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2017年6月21日水曜日

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に―【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に

大物政治評論家が「米国の国力が衰える」と警告

2017年6月14i日 トランプ大統領 写真はブログ管理人掲載 以下同じ
 米国の大手メディアのトランプ政権に対する非難キャンペーンは激しさを増す一方である。

 反トランプ陣営の記者やコラムニストから、テレビキャスター、芸能人までもが放送禁止まがいの罵詈雑言をトランプ氏に浴びせる。トランプ氏の生首のイメージをネット上でばらまく。トランプ暗殺を想起させる舞台劇を上演する──。

コメディアンのキャッシー・グリフィンがネット上に晒した写真
 こんな動向に対して、保守系の大物の政治評論家がこの状態はきわめて危険だとして、メディア界に沈静を求める警告を発した。

   テレビ番組も舞台劇もトランプ攻撃

 この警告は大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏により6月15日の同紙に発表された。

女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏
「誰もが激怒している、それは危険だ」(Rage Is All the Rage, and It’s Dangerous)というタイトルのこのコラムは、ワシントンを主要舞台とする米国の分裂と対立が近年に例のないほど険悪になったとして、「トランプ支持層とトランプ憎悪層の対決」に焦点を合わせていた。

 ヌーナン氏は1980年代にレーガン大統領のスピーチライターを務めた政治学者で、長年、米国メディア界で活躍してきた大物政治評論家でもある。基本的な政治傾向は保守だが穏健派で、トランプ政権に対しても頻繁に批判を述べてきた。

ヌーナン氏は本コラムで、最近の以下のような出来事は大衆扇動的で明らかに一線を超えていると指摘する。

・CNNテレビの娯楽番組に定期出演する女性コメディアン、キャシー・グリフィン氏は、5月30日、トランプ大統領の生首をぶら下げる映像をツイッターなどで流した。

・6月中旬、ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」では、暗殺されるシーザーをトランプ氏に似せる演出があった。

ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」
 ヌーナン氏は反トランプの憎悪をこうしてあおるのは行き過ぎであり、危険だという。さらに報道の分野でも、トランプ叩きは過熱している。

・CBSテレビのニュース関連番組に定期的に出演する著名な評論家兼コメディアンのスティーブン・コルベア氏は、放映中にトランプ氏をロシアのプーチン大統領の性器に関連付ける発言をした。

スティーブン・コルベア氏
・CNNテレビの司会役が、トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけた。

トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけたレザ・アスラン
・MSNBCテレビの報道キャスターが、「トランプ大統領は自分の政治目的のためにテロ犯罪をわざと起こさせようと挑発している」と断言した。

問題となったMSNBテレビの報道番組
 ヌーナン氏は以上のような実例をあげて、懸念を表明した。民主党寄りの芸能人やキャスターが政治的な理由でトランプ大統領の政策を非難するのは正当化できるとしても、明らかな偏見や不公正をメディアの客観性や中立性を放棄して表現することは、危険な暴力行為をも扇動することになる、と警告した。その危険な暴力行為の実例としては、6月14日にワシントン郊外で起きた、反トランプの中年男性による共和党議員たちに対する射撃事件が挙げられるという。

共和党議員たちに対する射撃事件の犯人
 同氏はさらに、米国内でイデオロギーや政策をめぐって激しい対立が起き、その結果、米国全体が政治的に分極化することを憂慮する。現在の米国の主要メディアのトランプ大統領への攻撃は、激怒や憎悪をあまりにむき出しにしており、「その温度を下げるべきだ」と訴えた。

   このままでは米国全体が危機に

6月16日、ワシントンを拠点とする保守系のインターネット新聞「ワシントン・フリー・ビーコン」も、この種のトランプ叩きの現状を伝える記事を掲載した。

民主党系弁護士のジャミー・ゴアリック氏が、トランプ大統領の娘、イバンカさんとその夫のジャレッド・クシュナー氏のロシア関連疑惑での弁護を引き受けた。そのことが民主党勢力から裏切り行為のように激しく非難されているという実態を伝える記事だった。

