2021年1月16日土曜日

SNSが先導、選挙不正問題に蓋、米国で現代の魔女狩りが始まった―【私の論評】バイデン政権が成立しても最初からレームダックになり、米民主党は日本の民主党のように分裂し万年野党になる(゚д゚)!

SNSが先導、選挙不正問題に蓋、米国で現代の魔女狩りが始まった

メルケル、マクロンも危惧を表明


 「公正な選挙」が「権力の集中」を防ぐ

今回の史上まれに見る混乱ぶりを考えれば、米国の大統領選挙史上唯一順守されてきたと言ってよい、1月20日の大統領就任式ですら当日まで気を抜くことができないであろう。


例えば、最近知られるようになってきた「1876年の大統領選挙」においては、大統領就任式の翌年3月4日直前の3月2日まで合衆国議会が選んだ15人の委員からなる選挙委員会が20票の票の行方をめぐって紛糾した。

詳細は昨年12月17日の記事「トランプが敗北しても『真の敗北者は民主党』であるワケ」3ページ目を参照いただきたいが、大統領就任式以外のものは絶対ではないし、初代大統領ジョージ・ワシントンが就任したのは1789年4月30日であり、1797年3月4日に勇退したことから3月4日が大統領就任式との慣例が続いた。

ちなみに、大統領が2期4年というのも、ジョージ・ワシントンが望めば十分3選可能であったところ、「権力の集中を排除する」ため勇退したことから慣例化した。

1947年のアメリカ合衆国憲法修正第22条で法制化されたのは、この慣例を無視するという暴挙で、民主党のフランクリン・ルーズベルトが1933年から1945年まで大統領職にとどまったからである。つまり、ルーズベルトが行った「権力の集中」に米国民は最終的にノーを突き付けたけたのだ。

反日と評価されるルーズベルトが、「第2次世界大戦参戦の口実をつくるために日本を苛め抜いて真珠湾を攻撃させた」とはよく言われることだ。ルーズベルトが1941年に3期目の大統領職についていなければ「12月8日」はどうなっていたのだろうかとつい考えてしまう。

また、4期目が始まった直後にルーズベルトが急死し、副大統領から大統領に昇格したハリー・トルーマンが「日本への原爆投下」という人類史上最大級の「人道への罪」を犯した。

その他、過去民主党が行ってきた日本(日系人)への非道な行いは、昨年8月7日の記事「もし米国に『日本にとって悪夢』の民主党政権が誕生したら?」で詳しく述べた。南北戦争で奴隷制度を支持し、前記の「権力の集中」という暴挙を行い、さらには「日系人(だけ)強制収容」というあからさまな人種差別を行ってきた、民主党の本質は「全体主義」だと考えられる。

日本にはメディア総出で誕生させた「悪夢の民主党政権時代」が存在するが、それがどのような時代であったのか、日本国民はよく知っている。

米国も「悪夢の民主党政権時代」がやってくるのか? 悪夢ならまだしも、ナチス・ドイツのファシズムや、中国に代表される共産主義のような全体主義が米国を支配するようになったら「地獄」である。

まだ今のところ、共産主義中国よりはましな状況だと思うが、すでに米国が「香港化」しているようにも思える。

当然、日本の民主主義も危機にさらされるから、日本国民も座視している場合ではないと思う。

「民意」はどこにある?

2020年大統領選挙の争点は、バイデン(民主党)とトランプ(共和党)の戦いととらえるべきではない。

A:「不正選挙問題を無視し、バイデン氏をごり押し当選させたい」勢力
B:「不正選挙問題を解明し、公正な選挙によってトランプ氏を当選させたい」勢力

の激突である。

不正選挙の「確実な証拠」については、1月10日の記事「それでも『臭いものにふたをすれば民主主義の危機だ』と叫びたい」の3ページ目で多数の参考資料を示したので、ここでは繰り返さない。

しかし、それらの「確実な証拠」に対して「見てみぬふり」をして、司法や議会の多数を占める金権議員が、自らの保身と既得権益を守るAの立場であることは、これまで読者が目撃してきたとおりだ。

もちろん、不正選挙があったと断定するわけではないが、これだけの「確実な証拠」がそろっているのだから、Bが主張するように少なくとも「国民的議論」は行うべきだということである。

実際、「1月6日の事件のトランプ氏の責任」に対して、米国民が憤っているのか?というとそうではないようである。

世論調査会社ラスムセンが調べた1月5日のトランプ大統領の支持率は47%だったが、事件後の1月8日の支持率は48%と、むしろ上がっているのである(朝香豊氏ブログ「絶体絶命のトランプに打つ手はあるのか」参照)

1%というのはごくわずかな数字だが、オールドメディアはもちろん大手SNSも「あからさまなトランプたたき」へ舵を切っている中で、支持率が下がらないというのは驚異的現象である。

「反民主主義勢力」による少なくとも香港並みと考えられる言論弾圧の中でも、「米国人の良心」が指し示すものは変わらないと言える。

ドイツもフランスも危機を感じている……

メルケル首相とトランプ大統領は「犬猿の仲」だと言われる。また、メルケル氏は媚中派だとされることは、昨年9月21日の記事「メルケル独裁16年間のつけ、中国がこけたらドイツもこけるのか?」で述べたとおりだ。

また、バイデン氏の「当選確実」に対する祝辞もいち早く述べている。

しかし、そのメルケル氏でさえツイッターの行動を糾弾している。ドイツ政府のザイベルト報道官は1月11日、ツイッターが「トランプ米大統領のアカウントを永久停止した」ことについて、メルケル首相が懸念していると明らかにし、民間企業が言論の自由の制限を決定するべきではないとの考えを示している。

また、トランプ大統領との関係が良好ではないマクロン首相率いるフランスのルメール経済・財務相も、1月11日、ラジオで「巨大IT企業に対する規制は、業界の寡占企業自らが行うことではない」と発言した。Twitter上で発信される偽情報や扇動発言には、国や裁判所が対応すべきだということである。

こうなると「選挙不正問題」だけではなく、問題が「言論の自由」や「民主主義」そのものに広がってきたと言わざるを得ない。ドイツもフランスも全体主義的傾向の強い国だが、その両国でさえ「米国の香港化」には脅威を感じ警鐘を鳴らしているのだ。

その点、先進民主主義国家のひとつであるはずの日本において、菅義偉首相の動きは鈍すぎる……

まさか、ファシズムや共産主義などの「全体主義」を支持しているとは思えないが、その疑念を抱かせる態度である。もっとも、1月15日公開の「大丈夫? 二階俊博の顔を見すぎる菅首相、それでも他にいないのか」で述べたように、単に決断ができないだけなのかもしれないが……

日本国民も米国の「言論弾圧」の状況を対岸の火事として眺めていると、わが身に降りかかってくることになる。

SNSの検閲は中国共産党並みだ

前記の問題以外にも大手SNSの暴挙は続く。昨年11月2日の記事「グーグル提訴の世界史的な意味…GAFAは人類の敵か味方か考えろ!」に対する答えは「敵」であり、ジョージ・オーウェルの「1984」に登場する「ビッグブラザー」の支配がすでに始まっているように感じられる。

象徴的な例が、1月11日、フェイスブックが「ストップ・ザ・スティール(選挙泥棒を止めろ)」に言及する全てのコンテンツを削除すると発表したことである。

もし、オールドメディアや大手SNSが飽きもせず棒読みするように「選挙不正は無かった。トランプ氏のたわごとだ」というのなら、その「確実な証拠」が無いたわごとは早晩消えていく。エイブラハム・リンカ―ンが述べるように「すべての人々を永遠にだます」ことはできないからである。

逆に言えば、「禁句」を設定して人々の目に触れさせないようにするのは、その「禁句」が事実だからとも言える。

例えば「天安門事件」は共産主義中国における「禁句」である。しかし、中国政府が主張するように「民間人の死者が存在しない平和的な集会であった」などと信じる良識ある人々はごくわずかであろう。

本当に、中国共産党が述べるような平和的な行動であったのならば「禁句」にする必要など無い。恐ろしいのは、共産主義中国の国民の多くが「天安門事件」が起こった歴史さえ知らないことである。

多くの中国人は、米国人や日本人などの外国人から事件の存在を知らされて腰を抜かすほど驚く。教科書や歴史資料から抹殺されているのだからある意味当然と言える。

「選挙泥棒を止めろ」という言葉を禁句にする背景に「天安門事件」を禁句にするのと同じ問題があるのだと考えざるを得ない。

米国人が「選挙不正問題」を外国人から教えられて腰を抜かすほど驚くなどと言うことが起こってはならないのは言うまでもないいことだ。

1月20日以降も続く

一時期、共産主義中国で「くまのプーさん」という言葉が「禁句」になったことが話題になった。習近平氏を名指しで批判すると「監視員」によってすぐに記事を削除されたり、場合によっては逮捕・投獄・処刑されるので、中国人の間で習近平氏が似ているとされる「くまのプーさん」が隠語として使われていたからだ。

恐怖を感じるのは、最近日本でも「トランプ=虎さん」や「バイデン=梅田」のような隠語が広く使われるようになってきたことである。もちろん、削除やアカウント凍結を避けるためである。

独裁権力と闘うレジスタンスの方々の便宜のために私のブログで「独立系」のSNSを紹介した。このうちパーラーは、アマゾンの一方的なサーバー使用禁止措置により、運営の危機に瀕しているのは報道されている通りだ。

状況は危機的だが、「米国の良心」によって、昨年10月27日の記事「第2次南北戦争も―選挙結果がどうなっても米国の分断は避けられない」で述べた、第2次南北戦争のような惨劇が未然に防がれることを願う。

トランプ氏や支持者は「非暴力不服従」での戦いを続けるはずだ。マハトマ・ガンジー、キング牧師のように「非暴力・不服従」こそが、最良の解決策であると考える。

公民県運動で「虐げられていた黒人の地位を劇的に向上させた」キング牧師の言葉で締めくくりたい。

「最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である」

【私の論評】バイデン政権が成立しても最初からレームダックになり、米民主党は日本の民主党のように分裂し万年野党になる(゚д゚)!

冒頭の大原氏の記事には、"日本にはメディア総出で誕生させた「悪夢の民主党政権時代」が存在するが、それがどのような時代であったのか、日本国民はよく知っている"と述べていますが、私自身は現在の米国の状況は先日もこのブログで述べたように、まさに日本おける民主党政権誕生前夜に非常に似ていると思います。

ただし、米国と日本は選挙制度や日本は大統領制ではなく、議院内閣制であることもあり様々な違いがあり、表面的には全く異なるようにみえて、根底では似ているところがあります。

それは、日米ともに、民主党政権のときにそれまでも存在した社会の分断が大きくなり、それが新たな政権を生み出したということです。

米国ではオバマ政権のときに、それまでもあった社会の分断がさらに大きくなり、その後トランプ政権が誕生しています。

2017年トランプ大統領就任式

日本では、民主党政権が誕生して、それまでもあった社会の分断が大きくなり、その後安倍政権が誕生しています。

分断が大きくなった直後に登場したリーダーとしては、トランプ氏も安倍氏も共通しています。そうして、その分断はこのリーダーたちが登場する直前に大きくなっていることでも共通しています。

日本と米国では社会の分断や規模の違いもあります。日本でも、社会の分断は進んだのですが、それにしても民主党政権が崩壊してからは、社会の分断は米国ほどには大きくはないです。それは、野党の支持率がかなり低いことで示されています。

ただし、報道や芸能関係や、労働組合、学術会議が問題が暴いた大学等比較的影響力の大きいところが、未だリベラル左派に占められています。リベラル左派は本当は、少数派なのですが、メディアがこれらの声を増幅するので、いかにも大きいように見えるだけです。

菅政権の支持率は下がっていますが、民主党から継承された、立憲民主党や国民民主党などの支持率は今でも低迷し続けています。自民党への支持率は変わりありません。そのため、現在でも選挙をすれば、自民党が勝つのは間違いないでしょう。菅政権を継続するか否かは、自民党の判断に委ねられることになります。

米国でも、これに似たような動きになっていくものと思われます。日々の大統領のツイッターなどで振り回された4年間のトランプ政権の混乱後、バイデン政権は政策に一貫性を取り戻し、表面上は米国政治が落ち着きを取り戻したように見えるかもしれません。

しかし、バイデン氏は、同氏が不正選挙で選ばれたと考える多くのトランプ支持者、さらには民主党左派といったさまざまな抵抗勢力に対応せねばならないです。危機対応においては幅広い国民からの支持が欠かせません。バイデン氏の政権発足後のハネムーン期間は短いものとなりそうです。

