2020年12月25日金曜日

米、ウイグル族の虐殺認定を検討―【私の論評】中国共産党のウイグル人虐殺は周知の事実であって許しがたい世紀の大罪(゚д゚)!

 米、ウイグル族の虐殺認定を検討

中国政府の弾圧で国務省

ポンペオ米国務長官

 トランプ米政権が中国政府による中国新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧について、国際法上の犯罪となるジェノサイド(民族大量虐殺)と認定するかどうかの検討に入ったことが24日、分かった。対中強硬派のポンペオ国務長官が検討作業を指示した。米当局者が共同通信に明らかにした。米政府が認定すれば、中国の強い反発が予想される。

 国務省で国際刑事司法問題を担当するタン大使が検討作業を取りまとめ、ポンペオ氏に報告する予定だというが、報告の時期は不明。ジェノサイドに認定した場合、中国に対する何らかの制裁措置を求める声が高まるのは確実とみられる。

【私の論評】中国共産党のウイグル人ジェノサイドは、周知の事実であって許しがたい世紀の大罪(゚д゚)!

ジェノサイドという言葉は、「人種」や「部族」を意味するギリシャ語と「殺害」を表すラテン語を組み合わせた造語で、ラファエル・レムキンというポーランド人法学者が1944年の著書で初めて使用したものです。日本語では「集団殺害」や「集団殺戮」と訳されることもありますが、そのままカタカナで「ジェノサイド」と呼ばれることが多いようです。

ジェノサイドの定義は、1948年に国連総会で採択された「ジェノサイド罪の防止と処罰に関する条約」(通称「ジェノサイド条約」)で定められています。この条約の第2条によると、ジェノサイドとは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を集団それ自体として破壊する意図をもって行われる次のいずれかの行為」(注2)であるとし、5種類の行為を挙げています。この5種類の行為とは以下の通りです。
  • 「集団の構成員を殺すこと」
  • 「集団の構成員に重大な肉体的または精神的な危害を加えること」
  • 「全部または一部の身体的破壊をもたらすよう企てられた生活条件を故意に集団に課すこと」
  • 「集団内の出生を妨げることを意図する措置を課すこと」
  • 「集団のこどもを他の集団に強制的に移すこと」
このジェノサイド条約は、2019年時点で150カ国が批准しています。批准していない国はアフリカや東南アジアを中心に多数あり、日本もその一つです。

ジェノサイド条約における「ジェノサイド」の定義は、1998年に採択された国際刑事裁判所(ICC)規定でも踏襲されています。日本は2007年にこのICC規定に加盟し、それによってジェノサイド条約が規定する責務の大半を果たしていますが、国内法との整合性に課題があり加盟に至っていないジェノサイド条約の批准についても、国会での議論が繰り返し行われています。

ジェノサイド条約が採択されたのは1948年、第二次世界大戦終結の少し後です。この条約は、大戦中に侵された残虐行為を二度と繰り返さないという国際社会の強い決意の中で生まれたのです。

また、「ジェノサイド」という言葉をラムキンが考案した背景として、大戦中にナチスドイツによって行われたユダヤ人の大量殺戮や迫害、すなわち「ホロコースト」への対応という側面があります。

実は、法的にジェノサイドと認定されている事例は多くありません。

これは、ジェノサイドの定義にあるとおり、ある事例がジェノサイドにあたるかどうかの判断には行為者の「意図」が関わるためです。このため、個別の事例にジェノサイドという言葉を使用するかどうかを決定するためには、ICCや国際司法裁判所(ICJ)での慎重で詳細な調査が必要となります。

カンボジアのボルボト政権によるジェノサイドの犠牲になった人々の頭蓋骨

第二次世界大戦後のジェノサイドとして有名なのは、カンボジアでのポル・ポト政権による虐殺、旧ユーゴスラビアでの民族浄化、ルワンダでのジェノサイドです。これらのジェノサイドに関しては、かなり有名であり、すでにサイトで様々な論議がなされているので、ここでは詳細は述べません。興味のある方は、是非他のサイトにあたってみてください。

法的に認められたジェノサイドの事例は上述の3件のみですが、ジェノサイドの容疑で今も国際的な裁判が継続している事件や、各国が独自にジェノサイドであると認めている事件もあります。

今回の、米国によるウイグル族の虐殺認定を検討は、もちろん米国によりジェノサイド認定して、米国により制裁をするということです。


今月はじめ中国の電子商取引(EC)大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)が、新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル人を特定する顔認証ソフトウエアを提供していたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じています。中国政府のウイグル人弾圧への中国企業の関与が相次いで発覚しています。

報道によるとアリババは、クラウドコンピューティング事業のウェブサイトで、同社の顔認証ソフトウエアを使って画像や動画の中からウイグル人ら少数民族の顔を検出する方法を顧客向けに紹介していました。

問題のページは、監視関連の米調査会社IPVMが発見してニューヨーク・タイムズと共有したもので、現在はアリババによって削除されています。

ニューヨーク・タイムズによると、アリババはこの機能について、試験環境で使用されただけだと説明しているそうですが、全く信用できません。

アリババの商標とロゴ

ビデオ監視システムの米調査会社IPVMはこれも今月はじめに、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)がウイグル人の顔を認識すると警察に通知が届く顔認証ソフトウエアの試験に関与していると報告したばかりでした。ファーウェイはこの指摘を否定しています。

中国政府は近年、新疆ウイグル自治区の監視に割く予算を急増させており、テロ防止の名目で顔認証、虹彩認証、DNA採取、人工知能(AI)を駆使した監視網を自治区全域に展開している。

昨日もこのブログに掲載したように、現在の中国の大停電は、こうした監視網を自治区で展開するために、データセンターにおいて大量の電力需要が生じているためであることが考えられます。この記事では、中国に最新の省エネ技術を提供することは、データセンターの安定稼働を促し、それこそジェノサイドに手を貸しかねないことについても述べました。

中共政権のウイグル人虐殺は周知の事実であって許しがたい世紀の大罪です。米国政府には一日も早く認定していただきたいです。アリババやファーウェイのようなジェノサイドに関与したとみられる企業にはトランプ政権により鉄槌がくだされるでしょう。そして文明世界全体は毅然とした姿勢で中共に「No」を突きつけていくべきです。そうして、中国に機微な技術を提供してジェノサイドに加担するようなことは絶対に避けるべきです。

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2020年12月24日木曜日

中国で電力不足深刻 豪産石炭制限影響か―【私の論評】中国の電力逼迫は、ウィグル人弾圧等に欠かせないデータセンターを安定稼働させるためか(゚д゚)!

 中国で電力不足深刻 豪産石炭制限影響か

明かりが少ない中国浙江省杭州市内=17日

 中国各地で電力不足が深刻化している。国有送電企業は、電力需給が逼迫しているとして「戦時状態」を宣言。街灯の明かりが消えて真っ暗になり、大規模停電で工場生産に影響が出ている。中国がオーストラリア企業から石炭輸入を制限したことにより発電量が減ったとの観測もある。

 国家発展改革委員会の趙辰昕秘書長は21日の記者会見で、経済活動の回復や寒波により電力需要が想定を上回ったとし「石炭の総量は十分なので、安心してほしい」と強調した。

 湖南省当局は今月、今冬の電力の負荷が冬季の最高記録を上回る3093万キロワットに達し「電力供給が緊迫している」と通達。8日から指定の時間に公共施設や観光地の照明を消し、企業の電力利用を制限している。(共同)

 中国メディアによると、浙江省当局も各地で月末まで加工工場の生産を全面的に停止するよう求める通知を出した。江西省などでも制限措置が取られている。

【私の論評】中国の電力逼迫は、ウィグル人弾圧等に欠かせないデータセンターを安定稼働させるためか(゚д゚)!

中国大停電について、日本メディアのほとんどは報道していません。また、報道している数少ないメデイアをみても、その原因を報道しているものは少ないし、報道していても納得がいかないものばかりです。

良く、原因としてあげられるのが、上の記事のように、オーストラリア企業から石炭輸入を制限したことにより発電量が減ったとの観測があげられますが、これは納得がいきません。そもそも、中国の石炭の産出量は世界一です。

中国国家統計局は28日、2019年の中国の一次エネルギー消費に石炭が占める割合が前年から1.5%ポイント低下して57.7%となり、58%未満に減らすという政府の目標を1年前倒しで達成したと発表しています。

国家統計局が公表した2019年の「国民経済・社会発展統計公報」によると、中国の全体的なエネルギー消費が前年から3.3%増えて48億6000万TCE(標準石炭換算トン)となるなか、石炭消費量も前年から1%増えました。

中国ではコロナ禍からのV字回復が喧伝されていましたが、現実には国営企業の破綻も起こっています。中国金融市場で10月下旬以降、有力国有企業の発行した社債のデフォルト(債務不履行)が相次ぎ、動揺が広がっていました。

近年、当局が不動産バブルや過剰債務問題の解消に本腰を入れる中、財務基盤の弱い民間企業を中心に社債デフォルトが増えていましたが、「当局の支援」が当然視されていた国有企業にも波及し始めた形になりました。「金融機関や地方政府の支援余力が尽きたのではないか」との見方も出ているくらいです。

      渤海鋼鉄集団の再編は債務総額が2000億元以上に上り、
      ここ何年かの中国国有企業の倒産で最大規模となった

この状況だと、去年よりは多くの企業の生産は縮小し、それにつれて電力需要も減り、オーストラリアからの石炭を輸入しなくても良いはずです。中共も無論、そのつもりで、オーストラリアからの石炭輸入をやめただと思います。

では、中国では中共政府も予期しなかった、とてつもなく大きな電力需要が発生したと考えるしかありません。

それの最大の候補は、データセンターであると考えられます。実査、人工知能(AI)およびビッグデータ、5G、クラウド、ブロックチェーンなど先端技術への国家的注力を表明している中国で、データを扱うデータセンターへの投資も急速に増加していくとの見通しが発表されていました。

中国・前瞻(ぜんしょう)産業研究院などの統計によると、2019年までに中国で建設されたデータセンターの数は約7万4000箇所にのぼります。これは世界全体のデータセンターのうち23%を占める数であり、主に北京、上海、広州、深センなど一線都市に集中しています。

稼働しているサーバーの数は、およそ130万台と推定されています。地域別に代表的なデータセンター企業としては、GDS(蘇州)、SINNET(北京)、Dr. Peng(深セン)などがあります。中国のデータセンター増加に伴い、アジア太平洋のデータセンター市場は、2018年比で12.3%増加と明確な成長性をみせています。

中国国内のデータセンターへの投資市場規模をみると、2017年2769億元(約4兆2500億円)、2018年に3257億元(約5兆4400億円)、2019年3698億元(約5兆6700億円)と順調に増加しています。2019年は前年比で13.5%増加しており、これは世界の増加率7.1%の倍近くを記録しています。中国のデータセンターへの投資額は増加を続け、2025年には7000億元(約10兆7400億円)を超えると予想されています。