ジャミー・ゴアリック氏
 弁護士の弁護引き受けは政治党派の別を越えてなされるのが自然である。ところが「ワシントン・ポスト」などはゴアリック弁護士がクシュナー夫妻を弁護するのは不当な行為として断じている。ワシントン・フリー・ビーコンの記事は、その種の非難は一線を越えていると批判した。

こうしたトランプ政権と反トランプ陣営(民主党と大手メディアの連合)との対決は一体どこまでエスカレートするのか。ヌーナン氏のコラム記事は、「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」と警告していた。

【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

米国のこの状況、憂慮すべき状況です。そうして、この状況はなぜ起こっているのか、日本国内ではなかなか理解されないことですが、米国のある一面を理解していれば、それは容易に理解できることです。

それに関しては、このブログでも過去に何度か掲載させていだたきました。要するに、米国のメディアの9割は、リベラル・左派系であるということです。保守系メディアは1割に過ぎません。

米国メディアはリベラル・左派が圧倒的に多い
新聞に関しては大手はすべてが、リベラル・左派系です。これは、日本にたとえると、産経新聞は存在せず、朝日新聞や毎日新聞のようなリベラル・左派系の新聞しか存在位しないようなものです。

テレビは、大手は保守系のフォックスTVを除き後はすべてが、リベラル・左派です。この状況は数十年前から続いていました。

最近では、ネットが発達したとはいえ、まだまだ既存メディアの影響はかなり大きいです。しかし、メディアがこのような状況ですから、米国にも現実には人口の約半分くらいは存在するであろう、保守派の声はかき消されことになります。

少なくとも、テレビを視聴したり、新聞を購読する限りにおいては、リベラル・左派の考え方や、イデオロギーが世の中の主流ということになっていたのです。そうして、保守派がいくら自己主張をしても、その声は大きな声となって他の人々に聴かれたりそれが影響力を持つようにはならなかったのです。

そうして、日本など米国以外の国でも米国といえば、リベラル・左派のメディアなどによってもたらされる情報によって米国を判断していたので、多くの日本人は米国保守の存在を知らず、米国の半分しか見ていなかったというのが実態でした。私達の多くは、現実の米国の半分しかみていなかったといっても過言ではありません。

日本のメディアも多くが、リベラル・左派で占められていることから、日本でも米国メディアの報道細のまま垂れ流すようなことをしていたため、米大統領選などもまとに報道できませんでした。それは、今でもかわらず、トランプ氏に対するネガティブな報道姿勢は今でもかわっていません。

このようなことが長く続いたことから、米国の保守派は何十年にもわたって、無視され続けてきたのです。そうして、保守派自身も自分たちはマイノリティーだと長い間思わされてきました。だから、彼らの多くは、自分の主張は腹の中にしまいこみ、ひっそりと生きてきたのです。

何しろ、メデイアに影響されて、学校でも多くの職場でも、ありとあらゆるところで、リベラル・左派的なものの見方や考え方が優勢であり、そのような中で保守派が保守的な考え方や、イデオロギーを開陳すれば、まわりから野蛮であるとか、粗野であるとそしられることになるので、保守派はあまり自分たちの考え方を開陳できなかったのです。

しかし、トランプ氏の登場によって、それは変わったのです。それまでも、草の根保守の運動はあって、保守層も自分たちは決してマイノリティーではないことに気づきつつはあったのですが、トランプ氏が大統領選に出馬し、選挙運動をはじめてから、かなり状況が変わってきました。

大統領選挙戦中のトランプ氏
多くの保守層も、選挙運動に参加し、トランプ大統領が登場すれば、自分たちの主張も多くの人達に理解されるようになるに違いないという希望を持ちました。そうして、実際保守派は決してマイノリティーではないことをトランプ大統領の登場によって示したのです。