民主党内で最も勢いを増している左派は、中道の政策を望んでバイデン氏を支持したわけではありません。民主党を統一させる効果を発揮したのはバイデン氏の掲げる政策ではなく、トランプ氏の存在と同大統領の危機対応についての懸念でした。 

1月5日、ジョージア州上院決選投票で民主党候補2人がともに勝利したことで大統領府、上下両院の3つすべてを握る「トライフェクタ(三冠)」を民主党は実現しました。 

上院で共和党が多数派を維持していたとしたら、バイデン政権が成立を願う法案は共和党ミッチ・マコネル上院院内総務によって阻止される運命にありました。

ところが、上院奪還により民主党チャック・シューマー上院院内総務が議題を決定できることになります。またバイデン政権の閣僚など政府高官も上院で承認が容易になります。より大規模な対コロナ経済支援策、インフラ整備法案の可決なども可能性が高まります。バイデン政権にとっては公約実現のうえで、トライフェクタは朗報です。

ところが、次回選挙を考慮すると必ずしもバイデン氏は喜べないかもしれないです。共和党が上院多数派を維持していた時には、左派が望むグリーン・ニュー・ディール、オバマケアの大幅な改革をはじめ左寄りの政策に関わる法案を議会で可決できないことについて、バイデン氏は共和党に責任を転嫁できました。

しかし、トライフェクタでは左寄りの政策の法案可決に期待が高まり、政権に対する左派からの圧力が強まることになります。

ところが、上院では財政調整法を利用した一部の法案を除き、フィリバスター(議事妨害)を廃止しない限り、採決に入るためには60票の賛成票が必要です。つまり、引き続き穏健派を含む民主党上院議員の50票すべてと共和党上院議員10票が必要となります。

また、下院でも民主党の過半数確保はギリギリの状態(民主党222議席、共和党211議席、空席2議席)です。民主党提出の法案にすべての共和党議員が反対した場合、民主党6人が造反すれば可決できません。

日米の民主党の違いはまさにここにあります。日本の民主党の場合は、確かに左派、左翼なども内包していましたが、共産党や社民党は別であり、日本の民主党は共産党・社民党とは別であり、あくまでリベラルと捉えらていました。

だからこそ、政権交代ができたのです。米国の民主党のように、共産主義・左翼が内包されていれば、そもそも政権交代そのものができなかったでしょう。

ただし、日本の民主党の政策はこのブログでも主張していたように、最初から政策があまりにお粗末であり、民主党政権下では、経済でも、安全保障でも、外交もうまくいかず、さらには重要なことはほとんど何も決定できず、3年半漂流していたというのが、実態でした。

米国の民主党の場合は、左翼が内部に存在しているのです。副大統領になる予定のカマラ・ハリスも掲げる政策をみると左翼です。そうなると、左翼は左翼の望む法案を成立させたいと思うのは当然ですし。

大統領選から撤退した、サンダース氏は米メディアの取材に「格差改善へ最低賃金の引き上げが急務だ」と強調していたように、新政権に左派政策を積極的に取り入れるよう圧力を強めることは必至です。

サンダース氏

しかし、この政策は韓国で文在寅大統領が実行して、大失敗して雇用が激減して、とんでもないことになっています。最近の文在寅大統領の支持率の低下は、マクロ経済に疎いとみえて、韓国でも日本でも報道されていませんが、金融緩和しないで最低賃金をあげてしまえば、雇用が激減するのは当然のことです。これは、当初から十分予想できたことです。

本来賃金は、金融緩和をしつつ雇用を安定化させ、その上で様子をみながら上げていくべきです。日本でもそうでしたし、世界共通のことですが、大規模な金融緩和をすれば、雇用は増えるのですが、最小はアルバイト・パートや正社員でも若年層の雇用が優先するので、実質賃金は下がります。

それでも、さらに緩和しつづけると、もっと上の層の雇用が促進するとともに、賃金が上がっていきます。マクロ経済に疎い日本の野党などは、安倍政権発足時に日銀が包括的金融緩和をしたばかりのころ、予定通りに雇用が上向き、実質賃金が下がったことに対して「実質賃金がー」と無知丸出しの批判を繰り返していました。枝野氏など旧民主党の幹部の中には、民主党政権のほうが雇用政策は良かったなどと、頓珍漢な批判を繰り返しています。

いわゆる左翼といわれる人達は、文在寅氏、米国のサンダース氏をはじめとする左翼、日本では枝野氏をはじめとするリベラル・左翼の方々もほとんど理解しいないようです。これはなぜか、リベラル左派・左翼の特徴のようです。これに対して、トランプ氏も安倍元総理大臣も雇用においてはかなり良い成果をあげています。
単純に最低賃金を上げる政策に関しては、当然のことながら、民主党主流派も共和党も反対するわけですから、これらの法律はことごとく成立しなくなります。

これでは、左翼の不満は募ることになります。その不満が募った果にどうなるかといえば、米国の民主党も日本の民主党のように、何も重要なことが決められなくなり、漂流することになりそうです。そうして、米民主党の分裂が起こる可能性が高くなると考えらます。

米国の民主党には左翼が多く存在していて、かつての日本の民主党よりも党内での存在感は強いですし、米民主党の主流派とは全く違います。

日本の民主党の場合は、マスコミの加勢もあって、政権交代の時の選挙では圧倒的な勝利を治め、これは明らかに「自民党にお灸をすえる」とか、「民主党政権に試しにやらせてみる」と考えた有権者の間違いであったことは確かです。

米国では今回の大統領選挙でも、上院議員選挙でも、マスコミの加勢やSNSのかなりの加勢があっても、伯仲していましたし、米国民の多くも不正選挙があったと信じています。それは、上の記事にもある、ラスムセンが調べた1月5日のトランプ大統領の支持率は47%だったが、事件後の1月8日の支持率は48%と、むしろ上がっていることが如実に示しています。

不正選挙に関しては、日本では「不正選挙はあったが、大統領選挙の結果を覆すほどのものではなかった」とされていますが、米国のロイター通信は先月18日、米大統領選で共和党支持者の52%が「正当な勝者はトランプ大統領」と答えたとする世論調査結果を公表しました。証拠を示さず「不正によって勝利を盗まれた」と訴えるトランプ氏の主張に、支持者の多くが賛同していることが明らかになっています。

回答者全体でも、今回の大統領選の結果が「合法的で正確」と答えたのは55%で、16年大統領選から7ポイント減。逆に「違法または不正」と考える人は12ポイント増の28%で、選挙プロセス自体への不信感が広がっていることを示しています。

トランプ陣営の弁護士ジュリアーニ氏は、ミシガン州の220人の宣誓供述書やペンシルベニア州の宣誓供述書の一部を明らかにしています。これらの宣誓供述は、なぜか最高裁で争われることはなかったのですが、これからも格好の攻撃材料にされることでしょう。

この状況だと、米国では政権交代して民主党が政権与党となっても、日本の民主党以上に、混乱を極め、漂流することになりそうです。

挙げ句の果に、日本の民主党のように分裂して、万年野党になってしまう可能性も極めて高いです。

日本は、米民主党がかつての日本の民主党のように、漂流することを前提に様々な政策を推進していくべきです。

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2021年1月15日金曜日

中国・新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドの可能性」 米報告書―【私の論評】ウイグル問題は、トランプ政権がバイデン政権に突きつけた踏み絵(゚д゚)!

 中国・新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドの可能性」 米報告書

北京で2018年4月

 米国の中国問題に関する超党派の連邦議会・行政府委員会(CECC)は14日に公表した2020年の年次報告書で、中国当局が新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウイグル族などのイスラム教徒少数民族に対し、国際法上の犯罪である「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を実施している可能性があると指摘した。

 報告書は、この1年間で自治区での大量虐殺を含む「人道に対する罪の証拠」が浮上したと指摘し、米政府に対して自治区でのウイグル族などへの弾圧をジェノサイドであると公式に認定するよう促した。

 国務省は、ポンペオ国務長官の指示でジェノサイド認定するかどうかについて検討を進めているとされ、トランプ大統領の任期が切れる20日までに認定に踏み切るかが注目される。

 報告書によると、自治区ではウイグル族やカザフ族、キルギス族などの少数民族や約180万人が「広範かつ組織的」に施設に収容され、強制労働に加え、拷問や政治教化を受けている。また、外部に流出した中国政府の文書によると、強制収容システムが中国共産党の最高幹部の指令によって構築されたことが一層裏付けられたとした。

 さらに、中国当局がウイグル族らに対し、「家族や文化、宗教的信仰心の破壊」を目的に避妊手術や産児制限を組織的な政策として強制している証拠が新たに浮上したと指摘した。

 報告書はその上で、米政府に対し、ジェノサイド認定に加え、自治区の住民の監視に利用される顔認証システムや人工知能(AI)技術に関する新た輸出規制を設けるよう要請した。

【私の論評】ウイグル問題は、トランプ政権がバイデン政権に突きつけた踏み絵(゚д゚)!

米共和・民主両党の上院議員は昨年10月27日、中国がウイグル人をはじめとするチュルク語系少数民族に対するジェノサイド(大量虐殺)を行っていると宣言する決議案を提出しましたた。

昨年ドイツ人研究者によるウイグル自治区“強制不妊リポート” 中国が真っ向反論したが・・・

上院では来週の大統領選後まで審議が行われないため、すぐに採決されることはありませんでしたが、これらの少数民族100万人以上が強制収容されているとされる問題で中国への圧力が強まる可能性があることが指摘されていました。

決議案は、中国が「新疆ウイグル自治区でウイグル人、カザフ人、キルギス人、その他のイスラム教徒の少数民族に行っている」活動は、「ジェノサイド」に当たるとしています。

 ジョン・コーニン上院議員(共和党)は、「決議案は中国の行為を犯罪と認め、中国にその極悪非道な行為の責任を取らせる第一歩だ」と述べました。

 ジェフ・マークリー上院議員(民主党)は、決議は米国が「黙っていられない」ことを示すだろうと語り、「監視の強化、強制収容、拷問、強制的な『再教育キャンプ』といった、ウイグル人やその他のイスラム教徒の少数民族に対する中国の攻撃はジェノサイドだ。単純明快だ」と話しました。

決議案の発起人には、外交政策でドナルド・トランプ大統領に近いマルコ・ルビオ上院議員(共和党)や、上院外交委員会の民主党のトップ、ロバート・メネンデス上院議員も名を連ねています。

マイク・ポンペオ国務長官は27日、訪問先のインドでニュースサイト、ザ・プリントのインタビューに応じ、「(中国の行動は)1930年代にドイツで起きたことを想起させる」と述べました。

マイク・ポンペオ米国務長官

米大統領選の世論調査でトランプ氏より優勢になっている民主党のジョー・バイデン前副大統領の陣営も、中国の行動をジェノサイドと呼び、対応を強化する方針を示してきました。

昨年12月24日には、対中強硬派のポンペオ国務長官が検討作業を指示されていることが、米当局者が明らかにしました。米政府が認定すれば、中国の強い反発が予想されます。

国務省で国際刑事司法問題を担当するタン大使が検討作業を取りまとめ、ポンペオ氏に報告する予定だといいますが、報告の時期は不明でした。その報告書が今回、提出されたのです。ジェノサイドに認定した場合、中国に対する何らかの制裁措置を求める声が高まるのは確実とみられます。

バイデン政権が、一部の識者が言うように対中強硬姿勢を崩さず、ウイグル問題でもトランプ氏と同じような対応をとる可能性もあり、そうであることを強く期待しています。

しかし、大統領になる以前に、そのような意向を表明することと、実際大統領として中国に対峙し、ウィグル問題でも譲歩しないかどうかは別問題です。

バイデン政権が、米国が中国との平和と安全を、人権を尊重する日本や台湾、他の先進国との共通の価値観よりも優先するように変わっていくのならば、日本は今度こそきちんと憲法と国防の議論を行い、この米国依存体質から脱却する方法を考えるときかもしれないです。

そうして、昨日も述べたように、安倍・トランプ両氏の置き土産である日米豪印(クアッド)の中国包囲網を強化すべきでしょう。

ウイグル問題はバイデン政権の踏み絵・・・・・

そういう意味では、トランプ大統領の任期が切れる20日までに認定に踏み切るにしても、バイデン政権に委ねられるにしても、これはバイデン政権の試金石になることは間違いありません。これはトランプ政権による踏み絵と見ても良いと思います。

ウイグル人権法がすでに施行されている現在、この法律に沿ってバイデンがどのような具体的な行動を起こすかが注目されます。宥和的な政策をとれば、共和党による批判攻撃は強まり、今回の選挙でも明らかになった、米国の人口のおよそ半分を占める保守層の国民の反発も強まるでしょう。

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2021年1月14日木曜日

トランプが最後に連発する駆け込みアクションの意味―【私の論評】日本は米国の大型経済対策に対応し、安倍・トランプの置き土産日米豪印(クアッド)の中国包囲網を強化せよ(゚д゚)!