データセンター市場の成長の裏には、中国国内で膨張を続けるデータ量の存在があります。中国のデータ規模は、2020年に64ゼタバイト、2022年に128ゼタバイト、2024年に512ゼタバイトと増え続け、2030年頃には4096ゼタバイトにまで達する見込みです。2030年時点のデータ量は、世界のデータ総量の30%を占めることになるだろうと予測するレポートもあります。

これだけデータを扱うと、当然データセンターの電力も半端ではなくなると考えられます実際にはどうなのかという研究もなされています。

データセンターの需要は、およそ10年間で爆発的に増加しています。業務用ソフトウェアやソーシャルメディア、それに動画やモバイルアプリの利用が急増しているからです。ところが、コンピューターの利用増が地球に及ぼしている影響を測定したところ、意外にもその結果は悪いものではなかったといいます。

新しい分析によるとデータセンターの作業負荷は、2018年の時点で10年と比べて6倍以上に増えていました。これに対してエネルギー消費量は、ほとんど変わっていなかったといいます。その理由はデータセンターのエネルギー効率が大きく向上したことにあると、『Science』誌に2020年2月28日付けで掲載された論文は結論づけています。

ただし、人工知能(AI)や5Gといった膨大な量のデータを処理する新しいテクノロジーが普及すれば、いまのような効率性が維持される保証はないと、この論文は警告しています。

データセンターのエネルギー消費量については、この10年ほどで2倍以上に増えたとする分析結果もいくつかあります。しかしそのような調査は、エネルギー効率の改善を推計値に反映できていないというのが、今回の論文の主張です。

今回の調査結果は驚くべきもので、一部からは疑いの目を向けられています。調査会社のリンリー・グループで半導体市場のアナリストを務めるマイク・デムラーは、ハードウェアの効率化が需要の拡大を上回るペースで進んでいることを示すもっと定量的な証拠が必要だと語っています。

またデムラーは、中国では状況が異なる可能性があるとも指摘しています。「中国には適切なデータがないことから、中国がデータセンターのエネルギー消費量を急速に増加させている可能性があります」と、デムラーは言うのです。

私は、デムラーが言うように、中国がデーターセンターのエネルギー消費量を急速に増加させているのだと思います。だからこそ、今回中国の大停電が起こったのだと思います。それを匂わせる事実も報道されています。

12月9日、中国でファーウェイの顔認証システムによって、少数民族のウイグル族を検知し、自動的に警察へ通報する仕組みが用いられていると報道されました。ファーウェイが中国共産党による少数民族弾圧に加担しているとして、それを批判するかたちでサッカー・フランス代表のアントワーヌ・グリーズマン選手がファーウェイとのスポンサー契約打ち切りを発表しました。

それだけでなく、中国アリババグループもウイグル人を識別するクラウドサービスを展開していたことが報道されました。

浙江省杭州市のアリババのスーパーデータセンター(撮影日不明)

人工知能(AI)を研究する非営利団体「OpenAI」は2019年12月、ルービックキューブを完成させるアルゴリズムを発表しました。このアルゴリズムはロボットハンドを操作しながら、試行錯誤してルービックキューブを解く方法を学習するといいます。

素晴らしい研究成果です。しかし、このプロジェクトには1,000台を超えるデスクトップコンピューターに加え、数カ月にわたって大量の計算を処理する専用グラフィックチップを稼働させるマシンが1ダースほど必要でした。

このプロジェクトのために約2.8GWhの電力が消費された可能性があると、AIプロジェクト管理用のソフトウェアを提供するDetermined AIの最高経営責任者(CEO)エヴァン・スパークスは指摘しています。約2.8GWhといえば、原発3基が1時間に出力する電力とほとんど同じです。

5Gスマホの電力消費量を増やす多くの要因があります。まず3Gや4Gと比べ、5Gスマホのアンテナ数が目立って増加します。5G端末はMassive MIMO(マッシブマイモ)アンテナ技術を採用していますが、8本以上のアンテナを内蔵しなければなりません。またアンテナのすべてに単独のパワーアンプがあるため、エネルギー消費が激しくなるのです。

最新の5Gを駆使して、これまた最新の顔認証システムを稼働させ、ビッグデータを収集し、様々な分析をすれば、当然のことながらかなりの電力が消費されることが予想されます。しかも、中国の省エネ技術は優れている面もありますが、トータル的にはまだ遅れています。

5G、ビッグデータ、AIなどを駆使すれば、当然ながら、かなりの電力を消費することになります。そのことは、中共も知った上で、様々な分析等を行ったのでしょうが、それでも予想をはるかに上回る電力需要が生じたのでしょう。ほんの少しデータのロードを増やしたり、分析項目を増やしたりしても、幾何級数的にエネルギー消費が増えることもあり得ます。

そうして、本来ならここに省エネ技術を組み込んで、電力をあまり消費しないようにすべきだったのでしょうが、中国としては目先で役立つ技術を優先したため、省エネ技術の導入に遅れをとり、電力不足にいたり、それでも分析等を継続するために、一時的に電力の供給を止め、それをデータセンターに供給したのでしょう。

これが、事実だったとして、電力の供給を止めてまで、分析を行うほど重要なものとは何だったのでしょう。余程重要なものでしょう。無論、ウイグル人の顔認証もあるでしょうが、それだけではないと思います。中国は香港や、台湾は無論のこと、米国や日本でも膨大なデータを収集している可能性があります。

中共が5G、AI、間認証システムなどで、最新の省エネ技術を駆使するようになれば、全世界を監視し、中共の価値観に合わない人物を特定し、排除する行動に出るかもしれません。そのようなことにならないように、日本を含め、世界中の先進国が省エネ関連の機微な技術を中国にわたすべきではありません。

渡せば、中国の電力需要の逼迫を是正し、データーセンターの安定稼働に寄与することになり、それは、ウィグル人の弾圧だけではなく、世界中の人々の弾圧や政治介入につながる可能性があります。

習近平がCO2排出量を30年までに05年比65%余り削減すると表明した背景には、各国の省エネ技術を手に入れ、中国のデータセンターを確実に稼働できるようにするという目論見があるからかもしれません。

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2020年12月23日水曜日

軍拡続ける中国への対処に必要な「経済安保」―【私の論評】日本の経済安全保障の国家戦略策定においては、中国と対峙することを明確にせよ(゚д゚)!

軍拡続ける中国への対処に必要な「経済安保」

岡崎研究所

 ワシントン・ポスト紙コラムニストのジョシュ・ロウギンが、12月3日付け同紙に「中国の軍拡がバイデン政権を試練にさらす(China’s military expansion will test the Biden administration)」と題する論説を書き、中国の軍拡がアジアのパワー・バランスを変え、米国に試練を与えると論じている。ロウギンは、間もなく任期を終え退任する予定のデイヴィッドソン米インド太平洋軍司令官の発言、および、11月末に公表された米中経済・安保見直し委員会の年次報告の指摘を引用して、中国の軍拡について描写している。まず、そのごくあらましを御紹介しておくと、次の通りである。


・中国軍は単にその領土を防衛する戦略を超えて、その海岸から遠い地域で行動し、戦えるようにとの目標をもって近代化している。習近平の下で、中国は先進的武器システム、プラットフォーム、ロケット部隊を建設し、戦略環境を変化させた。中国は、移動中の船舶を弾道ミサイルで攻撃する能力を持つに至った。(デイヴィッドソン)

・中国は今年、通常および核ミサイルの実験を世界の他のすべての国を合わせたよりも数多く実施した。これは戦略環境の変化の規模の大きさを表している。(同上)

・中国のミサイル、ロケット部隊は地域での「大きな非対称性」を代表しており、朝鮮、日本、東南アジア、台湾を結ぶ第1列島戦への脅威である。(同上)

・装備、組織、兵站での最近の進歩は、人民解放軍の戦力投射能力と中国から遠く離れたところに遠征軍を派遣する能力を改善した。軍事戦略上の進歩は、人民解放軍に、世界のどこでも作戦を遂行できる能力、および、命令があれば米軍に対抗できる能力を求めている。(年次報告書)

・人民解放軍の米軍に追いつく戦略は、中国の企業が世界で構築している民間の情報システムを使い、サイバー、宇宙、情報戦争の能力を強化することを含む。北京は、これを「軍民融合」と呼んでいる。(年次報告書)

 ロウギンのこの論説は、時宜を得た良い論説である。中国の軍拡は自分の領土を防衛する戦略を超えてきているとのディヴィトソン提督の指摘はその通りであろう。アジア、さらには世界での覇権を目指しているように思える。強い警戒心をもって中国軍の拡大には対処すべきである。

 中国は軍と民間が統合された形で軍事的優位を狙っている。いわゆる軍民統合であるが、そういう中で、「安全保障は米国、経済は中国重視」という政策は通用しない。また、人民解放軍の大学、研究所などへの進出に注意するとともに、日本に進出している企業についても、米国と情報交換しつつ、人民解放軍との関係を精査すべきであろう。サイバー空間、宇宙、情報における戦いのこともよく考える必要がある。

 経済安全保障の問題は複雑で、新技術の軍事への適用や機密保持など、多くの論点がある。新しい脅威にどう対応するかは大きな問題であり、国家安全保障会議に経済班ができたし、経産省も貿易経済協力局を中心に体制強化が図られている。

 なお、上記ロウギン論説は結論で、「最初の良い動きは、バイデンがこの脅威の性格と緊急性を理解する人を国防長官に指名することである」と述べているが、論説が掲載された後の12月8日、バイデンは、次期国防長官として、元陸軍大将で元米中央軍司令官(中東を管轄)のロイド・オースティンを指名した。いささか疑問が残る。対中強硬派でインド太平洋重視を鮮明にしているミシェル・フロノイ元国防次官が次期国防長官の最有力候補と取り沙汰されていただけに、失望を覚えた安全保障専門家は少なくないと思われる。フロノイを指名していればロウギンの言う通り「最初の良い動き」になったはずである。

【私の論評】日本の経済安全保障の国家戦略策定においては、中国と対峙することを明確にせよ(゚д゚)!

