2021年1月4日月曜日

2021年、日本が決めるべき「コロナ対策」は、単純明快だった…!―【私の論評】政府は、交付税交付金を地方に配分し、地方は自由にそれをコロナ対策等に使えるようにすべき(゚д゚)!

2021年、日本が決めるべき「コロナ対策」は、単純明快だった…!

なぜ政府閣僚は辿り着けないのか


重苦しい一年の幕開けで…

なんとも重苦しい新年だ。大晦日、東京都では過去最高の1337人もの新規感染者を記録し、新年はじめのお参りも自粛ムードだ。

新年早々の1月2日、東京都の小池百合子知事や神奈川県の黒岩祐治知事、埼玉県の大野元裕知事、千葉県の森田健作知事の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討を要請した。西村康稔経済財政・再生相は「国として要請を受け止め、検討していく」と語った。

筆者は例年通りに元旦の早朝にお参りした。その時間は、連年でもお参りする人は少ない時間帯だ。いつも以上に少なかったが、それでもソーシャルディスタンスを保ってお参りした。今年こそはコロナが終息することをお祈りせざるを得なかった。

政府は、昨年12月14日に年末28日からのGoToトラベルの一律一時停止を発表して以来、繰り返し「静かな年末年始を」と呼びかけてきたが、相変わらず新規感染者は増加の一途だ。

国民の願いは、新型コロナの押さえ込みと政府による説明だ。GoToトラベルによる移動者は、日本全体から見ればごくわずかにすぎない。

国土交通省の鉄道輸送統計と航空輸送統計によれば、GoToトラベルの行われていた8~10月の旅客輸送数は50億人弱だ。一方、同じく国土交通省によるGoToトラベル事業における利用実績は、7/22~10/31で3976万人だ。

これは鉄道・航空輸送の1%程度しかない。このGoToトラベルを停止したところで、人の移動に対する影響はたいしたことがないのは明らかだろう。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長もエビデンスはないと公言しているほどだ。

逆の批判に…

それでも、マスコミはGoToトラベルをやり玉に挙げて政府を批判し、政府は一律一時停止を決めると、マッチポンプのように手のひらを消して、旅行飲食事業者はどうするかとの逆の批判に転じた。

こうした時には、政府による筋の通った上で、丁寧かつ責任ある説明が必要だった。GoToトラベルの一律一時停止について、筆者は「よくわからないけど、止めてみる」と考えた。政府の説明はちょっと歯切れが悪かった。

新型コロナの世界の現状を見てみよう。


これと同じ図は、昨年の11月16日付け本コラムでは以下の通りだ。


2つを比べると、各国の位置関係は驚くほど似ていて、横軸が右に伸びているのがわかる。つまり、世界各国で似たように感染拡大になっているのだ。

これらの国の対応は様々だ。新型コロナ感染拡大を抑え込むことに比較的成功している世界の国々は、水際対策の早期強化(オーストラリア)、感染初期に政府権限や罰則等のガバナンス強化(中国)を行っている。

日本の感染症対応体制は、1897年に制定された旧伝染病予防法以来120年の間、地方行政だった。1937年の旧保健所法からは、知事の下の保健所中心の法制だった。1994年には、県型保健所は、政令指定都市・特別区・中核市などの市型保健所へ移管されていった。

その上で、今の新型コロナ特別措置法は、国は緊急事態宣言発出、基本方針策定、都道府県の総合調整を行い、都道府県知事は団体・個人への協力要請、緊急事態時に外出自粛、休業の要請・指示を行うとされている。

一貫した考えとして

知事の権限は比較的強化されているが、休業要請どまりであり、財政余力がない地方自治体では休業補償しにくいので休業要請の実効性が出ない。そのうえ、国は地方にカネをださないが、口を出す。

筆者は、新型コロナ対策のようなものは「戦時体制」に準じたものと考えている。であれば、国は地方に口を出さないまでもカネは十分に出していいと思っている。これは、新型コロナが発生したときから、筆者の一貫した考え方である。

本物の「戦時」であれば、生産拠点がやられて生産力が落ちるので、国によるカネを刷って有効需要を作る財政政策と金融政策の同時発動(マネー・プリンティング政策)は悪性のインフレを発生させる可能性があるが、コロナ対策では幸いにして生産力は落ちずに需要蒸発のような状態なので、悪性インフレのおそれは少ない。実際、こうした筆者の見通しは外れていない。