ところが、米国メディアの大勢がリベラル・左派であるという本質はトランプ大統領が登場した今も変わりはありません。

米国メディアは当然のことながら、連日反トランプ的立場から報道します。そうして、リベラル・左派は選挙の結果などはすっかり忘れて、米国の保守層のことなどは忘れ、自分たちが、主流なのになぜ、トランプ政権なのだ。トランプ氏が大統領であることは大きな間違いだと思い込む、輩も多数出てくることになります。

リベラル・左派は明確に大統領選挙の結果示された、米国の人口の半分は存在する保守層の存在を忘れ、自分たちの考えだけが主流であり絶対に正しいのだという考えに凝り固まり、勘違いする馬鹿者もでてきたので、ブログ冒頭の記事のようなとんでもない状況が発生したのです。

先にも述べたようにこの状況は、憂慮すべきことです。ヌーナン氏の「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」という警告はまさに正鵠を射たものです。

それにしても、この状況、米国ほど酷くはないものの、日本も似たり寄ったりの状況にあると思います。選挙結果からみると、日本のリベラル・左派はマイノリティーであるのは、間違いありません。しかし、彼らはメディアのほとんどがリベラル・左派であることから、自分たちを過大評価して、自分たちこそ世の中の主流であり、自分たちの考え方や、イデオロギーこそが、世の中の中心であり、絶対善であるかのように思っています。

日本では、一昨年、国会議員が誰もいない国会を取り囲んで、多数の国民が参加するデモが開催されました。デモに何人いたのかわからないし、こういう類の主催者発表はだいたいあてにならないので、多数、としておくのが良いでしょう。

このデモに参加した政治学者の山口二郎氏が次のように述べていました。
「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!叩き斬ってやる」
動画で見る限り、物理的に叩き斬るとはいっておらず、「民主主義の仕組みで」と留保している点は、まあ、ほっとしたのですが、それにしても穏やかな話ではありません。



しかし、良く考えてみると、「叩き切る」云々という部分よりも、前半の「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!」という叫びの方が、危険な叫びだと思えます。

山口二郎氏によれば、安保法案を推進する安倍総理は「人間じゃない」ということになるのでしょうが、この論理に従えば、安保法案を支持する国民も「人間じゃない」ということになってくるでしょう。

実際に、山口氏は、ツイッターで次のように呟いています。
「今日は、学者の会の会見、日弁連の会見、日比谷野音の集会とデモに参加し、一日中安保法制反対を叫んだ。日本政治の目下の対立軸は、文明対野蛮、道理対無理、知性対反知性である。日本に生きる人間が人間であり続けたいならば、安保法制に反対しなければならない。」2015年8月26日
山口氏の論理に従えば、安保法案に反対する人間が「文明」であり、「道理」であり、「知性」であるのです。その逆に安保法案に賛成する人間は「野蛮」であり、「無理」であり、「反知性」だというのです。そして、安保法案に反対する人間こそが、「人間が人間であり続けたい」と願う人だというのです。ここでは明らかにされていないのですが、安保法案に反対する人間は「人間が人間であり続けることを拒む」存在だということになります。

今月は、戦争反対、人権擁護を目的とする市民団体のリーダーが、自らのTwitterにおいて
#安倍を吊るせ
というハッシュタグを作成しました。

安倍とは安倍晋三総理大臣のことであり、安倍首相は彼らのイデオロギーにとって敵であると見なされているからのようです。以下に、そのツイートを掲載します。


政治に関与する人間は、自らの「正義」に陶酔するあまり、敵対者を「悪魔化」する傾向があります。これは、古来からかわることのない「正義の狂気」です。古来より、往々にして、正義が人を殺してきました。ロベスピエール、レーニンといった革命家は、自らの正義に酔い痴れ、敵対者を悪魔化し、大量虐殺を肯定しました。