 トランプが最後に連発する駆け込みアクションの意味

バイデン政権誕生で問われる日本の覚悟

  米テキサス州ハーリンゲンのメキシコ国境の壁を視察した後、メリーランド州の
  アンドルーズ基地で専用機から降りるトランプ大統領(2021年1月12日)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 トランプ政権の任期が残りわずか10日余りとなった1月9日、ポンペオ米国務長官は米国と台湾の交流制限撤回の声明を出した。この声明によれば、これまで国務省が課してきた外交官や高級官僚、公務員らの米台相互交流への制限がなくなる。

 続いて1月12日には、ホワイトハウスが、2018年2月に制定された「開かれたインド太平洋戦略」の枠組みに関する機密文書を公開した。それによると、日本の尖閣諸島、台湾、フィリピンをつなぐ中国の防衛ライン「第一列島線」の中国側の空域、海域も米国が死守すると明記されていた。この機密文書は最初オーストラリアメディアが報じ、その後、ホワイトハウスが公表した。機密文書は本来なら少なくとも30年間は秘匿されるものであり、それが外国メディアにリークされてから公表されるのは極めて異例である。

 なによりも、こうした任期終了が迫ったカウントダウンのタイミングで、トランプ政権が日本を含むアジアの安全保障にかかわる重大なアクションを駆け込むように実行していることの意味を、日本人としてはいろいろ考える必要があるだろう。
台湾との公的接触の自主規制を解除

 ポンペオ国務長官は1月9日の「米国と台湾の公的交流制限解除」の声明で以下のように述べた。

 「台湾は活力に満ちた民主国家であり、米国が信頼できる協力パートナーである」
「しかし数十年来、米国国務省が制定した複雑な自主規制措置により、外交官、公務員、その他官僚同士が互いに行き来することに制限があった。米国政府は一方的にこれらの措置をとり、北京の共産党政権に配慮してきた。今後はこのようなことはない」
「今日、私は宣言する。これら自主規制を解除する。国務省がこれまで国務長官名義で行政機関に命じた、台湾関係におけるすべての“接触ガイドライン”を無効にする」

 そして、「米国在台湾協会(AIT)のほか、『外交事務準則』『外交事務マニュアル』にある行政当局および関連部門と台湾の接触に関する規則の部分は、すべて廃止する。台湾関係法が規定する行政当局と台湾の関係は非営利組織AITにより処理する」とし、声明を次のように締めくくった。

 「米国政府は世界中の非公式パートナーとの関係を維持しており、台湾も例外ではない。我々2つの民主国家の共同の価値観は個人の自由、法治、そして他人の尊厳に対する尊重である。今日の声明では、米台関係は我々の恒久的な官僚機構の自主規制に束縛されず、また束縛されるべきではないと認識している」

 台湾の駐米代表処はこの声明に関し、「台湾米国関係の強化と深みを十分反映しており、台湾政府も歓迎を表明する。台湾政府は米国務省に感謝を述べるほか、長期に台湾米国関係に関心を寄せてくれた米国国会両党議員に感謝を申し上げる」「我々は台湾米国パートナー関係が目に見える形で、将来持続的に強化し成長することを期待している」と述べた。

機密文書をなぜ今公開したのか

 ポンペオ国務長官はこの2日前の1月7日に、米国のケリー・クラフト国連大使の台湾派遣を発表していた。国際社会は、1971年の台湾(中華民国)国連脱退以降、米国連大使の初めての訪台か、と驚いたが、訪台予定日(1月13~15日)の直前になって、台湾訪問は「新政権移行の準備のため」キャンセルとなった。新政権移行前の忙しさは最初から分かっていたはずであり、急なキャンセルの本当の理由は別にあるかもしれない。中国側は、米国連大使が台湾を訪問すれば「重い代償を支払わせる」と恫喝していたので、それに臆したのか、あるいは蔡英文政権側が臆したのか、あるいはバイデンサイドが妨害したのか。いずれにしても国連大使訪台キャンセルは非常に残念であった。

 だが、その代わりというか、突然、米国の台湾や尖閣諸島に対する防衛姿勢が書かれた機密文書が公開された。1月12日に最初に報じたのは、オーストラリアメディア「ABC」だった。そのあと、ホワイトハウスが正式に発表した。

 それは、2018年2月に制定された米国のインド太平洋戦略の枠組みに関する文書だった。米国の政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」によると、ホワイトハウスは次期バイデン政権にトランプ政権の対中政策を継続してほしいという願いから、同時に米国の同盟国を安心させるために、異例の機密文書公開を行った、という。

 オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はこの機密文書公開について、「米国人民と我々の同盟・パートナー国に、米国は、インド太平洋地域の開かれて自由な状況を永久に守るために引き続き力を尽くす所存であることをわかってもらうため」と説明している。

 およそ10ページの機密文書では、中国を米国の安全保障上の最大の懸案と捉え、同盟・パートナー国と協力して、インドの台頭を助けて中国を牽制することを1つの戦略としている。また同文書では、台湾の軍事発展と非対称作戦戦略を支援することで中国の脅威に抵抗することも強調されていた。

 「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、日本の安倍晋三元首相が提唱し、トランプ政権とともに練り上げた国防戦略だ。機密文書では、米国は軍事衝突の有無に限らず、尖閣諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第一列島戦」内の制空権および制海権を中国から守り、台湾を含む国家の安全を保護し、同時に第一列島線の外側を米国主導の作戦領域とすることも明示している。

 この戦略に精通している安全保障専門家によれば、米国のインド太平洋戦略における台湾の描写から、米国は台湾を中国から攻撃されないよう牽制するだけでなく、必要であれば中国の侵攻を撃退するとしている、という。つまり、台湾を守るためならば軍事出動も辞さない、ということだ。

 こうした機密文書をあえて今公開したのは、おそらくはバイデン政権が対台湾政策や尖閣問題、そしてインド太平洋戦略についてトランプ政権の方針を転換させるのではないか、という懸念があるからだろう。台湾接近とインド太平洋戦略はトランプ政権の揺るぎない政治遺産として残さねばならない、というわけだ。

中国政府とメディアの反応

 ちなみに中国外交部の趙立堅報道官はこの機密文書公開について、「米国はインド太平洋戦略を利用して中国に圧力をかけ、地域の平和と安定を破壊しようという邪悪な動機がある」と批判している。

 また「環球時報」など中国メディアは、ポンペオ長官の米台交流規制撤廃宣言について「ポンペオが理性を失って狂った」と表現し、「米国と台湾民進党当局にはっきり自覚させなければならないのは、もし彼らが大胆にもポンペオを任期終了前に台湾に訪問させるといった演出を行うのであれば、北京は山を動かして海を埋めるような反応をするだろうということだ」と威嚇した。

 さらに環球時報は米ブルッキングス研究所のトーマス・ライターのコメントも引用して、「ポンペオの政治的動機は、バイデン政権誕生後の最初の数週間に中国との関係を膠着状態に陥らせ、バイデンの対中弱腰姿勢を変えさせることだ」と解説し、こうしたトランプ政権の駆け込み政策は次期バイデン政権への嫌がらせである、と論評している。

消えた「自由で開かれた」という表現

 さて、バイデン政権が誕生すると対中政策が親中的になっていくのかどうか。

 一部識者はバイデン政権の方がトランプ政権より対中姿勢が厳しい、という見方をしているようだが、私はやはりバイデン政権になれば、トランプ政権がこの2年ほどの間に進めた対中包囲網や対中デカップリング(切り離し)政策、そして対台湾政策やインド太平洋戦略は後退するだろう、と見ている。

 理由は、たとえば台湾政策については、バイデンチームは選挙戦当時から「一つの中国原則」の堅持を主張しているし、両岸問題の平和解決支持を継続することが台湾人民の願いであり最大利益だという立場だ。これは、オバマ政権時代の現状維持政策と変わらない。

 トランプ政権は現状維持から対台湾接近を進め、それがたとえ中国の軍事的威嚇を招きかねないとしても、台湾を守るために中国を撃退するという方針を決めていたことが、今回明らかにされた機密文書に書かれていたわけだ。

 尖閣問題についても、バイデン政権の方針は不透明だ。菅義偉首相がバイデン候補の勝利を確信した段階で行った電話会談で「日米安保第5条の適用範囲である」という言質を引き出したので、安心だという人もいるようだ。だが、オバマ政権時代のバイデン副大統領は、中国が尖閣を含む東シナ海上に防空識別圏を設定した2013年12月、当初は「絶対に認められない」と言っていたにもかかわらず、訪中して習近平に会ったのちは、その設定をあっさり容認した。後になって、同時期に息子のハンターが経営に関わるヘッジファンドに中国銀行から多額の資金が振り込まれていたという“噂”が一部米国メディアや華人メディアで報じられ、バイデンはチャイナマネーと引き換えに「尖閣を売った」のではないか、と憶測を言う人も出てきた。

 また「自由で開かれたインド太平洋」については、少なくともそのまま踏襲するつもりはないことも、その言動から明らかになっている。

 菅首相がバイデン候補との初めての電話会談で「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて連携したい」と述べたことに対して、バイデン候補が「『繁栄し、安全なインド太平洋』の基礎として日米同盟を強化したい」と答えたことを、朝日新聞など日本メディアも報じている。それに引きずられてか、菅首相までも「平和で繁栄したインド太平洋」と表現を変えてしまっている。

「自由で開かれた」というのは、「閉じられた統制社会」である中国に対峙する民主的自由社会の共通価値観の象徴であり、その価値観を守るために日米インド、オーストラリアらとともに組み立てた安全保障の枠組みだ。こうした価値観を「繁栄」「安全」「平和」といった言葉にすり変えてしまうと、平和や繁栄のために、自由で開かれた社会を犠牲にしてもいい、という誤ったメッセージを中国に与えかねないのではないだろうか。つまり、中国が軍事力を背景に圧力をかけてきた場合、あるいはチャイナマネーや広大な市場を餌に譲歩を迫ってきた場合、「民主的自由主義的な価値観を犠牲にしてでも、中国の言う繁栄や平和を受け取りたい」と言っているも同然に私には聞こえるのだ。

日本は台湾ともっと連携を

 もちろんバイデン政権が、一部の識者が言うように対中強硬姿勢を崩さず、台湾を民主国家の同盟パートナーとして関係緊密化路線を継続する可能性もあり、そうであることを強く期待している。だが、米国が中国との平和と安全を、日本や台湾との共通の価値観よりも優先するように変わっていくのならば、日本は今度こそきちんと憲法と国防の議論を行い、この米国依存体質から脱却する方法を考えるときかもしれない。

 そして、おそらくは脅威の最前線に立たされることになるのは台湾だ。もし日本が台湾との複雑な歴史を振り返り、その絆の深さに思い至るならば、日本だけで怯えたり日和ったりするのではなく、同じアジアの民主主義国家、自由社会国家同士としてもっと連携し協力し、共通の脅威に立ち向かっていく方策を考えるべきだろう。

【私の論評】日本は米国の大型経済対策に対応し、安倍・トランプの置き土産日米豪印(クアッド)の中国包囲網を強化せよ(゚д゚)!

