、日本との協力関係であることを明確に示したといえよう。同様のメッセージは、蔡英文が当選を決めてから面会した外国使節の顔ぶれからも読み取れる。総統選挙の投開票日の翌1月12日午前にまず面会したのが、クリステンセンAIT台北事務所所長だった。

  国交が存在しない米国と台湾の関係において米国側の窓口機関となっているのがAIT(在台米国協会)であり、クリステンセンは事実上の駐台大使に相当する。筆者は国務省からAITに派遣されている米外交官との意見交換のため、台北市東部の内湖区に新築された事務所を訪問した。事務所という語感からはかけ離れた丘の上の巨大な要塞のような事実上の大使館の構えは、米国の台湾重視がトランプ政権下での一過性のものではないことを端的に表しているといえよう。

  そして同日午後に面会したのが岸信夫衆議院議員であり、台湾にとってもう一つの重要な大国である日本との関係を改めてスタートさせた。蔡英文が岸を迎えたのが永和寓所だったことにも意味がある。「仕事場」である総統府ではなく「住まい」である寓所において安倍晋三総理の実弟を遇することで、日本との関係に個人的な親密さという彩りを添えたといえよう。

欧州も台湾を重視

 日米に続いたのが、英国のネトルトン代表(1月17日)、EUのGrzegorzewski所長(1月22日)、ドイツのプリンツ所長(2月25日)だった。日米からはいくらか時間が経ってからだったが、欧州からの使節と面会する機会を他の国々に先んじて設けたのは、価値観を共有する欧州との関係を前進させたいという蔡英文の意思の表れといえよう。

  欧州の側にも台湾重視の動きがある。台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を支持する声が、日米に歩調を合わせ英仏独からも上がったのだ。日米と同様に欧州主要国も、対中関係が緊張するリスクを覚悟の上で台湾を後押しした。また軍事面では、仏海軍が昨年4月にニューカレドニアを母港とするフリゲート艦「ヴァンデミエール」に、英海軍が昨年12月に測量船「エンタープライズ」に台湾海峡を航行させた。 

 加えて持ち上がっているのが、かつて仏から台湾への武器売却だ。台湾への武器の供給源は基本的には米国だが、仏は1991年にラファイエット級フリゲート艦6隻を、翌92年にミラージュ戦闘機60機を台湾に売却している。台湾は艦船の装備をアップデートするため、仏からの購入が検討さているのだ。

TPP加入への意欲


 就任演説に話を戻すと、分野としては経済外交に注力しようという姿勢が見て取れる。現時点で台湾が自由貿易に関する協定を結んでいる主だった国は、中国を除けばニュージーランドとシンガポールに過ぎない。昨年の貿易総額に13.2%を占める米国や10.9%を占める日本との貿易協定がもし実現すれば、台湾経済へのプラス効果は計り知れないといえよう。

  経済外交におけるもう一つの大きな目標がTPP加入だ。台北滞在中に筆者は経済閣僚とも会談し、蔡英文政権がTPPへの加入そしてTPPを主導する日本からの後押しをいかに切望しているかを改めて実感した。日米との貿易協定やTPPは、昨年の貿易総額に24.3%を占める中国への依存度を低減させるという観点からも重要といえよう。

  蔡英文演説の翌々日5月22日、予定よりも約2か月半遅れて北京で開催された全国人民代表大会で、中国の李克強首相が政府活動について報告し、台湾については台湾独立への反対や統一の促進に言及した。蔡英文は就任演説で対話を呼び掛けていたが、中国はゼロ回答で応じたといえよう。

  中国側は、台湾内部での蔡英文圧勝という政治情勢や対中感情悪化という世論動向について取り合うつもりは全くないということだろうが、事態は北京が考えるよりも深刻だ。昨年1月、習近平国家主席は台湾政策について演説し、一国二制度による統一を目指し武力統一を放棄しないという方針を改めて示したが、原則論に固執し強硬姿勢を崩さない習近平の頑なな態度によって台湾世論は硬化し、蔡英文の総統選挙での勝利の一因となった。 

 今年に入り情勢は中国にとってより不利に傾いている。総統選挙と同時に実施された立法院選挙では与党民進党が再び過半数を獲得し、総統府と立法院をどちらも制して政権基盤を固めた。一方で民進党と比較すれば中国との協調に軸足があった野党国民党でも、中国との関係見直しに言及する江啓臣立法委員が新しい主席に選出され、台湾政界における脱中国がますます進んでいる。

コロナ禍の巨大な影響

 そしてコロナによって台湾世論の中国との心理的距離はさらに広がった。公衆衛生という人命に直結する問題において、台湾海峡の両岸では医療体制というハード面だけでなく、国民のマインドというソフト面でもかけ離れていることが明らかになったからだ。

  国民党に近いとみられる中国問題が専門の大学教授ですら、もしコロナが発生してから選挙が行われていれば、蔡英文は1000万票(実際には817万票)の大台を獲得していたかもしれないと筆者に耳打ちしたが、あながちオーバーな数字ではない。生死に関わる問題で加速した世論の脱中国トレンドは、短期ではおよそ変わりようがなかろう。

  にもかかわらず中国は、台湾を後押ししようとする国々に対して注文を付けることに躍起になっている。日台には国交がないこともあり、安倍と蔡英文が膝を突き合わせて首脳会談を開催することは困難だ。だが両者はtwitterを通じて交流しており、ネット上では肯定的に捉える向きも多い。

  これに対して中国は、筆者が外交官補としてかつて所属していた北京の日本大使館に対して抗議したという。中国外交部も最近では自らtwitterを活用していることから、SNSの威力には一目置いているものとみられ、ヴァーチャルな日台首脳交流がネット上でさらに影響力を持つことを恐れ、横槍を入れてきたのだろう。 

 ニュージーランドに対しても中国は警告を発した。台湾のWHO総会への招待を求めるテドロス事務局長への共同書簡に、NZは日本、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリアとともに加わったが、中国はこれに噛みついたのだ。中国は自らへの包囲網を破ろうとする時に、最も脆い箇所を叩くことを定石としている。テドロスへの共同書簡に加わった8か国の中で国力が一番小さいのはNZだ。

  NZは既述の通り台湾と貿易協定を結んでいる数少ない国であり、台湾と良好な関係にある。一方で中国は、自らに友好的だった国民党の馬英九政権に得点を挙げさせるため、台NZ協定を妨害せず黙認していた。NZの台湾政策に対して時には目をつぶり時には異を唱えるのは、自らが許容する範囲の中でのみ台湾との関係構築を認めるという態度なのだろうが、こうした露骨なやり方は果たして持続可能だろうか。

  蔡英文は就任演説で台湾のコロナ対策を自賛したように、コロナをきっかけとして台湾の国際的地位は向上し、台湾を巡る各国の連携も強まった。米国とともに台湾の後ろ盾の役割を演じている日本にとっては、望ましい方向に事態が動いているといえよう。だが中国はこうした現実を直視しないどころか、強硬策一辺倒の姿勢をますます強めている。一国の外交から柔軟性が失われた時にどういった結末が待っているのか。未来は誰にもわからない。

村上 政俊(同志社大学ロースクール嘱託講師)

【私の論評】中国が台湾武力奪取に動けば、急襲部隊は崩潰し、習近平の中国内での評判は地に堕ちる(゚д゚)!