いまから50年以上も前に、哲学者アイザイア・バーリンは、自分の掲げる理念を他人に強要して、正義の社会が実現すると考える「積極的自由」の思想が、数多くの虐殺を繰り返してきたと指摘しています。バーリンの指摘から50年の歳月が過ぎても、自らの正義に陶酔する人間が存在し続けています。これは、日米に限らず、世界中に存在しているのだと思います。

アザイア・バーリン
私は安保法案に賛成する一人ですが、勿論、人間です。安保法案に賛成する人々も、反対する人々とおなじ人間だ。意見が異なるだけです。米国の保守派とリベラル・左派も無論両方とも人間です。意見が異なるだけです。

どんな場合でも、敵対者を「悪魔化」、「非人間化」して攻撃するような愚かな真似はすべきでないです。反対の声をあげるなら、頭を冷やして、冷静に反対の声をあげるべきです。そうでないと、多くの人の賛同を得ることはできません。

結局、トランプ大統領に対して、いくらネガティブ・キャンペーンをはったにしても、何も変わることはないでしょう。

日本では、そもそも何が問題なのかもわからない「森友・加計学園問題」で、ネガティブ・キャンペーンが行われましたが、与党の支持率は若干下がったものの、野党の支持率は変わりません。おそらく、短期間で、与党の支持率はまた戻ることでしょう。

それにしても、日米ともにいわゆるリベラル・左派の行動には問題が多いです。このまま、日米が国内のリベラル・左派の動向にばかり振り回されているようでは、トランプ大統領や安倍総理にに敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、日米両国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなりかねないです。

しかし、リベラル・左派の人々は日米とも、保守派とまともに語り合おうとはしないようです。であれば、日米の保守派は互いに歩みより、まずはコミュニケーションを密にして、いずれ相互連携を強めていくようにすべきと思います。

思えば、戦前からそうして戦後ずっと、マスメディア、学界を始めとして、左翼の台頭を許してきた日米両国です。双方の保守派は今なお分断されたままで、日本国内には、アメリカの本当の姿を知るための、正しい情報が入ってきません。米国にも、日本の真の姿を知るための情報は少ないです。

日米は、同盟国であり、アジアの平和を守るためにも協力が欠かせない間柄です。日米の保守派は、真の姿をお互いに知り合うべきなのです。
日米双方の保守派の連携によって、思っても見なかったような、展開がみられるようよになるかもしれません。

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2015年2月24日火曜日

衆院が原田早大教授の日銀審議委員起用を可決、参院も同意見通し―【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?


原田泰氏

衆院は24日午後の本会議で、日銀審議委員に早稲田大学・政治経済学術院特任教授の原田泰氏を起用する政府の同意人事案を与党などの賛成多数で可決した。

国会同意人事は衆参両院の同意を得なければ白紙となるが、両院とも与党が多数を占めており、25日開会で調整中の参院本会議でも同意を得られる見通し。

原田氏は、3月25日に任期を迎える宮尾龍蔵審議委員の後任となる。大胆な金融緩和を提唱するリフレ派の中でも、岩田規久男・日銀副総裁と並ぶ代表的な論客。岩田氏や浜田宏一・米イエール大名誉教授との共著もある。

日銀審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーで、同委員会は総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成。月に1─2回、定例開催している金融政策決定会合では当面の金融政策運営の方針などを決めている。

●原田 泰(はらだ・ゆたか)氏

1950年生まれ。74年東大農卒、経済企画庁入庁、財務省財務総合研究所次長、大和総研専務理事などを経て2012年早稲田大学政治経済学術院教授。経済学(学習院大)博士。

【私の論評】日銀人事は、衆院選よりも重要(゚д゚)!安倍総理の国会での"やじ"は、民主党の目を日銀人事から逸らし、自らに塩を送らせるための陽動作戦か?