新型コロナの場合、他の事例での死者数など例示しいくら致死率が低いと説明しても、ワクチンと新薬が開発されるまで人びとの不安は、そう簡単に解消するものではない。ワクチンは既に欧米では接種が開始されており、日本でも早ければ2月下旬から接種が開始される。

それまでの間、新型コロナへの不安は、一般的な各種の消費需要を減退させる。例えば飲食業の中でもデリバリーなど一部のニッチなビジネスは儲かっているが、飲食業全体としてみると消費需要は落ち込んでいるという状態だ。

しかも、ビジネスを推進しようとすると、新型コロナ防止策にマイナスの影響もあり、かえって景気回復が遅れる。その場合、ビジネスを最低限で支え、新型コロナ防止策を優先すべきだ。というわけで、筆者は休業補償について前向きなのだ。

さらに国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できる。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えばいい。この地方政府にはない国の通貨発行益を利用すべきだ。

一貫した考えとして知事の権限は比較的強化されているが、休業要請どまりであり、財政余力がない地方自治体では休業補償しにくいので休業要請の実効性が出ない。そのうえ、国は地方にカネをださないが、口を出す。

筆者は、新型コロナ対策のようなものは「戦時体制」に準じたものと考えている。であれば、国は地方に口を出さないまでもカネは十分に出していいと思っている。これは、新型コロナが発生したときから、筆者の一貫した考え方である。

本物の「戦時」であれば、生産拠点がやられて生産力が落ちるので、国によるカネを刷って有効需要を作る財政政策と金融政策の同時発動(マネー・プリンティング政策)は悪性のインフレを発生させる可能性があるが、コロナ対策では幸いにして生産力は落ちずに需要蒸発のような状態なので、悪性インフレのおそれは少ない。実際、こうした筆者の見通しは外れていない。

新型コロナの場合、他の事例での死者数など例示しいくら致死率が低いと説明しても、ワクチンと新薬が開発されるまで人びとの不安は、そう簡単に解消するものではない。ワクチンは既に欧米では接種が開始されており、日本でも早ければ2月下旬から接種が開始される。

それまでの間、新型コロナへの不安は、一般的な各種の消費需要を減退させる。例えば飲食業の中でもデリバリーなど一部のニッチなビジネスは儲かっているが、飲食業全体としてみると消費需要は落ち込んでいるという状態だ。

しかも、ビジネスを推進しようとすると、新型コロナ防止策にマイナスの影響もあり、かえって景気回復が遅れる。その場合、ビジネスを最低限で支え、新型コロナ防止策を優先すべきだ。というわけで、筆者は休業補償について前向きなのだ。

さらに国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できる。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えばいい。この地方政府にはない国の通貨発行益を利用すべきだ。

特措法にも規定すべきでは?

実際、新型コロナ対策の臨時交付金が1、2次補正予算で3兆円計上されているが、発行国債は日銀が買い受けるために将来世代の負担はない。3次補正や新年度予算でも予備費が10兆円計上されているが、こうした国と日銀の連合軍によって、新型コロナ対策の臨時交付金として地方自治体へ交付できるようになる。

また、地方自治体が地方債を発行し、それを日銀が買取対象にすることも考えられる。地方自治体は日銀に利払いをしなければいけないが、それは政府に対する税外収入の納付金になるので、政府はそれを臨時交付金として地方に還元するのもいい。こうした仕組みにより、地方自治体は地方債の利払い負担を考慮せずに地方債を発行できるようになる。

こうした観点から、都道府県知事の休業権限と、国から地方への休業補償のためのカネを十分に交付することを、新型コロナ特措法にも規定すべきである。

幸いにも、政府の中にも、新型コロナ対策として私権制限、行政罰の導入とともに、地方自治体の休業補償に対する国の財政支援の規定も盛り込んだ新型コロナ特措法の改正の機運が出ている。これらは、全国知事会も政府に要請していた事柄でもある。

その上、冒頭に述べたように、2日の首都圏1都3県の各知事が、政府に緊急事態宣言発令の検討の要請もある。これは、4日に霞ヶ関は仕事はじめだが、それこそ正月気分なしですぐに回答が求められている。