中国は、今後台湾を武力で奪取する可能性は十分にあります。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米軍コロナ禍、その隙に台湾を恫喝する中国の卑劣さ―【私の論評】東アジアで失敗続きの中国は、今後軍事的挑発をエスカレートし、台湾武力奪取の可能性大(゚д゚)!
台湾海峡を通過中の米海軍イージス駆逐艦「バリー」(写真:米海軍)
以下に、この記事から一部を引用します。
中国としては、台湾が中国ウイルス封じ込めに失敗していれば、中国がイタリアなどのEU諸国に対して実施している、マスクや医療機器の提供や、医療チームの派遣などで微笑外交を台湾に対しても実行したことでしょう。 
これにより、中国は今年1月の台湾総統選での蔡英文氏の再選により、失った台湾での失地回復を行うことができたかもしれません。 
そうして、中国ウイルスが終息した後には、甚大な被害を受けた台湾に対して、莫大な経済的援助をすることになったと思います。 
そうなると、台湾独立派が台頭した台湾を馬英九政権時代のように、親中派を増やすことができたかもしれません。
考えてみると、中国は昨年11月には、香港区議会議員選挙で親中派が敗北しています。今年1月には、台湾選挙で蔡英文総統が再選されています。いわば連敗続きでした。 
中国ウイルスに関しては、韓国は当初は対策に失敗しましたが、最近では収束に向かっています。日本も、感染者が増えつつはありますが、それでも死者は相対的に少なく、中国や米国、EU諸国に比較すれば、中国ウイルス封じ込めには成功しています。 
香港の対応も素早いものでこれも封じ込めに成功しています。中国国内で武漢における感染発生がまだ隠され、警鐘を鳴らした医者が警察に処分されていた1月1日前後、一国二制度のおかげで報道の自由がある香港メディアは問題を大きく報道し、市民に注意を呼び掛けました。 
中国官僚のごまかしをよく知っている香港人が、2003 年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の教訓をしっかりと心に刻み、徹底的な対策をしたことも効果的でした。 
中国は、中国ウイルスで、台湾、香港、日本がかなり痛めつけられていれば、得意の微笑外交で、台湾、香港、日本に対して存在感を高めることができたかもしれません。 
しかし、台湾は世界的にみても、最高水準で中国ウイルスの封じ込めに独力で成功し、独立国としての意地をみせました。 
今の中国が、台湾統一のためにできることといえば、軍事的な脅威をみせつけて、存在感を強調することです。
 ・・・・・・・一部略・・・・・・・・・ 
本年2020年は、中国の二つの100年計画の一つ「小康社会の全面的実現」目標の期限である建党100周年の2021年より一年前であり、もしこの時点で台湾統一が実現できれば、習近平政権にとっては長期独裁を全党および人民に納得させるだけの効果を持つ歴史的偉業となるからです。

ウイルスの封じ込めと、台湾統一に成功すれば、これは、習近平が成し遂げた大偉業ということになります。今まで、際立った業績のが一切なかった習近平にとって大きな手柄となり、習近平体制が定着することになります。
香港を中国の1都市にし、一国二制度を葬り去った中国は、次の段階で台湾を標的にする可能性も高まってきました。

中国側の理論からすれば、台湾は自国の領土なので、何をしようが自分の自由であり、それに対して外国が批判するのは内政干渉であると考えることでしょう。

これに関しては、蔡英文台湾総統は無論大反対ですが、一つ気がかりなことがあります。それは、軍事的には米中であれば、米国が圧倒的に強いです。しかし、台中ということになれば、台湾は中国どころか、日本の自衛隊よりも劣勢です。

だから、もし中国が本気で台湾を武力で奪取しようと考えた場合、台湾は武力では中国に負けしまうことになります。

しかも、米国は台湾と未だ正式には国交を結んでいません。米国は台湾に武器を提供するようなことをしていますが、それでも未だ韓国に対するように、軍隊を駐留させてまで、本格的に台湾を防衛しているわけではありません。

この隙をついて、中国が武力で台湾に攻撃をしかけて、奪取し、米国をはじめとするこれを批判する勢力に対して、「台湾は中国の領土であり、たとえ中国が武力で台湾を強制的に中国に併合したとしても、これは中国の問題であり、これを批判するのは内政干渉である」と教鞭する可能性は十分にあります。

中国の最近の「戦狼外交」ぶりをみれば、十分にありそうなシナリオです。これに対して米国は手も足もでないのでしょうか。

私としては、これに米国が対応する方法はあると思います。以下は、私が思いついた方法ですが、これは、中国の台湾武力奪取を粉砕するだけではなく、習近平の面子を丸つぶしにし、習近平政権の崩潰につながるかもしれません。

まずは、米国の対応の方法を述べる前に、2017年に日本で起こった不思議な事実を掲載します。

トランプ米大統領は2017年13日までに、マティス国防長官(当時)が2月に東京を訪問した際、35機の最新鋭ステルス戦闘機F35がレーダーに探知されずに日本上空を飛行していたとの認識を示していました。ホワイトハウスで行われた米タイム誌とのインタビューで述べました。

アメリカ空軍のF-35A

トランプ氏はこの中で、「彼らは35機のF35を日本上空に飛行させた。レーダーに探知されなかった。上空を飛行し、誰もが『一体どこから飛来したのか』と言っていた。あれがステルス機能だ。本当に格好良い」と言及。この35機について、「高速で低空を飛行しており、探知されなかった」「飛来してきているとは誰も知らなかった」などとも述べました。

ただ、F35の海外初配備で日本に到着したと伝えられている海兵隊仕様機は、配備予定16機のうち10機のみで、マティス氏訪日の数週間前でした。海兵隊は事前に配備を発表していたため、岩国基地に飛来してきたことに驚く人もいなかったようです。

このとき他にもF35が日本に展開していた可能性はあるのでしょうか。F35の他の海外配備としては少数の空軍仕様機が4月に欧州に派遣されただけでした。仮に日本に来ていたのが事実なら、それは最高機密に相当するものだったと考えられます。

これは、無論日本の航空自衛隊がF35を導入する前です。日本では2018年2月24日(土)航空自衛隊三沢基地の118格納庫において、最新鋭のF-35Aステルス戦闘機の配備記念式典が開催されました。

その日本で、2017年にF35が35機が、レーダーで発見されることなく、飛行していたというのですから、驚きです。

日本で可能というのなら、台湾上空や近海でも、中国や台湾に気づかれずに飛行することも可能でしょう。実際、F35のステルス性を破るような技術は中国も台湾も持っていないと考えられます。

であれば、中国が台湾を武力で奪取しようとして、航空機や艦船などを台湾に派遣した場合、米国は台湾にも中国にも感知されずに、F35を大量に台湾方面に派遣する事が可能とななります。

これで中国軍を攻撃し破壊し、無言で台湾から去った場合には、中国も台湾もこれを探知することができず、中国の航空機や艦艇が破壊されるということになります。

ただし、F35に対して正確に中国軍を攻撃・破壊するためには、無論早期警戒機などが必要になります。そうなると、早期警戒機は中国や台湾に発見されてしまうかもしれません。