米国の大統領選挙は、今から考えると、本当に疑問符のつくことが満載でした。様々な不正選挙疑惑に関して、結局連邦最高裁は受け付けませんでした。州によっては、受け付けたところと受け付けなかったところがありました。

これは、日本ではあまり知られていないのですが、州によって裁判所の裁判官も民主党寄りが多いところと、共和党寄りのところがあるからです。

連邦最高裁は共和党派の判事が多いのですが、結局は受け付けませんでした。その理由は、訴訟を起こすための原告としての資格がないというものでした。結局のところ門前払いということでした。

なぜ門前払いになったかといえば、テキサス州パクストン司法長官やパウエル軍事弁護士の提訴は、『国家反逆罪』の審理であり、連邦最高裁の管轄外だという見解からでした。

連邦最高裁は、第3条の 反逆条項1および2により、 これらの提訴は連邦最高裁の管轄外というものでしたが、今回の不正選挙の疑義の中には、国家反逆罪とまではいかなくても、様々な不正疑惑があったはずで、それは管轄内であると考えられます。

2000年には、ブッシュ対ゴア事件 (Bush v. Gore, 531 U.S. 98 (2000)) がありましたが、これは今回のように不正選挙があったのでないかという疑惑について、アル・ゴアが訴えたものです。

連邦最高裁判所は2000年12月12日に判決を下しました。この判決により、2000年アメリカ合衆国大統領選挙が、ジョージ・W・ブッシュの勝利に終わることとなりました。

このような事例があったにもかかわらず、今回は連邦最高裁は門前払いしてしまったのです。これに疑問を抱く人は多いと思います。それに、米国の大統領選挙については、今回や2000年の選挙にかぎらず、もう数十年も前から、不正疑惑がいわれてきていました。

人よっては、いわゆる米国の大統領選挙は米国のエスタブリッシュメントの意のままであり、米国大統領は操り人形に過ぎないという識者も昔からいました。

米国大統領選挙の取材をする我那覇真子氏 写真(左)

さらに、別の疑惑もあります。沖縄出身のフリージャーナリストである、我那覇真子氏が1月6日にワシントンDCで起きたトランプサポーターらによる議事堂への乱入に関する複数のYouTubeを見ていてあることに気づいたとしています。

サンディエゴ在住の女性、アシュリー・バビット(Ashli Babbitt)氏が警官に撃たれる前、ある一人の黒人男性がパイプを持ったもう一人の男とドアのガラスを割っていました。

その直後に警官が発砲して彼女は倒れた。我那覇さんは、一連の騒動の中で、この二人だけが、トランプサポーターとは異なる過激な行動をしていたと指摘しています。そして、他の証拠と合わせると、この黒人男性は極左団体のANTIFA(反ファシスト)だというのです。

これについては、日米メディアの一部もANTIFAがいた可能性を指摘していました。これについては、以下のリングより詳細を知ることができます。興味のある方は是非ご覧になってください。


今回の大統領選挙では、様々な陰謀論が囁かれてきました。あまりにも多くの情報が、フェイク情報とともに駆け巡ったので、何が本当で、何が嘘であるか判断がつかないこともありました。

しかし、現時点では、なぜ最高裁がトランプ陣営の訴えを門前払いをしたのか、ワシントンDCで起きたトランプサポーターらによる議事堂への乱入にアンティフアが潜り込んでいたのか、という点に関しては、疑惑というか、疑問符がつくのは間違いないと思います。

少なくとも、これらについて明確なエビデンスをもって答えられる人は、保守、左翼、リベラルのいずれにもいないと思います。もし、安直に答える人がいれば、その人は自分の利益のためか、あるいは世論を特定の方向に導こうだとか何らかの意図を持っているとみて間違いないと思います。

このような疑問符が解けない現段階では、バイデン氏が大統領になったとしても、まずは国内対応に追われるのは必定です。

実際、我那覇氏のツイートで以下のようなものがありました。


これは、米国のある共和党議員が、大統領就任式の次の日の21日にバイデン弾劾の手続きをすると発言したものですが、これが本当になされるのか、なされたとして、今の段階で弾劾が成立するかどうかは、確かではありません。

それに、バイデンが仮に弾劾されたとしたら、さらに恐ろしいことになります。左翼とみられる、カマラ・ハリスが大統領になる可能性がでてくるからです。

彼女の政治姿勢を見ると一目瞭然ですが、ほぼ社会主義者バーニー・サンダースと変わらない極左思想であることがわかります。彼女の主張する政策を以下にまとめます。
  • 軍備縮小
  • 銃規制
  • 国民皆保険
  • 大麻合法化
  • 人工中絶自由化
  • LGBTQ権利拡大
  • 国境解放、移民賛成
一方、外交問題は苦手なようで、安全保障への言及は少ないです。また、500万人が失職し、大不況をもたらすと予想される環境優先政策「グリーンニューディール」を支持しています。

カマラ・ハリス大統領それだけは、避けたいという議員は民主党の中、それも主流派の中にも大勢いると思います。共和党がバイデン弾劾などに打って出るなら、カマラ・ハリスの首も取らなくては、かえって事態は悪化します。バイデンを弾劾するなら、民主党内の主流派の助けも借りてカマラ・ハリスも追い込む手立てをすべきです。その他、民主党内左翼の台頭の芽を民主・共和党の議員たちの協力で摘むべきでしょう。

ただし、このような動きが出てくるのは当然のことだと思います。何しろ、民主党は、就任間近のトランプ氏を弾劾しようとしたのですし、マスコミどころか今度は、SNSまでバイデン側についたわけです。

共和党は今度は野党になり、民主党が与党になるわけですから、遠慮会釈ないどころか仁義なきバイデン攻撃、民主党攻撃がはじまることでしょう。さらに国民の半分近くは、トランプ支持派でした。この声も無視できません。民主党やバイデンは防戦にまわり、外交や安保は手薄になるかもしれません。

米国ではかつて政権交代があったときには、交代後の政権の政策が良くなかったにしても、半年から1年は、それは前政権の政策が悪かったのでそうなった可能性もあるのであまり批判しないという慣例がありました。

今回はそのような慣例は無視される可能性が高く、バイデン氏が大統領になった直後から、共和党は、批判攻勢にでて、トランプ派の国民も国民も声をあげることでしょう。

バイデン政権は、国内の分断の修復にエネルギーを費やさざるをえなくなった分、海外への余力は相対的に少なくならざるを得ないでしょう。

カマラ・ハリス(左)とバイデン(右)

そのため日本を取り巻く環境は厳しくなります。トランプ政権では一時途絶えていた対日要求は当分の間はないでしょうが、バイデン政権の財務長官はイエレン氏になることが予想され、まともな米国内の大型コロナ対策が実行され、FRBも無制限の緩和に踏み切るでしょう。

バイデンの公約の経済政策は、増税するなどのかなりの筋悪なものでしたが、国民の半分は反バイデン派であり、これがバイデンの公約の政策で苦しめられるということになれば、国内の分断の修復どころか、さらに分断を煽りかねないので、イエレン氏のオーソドックスな政策が受け入れられることになるでしょう。

そうなると、日本は円高圧力にさらされとともに、デフレ基調がますます強まることになるのは明らかです。

となると、コロナ感染拡大により日本の国内景気が弱いのがさらに悪化しかねないです。米国のコロナ対策に負けないように、状況によっては日本でも4月以降に大型補正予算を組むことを躊躇するべきではありません。財務省とその走狗たちは、当然これを牽制する動きにでるでしょうが、政府は現在は国難であるとして毅然としてこれに対峙すべきです。

そうして、無論4月以降の大型予算の財源は新規国債発行により賄うものとして、それを全部日銀が買い取るという政策を踏襲するべきです。これによって日銀は金融緩和を行うことになり、コロナ禍や米国の緩和による、円高・デフレの進行を防ぐことができます。

これ以外の増税などという方式をとれば、とんでもないことになります。デフレであり続けた平成年間に令和の日本はまた舞い戻ることになります。それも失わた20年どころではなく、失われた50年になりかねません。

大量の国債発行となることについて、財政状況は一層の悪化が避けられないとするむきもありますがこれは間違いです。これまでのコロナ対策では大量の国債発行がなされましたが、ほとんど日銀が買い入れています。日銀買い入れ国債について利払いがされますが、それは日銀の収益になって日銀から政府への納付金になります。このため政府にとって財政負担はないです。

これはやり過ぎればインフレ率が高くなるのですが、今のところ、コロナのためにインフレ目標には程遠いです。さらに、米国が大型の対策を打てば、さらにインフレ目標からは遠ざかります。いまこそ未曾有の大量国債を発行するときなのです。大量発行しても将来世代へのつけにはならないです。むろし、大量発行しないことこそが、日本経済を毀損して、将来世代へのつけになります。

バイデン政権が国内問題に注力している間、中国は東シナ海の覇権を構築しようとするでしょう。おそらく、2022年2月の北京冬季五輪までは派手な武力行使はしないとおもわれますが、それ以降は分からないです。少なくともそれまでに、中国は地歩をできる限り拡大したいはずです。

尖閣諸島でも、領海侵入など数々の既成事実化を狙ってくるでしょう。それに対抗するためには、海上保安庁と海上自衛隊のシームレス化や安全保障予算増強が急務です。さらに、米国が一時国内が混乱しても、中国包囲網を崩さないように、またバイデンの対中宥和政策を許さないように、安倍晋三氏とトランプの置き土産でもある日米豪印(クアッド)の中国包囲網をさらに強化すべきです。


安倍氏と、トランプ氏は着せずして、同じような時期に総理大臣と、大統領をやめることになりました。この二人、また返り咲いていただきたいものです。私は、必ずしもまったくあり得ないことではないと思います。同時カムバックということにでもなったら、素晴らしいと思います。

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2021年1月13日水曜日

「トランプ言論封殺」騒動で見え隠れ、巨大IT企業と欧州の下心―【私の論評】日本の産業界のイノベーションが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制し、平和な世界を築く礎になり得る(゚д゚)!

 「トランプ言論封殺」騒動で見え隠れ、巨大IT企業と欧州の下心

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

米ワシントンで開かれた大規模集会で演説するトランプ大統領=2020年1月6日

 米連邦議会の議事堂襲撃事件後に、会員制交流サイト(SNS)のツイッターがトランプ大統領のアカウントを「永久凍結」し、フェイスブックも同様の措置をとった。

 ネットの世界だけではなくリアルな国際政治の場でも議論が起きた。ドイツのメルケル首相は報道官を通じて、言論の自由を制限する行為は一企業の判断によるべきではなく、立法府の決めた法に基づくべきだとして両社の対応を批判した。フランスの閣僚らもメルケル首相と同様に批判し、ウェブサービスの基盤を提供する「プラットフォーマー企業」への規制も視野に入れるべきだと、より立ち入った主張をしている。

 だが、トランプ大統領に関する規制はさらに進展している。トランプ支持者が集うとされるSNS「パーラー」はネットの世界から姿を消した。アップルとグーグルは1月9日までに、それぞれのスマートフォン向けアプリストアからパーラーのアプリを排除していた。さらに、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの報道によれば、パーラーのウェブサイトやデータを支えていたアマゾン・コムが支援を停止した。事実上の「消滅」だ。

 ツイッターやGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などが、トランプ大統領とその支持者への言論の機会を根元から奪った行為は、まさに大企業による私権の制限と言えるだろう。端的に不適切極まりない行為だと思う。

 ただし、冒頭のメルケル首相やフランスの閣僚たちの発言を、単なる「言論の自由」の観点からのみとらえるのは妥当ではないだろう。経済金融アナリストの吉松崇氏から教えを受けたが、これは巨大IT企業と先進国政府のどちらが表現の自由をめぐる規制の実権を握るかの争いと見るのが正しいのではないか。

 つまり、メルケル首相らは言論の自由をトランプ大統領やその支持者に認めるべきだ、という観点から発言したというよりも、実はその規制も含めて旧来の政府が担うのが正しいのだ、と言ったにすぎないのだ。

 この吉松氏の指摘は興味深い。このことは今までの「デジタル課税」をめぐるフランス、ドイツと大手IT企業との攻防戦を見ても傍証することができる。GAFAなどのIT企業は「拠点なくして課税なし」という各国の課税ルールの原則から多額の「税逃れ」をしてきた。例えば、ネットを経由して大手IT企業が、ある国の消費者にさまざまなサービスを提供して利益を得ても、その国に恒久的な拠点(本店、支店、工場など)がなければ課税されない。

 このため自国に拠点を持っている国内企業と大手IT企業との間には、税負担の点で不公正が発生し、また国際競争力の点で国内企業が不利になってしまう。欧州委員会は国内企業の課税負担は23・2%であるのに対して大手IT企業は9・5%だと報告している。

 この税制上の大手IT企業への「優遇」を国際的な協調として是正しようという動きが、欧州勢には強かった。今までの国際課税のルール「拠点なくして課税なし」を変更して、IT企業に直接課税する提案や、また各国個別の対応が相次いで出されてきた。それに反対してきたのがトランプ政権であった。

 最近は妥協点を見いだそうという動きもあったが、基本的にトランプ政権のGAFAなどへの課税議論は消極的なものだった。米国では、共和党よりも民主党のほうが大手IT企業の独占力への規制に積極的であり、バイデン政権になればその動きが加速化すると言われてきた。

 現時点の大手IT企業の「トランプ封じ込め」ともいうべき現象は、発足まで秒読み段階に入ったバイデン政権への政治的「賄賂」に思えなくもない。そんな印象を抱いてしまうほど、あまりにも過剰な「言論弾圧」である。

 もちろん、メルケル首相らのIT企業への批判をトランプ寄りと見なすことはできない。一国の大統領の発言を封じてしまうような大手IT企業の危険性を世界に知らせることで、デジタル課税などの規制強化をしやすくしたいという思惑もあるのではないだろうか。

 米国の大統領選出をめぐっては、米国だけでなく日本でも、意見の分断や対立は激しい。トランプ大統領の業績について支持派は全肯定、反対派は全否定という大きな意見の隔たりも見られる。だが、誰が大統領であるにせよ、日本の備えを強めればいいだけではないか、と筆者は思う。

 バイデン氏は中国の環太平洋地域への覇権的介入に、トランプ大統領ほど関心がないかもしれない。対中国よりも対ロシア、つまり大西洋の方をバイデン氏は重視しているという見方が有力である。現在の日米の基本的な外交方針である「自由で開かれたインド太平洋構想」という、事実上の中国包囲網をバイデン氏は積極的に推進しないかもしれない。

 だが、他方で米国では党派を超えて中国への警戒が強まっているのも事実である。バイデン氏は同盟国との協調も訴えているのだ。ならば、日本が積極的にバイデン氏に働きかけ、韓国を除いた環太平洋の同盟諸国が共通して抱いている、中国の覇権主義に対する枠組みを進展させるべきである。

 米国に依存するのではなく、米国を日本の国益のために利用する。言うは簡単で行うのは難しいかもしれない。しかし、その気概がなくては、日本国の行方は危うい。

【私の論評】日本の産業界のイノベーションが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制し、平和な世界を築く礎になり得る(゚д゚)!

