2021年1月17日日曜日

台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性―【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

 台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性

自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2020年11月24日、高雄市

香港(CNN) 台湾が防衛力の強化を目指し、最新鋭の潜水艦隊の建造に着手した。この動きについて専門家は、中国軍による台湾侵攻や海上封鎖の計画を複雑化させる可能性があると指摘している。

新造艦8隻のうち最初の艦の建造は昨年11月、南部の港湾都市・高雄の施設で開始された。同艦の試験航行は2025年に始まるとみられている。台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は着工式で、建造計画を「台湾の強い意思を世界に示す歴史的な節目」と呼んだ。

台湾と中国は過去70年以上にわたり別々の政府によって統治されてきたが、中国政府は台湾に対する完全な主権を主張している。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は台湾独立を決して容認しないと言明し、必要なら武力行使も排除しないと主張。一方の蔡氏も屈しない姿勢を示し、台湾はアジアで「権威主義体制による侵略から民主主義を守る」取り組みの先頭にいると述べた。

中国の人民解放軍(PLA)はここ数カ月、台湾に対する軍事的圧力を強めており、台湾の防空識別圏に軍用機を派遣したり、付近の島で軍事演習を強化したりしている。台湾政府に対する威嚇との見方が多い。

ただ、侵攻を試みるPLAの艦隊はいずれも、台湾と中国本土を隔てる狭い台湾海峡を通過する必要がある。

専門家によれば、まさにこの場所において、台湾が建造を計画する潜水艦は大きな違いを生む可能性がある。新造艦は第2次世界大戦にさかのぼる現有4艦の後継となる。



隠密性の高い兵器プラットフォーム

潜水艦は今なお世界屈指の隠密性を誇る兵器プラットフォームで、相手がどのような艦隊であっても大打撃を与えることができる。

台湾の潜水艦にはディーゼル・エレクトリック方式が採用される見通し。水上ではディーゼルエンジンを動力源とする一方、潜航中は寿命の長いリチウムイオン電池で駆動する超静粛な電気モーターを使用するという。

米海軍や中国が配備を進める原子力潜水艦ではなく、ディーゼル・エレクトリック艦を選んだのは、台湾政府にとって簡単な選択だった。ディーゼル・エレクトリック艦は建造がより容易で、コストも低い。潜航時の騒音も電気モーターのほうが原子炉より少ない。

専門家は、こうした静かな潜水艦なら中国軍の対潜戦(ASW)部隊による探知が難しいとの見方を示す。台湾海峡の海底付近にひそみ、そこから浮上して台湾に向かう中国の兵員輸送艦を狙い撃ちにできる可能性もある。

新造艦にどんな技術が搭載されるのか正確なところはまだ不明だが、米政府は昨年、台湾にMk48魚雷の取得を許可した。

「大型の兵員輸送艦に魚雷が命中した場合、特にそれが米国のMk48のような現代型の魚雷であれば、侵攻する軍は1個大隊を失うことになる。従って、潜水艦がいないことを確信できるまでは、いかなる国も台湾海峡に強襲揚陸艦を派遣しないだろう」。元米海軍大佐で、現在はハワイ太平洋大学のアナリストを務めるカール・シュスター氏はそう指摘する。

未知の領域

台湾が大型潜水艦(排水量は2500~3000トンとなる見通し)の建造に乗り出すのは初めて。専門家の間では、台湾の造船産業にその能力があるか現時点では未知数との見方もある。

台湾は海外の供給業者を確保しようとしたものの奏功せず、台湾の造船企業「台湾国際造船(CSBC)」と自前潜水艦の開発契約を結ぶことになった。

「もし台湾がこうした潜水艦の建造に成功すれば、非常に先進的で有効な艦隊になる可能性がある。ただ、台湾に先進的な潜水艦の製造経験が全くないことを踏まえると、これが大きな『もし』であることは確かだ」(米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏)

シュスター氏は、台湾はまだ潜水艦建造技術を学習途上だと説明。8隻全てを実戦投入できるのは2030年以降になる可能性もある。

ただ、潜水艦の開発に失敗したり遅れが出たりしても、台湾には中国の軍事行動に対抗する重要な防衛手段が他にもあると専門家は指摘する。

英ロンドンの王立防衛安全保障研究所で海軍力を研究するシドハース・カウシャル氏によれば、台湾は米国製の「ハープーン」を含む各種の対艦ミサイルや機雷、特殊潜航艇を保有しているという。

パワーバランスでは中国が依然有利

専門家によると、長期的に見れば中国はまだ軍事面で優位を保っている。紛争になった場合、中国は潜水艦や水上艦、地上発射ミサイル、空軍の爆撃機および攻撃機を大量投入できる。

たとえば米国防省は中国の潜水艦隊について、近い将来に65~70隻規模になるとの見通しを示す。

その上、中国は猛烈なペースで軍備増強を進めており、すでに世界最大の規模を誇る艦隊に絶えず戦力を追加している。

この点を強調するように、台湾の潜水艦計画が高雄で始動したわずか1週間後、中国は潜水艦への対抗手段を見せつけた。

中国の環球時報は「PLAの対潜戦用航空機が爆雷攻撃演習を実施、台湾分離主義者への抑止力になるとの見方」という見出しで報道。記事の上にはY8対潜哨戒機が演習中に爆雷を投下する写真も掲載した。中国の対潜戦能力について報道が出るのは「異例」という。