しかし、それには逃げ道もあります。早期警戒機などは台湾上空や近海を飛ばなくでも、遠方からでも警戒行動ばできます。それでも、情報が足りなければ、潜水艦がその役割を担えばよいのです。

たとえば、米海軍のバージニア級原子力攻撃潜水艦「サウスダコタ」(SSN-790)が2019年2日、就役し、試運転の様子や最新設備の一端がYouTube動画などを通じて披露されていました。このような潜水艦を、偵察ならびに中国の艦艇攻撃に使えば、ステルス性も備えているので、中国や台湾などに感知されずに、中国艦艇を攻撃することができます。

一方中国の潜水艦は、米軍は容易に探知することができます。これでは、ほとんど勝負にならないかもしれません。中国の虎の子の空母や、強襲揚陸艦も撃沈されてしまうかもしれません。

「サウスダコタ」は、「ブロックIII」(3世代目)」に属する17隻目のバージニア級で、敵に発見されにくいステルス性能および偵察能力、攻撃力の強化やコスト削減が図られました。同艦の配備は、潜水艦隊能力で追い上げてきている中国、ロシアへの強力な対抗策となるとされました。

「サウスダコタ」は、9つの能力を持つ「マルチミッション潜水艦」とされています。その9つの能力とは、「対潜水艦戦闘」「対水上艦戦闘」「特殊部隊の輸送」「対地攻撃戦闘」「特殊戦闘」「情報収集」「救助活動」「偵察」「機雷戦闘」の各能力です。

米源泉サウスダコタ

米国防総省は今年2月4日、低出力で「使える核兵器」と称される小型核を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を、海軍が実戦配備したと発表しました。米メディアによると小型核の潜水艦配備は初めてです。トランプ政権は中国、ロシアへの軍事的優位を確保するため、早期の製造、配備を目指していました。

このようなことから、中国としては、台湾奪取の目的のため、核兵器を使うことは、できないでしょう。

台湾近海に、これらステルス性に優れた、「サウスダコタ」のような潜水艦を数席配置しておけば、偵察はもとより、攻撃も十分にできます。

中国の台湾急襲舞台は、当然のことながら航空機ならびに艦艇により派遣されると思います。それには、米国のステル性の高い航空機ならびに、潜水艦で隠密理に攻撃すれば、中国の台湾急襲部隊のほとんどが、崩潰することになります。

崩潰した後の中国台湾急襲部隊への追撃戦は、米国が行うことなく、台湾が実施すれば良いです。そうして、軍事力も強化しつつある昨今の台湾はこの追撃戦を首尾良くやり遂げるでしょう。中国にとっては屈辱的かもしれませんが、捕虜になる人民解放軍もかなりの数に登ることになるでしょう。

その後米国は、この軍事行動に関して、何も公表しなければ、台湾が独力で中国軍を粉砕したということになります。そうなると、台湾に軍事でも負けた習近平ということになり、国内でも習近平の評判は地に堕ちることにります。

中国が米国によるものだと批判しても、中国流に突っぱねれば良いのです。そもそも、中国は米軍攻撃の証拠を見つけることができないでしょう。

ちなみに、日本海上自衛隊の潜水艦も、ステルス性に優れていることはこのブログでも何度か掲載しました。日本の海自は、中国の艦艇を攻撃することはできないかもしれませんが、中国や台湾に探知されずに、哨戒行動なとで協力することもできるかもしれません。

軍事には素人の私でも、これくらいのことは考えられるので、米軍であれば、もっと優れた中国の封じ込め戦略を構築することができるでしょうし、実際構築していることでしょう。

これでは、中国もなかなか台湾の武力による奪取には踏み込めないでしょう。人民解放軍は自殺攻撃を覚悟しなければならなくなります。人命を多数失ってもなお、台湾を奪取できない可能性のほうが高いです。

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2019年8月21日水曜日

台湾総統選に波及した習近平の二つの誤算―【私の論評】米国のF16V台湾売却でより確かものになった蔡英文総統の再選(゚д゚)!

台湾総統選に波及した習近平の二つの誤算

収束しない香港デモ

福田 円 (法政大学法学部教授)

台湾総統選への動向が注目される柯文哲・台北市長 

台湾では、2020年1月の総統選挙に向けて、二大政党である与党・民主進歩党と中国国民党がそれぞれ候補者を選出した。

 今年初めの時点では、現職の蔡英文の再選は絶望的だと見られた。逆に、18年11月の統一地方選挙で勢いを取り戻した国民党は、複数の有力者が候補に名乗りを上げ、政権交代をと息巻いた。ところが、この半年間で蔡英文はじわじわと支持を取り戻して、民進党候補者の座を勝ち取り、最近の世論調査では国民党候補者となった韓国瑜よりも優勢だという結果も出ている。

 このような状況は、蔡英文が自力で勝ち取ったものではない。中国の習近平政権は、独立志向の強い民進党から親中色の強い国民党への政権交代を望んでいたが、その戦略に二つの誤算が生じたことが大きいと言えよう。

 19年1月2日、習近平国家主席は対台湾政策に関する重要講話を行い、自身の政策方針となる5項目(以下、「習五点」)を打ち出した。第一の誤算は、これへの台湾民意の反発が、思いの外激しかったことである。

 習近平の重要講話は、胡錦濤前政権期の「独立阻止」から自身の「統一促進」へと、方針の転換を明確に示すものであった。具体的には、従来は「92年コンセンサス」について、国民党との間で「一つの中国」に関する解釈の相違があることをあえて曖昧にしたまま、互いがその「一つの中国」の前提に立つことをうたってきた。その「92年コンセンサス」に、「国家の統一を求めて共に努力する」との条件を付した。また、「一国二制度」や「武力の使用」など、胡錦濤前政権が台湾民意の反発を恐れて極力使用を避けてきた文言も盛り込んだ。

 習近平にとっての、第二の誤算は、香港で起きた逃亡犯条例改正に反対する運動に、台湾の市民社会が共鳴したことである。香港政府がこのタイミングで逃亡犯条例の修正案を提出した背景にも、不確かな点が多い。直接的には、台湾にて香港人が犯した殺人事件がきっかけであるとされているが、それだけではないだろう。

 習近平が逃亡犯条例改正案の提出をどの程度主導したのかは明らかでないが、「習五点」同様に対香港政策でも攻勢に出ようとした可能性のほか、香港に逃れる中国人資本家を取り締まり、米中貿易戦争の影響を受けた資金流出を防ぐのが真の目的だったという説もある。そして、その根底にはやはり、14年の「雨傘革命」以降に行った数々の取り締まりにより、香港における抵抗の勢いは相当程度が削(そ)がれたという現状認識があったように思える。

 ところが、香港では条例改正に反対する大規模なデモが起こり、その規模は03年の国家安全条例反対デモの規模を大きく上回った。その後も断続的に多様な形態のデモが継続しており、本稿執筆時点においても収束する見通しは立っていない。