独占それもグローバルな独占ということでいうと、現在のGAFAに匹敵するのは、業種もそこで使われる技術も全く異なるのですが、セブンシスターズとも呼ばれた石油メジャーかもしれません。

20世紀の世界の経済を動かしてきたものは石油でした。時価総額でも石油メジャーと呼ばれる企業群がトップを走ってきたのですが、この石油メジャー4社の売り上げが2012年にデータメジャーと言われるGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)4社に抜かれました。

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それからわずか数年で、GAFAはさらに数倍の大きさになっています。例えば多くの日本の人々が知るよりもAmazonの成長速度はずっと早いです。現時点で高い利益率を挙げているのはEコマースではなくAWS(Amazon Web Service)で知られるクラウドビジネスで、そのシェアIaaS(Internet as a Service)の分野で50%以上を占めています。

ただ彼らによると、2000年初頭には日本企業にこそチャンスはあったといいます。ただ、既存のサービスとのカニバリゼーションの心配などで躊躇しているうちにチャンスを逃がしてしまったのです。

また、日本では優れたコンピュータというと、速いコンピュータを指していました。もちろん速さも重要ですが、クラウド時代には電力効率の良さが重要な要素です。AmazonやMicrosoftはこの点を踏まえた投資を行い、日本の企業が追従することが困難な差を作り上げました。

2位じゃだめなのですか?という議論がありました。もちろん1位を目指すべきです。しかしながら転換期においては既存のゲームだけでなく、新しいゲームで1位を目指すことが重要なのです。

21世紀の現在、世界で生じていることは20世紀の「石油」にかわる「ビッグデータを巡る争い」だと私は認識しています。ここで「世界」というのは、地理的な意味での「世界」でもあるのですが、あらゆる産業分野や生活分野に関わる概念的な意味での「世界」でもあります。つまり、我々の経済や経営、生活、思考方法まで大きく変革させているのが第四次産業革命であり、その中核になっているのがビッグデータなのです。

1位アップル、2位アルファベット(グーグル)、3位マイクロソフト、4位アマゾン・ドット・コム、5位フェイスブック、6位テンセント、これは2017年12月末時点における株式時価総額の世界ランキングです。

トップのアップルの時価総額は8688億ドル、2位のアルファベットも7294億ドルです。アリババ・グループも8位につけており,時価総額は4361億ドルです。ちなみに、日本企業で最高位に位置しているのは42位のトヨタ自動車であり、その時価総額は1891億ドルに過ぎません。


株式時価総額は投資家がその企業をどのように評価しているかの表れですが、私が指摘したいのは、上位にある企業は2017年時点ですべてビッグデータを収集・確保している企業であるということです。いまや、「ビッグデータを制するものが世界を制する」と投資家が判断していることの証左です。

ビッグデータは、あくまでただのデータであり、それを制御・活用してこそ意味があります。ビッグデータの制御に関わるのがAIであり、未来の量子コンピューターやニュロモーフィック・チップでしょう。

現在、世界が注目する日本のスタートアップ企業、プリファード・ネットワークスの西川徹社長・岡野原大輔副社長がファナックの「機械が機械を作る」工場を見て、「これだ」と着想を得たことはその象徴です。

プリファード・ネットワークスの西川徹社長(右)・岡野原大輔副社長(左)

ファナックの工場には大量のビッグデータが収集されていました。1つの超音波センサーだけでも毎分1GBのデータを収集するのですが、それが1つの工場の至るところにあり、かつ世界中いたるところに工場があります。

そのデータ量は莫大なものですが、ファナックはそれらを十分に活用できていなかったのです。西川社長らはそれらをAI活用の「エッジヘビーコンピューティング」で制御できないかと着想し、創業したばかりのスタートアップ企業を飛び出しプリファード・ネットワークスを創業しました。

同社に対してはトヨタ自動車も関心を寄せ追加出資も含め115億円の出資をするとともに自動運転で緊密な提携をしています(対等提携)。提携はトヨタ自動車やNTTといった日本企業のみならず、マイクロソフトやエヌビディアとも行っています。

車の自動運転は,人間の生命に関わる問題でもあるので、とりわけ正確なビッグデータ解析が必要になります。しかも、従来のコンピューターが得意としてきた「0,1」の構造データのみならず、人間や生物,信号,他車など数多くの非構造データを瞬時に解析し、ブレーキやハンドル、アクセルを制御しなければならないです。

通常のCPUよりもはるかにコア数が多く並列処理が得意なGPUが必要とされる所以です。また、それらのビッグデータをクラウド(サーバー)で解析しようとすると高速の通信が不可欠となります。

現在の4Gが5Gに置き換わる20年代以降、自動運転のレベル3が普及するでしょう。レベル4やレベル5に到達するためには、さらに10年ずつの時間が必要になるかもしれないですが、エッジ・コンピューティング(利用者や端末と物理的に近い場所に処理装置を分散配置して、ネットワークの端点でデータ処理を行う技術の総称)が可能になれば通信速度に頼らずに自己制御することも可能です。そうなると、自動運転の時期はもっと早まるかもしれないです。

工場のおけるビッグデータ、すなわちIoTもこの流れにあります。ファナックに限らず機械に数多くのセンサーを取り付け、ビッグデータを収集し、それらを活用することがコスト削減やメインテナンス、品質向上などに大きく役立ちます。

ドイツのインダストリー4.0もジェネラル・エレクトロニクスのGE Digitalも、課題はビッグデータの収集・活用です。つまり,ビッグデータを制するものが支配権を握るのです。中国が中国国内のビッグデータの国外流出に規制をかけているのもそのためです。

その中国においては、テンセントやアリババ・グループがビッグデータの収集・活用に余念がありません。もともとはSNSとそれを活用したゲームの販売あるいはeコマースで名を上げた企業ですが,インターネット空間で活用するウィーチャット・ペイやアリペイを開発することによって、サイバー空間のみならずリアル空間にも進出してきました。

滴滴出行などのタクシー手配アプリを使うにも、モバイク,Ofoなどシェア自転車を利用するにも、そのようなスマホ決済を使わざるを得ないですが、さらに進んで買い物や食事、友人との割り勘にも活用されています。最近では、浮浪者がお恵みを迫る際にもスマホ決済のQRコードを提示します。このような事態になると、ネット空間のデータのみならず、日常生活の買い物行動、移動、友達関係まですべて上記2社は把握することになります。これが、彼らの利益源となるのです。

ビッグデータの収集はビジネスの世界に限られたことではありません。2017年あたりから日本でも流行したスマートスピーカーは、消費者に利便性を与えるとともに、企業に生活のビッグデータを提供しています。アマゾン・エコーやグーグル・ホーム、アップル・ホームポッドなどの米国勢に加え、ラインもライン・クローバを発売しています。

ネットで「スマートスピーカー」を検索すると、名前も知らないようなブランドが数多く出てきます。これらは確かに商品ではありますが、単に機器として販売している企業はいずれ淘汰されるでしょう。ここでも生き残るのはビッグデータを制するものであり、彼らがスマートスピーカーから収集したビッグデータに基づき、音楽や本、家電、食品、日用品もろもろのマーケティングに活用したとき、彼らの競争優位は決定的なものになります。

正直なところ、ビッグデータの収集と活用という点においては、日本企業は世界のトップから2、3周遅れています。プリファード・ネットワークスのような企業が雨後の筍のように勃興しない限り先行きは暗いです。そうでなくても日本の起業率5.2%(2015年)は他国と比較しても低いのに、最先端分野で遅れをとれば日本経済にとって致命的になるでしょう。

では日本企業はお先真っ暗かと言えば、そうではありません。ビッグデータもAIも、フィンテックのようにサイバー空間の中だけで完結するものもありますが、多くはリアルの世界と繋がって初めて効果を発揮します。

それは自動車であったり工作機械であったり、コンピューターやスマホであったり、多くは「ものづくり」に紐付いています。この分野においては、日本企業はかなりの競争力を有しています。いち早くその「ものづくり」をAIと結びつけていけば、まだ復権の可能性はあります。ソニーが新型アイボをリリースしたのも、そのような決意の表れではないでしょうか。日本企業にもっと頑張ってもらいたいです。

ビッグデータ関連においても、デジタルが有効に機能するには半導体など中枢分野だけでなく、半導体が処理する情報の入力部分のセンサーそこで下された結論をアクションに繋げる部分のアクチュエーター(モーター)などのインターフェースが必要になります。

また中枢分野の製造工程を支えるには、素材、部品、装置などの基盤が必要不可欠です。日本は一番市場が大きいエレクトロニクス本体、中枢では遅れをとったものの、周辺と基盤で見事に生きのびています。また円高に対応しグローバル・サプライチェーンを充実させ、輸出から現地生産へと転換させてきました。

世界的なIoT(モノのインターネット)関連投資、つまりあらゆるものがネットにつながる時代に向けたインフラストラクチャー構築とビッグデータの活用がいよいよ本格化しています。加えて中国がハイテク爆投資に邁進しているのですが、ハイテクブームにおいて日本は極めて有利なポジションに立っています。

新たなイノベーションに必要な周辺技術、基盤技術のほぼ全てを兼ね備えている産業構造を持つ国は日本だけです。中国、韓国、台湾、ドイツはハイテクそのものには投資していながら、その周辺や基盤技術の多くを日本に依存しています。GAFAも例外ではありません。そもそも、半導体製造の工作機械が日本の独壇場です。

日本のエレクトロニクス企業群は、このイノベーションブームの到来に際して、最も適切なソリューションを世界の顧客に提案・提供できるという唯一無二の強みを持っているのです。

これからは、バソコン、タブレット、スマホ以外でもたとえば車自体がビッグデータ取得のためのツールになります。あるいは、ビル、駅、スーパー、コンビニ、ラーメン店など飲食店自体がビックデータ収集のツールになります。いやそれどころか、学校、病院、役所もそうなります。いやそれどころか、町や村、都道府県、日本国そのものがツールになるのです。

最初から意図して、意識して、このようなことをするのと、既存のインフラにビッグデータの入り口を設置するのとでは、全く別モノになる可能性があります。これについては、世界でも、新たなイノベーションに必要な周辺技術、基盤技術のほぼ全てを兼ね備えている産業構造を持つ日本しか本格的に取り組むことはできないと思います。

日本がビッグデーターの入り口のインフラで、大きな地位を占めることになれば、これはもう日本が打ち出の小槌を持ったようなものです。それどころか、安全保障でも強みを発揮することもできます。

たとえば、GPSを搭載したコマツの建設機械がいま世界で約30万台稼働しています。これは「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ばれる機械稼働管理システムで、どの機械がどの場所にあって、エンジンが動いているか止まっているか、燃料がどれだけ残っているか、昨日何時間仕事をしたか、すべてがコマツのオフィスで分かる仕組みになっています。

コマツの重機はビックデータを収集するツールでもある

中国の建設現場などでは、ほとんどの現場でコマツの重機が使用されています。ここまで、いうと、私の言っている意味が理解できると思います。

これは、ビッグデータで先頭を走る、米国、中国、GAFAに対しても強力な抑止力、牽制力になります。日本は、特定の企業ではなく、日本の産業界がこの方向で進み、政府はその方向にすすめるように支援をすべきでしょう。

ビッグデータ関連でも、独占体制になればそれが中国であれ、GAFAであれ、良いことは一つもありません。日本がその一角の大きな部分を占めることは、この独占体制を打破することにつながります。

日本のこうした取り組みが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制して、平和な世界を築く礎になるかもしれません。日本はこのチャンスを逃がすべきではありません。

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2021年1月12日火曜日

緊急事態宣言発出のタイミング、1都3県在住者の9割が「遅すぎる」―【私の論評】政府は元々緊急事態宣言をしない方針だったことが野党やマスコミの騒音で消しさられ、問題の本質が見えなくなっている(゚д゚)!