経済安全保障とは何かと問われると、「重要な技術を外国から盗まれないように守る」「安全なサプライチェーン(供給網)を築く」といった政策を思い浮かべる人が多いと思います。こうした政策は経済安保に含まれてはいますが、それだけでは経済安保の全容を正しく捉えているとは言えません。

地球規模の指導力が欠如し、紛争の危険が増す「Gゼロ」の世界が到来することを予言した米政治学者のイアン・ブレマー氏は2020年11月、読売新聞に掲載された小川 聡 (読売新聞東京本社編集局政治部次長)との電話インタビューで、経済安保について以下のように語りました。

イアン・ブレマー氏

「世界では今、Gゼロと、米中がテクノロジーで世界を二分する、私が『T-2』と呼ぶ新たなダイナミクスが共存している。(中略)米政府がもし、『テクノロジー冷戦』の方向に進むのであれば、Gゼロは終わり、世界の新たな無秩序状態が作り出される」

テクノロジーが軍事力など地政学に直結するようになる中、経済安保が、国際情勢を規定する新たな潮流になる可能性を見通しているのです。

経済安保が注目されるようになったのは、中国のおかげです。中国は過去10年以上にわたり、先進民主主義国から先端技術や情報を手段を問わずに入手し、「軍民融合」を図って軍事力強化につなげてきました。象徴的な例が、海外の優秀な研究者らを破格の厚遇で招致し、機微な技術や情報を移転させる「千人計画」です。

中国は、様々な手段で獲得した高度で機微な技術を生かし、戦略的に重要な産業で中国主導のシステムを世界中に広げることも画策しています。

中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)は、日米などの大学に寄付や共同研究を呼びかけ、技術を吸収したうえで、世界各国に高速・大容量の通信規格「5G」のネットワークを安価に提供しています。

12月9日、中国でファーウェイの顔認証システムによって、少数民族のウイグル族を検知し、自動的に警察へ通報する仕組みが用いられていると報道されました。ファーウェイが中国共産党による少数民族弾圧に加担しているとして、それを批判するかたちでサッカー・フランス代表のアントワーヌ・グリーズマン選手がファーウェイとのスポンサー契約打ち切りを発表しました。

それだけでなく、中国アリババグループもウイグル人を識別するクラウドサービスを展開していたことが報道されました。

技術者であれば、これが単なる「ウイグル族に対する差別」にとどまらず、驚異的な事件だとわかります。つまり、中国が「ほぼすべての地球上の人類の種族を、顔認証システムによって分類できる」能力を持ったという意味なのです。これは、中国国内にとどまらず、世界中で顔認証システムにより分類できることを意味します。末恐ろしいです。

問題はこの技術がどこからきたかということです。中国単独ではこれは、開発できません。最終的にはシステム・インテグレーションも必要となるが、それも中国は強くない。高速処理を行うシステムでのトータルソリューションとしてインテグレーションを行うには、米国家安全保障局(NSA)や米中央情報局(CIA)で開発するレベルでのインテグレーターが必要となりますが、それらの技術がどこから来たのかは不明です。

今日の世界は、監視カメラはもとより多くのモノがインターネットとつながっています。その血管とも言える5Gネットワークをコントロールすることで、中国は、情報を抜き取る「バックドア」や、システム自体を停止させる「キルスイッチ」などを自在に発動することができるとされます。中国製の5Gネットワークを受け入れた国は、安全保障上のリスクを抱え込むことになるのです。

米国は18年頃から、中国の取り組みに対抗するため、経済安保の対策を次々と打ち出してきました。外国から25万㌦を超える資金を受け入れた場合の政府への報告義務、エネルギー省などと契約する関係者は外国の人材招致計画への参加禁止、留学生へのビザ発給の厳格化─などの規制を導入しました。司法省は20年1月、中国湖北省の武漢理工大で千人計画に参加していた事実を隠していたハーバード大学の教授を訴追した。

輸出管理改革法を制定し、「バイオテクノロジー」「ロボティクス」「極超音速」など14の新興技術に関する輸出規制も厳格化しようとしています。19年度国防権限法では、ファーウェイや「中興通訊」(ZTE)など中国製品の通信関連製品からの排除も決めました。20年8月には中国IT企業5社の機器やサービスを使う企業と米政府の取引を禁止とする規則も施行しました。

中国の国家情報法が中国企業に捜査や情報収集活動への「支持と協力」を義務づけていることなどから、刑事事件にできるような明確な証拠がなくても安全保障上の懸念としてリスクを除去する「ゼロリスク」の姿勢で対処しています。
米国務省が20年8月、通信網や携帯電話アプリ、クラウドサービス、海底ケーブルなど通信関連の5分野で、中国を排除した「クリーンネットワーク」の構築を各国に呼びかけた際、日本は「特定の国を排除する枠組みには参加できない」として参加を見送っています。

米国の経済安保は、敵と味方を区別し、敵対勢力に機微な技術が流出しないようにすることを前提としているにもかかわらず、日本には、中国を経済安保の対象として名指しする覚悟がないようです。経済安保は個別政策にとどまらず、米中の覇権争いにつながっていくのは明らかであるにもかかわらず、日本の対応は、個別政策の域にとどまっている感が拭えないです。

菅総理(左)と甘利氏(右)

自民党の新国際秩序創造戦略本部の甘利明座長(元経済再生担当相)らは22日、菅義偉首相を官邸に訪ね、経済安全保障の国家戦略策定を求める提言を渡しました。各種施策の法的根拠となる「経済安全保障一括推進法」を令和4年の通常国会で制定することを柱に据えた内容とされています。首相は、米中の対立激化などを念頭に「非常に重要で、時宜にかなった提案だ」と述べました。

提言では、エネルギーや食料、医療といった国民生活や経済活動の維持に必要な分野を「戦略基盤産業」と位置付け、外国への依存低減や代替策の準備を要求しました。

情報保全に関する資格制度の新設や、米英など5カ国による機密情報の共有枠組み「ファイブ・アイズ」への参画も訴えました。

今後、経済安全保障の国家戦略がどのようなものになるのかは、見えませんが、国家戦略をつくろうとしている点では評価できます。

4月に国家安全保障局(NSS)に発足した経済班が経済安保政策の司令塔に

ただし、このブログでも以前から指摘しているように、日本が現在のまま中途半端な姿勢を取り続けた場合、どこかの時点で「日本はどちらの味方なのか」と米国に不信感が広がるりかねません。

日本が米国にとって経済安保の「抜け穴」と見なされれば、日本の企業や大学が機微な技術や情報を扱う研究・開発に参加できなくなり、日本の国益を大きく損なうことになりかねません。そうして、日米同盟の信頼性、そして日米安保の抑止力が弱まることにもなりかねないです。

日本は、経済安保では、中国と対峙することを明確にすべきです。経済安保国家戦略の前に、日本の対中戦略を早急に定めるべきです。

このブログでも以前掲載したように、米国の大手世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が10月6日に発表した世界規模の世論調査報告によると、多くの先進国における反中感情は近年ますます強まり、この1年で歴代最悪を記録しました。

同調査によると、反中感情を持つ14か国とその割合は、高い順番から日本(86%)、スウェーデン(85%)、豪州(81%)、デンマーク・韓国(75%)、英国(74%)、米国・カナダ・オランダ(73%)、ドイツ・ベルギー(71%)、フランス(70%)、スペイン(63%)、イタリア(62%)となっています。また、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、イタリア、韓国、豪州、カナダの9か国の反中感情は、同機関が調査を始めてからの15年間で、過去最悪となっています。

反中感情の高まりは、米国では顕著となっており、これが米国による対中国経済安全保証の背景ともなっています。

日本の反中感情は86%にも達しているわけですから、経済安保において、中国と対峙することを明確にしなければ、米国からは不信感を抱かれ、多くの国民から反発されかねません。そうなってしまえば、菅政権の求心力は一気に低下することになりかねません。


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2020年12月22日火曜日

中国、チベット弾圧を苛烈化、婦人を拷問し虐殺…ダライ・ラマ、化身認定制度継続を検討―【私の論評】中共が他国の宗教を破壊してまで支配しようとすれば、新たな「精神世界」が必要となり中共は中共でなくなる(゚д゚)!

 中国、チベット弾圧を苛烈化、婦人を拷問し虐殺…ダライ・ラマ、化身認定制度継続を検討

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト



 「中国共産党の習近平指導部のチベットへの弾圧は苛烈を極めています。チベットも情勢についても、中国チベット自治区の情報を海外に漏らしたとして、つい最近もチベット自治区で牧畜業を営むチベット婦人がインドの親戚に送金しただけで2カ月間も留置所に拘束され、連日の激しい拷問の末、殺されてしまったのです」

 こう語るのは10月下旬にダライ・ラマ法王日本代表部の新代表として着任したばかりのアリヤ・ツェワン・ギャルポ氏(55)だ。アリヤ氏は10月24日、代表を引き継ぎ、28日には安倍晋三前首相を表敬訪問するなど、着任早々活発な活動を展開している。日本には2010年から15年まで、同代表部の事務局長を務めており、インドのデリー大学で日本語を学び、成田山新勝寺にも留学僧として1年以上滞在するなど日本通だ。

 アリヤ氏はインド北東部のヒマチャルプラデシュ州ダラムサラに本部を置くチベット中央政権(CTA)では情報国際省次官補や情報局長を務めるなど、中国大陸のチベット情勢にも精通している。冒頭のチベット人婦人の不当な拘束による不幸な事件の情報も、独自のルートで得たものだ。とはいえ、アリヤ氏が語るように、情報統制やチベット文化の破壊などの面で、習近平政権が発足後、中国での締め付けは年々厳しくなるばかりだ。

 アリヤ氏は「習近平政権の弾圧はチベットの仏像や寺院などを根こそぎ破壊し、チベット仏教の僧侶ら多数のチベット人を死に追いやった文化大革命(1966~76年)時代より激しいといわれるほどです」と指摘する。

 チベット自治区などチベット人居住区では魔除けや祈りに用いる「ルンタ」と呼ばれる色とりどりの旗よりも、中国の国旗や共産党の宣伝用の旗や看板のほうが多いくらいだという。また、チベット仏教寺院はすべて共産党幹部が管理しており、仏教僧はお経を唱えるのも党幹部の許可を得なければならないほどだ。子供も寺院に連れていくことは禁止されているなど、信教の自由は制限されている。

 さらに、チベット文字やチベット語の使用も禁止されるなど、「チベット文化のジェノサイド(虐殺)」と言っても過言ではないという。

ダライ・ラマ法王「私が先に逝くか。共産党が先に逝くか」

 しかし、アリヤ氏はこう指摘する。

 「このような弾圧はいつまでも続くはずはない。(チベット仏教の最高指導者)ダライ・ラマ法王(14世)は『私が先に逝くか。あるいは、共産党が先に逝くか。どちらが先に逝くのか、わからないよ』とおっしゃっている。この言葉通り、中国の民衆が習近平の圧政にいつまで耐えられるのか。いずれ民衆の積もり積もった不満が爆発する時が来るのは間違いない。早晩、それが現実のものになるに違いない。このようななかで、いま中国が虎視眈々と狙っているのは、ダライ・ラマ14世の後継者である15世を中国政府の手によって指名しようということだ」

 アリヤ氏によれば、これについてもダライ・ラマ法王は次のように明確に否定しているという。

 「彼らは私(ダライ・ラマ14世)の死を待ち望み、彼らの思い通りにダライ・ラマ15世を認定しようしています。最近の法律や関係省令の公布からも、チベット人やチベット仏教徒をはじめとする国際社会を欺くための詳細な戦略が彼らにあることは明らかです。そこで、私には仏法と衆生を守る責任があり、このような悪しき政策が現実化してしまう前に未然に防ぐことが急務なのです。

 私は、私が90歳くらいになったら、チベット仏教の大ラマ、民間のチベット人、その他チベット仏教に関わる人たちと相談して、ダライ・ラマの化身認定制度を継続する必要があるかどうか再度検討したいと考えています。それをもとに、継続の有無を決めるのです」

 ダライ・ラマ14世は現在、85歳。5年後の2025年7月の誕生日以降、後継問題について、決着をつけることになる。14世自身は「私は113歳まで生きる」と最近、明言したという。「113歳」といえば、いまから28年後の2048年となる。

 前述の通り、14世は最近、「私が先に逝くか。あるいは、共産党が先に逝くか。どちらが先に逝くか、わからないよ」と語ったというが、ダライ・ラマ14世と中国共産党との闘いは、14世自身の寿命との闘いといってもよいかもしれない。

(取材・文=相馬勝/ジャーナリスト)

【私の論評】中共が他国の宗教を破壊してまで支配しようとすれば、新たな「精神世界」が必要となり中共は中共でなくなる(゚д゚)!