 香港の情勢は、蔡英文政権にさらなる勢いを与えることとなった。香港で最初の大規模デモが勃発(ぼっぱつ)すると、蔡英文は直ちに、既に民主化を果たしている台湾は絶対に「一国二制度」を受け入れないと主張する声明を発表した。この「民主主義の守護」を前面に打ち出した姿勢が、「香港を支えよう」とする台湾市民社会の論調とも合致し、蔡英文の支持率をさらに引き上げた。

 こうした状況下で、今でも習近平政権が韓国瑜・国民党政権の誕生を望んでいるのかどうかは定かではない。習近平は、胡錦濤前政権の対台湾政策に批判的であるのと同様、そのカウンターパートであったにもかかわらず、台湾の民意をうまく誘導できず、ひまわり学生運動のような事態を招いてしまった国民党に対する評価も厳しい。

 また、習近平は、韓国瑜や国民党が今後どのような対中政策を採るのかも、さらに見極めようとするだろう。実際、韓国瑜・国民党は選挙戦を考慮すれば、「習五点」が示した「92年コンセンサス」の条件を受け入れるわけにはいかず、「一国二制度」にも否定的な発言を繰り返さざるを得ない。

米中関係が緊張するほど
台湾に圧力を強める習政権

 そこで、今後、総統選の鍵を握るのは、柯文哲・台北市長の動向と、それに対する習近平政権のアプローチである。柯文哲は8月に入り新党「台湾民衆党」の結成を表明した。9月に入るまで総統選に出馬するか否かを表明しないとしているが、柯の出馬や、国民党予備選挙で破れた郭台銘(テリー・ゴウ)との協力によって、選挙戦の構図は変わる可能性がある。

 目下、柯文哲は「両岸一家親(中国と台湾は一つの家族)」という習近平の発言に同調することで、台北市長として中国との交流を保持している。現時点で習近平政権が柯文哲にそれ以上の立場を問わないのは、その利用価値を見極めるためであろう。

 世論調査結果によれば、柯文哲はこれまで対中政策上の立場を国民党寄りにシフトさせてきているのにもかかわらず、参戦すれば蔡英文への支持票をより多く奪うとみられている。つまり、習近平政権は韓国瑜と柯文哲の陣営を天秤にかけつつ、双方と交渉の余地を残し、蔡英文以外の政権下で台湾民衆が享受できる経済的利益を示すことで、蔡英文の再選を阻むことができる。

 そして、習近平政権にとって、そのような駆け引きが持つ重要性は、米中関係の行方に大きく左右されよう。そもそも、米中関係が安定していれば、中国の指導者は台湾問題については米政府と駆け引きをすれば良いので、台湾の選挙にそこまで気を揉む必要はない。しかし、米中関係が緊張や不確実性を抱えれば抱えるほど、台湾の選挙戦は習近平政権にとって大きな意味を持ち、その展開によっては武力行使などに踏み切る可能性も排除できない。

 米中貿易協議が進展を見せぬ中、中国政府は8月1日付で中国から台湾への個人の観光旅行を全面的に停止すると発表した。蔡英文政権への圧力を強める狙いがあるとみられる。今後の台湾総統選挙の行方と、習近平政権の動向に注目が集まる。

 これに対して、蔡英文は「一国二制度」は受け入れられないと主張する演説を直ちに発表し、その断固たる姿勢は蔡英文の支持率を引き上げる出発点となった。他方で、国民党の主要政治家は、「一国二制度」などに対する立場を問われ、説明に窮した。

 習近平がこのタイミングで蔡英文政権・民進党に塩を送り、国民党に冷や水を浴びせるような演説を行ったのはなぜか。二つの説明が可能であろう。

 一つは、17年に開催された第十九回党大会以降自信を深めた習近平は、もはや台湾の政局に配慮する必要はないと考えており、自身が促進すべき「統一」へと向けた対台湾政策を表明したのだという見方である。もう一つは、国民党が政権を奪還した後を見越して、「一つの中国」に関してより高いハードルを設定したという見方である。いずれにしても、習近平は蔡英文がこれほど勢いを取り戻すとは考えていなかったのではないかと思われる。

【私の論評】米国のF16V台湾売却でより確かものになった蔡英文総統の再選(゚д゚)!

上の記事にもあるように、1月2日、中国の習近平国家主席は、台湾政策について包括的な演説を行い、その中で、台湾統一は「一国二制度」によるという方式を打ち出しましたた。「一国二制度」は、香港が中国に返還された際に中国が50年間の香港統治のための方式として約束したものです。

蔡英文総統は、同発言に対し、直ちに「台湾の大多数の民意が『一国二制度』を受け入れることは絶対にない」と断言しました。

さらに、野党国民党支持者などで受け入れる人の多い「92年コンセンサス」(「一つの中国」の内容は中台それぞれが解釈する。台湾にとっては「一つの中国」は「中華民国」を意味する)に関しては、北京当局によって「一国二制度」と実質的に同じものと定義されたため、これまで期待されていた同床異夢の曖昧さがなくなったとして、もうこれを口にするはやめるべきだと訴えました。

蔡英文総統

「一国二制度」は、かつて鄧小平によって台湾統治の方式として検討されたことはありましたが、実際には香港統治に利用されました。今日の民主化した台湾の人たちが受け入れる余地のほとんどない方式であり、今日の状況下でこのような方式を打ち出したこと自体、中国がいかに台湾の現状を知らないかの証左と見られても不思議ではないです。

この習近平発言の結果、昨年11月の統一地方選挙において大敗を喫した蔡英文への支持率が逆に増えました。蔡英文の支持率は、蔡の慎重な対中態度やいくつかの国内問題への対応ぶりから低迷していました(19%といった数字も見られる)が、習近平発言後の世論調査によると、支持率急上昇、61%に上昇したとの調査もありました。これは、主として蔡が「一国二制度」を拒絶し、民主主義下の「台湾の主権」に言及したことによるものです。

「一国二制度」の台湾への適用については、民進党、国民党の支持者の区別なく台湾人の大多数がこれに反対していますが、他方、「92年コンセンサス」については、国民党のなかに依然としてこの方式によって中台関係を規定したいとの考え方が見られます。

特に馬英九政権下では中国と交流する際には、「一つの中国」の内容は中台それぞれが解釈し、台湾にとっては「一つの中国」は「中華民国」を意味する「一中各表」が前提となっていました。ところが、今回の習近平発言の結果、中国の台湾政策の核心が「一国二制度」であることが極めて明白となったことにより、「一中各表」を掲げる国民党としても新たに複雑な課題に直面することになりました。

呉敦義・国民党主席、朱立倫・元国民党主席、そして、蒋経国元総統の孫で蒋介石の曾孫である蒋萬安・立法委員らも習近平の「一国二制度」による台湾統一の提案には反対を唱えているといいます。

1月15日付けの台北タイムズ社説‘Tsai must back words with actions’は、蔡英文に対して、こういう稀有な挙国一致的反対を好機として捉え、中国に対する強硬な主張を如何に実行に移すかが次の重要な課題である、と述べました。