 緊急事態宣言発出のタイミング、1都3県在住者の9割が「遅すぎる」

「緊急事態宣言発出時期」は遅すぎたのか?


いまだ止まらない新型コロナウィルスの感染拡大。すでに医療の現場はパンク状態だ。1月7日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が東京・埼玉・千葉・神奈川の一都三県を対象に発出されたが、「遅い」と感じた人も多いだろう。

実際、日本トレンドリサーチが緊急事態宣言が発出された“一都三県”在住の男女400名を対象に、緊急事態宣言の発出のタイミングについてアンケートを実施した結果、87.3%が、この度の緊急事態宣言の発出時期について「遅すぎる」と回答している。

日本トレンドリサーチ調べ


それぞれの回答理由も見てみよう。

緊急事態宣言の発出時期「遅すぎる」回答理由

感染数の急増がその証拠。(60代・男性)

感染が爆発してから宣言してもしばらく感染者増加が続く。(40代・男性)

GoTo政策で人々の緊張感が緩んでしまった。東京都などか勝負の3週間を打ち出した時点で出したほうが良かった。(50代・女性)

年始はイベントも多いので、年末までに発令すべきだったと思います。(50代・女性)

医療機関の受け入れ態勢が保てるうちにやるべきだったと思う。(30代・男性)

緊急事態宣言の発出時期「早すぎる」回答理由

そもそも緊急事態宣言は不要だと思うから。(40代・男性)

騒ぎすぎだと思う。経済の方が圧倒的に大事だし優先するべきだと思う。(50代・男性)

経済を悪くして、誰も嬉しくないと思います。規制より個人がもっと気を付ければよいことではないでしょうか? 緊急事態をしたからといって、増え方が鈍くなるだけで意味がないです。もっと根本を考えて、どうやってコロナを減らすかが、一番重要です。その辺りが全く抜けた政策です。(70代・男性)

国民の自粛ではなく、まず医療の体制を見直すべき。(40代・男性)

調査期間:2021年1月7日~1月8日
集計対象人数:400人
集計対象:事前調査で「現在、一都三県に住んでいる」と回答した男女

【私の論評】政府は元々緊急事態宣言をしない方針だったことが野党やマスコミの騒音で消しさられ、問題の本質が見えなくなっている(゚д゚)!

先日もこのブログに掲載したように、マスコミは「いきりたち」野党などは「気色ばみ」政府の対策が遅すぎであるかのような論調で政府を批判していますから、現状調査では上のような結果になるのは、理解できます。

冒頭の調査では、「緊急事態宣言」が「早い」「遅い」の是非を問う前に、今回の感染者拡大の原因を何れだと思うのかという設問も設けて、「GOGOキャンペーンに問題あり」「気温がさがったから」「政府や自治体の対応が悪い」などの中から選ばせるということをした後で、「緊急事態宣言」が出すのが「早い」「妥当」「遅い」などと質問すれば、随分変わっていたかもしれません。

しかし、先日もこのブログで述べたように、GOTOキャンペーンでの人の移動は、日本の移動の1%にも満たない程度なので、コロナ感染を大きく助長することなど考えられません。実際、GOTOキャーンペーンが終了してから、2週間たっても目立って減るなどのこともありませんでした。本当に中止したことに意味はあったのでしょうか。

また、東京・埼玉・千葉・神奈川の一都三県の緊急事態宣言が出された、きっかけはこのブログにも掲載したように、東京都が単独で政府に要望を出せば、政府から東京都は資金が潤沢なのだから、東京都独自にやりなさいといわれる可能性があるので、小池知事が埼玉・千葉・神奈川知事を引き連れて政府に要望したためです。

そうすれば、東京都だけが政府から補助金を受けられないという事態を防ぐことができたからです。これに関しては、このブログにも掲載しましたが、以下の上念司氏の動画でこのあたりを非常にわかりやすく解説していますので、掲載します。


上念氏に関しては、米国大統領の投票が終了した直後の段階で、ある報道番組で、「バイデン勝利確定」を早々と宣言して、他の番組参加者の「未確定」とする発言を封じるような発言をしたため、結局のところ番組を降板させられました。

私自身は、投票が終了した段階では、米国大統領選挙では過去にはそういう事例も実際にあったのでまだはっきり「確定」したとはいえないと思いました。だから、この上念氏の発言と行動には疑問符がつきました。

しかし、上念氏の発言や行動には普段から納得できるところが多く、上念氏のすべてを否定することはできません。私は上念氏に限らずあくまで、誰の意見でも是々非々で、取り入れたり、取り入れなかったしています。取り入れる入れないは明確なエビデンスがあるなしで判断しています。だからこそ、この動画も掲載しました。

上の動画では、時間の関係もあってか、指摘されていませんが、このブログでも指摘したように、昨年10月のデータでは、日本よりもGDPの落ち込みが激しくなかった国は、ベトナム(社会主義国)、中国(統計データはほとんど信頼できない)、韓国(GDPの落ち込みが少ないが、雇用が激減)だけでした。また感染者数もこの時点では、日本は世界的にみても、かなり少ない部類でした。

さらに付け加えると、南半球では、昨年の夏(北半球の冬に相当)、コロナ感染者数が増えたことが確認されています。

日本だけでなく、寒い時期に入った北半球の国々では、いずれも感染者数が増えています。韓国にはGOTOキャンペーンがありませんが、それでも寒い季節に入ってから、コロナ感染者数が増えています。

こうした状況に即応して、菅政権が先月第三次補正予算を決めたことから、コロナ対策に対する十分な備えはできています。コロナ対策などでは、いくらリップサービスなどをしても、肝心のおカネがなければ、政府も自治体も何もできません。しかし、現在の日本政府は十分に対応可能な状態になっています。

厚生労働省の人口動態統計によると2019年の我が国の死亡者は総数は138万人、死因は①がん37万7千人②心疾患20万8千人③老衰12万2千人④脳血管疾患10万7千人⑤肺炎9万5千人⑥誤嚥性肺炎4万人 という順だ。昨年のコロナの死亡者4千人。結核で亡くなる人とい同程度です。

コロナ感染者数の推移

さらに、このブログでも以前述べたように、2016年2月14日までの1週間で報告されたインフルエンザの患者数は、全国で推計約205万人でした。インフルエンザは決して侮れません。コロナに比較すると、インフルエンザはほぼすべての世代に感染します。この当時には、多くの子供が犠牲になり、中にはインフルエンザ脳炎により亡くなった子供もいました。

ただし、この時には、自粛要請もなく経済が落ち込むことはありませんでしたし、医療崩壊もありませんでした。

ただ、当時と現在の違いは、インフルエンザは政府の分類では5類に分類されているのですが、コロナは2類、対処法では一部分は1類と同格の部分さえあります。これは、過剰な対応です。それと、最新のデータではインフルエンザの感染は例年の600分の1ということで、とりあえず、コロナとインフルエンザのダブルパンチという心配はなさそうです。

コロナ予算を用いて、コロナ患者の受け入れ能力を拡大するには必要なことですが、飲食店の時短営業などで日本経済は大きな打撃を受けることになります。これに対して、保証を手厚くすべきと思いますが、コロナ発生から1年が過ぎて、当初は見えなかったコロナ感染症の姿はは、かなり解明されています。

死亡者はほとんどが高齢者であり4千人に満たないです。にもかかわらず、現役世代の国内における行動を自粛させ過ぎているのではないでしょうか。コロナ感染症もインフルエンザのように二類に分類し直すべきです。

現在の新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)は、新型インフルエンザ及び全国的かつ急速なまん延のおそれのある新感染症に対する対策の強化を図り、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的として制定され、平成24年5月に公布されたものです。

(特措法第1条)また、暫定措置として、令和2年3月に新型コロナウイルス感染症をこの特措法の適用対象とする改正が行われました。

元々新型インフルエンザに適用されている法律にコロナ感染症を付け加えたものですから、ある程度齟齬が生じるのは致し方ないのかもしれません。であれば、コロナそのものをインフルエンザと同じ5類に分類しなおせば、齟齬は生じなくなるてはないでしょうか。

無論、感染がはじまった当初から数ヶ月の頃も、コロナはインフルエンザと同程度とする人るもいましたが、その頃はその意見には賛同できませんでしたが、コロナ感染症の姿が見えてきた、現在は違うと思います。本当に過度な自粛が必要なのでしょうか。

第一回目コロナ緊急事態宣言で人が消えた渋谷の街角

無論、様々な業種に自粛していただき、そのかわり手厚い保護するなどということも考えられますが、それで需給ギャップを是正することはできますが、長期間自粛すれば、当然のことながら、客商売では顧客が離れるなどの事態も想定され、流通インフラ等も毀損されることが想定されます。コロナが終息した後で給付金などが途切れた後に商売がうまくいかなくなることも十分に考えられます。

であれば、自粛などは最低限にすべきでしょう。このあたりは、客商売をしたことのない政治家・官僚、そうして手厚い既存権益に守られているテレビ・新聞などのメディアには理解できないことなのかもしれません。

いままで本当に真面目に働いてきた人は、働くことをやめたくないのです。なぜなら、働くことはおカネのためだけではなく、働く人の存在意義にも直結する重要なことだからです。それが、毀損されれば、存在意義すら失ってしまいかねないからです。

そうして、政府は元々は緊急事態宣言をしない方針だったことが野党やマスコミの騒音で消しさられ、問題の本質が見えなくなっています。多くの人に思い出してほしいです。正しい判断はいずれだったのでしょうか。野党やマスコミは結果として、働く人の意欲を削いでいることに気づいていないようです。

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2021年1月11日月曜日

【日本の解き方】懲りない「コロナ後増税」論 復興増税の二の舞い許すな、国民がノーの声上げる時だ!―【私の論評】コロナ・ショックで需要が激減した現状で増税すれば、致命的なダブルパンチとなる(゚д゚)!

 【日本の解き方】懲りない「コロナ後増税」論 復興増税の二の舞い許すな、国民がノーの声上げる時だ!


