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2008年1月27日日曜日

反捕鯨の背景とは?-世界への指針

世界を駆け巡る日本料理


最初に皆様に文書が長大になってしまったことを謝罪させていただきたいと思います。言い訳になってしまいますが、捕鯨に関して調べれば調べるほど、現在のアメリカ型自由主義経済に関して疑問を感じざるを得ず、これを皆様に理解していただくためには、いわゆるワンワードポリシーのようなやり方は、通用しないと思い敢えて長文のまま掲載させていただきました。

■食べ物としての鯨

最近日本料理が世界を席捲しています。現代フランス料理はもともと、江戸時代から日本の影響を受けていますが、それが最近では、さらに日本の味を取り入れ ています。アメリカでも、日本酒を飲み、なれない手つきで箸で日本料理を食べる人が増えています。醤油、味噌は普通のスーパーで売れています。日本料理の 中には、勿論美味しい鯨肉を使ったものも沢山あります。鯨の種類にもよりますが、鯨の尾の身 など、はっきりいって、マグロのトロより美味しいですから・・・。

最近では長い間捕鯨をしていなかったので、日本人の中にも、美味しい鯨肉があることを知らない人も増えてきています。同じ鯨肉でも、赤身、尾の身、コロ、サエズリ、バラ、ハラミ、上ミノ、テッチャン、生セン、テールなどいろいろ種類があること、さらには鯨の種類などによっても違うということを知らない人も増えてきています。まあ、細かいところまで、知らなくてもいいですから、少なくとも、同じ鯨肉でも、部位や鯨の種類によって美味しいものから、不味いものまでさまざまあるということくらいは知っておいてもらいたいと思います。近海で捕獲される、ツチクジラなど肉の色がどす黒くて、見た目も不味そうですし、食べても不味いです。まあ、最近では牛肉の部位ですら知らない人もいるので仕方ないところもあるかもしれません。

最近では、中国人がマグロを食べるようになりました。日本人が美味しいというものは、世界でも美味しいとの評価を受けた事例だと思います。数年前までは、火を通していない料理など中国人が食べるなどということは考えれませんでした。中国四千年(1000年前は食べていたこともあるそうです。ただし、食文化としては断絶したものと思います)の食の歴史の中でも始めてのことだと思います。

今や、欧米でも、刺身や鮨など全く当たり前になっていますから、欧米でも鯨肉を食べ始めるかもしれません。欧米では食文化が違うので、なかなか普及しないかもしれませんが、韓国ではすでにその習慣があります、中国でも意外と抵抗なく受け入れられるようになる確率は高いです。人口が爆発的に増えている国など、贅沢は言っていられないから受け入れるようになるかもしれません。

日本でも、江戸時代にはいわゆる四足の動物は食べていなかったのに、明治維新とともに、肉食の習慣はあっという間に広まり、すき焼きや、肉じゃが、芋煮などの新たな牛肉の和風調理方法も開発され、今では全く違和感なく日本人に受け入れられています。捕鯨をしているロシアなど、意外と抵抗なく受け入れるかもしれません。

美味しいものは世界共通ですから、いろいろなところで、鯨肉は受け入れられるかもしれません。そうなると、巨大産業である牛肉の消費が落ち込むこともありえます。牛肉には、BSEの 問題や、大量の穀物などを必要とするという問題があります。もしそうなったら、アメリカなどの食糧による覇権構造は崩れてしまいます。

Authors@Google: Masaharu Morimoto

■環境問題としての鯨

以上は、誰にも親しみやすい食べ物としての捕鯨に焦点をあててきましたが、もっと違った環境問題としての鯨に焦点を当ててみます。

実は、日本を含む世界全部の捕鯨国が獲りたいとしている量をとったとしても、資源問題にも環境問題にもほとんど影響を与えません。日本の捕鯨、いや世界の捕鯨に関しては、すでに狭義の意味(広義の意味での環境問題は後で述べます。ここでは、狭義の環境問題=環境問題として受け取っていただいて結構です)では、環境問題とは関係ありません。これは、この世界の専門家である科学者の間では、十分コンセンサスが取れています。ここでは、細かい数値などは掲載しませんが、確かめたい方は信憑性の高い、日本の数字や、各国の専門家のデータをあたってみてください。

では、なぜ環境問題に関して、いろいろな国があれほど反対して、日本も食文化の問題だと反論して、この問題に決着がつかないのでしょうか。それは、はっきりしています。それはマスコミなどによる情報操作と、捕鯨の問題に関して決着せずに長引いた方が、得をする、お金儲けをできる人達がいるからです。それは、たとえば、今回調査捕鯨に対して妨害活動をしているグリーンピースやシーシェパードのような自然保護団体とそれを支持する人達です。