蔡英文は、最近日本側関係者に対し、台湾としてはTPPに参加したいので日本の支持を得たい、と述べました。また、習近平が「中国としては台湾に対する武力行使の可能性を排除しない」旨の発言をしたことに関連して、台湾の防衛のために、米国のほか日本を含む各国との協力に期待すると述べ、安全保障の面において中国への警戒感を一段と強めています。

こうした動きは、台北タイムズ社説がいうところの「強硬な主張を如何に実行に移す」行動の一環と見てよいでしょう。蔡英文政権の中国への対応が、今後、より強硬かつ対立的になることが十分に予想されます。

そうして、この蔡英文の主張は、米国を動かし、今日台湾にとって長年の悲願であった米国のF16売却が、実現に結びつきそうです。米トランプ政権は、米議会に対して、F16の売却を認めるとの方針を通知したと米主要メディアが伝えたのです。

この通知は非公式の段階ですが、すでに各方面で広く報じられており、議会にも反対の声はないとみられ、66機計80億ドルという近年にない台湾への巨額武器売却が、この台湾総選挙まで残り5カ月を切った敏感な時期で実現に向かうことの意味は大きいです。

この売却を報じた米メディアは、加熱する米中貿易戦争と緊迫する香港情勢において、中国の牽制を目的としたものだという見方を伝えています。それは必ずしも間違いではないかもしれないですが、これは米トランプ政権が来たる台湾総統選において、現職の民進党・蔡英文総統を支持するというサインをこのF16売却承認を通して明確に伝えたとみるべきと思います。
中国による香港への軍介入については、まだその時期には至っていないですが、暴力が続けば状況は変わるかもしれません。しかし、軍の直接介入は中国にとってコストが高過ぎます。あらゆる手段が尽きた場合に初めて発動されるでしょう。

「コスト」の内容としては、米中冷戦が長期化する中、香港の金融センターとしての地位は中国にとり重みを増しており、米国が香港に与えている優遇措置が止められた場合中国経済への打撃が大きいということがいえます。そのため、習近平は香港への軍事介入は慎重にならざるを得ないのです。

F16の売却については、台湾の蔡英文政権はトランプ政権にかねてから打診をしており、前向きな感触を得ていました。蔡英文総統は、この7月に外遊するなかでニューヨークでのトランジット滞在を米側に認められるなど「破格の好待遇を米国から受けた」だと評価されました。

F16の売却が実現すれば、7月に同様に米議会に通知された米戦車の売却以上の「快挙」となります。一方、中国外務省の耿爽副報道局長は19日の記者会見で、早速、売却取り消しを米国求める考えを明らかにしました。

台湾の戦闘機は、米国のレーガン政権時代に承認され、1990年代に売却されたF16の初期型A/Bの144機のほか、フランスから購入したミラージュ、自主開発した経国号(IDF)が配備されていますが、いずれも老朽化しており、あと10年以内に大型改修をしなければ退役という年代物ばかりです。

いずれ遠くない時期には、世代交代を急スピードで進めている中国の戦闘機に追い抜かれ、台湾海峡軍事バランスの最後の砦である制空権でも完全に太刀打ちできない状況に追い込まれることが目に見えていました。

台湾も決して手をこまねいていたわけではなく、前々政権の陳水扁時代の2006-2007年にかけて、当時の新鋭型であるF16 C/D型を新たに購入したいという要望を米国に提案しようとしていましたが、門前払いを食っていました。

当時は米中関係も安定しており、中国との対立を煽るような独立色の強い発言を繰り返していた陳水扁総統に米国が不信感を抱いていたことが響いていました。

その後、国民党の馬英九政権になると、中台関係も安定していたため、台湾は再び、F16の売却実現を期待したのですが、米国は中国への配慮から、A/Bのアップグレードに応じるという中途半端な決定を下しました。

それでも総額58・5億ドルという巨額なものとなったのですが、当時の米オバマ政権がやはり中国を過度に刺激しないことを優先させた決定だと見られていました。

台湾中部の彰化県で行われた軍事演習「漢光35号」に参加した米国製のF16V戦闘機(2019年5月28日)

今回売却されるのはF16 Vと呼ばれるF16シリーズのなかでも第四世代の最も先進的な機種で、航続距離や耐久性、レーダーなどに優れており、米軍とのデータリンクもより柔軟に対応できます。

現在保有するF16A/BもV型に改修中で、この売却により、台湾の航空戦力の対中均衡は当分、維持され得ると見られます。

肝心のトランプ大統領が台湾問題をどう見ているのかについては相変わらず決め手となるような情報はないですが、今回のF16売却決定には、ボルトン大統領補佐官や、シュライバー米国防次官補など、政権内の対中強硬派であり、親台派でもあるグループが大きな役割を演じたと言われています。

シュライバー米国防次官補

彼らは基本的に対中接近を掲げる国民党に対して近年、厳しい見方をしており、国民党の総統選候補に決まった高雄市長の韓国瑜氏とも距離を置いているようです。

現在、蔡英文総統は、昨年までの支持率低迷から回復を続けており、これまで先行していた国民党の韓国瑜氏と接戦、あるいは追い抜くところまで持ち直しています。最新の世論調査では、蔡英文氏と韓国瑜氏の一対一の対決となった場合、台湾のテレビ局TVBSの調査では、蔡英文氏が5ポイントリードし、美麗島電子報の調査では、蔡英文氏が14ポイントという大きなリードを見せています。

中国という大きな脅威を抱える台湾の社会は、防衛上の後ろ盾である米国の姿勢に敏感で、民進党・国民党支持者を問わず、米国のお墨付きを得ているかどうかを気にします。

もし、この売却が実際に実現すれば、民進党は台湾の世論に対して、「米国支持」を強く印象付ける宣伝戦を展開することができ、蔡英文総統は、香港問題に続いて有力な「武器」を手にすることになります。

総統選まで半年を控えたこのタイミングで武器売却を決めれば、台湾への武器売却に神経質になっている中国の反発が必至であることは誰でも想像がつきます。今後、米中の軍事交流などが中断するなどの影響は避けられないでしょう。もちろん米国も中国の反発は織り込み済みで今回の行動に出ています。

もちろん米国はこうした事情をすべて織り込んでF16を売却するべきだと判断しており、中国が当選を望んでいない蔡英文総統の再選を、米国は支持するという強いサインと見るべきです。

緊迫する香港情勢において中国は、米国がデモ隊を背後で操っていると疑っており、米中対立の煽りもうけて、香港問題が米中関係の焦点になりつつあります。

台湾への武器売却が実現すれば、米中関係のさらに新しい火種となることは間違いないです。そのうえ解放軍や武装警察による香港への介入をにおわせる中国を牽制する効果もあり、このF16の売却決定が、今後の香港、台湾などを含んだ東アジア情勢に与えるインパクトを小さく見積もるべきではないです。

そうして、日本も台湾に対してTPP加入の促進などで協力すべきです。

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2018年2月8日木曜日

蔡英文総統、安倍首相からのお見舞いに感謝 日本の専門家は現地入り/台湾―【私の論評】台湾と日本はソフト的にもハード的にも運命共同体(゚д゚)!