日銀の人事に関しては、このブログにも何回か掲載してきたように、かなり重要です。これに関しては、倉山満氏が、その重要性について記事を書いていますので、それを引用させていただきます。
日銀人事は衆院選よりはるかに重要 アベノミクスの“死活問題”
倉山満氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の要約を以下に掲載させていただきます。
 景気を回復させるのに必要なのは、経済学の知識ではない。後の日本経済を左右するのは、3月と6月の日銀人事だ。昨年10月1日、当時の木下康司財務事務次官に屈服し、これ以上ないほどみっともない形で消費増税の決断に追い込まれた増税の痛みを和らげるには追加金融緩和しかなかったが、もはや政権にそれを行う力はなかった。息を吹き返したのは、本田悦朗内閣府参与が獅子奮迅の活躍で増税阻止の流れをつくってからだ。 
 今年10月31日、日銀は追加金融緩和を行った。ただし、日銀金融政策決定会合は5対4の薄氷の勝利だ。では誰の1票が決定的だったのか。追加緩和反対の4票は、森本宜久・石田浩二・佐藤健裕・木内登英。いずれもデフレ派で反アベノミクスだ。特に、木内委員は毎月の日銀金融政策決定会合で、“黒田バズーカ”の即時停止を求める筋金入りだ。 
日本銀行内の多数派は彼らと同意見で、アベノミクスを敵視している。 
 対して、賛成派は黒田東彦総裁・岩田規久男と中曽宏の両副総裁・宮尾龍蔵・白井さゆりの5票。アベノミクスの中核である金融緩和を基軸としたリフレ政策の理論的支柱の岩田副総裁はともかくとして、宮尾・白井の両委員は総裁に追従しているにすぎない。 
 仮に黒田総裁が増税の痛みを和らげるべく金融緩和をしたくても、日銀出身の中曽副総裁が賛成してくれなければ不可能なのだ。かつて、福井俊彦総裁時代の日銀は、かの小泉純一郎内閣の景気回復を破壊した前科がある。それを承知で、今年10月に安倍内閣が息を吹き返して最初の日銀会合で追加緩和を提案した黒田総裁は絶妙だった。 
 中曽副総裁の背後にいる日銀は、安倍内閣との対決を避けた。そして金融緩和が行われ、増税の悪影響で停滞気味だった景気は、株高円安が一気に進んだ。 
 3月にアベノミクス賛成派の宮尾委員、6月に反対派の森本委員が交代する。安倍首相は意に沿う委員を送り込めるか。3月に負ければアベノミクスは即死、6月まで2連勝すれば安泰だろう。 
 日本経済はたった9人の日銀政策委員会に握られている。彼らの人事は衆議院総選挙などよりはるかに重要なのだ。 
 日銀政策委員会は総裁をトップに、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成されている。メンバー全員が衆参両院の同意を経て内閣が任命する国会同意人事で任期は5年。宮尾氏が3月25日に、森本氏が6月30日にそれぞれ任期満了を迎えるため、今後水面下で激しいバトルが展開されることになる
今回衆院で審議員に選ばれた原田泰氏はリフレ派です。そうして、何か特になければ、ブログ冒頭の記事にも掲載されているように、よほどのことがない限り、参院でも選ばれることになりそうです。そのため、何とか今回は、アベノミクス即死にはならないですみそうです。次の6月の人事の時がどうなるかが、天下の分かれ目になるということです。

今回の人事では、過去にそうであったように、民主党あたりが、また人事に横槍を入れたりするのではないかと思い、ヒヤヒヤしました。実際、過去にはそのようなことが何度も繰り返されました。しかし、当の民主党はそもそも、金融政策の重要性に関してはほとんど関心がないし、現状の国会では人格攻撃ばかりしていて、何やら、日銀人事のことも忘れているかのごとくです。

今回日銀の審議員を原田氏のようなリフレ派ではなく、反リフレ派にしてしまえば、アベノミクスの息の根を止めることができ、安倍政権を窮地に追い込むことになります。人格攻撃などよりも、はるかに効果的なのですが、彼らはそのことに気がついていないようです。