財務省 太田次官

 このところ、新型コロナウイルスの感染が収束した後に、増税が必要だとする議論がメディアでいくつか出始めている。

 思い出されるのが、10年前の東日本大震災後の復興増税である。当時の日本の主流経済学者は、復興対策の必要性を認めつつ、財源として国債を発行するが、その償還のためとして復興増税を主張した。そして多くの日本の学者がこれに賛同した。任命拒否問題で話題になった日本学術会議からも、復興増税の提言が出された。それらの背後には財務省の影がちらついていた。

 当時、筆者はこうした動きを激しく批判した。筆者の主張は、東日本大震災による経済ショックは「需要ショック」だと予想し、復興対策を賄うため国債を発行しても、それらは日銀が購入すれば事実上、財政負担がなくなるというものだった。仮に日銀が購入しないとしても、東日本大震災のように数百年に1度の経済ショックに対しては、超長期国債で財源作りをして、その償還も超長期とすれば当面の増税措置は不要だと念を押した。

 こうした考え方は、従来の財政学においても、課税平準化論として学部や大学院でも教えられているレベルのものだ。

 いずれにしても、復興増税は不要であった。そもそも大きな自然災害の後の増税など古今東西で聞いたことがなく、専門家でなくても分かることだ。

 しかし、当時の民主党政権は、財務省の強力な後押しがあったため、復興増税を選び、実行した。その結果、日本経済は、東日本大震災と復興増税により往復ビンタされたようなものだった。この意味で、日本の主流派経済学者のレベルの低さも示してしまった。

 コロナ増税を主張する人は、復興増税に賛同した人ばかりだ。しかも、また、財務省が裏で動いているようだ。学部レベルの経済理論さえ使いこなせない人たちが、今でも間違った主張をしている。しかも、マスコミは相変わらず彼らの意見をたれ流している。

 コロナ対策の財源は国債であるが、日銀が購入するので実質的に財政負担はなく、将来世代の負担もない。これは本コラムで繰り返して主張してきたことだが、筆者は、非常勤とはいえ内閣官房参与という公職に就いているので政権の一部にもいる。もし筆者の意見が間違っていれば、何らかの「説明」があるはずだが、これまでのところない。

 また、この意見は、筆者が大蔵省(当時)の官僚時代から省内で公言してきた正統的な経済理論に基づくものだが、それについてもまともな反論を受けたことがなかった。

 しかし、コロナ増税論者は、そうした正統的な経済理論を無視して、間違った意見を言い続けている人たちだ。

 国債の大量発行により財政危機になると思い込んでいるだけなので、それが間違っていると言うのは簡単だ。事あるごとにみんなで指摘しよう。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】

世界のあるゆる国々で古今東西、自然災害などの直後に増税した例は、ありません。ただ一つだけ、例外があります。それは、東日本大震災後の日本だけです。まったくもってありえない愚策中の愚策でした。

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中の国々が巨額の財政支出を行っていますが、コロナ終息直後に増税をしようとする国は、世界の中で日本だけでしょう。

       未だに確定申告でも徴収される復興税
       この状況に国民はもっと怒るべきだ

復興増税は復興特別所得税、復興特別法人税、復興特別住民税と3種類あります。所得税は税率2・1%で13年1月から37年12月まで25年間課されています。法人税は税率10%で、12年4月から15年3月まで3年間の予定でしたが、1年前倒しで14年3月に廃止されましたた。住民税は府県民税・市町村民税合わせて1000円を14年4月から24年3月までの10年間課されています。

所得税の税率2・1%は、仮に消費性向90%で消費税に換算すれば2・3%程度なので、消費に与える影響は大きいです。具体的にいえば、実質所得が4・6兆円程度減少し、その結果、消費も4兆円程度減少します。

大災害が100年に一度の規模であれば、復興費用は「100年国債」で調達するのが原則です。大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもので、古今東西行われたことがない愚策です。

課税平準化理論とは、簡単にいうと、大災害などがあった直後に復興のために、増税したとすれば、本来は復興で修理したり、新たなに作成するインフラ等は、震災を受けた世代とともにも将来世代も使用するにも関わらず、震災を受けた世代だけが、費用負担が強いられ非常に不平等なことになってしまうことを指します。

そのような不平等が生じないようにするためにこそ、復興費用は「100年国債」で調達するのが、普通です。日本も、大きな災害があったときには、過去にはそうしてきました。東日本震災における復興税だけが例外中の例外です。

震災などで「供給ショック」より、需要の喪失による「需要ショック」が大きい場合、デフレ圧力が高まるので、インフレ目標に達するまで、中央銀行による国債買い入れが可能になります。

供給ショックとは、自然災害で道路や鉄道などのインフラ(サプライ・チェーン)が破壊されたりして、使えなくなり、供給が絶たれたことにより、景気が落ち込むことを指します。このときに顕著なのは物価の急激な上昇です。

この場合の経済対策は、財政政策では増税などの緊縮政策であり、金融政策では金融引締です。

需要ショックとは、自然災害などで、国民が消費を控えるようになって景気が落ち込むことを指します。

大地震などの場合は、当初は無論供給ショックはあり得ます、これは常識的に考えればわかります、東日本震災のときには、地震が起きた直後には、サプライ・チェーンが寸断され、被災地に物資が供給されず、当然のことながら、景気が落ち込むことになります。

しかし、皆さんもご存知のように、ある程度落ち着くと、サプライ・チェーンの回復は1年も2年もかかることななく、数週間、数ヶ月の単位であっという間に回復しました。しかし、震災により多くの人が失業したり、失業までしなくても、賃金の未払いや、賃金の引き下げなどか起こったので、消費が低迷し、需要ショックに陥りました。そうして、その後も長期間低迷し続けましたが、それは需要ショックによるものでした。

  停電で暗くなったたぬき小路商店街をスマホの灯りを頼りに歩く人々
  2018年9月6日

こちらは、札幌ですが、皆さんご存知のように、2018年札幌では地震により全北海道レベルの大規模な停電に見舞われました。そのときは、私の近くの大手スーパーは閉店、コンビニは営業していましたが、あっという間に水やインスタント麺などはもとより様々なモノがなくなりました。

これは、間違いなく、一時的な供給ショックが起こったということですが、はやいところでは1日で電力が回復し、遅いところでも2日後でほとんど回復しました。これよりも、停電が続いたところもありましたが、それは例外的でした。

このときは、停電の期間も短く、停電による供給ショックは継続することなく、1週間もすれば、スーパーも、コンビニもトイレットペーパーなど一部商品は品薄の状態でしたが、1ヶ月もすればほとんど元通りになり、結局物価が目立って上昇することもなく、結局需要ショックには至りませんでした。

以上の需要・供給ショック事例は、後に様々な統計資料から明らかになっています。

大規模な震災等の場合は、ほとんどの場合が需要ショックに陥ることになります。供給ショックが起こるのは、コロナショックの時のように、マスクの供給がなくなったような特殊な事例しか発生しませんでした。しかも、マスクの供給不足はたしかに、不便ではありましたが、それにしても経済に大きな悪影響は与えてはいません。

やはり、長引く感染で、消費マインドがなくなったり、外出・外食等を控えことで、需要が減り、需要ショックが発生しました。

この状況では、需要ショックに対処するため、長期国債発行による総需要創出と日銀の買い入れが最善手です。この場合、上の記事にもある通り、政府の実質的な子会社である日銀が国債を保有するので、利払い費や償還負担は事実上発生しません。その結果、財政状況を悪化させることもないので、将来の増税を心配することはありません。

そんなことよりも、コロナショック後にコロナ増税のようなことをしてしまえば、需要ショックは収まらず、日本経済の回復は遅れることになるのは明らかです。

東日本大震災の時には、こうした背景が無視され、需要ショックであったにも関わらず、日銀による国債買い入れもなく、本来は不必要であったはずの復興増税が行われました。100年国債も発行されず、事実上25年償還となり、前述のように毎年の負担は大きいです。

    東日本大震災で被災した宮城県南三陸町を訪問、がれきが広がる町並みを
    見つめられる天皇、皇后両陛下(当時)=2011年4月27日

財務省は、当時の民主党政権が政権運営に不慣れだったことに乗じて復興増税を盛り込んだのです。これをホップとして、ステップで消費税を5%から8%に増税、ジャンプとして10%への税率引き上げを画策し、実際に安倍晋三政権で実行されました。

財務省としては、二匹目のドジョウを狙っているのでしょう。コロナ対策で多額の財政支出を強いられるので、財政悪化を理由としてコロナ増税を主張する。その勢いで、消費税率も12%、さらには15%へと、再びホップ・ステップ・ジャンプをもくろんでいるのではないでしょうか。

世界の先進国では、中央銀行による国債の無制限買い入れや、減税、給付金など積極財政政策で一致しています。そして、当然のことながら、大災害での増税はしません。

コロナ・ショックでは需要が激減してしデフレ圧力が高まっています。このような時に増税すれば、落ち込んだ経済への致命的なダブルパンチとなるのは必定です。

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2021年1月10日日曜日

「我々は黙らない!」トランプ氏、“最後の投稿”でツイッター永久停止に反撃 Qアノン狩りも 米大統領選―【私の論評】米国の今の状況は、日本の民主党による政権交代の前夜を彷彿とさせる(゚д゚)!

 「我々は黙らない!」トランプ氏、“最後の投稿”でツイッター永久停止に反撃 Qアノン狩りも 米大統領選

飯塚真紀子 | 在米ジャーナリスト



 トランプ氏のツイッターアカウント@realdonaldtrumpが、米国時間1月8日、永久停止された。

 議事堂暴動事件で支持者を賛美するコメントをしたとしてアカウントが一時停止されたトランプ氏だったが、結局、「さらなる暴力を煽る恐れがある」という理由で、永久停止にされてしまった。

 ツイッターは特に、ツイッターで流されている武装デモ計画や1月17日に第2回目の連邦議事堂攻撃が提案されていることを懸念したようだ。

 ツイッターに先立ち、フェイスブックも1月7日、トランプ氏のアカウントを無期限に凍結する措置を行なっていた。

我々は黙らない

 主要なSNSから追放されてしまったトランプ氏。

 しかし、負けず嫌いのトランプ氏である、ツイッターから永久追放されてもそう簡単にひるむことはなかったようだ。すぐに削除されたものの、大統領の公式アカウントである@POTUSでトランプ氏は“最後の投稿”をしていた。

 以下がその投稿で、ツイッターの従業員と急進左派を批判し、また、自身のプラットフォーム構築の可能性にも言及している。

 「長い間言ってきたが、ツイッターは、言論の自由をどんどん禁止してきた。そして、今夜、ツイッターの従業員たちは、プラットフォームから私のアカウントを排除する際、民主党や急進左派らと連携した。私、そしてあなた方、私に投票した7,500万人の偉大なる愛国者たちを黙らせるためだ。

 ツイッターは私企業だが、第230条という政府の贈り物なくしては長くは存在しないだろう。

 こうなることは予測していた。

 我々は他の様々なサイトと交渉しており、まもなく大きな発表を行うつもりだが、近い将来、我々自身のプラットフォームを構築する可能性もある。我々は黙らないぞ! 

 ツイッターは言論の自由が問題なのではない。彼らが、世界の最も悪質な人たちも自由に話すことが許されている急進左派のプラットフォームのプロモーターであることが結局問題なのだ。乞うご期待!」

 ちなみに、この投稿にある第230条とは「連邦通信品位法第230条」のことで、ツイッターやフェイスブックのようなソーシャルメディア企業が掲載したコンテンツに対して責任を問わず、インターネット上の言論の自由を保護する条項である。また、この条項は、ソーシャルメディア企業にヘイトスピーチなどのコンテンツを規制する権利も与えている。トランプ氏は、昨年5月、第230条で保護されているソーシャルメディア企業を規制する大統領令に署名していた。

グーグルは極右系PARLERを配信停止に

 ツイッターでは、保守系SNSであるPARLER(パーラー)にアクセスできないという投稿が多数あがっている。このSNSには、トランプ氏がバイデン氏に敗北したことがわかった11月以降、多数のトランプ支持者が流れ込み、不正選挙が行われたと言って抗議の声をあげていた。ツイッターやフェイスブックなどの主要SNSがヘイトスピーチや誤報の取り締まりを強化したことから、陰謀論を唱える過激な極右のトランプ支持者は、検閲のないパーラーに“言論の自由”を見出したのだ。

 ちなみに、選挙の不正を調査すべきだと訴え、バイデン氏の当選認定日には異議を申し立てると鼻息が荒かったテキサス州上院議員のテッド・クルーズ氏やトランプ氏のお友達でありアドバイザー的役割も果たしてきたフォックスニュースの司会者ショーン・ハニティー氏はパーラーで多数のフォロワーを抱えている。

 パーラーの利用者がアクセスできなくなったのは、グーグルが、グーグルプレイストアからパーラーの配信を停止したからだ。アップルもパーラーに24時間以内に同社の規定に違反する問題投稿を排除しない場合、アップルストアからアプリを停止すると警告している。両社とも、パーラーが暴力を扇動する投稿を排除していないことを問題視しているのである。

Qアノン狩りも

 また、NBCニュースはツイッターのQアノン狩りについて報じている。ツイッターは、Qアノンの陰謀論をプロモートしたとされている元国家安全保障問題担当大統領補佐官マイケル・フリン氏や元トランプ陣営弁護士のシドニー・パウエル氏など著名なトランプ支持者たちのアカウントも永久停止した。フリン氏やパウエル氏は最近、大統領選の選挙結果を覆すためにホワイトハウスでトランプ氏と会っていたという。

 ツイッターはまた、Qアノンの投稿をホストしている8Kun(元8chan)の管理者であるロン・ワトキンス氏のアカウントも削除したという。

絶対的権力の行使を懸念

 ところで、トランプ氏のアカウントが永久停止されたことについて、ACLU(アメリカ自由人権協会=言論の自由を守ることを目的としたアメリカのNGO)はどう考えているのだろうか? 同協会上級立法顧問のケイト・ルエン氏はこう話している。

「彼のアカウントを永久停止したいことはわかるが、フェイスブックやツイッターのような企業が、何ビリオンものスピーチのために不可欠となっているプラットフォームから人々を排除するために絶対的権力を行使すると、特に政治的現実からそんな決定を行なうと、みなが懸念するはずだ。トランプ氏は、国民とコミュニケーションするために、プレスチームやフォックスニュースに頼ることができる。しかし、ソーシャルメディアから検閲を受けてきた黒人や有色人種、LGBTQの活動家たちはそんな贅沢なことはできない。テック企業がみなにとって透明性のあるルールを採用してくれたらと思う」

 自身のプラットフォームを立ち上げる可能性があるというトランプ氏。そのプラットフォームには多くのトランプ支持者が殺到することだろう。トランピズムはこうして消滅することなく、これからも存続していく。

 米大統領選は結局のところ、これまであった分断をいっそう深める結果となった。バイデン政権はこの深い分断をどう解決へと導くのだろうか?