蔡英文総統、安倍首相からのお見舞いに感謝 日本の専門家は現地入り/台湾

蔡英文総統のツイッターと、安倍総理のフェイスブックに掲載された色紙、「加油」とは
日本語では「頑張れ」という意味

(台北 8日 中央社)東部・花蓮県で発生した地震被害に対し、安倍晋三首相からお見舞いのメッセージが送られたのを受け、蔡英文総統は8日、ツイッターで「安倍首相からのお見舞いは、まさかの時の友は真の友、まさにその通りです。このような困難な時の人道救助は正に台日双方の友情と価値観を体現するものだと思います」と感謝を示した。

行方不明者の捜索、救助を支援するため、日本政府から派遣された専門家7人は同日午後、現地に到着。外交部の李憲章報道官によれば、専門家チームは旧来の装置より深い範囲まで検知できる高性能の人命探査装置2台を現地に持ち込み、機材の使用を指導、支援する。事情を知る関係者によると、台湾には同様の機材がないため、政府が日本側に協力を要請したという。

蔡総統は専門家と機材の派遣に触れ、「これにより、更に多くの被災者の救出に繋がることを望みます」と期待を寄せた。

安倍首相は同午前に蔡総統にお見舞いのメッセージを送ったのに加え、同午後には「台湾加油」(台湾頑張れ)と励ましの言葉を毛筆で書く様子を写した映像を自身のフェイスブックに投稿。色紙を手に「この困難な時、私たち日本人は古くからの友人である台湾の皆さんと共にあります。日本として、全力を挙げて支援して参ります」とエールを送った。

李報道官によれば、地震発生から同午前10時までに、計24カ国と欧州連合(EU)からお見舞いの言葉が寄せられたという。

【私の論評】台湾と日本はソフト的にもハード的にも運命共同体(゚д゚)!

まずは、台湾花蓮県で発生した大きな地震により、亡くなられた方々への御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。

安倍総理の、フェイスブックに掲載された台湾に対するお見舞いメッセージを以下に掲載します。


蔡英文相当のTweetにあった、専門家チームに関する動画を以下に掲載します。



日本の東日本大震災発生時には、台湾は世界のどの国よりも多額の200億円を超える義援金を贈ってくれた大切な日本の友人です。この友人に私たちは、恩返しをしなければなりません。

台湾は、韓国などとは異なり、東アジアにおいては日本以外では唯一のまともな民主主義国家であるといえると思います。この友人に対して、安倍総理の素早い反応は素晴らしいです。

それにしても、今回の台湾の地震に関するマスコミの報道量は、極端に少ないです。安倍総理の御見舞のメッセージなど、いずれのマスコミも報道していなかったのではないかと思います。

隣国が大変なときに、平昌五輪、貴乃花とか北朝鮮美女軍団等いわば、どうでも良いニュースを長々とやる暇があったら、もう少し台湾の報道をすべきです。

今回の地震では、日本人に被害も出ていますし、仕事や観光で渡航してる日本人の家族や会社など、今回の地震については情報が欲しいはずです。

セゥオル号の時は、日本人は誰一人乗っていなかったにもかかわらず、NHKなど2週間連続トップニュースでした。あのときは、ニュースを見ていて、この放送局はいったどこの国の放送局なのかと訝しく思ったものです。

この違いは一体何なのでしょうか。やはり、韓国は反日的な人が多いし、そももそも現政権は反日的であること、一方台湾には親日的な人が多いということ、特に現政権が親日的であるということでしょうか。大きな違いといえば、そういうことしかないと思います。

このような反日国の報道は十分にして、親日国の報道はなおざりにするマスコミの姿勢に操作されてはならないと思います。

台湾というと、最近米国が台湾の重要性について見直しをしています。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
台湾・台北の街並み
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、台湾が北の脅威の後東アジアの次なる火種になる可能性がかなり高いことを掲載しました。

中国は、尖閣の前に台湾を奪取する行動に出るかもしれません。その兆候はいたるところにでています。尖閣諸島は奪取しやいすいようにも見えますが、尖閣諸島は無人島ですし、元々日本が領有する島であり、今は日本の国有地でもあります。

さらに、その日本は海軍力がかなり強いですし、米軍も駐留しています。しかし、台湾は海軍力は日本に比較すれば弱いですし、米軍も駐留していません。

さらに、台湾には、もともと大陸中国から移り住んだ人や、その人たちの子孫も多く、大陸中国に親和的な人も多いです。この人たちを利用して、大陸中国は台湾を内部から切り崩して、台湾を奪取するために利用することができます。

親日的な蔡英文台湾総統
だとすれば、中国からすれば台湾のほうが、尖閣諸島を奪取するよりも、容易かもしれません。

いずれにしても、中国は、台湾も尖閣もチャンスがあれば、奪取しようと虎視眈々と狙っているわけです。

こういうことを考えると、日本と台湾は、地震があったときなど互いに助け合うことも重要ですが、それとともに対中国ということでは、ソフト的(経済・民主主義・政治と経済の分離・法治国家等の体制)にもハード的(軍事・安全保障等)にも運命共同体ということがいえると思います。

このようなことから、日本のマスコミなどは本来は、台湾の報道をもっとしてしかるべきなのです。

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2017年1月29日日曜日

日本語ツイートに中国の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ―【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

日本語ツイートに支那の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ

蔡英文台湾総統
台湾の蔡英文総統が28日の春節(旧正月)に合わせて英語と日本語で新年のあいさつをツイッターで投稿したところ、中国から「なぜ中国語で書かないのか」と批判の書き込みが相次いだ。これに対し日本や台湾からも反論が投稿され、激論となった。台湾紙、自由時報(電子版)が28日、伝えた。

蔡氏は大みそかにあたる27日、英語と同時に日本語で「日本の皆様、今年は実のある素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り致します」と書いた。

中国からは「ごますり」「日本が台湾を侵略したことを忘れたのか」などと批判が殺到。逆に日本からは日台の絆の重要性を訴える投稿が相次ぎ、台湾からも「中国は干渉しないで」といった反発が出て白熱した論争となった。

蔡氏は、日本語でのツイッター利用者が多いため、日本語でも書いたという。

【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも掲載されていた蔡英文総統のツイートそのものを以下に掲載します。

このツイート何が問題になるのか全く理解不能です。そもそも、日本が台湾を侵略したという事実はないです。確かに統治をしたことはありますが、それは日本による台湾侵略し結果によるものではありません。

台湾の日本統治時代(にほんとうちじだい)は、日清戦争の結果下関条約によって台湾が清朝(当時の支那)から日本に割譲された1895年(明治28年、光緒21年)4月17日から、第二次世界大戦の結果ポツダム宣言によって台湾が日本から中華民国に編入された1945年(昭和20年、民国34年)10月25日までの時代です。

台湾人、特に戦前生まれの台湾人は、中華民国に編入された後の国民党による統治の苛烈さからみると、日本統治時代のほうが明らかに良かったと考える人も多く、さらには台湾の近代化を推進したのは日本であるということを知っています。