そもそも、金融政策ははなから興味もないし、日本経済復活の切り札であり、雇用条件の改善なることも理解不能なのだと思います。だから、日銀人事などさほど重要ではないと思っているので、彼らの頭の中では、日銀人事などより、人格攻撃のほうが、大きな比重を占めているのだと思います。哀れといえば、哀れです。

そういう意味では、現状の国会が馬鹿な民主党の人格攻撃に終始していることは良いことかもしれません。これは、うがった見方かもしれませんが、安倍総理が「やじ」を飛ばしたのは、民主党が日銀人事に横槍を入れないようにするための、一種の目くらましの陽動作戦だったかもしれないと私は思います。


現状で、日銀の審議員が反インフレ派にでもなられたら、国会で予算審議が遅れることなどよりも、はるかに代償は大きいです。安倍総理としてしても、それだけは避けたいはずです。

もし、そうだとすれば、安倍総理はしたたかです。民主党のまともな政策論争もできない、頭の悪さを徹底的に活用というところでしょうか。安倍総理を懸命に非難する民主党の人たちは、ひよっとして、自分ではそう思わずに、安倍総理に塩を送っているのかもしれません。

安倍総理に目隠しされた民主党?

それにしても、なぜ日銀の審議員程度の人事で、こんなにピリピリしなければならないのか、上記の倉山満氏の説明でもだいたいお分かりとは思いますが、これ以外にも、日銀の独立性という問題があります。

これについては、このブログにも何度か掲載してきました。その代表的なもののURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!
消費増税による景気の落ち込みを予測できなかった黒田東彦日銀総裁
そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。

特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument independence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。

しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。

日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。

もう、まともな金融政策を実行したい人々の立場からすれば、現状のように、日銀の政策決定委員会の人事を巡って薄氷を踏みような思いをしなければならない現状のシステムは、変更するのかだ当然です。
日銀のいわゆる現状の独立性は、中央銀行の権限としてはあまりにも大きすぎますそうして現状では、権限ばかりが大きすぎ、責任がともなっていません。

過去の日銀は、20年近くも景気が悪いにもかかわらず、馬鹿げた金融引締め政策をひたすら繰り返し、結局デフレと円高の番人のような有り様でした。にもかかわらず、誰も責任をとりません。

なぜこんなことになってしまったかといえば、1997年に日銀法が改悪されたからです。このときから、日本国の金融政策を政府ではなく、日銀が定めることができるようになりました。それも、日銀の政策決定委員会が定めるようになってしまいました。

これは、ほんとうにおかしなことです、責任も取らない日銀の政策決定委員会のメンバ゛ーが日本の金融政策の目標を決定するなど、言語道断であり、全くの本末転倒です。

これは、会社の最終的な意思決定を取締役会で決定するのではなく、素人や、会社の歴史も良く知らないような、第三者委員会などに委ねているようなものです。

日銀法は、改正して、日本国の金融政策の目標は、政府が定めて、手段は日銀が選ぶようにさせ、なおかつ、目標をクリアできなかったら、当然のこととして、日銀に責任を追わせるようにすべきです。

今回の日銀人事は、委員がリフレ派だったので良かったのですが、6月の人事ではまだどうなるかわかりません。まあ、今回のように安倍総理がやじを飛ばしても、二番煎じとなりますから、何か他の手で、民主党の目線を日銀人事から引き離すことが肝要だと思います。

安倍総理としては、そのあたりはキチンと考えてるいるでしょうから、何とか、6月の人事もリフレ派の審議員になるとは思います。

しかし、日銀法が改正されていない現在、6月の日銀人事次第では、アベノミクスが葬られる可能性もゼロではありません。

やはり、今から徹底的にリフレの正しさ、反リフレ派の間違いを再度徹底させるような世論を盛り上げていく必要があると思います。そうして、いくいくは、日銀法を改正すべきです。

もし、6月の日銀人事で反リフレ派が審議員になれば、またぞろ日銀がデフレ、円高の番人となって、日本はデフレ・スパイラルの底に沈み、中国や韓国が大喜びするかもしれません。そんなことになっては、たまったものではありません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙―【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

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2014年6月18日水曜日

【世界を斬る】ヒラリー氏は日本を重要と考えていない 外交で大失敗を重ねた張本人なのだが…―【私の論評】オバマの次がヒラリーだったとしたら、日本としては本気で戦後体制からの脱却を考えなければならなくなる(゚д゚)!