最近は、このブログではチベットの状況に関しては、以前ほどは掲載しなくなりました。しかし、中共によるチベット弾圧はますますひどくなるばかりです。そのようなこともあって、本日はチベット情勢を掲載することにしました。

中共による、チベット弾圧に対して米国は、本格的に対抗しようとしています。

チベット亡命政府は21日、ロブサン・センゲ首相が米国の招待でホワイトハウスを訪問したと明らかにしました。亡命政府首相のホワイトハウス訪問は初めてです。

センゲ氏は20日、ホワイトハウスで米国側の関係者と面会したもようです。亡命政府は訪問を「歴史的な偉業」としており、「米国は亡命政府を認めていないが、(今回の訪問は亡命政府の)民主的なシステムと政治的責任者の両方を承認したことに匹敵する」と強調しました。

チベット亡命政府は、1959年のチベット動乱をきっかけにインドへ亡命したダライ・ラマ14世が樹立し、インド北部ダラムサラに拠点を置いています。センゲ氏は2011年から首相を務めています。

米上下両院は21日、中国チベット自治区での人権弾圧を批判し人権や信教の自由を擁護する法案を賛成多数で可決しました。今後ホワイトハウスに送付され、大統領が署名すれば成立します。

チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選出に中国当局者が介入した場合、制裁を検討するとの規定があります。

与野党が20日に合意した新型コロナウイルス関連の追加経済対策法案などとともに一括でまとめられた法案に盛り込まれました。

法案はチベット自治区の区都ラサに米領事館設置を中国が認めない限り、新たな在米中国領事館の設置を米政府が許可しないことも規定しています。

下院は1月にいったん法案を可決しましたが、上院の審議が遅れていました。下院可決時、中国側は「チベットに関する問題は人権問題ではない」と主張し、法案を批判しました。

チベット、ウイグル、モンゴルで中共がしつこく宗教を弾圧しています。

現在は中共に弾圧されていますが、かつてモンゴルは世界最大の帝国でした。しかしあまりにも被支配民に対して寛容でありすぎたのか、モンゴル帝国は降伏した相手を宗教や言語も元のままで支配下においていました。それが結局帝国の版図を拡大する原動力となったのでしょうが、維持することはできず仇となったようです。

ローマ帝国も当初は被支配民に対して、宗教も含めて寛容だったのですが、帝国内にキリスト教が普及した頃から寛容さを失い、それが後に崩壊に結びつきました。

人は一時的には強大な支配者に従う事はありますが、その影響力が弱まれば虐げられていた記憶とともに人は強い反発心を抱くようになります。こうならない為に、普通は強大な帝国は支配した国を「自民族」へと洗脳しようとします。

たとえば現在、中国はモンゴルや香港といった地区に住む人々を「中国人」として取りまとめようとする制度を推し進めています。ご存知のように、「一国二制度」を廃止してまで、香港を支配下に治めました。なぜそうするかといえば、自治権を与えたが最後、固有の文化を持つ者共はいつか必ず離れていくからです。

現在の中共はかつてのモンゴルのようにならないように、宗教を徹底的に弾圧するのです。

ただ、日本では宗教を弾圧することの意味が良く理解されていないようです。

日本の場合は、宗教が広く普及する以前に他の国では消え去ったアニミズムや、シャーマニズムを昇華させ神道による霊性の支配の次元にまで高めてしまったため、あらゆる意味で宗教が強く支配するということはありません。ここでいう、霊性とは万物に霊が宿るという考え方です。

これについては、ここで詳細を述べると長くなってしまいますので、説明はしませんが、詳細を知りたい方は以下の記事をごらんになってください。
「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!
式年遷宮「遷御の儀」で現正殿から新正殿に向かう渡御行列。伊勢神宮は日本人と心のふるさと、
未来への道しるべだ=平成25年10月2日夜、三重県伊勢市の伊勢神宮

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から二人のフランス人による霊性の世界に関する言葉を引用します。
フランスの作家で、ドゴール政権の文化相を長く務めたアンドレ・マルローは自著各編で、こんな趣旨のことを書いています。
アンドレ・マルロー
「21世紀は霊性の時代となろう。霊性の根源には神話があり、それは歴史の一面を物語っている。世界の神話が現代なお生きているのが日本であり、日本とは、それ自体、そのものの国で、他国の影響を吸収し切って、連綿たる一個の超越性である。霊性の根源に万世一系の天皇制がある。これは歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の継続性の保証でもあるのに、戦後日本はそのことを忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、今や忘却の渕から日本の真髄を取り戻すことを要請している。また文化は水平的に見るのではなく、垂直的に見るべきだ」

確かに、中国や朝鮮文化の影響を過大に語る一部日本の文化人には大きな誤解があるように思えます。知る限り、英仏独の文化人、史家には、後生大事にギリシャ・ローマを奉る人など皆無であり、米国の識者がイギリスをむやみにもてはやす事例を耳目にしたこともありません。日本文化・文明と日本人は、中華文明や長年にわたりその属国であり続けた朝鮮文明とは全く異質であり、むしろアジアの中でも、もっとも遠い存在であるといえます。日本人の氏神、天照大御神に思いを致すのは今でしょう。

キリスト教中心の西洋文明の終末

スイスの心理学者グスタフ・ユングも「キリスト教中心の西洋文明の終末は20世紀末から21世紀初頭にかけて到来する。そして次の文明は、一神教や独裁専制ではなく、霊性の支配する時代となるであろう」と期せずしてマルローと同じ予言をしております。
霊性の世界は、天皇を頂点とした日本固有の文化として日本人の心にしっかりと刻みこまれているため、普段ほとんど意識することもないほどになっています。日本人として生まれた直後から様々な形で潜在意識の中に埋め込まれているのです。しかし、それは日本人の価値観、文化、善悪感に大きな影響を及ぼしています。

このような日本人ですから、宗教をあまり重要なものと考えず、心の問題などとしてしまう向きも多いようです。日本人は、宗教心がないから、世界を理解できないとするむきもありますが、そのようなことを言う人は、日本の「霊性の世界」を軽くみていると言わざるを得ません。

天皇陛下と上皇陛下

日本は世界の中で例外中の例外なのです。そういう意識を持って、他国、そうしてチベット、ウイグル、モンゴルをみるとまた違った見方ができると思います。

私が考えるに、中共がチベット、ウィグル、モンゴルなどの宗教を破壊もしくは中国に恭順させることができれば、これらを支配できると考えるのは間違いです。もし、それを成功させることができるとすれば、宗教のかわりに日本のように宗教以前の「霊性の世界」に匹敵するような「精神世界」を導入する必要があると思います。

それができなければ、混乱するばかりで、中国の名の下に支配することは相当困難です。一時支配できたようにみえても、必ず離反します。そもそも、支配することなど不可能です。それに新たな「精神世界」を導入して、定着させるためには、少なくとも1000年はかかります。日本が「霊性の世界」を定着し現在の形の昇華させるにも、1000年以上の時が必要でした。それに本当に支配することができたとすれば、その瞬間から中共は中共でなくなります。仮に支配できたとすれば、それは「支配」とは程遠い体制になるでしょう。

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2020年12月21日月曜日

「コロナ研究」に国債を発行できない財務省の「間抜けっぷり」を示した、ある文章―【私の論評】鈍感財務省こそ日本の危機を生み出し、若者の未来を破壊する最悪の組織(゚д゚)!

 「コロナ研究」に国債を発行できない財務省の「間抜けっぷり」を示した、ある文章

根本的な考え方をわかっていない

財務省

早ければ2月下旬にワクチン摂取


新型コロナの感染が世界的な広がりを見せている。日本でも、欧米に比べると段違いに少ないが、とうとう国内に累積感染者数が20万人を超えた。

その一方、ワクチン開発は進んでいる。既に、臨床試験に入っているワクチンは50種類を超えているが、欧米では一部のもので既に接種が始まっている。

現時点で、当局から承認・申請されたものは、米2社、ロシア1社。最終段階の臨床第3相(P3)試験に入っているものは、英1社、米2社、中国4社、インド1社、カナダ1社。日本は、1社が臨床第2相(P2)段階だ。

ただし、日本は、米2社、英1社とワクチン供給契約を結んでおり、早ければ2月下旬から接種できるようになる。

できれば日本国産ワクチンが望まれるが、ワクチン開発では日本は遅れざるを得ない。というのは、ワクチン開発は軍事と密接に関係しているからだ。兵器には通常兵器以外に、ABCがある。

A=Atomic B=Biological C=Chemicalだ。このうちウイルスはB兵器にもなる。当然のことながら、防御も研究するので、どのようなワクチンタイプであれば、早く開発できるかの研究もこれまで行われてきた。

今回のコロナ対応ワクチンは、従来からの不活性化方法に加えて、mRNA、DNA、組換えタンパクなど様々なタイプがある。これらの多くは、軍事からの基礎研究によって研究されてきたものだ。

ほとんどの国債を買い上げる日銀


というわけで、軍事大国のほうが基礎研究が盛んなので、こうした「有事」のときには、開発競争で有利になるので、日本は出遅れてしまう。

日本としては、平和的に基礎研究を進めていかなければならない。そこで、ものを言うのは、ズバリ研究予算だ。

12月8日に決定された経済対策では、今が将来投資を行うには絶好のチャンスなので、政府による研究開発基金、環境関連グリーン基金、デジタル関連基金などの将来投資が盛り込まれた。