それは、上に述べたように、新型コロナ特措法改正を事実上先取りしていくことになるだろう。

そのために、カネのことだけは心配要らないように、3次補正と新年度予算で10兆円の予備費を積んだのだ。

1、2次補正でも10兆円の予備費を計上したが、一部野党とマスコミは予備費が大きすぎると批判した。その結果、予備費の消化が十分にできなかった。主として厚労省関係で「予算の目詰まり」があったともいわれている。

本来であれば、予備費は、医療崩壊を防ぐために使われているべきだったが、欧米と比べて日本は新型コロナ感染の程度は低いのに、医療崩壊というのは情けない。今度も、一部野党とマスコミはまた予備費が大きいという批判をするのだろうか。

いろいろなメッセージが…

ただし、今になって4、5月の1、2次補正の予備費問題をぶり返しても意味がない。今できることは、東京などで飲食店などで営業時間の短縮などを要請し、それに対する補償・協力金を支給することくらいだ。これで、新型コロナの感染拡大を抑え込むのがいい。

最後に、新型コロナ特措法の改正では、新型コロナ対策の意思決定も見直したらいい。今は、新型コロナ対応にあたる政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)がいろいろなメッセージを出すが、政府の方針と地方自治体の対応とスムーズに連携していない。

豪州では、今年の3月から「National Cabinet」と称し、新型コロナ対策関係閣僚に8人の州知事全員を加えた新たな国家の意思決定機関を立ち上げ、コロナ対策は全てここで決定している。もちろん、そこへの専門家のアドバイスもある。政府も、その例を参考にして、新型コロナ対策の意思決定を国民に見えるようにしたほうがいいだろう。

【私の論評】政府は、交付税交付金を地方に配分し、地方は自由にそれをコロナ対策等に使えるようにすべき(゚д゚)!

コロナ禍の対処は「戦時体制」に近いかたちで対処すべきであると私も思います。昔ある自衛隊の幹部人に、たくさんの兵士を率いる将官でその有能さと無能さを分けるのは何かと聴いたことがあります。

その答えは「戦場では、後でどんなに大勝利であるとわかった戦闘においても、現場では人がなくなったり、パニックになったりで、現場で戦闘に携わっている人の報告は、かなり"悲観"なものになる。だから、現場の報告を聴いて、すぐに兵を退却させる将官は無能である。

一方、本当に悲惨な状況で戦闘に負けてしまいそうな時にも、当然のことながら、現場に携わっている人の報告は"悲観的"なものになる。これを聞かずに兵を撤収させなければ、戦闘に負けてしまう。

そのため、将官たるものは、部下の報告を聴く時には、普段から客観的な判断ができるよう、5つくらいの基準をもうけて、その基準に照らし合わせて部下の報告を的確に判断しなければならない。また、そういうことを実施する将官が有能であるといえる」というものでした。

確かに、そう思います。これができなくて、失敗した将官は古今東西にあまた存在します。そうして、これにはもう一つ条件があると思いました。それは、敵に比較して、武器弾薬が互角であることです。この条件を欠いてしまえば、前提が崩れます。

高橋洋一氏の主張する「一貫した考え」とはまさに、戦時ではこのことを言うのだと思います。戦争において武器弾薬に相当するのは、コロナ禍においては、十分なおカネです。

そうして、コロナ禍対応で必要なおカネは、高橋洋一氏が主張するように、本来は潤沢に準備できます。国は、財政政策と金融政策の同時発動を発動すれば、同時に通貨発行益を享受できます。これは、将来世代の負担を考慮することなく、財源が作れるので、これを交付税交付金として地方に配分し、地方は自由にそれを使えば良いのです。この地方政府にはない国の通貨発行益を最大限に利用すべきなのです。

さて、高橋洋一氏が上の記事で、示した2つのグラフで、日本だけが患者数が増えているわけではなく、相対的には日本は上手にコロナに対処していると考えても良いと思います。コロナの基礎データについては、昨年10月に更新されたニッセイ基礎研究所の資料が、さらに理解しやすいです。その資料を以下に掲載します。