【私の論評】米国の今の状況は、日本の民主党による政権交代の前夜を彷彿とさせる(゚д゚)!

今回のトランプ氏などのTwitterのアカウント凍結は、かなりの異常事態と言って良いと思います。日本の大手マスコミなど、米国のリベラル系マスメディアの報道をそのまま報道するだけで、別に何の問題もないような報道ぶりです。

しかし、これは日本国内で起こったことを想定してみるとかなり異常です。たとえば、2009年の自民党から民主党への政権交代があったときのことを考えてみましょう。

twitterは2006年にサービスを開始し、2008年には日本でも日本語によるサービスが開始されました。2009年には、日本では政権交代で民主党政権が誕生しました。

政権交代時には、日本でもTwitterのサービスは実施されていました。ただ、まだまだ普及はしていなかったので、選挙等に大きな影響を及ぼすほどの力はありませんでした。

日本で、Twitterが本格的に普及しはじめたのは、2011年の東日本大震災以降のことです。特に、震災直後の日本では、被災地に電話もネットでもなかなか連絡がとれませんでしたが、Twitterでは、他メディアと比較すれば、はるかに連絡等や情報交換がしやすかったので、脚光を浴び、その後普及していきました。

前置きは、このくらいにして、もし2009年の民主党への政権交代があったときに、日本でもTwitterが現在のように普及していたとしたら、現在の米国のような状態が起こっていたとしたらどうなっていたでしょう。

まずは、政権交代直前の総理大臣麻生氏が当時Twitterのアカウントを持っていたとします。他の自民党や民主党の議員もアカウントを持っていたとします。

今の米国の状況は、麻生総理大臣のアカウントを凍結したようなものです。これは、かなり異常なことと思いませんか。異常というより異様です。

麻生太郎氏は現在でもTwitterのアカウントを持っていません、ただし麻生太郎事務所はアカウントを持っています。2010年4月から、Twitterを始めています。ただし、その後ほとんど使われていません。

賢明な措置かもしれません。麻生氏はいわゆる失言が多いとされています。ただし、失言の前後の発言やその発言が行われた場所や時まで、勘案するとほとんど場合が、マスコミ等の発言の切り取りによる印象操作によるものがほとんどであり、失言とはいえないことがほとんどです。ただし、本当の失言もあります。たとえば、「消費税増税は国際公約だ」などという発言です。

しかし、マスコミは本当の失言のときは、失言として報道することはなく、そのまま報道し、その他のどう考えても「失言」とまではいえない発言を「失言」として、繰り返し報道していました。

しかし、もし麻生氏が総理大臣になった頃から、Twitterを開始していたとしたら、Twitter上でも同じように、マスコミや左翼リベラルによって、Twitter上の発言を印象操作されていた可能性は濃厚です。特に、Twitterのツイートは、日本では140字の制限がありますから、何かを書いても、失言のように印象操作するのは、比較的簡単です。

しかし、当時をふりかえってみれば、Twitterを使っていなくても、マスコミの印象操作により、世論も「民主党に一度はやらせよう」とか「麻生政権にお灸をすえよう」というものが多く、民主党旋風がふきあれ、政権交代につながってしまいました。そういう意味でも米国の今の状況は、暴力沙汰やトランプ氏への支持率の高さなどは別にして、日本の民主党による政権交代の前夜を彷彿とさせます。

あの頃をふりかえってみると、私の個人的な思い出として、政権交代があった直前の会社の本社本会議室での会食の会話が思い出されます。当時から本社では、親睦を深めるため役員・社員が交代で日々社食の昼食を本会議室でとることが慣例となっていました。

選挙の数日前の会食で、当時の社長が「今回の選挙ではどこの政党に投票するか」と質問しました。その場には、二十数人の人がいましたが、自民党と応えたのは、役員である私と他には男性社員が一人でした。他の人全員が「民主党」と答えたのです。社長自身は、考えを表明しませんでしたが、おそらく「自民党支持」であったと思います。

これには正直言って驚きました。私自身は、このブログの読者であれば、ご存知のように、当時から「民主党政権」になれば、とんでもないことになると主張していました。

特に民主党の経済政策は、当時の自民党の経済政策に比較しても方向違いで、とんでもないことになるのは明らかでした。ただし、当時の自民党の経済政策も酷いものでしたが、民主党よりはまともでした。それに、安全保障などの面では、民主党の政策は政策とも呼べないものばかりでした。

だからこそ、「民主党政権」が誕生すれば、とんでもないことになるとこのブログで警鐘を鳴らしていました。そうして、その内容をツイートしていました。しかし、ツイートしても特に何も問題はありませんでした。そうして、この警鐘は的中して、民主党政権時代は暗黒の時代となりました。

特に経済政策は、自民党政権も酷かったのですが、民主党政権はそれ以下で、予め十分予測できた、デフレ・超円高が進行して、日本経済はガタガタになりました。安全保障でも問題が頻発しました。目玉政策といわれた事業仕分けも酷いもので、結局これは、財務省主導で行われていたことが明らかになりました。

さらに、悪いことには、民主党政権は何も重要なことは決められず、結局民主党政権は、3年半もの間漂流していたというが実態でした。この間、経済だけではなく、対外関係もかなり悪化して、特に米国との関係はかなり悪化しました。当時の鳩山総理は、あのオバマ大統領から「ルーピー」と揶揄されるという有様でした。

当時の鳩山総理とオバマ大統領

このブログの読者なら、ご存知のようにこのブログでは、中国に対するかなり厳しい批判をしており、その内容もツイートしています。民主党政権の最中には、政府に対するかなり厳しい批判もしました。ただし、批判するにあたっては、必ずその根拠を提示し、それに基づき批判するというのが私の常です。

そうして、何の問題もなかったのですが、去年の夏あたりから、Twitterが変わってきました。中国共産党に対して厳しい批判をしたり、トランプ大統領についてツイートすると、「問題が生じました」というメッセシージがてできて、最初はシステム上の問題なのかと思い、同じ内容で時間がたってからツイートしようとしてもできませんでした。

ただし、字句を多少かえると、本来の意味を損なわない程度には、ツイートできます。それ以前から、保守系の著名人などが、アカウントを凍結されたなどという話は聴いていましたが、そのようなこととは、自分は無縁だろうと思っていましたが、そうではないことが良くわかりました。Twitterは、その理由は定かではないですが、何らかの基準で検閲しているのは確かです。

これは、フェイスブックやユーチューブでも同様です。マスコミの印象操作も非常に問題がありますが、SNSのトランプ大統領のアカウント停止は、異様です。麻生氏は先程述べたようにtwitterのアカウントは持っていませんが、安倍前総理も、菅総理もアカウントを持っています。

今の日本で、菅総理のアカウントが停止されたとすれば、理由が何であれ、かなり異様であり、大騒ぎになり、Twitterはかなり批判されることになるでしょう。

しかし、日米のマスコミは、これを当然のことのように報道しています。全く異様です。

トランプ氏は今回の大統領選挙では、7500万票以上の票を獲得しています。今のままでは、米大統領選は結局のところ、これまであった分断をいっそう深める結果となるでしょう。

トランプ大統領は、11月3日の投票日から数日後に、「アメリカを救え(Save America)」という政治活動委員会(PAC)を創設しました。PACというのは選挙資金を集めるための団体です。トランプ氏は新たに資金の受け皿を作ったのです。

米国では一般企業や団体が政治家に直接、献金することを禁止しているため、PACにまずお金を託してから候補者が使途する流れができています。

「アメリカを救え」に献金されたカネはトランプ氏がほぼ自由に使える資金になります。

しかも、投票日から3日後の11月6日、75万ドル(約7700万円)を集金しています。1日の集金額としては選挙戦を通しても過去最高でした。

資金も潤沢なトランプ氏は、これからもバイデン氏を追求していくことが十分考えられます。バイデン政権は成立したとしても、前途多難となるのは間違いないようです。

ただし、バイデン氏だけを追求し続け、それが成就したあかつきには、カマラ・ハリスが大統領になる可能性もあります。それを避けるために、トランプ氏はカマラ・ハリスも追求するに違いありません。

そのことを恐れたからこそ、ペロシ下院議長は、トランプ氏の罷免を要求したのかもしれません。

ちなみに、カマラ・ハリスは現時点でも上院議員をやめていません。これも異様なことです。

これから、トランプ派はますます地下に潜り、トランプ支持派であることを知られないようにして行動することでしょう。カマラ・ハリス大統領の誕生には、民主党議員の中にも危機感を感じている議員も大勢います。これは、後知恵に過ぎないのですが、トランプ陣営や、共和党はこのあたりをうまく利用すべきでした。米国人のほとんどは、さすがに米国が共産主義化、社会主義化することを望んでいません。望んでいるのは、共産主義・社会主義の本当の怖さを知らない、無垢な若者の一部だけです。

トランプ氏の大統領選挙線の最後の戦いを「単なる悪あがき」「トランプだけの問題のため」とする人、特に投票が終了した直後から「バイデン勝利」とすぐに判断してしまったは、日本で民主党政権が成立したときに、「民主党に一度はやらせよう」とか「麻生政権にお灸をすえよう」と語っていた人と大差がない思います。

私は、トランプ氏の大統領執務室にバイデン氏とバイデン氏のなくなった前妻の写真が飾られているのを知ったときには、おそらくトランプ氏も中道といわれるバイデン氏のことは本当は、認めているのでしょうが、民主党のカマラハリスを始めとするサンダースら左翼の台頭と、左翼によるバイデン氏の利用、様々な理由から利用されてしまったバイデン氏の弱さに我慢がならなかったのだと思いました。



バイデン氏が政治の門をたたいた48年前、若きホープは愛する家族を突然失い、人生のどん底を見ました。

地元デラウェア州から上院選に臨んだ1972年。地盤と金を持たない29歳の郡議会議員は共和党重鎮の現職を破りました。ベトナム撤退と改革を唱え、若さとエネルギーをアピール。「ケネディ流」の大逆転勝利と当時の新聞は伝えています。

ちなみに、米国の保守層の中ではトランプ大統領とケネディ大統領だけが、いわゆるディープステートと戦った大統領といわれています。これはおそらく事実でしょう。

1カ月後、希望に満ちあふれた前途は打ち砕かれました。クリスマスの買い物帰り、妻ネイリアさん=当時(30)=が運転するステーションワゴンに大型トレーラーが衝突。ワシントンでスタッフ採用の面接に臨んでいたバイデン氏はチャーター機を使って病院に急行したのですが、ネイリアさんと1歳半の娘ナオミさんが帰らぬ人となりました。

不幸はさらに続きました。2015年、将来を嘱望された長男ボー氏=当時(46)=を脳腫瘍で亡くしました。同じデラウェア選出のクーンズ上院議員は度重なる喪失が政治家バイデンを形づくったとして、「人をなぐさめ、声を聞き、つながりを持つ能力は人間離れしたものがある」と米メディアで語っています。しかし、そのバイデン氏が、中共や左翼の声を聞き、つながりを持つようになってしまったとしたら・・・・・・・・・。

トランプ氏が大統領にすぐに返り咲くなどということはないでしょうし四年後に大統領選に打ってでるのかも今はわかりませんが、それにしても、トランプ氏を始めとする保守派は捲土重来を期しているに違いありません。これからトランプ氏、保守派、共和党の一部、民主党の一部による左翼退治がはじまると思います。まだまだ、米国の政治は目が話せない状況が続くでしょう。

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