本コラムの読者であれば、筆者が、研究開発を税財源で行うのではなく、国債で賄うという考えをもっていることをご承知だろう。

2016年10月10日付け「日本がノーベル賞常連国であり続けるには、この秘策を使うしかない! ポチ学者も淘汰できて一石二鳥」では、研究開発・教育は、将来の所得を増やすという実証分析結果が数多いことに触れ、国債発行で研究開発・教育を賄うことの重要性を訴えている。

さらに、今回のコロナ禍では、需要が蒸発したので、インフレ率は上がるどころか下がっている。日銀のインフレ目標も当分の間達成出来ない。であれば、政府が発行した国債を日銀が買い受けることもできる。

実際、今年の補正予算での国債発行額は80兆円程度あるが、それはほとんど日銀が買い受ける。それでもインフレ率は2%にまで達しないだろう。つまり、発行された国債は日銀が保有する限り、実質的に利払負担や償還負担がないので、将来世代のつけにもならない。

「国債発行」の有効性は財務省もわかっている


そして、この考え方が財務省にも一応残っていることもわかっている。上記の本コラムで、紹介したのは、たまたま手元にあった小村武・元大蔵事務次官の「予算と財政法」(三訂版)の101ページであったが、実は、同書は2016年8月に改訂され、五訂版の99ページでも同じ記述になっている。

そこでは、

すなわち、出資金が投融資の原資や有形固定資産の取得に充てられる場合にはその資産性が明白であり、他方、研究開発費に充てられるような場合においても、技術の進歩等を通じて後世代がその利益を享受でき、その意味で無形の資産と観念し得るものについては、後世代に相応の負担を求めるという観点から公債対象経費とすることについて妥当性があるものと考えられる

と書かれており、投資の対象が、通常のインフラストラクチャーのような有形固定資産であれば当然のこととし、研究開発費を例示して、基礎研究や教育のような無形固定資産の場合も、建設国債の対象経費としうるとしているのだ。

基礎研究や教育を投資と考え、国債発行で賄うというやり方は、財務省としても反論できないほど、まともであることを示している。

ちなみに、形式的には、「予算と財政法」(五訂版)は個人の著作物であるが、もともと主計局法規課にあった行政文書であり、財政法コンメンタールとして財務省の意見そのものといっても差し支えない。そこで、基礎研究などを投資と考えているというは今の財務省見解といってもいい。

その改訂作業も、著者が一人でやったのではなく、現役官僚が作業したのだろう。五訂版のはしがきでは、「国家運営の基本をなす財政法の基本理念や考え方を理解する一助になれば幸甚である」と書かれているので、大いに参考にしたいものだ。

研究開発は投資なので、それを行った段階で有効需要を増し、直ちにGDP増加になる。そして、それが将来のGDPも増加させる。GDPが増加するとますます投資を誘発するといった具合に、研究開発とGDPは相互に関連している。研究開発とGDPの因果関係は一方ではなく双方向である。

また、リフレ政策の元祖である高橋是清も、かつて

我邦の如き日清日露の事件に因りまして、不生産的な公債を償還いたしますることが必要であります・・・生産的公債でありますれば、その事業経営によりまして自然に元利を償還することとなりますので、此種の公債の増加は国の信用に関係することが極めて少ないと考えます

と述べている。研究開発は外部性のある無形資産への投資といえる。

10兆円の研究ファンド


このように、筆者は、4年前から、国債による研究開発支出を練っていた。多くの政治家に話を聞いてもらい賛同してもらった。特に、下村政調会長には、自民党の各種会合での話の機会を与えてもらった。

そこで、今年になって具体的な動きが出てきた。今年の骨太「経済財政運営と改革の基本方針2020」は、2020年7月17日閣議決定されたが、その中で、

「世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学等の共用施設やデータ連携基盤の整備、若手人材育成等を推進するため、大学改革の加速、既存の取組との整理、民間との連携等についての検討を踏まえ、世界に伍する規模のファンドを大学等の間で連携して創設し、その運用益を活用するなどにより、世界レベルの研究基盤を構築するための仕組みを実現する」

と書かれた。このときは、数字はまだであったが、

今回12月8日に閣議決定された経済対策では、研究ファンドは10兆円とされ、

特に、10 兆円規模の大学ファンドを創設36し、その運用益を活用することにより、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設やデータ連携基盤の整備、博士課程学生などの若手人材育成等を推進することで、我が国のイノベーション・エコシステムを構築する

となった。

出資ではなく「融資」に変わっている


ここまではいいが、問題は次の箇所だ。

本ファンドへの参画に当たっては、自律した経営、責任あるガバナンス、外部資金の獲得増等の大学改革へのコミットやファンドへの資金拠出を求めるとともに、関連する既存事業の見直しを図る。

本ファンドの原資は、当面、財政融資資金を含む国の資金を活用しつつ、参画大学や民間の資金を順次拡大し、将来的には参画大学が自らの資金で基金の運用を行うことを目指す。

財政融資資金については、ファンドの自立を促すための時限的な活用とし、市場への影響を勘案しながら順次償還を行う。安全かつ効率的に運用し、償還確実性を確保するための仕組みを設ける


と書かれ、その注には、

適時開示の趣旨を踏まえ、運用状況を適切な頻度で検証する態勢を整備し、運用状況が一定の間、一定程度を下回る場合には、運用の停止や繰上償還等を含め、運用の見直し等を行う旨を法律に規定するなど、所要の措置を講ずる

とされている。

財務省の財政法コンメンタール「予算と財政法」では、建設国債を原資とする「出資」となっているのに、財務省は実際の経済対策では、建設国債ではなく財投債として「融資」に変えたのだ。財務省内で、俗にいう「財投送り」だ。

財務省の「間抜け」が示されてしまった


研究開発はリスクが伴う。

研究の一般論としていえば、基礎研究が「当たる」確率は、いわゆる「千に三つ」である。「三つ」を当てるためには「千」のトライが必要である。

「三つ」の社会的な便益は極めて大きく、997の失敗のデメリットを補って余りあるので、基礎研究は、きわめて「打率の低い投資」であるが社会的にはやらなければいけないものだ。

こうしたリスクに対して適切なのは「出資」であって、「融資」ではない。財投による「融資」では、「償還確実性」を求められるので、研究開発ファンドに不適切な「注」が書かれている。

この「注」は財務省によるものであるが、はっきりいって財務省の「間抜け」を表している。財政法コンメンタール「予算と財政法」のように、素直に「建設国債」としておけばいいものを、間抜けな変更をした。

財務省はマスコミなどへは一般会計国債(建設・赤字)だけの発行額を言っているので、その数字が膨らむのを懸念したのだろう。しかし、それに合理性はないばかりか、リスクに耐えにくい「融資」にしたことで、研究開発に縛りがかかるおそれがある。研究なんぞしたことのない、東大法学部卒の文系役人の限界でもある。

国債の発行方法も知らないのかと、今の財務省も地に落ちたモノで呆れた。

【私の論評】鈍感財務省こそ日本の危機を生み出し、若者の未来を破壊する最悪の組織(゚д゚)!

東京大学卒業の財務省の官僚が、理解できない重要なポイントは、どんな研究が何の役に立つのかは、最初は誰にもわからないということです。官僚のほとんどは、大卒であり、おそらく研究活動などはほとんど縁がないのでほとんど理解できないのでしょう。特に基礎研究は選択と集中ができない分野ということを理解できないのでしょう。

財務省太田事務次官

私は、学生時代に生物学を専攻しましたが、研究課題が社会の役に立つのは100~200年も先といわれていました。それどころか、まったく役に立たないかもしれないともいわれました。一生捧げて研究をした結果が、教科書の脚注に1行くらいで書かれて終わりかもしれないともいわれました。

とはいいながら、やらなければ千に三つも当たらないですし、社会への貢献もありません。この意味で、基礎研究は未来への投資の典型です。下手な鉄砲ではないですが、数多くやれば、確実に一定の成果はあるものです。

こうした研究開発から成果が出るまでの期間が長く、広範囲に行う必要のある投資は、民間部門に任せるのは無理があり、やはり公的部門が主導すべきです。その場合、投資資金の財源は、税金ではなく、将来に見返りがあることを考えると、国債が適切です。

今の科研費など基礎研究は税金で賄っています。ここからしても、今の文科省や財務省には教育や研究開発を投資と考える発想はありません。


50年超の超長期国債や償還期限のないコンソル国債を発行し、未来への投資を国として行い、十分な研究資金を確保すべきです。

このようなことをしないから、日本はワクチン開発でも出遅れたのです。日本がワクチン開発で出遅れた理由についてこの20年間を振り返れば、新型コロナを含め繰り返し新興・再興感染症が起きているのに警戒感は維持されなかったことです。「日本はなんとかなるだろう」と考えていたからです。しかし、今回の反省があって変わらなかったら、よほど鈍感ということになるかもしれません。

鈍感だったのは誰なのでしょうか。09年に新型インフルエンザが流行した際、麻生太郎政権は海外から大量のワクチン輸入を進めました。後に余ると、同年8月の総選挙で野党に転じていた自民党議員がこれを批判しました。

翌年6月、専門家による新型インフルエンザ対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けました。インフルエンザワクチンの集団接種がなくなった80年代以降、接種率が低下し、国内の生産力は衰えていたからです。

縮小市場に対し、政府の資金的支援が必要だってにもかかわらず、実際に行われたことは逆でした。日本にも国立研究機関における基礎研究と民間企業の開発研究を資金的に橋渡しする厚生労働省外郭の財団はありました。しかし民主党政権の事業仕分けでやり玉に挙がってしまったのです。米国のような研究開発のサポートの仕組みはその後も不十分です。

日本のワクチン製造は大幅に出遅れたがその背後には財務省が・・・・・

この事業仕分けは、背後で財務省が民主党を操っていたといわれています。再政権交代後自民党政権になってもこの姿勢は変わらず、財務省は緊縮財政の名のもとで、ワクチンのような戦略物資への投資も緊縮してしまったのです。

財務省のこの鈍感さが、今日ワクチンという戦略物資の開発を遅らせてしまっているのです。「研究開発や教育を国債で賄うことは将来につけをまわすこと」という財務省のご説明を盲信した言いぐさをする人がいますが、国債を利用してそれが将来の若い人達の生産性をあげたり、または非生産性要因もあげれば十分すぎるほどおつりのくる「先行投資」です。それがわかってないだけで、国債=将来世代へのつけ、という幼稚な認識の罠にはまるのです。

財務省は過去と同じ感覚で、今でも閣僚や政治家やマスコミ、財界をつかって緊縮政策をいまだに工作していますが、新型コロナ危機で世論の潮目が変わっていることにも鈍感です。