それと台湾での日本語の位置づけは、大陸支那などとは全く異なります。そもそも、台湾でどれほど日本語が使われているのか以下に簡単に掲載しておきます。

昨年電通は、以下のタイトルの報告書を作成しています。
(独自調査)台湾人の日本語学習者数は200万人規模。戦後生まれの台湾人も、3人集まれば8割の確率で誰か日本語を話す。
おそらく日本初の調査。現在日本語を学習している台湾人(18-64歳男女)のは175万人〜240万人、従来統計の10倍以上という結果が出ました。
プレスリリースはこちら

以下18歳から64歳までの台湾人男女を単に「台湾人」と言います。全員戦後生まれです。
①日本語が少しでも会話できると答えた台湾人は41.5%。台湾人が3人いれば8割の確率で日本語を話せる人がいる。 
②日本語学習経験者は60.4%。現在学習中の人は12.8%、人口175〜240万人と推計。独学者の割合が大きく、現役学校学習者のみを対象とする国際交流基金の日本語教育機関調査の結果を10倍以上回る。 
③日本語学習経験者の訪日経験率は83.1%。18歳から24歳の男女も半数以上が訪日経験あり。 
④日本語学習経験者のうち66.1%は、日本旅行で日本人と日本語で話したいと思っている。日本人に英語を話してほしいと思っている割合は14.4%。
詳しくは以下のGoogleプレゼンテーションをごらんください。
https://goo.gl/nsxa3R

本レポートは株式会社電通が2016年6月に実施した調査を本研究会が紹介するものです。
このレポートの一部を以下に引用します。


いかに台湾で、日本語が話されているか良くわかります。


さらに台湾の歴史を振り返ってみると、そもそも、清朝時代に清朝政府が台湾を統治したとは言いがたい状況でした。放置していたというのが実体です。

よって、近代的な統治をしたのは日本が最初です。このときに、学校、病院、
、産業などの近代国家には、欠くことのできないインフラを整備したのは日本です。

だから、戦前生まれの台湾人の中には、自分は日本人だと考えるような人も多いのです。10年ほど前、私の同僚の方で、その方の母親が台湾で小学校の先生をしておられたというかたがいました。

その方が母親とともに、台湾のその小学校を訪れたところ、校長室まで案内され、かなり歓待されたそうです。

そこで学校に残された資料を示され、確かにその方の母親の名前が掲載されていたそうです。そうして、その校長先生は「台湾は日本統治のおかげで近代化できました。本当に有難うございました」と語っていたそうです。

日本統治時代には、台北帝国大学が存在していて、そこには日本人に混じって台湾人の学生もいたそうです。これは、台北帝大医学部出身の医師に子どもの頃話を聴いたことがありました。この大学は現在は国立台湾大学になっています。

日本の統治時代の面影が多く残る台湾国立大学キャンパス
現在の台湾総督府は、かつての日本の総督府の建物です。

現在の台湾総督府
総統府は博愛特区(台北市中正区重慶南路1段122号)にあります。

赤いレンガと白い花崗岩のコントラストが美しいルネサンス様式の建築物で、近代建築の代表的人物である森山松之助氏の設計によるものです。

1919年に完成し、当時は台湾総督府として使われました。

大戦末期の空襲で一部が損壊し、修復された後は蒋介石の還暦を記念して「介寿館」と改名されましたが、台湾遷都後の1949年からは再び総統府として使用されています。

上空から見ると日本の「日」を現す形に建てられていて、現在は文化資産保存法により国定古蹟として登録されています。

韓国や北朝鮮などとは違い、日本統治時代の日本人の設計による建物を大事に守っている台湾の人たちには胸が熱くなります。

このように、日本に縁のある国のトップリーダーである、蔡英文総統が、日本語のツイートをしたことが問題になるはずもありません。問題にするほうが、どうかしています。

選挙という民主的な手続きを経て総統の地位についた蔡英文総統は、歴史を修正しなくても、十分に統治の正当性を主張できるのです。だから、日本語で日本に対してツイートしても、自らの統治の正当性を低めることはないのです。

それに比較して、大陸支那の習近平は民主的な手続きで主席にえらばれたわけでもなく、対日戦勝70周年軍事パレードなどというとんでもない歴史修正をして日本をことさら悪魔化しなければ、統治の正当性を主張できないのです。

そもそも、現在の大陸支那は、日本と戦争したことなどありません。日本が戦争したのは、後に台湾に移った、蒋介石率いる中華民国の国民党軍であり、現在の大陸支那の、共産党軍とは戦争をしたことはありません。

どちらが、強いリーダーシップを発揮できるかといえば、蔡英文総統のほうであることは、明らかです。蔡英文総統の台湾統治の正当性は、習近平主席の支那統治の正当性よりもはるかに強力なのです。だからこそ、蔡英文氏は英語や、日本語でのツイートができるのです。習近平はツイートすらできません。そんなことをすれば、支那人民の憤怒のマグマが、習近平にTwitter経由で集中しとんでもないことになります。

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2017年1月9日月曜日

支那、米議員に「面会拒否」要請 台湾・蔡英文総統との会談めぐり―【私の論評】今年は、コントロールできないものをコントロールする特亜三国の衰退が顕になる(゚д゚)!


7日、米ヒューストンのホテルを出る台湾の蔡英文総統(右端)写真はブログ管理人挿入 以下同じ
台湾の蔡英文総統は8日、中米歴訪の経由地、米国南部テキサス州ヒューストンで、共和党のテッド・クルーズ上院議員(同州選出)らと会談した。クルーズ氏は会談後の声明で、中国側から蔡氏と面会しないよう求める書簡が届いたことを明らかにした。クルーズ氏は「米国で訪問客(の誰)と会うかを決めるのは私たちだ」と中国側を批判した。

 蔡氏はヒューストンに現地時間の7、8の両日滞在。同行の政権幹部が米国出発後に記者団に状況を説明し、総統府も9日(台湾時間)に概要を公表した。

テッド・クルーズ上院議員
 それによると、蔡氏は8日、クルーズ氏と宿泊先のホテルで約50分間、会談。蔡氏は米国と自由貿易協定(FTA)を締結したいと伝えた。また、共和党重鎮のジョン・マケイン上院軍事委員長とも電話で会談し、米国防権限法で米台の軍高官交流が緩和されたことに謝意を表明した。

 クルーズ氏は声明で、中国の領事館からの書簡が同氏やテキサス州選出の連邦議員団に届いたと暴露。「この件に中国は関係ない。米国と法的に防衛義務を負う台湾との話だ」と不快感を示した。

 一方、台湾の中央通信社は9日、蔡氏に同行する高官の話として、トランプ陣営関係者とは「面会しなかった」と伝えた。台湾紙、自由時報はトランプ氏との電話協議を仲介したとされる「ヘリテージ財団」の創設者、エドウィン・フルナー氏との会食を報じたが、総統府は「不正確だ」と否定した。

【私の論評】今年は、コントロールできないものをコントロールする特亜三国の衰退が顕になる(゚д゚)!