【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

冒頭の記事て、米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏の以下の発言が取り上げられています。

「もし台湾がこうした潜水艦の建造に成功すれば、非常に先進的で有効な艦隊になる可能性がある。ただ、台湾に先進的な潜水艦の製造経験が全くないことを踏まえると、これが大きな『もし』であることは確かだ」

シュスター氏は、台湾はまだ潜水艦建造技術を学習途上だと説明。8隻全てを実戦投入できるのは2030年以降になる可能性もあることも指摘しています。

米シンクタンク「ランド研究所」の上級国際防衛研究員を務めるティモシー・ヒース氏

ところが、このような潜水艦、いやおそらく技術的にはさらに上であろう潜水艦をすでに20隻以上も所有する国が台湾のすぐ近くにあります。それは、無論我が国日本です。

上の記事では、台湾が8隻の優れた潜水艦を持つことができれば、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性を指摘しています。

しかし、それはなぜなのかについては、あまり詳しく解説していません。そのため、この記事の内容を多くの人が理解しにくくしています。

今回は、それを明快に説明しようと思います。このブログの読者であれば、もうすでにお分かりだと思います。

そうです。台湾の現在の技術水準を考えると、対潜水艦哨戒能力の低い中国には、探索することができない潜水艦を制作することが可能であると考えられるからです。

中国の対潜水艦哨戒能力は、元々はロシアから輸入したものです。そうして、ロシアの対潜哨戒能力は日米に比較すると現在でも極端に低く、中国も同程度以下であるからです。これから、数十年も同じ状況が続くこどか考えれます。

そこで、台湾がある程度静寂性に優れ、ある程度以上の攻撃量を備えた潜水艦の建造に成功し、8隻程度配備することができれば、中国の侵攻を数十年にわたって封じる可能性がでてくるということです。

もし、8隻の潜水艦を配備できたとして、どのようなことが想定されるのか、以下に述べます。

中国人民解放軍が台湾に進行しようとして、空母、強襲揚陸艦、その他の艦艇を台湾に派遣したとします。そうすると、これらの艦艇はすべて台湾の潜水艦に撃沈されることになります。

なぜなら、中国海軍の対潜水艦哨戒能力は低いので、台湾の潜水艦は自由に台湾付近の海域を航行して、逐次中国艦艇を狙い打ちできるからです。これに対して、中国の艦艇は、潜水艦も含め台湾の潜水艦は容易に探知できるからです。

ほとんどの艦艇は、台湾に人民解放軍を送り込む前に、撃沈されることになります。それでも、中国人民解放軍が多大な犠牲を払ってでも、むりやり、台湾に人民解放軍を上陸させたにしても、今度は台湾の潜水艦が台湾を包囲して、台湾に上陸した中国人民解放軍への補給を絶てば、人民解放軍はお手上げになります。

一方台湾軍は、台湾潜水艦の護衛により、自由に補給ができることになり、これでは人民解放軍お手上げになり、餓死するか降伏するしかなくなります。

中国人民解放軍が台湾に上陸すれば、餓死するか降伏するしかなくなる・・・

これは、同時に何を意味するかといえば、台湾が想定している静寂性に優れた、ある程度の攻撃力を有する潜水艦をすでに20隻以上配備している日本は、尖閣諸島や沖縄を含め、日本の領土を奪取することはできないということになります。それも今後数十年できません。

無論中国の対潜哨戒能力が向上すれば、別ですが、その見込はここ数十年はたたないようです。

これに似たようなことを以前のブログに掲載したところ、ツイッターで「中国が大量にドローンを派遣してきたらどうなのか」等と質問してきた人もいましたが、その人には「中国がいくらドローンを大量に派遣してきても、潜水艦を発見できなければ、攻撃のしようがない」と応えました。

そうです。仮に中国が超音速ミサイル発射したり、宇宙から攻撃ができるようになったとしても、発見できない敵に対しては、攻撃しようがないので、無意味ということになります。

ただ、現在は台湾は新型潜水艦を作成中であるということであり、現在それを所有していないわけですから、現状は危険といえば、危険ですが、それにしても米軍の原潜は無論日本の潜水艦も当然のことながら、台湾付近の海域に潜航し、中国の動向をうかがっていることでしょう。

中国人民解放軍が不穏な動きをみせれば、日本の潜水艦は静寂性を活かし情報収集にあたり、攻撃力の高い米軍原潜は、中国艦艇に攻撃をすることになるでしょう。それによって、中国人民解放軍の艦艇の大半は撃沈されるか、上陸したとしても、補給を絶たれお手上げになり餓死するか、降伏するしかなくなります。

そのことが、十分わかっているから、中国は思い通りの海洋進出が未だにできていないのです。中国海軍のロードマップによれば、2020年には、第二列島線を確保することになっていますが、現実には台湾・尖閣諸島を含む第一列島線すら確保できていません。これからも、できないでしょう。

それにしても、台湾は良いところに目をつけました。空母や他の艦艇を大量建造するよりも、数隻の潜水艦のほうが中国抑止のためには、コストパフォーマンスがかなり高いです。心理的にも中国をかなり抑制できます。誰だって、目に見えない敵から攻撃を受けるのは恐ろしいです。

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