そうして、財務省的な緊縮主義には、清算主義的な思想が伴うことが多いです。清算主義的な思想とは、簡単にいうと今日我慢すれば明日はもっと良くなるという思想です。例えば病気をしていてもそれを我慢して自分ひとりで耐え抜けば、以前の健康だったときよりもさらに健康になるという歪んだ精神主義です。

もちろん病気であれば適切な診断と治療をうけたほうがいいにきまっているのですが、それを拒否したほうが“望ましい”とする思想です。この歪んだ思想はさすがに表に出し過ぎると批判も多いので、財務省的な「将来世代のために緊縮するのです」という理屈で繕うのが定番です。

しかし、財務省の緊縮主義のために、いまの若い人たちの健康が損なわれてしまえば、「将来世代」をまさに見殺しにすることになるのではないでしょうか。

研究開発の拡充、返済不用の奨学金の大幅拡充、小中学校の給食費や学用品の全額補助、学童保育の充実、教員の待遇改善、もちろんエアコン設置などなど、「将来世代のため」を本当に考えるならば、緊縮主義ではなく、積極財政しか解はないです。

日本の寄生虫である財務省の側につくかどうか、そこに私達や未来の世代の将来にかかっています。

国会議員は財務省の言うことを無視した方が良いです。財務省の言うことを真にうけて公言したら自分に災難がふりかかるのは必至です。実際そのような政治家が多いです。コロナ禍により時代が変わりつつあることを感じます。

政策に鈍感な人たちはその都度の政権批判しかせず、なぜ財務省が批判されるか理解しません。財務省の鈍感さを理解しようとしません。財務省こそ日本の危機を生み出し、いまもそれを続けてる最悪の組織といえます。

「われら富士山、他は並びの山」――。東大法学部卒のエリートが集う霞が関で、財務省は大蔵省時代から他省庁を見下ろしながら「最強官庁」を自任してきたのですが、今のままでは、「われら大和堆、他はすべて陸上の山」ということになるのではないでしょうか。

実際そうしたほうが良いです。財務省は、分割すると他の省庁を植民するという性癖があるので、分割した上で、すべて他象徴の下部組織に併合して、財務省のDNAを断つべきです。

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2020年12月20日日曜日

高橋洋一氏「批判ありきのマスコミを官僚が誘導する構図だ」 新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』で霞が関の実態解き明かす―【私の論評】この書籍を読んで「日本の解き方」読めば正しい認識を持った上で、様々な議論に参加できる(゚д゚)!

 高橋洋一氏「批判ありきのマスコミを官僚が誘導する構図だ」 新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』で霞が関の実態解き明かす

高橋洋一氏

 菅義偉政権で内閣官房参与に就任した高橋洋一嘉悦大教授が、夕刊フジの連載「日本の解き方」をベースに加筆した新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』(産経新聞出版)を出版した。表題の通り、マスコミの報道や財務省を筆頭とする官僚らの行動が、日本経済や社会の妨げになっている実態を解き明かしたものだ。高橋氏は「批判ありきのマスコミを官僚が誘導している構図だ」と語る。

 同書は、安倍晋三政権時の2019年4月から菅政権誕生後の今年11月までの連載を再構成したもので、新型コロナウイルス対策や消費税減税論、大阪都構想といった問題についてマスコミ報道の間違いや官僚のミスリードなどを指弾している。

『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』表紙 帯をとった表紙

 官僚の世界を知り尽くし、財務省時代に多くのメディアと接したという高橋氏は、両者のもたれ合いの構図についてこう指摘する。

 「専門性がない記者は財務省など当局の話を聞いて書くしかないのだろう。そのため主計局の見解を代弁したような内容の記事ばかりになる。私に聞いてくれれば違う意見を言えるが、社内で怒られるのかもしれない。そこで一般紙では読めない見解が夕刊フジに載るというわけだ」

 コロナ禍の経済対策をめぐる議論でも、高橋氏は、財務省の意向が強く反映された報道に問題が多いと指摘する。

 「私は需給ギャップや自殺者、失業者の予測に基づいて規模を重視すべきだと主張したが、予備費や補正予算の規模が大きすぎるという批判ありきの報道ばかり。もし小さい規模にしていたら経済はもっとひどいことになっていたはずで、そうするとまた批判の種とするのは、『GoTo』をめぐるマッチポンプの報道をみても明らかだ」

 マスコミと官僚が結託し、世論を誘導するような状況は以前から変わっていないという高橋氏だが、「最近はインターネットの普及で反論を書くのも簡単になったし、ユーチューブで発信もできる。かつてのように言われっぱなしではなくなった」という。

 夕刊フジの連載について、永田町でも霞が関でも「読んでますよ、としょっちゅう言われる」という高橋氏。「連載の中でも繰り返し書いているが、現状は政府が国債を発行しても日銀が買い取るので国民負担は発生しない。政治家にはこれだけでも理解してもらいたい」と強調する。

 安倍政権当時から政策に関して見解を示すこともあったが、菅政権では正式に内閣官房参与という肩書が付き、風当たりも強まっている。NHK・Eテレの周波数帯売却案や受信料の値下げ案を打ち出したことも大きな話題になった。

 「前から同じことを言っているのに反応が大きくなった」と笑う。

 今後のマスコミについて「専門性のある記者がいろんな意見を聞いて、読者や視聴者の判断に委ねるのがいいと思う」としたうえで、「ヘンな内容の記事を書き続けてくれれば、ネタには事欠かない」と皮肉を込めた。

 ■高橋洋一(たかはし・よういち) 1955年東京都出身。東大理学部数学科・経済学部経済学科卒業。大蔵省(現財務省)理財局資金企画室長、米プリンストン大客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(官邸・総理補佐官付き)などを歴任。2020年10月、内閣官房参与(経済・財政政策)に就任した。

【私の論評】この書籍を読んで「日本の解き方」読めば正しい認識を持った上で、様々な議論に参加できる(゚д゚)!

この書籍さっそく、amazon kindleで電子書籍を購入して読み始めています。パラパラとめくったところでは、「夕刊フジの連載「日本の解き方」をベースにしているだけあって、ほとんど知っているものばかりでした。

ただし、新著には「日本の解き方」に書かれたことにさらに加筆ということなので、その加筆の部分に注目しつつ読んでいこうと思います。

また、一冊の書籍にまとめるということで、高橋洋一氏の考え方が体系的に理解できるということでも注目です。新聞の記事は、単一の短い読み物として構成されているため、他の記事との繋がりや関係などはほとんど考慮されないのが普通です。書籍にまとめるということは、そのようなことも十分に配慮されていると思います。

このブログを購読されている方ならおわかりのように、このブログでは、様々な記事を引用してそれを解説するという形をとっているのですが、「日本の解き方」の引用率はかなり高いです。調べたことはないのですが、おそらくこのブログでは一番引用率が高いのではないかと思います。

なぜそのようなことになったかといえば、現在の日本の大きな問題は、結局官僚とマスコミの問題に行き着くことが多く、特に財務省にはかなり問題があります。そうなると、高橋洋一氏のようにかつて官僚だった人であり、しかも官僚の世界にあまり毒されることもなくマクロ経済を熟知した上で、自由な発想で物事を語る人の意見がかなり参考になります。

太田財務次官

本日は、「日本の解き方」を産経新聞のサイト「ZAKZAK by 夕刊フジ」で検索してみたところ、一番古い記事で2020年7月11日のものでした。このブログでは、かなり古いものでは2012年あたりから、そのまま掲載してありますので興味のある方は、「日本の解き方」のキーワードで検索してごご覧になってください。

この「日本の解き方」ブログに掲載して解説するという目的もあったので、結構長い間読んでいます。それもあってか、日本の経済の問題については、従来よりはかなり詳しくなりました。それととともに、マスコミと官僚の問題点も良く理解できるようになりました。

大方の経済学者等が言っていることは大体わかるようになりましたし、いわゆるエコノミストや、アナリストなどと称する人々の言うこと、テレビのコメンテーターの言うことや、新聞記事など言うことを鵜呑みにすることはなくなりました。

池上彰氏の経済ニュースほどあてにならないものはない・・・・

その中で、これは間違い、これは正しいとそれなりの背景から確信を持って言えるようになりました。これは、ブログの記事を書く上でも、経済の問題を考える上でもかなり役立っています。このようなことは、ネットで高橋洋一氏をはじめとして、他のまともな意見を語る少数の人々の記事を読んだ上で、マクロ経済の書籍などを読まなければなかったと思います。

そうして、「日本の解き方」を読むことで、マクロ経済の書籍を読むこともあまり苦痛ではなくなりました。私は、高橋洋一と同じく理学部の出身者なので、そもそもマクロ経済など大学で学んだこともなく高校で習ったはずの知識も忘れていました。それでも何度か読んでみようと思って、何冊か購入したこともあるのですが、結局積ん読で終わっていました。

しかし、「日本の解き方」を読み始めてからは、関連したところを読んだりしているうちに、徐々に読み慣れてきて、読むことがあまり苦痛に感じなくなってきました。

その上で、いいますが日本のマスコミの経済記者や政治家などほとんどマクロ経済を理解していないようです。私がみるところ、日本の大手新聞でマクロ経済を理解している人は、数人しかいません。金融機関の幹部の人でも、わからない人も多いことに驚きました。これは由々しき問題です。

マクロ経済学というと、非常に難しく考える人も多いでしょう。しかし、定量的に何かの答えを出すというのは、確かに難しいですが、その時々でどのような財政政策・金融政策をすべきか程度の判断は十分に可能です。それも、常識的に考えればわかることが多いです。

たとえば、為替に関しては、長期的にいえば相対的により強力に金融緩和をしている国の通貨が安くなることなどは、簡単に理解できます。お札をたくさん刷っている国のほうが、刷っていない国よりも安くなるのは当然です。モノもたくさんあれは、価値が低くなりますが、逆に少ししかなければ、価値はあがります。お金も同じことです。

実際には、様々な要素が絡まっているので、すぐにはそうはならなくても、長期的にはそうなります。だから、為替介入などあまり意味はないのです。できるのは、急速な為替変動を緩やかにするくらいのものです。これがわからない金融アナリストもいるようで、様々な複雑な要素を難しくこねくり回して、結局数ヶ月の目先のことしか予想できないようです。

高橋洋一氏の「日本の解き方」やその他の記事を読み、さらには自分で他の情報にあたったりしているうちに、日本は平成年間のほとんどの期間を財政政策、金融政策を間違えてきて、それでもなお、政治家やマスコミがそのことに気づかず、さらに同じ間違いを繰り返そうとしていることにかなりの危機感を持ちました。それが、このブログを書くことの原動力にもなりました。

上の記事で、高橋洋一氏が「最近はインターネットの普及で反論を書くのも簡単になったし、ユーチューブで発信もできる。かつてのように言われっぱなしではなくなった」と語っていますが、これは本当にそうだと思います。特にここ10年間あたりはそうだと思います。

やはり多くの人々がテレビや新聞などの情報に飽き足らず、ネットの情報を閲覧するようになってから、変わったようです。10年以上前だと、世間では高橋洋一氏の考えなど、「異端」的に扱われていたところがありましたが、ここ10年くらいでそのようなことがなくなってきました。

これは、高橋洋一氏をはじめとする、良心的な人々が、ネットなどを通じて、この10年間努力してきた成果だと思います。この努力に比して、最近のマスコミや官僚、一部の政治家や識者の発言や行動は旧態依然として見苦しい限りだと思います。

今までマクロ経済に疎いと感じられている方で「日本の解き方」を読んだことのない人たちも、今回の新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』(産経新聞出版)を読んで頂き、その後継続して「日本の解き方」を読んでいただければ、日本経済や日本の官僚とマスコミの問題について、正しい認識を持った上で、自分の頭で考え、様々な議論に参加し生産的な話ができると思います。

特にコロナ禍の現在、政府の役割が大きくなっている現在、様々な分野で議論をしなければならい人にとっては、役に立つと思います。

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2020年12月19日土曜日

激しさ増す豪中対立、民主主義国は結束を―【私の論評】外国でも独善的な振る舞いをした中国が待つ末路は、毛沢東時代の図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国に戻ること(゚д゚)!