これまで各国が実施してきた封じ込め政策を見ると、中国のように、都市封鎖(ロックダウン)や大規模な検査により、感染の抑制をしている例がある一方で、インドのように全土で都市封鎖をしても感染がピークアウトしなかった例もあります。欧州のように、都市封鎖や行動制限などによってピークアウトした後、再び感染が拡大するケースもあり、国によって成功例はあるものの、封じ込め政策の「特効薬」というべき方法は見つかっていないと言えるでしょう。

そのため多くの国ではマスクやソーシャルディスタンスの確保といった基本的な感染予防策と、感染者の早期発見・隔離といった医療体制整備をしつつ、感染拡大の状況に応じて効果的な封じ込め政策を模索する状況が続いていると言えます。不確実性は依然として高く、各国ともに油断ができない状況が続きそうです。

2 感染者数や死亡者は各国の報告数値を用いているが、国によって報告基準が異なる点に注意が必要。
3 パキスタンのGDP損失は年度単位で計測しており他国と基準が異なる点には留意が必要。ただし、経済被害が相対的に軽微である国であることは変わらない。

これは、10月に更新されたものですが、日本の感染拡大は懸念されるものの、他国も感染拡大していることを考えると、現時点でも大きく順位が大きく後退していることはなさそうです。それは、高橋洋一氏のグラフからもみてとれます。

これらの資料から、マスコミや野党のように大騒ぎするレベルではないといえます。本来なら、GOTOキャンペーンも中止する必要はなかったかもしれません。さらには、自粛要請の必要性もなかったかもしれません。経済的にも今後ひどく落ち込むこともないようです。ただし、政府が対応を間違えばどうなるかわかりません。 かといって、野党やマスコミが批判するような、酷いレベルではなく、相対的には良いほうです。

各県の知事がどうしても営業時間の短縮をしたいというのなら、別に国に頼らなくても、憲法に反さない形で法的に規制できる方法もあります。それは、風営法規制業種の営業時間を都道府県条例で厳しく制限するという方法です。

その上で風営法違反の厳格な取り締まりを都道府県警察に命じるのです。 これは議会と連携し都知事の権限を行使すれば可能です。ただし、こういうことを実施するにしても、時短営業保証などはすべきであり、そうなると高橋洋一氏が主張していた交付税交付金方式がますます重要になってきます。これは、なるべくはやく実現すべきでしょう。


安倍内閣で内閣官房参与を勤めたこともある、京都大学大学院教授の藤井聡氏によると今全国のコロナ対応病床は全病床の0.7%だそうです。残りの99.3%は概してガラガラだそうです。だから大量に余っている病床をコロナ対応病床にするだけで医療崩壊は防げるのではないでしょうか。

ただし、コロナ患者を受け入れると、病院が赤字になるそうですし、多くの医療従事者はコロナ対応にあたっても、特別手当があるどころか、賃金が下がっているという有様だそうです。このあたり、政府が地方におカネを出し、地方が改善していくべきです。賃金が下がった上、差別も受けるという状況では働きたくなくなるでしょうし、病院側もコロナ患者を受け入れたくなくなるのも道理です。これも、地方が潤沢な資金を用いて補填すべきです。

それと、外国人の全面入国禁止しなくても良いですから、ビジネスも居住者もすべて3日前までのPCR検査の陰性証明と入国後指定ホテルなどでの強制隔離14日間にすべきです。 外国人に関してはホテル代と滞在期間中の民間医療保険の加入を義務化(全額自己負担)して、 日本人でホテル代を払えない人のみ政府貸付にすべきです。

以上のようなことに対応した上で、緊急事態宣言をもう一度検討すべきですし、また最悪出すことになってもターゲットを絞りこむべきです。単純に出すのではなく、経済的対応と非経済的対応もあわせて、最善の策を目指すべきです。やれることをやってから、それでも感染が広がるなら緊急事態宣言もやむなしということで、出すべきです。

11時からの首相会見は生で見ましたが、その後のマスコミ報道が緊急事態宣言を既定路線化するようなものばかりで本当に気味が悪かったです。そうしてネットを含む世論、ワイドショー民がそれにつられているようです。今日の菅総理の記者会見もあくまで「検討」と語っていました。そうして対策のポイントを絞る方向で進むということも言っていました。その方向に進んで欲しいです。

菅総理は専門家たちの意見も聞くといいますが、専門家たちの見解は年末では、飲食店の時間短縮を要望していました。政府としては、極力宣言の回避という前提で東京都と詰めるべきです。

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