【世界を斬る】ヒラリー氏は日本を重要と考えていない 外交で大失敗を重ねた張本人なのだが…

ヒラリー・クリントン

2016年の米大統領選挙で、民主党の最有力候補と目されているヒラリー・クリントン前国務長官が『ハード・チョイス』(厳しい選択)を出版した。同書で、ヒラリー氏は生い立ちと政治信条を記しているが、はっきり伺えるのは、日本は米国にとってアジアで最も重要な戦略的友好国と考えてはいないことだ。

ヒラリー氏はこれから2年間、大統領選を展開するにあたり、あらゆる機会に、この主張を繰り広げるだろう。オバマ政権は事実上、中国を友好国扱いし、中国との対立を極力、避けてきた。

だが、2016年にヒラリー氏が大統領に当選すれば、米国の政策は大きく変わる。

ヒラリー氏の考え方は、日本の基本的な国際戦略に大きく関わってくる。安倍晋三政権やその周辺の保守的な評論家や古手外交官らは、相も変わらず日本を最も重要な同盟国とする米国の対中国基本戦略は変わっていないと信じ込んでいる。このため、日米安全保障条約を主軸に、集団的自衛権に基づく防衛政策を進めようとしている。

ところが、ヒラリー氏は著書で、「日本はもはや米国にとって昔ながらの味方ではない」と示唆している。イェール大学のポール・ケネディ教授が『大国の興亡』を書いて以来、米国の人々は日本に対して恐れと不安を持つようになり、「信頼できる友好国ではないと思うようになった」と述べている。

ヒラリー・クリントン氏の著書『ハード・チョイス』

もっとも、ヒラリー氏こそ、オバマ大統領とともに、この5年間の外交で、過去の政権と比べると、考えられないほどの大失敗を繰り返してきた張本人だ。

ヒラリー氏は、そうした失敗について釈明を試みているが、結局、米国が国際的指導者としての力をなくしてしまったことを自白しているに過ぎない。そうした心情が日本に対する不信というかたちで、現れたとみるべきだろう。

いずれにしても、米国は日本との関係をもはや重要な戦略的基盤とは思わなくなっている。日本は、歴史的な視野に立って対応策を考えねばならない。

■日高義樹(ひだか・よしき)

この記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】オバマの次がヒラリーだったとしたら、日本としては本気で戦後体制からの脱却を考えなければならなくなる(゚д゚)!

中国経済の発展は、ポンジ・スキーム(日本でいえば投資詐欺)にしか過ぎないことを昨日掲載したばかりです。要するに、中国は発展しつつある確かな未来があるという幻想をふりまき、海外の投資家を信じこませ投資をさせ経済発展してきたという部分がかなり大きいということです。

中国経済発展は、他国であれは投資詐欺といわれるような方法で達成された


中国の経済発展は、日本国内の内需が拡大することによって可能となった日本の過去の高度経済成長とは全く異なり、そのほとんどが投資詐欺により海外投資家や、中国の共産党幹部を含む中国の富裕層が海外に蓄積した金から投資を呼びこみ、中国政府主導のまともな国でいえば、詐欺ブロジェクトなどに投資させて中国の富裕層が大儲けをしてきたということです。

富裕層儲けた金は、そのほとんどがまた海外に送金され、富裕層の海外資産が増えるという構造です。そうして、この仕組はいずれ崩れることは特に中国共産党幹部の富裕層はわかっているため、海外に逃亡するものが後をたたないという事実もあります。