 豪州がコロナウイルスの起源を究明する独立した調査を提唱したことを契機に、中国と豪州の関係は急速に悪化しているが、11月26日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙が、中国の豪州に対する要求には危険な要求が含まれているとして、民主主義諸国が結束して中国の圧力に対抗すべきことを主張する社説を掲げている。


 中国が豪州に対する経済的締め付けを強めている。本年4月中旬、新型コロナウイルスの起源が明らかにされる必要があるとの豪州の閣僚の発言が報じられ始めた。これに対し、4月26日には、駐豪州中国大使のCheng Jingyo(成競業)は雰囲気が悪化すれば、観光客はどうして非友好的な豪州に行く必要があるのかと問う。親は子供を留学させる場所として適当かを問うであろう。国民は何故豪州ワインを飲まねばならないのか、何故豪州の牛肉を食べねばならないのかを問うことになると警告した。大使と外務省幹部との電話会談も行われたが、4月29日、モリソン首相は「新型コロナウイルスは世界で20万の命を奪い、世界経済を停止させた。よって世界で何が起こったのか独立した評価を求めるのは賢明で妥当と思う」と述べた。

 今回、引き金を引いたのは新型コロナウイルスの起源の調査の提案であるが、他にもある。Huaweiを5Gネットワークから排除することを早々と決定したこと、南シナ海に関する中国の立場に法的根拠はないと表明して「完全に違法」とするポンペオ国務長官の見解に同調したことなど、中国を怒らせた理由は色々ある。

 中国の反発は激烈であった。5月、中国は、豪州からの牛肉の輸入を一部停止し、大麦に 80%の追加関税を決定した。8月にはオーストラリア・ワインのダンピング調査が始まった。当初は法的な正当性の衣をまとうことを試みていたが、最近に至ってその手間は放棄し、税関に輸入の差し止めを非公式に指示するだけで済ましているらしい。順次締め付けは強まり、規制の対象は石炭、砂糖、木材、ロブスター、銅鉱石を含め13品目、対中輸出の3分の1に及ぶという。除外されている主要品目は代替輸入が困難な鉄鉱石及びLNGである。これらの妨害措置はWTOのルールを無視するものであり、恐らくは中国・豪州FTAに違反する行動である。

 フィナンシャル・タイムズ紙の社説は、キャンベラの中国大使館がメディアに手交した苦情のメモが自由な言論を否認するような要求を含んでいることを重大視している。しかし、国内で言論を抑圧している中国に言論を論ずる資格はない。中国大使館のメモは、豪州政府がその政策に反するとの理由でビクトリア州に「一帯一路」への参加を反故にするよう強いていると苦情を述べているが、中国が外国との自由な合意を容認する筈もない。これらは一種の偽善である。いずれにせよ、接受国への苦情のメモをメディアに手交することは礼儀作法にもとるが、宣伝目的のメモの内容にいちいち取り合う必要はない。むしろ、重大視すべきは、豪州の貿易構造の中国に対する脆弱性につけ込んで、中国の意に逆らう豪州を経済的に圧迫する中国の行動である。

 ウイルスの問題だけではない。去る9月、新華社は6月に豪州の情報機関が4人の中国人ジャーナリストの捜査に入りコンピューター、スマホ、文書を押収したとされる一件を暴露して豪州を非難する一幕があった。その前日の9月7日、身の危険を感じたABCとAustralian Financial Reviewの中国特派員2人が豪州大使館の介入を得て中国を脱出する一件が発生した。これに伴い中国に豪州の特派員はいなくなった。

 豪州は厳しい状況に置かれている。問題解決のための閣僚レベルの電話の要請にも中国は応じていないようである。この種の経済的圧迫は中国の常套手段であり、日本も韓国も経験済みである。チェコの上院議長一行が台湾を訪問した際にはチェコ製ピアノの発注が取り消された。他の民主主義諸国に効果的な手助けの手段があるようには思われないが、何はともあれ、民主主義諸国は豪州との結束を維持してやる必要がある。先日、モリソン首相が来日したが、我が国の政権交代に伴い外国首脳が訪れるのは珍しいことである。これも豪州が置かれた立場を反映しているのであろう。

【私の論評】外国でも独善的な振る舞いをした中国が待つ末路は、毛沢東時代の図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国に戻ること(゚д゚)!

オーストラリア政府は、中国の経済的締め付けを強めつけに対抗する措置を行っています。オーストラリア政府は、中国が大麦に高い追加関税を課し輸入を制限したのは不当だとして、WTOに提訴する方針を明らかにしました。中国政府はオーストラリアの対応を非難しています。

オーストラリアのバーミンガム貿易相は16日、記者会見し、中国がオーストラリア産の大麦に高い追加関税を課し輸入を制限したのは不当だとして、「16日夜、WTOに正式に提訴する方針だ」と述べました。

「オーストラリア政府は中国側の懸念に真剣に対処し、実際に行動を取り、中国企業を差別視するやり方を正すべきだ」(中国外務省 汪文斌報道官)

一方、中国外務省の汪文斌報道官は16日、記者会見でこのように述べ、オーストラリア側の対応を非難しました。

中国は、地元の反感を招くようなことを平気でしています。たとえば、中国の不動産会社「チャイナブルーム」が昨年5月にオーストラリアのクイーンズランド州にある楽園のようなケスウィック島(Keswick)を買収しました。

ケスウィック島の「立入禁止の看板」と風景(右)

この島は国立公園に指定され、島の80%を除く残りの20%を州に99年の長期賃貸する方法で契約しました。

しかしこの企業のせいで住民、そして観光客らにとんでもないトラブルが起きたのです。

不動産会社チャイナブルームは、「立入禁止」の看板を立て国立海浜公園に通じる道を封鎖して住民の出入りを遮断しました。従来のボートの傾斜路の利用を禁止した代わりに、めちゃくちゃに設置した新しいボートの傾斜路だけを開放しました。

民間や商業用飛行機の飛行場への出入りも阻止し、島への出入り困難にしました。住民は突然島に閉じ込められた捕虜同然の身になってしまったのです。ある住民は「島に閉じ込められた気分だ。ボートのない住民は往復2600豪州ドル(約20万円)を払い、ヘリコプターに乗らない限り行き来ができない」と訴えました。

それだけでなく、不動産賃貸やairbnb(宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイト)などを通じた宿泊・共有を禁止し、観光産業も壊滅状態に陥らせたのです。ケスウィック島に住んで15年になるレイナ・アズベリーは「私が知る限りでは昨年9月以降観光客は一人もいなかった」と語りました。

ケスウィック島の海岸

このようなやり方をする中国は、地元民の反感を買うのは当然のことです。日本の北海道あたりでも、中国人による土地買収を好き勝手にやらせておけば、このような事態が起きないとも限りません。

「中国人の心」に対して配慮を欠いたオーストラリアの態度に驚き、中国の外交官たちは自らの言葉がオーストラリア人の心をいかに傷つけるか気づかなかったようです。オーストラリアの政治家や公的機関に尋常でないほど深く浸透しているにもかかわらず、中国の外交官は、民主的な意思決定のダイナミズムを理解できなかったか、その要求に屈することを拒みました。

もし中国が、有能なP R会社等を通じて他の民主国家等と同様の通常の外交を行っていたら、新型コロナウイルスのパンデミックによる関係悪化はごく短期間ですんでいたかもしれないです。

 ところが実際には、中国政府が30年間にわたって築き上げたオーストラリアの意思決定に対する影響力があっという間に瓦解しました。ここ数カ月、オーストラリアは中国系企業による豪戦略資産の買収を厳しく規制すると発表、州政府や自治体が認可した買収案件に対し連邦政府が拒否権を発動できる新たな法案を提出しました。

またオーストラリアの大学に対する外国の干渉について議会の調査も開始しました。中国寄りの姿勢を取る政治家は、今ではかなり勇気のある者に限られます。振り子は逆に振れたのです。

 この動きは、オーストラリアだけではありません。一国のエリート層を取り込む中国の世界戦略は、民主主義国のほとんどで失敗しました。中国は、外国の内政干渉を食い止めようとするオーストラリアの努力を「ひどく理不尽な態度」と呼びました。

ところが一般市民から見れば、それは常識です。中国が世界の除け者になり、民主国家の政治家は、中国政府幹部と握手する姿は撮られたがらないし、中国にとってぼろい儲け話もなくなるでしょう。

習近平とともに写真に写る米国民主党関連者の面々 今ではこのような写真はみられたくないだろう

 オーストラリアが中国に背を向けたことで、自由主義や西側同盟を重んじる価値観が再確認されました。他の民主国家もこの例に倣うでしょう。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、香港や新疆ウイグル自治区における中国の人権抑圧を批判しました。

米国では、トランプ大統領が誕生し、中国に厳しい態度をとりはじめました。トランプ政権も米国内のありとあらゆるところに、中国勢の浸透があったことを暴露しています。

大統領選の決着はまだついていませんが、背後には中国の不当な選挙への干渉があったともいわれています。もしそれが明るみに出れば、トランプが再選され、ますます中国に対して厳しい措置をとることになるでしょう。

たとえ疑惑の解明が進まず、バイデン氏が大統領になったにしても、その後疑惑の解明がすすんだ場合、政権スタート当初からレームダックになり、民主党やマスコミ、SNSの権威は失墜し、米国の中国に対する態度はさらに厳しいものになるでしよう。識者の中には、バイデン政権成直後に疑惑解明が苛烈になる可能性があると語っている人もいます。大統領選挙の結果いかんにかかわらず、米国の中国に対する厳しい態度は維持されることになります。

