2020年12月24日木曜日

中国で電力不足深刻 豪産石炭制限影響か―【私の論評】中国の電力逼迫は、ウィグル人弾圧等に欠かせないデータセンターを安定稼働させるためか(゚д゚)!

 中国で電力不足深刻 豪産石炭制限影響か

明かりが少ない中国浙江省杭州市内=17日

 中国各地で電力不足が深刻化している。国有送電企業は、電力需給が逼迫しているとして「戦時状態」を宣言。街灯の明かりが消えて真っ暗になり、大規模停電で工場生産に影響が出ている。中国がオーストラリア企業から石炭輸入を制限したことにより発電量が減ったとの観測もある。

 国家発展改革委員会の趙辰昕秘書長は21日の記者会見で、経済活動の回復や寒波により電力需要が想定を上回ったとし「石炭の総量は十分なので、安心してほしい」と強調した。

 湖南省当局は今月、今冬の電力の負荷が冬季の最高記録を上回る3093万キロワットに達し「電力供給が緊迫している」と通達。8日から指定の時間に公共施設や観光地の照明を消し、企業の電力利用を制限している。(共同)

 中国メディアによると、浙江省当局も各地で月末まで加工工場の生産を全面的に停止するよう求める通知を出した。江西省などでも制限措置が取られている。

【私の論評】中国の電力逼迫は、ウィグル人弾圧等に欠かせないデータセンターを安定稼働させるためか(゚д゚)!

中国大停電について、日本メディアのほとんどは報道していません。また、報道している数少ないメデイアをみても、その原因を報道しているものは少ないし、報道していても納得がいかないものばかりです。

良く、原因としてあげられるのが、上の記事のように、オーストラリア企業から石炭輸入を制限したことにより発電量が減ったとの観測があげられますが、これは納得がいきません。そもそも、中国の石炭の産出量は世界一です。

中国国家統計局は28日、2019年の中国の一次エネルギー消費に石炭が占める割合が前年から1.5%ポイント低下して57.7%となり、58%未満に減らすという政府の目標を1年前倒しで達成したと発表しています。

国家統計局が公表した2019年の「国民経済・社会発展統計公報」によると、中国の全体的なエネルギー消費が前年から3.3%増えて48億6000万TCE(標準石炭換算トン)となるなか、石炭消費量も前年から1%増えました。

中国ではコロナ禍からのV字回復が喧伝されていましたが、現実には国営企業の破綻も起こっています。中国金融市場で10月下旬以降、有力国有企業の発行した社債のデフォルト(債務不履行)が相次ぎ、動揺が広がっていました。

近年、当局が不動産バブルや過剰債務問題の解消に本腰を入れる中、財務基盤の弱い民間企業を中心に社債デフォルトが増えていましたが、「当局の支援」が当然視されていた国有企業にも波及し始めた形になりました。「金融機関や地方政府の支援余力が尽きたのではないか」との見方も出ているくらいです。

      渤海鋼鉄集団の再編は債務総額が2000億元以上に上り、
      ここ何年かの中国国有企業の倒産で最大規模となった

この状況だと、去年よりは多くの企業の生産は縮小し、それにつれて電力需要も減り、オーストラリアからの石炭を輸入しなくても良いはずです。中共も無論、そのつもりで、オーストラリアからの石炭輸入をやめただと思います。

では、中国では中共政府も予期しなかった、とてつもなく大きな電力需要が発生したと考えるしかありません。

それの最大の候補は、データセンターであると考えられます。実査、人工知能(AI)およびビッグデータ、5G、クラウド、ブロックチェーンなど先端技術への国家的注力を表明している中国で、データを扱うデータセンターへの投資も急速に増加していくとの見通しが発表されていました。

中国・前瞻(ぜんしょう)産業研究院などの統計によると、2019年までに中国で建設されたデータセンターの数は約7万4000箇所にのぼります。これは世界全体のデータセンターのうち23%を占める数であり、主に北京、上海、広州、深センなど一線都市に集中しています。

稼働しているサーバーの数は、およそ130万台と推定されています。地域別に代表的なデータセンター企業としては、GDS(蘇州)、SINNET(北京)、Dr. Peng(深セン)などがあります。中国のデータセンター増加に伴い、アジア太平洋のデータセンター市場は、2018年比で12.3%増加と明確な成長性をみせています。

中国国内のデータセンターへの投資市場規模をみると、2017年2769億元(約4兆2500億円)、2018年に3257億元(約5兆4400億円)、2019年3698億元(約5兆6700億円)と順調に増加しています。2019年は前年比で13.5%増加しており、これは世界の増加率7.1%の倍近くを記録しています。中国のデータセンターへの投資額は増加を続け、2025年には7000億元(約10兆7400億円)を超えると予想されています。


データセンター市場の成長の裏には、中国国内で膨張を続けるデータ量の存在があります。中国のデータ規模は、2020年に64ゼタバイト、2022年に128ゼタバイト、2024年に512ゼタバイトと増え続け、2030年頃には4096ゼタバイトにまで達する見込みです。2030年時点のデータ量は、世界のデータ総量の30%を占めることになるだろうと予測するレポートもあります。

これだけデータを扱うと、当然データセンターの電力も半端ではなくなると考えられます実際にはどうなのかという研究もなされています。

データセンターの需要は、およそ10年間で爆発的に増加しています。業務用ソフトウェアやソーシャルメディア、それに動画やモバイルアプリの利用が急増しているからです。ところが、コンピューターの利用増が地球に及ぼしている影響を測定したところ、意外にもその結果は悪いものではなかったといいます。