投資詐欺のいきつく先は、破綻です。ただし、元を刷り増ししてそれもしのいできましたが、あまりにやりすぎたため、さらに増刷でもしようものなら、ハイパーインフレがおこる寸前にまでなってしまっているので、それも容易にできないということです。

これについては、昨日も掲載したばかりで。昨日の記事、まだ読んでいらっしゃらない方のため以下にそのURLを掲載しておきます。
【石平のChina Watch】始まった中国経済の「厳冬」 次々に発せられる不動産暴落予測 【私の論評】中国経済まとめ:これだけ読めば完璧、様々な具体的な事例が明かす中国経済崩壊の前触れ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の最後の以下のように締めくくりました。
この動画でもわかるように、中国の経済発展は、中国以外の国であれば、投資詐欺と言っても良いような手段で達成されてきたということです。 政府ぐるみで行なわれてきたため、あたかも合法的に見えただけであり、内容はとんでもないということです。 
まともに経済発展もできなくなれば、その後は崩壊するのみです。おそらく、現体制は崩壊するでしょう。 
こんな中国が、米中二極体制とか、G2など実現できるはずもなく、それは単なる妄想に過ぎません。 
世界中の親中派・媚中派政治家どもも、近いうちに中国の本当の姿を知り、中国幻想から目覚めることでしよう。その日は近いです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思わますか?

さて、本日の冒頭の記事をご覧いただければご理解できると思いますが、世界中の親中派・媚中派政治家どもの筆頭が、他でもないヒラリー・クリントンだということです。


日本にも、親中派・媚中派の政治家が大勢いますが、アメリカにも、親中派・媚中派の政治家が大勢います。これらの政治家は、中国の実体を知らず、中国幻想に酔っているだけです。

世界中に中国幻想から覚めていない人が大勢存在する


ヒラリー・クリントンが大統領になったとしたら、アジアの安定は甚だしく毀損される可能性が高いです。

オバマは優柔不断というだけですから、まだましかもしれません。といいながらも、この優柔不断がシリア、ウクライナ、東シナ海、南シナ海などで、外交問題を複雑化させ、今度はイラクでもそうなりかけています。

しかし、G2体制、米中二極体制などを本気で考えるヒラリー・クリントンのような人間が大統領にでもなってしまったら、完璧に戦後体制は崩壊します。戦後体制の中にいまでもしっかり組み込まれている日本はとんでもないことになってしまいます。

ヒラリー・クリントン氏の言動はそれを予感させるものです。今年の中間選挙で、オバマ大統領の統治能力欠如がはっきりしてきたため、民主党はボロ負けする可能性が高いです。

そうなると、ヒラリー・クリントン氏が大統領になる可能性はかなり低くなるとは思います。

それに、アメリカの政治家は親中派・媚中派ばかりではありません。まともな政治家もいますから、おそらくヒラリー・クリントンは大統領は無理だとは思います。

しかし、今後ヒラリー・クリントンのような媚中派・親中派の人間が大統領にはならない、なれないなどいう保証は全くありません。

もし、そうなれば、アジアは中国の傘下に収まる可能性が大です。そうなったら、目もあてられません。経済がどうのこうのという次元ではなく、中国がアジア全体の覇権を握ることになります。

そんなことだけては、避けるべきです。

日本における、現状の集団的自衛権がどうのこうのなどという低レベルの論議などは全く意味がありません。

日本は、本気で戦後体制から脱却してもやっていけるように、経済力・軍事力の強化を図っていく必要があります。その準備を今からしていく必要があります。そうしなければ、アメリカに親中派・媚中派の大統領が登場し長期政権下した場合、日本はアジアでのリーダーシップを完全に失う可能性が大です。そうなったら、アジアは中国の思うがままになってしまいます。

そんなことには、日本をはじめとするアジアの大部分の国々が反対しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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