欧州でも、中国の干渉に市民が反発しています。外国からの脅威に対する民主主義国の反応は必ずしも早くないかもしれないですが、最終的には排除されます。それこそ中国が学ぶべき教訓のはずです。

ただ、その中国はその教訓を学ばないかもしれません。中国で来年の経済運営の方針を決める重要会議が開かれ、新たな発展戦略として内需の拡大や国内産業の強化を図る方針が示されました。米国との対立が長期化する可能性を念頭に、国内経済主導への転換を明確にした形です。

中国では来年の経済運営を決めるため、習近平国家主席や李克強首相らが出席して、18日までの3日間「中央経済工作会議」が開かれました。

中国国営の新華社通信によりますと、会議では来年、経済政策の基本方針となる次の「5か年計画」が始まるにあたり、「新たな発展の枠組みを構築し、第一歩を踏み出す必要がある」という認識が示されました。そして、国内産業のサプライチェーンを強化することや、内需の拡大を図る方針が打ち出されました。

これは、米国政府による、中国企業に対する制裁や、経済的なつながりを切り離す「デカップリング」の影響を避けるねらいがあります。

米国で政権交代の動きが進む中でも、誰が大統領になろうとも、米中の対立が長期化する可能性を念頭に、国内経済主導への転換を明確にした形です。

中国としては、現在のやり方をしていれば、デカップリングが進むことは認識しているようです。ただし、内需拡大と気軽に言っていますが、それは今の中国には難しいことです。

なぜなら、このブログでも何度か述べてきたように、本気で内需拡大をするつもりなら、まずは民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめなければならないからです。これこそが、自由主義や西側同盟を重んじる価値観です。

それができれば、星の数ほどの中間層が輩出され、これらが自由に社会経済活動を行い、社会のあらゆる層でそれこそ、立体的にありとあらゆるところで、イノベーションが起こり、富を生み出すことになります。

これが、かつて経済的、軍事的に、強国になるためにいわゆる先進国が通ってきた道であり、この道を通った国だけが、現在先進国になっています。日本もかつて、このような道をたどり、特に戦後は社会のあらゆるところで、イノベーションが起こり、かつて発展途上国であったにもかかわらず先進国の仲間入りができたのです。

中国だけが例外にはなりません。例外になったように見えたのは、世界中から中国に対する投資が増えたためです。国内の非効率・不合理が取り除かれなければ、先進国にはなれません。

現在の中国では共産党主導の点のイノベーションしかおこらず、それでは社会のあらゆるところに非効率・非合理なことが残ってしまい、社会は停滞したままになり経済も発展しません。

これが、いわゆる中進国(国民一人当たりのGDPが100万以下の状態)の罠というものです。デカップリングした中国は、社会の行進性が残ったままであり、中進国にもなれないかもしれません。

国内と同様に、外国でも独善的な振る舞いをした中国が待つ末路は、毛沢東時代の図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国に、戻ることしかできないようです。それでも、中国は14億人の人口があるので、国内だけで何とかやっていけるかもしれません。

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2020年12月18日金曜日

日銀12月短観で明確になった…「V字」ではない景気の改善 着実な経済対策が不可欠だ―【私の論評】政府の需給ギャップを埋めようとする動きを応援し、それを怠るような動きをすれば、批判せよ(゚д゚)!

 日銀12月短観で明確になった…「V字」ではない景気の改善 着実な経済対策が不可欠だ 

高橋洋一 日本の解き方

日銀

 日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)で、大企業・製造業の業況判断指数(DI)は、前回9月のマイナス27から17ポイント改善し、マイナス10となった。改善幅は2002年6月調査以来18年半ぶりの大きさだった。

 日銀短観は、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引き景況感を示すDIで景気を判断する。

 内訳を見ると、自動車はマイナス61から48ポイント改善しマイナス13。自動車に引きずられる形で鉄鋼もマイナス55から30ポイント改善しマイナス25、非鉄金属もマイナス36から27ポイント改善しマイナス9、生産用機械もマイナス43から22ポイント改善しマイナス21となった。製造業16業種中15業種で改善した。

 造船・重機等はマイナス34から7ポイント悪化しマイナス41で、製造業で唯一の悪化だった。

 飲食や宿泊などを含めた大企業・非製造業のDIは、前回9月調査でマイナス12だったが、7ポイント改善してマイナス5と、これも2期連続の改善だった。

 宿泊・飲食サービスは、新型コロナウイルスの感染拡大で極めて大きな打撃を受けている。今回の調査で前回9月のマイナス87から21ポイント改善したものの、マイナス66にとどまっている。この改善は、政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」の効果が主な要因と日銀は見ている。

 遊園地や劇場などの「対個人サービス」もマイナス65から22ポイント改善しマイナス43だった。非製造業12業種中11業種で改善した。

 建設は21から4ポイント悪化の17で、非製造業で唯一悪化した。

 大企業・製造業、大企業・非製造業ではほとんどの業種で改善したが、DIの水準では、大企業・製造業が16業種中14業種でマイナス、大企業・非製造業が12業種中6業種でマイナスにとどまっている。改善は見られるものの、水準としては悪い景況感のまま、いま一歩である。

 こうした傾向は中小企業にもあり、その深刻さは中小企業の方が大きい。中小企業・製造業ではマイナス44から17ポイント改善したがマイナス27、中小企業・非製造業ではマイナス22から10ポイント改善したがマイナス12にとどまっている。

 先行きも明るくない。短観では、現状とともに先行きを尋ねているが、大企業・製造業では現状がマイナス10に対して先行きがマイナス8、大企業・非製造業で現状マイナス5に対して先行きマイナス6と、いずれも悪い景況感のまま、好転しないとみている。

 中小企業・製造業では現状のマイナス27に対して先行きがマイナス26、中小企業・非製造業では現状のマイナス12に対して先行きがマイナス20。非製造業ではさらに悪化を見込んでおり、先行き不安が強い。

 今回の短観では、8日に発表された追加経済対策の結果はあまり反映されていないだろうが、今回の景気回復は「V字」ではないことが確認されたことになる。経済対策が着実に実行され、日本経済の回復基調を確実にしなければいけない。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】政府の需給ギャップを埋めようとする動きを応援し、それを怠るような動きをすれば批判せよ(゚д゚)!

日銀短観については、NHKのWEBニュースで、見やすいグラフを掲示していたので、それを以下に引用します。


日銀短観そのものは、以下のリンクからご覧になってください。

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2012.pdf

日銀短観が示しているのは、ある意味「超最悪から最悪になっただけ」ということです。

それこそ、一番の元凶たる需要ギャップをしっかり埋めるための「令和の富国強兵」が待ったなしということです。

この短観の結果は予め予想できたことであり、別に驚くには値しません。これに対応するための政策も十分に考えられますし、日本政府にはそれができる能力が十分にあります。

それについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ コロナ追加経済対策、批判的な報道は「まともだという証明」―【私の論評】ノーベル経済学賞受賞サミュエルソンが理論で示し、トランプが実証してみせた 「財政赤字=将来世代へのつけ」の大嘘(゚д゚)!
追加経済対策が決まった

基本的には、この記事で示したコロナ経済追加経済対策である第三次補正葉酸を確実に実行することです。第二次補正で積み上げた、予備費が7兆円も積み上げたままになっていたのですが、これは最近5兆円まで減ったそうです。第三次補正では、そのようなことがないように、速やかに(真水20兆円)予算を所定の期間に使い切ることです。

そうして、来春には需給ギャッブが十分に埋まっていなければ、さらに真水の20兆円の追加予算を立てて実行することです。

これで、安倍総理がコロナ対策で60兆円をつかい、菅内閣は40兆円を使うことになり、全部で100兆円となります。これで、需給ギャップを十分に埋められるでしょう。それどころが、お釣りがくるかもしれませんが、だからといって予算を削ることは許されません、

なぜなら、今後コロナ以外にも様々な予期しないことが予想されるため、予算をタイトにすることは許されないからです。

実際最近でも、新潟で車1000台以上“立ち往生”という雪害が起こっています。16日から降り続く記録的な大雪の影響で、高速道での事故が相次ぎ、実に1000台以上の車両が立ち往生を強いられました。


このようなことが、もっと大規模に起こることも十分に考えられますし、さらに地震・津波の被害や、台風、大雨などの被害もあり得ます。コロナもいつ終息するかなどもまだはっきりしません。これらにも備えて、何かが起これば速やかに対策を打てるようにしなければ、需給ギャップを埋めることはできません。

需給ギャップを埋めるために、このようなことをすることにさしたる確証も何もないのに、これに反対したり、多すぎると批判する異常な人々が大勢います。これを実行するために、政府が大量の国債を発行し、日銀がこれをすべて買いとるという方式に、これまた何の確証もなく、反対する人もいます。

あるいは、民需が予想されるから、予算は少なくて良いという人もいますが、これも嘘です。これは、常識で考えてもわかるでしょう。需給ギャップが埋まっていなければ、民間企業は投資するどころか、支出を控えるようになるだけです。

さらには、国債を大量に刷れば、国の借金が増え、将来世代へのつけになるという人もいますが、これも真っ赤なうそです。この記事にも、ノーベル賞を受賞した経済学者ポール・サミュエルソン氏が財政赤字が将来世代へのつけになることはないことを理論的に示したことを掲載しました。

これらの何の確証もない財務省を筆頭とする様々な反論論に政治家がまどわされ、政府が対策を怠れば、大変なことになります。潜在GDPと実際のGDPの差であるGDPギャップは、内閣府の推計でも30兆円超もあります。これを放置すると、半年後以降の失業率が上昇します。おそらく失業率2%程度上昇、失業者で見れば120万人程度が増えるでしょう。それに伴う自殺者は6000人程度増えるでしょう。それはコロナによる死者2400人の2倍以上になります。

これに対して他人事でいられるでしょうか。コロナ禍経済対策で、このような被害を被るのは、あなた自身かもしれないし、あなたのお子さんや親や孫、親族かもしれません。会社の同僚や学校の仲間かもしれません。できないというのであれば、致し方ありませんが、日本政府にはこれに対応できる能力が十分にあるのに、そのようなことになるを、到底容認できるわけがありません。

このようなことをなくするために、政府が需給ギャップを埋める政策を実行することを阻もうとする無責任勢力の愚鈍な馬鹿どもの戯言に付き合うべきではないのです。このような戯言には、耳を貸さずとにかく、政府の需給ギャップを埋めようとする動きを応援すべきです。そうして、政府が需給ギャップを埋めることを怠るような動きをすれば、徹底的に批判すべきです。

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