新しい分析によるとデータセンターの作業負荷は、2018年の時点で10年と比べて6倍以上に増えていました。これに対してエネルギー消費量は、ほとんど変わっていなかったといいます。その理由はデータセンターのエネルギー効率が大きく向上したことにあると、『Science』誌に2020年2月28日付けで掲載された論文は結論づけています。

ただし、人工知能(AI)や5Gといった膨大な量のデータを処理する新しいテクノロジーが普及すれば、いまのような効率性が維持される保証はないと、この論文は警告しています。

データセンターのエネルギー消費量については、この10年ほどで2倍以上に増えたとする分析結果もいくつかあります。しかしそのような調査は、エネルギー効率の改善を推計値に反映できていないというのが、今回の論文の主張です。

今回の調査結果は驚くべきもので、一部からは疑いの目を向けられています。調査会社のリンリー・グループで半導体市場のアナリストを務めるマイク・デムラーは、ハードウェアの効率化が需要の拡大を上回るペースで進んでいることを示すもっと定量的な証拠が必要だと語っています。

またデムラーは、中国では状況が異なる可能性があるとも指摘しています。「中国には適切なデータがないことから、中国がデータセンターのエネルギー消費量を急速に増加させている可能性があります」と、デムラーは言うのです。

私は、デムラーが言うように、中国がデーターセンターのエネルギー消費量を急速に増加させているのだと思います。だからこそ、今回中国の大停電が起こったのだと思います。それを匂わせる事実も報道されています。

12月9日、中国でファーウェイの顔認証システムによって、少数民族のウイグル族を検知し、自動的に警察へ通報する仕組みが用いられていると報道されました。ファーウェイが中国共産党による少数民族弾圧に加担しているとして、それを批判するかたちでサッカー・フランス代表のアントワーヌ・グリーズマン選手がファーウェイとのスポンサー契約打ち切りを発表しました。

それだけでなく、中国アリババグループもウイグル人を識別するクラウドサービスを展開していたことが報道されました。

浙江省杭州市のアリババのスーパーデータセンター(撮影日不明)

人工知能(AI)を研究する非営利団体「OpenAI」は2019年12月、ルービックキューブを完成させるアルゴリズムを発表しました。このアルゴリズムはロボットハンドを操作しながら、試行錯誤してルービックキューブを解く方法を学習するといいます。

素晴らしい研究成果です。しかし、このプロジェクトには1,000台を超えるデスクトップコンピューターに加え、数カ月にわたって大量の計算を処理する専用グラフィックチップを稼働させるマシンが1ダースほど必要でした。

このプロジェクトのために約2.8GWhの電力が消費された可能性があると、AIプロジェクト管理用のソフトウェアを提供するDetermined AIの最高経営責任者(CEO)エヴァン・スパークスは指摘しています。約2.8GWhといえば、原発3基が1時間に出力する電力とほとんど同じです。

5Gスマホの電力消費量を増やす多くの要因があります。まず3Gや4Gと比べ、5Gスマホのアンテナ数が目立って増加します。5G端末はMassive MIMO(マッシブマイモ)アンテナ技術を採用していますが、8本以上のアンテナを内蔵しなければなりません。またアンテナのすべてに単独のパワーアンプがあるため、エネルギー消費が激しくなるのです。

最新の5Gを駆使して、これまた最新の顔認証システムを稼働させ、ビッグデータを収集し、様々な分析をすれば、当然のことながらかなりの電力が消費されることが予想されます。しかも、中国の省エネ技術は優れている面もありますが、トータル的にはまだ遅れています。

5G、ビッグデータ、AIなどを駆使すれば、当然ながら、かなりの電力を消費することになります。そのことは、中共も知った上で、様々な分析等を行ったのでしょうが、それでも予想をはるかに上回る電力需要が生じたのでしょう。ほんの少しデータのロードを増やしたり、分析項目を増やしたりしても、幾何級数的にエネルギー消費が増えることもあり得ます。

そうして、本来ならここに省エネ技術を組み込んで、電力をあまり消費しないようにすべきだったのでしょうが、中国としては目先で役立つ技術を優先したため、省エネ技術の導入に遅れをとり、電力不足にいたり、それでも分析等を継続するために、一時的に電力の供給を止め、それをデータセンターに供給したのでしょう。

これが、事実だったとして、電力の供給を止めてまで、分析を行うほど重要なものとは何だったのでしょう。余程重要なものでしょう。無論、ウイグル人の顔認証もあるでしょうが、それだけではないと思います。中国は香港や、台湾は無論のこと、米国や日本でも膨大なデータを収集している可能性があります。

中共が5G、AI、間認証システムなどで、最新の省エネ技術を駆使するようになれば、全世界を監視し、中共の価値観に合わない人物を特定し、排除する行動に出るかもしれません。そのようなことにならないように、日本を含め、世界中の先進国が省エネ関連の機微な技術を中国にわたすべきではありません。

渡せば、中国の電力需要の逼迫を是正し、データーセンターの安定稼働に寄与することになり、それは、ウィグル人の弾圧だけではなく、世界中の人々の弾圧や政治介入につながる可能性があります。

習近平がCO2排出量を30年までに05年比65%余り削減すると表明した背景には、各国の省エネ技術を手に入れ、中国のデータセンターを確実に稼働できるようにするという目論見があるからかもしれません。

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