たとえば、グリーンピースであれば、年間の歳入は200億円以上にのぼります。日本の東証に上場している一部上場企業でさえ、これほどの売上高のあるところは、そんなに多くありません。グリーンピースのような団体は、最初は本当に自然保護などを目指して設立されたのでしょうが、規模が大きくなるにつれて、当初の目的よりも存続を続けることに力点が置かれるようになりました。いつも世界に対して自らの存在価値を示し続けなければ存続の危機にさらされます。これが、アメリカの海兵隊のように、いつも組織変革を遂げて、その時代、時代で海兵隊の存在価値を示すことができればよかったのでしょうが、よからぬ方向に向いてしまい、弊害の多い官僚型組織のように既得権を主張する集団に変質してしまいました。このような団体にとっては、捕鯨の問題が片付いてしまえば、大きな資金源が断たれてしまいます。だからこそ、手を変え、品を変え、いろいろと問題があるように人々を煽り立てます。資源、環境、情感、マスコミ、人種の問題など総動員します。だから、多くの人が惑わされて、反捕鯨派、捕鯨賛成派に分かれて、なかなか決着がつかなくなっています。

■食糧戦略や覇権構造からみた鯨

さて、食料戦略や、各国の覇権構造からも焦点をあててみます。ここでは、鯨の問題は広義の環境問題として関わってきます。

現在、原油が値上がりし、バイオエタノールの問題などで、穀物相場も上がっています。テンフォーなどのピザ宅配業に関わりの深いチーズの相場も上がっています。また、牛肉などの肉の相場も上がっています。これらが、私たちの生活に直接影響を及ぼしつつあります。

この中で、特に牛肉に焦点をあててみます。牛肉は、特にオーストラリアや、アメリカにおいては巨大な輸出産業に育っています。もし、ここで捕鯨などが全面的に解禁になり、かなりの量の鯨肉が日本やロシア、中国、韓国、その他の国々になだれこんだとしたらどうなるでしょう。特に、日本はオーストラリアからの最大の輸入国です。これらの畜産農家は大打撃を受けるに違いありません。だからこそ、これらの国々や、畜産で成り立つ国々はおいそれと捕鯨反対の立場を崩すことはできないのです。

アメリカに関してもう少しみてみると、小麦やトウモロコシはアメリカの覇権を強めるための戦略物資でもあります。日本などの自給率の低い国は、アメリカなどの国から、これらの物資を輸入できなくなったり、量を減らされたら大変なことになります。

ご存知のように、アメリカでは牛肉を穀物で育てています。さらには、穀物でつくるバイオエタノールもアメリカの戦略物資として積極的に推進することをブッシュ大統領も認めています。こうしたときに、捕鯨が解禁になったらどうなるでしょうか?捕鯨国に関しては、あるいは鯨肉を受け入れる国にとっては、穀物を多量に用いて育てる牛肉を全部とはいわないまでもかなりの部分を輸入しなくてもすむようになります。そうすると、捕鯨は長期の環境問題にも寄与するとは思いませんか?

そうすると、国家戦略にもある程度狂いが生じてくるとは思いませんか?そうです、オーストラリアにとってもこれがあてはまります。覇権を強める道具としての、牛肉や穀物の価値が下がってしまいます。これは、ひいてはアメリカ国内で巨万の富を求める一部の人達(誰とはいいませんが、巨大ファンドを操る人達もその一派です)の権益にも関わることです。せっかく手塩にかけて育てあげた、戦略物資による富を生み出すシステムの一角が崩されることになります。だからこそ、おいそれと反捕鯨の立場を崩すことはできません。

■富製造システムの創設者にとって最も怖いのは、調査捕鯨を含めた海洋資源の開発

さてここで話はがらっと変わります。皆さんの中には、文化(culture)という言葉がラテン語(だったかな?)の耕作するという言葉が語源になっていることをご存知の方も多いでしょう。実際どの文明も、耕作するという技術、農業という技術がなかったら存在しえなかったと思います。

現在世界は、いろいろな面で、行き詰っています。政治のシステム、金融システム、エネルギーシステム、経済システムなどさまざまです。これらのシステムはいずれ変えていかなければなりません。このシステムを直すためにはどうするかなどについてはここでは述べません。その前には、多くなりすぎた人口を養うだけの食料、飲料水の十分な確保が重要となってきます。

そうでなけば、新たなシステムを構築することは不可能です。これを成し遂げるためには、ちょうど文明を発生させるのに必要だった農業のような新たなシステムを創設する必要があります。しかし、そんなことは可能でしょうか?世界中の農業が今まで、ものすごい勢いで生産性をあげてきていて、今もあげています。ただし、アフリカは遅れています。アフリカの農業生産性をアジアなみにしただけで、世界の食料の問題は完全に解決するという説もあります。ところが、現在では気候変動などにより、飢饉が発生したり、不安定な部分も多すぎです。新たなシステムを生み出すためには、安定したエネルギー、食料の供給は不可欠です。特に現在では、バイオエタノールにより、食料の安定供給は危険にさらされています。