現在日本では、韓国の朴槿恵大統領の弾劾や、韓国の日韓合意違反に対する日本側の韓国に対する報告などで、韓国に耳目が集まっています。

そのためか、このニュースもあまり目立ちませんが、上の記事、支那のそうして習近平の凋落を物語るものだと思われます。そうして、多くの日本人は韓国の日韓合意を守らない姿勢をみて、呆れていると思いますが、支那の今回の所業も他のまともな国々からみれば、負けず劣らず、呆れ果てる所業です。

なぜそのようなことがいえるかといえば、まず第一に支那はコントロールしてはならないものをコントロールしようとする癖が全く治っていないということです。

次に、支那には外交なるものは存在せず、いつも自国の都合で動くとんでもない国であることが、さらに大きくクローズアップされたことです。

この二点、普通の国なら、このような問題を起すことなどあり得ません。いずれの国であろうと、外国の議員に対して、特定の人物に会うことをやめろなどと書簡を送るなどということはあり得ません。しかも、会うのが自国内でなく、外国である場合など全くあり得ません。

常識はずれと言わざるを得ないとんでもない所業です。支那は、まさにコントロールすべきでないものをコントロールしようとする癖が全く治っていないどころか、ますます磨きがかかってきたようです。

支那が、コントロールすべきでないものをコントロールして大失敗した事例に関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事の、リンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く―【私の論評】行き着く先は超元安とハイパーインフレしかない中国経済(゚д゚)!
突然の株価下落で唖然とする上海市民

さて、この記事では、支那からのとめどもない資金流出が、結局のところ支那がコントロールすべきでないものをコントロールしようとしたことによるものであることを掲載しました。それに関する部分を以下に引用します。
一言でいえば、中国政府はコントロールしてはならないものをコントロールしたことが、とめどもない資金流失の直接の原因ということです。 
中国政府は、農民から収奪した土地を工業団地や商業地などに転換して不動産バブルを演出したにもかかわらず、供給が需要を大きく上回ってマンションやショッピングセンターが「鬼城(ゴーストタウン)」だらけになってしまいました。そこで習近平政権は投機の受け皿を不動産から株にシフトし、株投資を煽って株高に誘導しました。不動産の次は株の官製バブルを演出しました。
ところが、それは元々政府のやるべき仕事ではありません。株価は、将来得られるであろう企業収益の現在価値です。本来企業の業績が良くならない限り、株価は上がらないのです。その本質を中国政府は理解せず、株式市場にカネを突っ込んで、なりふり構わぬPKO(株価維持策)を続けました。しかし、中国企業の業績は伸びていないのですから、当然の結果として株価は2015年夏から下落し始めました。

すると今度は大量保有株主の株式売却を半年間禁止し、違法売買の摘発を強化しはじめました。しかし、株価が下がっている時に株を売れないことほど株主にとってストレスになることはありません。そのため、大量保有株主の株式売却解禁と同時に株価は大幅に下落しました。株価の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を新設後5日間で2回も発動したのですが、それがまた呼び水となって、さらに株価は下落するという悪循環に陥ってしまいました。

これら一連の動きから、世界中から中国政府は資本主義経済を全く理解してないという事実が露呈ししてしまったので、現在世界中がある種のパニック状態に陥っています。中国政府は欧洲がやっているような感じのつもりで上へ下へと中国経済をコントロールしようとしてきたつもりなのですが、いまやヨーヨーの紐が伸びきったように何をもってしてもコントロール不能になってしまったのです。
経済に対しても、このような感覚なのですから、外交についてもコントロールすべきでないものをコントロールするというのが、支那流のやり方なのでしょう。そうして、経済と同じく、外交においても自分たちのやり方がおかしいのではないかとは、つゆほども疑わないのでしょう。本当に困ったものです。

経済でも、外交でも、これから支那は本来コントロールすべきではないものをコントロールしようとして、大失敗し、ますます衰退していくことでしょう。

次に、支那には外交なるものは存在せず、いつも自分の都合で動く癖があることも、このブログで何度か掲載してきました。その記事の典型的なものを以下に掲載します。
南シナ海で横暴の支那に米空母で鉄槌か 演習実施で牽制―【私の論評】トランプ新大統領による対支那強硬策で習近平失脚は確実(゚д゚)!
南シナ海に派遣されるカール・ビンソン

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、支那が自分の都合で動くことを示した部分を以下に掲載します。
習近平にとっては、オバマが大統領だったときの米国は、かなり御しやすかったと思います。支那という国は、ほとんどが自国内部の都合で動く国です。外交も自国内部の都合にかなり左右されます。というより、最初に自国の都合があって、その後に外交があるというとんでもない国です。 
オバマが大統領だったときは、習近平はまず支那国内を優先して、国内対応を中心として動いていたものと思います。習近平にとっては、オバマは国内の習近平反対派の、胡錦涛派(共青団)の李克強氏、上海閥と太子党の江沢民派のほうが、余程大きな存在だったに違いありません。
胡錦濤(左)と江沢民(右)
オバマ大統領は、習近平にとっては、胡錦濤や江沢民のほうが余程大きな存在であったに違いありません。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、胡錦濤や江沢民よりも、トランプ氏のほうがはるかに大きな存在になるに違いありません。

今までは、習近平は、中国国内の胡錦濤派と江沢民派と腐敗撲滅運動という名の下での権力闘争を繰り広げて、時折米国対応をしていれば、比較的楽に権力闘争を戦えたのですが、トランプ大統領になれば、そのようなわけにはいかなくなります。

そうして、反習近平派はここぞとばかり、権力闘争を強めてくるに違いありません。習近平としては、今までは2つの派閥にプラスアルファ程度で戦ってこられたのが、派閥が3つに増え、しかも増えた派閥が、それまでの派閥よりはるかに強力になったというような状況になります。
支那では、自国の都合が何よりも先に優先し、支那共産党の幹部は、国内の派閥争いと他国との関係を同列に見ているのです。

彼らにとっては、トランプ新大統領よりも、国内の権力闘争のほうが重要なのですが、さすがにトランプ氏を無視するわけにもいかず、彼らの頭の中では権力闘争の相手が1人増えたくらいの感覚なのです。

それにしても、こんなことばかりやっていては、ますます混乱するのは目に見えています。世界は複雑ですす。本来、自国の中では意思を統一して、対外的な諸問題に対応していくべきなのでしょうが、支那はそのような考え方はできません。

最近の支那には、もう一つ厄介な問題があります。それは日本の安倍首相の存在です。かつての日本の総理大臣は中国にとっては、扱いやすく、アジアの中では、いつも自国の問題だけ考えていればよかったのですが、そうはいかなくなっています。

習近平からすると、胡錦濤派と江沢民派との権力闘争に加えて、トランプ新大統領、安倍総理の事を考えるだけではなく、ブログ冒頭の記事のように、何人もの米国議員まで考慮に入れてコントロールしなければなりません。

無論、これらはコントロールすべきものではないのですが、支那はコントロールできるものすべきものと考え、それを実行して、また深みにはまって身動きがとれなくなるのです。

それにしても、特亜三国、中国、韓国、北朝鮮にはいずれも、このことが良く当てはまるようです。韓国は、日韓合意を自分の国の都合でどうにでもできると考えているようです。北朝鮮は、ミサイルをぶっ放せば、世界をコントロールできると考えているようです。このようなことを長期にわたって続けていくことは、いかなる国でも不可能です。

今年は、特亜三国の衰退が顕になると思います。

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