では、人類は新しいシステムを作り出すために、宇宙開発など待たなければならないのでしょうか?いえ、実は本当に身近なところに、莫大な資源が眠っています。そうです。それは海洋資源です!!
海洋資源については、すでに漁労や、養殖などいろいろやっているではないかという意見もあるかもしれません。しかし、農業と比較するとまだまだ未知です。海洋資源となると、陸上の資源と比較すれば、まだ手つかずといってもいいくらいです。海には、魚、鯨、海老、海洋プランクトン、さらに深海にはマリンスノーという海洋プランクトンの死骸が手付かずで今でも蓄積され続けています。最近の研究では、このマリンスノーが石油の原料になっているらしいことも判ってきています。さらには、植物プランクトンはバイオエタノールの原材料として使えるかもしれません。ご存知のように、地球では海の面積の方が、地上の面積よりはるかに広いし、深さも地上ではエベレスト山の高さが一番ですが、海にはその何十倍も深いところがあります。その他に、レアメタルなどの資源も豊富です。海は宝の山です。しかも、昔は技術的に不可能だった海洋への取り組みは、現代のテクノロジーの発達でどんどん可能になりつつあります。

経営学者の故ドラッカーは、海は人類にとって地球最後のフロンティアだと語っています。特に海洋牧場の重要性について語っていました。「陸上で放牧をしているように、将来は大規模な海洋牧場が出来上がることだあろう」と語っていました。

この海洋牧場では、魚などの資源のほかにも、鯨やシャチなども育てるべきでしょう。資源としての、海洋資源を守るためにも、一定以上魚が増えすぎたり、減った場合の調整に必要になることでしょう。鯨なども安定した資源になる可能性が大です。いずれにせよ、こうした海洋資源にしても、無限ではありませんから、持続可能な開発を行うべぎです。昔欧米諸国がやったように、鯨を工業製品のように扱い、油をとったら捨ててしまうという考え方では、海洋資源も枯渇してしまうでしょう。古の日本人がやってきたようには、一度獲った鯨は、すべてを大事に使い尽くすこと。また、鯨を生活の糧として大事に、敬う姿勢が必要になります。

しかし、この海洋資源の開発に関して、今どこの国もあまり大きな声では発表しません。なぜでしょうか?穀物によるバイオエタノールより、海洋植物や植物プランクトンによるもののほうが、良いと思います。さらには、大量のマリンスノーの使い道を考えるべきだと思います。この海洋牧場や海洋資源の開発は何も空想の産物ではありません、日本でも実際に小さな規模で稼動しています。こちらは、函館ですが函館の近くの上ノ国町にも海洋牧場があります。ここは、私自身も訪れたことがあり、水産関係の方からお話をうかがったこともあります。

アメリカなどの一部の巨万の富を得るためのシステムを作り出した人々、それを真似てアメリカのシステムを利用する他国の一部の人々、あるいは自分の国でこの種の新たなシステムを作り出そうとする人達にとっては、これは邪魔なのです。最近何かと話題のサブ・プラムローンも彼らの富製造の一つだったと考えられます。しかし、このツールは彼らの予想を裏切り、役立たずになってしましました。産油国の一部の富める人々にとっても、こうした海洋開発が急速に進めば、都合の悪いことはいうまでもありません。エネルギー、食料の安定供給に関して、常に世界中人々の中に不安感を植えつけておくことができなければ彼らの富製造システムはうまく機能しません。

調査捕鯨は、これら一部の人達にとって脅威です。調査捕鯨や、捕鯨解禁だけだったらまだ、先のシステムもたいした被害は蒙りません。その一角が多少崩れるだけですみます。しかし、蟻の一穴という言葉もあります。わずかのほころびが、大災厄につながる場合もあります。オランダで堤防の小さな穴を必至に腕でふさいだ勇敢な少年の話は皆さんご存知でしょう。今、アメリカなどの国の一部の巨万の富を求める人々は、この少年のように必至になって崩壊を防ごうとしています。彼らは、無論、グリーンピースやシーシェパードなどの有力な資金源となっているでしょう。賢い彼らですから、無論間接的に供与しているでしょう。しかし、この捕鯨に世界人々が冷静になって、無駄な対立をやめ、協調するようになり、これをきっかけにして海洋資源に眼が向くようになり、本格的な開発が始まったらどうなるでしょうか?彼らにとっては、崩壊の序曲の始まりです。だからこそ、調査捕鯨に対しておいそれと反対の立場を崩すことができないのです。

■終わりに

日本は、国 家戦略として調査捕鯨は続けるべぎですし、今世紀最後のフロンティアとしての海洋資源を最大限に活かしつつも、持続可能なエネルギーと食糧の生産の獲得を目指した、鯨を 含む海洋資源の養殖事業、海洋植物のエネルギーへの転用などを目指すべきと考えます。日本にはそれだけの力と知恵があります。今でも日本は省エネに関してはトップクラスの力を持っています。しかし、省エネだけでは限界があります。海洋資源の開発は私たにとって緊急の課題であると考えます。

また、日本は国民全体、いや世界のために貢献するという姿勢が求められると思います。一部の人達の富製造システム、アメリカ流自由主義経済に飲み込まれることなく、世界を救う真のリーダーとしてリーダーシップを発揮していくべきと考えます。


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